- 英
- arsenic trioxide
- 商
- トリセノックス
- 関
- 亜ヒ酸、三酸化二砒素
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三酸化二ヒ素 |
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
1327-53-3 |
PubChem |
261004 |
ChemSpider |
452539 |
UNII |
S7V92P67HO |
EC番号 |
215-481-4 |
DrugBank |
APRD00171 |
KEGG |
C13619 |
RTECS番号 |
CG3325000 |
ATC分類 |
L01XX27 |
|
- InChI=1S/As2O3/c3-1-4-2(3)5-1
Key: GOLCXWYRSKYTSP-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/As2O3/c3-1-4-2(3)5-1
Key: GOLCXWYRSKYTSP-UHFFFAOYAM
|
特性 |
化学式 |
As2O3 |
モル質量 |
197.841 g/mol |
外観 |
白色の固体 |
密度 |
3.74 g/cm3 |
融点 |
312.2 °C
|
沸点 |
465 °C
|
水への溶解度 |
20 g/L (25 °C) |
溶解度 |
希酸とアルカリには溶けるが、有機溶媒には溶けない[1] |
酸解離定数 pKa |
9.2 |
構造 |
結晶構造 |
立方晶系 (α)<180°C
単斜晶系 (β) >180°C |
双極子モーメント |
0 |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
−657.4 kJ/mol |
危険性 |
EU分類 |
猛毒(T+)
環境への危険性(N) |
NFPA 704 |
|
Rフレーズ |
R45, R28, R34,
R50/53 |
Sフレーズ |
S53, S45, S60,
S61 |
半数致死量 LD50 |
14.6 mg/kg (ラット、経口) |
関連する物質 |
その他の陰イオン |
三フッ化ヒ素 |
その他の陽イオン |
三酸化リン
三酸化アンチモン |
関連物質 |
五酸化ヒ素
亜ヒ酸 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
三酸化二ヒ素(さんさんかにヒそ)、または三酸化ヒ素は化学式 As2O3 で表されるヒ素の酸化物である。
人工的に生産されるが、天然においても方砒素華(Arsenolite 砒霜、砒華とも)、クロード石(Claudetite 方砒素華の同質異像)として少量産出する。方砒素華は、自然砒、鶏冠石、硫砒鉄鉱といったヒ素鉱物に付随して存在することが多い。毒性が強いことで知られ、上述の鉱物を取り扱う際には特に注意する必要がある。
目次
- 1 性質
- 2 薬としての利用
- 3 毒物としての利用
- 4 土呂久鉱山
- 5 出典
- 6 参考文献
- 7 関連項目
性質
無味無臭。常温常圧では粉末状の白色固体。毒性が強く、かつて害虫やネズミの駆除などに使われた。水溶液は虫歯や白血病治療薬にも用いられる。両性酸化物である(酸とも塩基とも反応する)が、水に溶かすと水和して亜ヒ酸 (As(OH)3) となり、弱酸性を示す。また、単に三酸化二ヒ素のことを亜ヒ酸と呼ぶこともある。
中毒症状として、最初に嘔吐、次に下痢、血圧低下、頭痛などがみられる。多量に摂取した場合、急性腎不全で死に至ることもある。毒性についての詳細は、ヒ素の項目も参照のこと。
もっとも簡易な解毒法は、嘔吐させて毒物が吸収されるのを防ぐことである。
薬としての利用
亜ヒ酸は毒性が強い一方で、古くから悪性腫瘍や皮膚病の漢方薬として使われてきた。また、有機ヒ素化合物であるサルバルサンは梅毒の治療に用いられた(現在は使用されていない)。これは亜ヒ酸のもつ細胞毒性を利用したものであると考えられる。ヨーロッパでもヒポクラテスが皮膚病に使用したという記録があり、近現代においても抗がん剤などのレジメンが進歩するまでは白血病の唯一の治療薬であった。
最近では、レチノイン酸抵抗性の急性前骨髄球性白血病の治療薬として亜砒酸製剤が、2004年10月に厚生労働省に承認された。
毒物としての利用
「石見銀山」は当時の殺鼠剤、いわゆるねずみ捕りの販売名であり、時代劇でもお馴染みの毒薬として登場するが、その実体は亜ヒ酸である。「石見銀山ねずみ捕り」とも呼ばれる。江戸庶民に広く利用されていたため、毒殺の手段としても利用された。
16世紀頃からヨーロッパでも毒殺に利用された。無味無臭で水溶性が高く、検出する手段がなかったため、ワインやビールに混入して飲ませることで、当時としては完全犯罪に近い犯行を可能にした。
フランスなどでは、遺産相続に絡む係争でしばしば用いられたため「遺産相続毒」などとも呼ばれた。ナポレオンも亜ヒ酸によるヒ素中毒で死亡したと言われている。
詳細は「ヒ素中毒」を参照
土呂久鉱山
宮崎県高千穂町にあった土呂久鉱山では、亜ヒ酸製造によって鉱害が起き、多数の死者を出した。鉱山を経営していた会社は、裁判で責任を全く認めず、最終的に和解金を払うことで被害者と和解した。→土呂久砒素公害を参照。
出典
- ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
参考文献
- 根岸鎮衛『耳嚢』全3冊 長谷川強校注、岩波書店〈岩波文庫〉、1991年。 - 江戸時代の随筆。砒霜についての逸話を収録。
- 大西一功 (2004年1月13日). “急性前骨髄性白血病治療薬-三酸化ヒ素” (日本語). ラジオNIKKEIスズケンDIアワー. 2009年12月22日閲覧。
関連項目
ヒ素の化合物 |
AsBr3 · AsCl3 · AsF3 · AsF5 · AsH3 · AsI3 · As2O3 · As2O5 · As2S3 · As2S5 · As4S4 · As2Se3 · As2Se5 · H3AsO3 · H3AsO4
|
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Japanese Journal
- 抗腫瘍活性物質・薬毒物感受性関連遺伝子群のゲノム機能学的探索法の開発
- 自家末梢血幹細胞移植の前処置として用いたアルキル化剤によると考えられる多臓器障害をきたした急性前骨髄球性白血病
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
トリセノックス注10mg
組成
- 本剤は1管(10mL)中三酸化ヒ素10mgを含有する。
- 添加物として水酸化ナトリウム12mg及びpH調節剤を含有する。
禁忌
- ヒ素に対して過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「重要な基本的注意」及び「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 染色体検査〔t(15 ; 17)転座〕又は遺伝子検査(PML-RARα遺伝子)により急性前骨髄球性白血病と診断された患者に使用すること。本剤により完全寛解を得た後に再発した急性前骨髄球性白血病に対して、本剤の有効性・安全性は確立していない。
- 通常、三酸化ヒ素として、0.15mg/kgを5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して100〜250mLとし、1〜2時間かけて投与する。
寛解導入療法
- 骨髄寛解が得られるまで1日1回静脈内投与する。合計の投与回数は60回を超えないこと。
寛解後療法
- 寛解が得られた場合には、寛解導入終了後3〜6週間後に開始する。5週間の間に1日1回、計25回静脈内投与する。
- 投与にあたっては5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して使用し、他の薬剤又は輸液と混合しないこと。
- 本剤投与時に、急性の血管収縮・拡張に伴う症状(低血圧、めまい、頭部ふらふら感、潮紅、頭痛等)が認められた場合には4時間まで投与時間を延長することができる。
- 寛解後療法の用法・用量を複数回繰り返し(本剤の25回を超える投与)実施した場合の有効性・安全性は確立していない(投与経験が極めて少ない)。
慎重投与
- QT延長の既往歴のある患者、低カリウム血症又は低マグネシウム血症、心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者
[QT延長の危険性が増大する。]
- QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者
(「相互作用」の項参照)
- 心疾患(心筋梗塞、心筋障害等)又はその既往歴のある患者
[症状が悪化するおそれがある。]
- 肝障害のある患者
[代謝機能の低下により、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。]
- 腎障害のある患者
[排泄機能の低下により、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 小児等(「小児等への投与」の項参照)
重大な副作用
心電図QT延長
- 本剤はQT延長、完全房室ブロック等の不整脈を引き起こすことがあり、QT延長は致命的となりうるtorsade de pointes(TdP)タイプの心室性不整脈を引き起こすことがあるので、投与中は12誘導心電図を最低週2回実施し、異常所見が認められた場合には適切な処置を行うこと。また、症状によっては休薬あるいは投与中止も考慮に入れること。(「重要な基本的注意」の項参照)米国においてアムホテリシンBを併用していた1例で、本剤による寛解導入療法中にTdPが発症したとの報告がある。
APL分化症候群
- 本剤はAPL分化症候群(APL differentiation syndrome)と呼ばれるレチノイン酸症候群と類似した副作用が発現し、致死的な転帰をたどることがあるので、十分な経過観察を行うこと。このような症状があらわれた場合には休薬し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な処置を行うこと。
白血球増加症
- 本剤により高度の白血球増加症が引き起こされることがあるので、観察を十分に行い、末梢白血球数が30,000/mm3を超えた場合には、休薬し、経過観察や白血球数に応じた化学療法剤の使用等の適切な処置を行うこと。なお、化学療法剤の使用にあたっては、危険性を伴うので、十分注意すること(本剤と化学療法剤の併用についての有効性と安全性は確立されていない)。
汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
- 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本剤の作用メカニズムは完全には解明されていない。三酸化ヒ素はin vitroでヒト前骨髄球性白血病細胞NB4の形態学的変化、アポトーシスに特徴的なDNA断片化を引き起こす10)。また、三酸化ヒ素は融合蛋白PML-RARαの分解を引き起こす11)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
慣用名
化学名
分子式
分子量
性状
- 本品は白色の粉末で、においはない。本品は水、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 英
- nasal septum perforation
- 関
- 鼻中隔
概念
病因
[★]
- 英
- arsenic trioxide
- 関
- 亜ヒ酸、三酸化ヒ素
[★]
- 英
- arsenic As
- 同
- 砒素
- 関
- arsenate
[show details]
ヒ素 : 約 3,200,000 件
砒素 : 約 652,000 件
臨床関連