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腹部超音波検査(ふくぶ・ちょうおんぱ・けんさ)とは腹腔内臓器に対して行う超音波検査である。一般的には肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・脈管系(下行大動脈・下大静脈・腎動脈)を対象とする。時に骨盤内臓器(膀胱・前立腺・子宮・卵巣)も走査する。
- (骨盤内臓器は腹壁経由での走査が困難であることが多く、経直腸・経膣などの専用プローブで検査することが多い。)
目次
- 1 腹部超音波でよく用いられる探触子
- 2 超音波装置の調節
- 3 超音波検査におけるアーチファクト
- 4 主な走査法
- 5 臓器観察法
- 5.1 肝臓
- 5.1.1 肝臓の超音波解剖学
- 5.1.2 肝臓の走査
- 5.1.3 肝臓のびまん性病変
- 5.1.4 肝臓の局在性性病変
- 5.2 胆嚢
- 5.3 膵臓
- 5.4 外傷時走査
- 6 脚注
- 7 参考文献
腹部超音波でよく用いられる探触子[編集]
探触子(プローブ)としてはコンベックス型、セクタ型、リニア型が多い。プローブによって扱えるプログラム(アプリケーションやモード)が異なることが多く、一概にどれがよいとは言えないが、コンベックス型が腹部のスクリーニング診察ではもっともよく使われる。
- コンベックス型
- 腹部超音波検査として最も一般的なプローブである。扇形のスキャン面(トランスデューサ)であるため、ある程度の接地面で広角の観察が可能である。
- セクタ型
- 扇形の広角のスキャン面をもち接地面がきわめて小さいのが特徴である。主に心臓超音波検査で用いるプローブである。肋間走査で用いることが多い。コンベックス型と併用することで肝のドーム構造といった死角をかなり少なくすることができる。振動素子が少ないため画質が悪く、深部の観察には不向きである。
- リニア型
- 長方形のスキャン面をもつ。コンベックス型、セクタ型では不向きな近距離の画質が良好であるため、浅部の観察に適している。
超音波装置の調節[編集]
- ゲイン
- 体内から跳ね返ってきた超音波を画像に変換する際の感度である。ゲインをあげると画像は明るくなり、下げると暗くなる。
- STC
- sensitivity time controlのことであり、深さによってゲインを調節したときに用いる。通常はレバーをすべて中央に揃える。腹水がある場合や生殖器の検査をする場合は調節が必要である。
- コントラスト
- CTのウインドウ幅に相当する。かつてはダイナミックレンジと表示されていた。
- 観察深度
- フォーカス
超音波検査におけるアーチファクト[編集]
- 多重反射
- サイドローブ
- 胆嚢の検査ではハーモニックイメージングを用いることで軽減することができる。
- レンズ効果
- 鏡面効果
主な走査法[編集]
- 右肋骨弓下走査
- 右肋骨弓の下縁にプローブを押し当てる検査方法である。肝臓の下部や胆嚢を検査する時に用いる。右腎臓の観察にも適している。患者が深呼吸で息をとめた状態でプローブの先端が頭側に向くように強く傾けると肝臓のかなり頭側まで観察できる。この走査で肝臓のS7、S8が観察できない場合は肋骨にプローブを押し当てることになるが縦走査、横捜査を肝臓に対して行う必要がある。
- 右季肋部横断走査
- プローブを身体の長軸に平行において、胆嚢や肝臓の矢状断層を得る方法である。肝臓が萎縮している場合や肥満体で肝臓が押し上げられている場合はこの方法では胆嚢や肝臓を十分に観察することはできない。肋骨の後方は音響陰影にて観察が不十分になるが、肋骨にあてずに十分な観察ができるときは肋骨にあたるような縦走査、横捜査は必要ない。
- 右肋間走査
- 右肋間腔にプローブの先端をおいて主に肝右葉を観察する。胆嚢頚部の観察に用いられる。肝臓が萎縮している場合や肥満体で胆嚢が高位置に押し上げられているときはこの方法でしか胆のうを確認することはできない。後方の肋間腔で用いると右腎や右副腎の観察も行うことができる。
- 正中縦断走査
- 心窩部で肝左葉や膵臓を観察する。肝臓の後方には下大静脈や大動脈も描出される。肝臓が肋骨に隠れないように深吸気の状態でスキャンする。膵臓の縦走査では正中部で上腸間膜動脈(SMA)と肝臓の間に膵臓を見つけたら必ず、縦走査で膵臓を追い、上腸間膜静脈、下大静脈などを観察する。
- 正中横断走査
- 心窩部にプローブをおいて肝左葉、膵臓を観察する。膵臓を観察する場合は膵臓の長軸に合わせて少し反時計回りに回転させる。
- 左肋間走査
- 脾臓や左腎の観察に用いる。プローブの端が検査ベッドに接するくらい後方にプローブを置かないと最大像を描出することはできない。また左腎は消化管ガスにさえぎられ全体像が得られないこともある。
- 座位横断走査
- 膵臓の観察に用いることがある。
- 左側臥位横断走査
- 肝外胆管の観察に適している。胆石の体位変化による移動も評価できる。
臓器観察法[編集]
肝臓[編集]
肝臓の超音波解剖学[編集]
脈管系の区別はカラードップラーを用いるという方法もあるが、非常に便利な形態的な違いがある。門脈の壁は厚く、静脈の壁は薄い。これは門脈はグリソン鞘を通過するためと考えられている。
肝臓の走査[編集]
肝臓の精査では縦走査、右肋間走査、右肋骨弓下走査、横走査という順に行うことが多い。深吸気でなければ肝臓は殆ど肋骨に覆われている。そのため縦走査、横捜査では常に肋骨の影となる部分ができてしまう。そのため、扇動操作を行いできるだけ死角ができないように努める。
- 縦走査
縦走査は心窩部では肋骨や肺に邪魔されることなく左葉のほとんどすべてを観察することができる。肝表面の評価、左葉の大きさの評価を行うことができる。心窩部では腹部大動脈(Ao)から腹腔動脈(Ce)、上腸間膜動脈(SMA)が分枝し、SMAと肝臓の間に膵臓が見られる。また、左肝静脈の腹側にP3、背側にP2が観察できる。右季肋部から前胸部にかけては胆嚢窩と下大静脈(IVC)を結ぶカントリー線での断面を得ることができる(血管が肝臓を貫くようにみえる)。肋骨の影響で肝臓は格子状に欠損して見える。右葉の肝縁の評価、大きさの評価が行え、肝円索も確認できる。
- 右肋間走査
高度の萎縮例ではこの走査法によってのみ肝の描出が可能である。肝右葉を門脈枝の走行に沿って描出が可能である。但し肺に覆われた部分は死角となることが多い。心窩部寄りでは、門脈前枝を中心とした画像を得ることができる。門脈前枝がP5,P8に分枝し右肝静脈、下大静脈、胆嚢が確認することができる。より外側で肺を見るつもりでプローブを当てると、右肝静脈が下大静脈に合流する様を確認できる。そう部位で尾側を見るつもりでプローブを扇状に操作すると胆嚢近傍で門脈後枝がP6、P7に分枝する様やS6と腎臓のコントラストを確認することができる。
- 右肋骨弓下走査(横走査)
肝右葉を中心とした実質を肋骨の影響なく広範囲に観察ができる走査である。肝門部を中心として左右の門脈枝や胆管枝を連続的に描出ができる。限局性病変に関しては肝区域の概念に基づいて理解しやすい。但しキライディティ症候群や肝萎縮高度例では消化管ガスの影響で描出困難となる。また肥満例や腹筋発達例でも困難となる。心窩部付近では門脈横部、門脈臍静脈部の描出ができる。この部位ではS1からS4まで左葉区域がよく理解できる。門脈横部から臍静脈部に入り、まずP2が分枝し、T字型の分枝部ではP3とP4が分枝する。より外側では右肝静脈(RHV)、中肝静脈(MHV)、左肝静脈(LHV)が下大静脈(IVC)に合流する様も確認ができる。さらに外側に行くと、門脈右枝がP6とP7に分枝する様も確認できる。このあたりでは胆嚢も確認できる。
- 心窩部横走査
肝門部にある膵臓を確認できる。胃内の空気の影響で膵臓が確認できないときはプローブを尾側に向けて肝臓経由で膵臓を見るように心掛ける。または座位で検査するとわかりやすいくなる。膵管が拡張して見えるときは脾動脈を見ている可能性がある。
肝臓のびまん性病変[編集]
脂肪肝、肝硬変、うっ血肝、日本住血虫症などがわかりやすい。
- 脂肪肝
肝細胞に脂肪が沈着すると細胞レベルで不均一になるため音響インピーダンスが異なる反射面ができる。そのため脂肪肝ではエコーレベルが上昇する(CT値はは低下するのだが)。肝腎コントラストが非常に有名な所見である。
- 肝硬変
肝硬変で有名な所見としては以下のようなものがある。肝表面が凹凸不整となる、内部エコーが粗雑となる、肝床部が萎縮する、尾状葉が腫大する、脾臓が腫大する、門脈の側副血行路が拡張する、胆嚢壁が肥厚する、腹水が貯留する。これらのうち4つくらい認められるのが平均的である。
肝臓の局在性性病変[編集]
- 形状
- 内部エコー
- 後方エコー
胆嚢[編集]
胆嚢は内腔および胆嚢壁を走査する。
- 内腔には胆石、胆泥、ポリープ、腺筋症、胆嚢癌などが胆汁と比べ高輝度に描出される。食後などで胆汁が放出されて充満していないとコントラストがなく描出が困難となる。
- 胆嚢壁は肥厚や不整、層構造の明瞭化などで、胆嚢炎や悪性腫瘍を鑑別する。
- 胆のうの大きさは8cm X 4cm以上を腫大、胆のう壁は厚さ3mm以上を肥厚と疑う。
膵臓[編集]
膵臓は膵実質とともに膵管を主として走査する。
- 膵頭部と膵尾部はエコーでは走査できないことも多い。膵体部も腸管との位置関係次第では走査不能であることもある。
- 正常では膵実質は肝臓よりもやや高信号を呈する。膵管の径は、正常では4mm以下である。
- 膵炎
- 炎症により腫脹しているときには、低エコーで腫大した膵臓が認められる。重症膵炎で、壊死が進んでいるときには、萎縮した膵臓がみられることもある。慢性化した膵炎では膵石が認められることがある。
- 膵癌
- 典型的には低エコーの腫瘤がみられるが、組織型によって信号値は異なる。膵頭部癌では、膵管が圧排され、膵管上流が拡張していることがある。
- 膵仮性のう胞
- 膵管内乳頭状粘液腫瘍(IPMT)
外傷時走査[編集]
外傷を受けた際の、胸腔・腹腔内出血を迅速にスクリーニングするためには、FAST(focused assessment with sonography for trauma)と呼ばれる走査を行う。[1][2]
- 心のう液貯留
- 両側胸腔
- Morrison窩
- 脾臓周囲
- 膀胱周囲
脚注[編集]
- ^ レジデントノート 11(6):835-840, 2009
- ^ http://www.trauma.org/index.php/main/article/214/
参考文献[編集]
- 腹部エコーのABC ISBN 4260175173
- いまさら聞けない腹部エコーの基礎 ISBN 4879622648
- 腹部超音波Aside ISBN 9784758308434
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 獨協医科大学越谷病院における,腹部超音波検査による胆嚢隆起性病変の検討
- 一戸 利恵,瀧沢 義教,谷塚 千賀子,柴崎 光衛,日谷 明裕,党 雅子,春木 宏介,玉野 正也,須田 季晋
- Dokkyo journal of medical sciences 40(1), 61-67, 2013-03-25
- … 腹部超音波検査が施行された3572 例を対象として胆嚢隆起性病変の検討を行った.胆嚢隆起性病変は3572例中791例( 22.1%) に認められ,重複検査例を除いた773例の平均年齢は59.6±13.6歳であり,男性370 例,女性403 例であった.胆嚢隆起性病変の最大径の平均は4.7±5.8 mm で,単発が256 例 (33.1%),多発が517例( 66.9%) であった.773例中,10 mm 以上の病変を有する症例は44 例( 5.6%) であった.これら44例の最終診断は,胆嚢良性ポリープ19例( …
- NAID 110009561196
- 下痢 (特集 小児の消化器疾患 : 症候から最新の治療まで) -- (症候からみた消化器疾患)
Related Links
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- 次の文を読み、59-61の問いに答えよ。
- 81歳の男性。発熱と歩行困難とを主訴に救急外来を受診した。
- 現病歴 5か月前から排尿困難を自覚し、 1か月前から腰痛が出現した。1週前から歩行困難となり、食思不振と発熱とを認めた。
- 既往歴 50歳時から高血圧症のため降圧薬を服用している。
- 生活歴 喫煙は20本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。
- 現 症 意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍84/分、整。血圧156/84mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部正中は小児頭大に膨隆している。両側腰背部(肋骨脊柱角)に叩打痛を認める。直腸措診で表面不整で腫大した石様硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。陰嚢と陰茎とに異常を認めない。両下肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認め、立つことができない。膝蓋腱反射は消失している。
- 検査所見 尿所見:蛋白1 +、糖(-)、沈渣に赤血球10-20/1視野、白血球多数/1視野。血液所見:赤血球 257万、Hb 7.8g/dl、Ht 24%、白血球 9,200、血小板 11万。血液生化学所見:血糖 96mg/dl、総蛋白 6.1g/dl、アルブミン 3.1g/dl、尿素窒素 28mg/dl、クレアチニン 1.8mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 150mg/dl、トリグリセリド 68mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 20IU/l、ALT 12IU/l、LD 240IU/l(基準176-353)、ALP 562IU/l(基準115-359)、Na 135mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 107mEq/l。CRP 5.8mg/dl。
[正答]
BCD
- 血清クレアチニンが2mg/dl以上の時には造影剤使用後に輸液を行い利尿をかけて腎不全を予防する。
- 静脈性腎盂造影は腎機能障害の患者や高齢者に対しては血行性造影剤の投与は控える。
- 下腹部が膨隆する程度の排尿障害であるために静脈性腎盂造影やその後利尿をかけることで水腎症の増悪が予想される。
※国試ナビ4※ [105B059]←[国試_105]→[105B061]
[★]
- 81歳の女性。倦怠感と食欲不振を主訴に来院した。
- 現病歴:4年前に子宮頸癌と診断され、放射線治療を受けたが、1年前に再発した。患者の希望により追加の治療は行わず経過観察とされていた。3か月前から不正性器出血がみられ、食欲不振が出現した。また、肛門周囲の痛みも出現し、オピオイドを内服していた。1か月前から徐々に身の回りのことができなくなってきた。支えがあればポータブルトイレに移乗できたが、ふらつきが強く徐々に難しくなってきており、現在はオムツ内排泄の状態である。倦怠感が強く、食欲も低下し、水分のみ摂取可能である。悪心はあるが、嘔吐はない。
- 生活歴:喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。夫(84歳)と2人暮らし。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 153cm、体重 42kg。体温 36.5℃。脈拍 92/分、整。血圧 128/76mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に中等度の圧痕性浮腫を認める。
- 検査所見:尿はオムツ内排泄のため検査できず。血液所見:赤血球 348万、Hb 10.4g/dL、Ht 32%、白血球 8,800、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白 6.3g/dL、アルブミン 2.0g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 13U/L、ALT 9U/L、LD 182U/L(基準 176~353)、γ-GTP 12U/L(基準 8~50)、CK 42U/L(基準 30~140)、尿素窒素 86mg/dL、クレアチニン 6.1mg/dL、尿酸 10.7mg/dL、血糖 104mg/dL、Na 131mEq/L、K 5.3mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 7.6mg/dL。心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比 53%。
- 次に行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113E041]←[国試_113]→[113E043]
[★]
- 次の文を読み、13~15の問いに答えよ。
- 2歳1か月の男児。発熱と発疹とを主訴に来院した。
- 発育歴 : 在胎40週で出生。出生時の身長49cm、体重3,050g。頚定3か月、独り歩きは1歳3か月。現在、牛乳をコップから飲むことができる。積木を3個重ねることができる。「あーあー」、「うーうー」を言うが、意味のある言葉は言わない。「ワンワンちょうだい。」と言うと犬の縫いぐるみを持ってくる。人見知りをする。
- 現病歴 : 2日前から38.5~39℃の発熱と体幹部の紅斑とが出現し、近医で両眼と口唇との異常を指摘され紹介入院した。今朝から左頚部を触れると強く啼泣する。嘔吐はない。
- 現症 : 意識は清明。身長83cm、体重18kg。体温38.8℃。脈拍120/分、整。左頚部に径3.5cmの腫瘤があり痛がって首を動かさない。皮膚は腹部から腰部にかけ大小さまざまな紅斑を認める。聴診では心雑音なく、呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。口腔粘腹はびまん性に発赤している。右眼の写真と口唇の写真とを以下に示す。
- 検査所見 : 血液所見:赤沈45mm/1時間、赤血球410万、Hb12.5g/dl、Ht 35%、白血球15,000(桿状核好中球7%、分状核好中球56%、好酸球2%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球29%)、血小板30万。血清生化学所見:総蛋白7.3g/dl、アルブミン3.5g/dl、総ビリルビン0.4mg/dl、AST55単位(基準40 以下)、ALT60単位(基準35以下)、LDH550単位(基準176~353)。免疫学所見:CRP12.5mg/dl(基準0.3以下)、ASO250単位(基準250以下)。胸部エックス線写真と心電図とに異常を認めない。
- この患児で発症後10日ころに行う検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [098C014]←[国試_098]→[098C016]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 23歳の女性。発熱を主訴に紹介されて来院した。
- 現病歴:3日前の朝、38.2℃の発熱を認めた。市販の解熱鎮痛薬を内服すると、一時的に体温は37℃台前半まで解熱したが、数時間して再び38.5~40℃に上昇した。今朝からは、悪寒、戦慄を伴う40℃台の発熱が続いたため自宅近くの診療所を受診した。腰部が重苦しいが、頭痛、咽頭痛、鼻汁、咳嗽、胸痛、腹痛および下痢の症状はない。インフルエンザウイルス迅速抗原検査と胸部エックス線撮影で異常を認めなかった。発熱の原因精査のため同時に施行した尿検査と血液検査の結果を持参し、紹介されて受診した。
- 既往歴:小児期にアトピー性皮膚炎。8歳時に中耳炎。
- 生活歴:営業担当事務職員。両親と弟の4人暮らし。
- 家族歴:10日前に弟が胃腸炎で3日間療養した。
- 検査所見(持参したもの):尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血1+、白血球2+。赤沈 65mm/1時間。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.5g/dL、Ht 40%、白血球 12,000(桿状核好中球 15%、分葉核好中球 60%、好酸球 1%、単球 6%、リンパ球 18%)、血小板 38万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 4.2g/dL、AST 28IU/L、ALT 35IU/L、LD 210IU/L(基準 176~353)、クレアチニン 0.7mg/dL、尿素窒素 14mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 6.5mg/dL。
- 現症:意識は清明。身長 165cm、体重 46kg。体温 39.1℃。脈拍 96/分、整。血圧 106/60mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 次に実施すべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110C030]←[国試_110]→[110D001]
[★]
- 72歳の男性。幻視を主訴に来院した。1年前から睡眠中に怒鳴ったり、布団を蹴って足をバタバタしていると妻に指摘されるようになった。このころから時々立ちくらみを自覚していた。半年前から徐々に食事や着替えの動作が遅くなった。1か月前から夜中に「部屋の中で見知らぬ人が踊っている」と訴えるようになったため、家族に付き添われて受診した。喫煙は10本/日、飲酒はビール350mL/日。意識は清明。身長 163cm、体重 56kg。体温 36.4℃。脈拍 68/分、整。血圧 158/86mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 23点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE) 25点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。姿勢は前かがみで歩行は小刻みである。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 342万、Hb 10.7g/dL、Ht 32%、白血球 8,300、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 42U/L、ALT 48U/L、LD 354U/L(基準 176~353)、γ-GTP 56U/L(基準 8~50)、アンモニア 32μg/dL(基準 18~48)、尿素窒素 17mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、血糖 112mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.3mg/dL。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A057]←[国試_113]→[113A059]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 46歳の男性。背部に放散する激しい腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴 : 昨日の夕方に大量飲酒した。夜半から背部に放散する上腹部痛が出現した。今朝から疼痛がさらに増強し、腹部全体に広がり、冷汗も出現した。
- 既往歴 : 6年前腹部超音波検査で胆石を発見されたが放置している。3年前から高血圧症でカルシウム拮抗薬を投与されている。
- 嗜好 : 32歳時から1日平均約3合の日本酒を毎日飲酒している。
- 現症 : 身長165cm、体重76kg。体温37.8℃。呼吸数34/分。脈拍124/分、整。血圧76/48mmHg。心肺に異常所見はない。腹部では、全体に圧痛を認め、反跳痛も認める。左背部に叩打痛を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球391万、Hb12.7g/dl、Ht38%、白血球11,800。血清生化学所見:血糖215mg/dl、総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.3 g/dl、尿素窒素50mg/dl、クレアチニン2.0mg/dl、総ビリルビン1.0 mg/dl、GOT62単位(基準40以下)、GPT76単位(基準35以下)、LDH760単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ296単位(基準260以下)、γ-GTP320単位(基準8~50)、アミラーゼ1,560単位(基準37~160)、Na133mEq/l、K5.0mEq/l、Cl 100mEq/l、Ca 7.2mg/dl、CRP 38mg/dl(基準0.3以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air)PO2 60.6 Torr、base excess -5mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H007]←[国試_095]→[095H009]
[★]
- 次の文を読み、19~21の問いに答えよ。
- 48歳の男性。全身倦怠感、食欲不振、尿の濃染および黒色便を訴えて来院した。
- 現病歴 : 5日間連続して毎日、日本酒5合以上を飲み体調を崩した。腹部の膨隆や両下肢の浮腫が次第に明瞭となり、今朝、黒色便を排出した。常習飲酒家である(3合/日)。
- 既往歴 : 27歳の時、交通事故で輸血を受けた。
- 現症 : 意識は清明。身長169cm、体重61kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。血圧142/86mmHg。眼瞼結膜はやや貧血様、眼球結膜には軽度の黄疸を認める。胸部に異常は認めない。腹部では腹壁に静脈怒張が認められ、肝を剣状突起下で3cm触知する。腹水と両下肢の浮腫とを認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ビリルビン1+。
- 血液所見:赤血球320万、Hb9.6g/dl、白血球4,200、血小板9.2万、プロトロンビン時間60%(基準80~120)。血清生化学所見:総蛋白6.6g/dl、アルブミン2.9g/dl、γーグロブリン34.5%、尿素窒素48mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、尿酸5.2mg/dl、総コレステロール126mg/dl、総ビリルビン2.8mg/dl、直接ビリルビン1.4mg/dl、AST224単位(基準40以下)、ALT185単位(基準35以下)、γーGTP462単位(基準8~50)。HCV抗体陽性。ICG試験(15分値)32.4%(基準10以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C020]←[国試_097]→[097C022]
[★]
- 次の文を読み、43、44の問いに答えよ。
- 44歳の男性。右下腹部の痛みと嘔吐とで来院した。
- 現病歴 : 昨日海水浴を楽しんで帰宅した。今朝4時ころ突然、腹痛で目覚めた。痛みは右側腹部から右下腹部まで拡がり、右陰嚢部にも放散した。嘔気を我慢できず、透明な胃液を少量嘔吐した。吐血や黒色便は認めず、心窩部痛もない。
- 既往歴 :30歳から高尿酸血症を指摘されているが、治療歴はない。
- 現症 : 意識は清明。身長165cm、体重78kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧146/90mmHg。腹部は平坦で、肝・脾は触知しない。外陰部は正常で、陰嚢内容に触診上異常所見はない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血2+。血液所見:赤血球560万、Hb 15g/dl、Ht48%、白血球9,500、血小板35万、プロトロンビン時間(PT)●2秒(基準10~14)。血清生化学所見:総蛋白7.8g/dl、アルブミン5.2g/dl、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、尿酸7.5mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、AST(GOT)18単位(基準40以下)、ALT(GPT)16単位(基準35以下)、LDH320単位(基準176~353)、Na135mEq/l、K4.2mEq/l、Cl101mEq/l。腹部エックス線単純写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F043]←[国試_096]→[096F045]
[★]
- 52歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。
- 現病歴 : 半年前から夕方になると足背部が腫れることに気付いた。下肢のむくみは次第に増強して大腿にも広がり、体重が10kg増加した。5日前から睡眠中に胸苦しくなり目覚めるようになった。坐っていると呼吸が少し楽になる。
- 既往歴 : 35歳で生命保険加入時に尿糖を指摘された。
- 現症 : 意識は清明。身長166cm、体重78kg。体温36.5℃。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧168/90mmHg。心雑音はなく、両肺野にcoarse cracklesを聴取する。腹部は軽度膨隆し、肝を右肋骨弓下に3cm触知する。両下肢に著明な浮腫を認める。膝蓋腱反射は両側とも減弱している。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白3+、糖1+、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球2~3/1視野、白血球2~3/1視野。
- 血液所見:赤血球311万、Hb9.4g/dl、Ht30%、白血球5,000、血小板22万。
- 血清生化学所見:血糖182mg/dl、総蛋白4.8g/dl、アルブミン2.0g/dl、尿素窒素32mg/dl、クレアチニン2.8mg/dl、AST36単位、ALT24単位、LDH350単位(基準176~353)、Na130mEq/l、K5.0 mEq/l、Cl 102mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C032]←[国試_099]→[099C034]
[★]
- 次の文を読み、43、44の問いに答えよ。
- 60歳の女性。健康診査で高血圧を指摘されて来院した。
- 現病歴: 1か月前に健康診査を受けたところ、血圧が高いと指摘され、病院受診を勧められた。
- 既往歴: 20年前に人間ドックで蛋白尿と血尿とを指摘されたが、二次検査では心配ないと言われた。出産は2回で、いずれも正常であった。
- 家族歴: 母親が高血圧、父親が高血圧と糖尿病。
- 現症: 意識は清明。身長156cm、体重48kg。脈拍76/分、整。血圧170/96mmHg。血圧に左右差はない。皮膚に発疹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に異常を認めない。下腿に浮腫を認める。
- 検査所見: 尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血2+、沈渣に赤血球10~20/1視野、白血球0~2/1視野、赤血球円柱(+)、白血球円柱(-)。
- 血液所見:赤血球320万、Hb9.6g/dl、Ht28%、白血球5,600、血小板23万。
- 血清生化学所見:空腹時血糖118mg/dl、HbA1c6.0%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素62mg/dl、クレアチニン4.6mg/dl、AST12IU/l、ALT9IU/l、Na138mEq/l、K5.1mEq/l、Cl 105mEq/l、Ca7.8mg/dl、P5.2mg/dl
[正答]
※国試ナビ4※ [101D042]←[国試_101]→[101D044]
[★]
- 69歳の男性。腹部膨満感と全身倦怠感とを主訴に来院した。 1か月前から腹部の膨満感と全身倦怠感とを、 2週前から下腿がむくんでいることを自覚していた。3日前から全身倦怠感が著明となったため受診した。会社の健康診断で肝障害を指摘されていたが、自覚症状がなかったため医療機関を受診しなかった。 60歳で退職後、血液検査を受けていない。 15歳時の交通事故で輸血を受けたことがある。身長165cm、体重67kg。体温36.8℃。脈拍76/分、整。血圧140/92mmHg。手掌に発赤を認める。胸部聴診で異常を認めない。腹部は膨隆している。圧痛や抵抗はない。肝を触知しない。左肋骨弓下に脾を2cm触知する。腫瘤を触れない。打診では体位変換で濁音境界が移動する。下腿に浮腫を認める。血液所見:赤血球304万、 Hb9.8g/dL、 Ht35%、白血球2,900、血小板7.0万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン2.5g/dL、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、総ビリルビン2.1 mg/dL、 AST55IU/L、 ALT40IU/L。
- この患者の重症度を判断するために重要性が低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H021]←[国試_106]→[106H023]
[★]
- 34歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。本日、オートバイ運転中に併走する乗用車と接触し転倒した。意識障害はなく、四肢の擦過傷と右膝関節の打撲以外に大きな外傷はなかった。転倒3時間後に心窩部痛を自覚し、徐々に増強するため妻に付き添われて受診した。意識は清明。体温 37.2℃。脈拍 104/分、整。血圧 96/58mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜はやや貧血様だが眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨隆し、腸雑音の減弱を認める。心窩部から右季肋下にかけての圧痛を認める。神経診察で異常を認めない。血液所見:赤血球 327万、Hb 10.6g/dL、Ht 34%、白血球 11,200、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.7 g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 142U/L、ALT 78U/L、LD 358U/L(基準 120~245)、γ-GT 57U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 154U/L(基準 37~160)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、血糖 97mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 1.0mg/dL。
- 現時点で行うべき検査として適切なのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A073]←[国試_114]→[114A075]
[★]
- 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
- 32歳の女性。無月経を主訴に来院した。
- 現病歴 :毎月規則正しかった月経が今月はなかったため来院した。1年前から月経量の増量に加え、月経痛もひどくなってきており、1週前から嘔気と乳房緊満感とを認めている。最近排尿回数が増えている。未婚であるがパートナーはいる。婦人科受診は初めてである。
- 既往歴 : 妊娠・分娩歴はない。
- 現症 : 意識は清明。身長160cm、体重46kg。脈拍72/分、整。血圧118/70mmHg。全身所見で特に異常は認めない。内診上、子宮は前傾前屈、新生児頭大、弾性硬。可動性はやや不良であるが圧痛はない。両側付属器は触知しない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球360万、Hb10.0g/dl、白血球8,400、血小板28万。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素14mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総コレステロール180mg/dl、AST26単位、ALT28単位、LDH310単位(基準176~353)。妊娠反応陽性。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D032]←[国試_100]→[100D034]
[★]
- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 78歳の男性。全身倦怠感と尿量の減少とを訴えて来院した。
- 現病歴 : 昨日山菜を採りに行き、道に迷い歩き回った。足腰が痛くなり山中で座り込んでいるところを家族に今朝発見された。全身倦怠感があり、尿量も少なくなっている。
- 既往歴 : 69歳から前立腺肥大で加療中である。
- 現症 : 意識は清明。身長162cm、体重57kg。体温36.9℃。脈拍112/分、整。血圧86/54mmHg。皮膚は乾燥している。胸部に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・肺を触知しない。下腿に浮腫はない。直腸診で腫大した前立腺を触知する。
- 検査所見 : 尿所見:比重1.035、蛋白(±)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常はない。血液所見:赤血球512万、Hb16.4g/dl、Ht48%、白血球8,60、血小板22万。血清生化学所見:尿素窒素78mg/dl、クレアチニン2.8mg/dl、尿酸11.2mg/dl、AST35単位(基準40以下)、ALT20単位(基準35以下)、LDH350単位(基準176~353)、CK45単位(基準10~40)、Na140mEq/l、K5.0mEq/l、Cl104mEq/l、Ca9.2mg/dl、P3.0mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F040]←[国試_097]→[097F042]
[★]
- 88歳の女性。肺炎のため入院中である。もともと認知症があり要介護 3であったが、食事は自力摂取できていた。 2日前に肺炎のため入院となり治療を行った。本日朝には平熱となり、介助によって経口摂取も可能となった。同日深夜、物音に気付いて看護師が訪室すると、患者がベッド脇の床に倒れていた。当直医が呼ばれて診察したところ、出血や裂創はみられないが、患者は「いたい、いたい」とうめくように繰り返していた。意識レベルは JCSI-2。身長 148 cm、体重 44 kg。体温 35.8℃。脈拍 84/分、整。血圧 132/80 mmHg。頭部に皮下血腫を認めない。対光反射は正常。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。上肢に麻痺を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部に圧痛を認めない。左下肢を動かすと疼痛が増強する。両足背に軽度の圧痕を残す浮腫を認める。下肢の色素沈着や紫斑を認めない。
- 痛みの原因を明らかにするために必要な検査はどれか。
- a 胸部造影CT
- b 腹部超音波検査
- c 下肢静脈超音波検査
- d 胸部エックス線撮影
- e 股関節エックス線撮影
[正答]
※国試ナビ4※ [108F021]←[国試_108]→[108F023]
[★]
- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 42歳の男性。頻回の嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴: 2か月前から食後に上腹部膨満感が出現し、1週前から時々嘔吐するようになった。上腹部に重圧感を自覚することもあり、一昨日から嘔吐が頻回になり、黒っぽい便が出ている。吐物は食物残渣のみで、血液の混入はない。
- 既往歴: 28歳時、十二指腸潰瘍に罹患し服薬治療を受けていたが、再発を繰り返していた。
- 現症: 意識は清明。身長170cm、体重54kg。体温36.9℃。呼吸数12/分。脈拍124/分、整。血圧98/58mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、上腹部に圧痛を認める。腸雑音は正常である。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球242万、Hb6.5g/dl、Ht20%、血小板39万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.8g/dl、尿素窒素42mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST38IU/l、ALT33IU/l、LDH360IU/l(基準176~353)。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D041]←[国試_101]→[101D043]
[★]
- 42歳の男性。人間ドックの腹部CTで異常を指摘されたため来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴とはない。身長 172cm、体重 75kg。脈拍 76/分、整。血圧 142/82mmHg。身体所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 420万、Hb 14.4g/dL、Ht 41%、白血球 8,000(桿状核好中球 10%、分葉核好中球 70%、単球 4%、リンパ球 16%)。血液生化学所見:空腹時血糖 102mg/dL、HbA1c 5.9%(基準 4.6~6.2)、Na 141mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 106mEq/L、ACTH 7pg/mL未満(基準 60以下)、コルチゾール 11.8ng/dL(基準 5.2~12.6)、アルドステロン 106pg/mL(基準 45~106)、血漿レニン活性 2.4pg/mL/時間(基準 1.2~2.5)。尿中メタネフリン 0.11mg/日(基準 0.05~0.23)、尿中ノルメタネフリン 0.14mg/日(基準 0.07~0.26)。人間ドックの腹部単純CT(別冊No. 30)を別に示す。
- 診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I077]←[国試_109]→[109I079]
[★]
- 次の文を読み、54~56の問いに答えよ。
- 68歳の男性。尿失禁を主訴に来院した。
- 現病歴:2年前から就寝後に2回トイレに行くようになった。1か月前から気が付かないうちに尿失禁をきたしている。残尿感と排尿困難とは認めない。
- 既往歴:10年前から糖尿病で血糖降下薬を内服している。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長160cm、体重66kg、体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧144/88mmHg。下腹部に弾性軟で手拳大の腰痛を触知する。下肢に浮腫を認めない。直腸診で小鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結や圧痛は認めない。
- 検査所見.尿所見:蛋白(-)、糖2+、潜血(-)、沈さに赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球450万、Hb14.6g/dl、Ht44%、白血球5.600。血液生化学所見:血糖146mg/dl、HbA1c 6.8%(基準4.3~5.8)、尿素窒素20.0mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl。免疫学所見:CRP O.1mg/dl、PSA1.6ng/ml(基準4.0以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [102B053]←[国試_102]→[102B055]
[★]
- 39歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。昨日、夕食に自分で釣ってきたアジ、イカなどの刺身と天ぷらを家族 4人と食べ、日本酒 3合を飲酒した。その後約 3時間で上腹部痛が出現した。家族に症状はない。今朝まで症状が持続しているため受診した。体温 36.0 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 122/76 mmHg。呼吸数 12/分。腹部は平坦で、心窩部に圧痛があるが、反跳痛と筋性防御とは認めない。血液所見:赤血球 464万、 Hb 14.0 g/dl、Ht 42%、白血球 8,800(桿状核好中球 23%、分葉核好中球 45%、好酸球 10%、好塩基球 1%、単球 5%、リンパ球 16% )、血小板 21万。血液生化学所見:アルブミン 4.0 g/dl、総ビリルビン 0.9 mg/dl、AST 29 IU/l、ALT 17 IU/l、LD 187 IU/l(基準 176~353)、 ALP 321 IU/l(基準 115~359)、 γ -GTP 32 IU/l(基準 8~50)、アミラーゼ 85 IU/l(基準 37~160)、クレアチニン 0.6 mg/dl。CRP 0.3 mg/dl。
- 確定診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D048]←[国試_108]→[108D050]
[★]
- 65歳の男性。胸部異常陰影を指摘され来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は 30本/日を 30年間。意識は清明。身長 170 cm、体重 62 kg。体温 36.8 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 130/84 mmHg。呼吸数 16/分。 SpO2 98% ( room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 517万、 Hb 17.0 g/dl、Ht 50%、白血球 6,200、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dl、アルブミン 4.6 g/dl、総ビリルビン 1.1 mg/dl、AST 18 IU/l、ALT 6 IU/l、LD 410 IU/l(基準 176~ 353)、クレアチニン 1.0 mg/dl、Na 145 mEq/l、K 4.2 mEq/l、Cl 108 mEq/l。CRP 0.1 mg/dl。呼吸機能検査所見:% VC 93%、 FEV1% 73%。心電図に異常を認めない。初診時の胸部エックス線写真 (別冊 No. 7)を別に示す。気管支内視鏡検査を行い左 B 3から肺生検で腺癌の診断を得た。
- この患者の手術適応を決定する上で有用でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D022]←[国試_108]→[108D024]
[★]
- 英
- abdomen
腹部の9つの領域
- M.111
RH right hypochondriac 右下肋部
|
E epigastric 上胃部
|
LH left hypochondriac 左下肋部
|
RL right lumbar 右側腹部
|
U umbilical 臍部
|
LL left lumbar 左側腹部
|
RI right inguinal 右鼡径部
|
P pubic 恥骨部
|
LI left inguinal 左鼡径部
|
腹腔を仕切る2つの面
腹部の4つの領域
- (M.112)
- 身体所見を記述するために、4つの領域で分ける
- 水平面
- 垂直面
[★]
- 英
- ultrasonography、sonography、ultrasound examination、ultrasound scan、ultrasonic examination、echography、ultrasonographic、sonographic、echographic、ultrasonographically
- 関
- 超音波エコー、超音波診断法、超音波診断、超音波検査法、超音波断層法、超音波スキャン、超音波法、超音波検査診断、水浸法
[★]
- 関
- 検定、試験、視察、視診、調べる、調査、テスト、点検、検討、監査、診察
[★]
- 英
- ultrasound US, high frequency sound
- 同
- high frequency sound
- 関
- 心エコー、ピエゾ電気効果
[★]
- 英
- acoustic wave、sonic wave、sound wave