出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/11 08:36:44」(JST)
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特発性血小板減少性紫斑病(とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう、英: Idiopathic Thrombocytopenic Purpura; ITP)は、何らかの要因によって、血小板の減少を呈する一群を指す。
特定疾患として認定された、国指定難病医療費等助成対象疾病である。
膠原病、再生不良性貧血、薬剤等の血小板減少を来たす原因が除外されて診断される。
2005年現在では以下に述べるような免疫機構が原因とされており、それに合わせてImmune Thrombocytopenic Purpura(略称はITPのまま)と呼ぶ人もいる。
ITPは血小板に対するIIb/IIIaなどで感作された免疫複合体が、脾臓・肝臓などで破壊されて血小板減少をきたす疾患である。血小板破壊が亢進しているため、骨髄での血小板産生は盛んになっている。しかしタイプによっては、骨髄中での産生時点で幼弱な形での血小板しか生産されず、奇形的な血小板の場合がある。そのような血小板に、抗血小板抗体が乗っている様に画像で確認できる。
急性型(多くは6ヶ月以内に自然軽快し、小児に多い)と成人に多い慢性型に分けられる。
麻疹、風疹、水痘ウイルス感染が原因となることが多い。ウイルスと抗ウイルス抗体が免疫複合体を形成し、血小板膜のFc受容体に付着して感作血小板が生じ、これが脾臓で破壊されることで本症を発症するものと推測される。
ITPが慢性化したもの、あるいは慢性に進行するITPである。
ITPは多くの場合小児に発症し、急性の経過を辿って半年程度で治癒する。しかし、一割程度は慢性の経過を辿る。また、成人がITPを発症した場合慢性化することが多い。ITPが6ヶ月以上遷延化した場合、慢性特発性血小板減少性紫斑病の診断が下される(小児にあっては、ウイルス感染が先行し発症が急激ならば、急性ITPと考えて良い)。
急性のITPと異なり、大出血を起こすことは比較的少ないが、若年女性に多いため、月経、妊娠、出産において問題になる。
青あざ(紫斑)、点状出血、粘膜出血など。関節内での出血は少ない。
血小板数が3000/μlを切るような症例では、頭蓋内出血の危険があり早急に治療が必要である。
厚生労働省の診断基準
血小板結合IgG (Platelet Associated-IgG; PA-IgG) の増加はITPに特異的ではないが、PA-IgGが正常の場合はITPを除外するのに役立つ。
他の出血、血小板減少を来たす疾病の除外が必要である。鑑別されるべき疾患の例としては、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、播種性血管内凝固、血球貪食症候群、偽性血小板減少症、など。近年、網状血小板率(感度・特異性とも80%以上)、antigen capture ELISA(感度は低いが、特異度が非常に高い)が注目されている。
白血球数は正常で、貧血も通常伴わない(慢性に多量に出血している場合には貧血を伴う)。白血球分画にも異常はみられない。
プロトロンビン時間 (PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) などの血液凝固系に異常はみられない。既に出血症状が著しいときには、フィブリノーゲンの異常(増加も減少もあり)やFDPの上昇を来すことがある。毛細血管抵抗試験(ルンペル・レーデ現象)陽性。
ITPの診断に骨髄穿刺は必須ではない。ただし、ステロイドは白血病に対しても有効であるため、ステロイド投与を行う際には骨髄穿刺を行って白血病を確実に否定する必要がある。
骨髄所見は、骨髄球系、赤芽球系は正常に存在し、巨核球系は正常ないしやや増加している。
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I型アレルギー | II型アレルギー | III型アレルギー | IV型アレルギー | V型アレルギー | |||
免疫反応の主体 | IgE | IgM, IgG | 免疫複合体 | Th1細胞 | Th2細胞 | Tc細胞 | IgG |
抗原 | 水溶性抗原 | 細胞や マトリックスに 結合している抗原 |
水溶性抗原 | 水溶性抗原 | 水溶性抗原 | 細胞関連の抗原 | 細胞表面レセプター |
エフェクター機構 | 肥満細胞の活性化 | 補体 (CDC)|NK細胞、好中球 (ADCC) | 補体、好中球 | マクロファージの活性化 | IgE産生、好酸球と肥満細胞活性化 | 細胞障害 | 抗体の結合 |
アレルギー疾患の例 | 気管支喘息 アレルギー性鼻炎 花粉症 喘息 蕁麻疹 アトピー性皮膚炎 ラテックスアレルギー |
ABO不適合輸血 新生児溶血性貧血 グッドパスチャー症候群 自己免疫性溶血貧血 AIHA 特発性血小板減少性紫斑病 ITP 橋本病 超急性移植片拒絶反応 |
アルツス反応 アニサキス症 トリ飼い病 農夫肺 血清病 急性糸球体腎炎 ループス腎炎(SLE) 関節リウマチ 過敏性肺臓炎 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 |
接触性皮膚炎 ツベルクリン反応 慢性肉芽腫症 |
慢性喘息 慢性アレルギー鼻炎 |
移植片拒絶 | 慢性蕁麻疹 バセドー病 重症筋無力症 |
検査方法 | RAST法 RIST法 皮内反応 プリックテスト スクラッチテスト 負荷試験 |
免疫組織染色 凝集反応(完全抗体) 凝集反応(不完全抗体, クームステスト) |
皮内反応 |
産生増加 | 新生物 | 破壊亢進 | 閉塞 | 浸潤 | |
赤血球 | 再生不良性貧血 骨髄癆性貧血 |
赤血球増加症 | 溶血性貧血 エリテマトーデス 悪性貧血 |
||
白血球 | 骨髄異形成 感染症 |
白血病 | 無顆粒球症 | ||
血小板 | 特発性血小板減少性紫斑病 | ||||
リンパ組織 | 伝染性単核球症 | ホジキンリンパ腫 嚢胞性リンパ管腫 |
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支持組織 | 転移性癌 | エリテマトーデス コラーゲン病 |
ヘモクロマトーシス 細網内皮症 ハーラー病 アミロイドーシス サルコイドーシス | ||
動脈 | 塞栓症 動脈瘤 |
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静脈 | 血管腫 | うっ血性心不全 肝硬変 血栓症 バンチ病 膵尾部膵癌 |
血小板・ 血管壁 の異常 |
凝固異常 | 線溶異常 | |
出血部位 | 体表部(皮膚・粘膜) | 深部(皮下・筋肉・関節) | 深部組織に多い |
出血徴候 | 点状出血・小斑状出血 | 大斑状出血・後出血 | 後出血・漏出性出血 |
特徴 | 小さな傷でも出血するが圧迫で容易に止血しやすい | じわじわ出血がすすみ、局所止血で止まりにくい | 一旦出血が止まった後に再出血する |
出血症状 | 血小板、血管壁の異常 | 凝固因子の異常 |
点状出血 | 誘発する | 少ない |
粘膜出血 | 誘因なしに見られる | 機械的刺激、外傷の後に見られることが多い |
筋肉・関節内出血 | 基本的になし | 特徴的 |
外傷、手術後の出血 | 直後から見られる | しばらくたってから見られる。 |
ファミリー | 慣用名 | CD分類 | リガンド | 機能 | 欠損症 |
インテグリン | GpIIb | CD41 | フィブリノゲン | 凝集 | Glanzmann血小板無力症(GT) |
GpIIIa | CD61 | ||||
LRG | GpIb | CD42bc | vWF | 粘着 | ベルナール・スリエ症候群(BSS) |
GpIX | CD42a | ||||
GpV | CD42d |
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