- 英
- spleen (SP)
解剖
体表解剖 (2007年度後期解剖学授業プリント)
臓器と接する面 (KL.383, N.288)
- 5つある
- 1. 横隔面
- 2. 臓側面
- 2-1. 胃面
- 2-2. 膵面
- 2-3. 結腸面
- 2-4. 腎面
組織
- 動脈周囲リンパ鞘:T細胞
- リンパ小節:B細胞
- 辺縁帯:胸腺非依存性抗原を専門に認識するB細胞(形質細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、interdigitating dendritic cellなど)
- 白脾髄を取り巻くように存在し、赤脾髄と白脾髄を隔てている。
- 辺縁体では、数多くの小さな血管がリンパ小節を取り囲むように存在しており、辺縁洞をなす。中心動脈から放射状に伸びる細い血管が赤脾髄に入り、その後再び戻って辺縁洞に注ぐ。
機能 (SP.499)
- 1. 赤血球の処理
- 2. 防衛機能
- 3. 胎生期における造血作用
- 4. 赤血球の貯蔵
臨床関連
-
- 莢膜を持つ菌に感染しやすくなる→脾網内系はIgMを産生する場らしい?
- 脾摘後重症感染症症候群
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/07/30 10:03:53」(JST)
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脾臓 |
脾臓
|
ラテン語 |
lien, (ancient Greek語: splen) |
英語 |
Spleen |
動脈
|
脾動脈
|
静脈
|
脾静脈
|
神経
|
脾神経叢
|
脾臓(ひぞう)は脾動脈および脾静脈に介在する臓器である。以下の記述は特に断りがない限りヒトの脾臓についての記述である。
左の上腹部にあり、上方は横隔膜に接し内側は左の腎臓と接している。前方には胃が存在する。肋骨の下に隠れており通常は体表からは触れない。
なお、東洋医学でいう五臓六腑(五臓:肝・心・脾・肺・腎)の一つである「脾」は「脾臓」とは異なっている。五臓の脾は主に消化吸収などを担っており、解剖学的に対応する臓器はむしろ「膵臓(すいぞう)」である。これは脾臓と膵臓を別の臓とは考えず、ひとつの臓(脾臓+膵臓=脾)と考えられていたのではないかという説もあるが、正確な理由は現在もわかっていない。膵臓は黄色い組織であるため、脂肪と考えられて脾臓に膵臓の機能が割り当てられた可能性もある。また、横っ腹が痛くなる原因は脾臓が急激な動作によってだんだん縮んで痛みが起こると考えられている。
目次
- 1 脾臓の解剖
- 2 脾臓の組織・構造
- 3 脾臓の機能
- 4 脾臓の病気
- 5 関連項目
|
脾臓の解剖
脾臓の大きさは、長さ12cm、幅7.5cm、厚さ5cm程度である。重量は内部の血液量で変化するが100~200g程度である。柔らかく色は赤紫色である。
脾臓の組織・構造
脾臓の表面は白く厚い被膜で覆われている。一部は動脈を伴い脾臓の内部へと入り込んでいる。この構造を脾柱という。脾柱は脾臓の内部で複雑に絡み合い網目状となる。網目は柱網と呼ばれ脾臓の形態構築にかかわっている。網目の内部は白い斑状の組織である白脾髄と赤い組織の赤脾髄で埋められている。白脾髄はリンパ球の集まりであり免疫機能を担っている。赤脾髄には毛細血管が豊富に存在し赤血球に富んだ組織である。
脾臓の機能
- 免疫機能:白脾髄でB細胞(Bリンパ球)、Tリンパ球、形質細胞を成熟させ、血液を増殖の場とする病原体に対する免疫応答の場となる。脾摘された人がマラリアなどに感染すると重症化しやすい。
- 造血機能:骨髄で造血が始まるまでの胎生期には、脾臓で赤血球が作られている。生後はその機能は失われるが、大量出血や骨髄の機能が抑制された状態では再び脾臓での造血が行われることがある(髄外造血)。ラットやマウスでは出生後も造血が行われる。
- 血球の破壊:古くなった赤血球の破壊を行う。赤血球中のヘモグロビンを破壊し鉄を回収する働きもある。摘出により溶血性貧血が改善された例がある。
- 血液の貯蔵機能:血液を蓄える機能がある。人間ではそれほど多くの血液の貯留はされないが、犬や馬などの動物では大量の血液が貯留されている。筋肉が大量の酸素を必要とするような運動時には、脾臓から貯蔵されていた血液を駆出することで充分な酸素を筋肉へ送り届けることが出来る。急激な有酸素運動を行った際に起こる、胸部を締め付けられるような痛みはこの働きによるものである。
脾臓の病気
脾腫
脾臓が何らかの原因で大きくなってしまった状態を脾腫という。原因としては、肝硬変などによる門脈圧亢進症、白血病・骨髄増殖性疾患・感染症などの浸潤性疾患の2種がある。脾腫が著明になると、脾臓の機能が亢進した状態になり、血球の破壊がどんどん進むため貧血や出血傾向などが出現する。このような状態では対処法として手術によって脾臓を摘出することがある。
- 脾臓摘出術(脾摘)が適応となる疾患
- 遺伝性球状赤血球症、不安定ヘモグロビン症、温式自己免疫性溶血症(温式AIHA)、サラセミア、PK欠損症(pyruvate kinase deficiency)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP;idiopathic thrombocytopenic purpura)etc.
関連項目
五臓六腑 |
|
五臓 |
肝臓 · 心臓 · 脾臓 · 肺臓 · 腎臓
|
|
|
六腑 |
胃 · 大腸 · 小腸 · 胆嚢 · 膀胱 · 三焦
|
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Japanese Journal
- 免疫性血小板減少性紫斑病と薬物療法 (特集 身近になる血液疾患の治療--専門医から実地医家へ)
- 予防は治療に勝る 高齢者感染症の予防法 (特集 高齢者の感染症)
- 当施設で経験した脾臓原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫3症例の検討
- 田中 勝,角田 三郎,井上 浩一,和泉 透,山本 孝信,星 サユリ,平林 かおる,五十嵐 誠治,阿久津 美百生,加納 康彦
- 臨床血液 52(8), 703-707, 2011-08-30
- NAID 10029615230
- 15.脾腫と脾機能亢進症状を来たし摘脾を施行したヘモグロビン異常症の1例(一般演題,第24回日本小児脾臓研究会)
- 奥山 直樹,窪田 正幸,小林 久美子,仲谷 健吾,大山 俊之,荒井 勇樹,横田 直樹,城之前 翼
- 日本小児外科学会雑誌 47(5), 884, 2011-08-20
- NAID 110008711832
Related Links
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- 脾臓の位置、役割、脾臓の病気の原因、症状、治療法について.
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★リンクテーブル★
[★]
- 65歳の男性。頚部腫瘤を主訴に来院した。 6か月前から頚部に腫瘤を自覚しており、徐々に増大してきたため受診した。眼瞼結膜に貧血を認めない。左頚部に径2cmのリンパ節を3個、右腋窩に径2cmのリンパ節を1個触知する。いずれも弾性硬で圧痛はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球398万、 Hb11.0g/dl、 Ht38%、白血球6,300、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素19mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、 AST31IU/l、 ALT28IU/l、 LD447IU/l(基準176-353)。胸腹部造影CTで縦隔リンパ節、腹腔内リンパ節および脾臓の腫大を認める。
- 次に行う検査として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A022]←[国試_106]→[106A024]
[★]
- a 左肋骨弓下に脾を3cm触知
- b 右肋骨弓下に肝を1cm触知
- c 口蓋扁桃が口蓋咽頭弓をはみ出して腫大
- d 両側頚部に米粒大のリンパ節を3個ずつ触知
- e 両側鼠径部に小豆大のリンパ節を1個ずつ触知
[正答]
A
- 脾臓:乳児では触れても良い。小児では3cmは病的と考えるらしい。
※国試ナビ4※ [105F012]←[国試_105]→[105F014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100G042]←[国試_100]→[100G044]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G044]←[国試_097]→[097G046]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- 20歳の女性。腹部の不快感を訴えて来院した。身長160cm、体重43kg。腹部の診察を行った。触知すると異常なのは.どれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F009]←[国試_097]→[097F011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109B032]←[国試_109]→[109B034]
[★]
- 妊娠10週の時点で臍帯内に存在する胎児臓器はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E016]←[国試_109]→[109E018]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104G022]←[国試_104]→[104G024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105B022]←[国試_105]→[105B024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096E010]←[国試_096]→[096E012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096G053]←[国試_096]→[096G055]
[★]
- 英
- anatomy
- ラ
- anatomia
- 関
- 体表解剖学、臨床解剖学、神経解剖学、比較解剖学
系統解剖
運動
骨
部位ごとの分類
関節ごとの分類
神経
部位別
上肢
体幹
下肢
下肢の皮神経
脳幹の神経解剖
血管
臓器に分布する血管
各体部位に分布する血管
- 頚部
[★]
- 英
- splenomegaly
- 関
- 脾臓
定義
- 脾臓が腫大した状態(250以上(正常は90-120g))
- 脾の大きさは長径と重量がよく相関し、超音波診断では長径×短径(SI スプリーンインデックス)が脾腫の指標となる。
- 正常の2倍程度となると脾腫として左季肋部で診察可能となる
- 慢性骨髄増殖症候群、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、遺伝性溶血性貧血、フェルティ症候群、マラリアでは巨大脾腫を認める。
頻度
- 急性ウイルス感染の約50%、銃声細菌感染症の約20%、慢性肝疾患の50-70%、溶血性貧血で約70%、血液造血器疾患で約40%に出現する。(IMD.544)
症状
- ほぼない。
- 胃か圧排するほど大きくなれば、胃の膨満感が出現しうる。
診察
- 仰臥位で右季肋部を触診
- 小児では触れても良いが、健常成人では触れない。触れたら異常である。
- 臍まで脾臓を脾臓を触知できる場合を特に巨脾という。
- 打診または触診で診察する
打診
- IMD 544
Nixon法
- 右側臥位とする
- 後腋窩線上を胸部から腹部に向かい打診する。
- 肺鼓音から濁音に変わった部位から左肋骨弓に直角に向かい打診をする。
- 正常では濁音界が6-8cmであるが、8cmを超えた場合異常と判断する。
Castell法
- 仰臥位とする
- 第8または第9肋間は正常では鼓音であるが、濁音であれば異常と判断する。
Traube法
- 左第6肋骨上縁と左中腋窩線および左肋骨弓に囲まれた部位を(トラウベ半月腔)という。
- 空腹時、通常の呼吸ではこの領域は鼓音であるが、濁音であれば異常と判断する。
検査
- 腹部エコー、腹部CT
- 腹部エコーで長径が10cmを超えると脾腫と判断しうる
鑑別疾患
病因による鑑別
- V 血管:全身性うっ血(心不全)、門脈系うっ血(肝硬変、門脈血栓症)
- I 感染症:細菌性心内膜炎、伝染性単核球症、結核、梅毒、エキノコックス、日本住血吸収症、マラリア
- N 血液悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病、骨髄線維症、慢性骨髄増殖症候群)
- D
- I
- C 血液系疾患(溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血、遺伝性球状赤血球症、サラセミア)、悪性貧血、特発性血小板減少性紫斑病)、免疫異常(関節リウマチ、フェルティ症候群、全身性エリテマトーデス)、蓄積病(ムコ糖質蓄積など)、嚢胞性疾患
- A
- T
- E
病態による鑑別疾患
- 脾臓は巨大なリンパ器官と考えられるために、原因は組織を考えれば鑑別を挙げることが容易となる。
治療
[★]
- 英
- dendritic cell DC, dendritic cells
- 同
- 樹枝状白血球、プロフェッショナル抗原提示細胞 professionalantigen-presenting cell、プロフェッショナルAPC professional APC
- 関
樹状細胞の種類
- 上皮に存在し抗原を捕獲し、所属リンパ節に移動してT細胞に抗原提示
- class II MHCとT-cell costimulatory moleculesを有する
- リンパ節ではparacortixに存在(WCH.422)
- リンパ節や脾臓の胚中心に存在する。(WCH.422ではfollicleに存在すると)
- Fc受容体や補体の受容体を有する
- IgGや補体が結合した物質を捕獲し、リンパ濾胞のB細胞に抗原提示し、secondary antibody responseを促進する
サイトカイン (SMB.44)
NK細胞や樹状細胞にインターフェロンγを産生させるサイトカインを分泌
[★]
- 英
- parasympathetic nervous system (KL)
- ラ
- pars parasympathica
- 関
- 自律神経系、交感神経系。副交感神経
- 脳幹:CN III, CN VII, CN IX, CN X
- S2-S4
[★]
- 英
- inferior mesenteric artery (Z), IMA
- ラ
- arteria mesenterica inferior
- 関
- 上腸間膜動脈
起始
走行
分布
枝
腹腔動脈
|
foregut
|
前腸に由来する臓器(食道下部、胃、十二指腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、脾臓 stomach to proximal duodenum; liver, gallbladder, pancreas
|
上腸間膜動脈
|
midgut
|
distal duodenum to proximal 2/3 of transverse colon
|
下腸間膜動脈
|
hindgut
|
distal 1/3 of transverse colon to upper portion of rectum
|
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
-IMA
[★]
- 英
- postsplenectomy infection
- 関
- 脾臓摘出後重症感染症 overwhelming postsplenectomy infection OPSI
[★]
- 英
- splenectomy、splenectomize
- 関
- 脾摘出術、脾摘出、脾摘
[★]
- 英
- postsplenectomy sepsis, PSS
[★]
- 英
- spleen cell、spleenocyte