- 英
- chronic myeloid leukemia chronic myelogenous leukemia chronic myelocytic leukemia CML
- 関
- 白血病、染色体異常
- 血液・造血器 081030I
- first aid step1 2006 p.294,303,304,309,310,
概念
- 造血幹細胞に遺伝子的な変異が生じ、正常な分化能を保持したまま腫瘍性に増殖し、特に顆粒球系の血球の増殖をきたす。
- 白血球は著増、血小板は増加するが、赤血球は正常もしくは減少する。
- 慢性に経過するが、急性転化(blastic crisis)により急性白血病と同様の病態をとりうる。
検査
- 赤血球:→or↓
- 白血球:↑↑↑
- 血小板:↑ → 急性転化例では↓
- 好中球アルカリホスファターゼ:低値
- NAPスコア:低下 → 急性転化例では↑
- 血清ビタミンB12、LDH、尿酸、リゾチーム:高値 → 白血球の破壊による
- 白血病裂孔:なし → 分化能は保たれているため
- 染色体:Ph染色体の出現
- → 急性転化例では複数のPh染色体、環状Ph1、形態異常をきたしたPh染色体の出現がみられる(QB.G247)。頻度:複数のPh染色体の出現>トリソミー>17番同腕染色体>19トリソミー?(+19) (WCH.2243)。染色体の変化は血液学的な変化に数ヶ月先だって起こるが、必ずしもblast crisisに繋がるわけではない(WCH.2243)。急性転化例の2/3では骨髄性、1/3でリンパ性にtransformationする。後者の場合、MPO染色陰性、PAS染色陽性、B細胞表面抗原の発現(多くの場合CD10,CD19を発現し,sIgは欠く)、TdT発現(抗体の遺伝子再構成における多様性付与に関与)。(WCH.2243)
治療
- イマチニブが第一選択となる。適応があれば同種幹細胞移植。
治療に用いる薬物・治療法
- イマチニブ
- 自己幹細胞移植:?
- 同種幹細胞移植
- 白血球除去(leukapheresis)・脾摘
- インターフェロンα:イマチニブが登場する前は、同種幹細胞移植ができない症例において治療の選択肢の一つであった。
- ヒドロキシウレア:。インターフェロンと併用して使われる。代謝拮抗薬。DNA合成を阻害する。骨髄抑制、二次発癌は稀。
- シタラビン:Ara-CTPとなり、DNA合成過程のシチジン二リン酸(CDP)還元酵素やDNAポリメラーゼを阻害
慢性期
- 参考2
移行期
- 参考2
急性期
- 参考2
- 1. myeloid crisisに対してはAML、lymphoid crisisに対してはALLに対する寛解導入療法に準じた化学療法を行う。
- 2. 同種幹細胞移植
国試
参考
- http://www.gan-pro.com/professional/cancer/child-leukemia/chronic-myelogenous-leukemia.html
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/01 13:22:58」(JST)
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慢性骨髄性白血病 |
FISHにより検出されたフィラデルフィア染色体
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
C92.1 |
ICD-9 |
205.1 |
ICD-O |
M9875/3 |
DiseasesDB |
2659 |
MedlinePlus |
000570 |
MeSH |
D015464 |
慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう Chronic myelogenous leukemia ,CML)とは、造血幹細胞の遺伝子が後天的に変異して、造血細胞が分化・成熟能を保ったまま自律的な増殖をし、血液において白血球や時に血小板が増加する血液腫瘍である。
目次
- 1 発生率と疫学
- 2 症状と血液・骨髄の検査所見
- 3 病態生理
- 4 病期
- 5 治療
- 6 予後
- 7 出典
- 8 参考文献
- 9 外部リンク
発生率と疫学
慢性骨髄性白血病は年間に100万人あたり10-15人程度発生しすべての白血病(年間10万人あたり6人程度)の約2割を占める[1]。男性にやや多く(女性の1.3-2.2倍)発症年齢の中心値は45-55才であるが、小児白血病の中ではわずか5%を占めるだけであり、青年層も発症はするが中年以降により多く見られる[2]。慢性骨髄性白血病は、慢性リンパ性白血病と違い、人種による発症率の差は無い[1]。
症状と血液・骨髄の検査所見
慢性骨髄性白血病の最初の病期であり患者の85%を占める慢性期では自覚症状に乏しいが、自覚することがある症状としては、慢性骨髄性白血病は脾腫を伴うことが多いので腹部膨満は比較的見られる自覚症状である。他には腹痛、倦怠感などがあることもあり、稀には発熱や出血、貧血なども見られることもある。しかし多くの患者では顕著な症状は無く、健康診断で白血球数の増多を指摘されて初めて受診し発見されることが多い。[3]。病期が進行し移行期から急性期になると骨髄は芽球が占拠し末梢血にも芽球があふれ、急性白血病と類似する諸症状(白血球減少による高い発熱を伴う感染症、血小板減少による易出血状態、赤血球減少による貧血の諸症状、各種臓器への白血病細胞の浸潤に伴う諸症状)が現れる。
慢性期の慢性骨髄性白血病の血液では白血球が著明に増加し(半数以上の患者では10万個/μl以上、基準上限値の10倍以上になる)、血小板も増加していることが多い。貧血は多くはないが、ヘモグロビン (Hb) 値が10g/dl以下のはっきりした貧血も20%の患者で見られる[2]。
増加している白血球は、好中球、好塩基球、好酸球であるが、特に好中球と好塩基球の増加は顕著である。好塩基球は一般には白血球の1%以下しかない稀な種類の白血球であるが、慢性骨髄性白血病では一番初期、他の血球に先んじて好塩基球が増加し始め、慢性期を通じて好塩基球は著明な増加を見せる[要出典]。好塩基球の増加が慢性骨髄性白血病の極めて特徴的な所見である。好塩基球に続いて好中球が増加し(元々白血球では一番多い種類だが)膨大な数になるが、好中球は顕微鏡観察では一見正常に見えるが、アルカリフォスファターゼ (NAP) 活性が著明に低下し、他の白血球増多症との重要な鑑別点となっている[3]。
骨髄では明白な過形成(細胞が増加し通常より高密度になっている状態)で骨髄系細胞(主として好中球・好塩基球・好酸球の幼若球)と赤血球の幼若球である赤芽球の数量の比(M:E比)は10:1-30:1と極端に骨髄系細胞に偏っている。それに加えて巨核球も通常は増加している。造血をしている正常な骨髄はおよそ半分は脂肪であるが、慢性骨髄性白血病では血液細胞が著増するので脂肪分はほとんど見られなくなる[3]。
病態生理
フィラデルフィア染色体として知られる染色体転座による遺伝子の後天的異常と明白に関連すると捉えられた最初の病気であった。フィラデルフィア染色体の名前は1960年代にペンシルベニア州フィラデルフィアの2人の研究者によって発見されたことに由来する。(9番染色体と22番染色体)各長腕の転座により、22番染色体上のBCR (breakpoint cluster region) と9番染色体のABL各遺伝子領域が複合し、融合(キメラ)遺伝子BCR-ABLを生じる。この産物である融合タンパクBCR-ABLは、恒常的に活性化されたチロシンキナーゼであり、JAK-STAT系等を介してアポトーシス抑制遺伝子BCL-XLの転写を促進するなど細胞の不死化を引き起こす。さらに、この融合タンパクはDNA修復を禁止するので、ゲノムが不安定となり、細胞は更なる遺伝子的異常を引き起こしやすくなる。フィラデルフィア染色体が検出される(陽性)細胞が骨髄芽球系かリンパ芽球性かでやや病態が異なり、後者はより難治性とされる。
病期
しばしば臨床的特徴と検査所見に基づいて3つの段階に分けられる。一般的には慢性期に始まり、数年間をかけて移行期へと移行し、最終的には急性転化期に陥る。急性期の身体状態は急性白血病と同様な振舞を示す。
- 慢性期(Chronic Phase, CP)
- 患者のおよそ85パーセントが診断時にこの段階である。この時期は、患者はほとんど無症状であるか、あっても軽度の疲労感や脾腫及び肝腫大による満腹感程度である。治療が行われない場合、数年で移行期や急性期に移行する。
- 慢性期においては、骨髄及び末梢血中の芽球の割合は10%未満である。
- 移行期(Accelerated Phase, AP)
- 移行期は急性期へ悪化する前段階であり、芽球の増加がみられ、末梢血中または骨髄中の芽球が10%以上20%未満の状態である。
- 急性期(Blast Phase, BP)
- 正常な造血機能が著しく障害されている段階であり、身体症状は急性骨髄性白血病に類似する。末梢血中または骨髄中の芽球は20%以上となり、髄外造血(転移)がみられることもある。芽球は骨髄球系・リンパ球系のどちらもとりうるが、骨髄球系が多い。
治療
第1世代のチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) イマチニブメシル酸塩(商品名グリベック)が2001年以来長く使われ長期の使用データも蓄積され、広く使用されている。イマチニブによっておよそ90%の患者が寛解を得て通常の社会生活を送ることができるが、一部に治療の初期または中途からイマチニブに治療抵抗性となる場合があり、イマチニブに抵抗性のある慢性骨髄性白血病患者には第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) が開発され効果をしめしている(ただし、数十種類あるBCR-ABLたんぱく質の小変異の内、T315I BCR-ABLと呼ばれるATP結合部位のアミノ酸残基トレオニンがイソロイシンに変異したタイプのものは、イマチニブにも第二世代のTKIにも抵抗性であり、移植治療が推薦される[4])
第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬は現在2種類が使用可能である。
- ニロチニブ(ニロチニブ塩酸塩水和物、商品名タシグナ)のBCR-ABLの阻害効果はイマチニブの約20倍強力である。
- ダサチニブ(ダサチニブ水和物、商品名スプリセル)2009年1月に承認された。
現在、実用化されている3種の分子標的薬以外にもbosutinib、bafetinib(INNO-406, NS-187)などの新薬が開発段階にある。Bafetinibは日本で創薬されたチロシンキナーゼ阻害薬であり期待されている。
移行期や急性期に移行した場合、あるいはチロシンキナーゼ阻害薬に耐性をもった場合、チロシンキナーゼ阻害薬が最初から効きにくいサブタイプなどの慢性骨髄性白血病に対しは骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植が重要な治療法となる。
予後
初発慢性期
チロシンキナーゼ阻害薬が登場する以前の治療では初発慢性期であっても10年生存率は約25%に過ぎなかったが、イマチニブの登場により8年での全生存率は85%[5]と、血液悪性疾患の中では驚異的な成績を見せている。 イマチニブ不耐用・抵抗性の初発慢性期に対する第2世代チロシンキナーゼの成績は、ニロチニブで4年の全生存率78%[6]、ダサチニブで3年の全生存率87%[7]である。しかしT315I変異を有する例では、依然としてチロシンキナーゼ阻害薬登場以前と同程度の予後である。
移行期・急性期
慢性期にはきわめて有効であったイマチニブも、移行期においては4年生存率は45%[8]まで低下する。一方、第2世代チロシンキナーゼの成績は、ニロチニブで1年の全生存率は79%[9]、ダサチニブで3年の全生存率は82%[10]である。ただし同期間の無増悪生存率は低く(73%[9]と66%[10])、生存曲線も平坦化していない。
急性期においては、イマチニブ単独での1年全生存率は22%しかない。ニロチニブで20%前後の寛解を得たと報告されている(生存率は記載なし)[11]が、ニロチニブは日本では急性期に対する適応は無い。ダサチニブは適応があるが、単剤での全生存中央値は骨髄球系で11.8か月、リンパ球系で5.3か月[12]である。
出典
- ^ a b 押味『WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.22
- ^ a b 浅野『三輪血液病学』p.1460
- ^ a b c 浅野『三輪血液病学』p.1463
- ^ 薄井「白血病幹細胞を標的とする薬剤開発」
- ^ アメリカ血液学会(ASH) 2009. #1126
- ^ Giles FJ (2013). “Nilotinib in imatinib-resistant or imatinib-intolerant patients with chronic myeloid leukemia in chronic phase: 48-month follow-up results of a phase II study.”. Leukemia 27 (1): 107-112. doi:10.1038/leu.2012.181. Epub 2012 Jul 5.. PMID 22763385.
- ^ R. M. Stone (2009). “Dasatinib dose-optimization study in chronic phase chronic myeloid leukemia (CML-CP): Three-year follow-up with dasatinib 100 mg once daily and landmark analysis of cytogenetic response and progression-free survival (PFS)”. J Clin Oncol. (ASCO Annual Meeting Proceedings (Post-Meeting Edition). http://meeting.ascopubs.org/cgi/content/abstract/27/15S/7007?sid=25e08255-1a04-43d6-8c0b-20055251d162.
- ^ Silver RT (2009). “Sustained durability of responses and improved progression-free and overall survival with imatinib treatment for accelerated phase and blast crisis chronic myeloid leukemia: long-term follow-up of the STI571 0102 and 0109 trials.”. Haematologica 94 (5). doi:10.3324/haematol.2009.006999.. PMID 19407320.
- ^ a b le Coutre P (2008). “Nilotinib (formerly AMN107), a highly selective BCR-ABL tyrosine kinase inhibitor, is active in patients with imatinib-resistant or -intolerant accelerated-phase chronic myelogenous leukemia.”. Blood 111 (4): 1834-1839. PMID 18048643.
- ^ a b Apperley JF (2009). “Dasatinib in the treatment of chronic myeloid leukemia in accelerated phase after imatinib failure: the START a trial.”. J Clin Oncol. 27 (21): 3472-3479. doi:10.1200/JCO.2007.14.3339.. PMID 19487385.
- ^ F. J. Giles (2008). “Nilotinib in patients with Philadelphia chromosome-positive chronic myelogenous leukemia in blast crisis (CML-BC) who are resistant or intolerant to imatinib”. J Clin Oncol. (ASCO Annual Meeting Proceedings (Post-Meeting Edition). http://meeting.ascopubs.org/cgi/content/abstract/26/15_suppl/7017.
- ^ Cortes J (2008). “Efficacy and safety of dasatinib in imatinib-resistant or -intolerant patients with chronic myeloid leukemia in blast phase.”. Leukemia 22 (12). doi:10.1038/leu.2008.221.. PMID 18754032.
参考文献
書籍
- 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6
- 阿部 達生 編集『造血器腫瘍アトラス』改訂第4版、日本医事新報社、2009年、ISBN 978-4-7849-4081-3
- 大野 竜三 編集『よくわかる白血病のすべて』永井書店、2005年、ISBN 4-8159-1736-1
- 小川聡 総編集 『内科学書』Vol.6 改訂第7版、中山書店、2009年、ISBN 978-4-521-73173-5
- 押味和夫 監修『WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』中外医学社、2009年、ISBN 978-4-498-12525-4
- 杉本恒明、矢崎義雄 総編集 『内科学』第9版、朝倉書店、2007年、ISBN 978-4-254-32230-9
論文
- 薄井 紀子「白血病幹細胞を標的とする薬剤開発」『最新医学』Vol.66 No.3、最新医学社、2011.3
外部リンク
- JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)
- 国立がんセンター・がん情報サービス、慢性骨髄性白血病・慢性骨髄増殖性疾患
- CMLステーション ノバルティス ファーマ株式会社
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 各科臨床のトピックス 慢性骨髄性白血病の治療の変遷
- 慢性骨髄増殖性疾患の白血病幹細胞 (癌幹細胞と検査医学)
- 薬剤経済学の真髄(第36回)がんの薬剤経済分析(4)慢性骨髄性白血病
Related Links
- 慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう Chronic myelogenous leukemia ,CML)とは、造血幹細胞の遺伝子が後天的に変異して、造血細胞が分化・ 成熟能を保ったまま自律的な増殖をし、血液において白血球や時に血小板が増加する 血液 ...
- 2006年10月1日 ... 慢性骨髄性白血病は、慢性期、移行期、急性期(急性転化)に分けられます。慢性期の 場合は無症状であるため、現在は健康診断で偶然に発見されることが多くなっています 。急性白血病と異なり、初診時に貧血症状、感染症、出血傾向を合併 ...
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- 6歳2か月の男児。発熱を主訴として来院した。
- 現病歴: 1週前から元気がなく、時々38℃台の発熱が現れるようになった。
- 発育歴・既往歴: 妊娠経過は異常なく、40週に自然分娩で出生した。出生体重2,960g。Apgarスコア4点(1分)、8点(5分)。目齢3から光線療法を24時間受けた。新生児期から特異な顔貌があり、生後1か月ころに精密検査を受けた。1歳時の身長74cm、体重9kg。首のすわり4か月、つかまり立ち13か月、ひとり歩き23か月。まだボタンをうまく掛けられず、ひとりで靴を履けない。まねをして丸は書くが、四角は書けない。
- 家族歴: 父42歳、母41歳。両親と10歳の姉とに特記すべき疾患はない。
- 現症: 身長106cm、体重18kg。体温38.0℃。脈拍100/分、整。血圧110/54mmHg。顔の写真を以下に示す。 皮膚に発疹を認めない。第5指が短い。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に発赤はない。右側頸部に径約1.5cmのリンパ節を2個触知するが、圧痛はない。胸骨左線第2肋間に2/6度のやわらかい収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を触知する。深部腱反射は正常である。
- 検査所見: 血液所見:赤血球303万、Hb8.7g/dl、Ht26%、白血球4,600(桿状核好中球1%、分葉核好中球8%、単球6%、リンパ球63%、異常細胞22%)、血小板8万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン3.7g/dl、総ビリルビン0.5mg/dl、AST29IU/l、ALT15IU/l、LDH820IU/l(基準176~353)、Fe55μg/dl、TIBC 320μg/dl(基準240~310)。CRP6.1mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E029]←[国試_101]→[101F001]
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- 59歳の男性。易疲労感と発熱とを主訴に来院した。2か月ほど前から易疲労感を自覚していた。2週前に感冒様症状と37℃前後の微熱とを自覚し自宅近くの診療所で投薬を受けたが改善しなかった。身長 169cm、体重 66kg。体温 37.5℃。脈拍 92/分、整。血圧 118/72mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。頸部、腋窩および鼠径部の表在リンパ節を触知しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫や紫斑を認めない。血液所見:赤血球 202万、Hb 6.9g/dL、Ht 19%、網赤血球 0%、白血球 59,400(桿状核好中球 10%、分葉核好中球 1%、単球 0%、リンパ球 5%、異型細胞 86%)、血小板5万。血液生化学所見:総蛋白 5.7g/dL、アルブミン 3.5g/dL、AST 34IU/L、ALT 45IU/L、LD 756IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 19mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、Fe 134μg/dL。骨髄染色体検査では46,XYであった。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 16A)とペルオキシダーゼ染色標本(別冊No. 16B) とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I052]←[国試_110]→[110I054]
[★]
- 53歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。6か月前の健康診断で白血球増加を指摘されたが放置していた。1か月前から倦怠感を感じるようになり、上腹部違和感も出現した。意識は清明。体温36.5℃。脈拍84/分、整。血圧136/76mmHg。表在リンパ節の腫大はない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。左上腹部は軽度膨隆し、左肋骨弓下に脾を6cm触知する。血液所見:赤血球380万、Hb10.8g/dl、Ht33%、白血球56,000、血小板47万。血清生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素16mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、尿酸8.6mg/dl、総コレステロール156mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、AST48IU/l、ALT32IU/l、LDH380IU/l(基準176~353)、Na140mEq/l、K4.8mEq/l。CRP0.8mg/dl。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G033]←[国試_101]→[101G035]
[★]
- 57歳の男性。発熱と倦怠感を主訴に来院した。1か月前に右頸部腫瘤に気付いた。2週間前から38℃台の発熱と倦怠感をきたし、軽快しないため受診した。右頸部に径1.5cmのリンパ節を3個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長 170cm、体重 68kg。体温 37.4℃。脈拍 100/分、整。血圧 132/90mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 98%(room air)。血液所見:赤血球 210万、Hb 7.4g/dL、Ht 23%、白血球 16,000(異常細胞 60%)、血小板 5万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 23)を別に示す。骨髄細胞の染色体分析では正常男性核型であった。異常細胞のペルオキシダーゼ反応は陰性。表面マーカー解析ではCD19 陽性、CD20 陰性、CD33 陰性、TdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)陽性であった。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D053]←[国試_113]→[113D055]
[★]
- 56歳の男性。倦怠感と腹部膨満感とを訴えて来院した。6か月前から左上腹部の重圧態を自覚し、少量の摂食で満腹となるようになった。顔色は不良で、るいそうがある。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を5cm触知し、いずれも弾性硬で圧痛はない。血液所見:赤血球320万、Hb 9.5 g/dl、Ht31%、網赤血球13‰、白血球23,000(前骨髄球0.5%、好中性骨髄球3.0%、好中性後骨髄球3.5%、桿状核好中球13.0%、分葉核好中球55.0%、好酸球2.0%、好塩基球3.0%、単球4.0%、リンパ球16.0%、赤芽球5個/100白血球)、血小板57万。好中球アルカリホスファターゼスコア320(基準120~320)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095G032]←[国試_095]→[095G034]
[★]
- 40歳の女性。動悸と息切れとを主訴に来院した。 10日前から月経出血が止まらず、出血量もこれまでより多かった。さらに数日前から階段を昇るときに息切れと動悸とを感じるようになった。脈拍96/分、整。血圧120/78mmHg。皮膚は蒼白で前胸部と下腿とに点状出血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平盤、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 250万、Hb 7.5g/dL、Ht 24%、網赤血球 3%、白血球 8,800(骨髄球1%、桿状核好中球9%、分葉核好中球55%、好酸球1%、単球9%、リンパ球25%)、血小板3,000。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.6A、B)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D026]←[国試_105]→[105D028]
[★]
- 68歳の男性。白血球数増加の精査を目的に来院した。4年前から風邪をひきやすくなった。右頸部に径1.5cmのリンパ節1個と左肘部に径2cmのリンパ節1個とを触知する。脾を左肋骨弓下に4cm触知する。血液所見:赤血球 302万、Hb 9.2g/dL、Ht 30%、白血球 30,500(桿状核好中球 3%、分葉核好中球 3%、単球 6%、リンパ球 88%)、血小板 19万。血液生化学所見:IgG 320mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 34mg/dL(基準 110~410)、IgM 46mg/dL(基準 65~350)。末梢白血球表面抗原はCD5、CD20及びCD23が陽性である。血清蛋白電気泳動でM蛋白を認めない。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 28)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A059]←[国試_112]→[112A061]
[★]
- 38歳の男性。1か月前からの腹部膨満感と全身倦怠感とを主訴に来院した。 3年前に慢性骨髄性白血病と診断され通院治療を受けていた。しばしば治療を中断し、前回の受診は半年前である。半年で体重が5kg減少した。身長168cm、体重53kg。体温36.8℃。眼瞼結膜に貧血を認める。腹部は軽度膨隆し、右肋骨弓下に肝を6cm、左肋骨弓下に脾を10cm触知する。血液所見:赤血球280万、Hb8.2g/dl、 Ht 30%、白血球98,000(桿状核好中球5%、分業核好中球25%、好塩基球4%、好酸球1%、単球3%、リンパ球18%、芽球44%)、血小板11万。骨髄に芽球を45%認める。末梢血塗沫May-Giemsa染色標本(別冊No.20)を別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A052]←[国試_105]→[105A054]
[★]
- 56歳の男性。全身倦怠感と腹部膨満とを主訴に来院した。6か月前から左上腹部の重圧感を自覚し、少量の摂食でも満腹になった。顔色は不良でるいそうを認める。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を5cm触知し、いずれも弾性硬で圧痛はない。血液所見:赤血球320万、Hb9.5g/dl、Ht31%、網赤血球1.3%、白血球23,000(前骨髄球2%、骨髄球3%、後骨髄球3%、桿状核好中球13%、分葉核好中球55%、好酸球1%、好塩基球3%、単球4%、リンパ球16%、赤芽球4個/100白血球)、血小板62万。好中球アルカリホスファターゼスコア312(基準120~320)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D046]←[国試_102]→[102D048]
[★]
- 70歳の男性。定期健康診断で検査値の異常を指摘されたため来院した。 1年前に脳梗塞の既往がある。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。
- 血液所見:赤血球468万、 Hb13.9g/dl、 Ht42%、白血球12,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板250万。骨髄検査では線維化を認めず、染色体は正常核型である。末梢血塗抹may-giemsa染色標本(別冊No. 5A)と骨髄生検のH-E染色標本(別冊No. 5B)とを別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A026]←[国試_106]→[106A028]
[★]
- 70歳の男性。健診で検査値の異常を指摘されたため来院した。1年前に脳梗塞の既往がある。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球 12,300(桿状核好中球 30%、分葉核好中球 45%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 17%)、血小板 253万。染色体は正常核型である。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 20A)と骨髄生検のH-E染色標本(別冊No. 20B)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A047]←[国試_112]→[112A049]
[★]
- 21歳の男性。38℃台の発熱と倦怠感とを主訴に来院した。眼瞼結膜は貧血様である。頸部に小指頭大のリンパ節を数個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。血液所見:赤血球 210万、Hb 7.4g/dL、Ht 23%、白血球 16,000(異常細胞 60%)、血小板6万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 5)を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I041]←[国試_111]→[111I043]
[★]
- 46歳の男性。全身倦怠感、発熱および左季肋部違和感を主訴に来院した。 4年前に慢性骨髄性白血病の慢性期の診断で 1年間イマチニブ治療を受けていた。その後3年間受診せずそのままにしていた。末血血液検査で白血球 30,400、骨髄芽球が56%であった。末血白血球 bcr/abl FISH法検査の写真 (別冊 No. 9)を別に示す。
- 4年前と比較し、現在の患者の所見として考えられるのはどれか。
- a 脾腫の縮小
- b 血小板数増加
- c 骨髄細胞数減少
- d 染色体付加異常の出現
- e 好中球アルカリフォスファターゼ低値
[正答]
※国試ナビ4※ [108A028]←[国試_108]→[108A030]
[★]
- 57歳の男性。38℃台の発熱と倦怠感とを主訴に来院した。頭部に小指頭大のリンパ節を数個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。血液所見: 赤血球 210万、Hb 7.4g/dl、Ht 23%、白血球 16,000(異常細胞60%)。血小板 5.6万。異常細胞のペルオキシダーゼ反応は陰性。骨髄塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.10)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I050]←[国試_104]→[104I052]
[★]
- 29歳の男性。発熱と全身倦怠感とを訴えて来院した。体温37.8℃。四肢に紫斑の散在を認める。リンパ節腫脹はなく、肝と脾とを触知しない。血液所見:赤血球203万、Hb 6.5 g/dl、Ht 20 %、白血球16,300、血小板1.3万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D032]←[国試_095]→[095D034]
[★]
- 造血器腫瘍細胞の染色体検査写真 (別冊 No. 3)を別に示す。この異常を生じるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D011]←[国試_108]→[108D013]
[★]
- Philadelphia染色体を認めるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B037]←[国試_095]→[095B039]
[★]
- チロシンキナーゼ阻害薬が適応である疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D016]←[国試_111]→[111D018]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096B034]←[国試_096]→[096B036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109I016]←[国試_109]→[109I018]
[★]
- poly(多) + cyt(細胞) + mia(血症) vera(真性?)
- ラ
- polycythemia vera PCV PV
- 同
- 真性赤血球増加症、真性赤血球増多症
- オスラー病 Osler disease,オスラー・ワーケ病 オスラー-ヴァケー病 Osler-Vaquez disease,ヴァケー病 Vaquez disease
- 関
- 骨髄増殖性疾患(MPD)
概念
- 慢性骨髄増殖性疾患の一つ。
- 多能性血液幹細胞の腫瘍性増殖により、赤血球数の絶対的増加と循環赤血球量の増加を呈する。
- 赤血球の他に、白血球、血小板も増加するが、リンパ球は増加しない。
病因
- 多能性幹細胞の異常により、血球が腫瘍性に増殖することが原因とされる。
疫学
- 新患発生数:100万人対2人/年
- 50-60歳に多い。
症状
- 循環赤血球量の増加 → 循環血液量の増加+血液粘稠度の亢進:循環障害による頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、知覚異常、呼吸困難など → 高血圧、狭心症・心筋梗塞、間欠性跛行
- 血球の増加:脾腫(70%の症例)、赤ら顔(口唇、頬部、鼻尖、耳) →肝臓や脾臓の腫大は髄外造血による
- 骨髄
- ヒスタミンの放出:皮膚の掻痒感、消化性潰瘍
- 尿酸の放出増加:高尿酸血症 → 痛風
検査
- 赤血球:増加
- 白血球:増加
- 血小板:増加
- リンパ球:正常
血液生化学
遺伝子検査
特殊検査
- 循環赤血球量:増加(男性36 mL/kg以上、女性32 mL/kg以上) ← RIを使うはず
骨髄穿刺
鉄代謝
診断
- インスリン様成長因子Iに対する感受性の亢進、Bcl-2ファミリーに属するBcl-XLの発現亢進、エリスロポエチン受容体の発現パターンの異常、トロンボポエチン受容体の発現低下、チロシンホスファターゼの発現異常、エリスロポエチン受容体遺伝子の異常
診断基準
2008年WHOによる真性多血症診断基準
|
大基準
|
1. Hb>18.5g/dl(男性)、>16.5/dl(女性) もしくは 年齢、性別、住居している緯度から換算したHbかHtが9.9%以上増加している もしくは Hb>17g/dl(男性)、>15g/dl(女性)で鉄欠乏性貧血などの改善以外にHbが本人の基準値よりも2g/dl以上持続上昇している もしくは 赤血球数が予想値の25%を超えて上昇している
|
2. Jak2V617Fかもしくは同様の変異が存在する
|
小基準
|
1. 骨髄の3系統が増生を示す
|
2. 血清エリスロポイエチンがおおよそ正常値を示す
|
3. 内因性の赤芽球コロニー形成を認める
|
鑑別診断
治療
- 治療目標:生命予後は良好であり、10年生存率は50%異常が期待できる。合併症となる血栓症の予防が主眼となる。
- 瀉血:Ht 42-47% ← 血管閉塞症の頻度が低下する
- 血圧や脈拍の経過を見ながら月1-2回、1回200-400ml程度で行う。
- 高齢者や心血管障害を有する例では1回100-200ml頻回の瀉血が望ましい
- 抗血栓療法:血栓症の既往、もしくはリスクが高いときには抗血小板薬を処方。
- 抗癌薬投与:ヒドロキシウレアが第一選択で、不応例や不耐例の場合はルキソリチニブ。以前は40歳以上ではブスルファンとされていた。
- 放射性同位体:32P
- 高尿酸血症を有する場合にはフェブリクやアロプリノールを処方。
血栓症リスク
- Barbui T, et al.(J Clin Oncol. 2011 ; 29 : 761)
リスク分類
|
予後因子
|
低リスク
|
年齢<60歳、かつ血栓症の既往なし
|
高リスク
|
年齢≧60歳、または血栓症の既往がある
|
予後
- 生存は平均6-10年。5年生存率約75%, 10年生存率約55%
- 主な死因は、消化管出血や脳血管障害
長期生存
- 25%の症例で骨髄線維症へ移行
- まれに急性白血病を発症。32Pによる治療を受けた患者に多い
USMLE
- Q book p.245 32
- first aid step1 2006 p.278
国試
参考
- 総論 - 造血器腫瘍診療ガイドライン - 造血器腫瘍診療ガイドライン
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron
- PV瀉血療法後のHt目標値を45%にすることは勧められるか
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#cq7
- 真性多血症の治療ガイド - ノバルティスファーマ株式会社
http://product.novartis.co.jp/jak/tool/JAK00193GG0002.pdf
[★]
- 英
- gastrointestinal stromal tumor GIST ジスト ギスト, gastrointestinal stromal tumors GISTs
- 同
- 平滑筋芽細胞腫 leiomyoblastoma
- 関
- 胃腸間質性腫瘍、粘膜下腫瘍
[show details]
概念
- 食道(ほとんどなし)・胃(60-70%)・小腸(20-30%)・大腸(5%)などの消化管の固有筋層にできる
- カハール介在細胞由来とされる
- 胃の弓隆部から体上部に多い。幽門部ではほとんどなし
疫学
病理
gloss appearance
- 辺縁なだらか(bridging fold)。delle(腫瘍頂部のくぼみ)。
[show details]
免疫組織学的所見
- 異常KIT蛋白の発現(90%異常)
- 異常PDGFRαの発現(5%)
組織型
- BP.625
- 1. 平滑筋に分化する腫瘍
- 2. 神経に分化する腫瘍
- 3. 混合型の腫瘍
- 4. これらの系統へに分化しない腫瘍
進展形式
転移
- 原発巣を切除後20年以上に転移が見られることがある。
|
腫瘍径
|
腫瘍細胞分裂像数*
|
超低リスク
|
<2cm
|
<5/50HPF
|
低リスク
|
2~5cm
|
<5/50HPF
|
中リスク
|
<5cm
|
6~10/50HPF
|
5~10cm
|
<5/50HPF
|
高リスク
|
>5cm
|
>5/50HPF
|
>10cm
|
Any Mitotic Rate
|
Any Size
|
>10/50HPF
|
*:高倍率視野50視野当たりの細胞分裂を示す腫瘍細胞数
|
HPF:High-Power Field(400倍率)
|
Christopher DM et al : Hum Pathol 33 : 459-465, 2002
|
治療
外科治療
外科治療の原則
- 1. 切除可能GISTの治療の第一選択は外科的完全切除。
- 2. 偽被膜を損傷することなく外科的に安全なマージンを確保,肉眼的断端陰性とする。
- 3. 原則として臓器機能温存を考慮した部分切除が推奨される。
- 4. 予防的或いは系統的リンパ節郭清術は不要である。
- 5. 肉眼的断端が陽性の場合,追加切除を考慮すべきである。
- 6. イマチニブの術前使用に当たっては,病理組織学的にGISTであること,1ヵ月前後での早期のイマチニブ有効性の確認が必要である。 (アルゴリズム6.臨床試験段階の治療)
内科治療
参考
- http://www.jsco-cpg.jp/item/03/index.html
- https://gist.jp/
国試
[★]
- 英
- interferon interferons IFN
- 商
- オーアイエフ、IFNβモチダ、アドバフェロン、アボネックス、イムノマックス-γ、イントロンA、スミフェロン、フエロン、ベタフェロン、ペガシス、ペグイントロン
概念
- サイトカインの一種で抗ウイルス作用、免疫修飾作用、抗増殖活性を有する。(GOO.1261)
種類
- ウイルスに感染して誘導され、強い抗ウイルス作用を有する
- 非ウイルス誘導性
表(SMB.426)
各インターフェロンについて
- GOO.1261
- ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 意義:ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 産生細胞:ほとんど全ての細胞
- 産生のトリガー:二本鎖RNA、ある種のサイトカイン(IL-1, IL-2, TNF)
- 作用:抗ウイルス作用、抗増殖作用:(1) リンパ球、NK細胞、およびマクロファージの細胞障害作用の亢進、(2) MHC class Iの発現の亢進作用 ← 抗ウイルス活性
- 意義:マクロファージの活性化
- 産生細胞:T細胞、NK細胞、マクロファージのみ!
- 産生のトリガー:抗原刺激、mitogen、特定のサイトカイン
- 作用:抗ウイルス作用は弱い。強力な免疫調整作用:(1) マクロファージの強力な活性化、(2) MHC class IIの発現の亢進、(3) 局所炎症反応の仲介(madiation)
インターフェロンの抗ウイルス作用
- インターフェロンをシグナルとして受け取った細胞は以下の物質を産生して抗ウイルス作用を発揮する。
適応
副作用
[★]
- 英
- interferon-α-2b IFN-α-2b
- 同
- インターフェロンアルファ-2b
- 商
- イントロンA、ペグイントロン
効能又は効果
- イントロンA
- 次のいずれかのC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
- (1) 本剤単独の場合
- 1) 血中HCV RNA量が高値ではない患者
- (2) リバビリンとの併用の場合
- 1) 血中HCV RNA量が高値の患者
- 2) インターフェロン製剤単独療法で無効の患者又はインターフェロン製剤単独療法後再燃した患者
禁忌
- イントロンA
- 1. 本剤又は他のインターフェロン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2. ワクチン等生物学的製剤に対して過敏症の既往歴のある患者
- 3. 小柴胡湯を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 4. 自己免疫性肝炎の患者[自己免疫性肝炎が悪化することがある。]
重大な副作用
- イントロンA
- (1)間質性肺炎(0.1~5%未満)、肺線維症(0.1%未満)、肺水腫(頻度不明) → 副腎皮質ステロイド投与など
- (2)抑うつ・うつ病(0.1~5%未満)、自殺企図、躁状態(0.1%未満)、攻撃的行動(頻度不明) → 不眠、不安、焦燥、興奮、攻撃性、易刺激性等があらわれた場合には投与を中止
- (3)意識障害、興奮(頻度不明)、痙攣、見当識障害、せん妄、幻覚、妄想、統合失調症様症状、失神、認知症様症状(特に高齢者)、難聴(0.1%未満)、錯乱(0.1~5%未満) → 中止
- (4)自己免疫現象(0.1%未満) → 甲状腺機能異常、肝炎、溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、全身性エリテマトーデス、血管炎、フォークト・小柳・原田病、インスリン依存型糖尿病(IDDM)の増悪又は発症
- (5)溶血性尿毒症症候群(HUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(頻度不明)
- (6)糖尿病(0.1~5%未満) → 糖尿病[インスリン依存型(IDDM)及びインスリン非依存型(NIDDM)]の増悪・発症 → 糖尿病性ケトアシドーシス、昏睡
- (7)重篤な肝障害(頻度不明) → 中止
- (8)急性腎不全等の重篤な腎障害(頻度不明)
- (9)再生不良性貧血(頻度不明)、汎血球減少(0.1~5%未満)、無顆粒球症、白血球減少(2,000/mm3未満)、血小板減少(50,000/mm3未満)(頻度不明)
- (10)ショック(0.1%未満)
- (11)心筋症(頻度不明)、心不全(0.1%未満)、心筋梗塞(頻度不明)、狭心症(0.1%未満)
- (12)不整脈(0.1~5%未満)
- (13)消化管出血(下血、血便等)、消化性潰瘍(0.1%未満)、虚血性大腸炎(頻度不明)
- (14)脳出血(0.1%未満)
- (15)脳梗塞(頻度不明)
- (16)敗血症(0.1%未満) → 易感染性
- (17)網膜症(0.1~5%未満) →網膜出血や糖尿病網膜症の増悪に注意
- (18)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)
- (19)横紋筋融解症(頻度不明)
国試
[★]
- 英
- eosinophilia
- 同
- 好酸球増加症、好酸球増加、好酸球増多症、好酸球性白血球増加症 eosinophilic leukocytosis
- 関
- 好酸球
[show details]
定義
- 好酸球増加症
好酸球増多をきたす疾患
QB.G-240
医学辞書
pocket medicine
誰も教えてくれなかった 血算の読み方・考え方
寄生虫疾患:旋毛虫症、条虫症、回虫症、日本住血吸虫症、肺吸虫症、ジストマ症、アニサキス症、フィラリア症
参考
- http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/030828html/index_2.html
[★]
- 英
- atypical chronic myeloid leukemia
- 関
- 慢性骨髄性白血病
[show details]
[★]
- 英
- accelerated-phase chronic myeloid leukemia
- 関
- 移行期慢性骨髄性白血病、移行期骨髄性白血病
[★]
- 英
- accelerated-phase chronic myeloid leukemia
- 関
- 慢性骨髄性白血病移行期
[★]
- 英
- atypical chronic myeloid leukemia
- 同
- aCML
[★]
- 英
- bone marrow (Z)
- ラ
- medulla ossium
- 関
- 骨髄組織
分類
性状
細胞成分の過少
造血
加齢変化
- 6歳以後は加齢とともに脂肪化が進み、黄色骨髄が増加
- 長管骨の末端から黄色骨髄に置換されていく。成人では脊椎骨、胸骨、肋骨などで造血が起こる
- 乏血、低酸素状態では黄色骨髄が赤色骨髄に置換され、造血ができるようになる。
[★]
- 英
- leukemia
- 関
- 造血器腫瘍
- see 白血病まとめ.xls, 造血器腫瘍マップ.ppt
疫学
- 小児:ALL > AML >>> CML, CLL(小児では無) ← 急性型が多い
分類
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患
[★]
- 英
- myeloid、myelogenous
- 関
- 骨髄、骨髄球性、ミエロイド
[★]
- 英
- chronicity
- 関
- 慢性的、慢性型