フィブリノゲン
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フィブリン(fibrin、繊維素または線維素)は血液の凝固(血液凝固)に関わるタンパク質である。繊維状タンパク質で、傷などが原因となって血小板とともに重合し、血球をくるみこんで血餅を形成する。止血や血栓形成の中心的な役割を担っている。
フィブリンによる血液凝固の仕組み 上段に示したフィブリノーゲンが、トロンビンの作用により中段のようにフィブリン・ポリマーとして重合する。さらに第VIII因子の作用により青い線で示した架橋構造が追加され、より強固な安定化フィブリンとなる。
血液凝固[編集]
フィブリンは、分子量約330,000のフィブリン・モノマーが重合した繊維素である。肝臓で合成され、血漿中に溶解している糖タンパク質である前駆体、フィブリノーゲン (fibrinogen) からフィブリン・モノマーが作られる。血液の液体成分である血漿に占めるフィブリノーゲンの割合は 0.2% から 0.4% である。フィブリノーゲンは、3種類、合計6本のポリペプチド鎖が架橋構造によって連結された構造を採っており、分子量は約34万である。
血液凝固のシステムは複雑で、様々な経路が存在するが、いずれも最終的には、プロトロンビンが活性化されてセリンプロテアーゼの1種であるトロンビンとなり、トロンビンがフィブリノーゲンの各鎖のC末端から計4つのペプチドを切りだす。この状態を特にフィブリン・モノマーと呼ぶ。
フィブリン・モノマーはさらにカルシウムの作用によって互いに重合して難溶性のフィブリン・ポリマーに、さらに第XIII因子(フィブリン安定化因子)の作用でフィブリン・ポリマー間の架橋結合がなされることで安定化フィブリンと呼ばれるメッシュ状の繊維となり血液凝固を引き起こす。広義にはフィブリン・モノマー以降を、狭義には安定化フィブリンを「フィブリン」と呼ぶ。
出血を防止するための止血システムであるが、血管内膜が傷害されると同様のメカニズムにより、血管内で局所的な血液凝固が生じ、血栓を形成する。また、細菌などの異物が侵入した際に顆粒球が放出するヒスタミンにより血管透過性が上昇すると血漿中のフィブリノーゲンが組織に漏出し、炎症を生じて血液凝固を引き起こす。これは侵入した異物を拡散させず難溶性繊維素の中に封じ込める効果と局所的な血流阻害作用により細菌の拡散を防ぐ役割を演じていると考えられている。
線維素溶解[編集]
フィブリンが長時間血管内に存在すると血流障害等を引き起こし、生体にとって不利益になる。これを分解するのがプラスミンという蛋白分解酵素である。プラスミンはその前駆物質であるプラスミノーゲンの形で血中に存在し、フィブリンに吸着される性質を持つ。プラスミノーゲンにカリクレインやプラスミノーゲン活性化因子が作用し、限定分解されることでプラスミンに転化しフィブリンの分解を行う。活性型プロテインCは、プラスミノーゲン活性化因子の組織から血中への遊離を促進し、血栓溶解に関与する。好酸球は、フィブリン形成部位に集まる性質があり、繊溶促進物質を内包していることが知られている。また、フィブリン溶解は血中のみならず様々な分泌腺においても溶解する必要があるため、尿、胆汁などの分泌液にもプラスミノーゲン活性化因子が含まれる。特に尿中のプラスミノーゲン活性化因子であるウロキナーゼは血栓溶解剤として製品化されている。
関連項目[編集]
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Japanese Journal
- 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール 羊水腔への出血のため正常血小板数にもかかわらず低フィブリノゲン血症を呈した1症例
- フィブリノゲンの細胞内生成・分泌におけるBβ鎖D領域454-458残基の重要性
Related Links
- 世界大百科事典 第2版 フィブリノーゲンの用語解説 - 血液凝固の際の主要な因子。血漿(けつしよう)中に0.2~0.4%含まれている糖タンパク質で,繊維素原とも呼ばれる。分子量は約34万で,α,β,γ鎖と呼ばれる3種のポリペプチド鎖 ...
- フィブリノーゲンは,血漿中の凝固因子として初めてその存在が確認されたもので,国際凝固因子命名委員会の発見順の番号化により第Ⅰ因子と命名された。フィブリノーゲンは分子量約34万の糖蛋白であり肝(実質)細胞で産生され,およそ ...
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★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I014]←[国試_103]→[103I016]
[★]
- 英
- platelet (Z), blood platelet (Z), PLT
- 同
- 栓球 thrombocyte
- 関
- 血小板血栓。血小板数 platelet count PLC
- GOO. 1468(血小板凝集 platelet aggregation)
- 半減期:1週間(異常値の出るメカニズム第2版)。4日 (SP.505)。
- 寿命:10日
- 体積:5-10 fl
- 直径:2-5μm。
- 無核。
基準値
- 15万 - 40万 /μl (2007前期解剖学授業プリント, SP.505)
- 15万 - 35万 /μl (2007前期生理学授業プリント, PT.233)
新生児
- 出典不明
産生組織
- トロンボポエチンにより巨核球の細胞質がちぎれて血流に放出される (SP.505)
貯蔵組織
組織学
- P-セレクチンを膜上に持つ
- フィブリノーゲン、フィブロネクチン、第V因子、第VIII因子、platelet factor 4、PDGF、TGF-α (BPT.89)
- ADP、ATP、Ca2+、ヒスタミン、セロトニン、エピネフリン (BPT.89)
機能 (SAN.236-237)
1.一次止血
- TXA2,セロトニンは血管収縮作用
- ADP, TXA2,セロトニンは血小板凝集
- 血小板のGpIIb/GpIIIa複合体がフィブリノゲンと結合し編み目を形成
2.血液凝固の促進
3.毛細血管機能の維持
- 毛細血管内皮細胞に融合し血管内皮を補強している → 血小板減少により点状出血を来すことになる。
膜タンパク
血小板減少による症状
- 5-10万 :症状なし-やや止血しにくい程度
- 2-3万 :下肢に点状出血 (→皮下出血)
- 1万以下 :粘膜出血→臓器出血の危険あり
検査
- 抗凝固剤としてEDTAを用いた場合、EDTA依存性偽血小板減少をきたすことがある。
臨床関連
数の異常
機能の異常
[★]
- 英
- fibrinogen, Fbg Fib
- 同
- 凝固第I因子 第I因子 factor I、フィブリノーゲン、線維素原
- 商
- フィブリノゲンHT
- 関
- フィブリン、血液凝固因子、血液凝固
- トロンビンより分解を受け、フィブリンモノマーを生じる。
- 肝臓で産生さて、血漿中に存在
- 340kDa
- 血中半減期:3-4日
機能
分解されるまでの過程
- フィブリンやフィブリノゲンはプラスミンにより分解されフィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)となり、網内系で処理される。
フィブリノゲンの量に影響を与える要素
減少
- 産生の低下
- 出血に対する止血による消費
- プラスミンによる分解な
増加
- (急性相反応性物質)炎症(感染症など)、悪性腫瘍
- 妊娠
フィブリノゲンの解釈
低値
- 先天性疾患(先天性の低フィブリノゲン血症、フィブリノゲン異常症、無フィブリノゲン血症)
- 後天性疾患(重症肝臓疾患:産生低下、播種性血管内凝固(DIC):消費亢進)
高値
[★]
- 英
- albumin (Z), Alb ALB
- 関
- グロブリン、フィブリノーゲン、血清タンパク分画、アルブミン/グロブリン比, A/G
- (臨床検査)血清アルブミン、(輸血製剤)アルブミン製剤
概念
- 最も多い血漿タンパク質
- 69kDa
- pI=4.9なので、生体内では負に帯電。
- 半減期:15-20日
基準値
- 4.9-5.1g/dl(流れが分かる実践検査マニュアル上巻 p.12)
- HIM.Appendix
- Female : 4.1–5.3 g/dL
- Male : 4.0–5.0 g/L
QB
産生
- 組織:肝臓(hepatocyte)(15g/day)
- 調節:炎症性サイトカインの存在下で産生が抑制される
機能
- PT.234
薬理学
- albumin is a major carrier ofr acidic drugs (GOO.7)
- basic drug→α1-acid glycoprotein
臨床関連
[★]
- 英
- globulin (Z)
- 商
- ヴェノグロブリン、ガンマーグロブリン、ガンマガード、ガンマグロブリン、グロブリン、グロベニン、サイモグロブリン、サングロポール、ゼットブリン、テタノセーラ、テタノブリン、テタノブリンIH、ヒスタグロビン、ベニロン、ヘパトセーラ、ヘブスブリン、ヘブスブリンIH、ポリグロビン、乾燥HBグロブリン、乾燥はぶ抗毒素、乾燥まむし抗毒素、抗Dグロブリン、抗D人免疫グロブリン、抗HBs人免疫グロブリン、破傷風グロブリン
- 関
- アルブミン、フィブリノーゲン
機能 (PT.234)
- α1-グロブリン
- α2-グロブリン
- ビタミンやホルモンを運搬
- α2-グロブリンの一種であるハプトグロビンは溶血により生じたヘモグロビンを捕捉し、尿細管の閉塞を防ぐ
- βグロブリン
- γグロブリン
[★]
- 英
- coagulase
- 関
- ブドウ球菌
- プロトロンビンに結合して複合体のままトロンビン活性を発揮させ、フィブリノゲンをフィブリンに変換させる作用
- フィブリンの網を作り、食細胞の貪食を免れたり、血液の流れを止め病巣と作ったりするのに役立つと思われる。
[★]
- 英
- fibrinogen deficiency
- 関
- 無フィブリノーゲン血症、フィブリノゲン欠乏症
[★]
- 英
- afibrinogenemia
- 関
- フィブリノーゲン欠乏症、無フィブリノゲン血症
[★]
- 英
- hypofibrinogenemia
- 関
- 低フィブリノゲン血症
[★]
- 英
- abnormal fibrinogen
- 関
- 異常フィブリノゲン