- 英
- pernicious anemia, PA
- 同
- アジソン貧血 Addison anemia、アジソン・ビールメル貧血 Addison-Biermer anemia, Addisonian anemia
- 関
- 貧血、巨赤芽球性貧血
概念
- 巨赤芽球性貧血の中の分類の一つ
- 悪性貧血は内因子の欠如に伴うコバラミンの障害吸収による貧血と定義される
- 実際には、内因子を産生する壁細胞の喪失を伴う自己免疫疾患である。
- アジソン病患者は、悪性貧血の場合と同じような萎縮性の胃炎を示すが、内因子の分泌は続く
病因
疫学
徴候
- 毛髪:(若年の場合)白髪
- 舌 :疼痛、発赤、乳頭萎縮
- 眼 :眼球結膜の黄癬
- 皮膚:黄染、蒼白
- 循環器:蒼白、頻脈
- 消化器:食欲不振、下痢
- 神経:しびれ感、腱反射の減弱、位置覚・振動覚の減弱
神経症状
検査
- macrocytosis with hypersegmented neutrophils
- 大球性性貧血、大球性高色素性貧血
- 好中球:過分節()。好中球数減少
- 血小板数減少
参考
uptodate
- 1. [charged] ビタミンB12および葉酸欠乏症の病因および臨床症状 - uptodate [1]
- 2. [charged] ビタミンB12および葉酸欠乏症の診断および治療 - uptodate [2]
- 3. [charged] 化生(慢性)萎縮性胃炎 - uptodate [3]
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/30 11:45:54」(JST)
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悪性貧血 (あくせいひんけつ)とは、胃粘膜の萎縮による内因子の低下によりビタミンB12が欠乏することで生じる貧血。巨赤芽球性貧血の一種。
目次
- 1 概念
- 2 病態
- 3 原因
- 4 症状
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 8 予後
- 9 脚注
|
概念[編集]
胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害されるために起こる。内因子の欠乏は他にも胃全摘後などにも起こるが、悪性貧血と呼ばれるのは萎縮性胃炎によるものだけである。「悪性」と呼ばれるのはビタミンB12が発見されるまでは治療法がなく致死的な経過をたどったため。
病態[編集]
回腸末端には内因子受容体が存在し、ビタミンB12は内因子と複合体を形成することで吸収されやすくなる。そのため、内因子が欠乏するとビタミンB12の吸収が低下し、DNAの合成が障害されて無効造血となる。無効造血となるのは赤血球のみならず白血球なども同様であるため、汎血球減少をきたすこともある。
原因[編集]
最も一般的に(温帯気候においては)、内因子によるビタミンB12の結合障害の原因は、タンパク質である内因子が自己免疫の攻撃を受けてビタミンB12と結合できなくなるのと同様に壁細胞も自己免疫によって攻撃されて結果的に消滅していく自己免疫性萎縮性胃炎によるものである[1]。
それほど多くはないが壁細胞の喪失は、ヘリコバクター・ピロリへの感染も含めた長期間にわたる慢性胃炎を患っている高年齢者に良く見受けられるような自己免疫以外のものに起因して大きく広がった萎縮性胃炎の結果の一部でもありうる。
悪性貧血以外のビタミンB12欠乏症の診断は、巨赤芽球性貧血の診断の有無によって判定されることになる。巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害され、正常な赤芽球が産生されず異常な巨赤芽球が産生されるために起こる悪性貧血である。[2]。例えば、巨赤芽球生貧血を引き起こし悪性貧血と誤診されるビタミンB12欠乏症は、ビタミンB12を宿主と競争して吸収する寄生虫であるサナダムシの寄生のような例しか考えられない[3]。
同様のビタミンB12の吸収障害は、胃全摘手術かルーY系腸縫合のような胃バイパス手術の特殊な外科手術の場合に起こりうる。このような場合には、胃が極めて少量の食事しか保持できないか、残された胃が機能しないかのいずれかの結果となる。それゆえ胃粘膜がもはや機能しなくなり内因子が生成できなくなる。 ビタミンB12を吸収を促進する胃内因子が分泌されないため、悪性貧血が結果として引き起こされるのである。胃バイパス手術や胃切除の患者は、悪性貧血の予防の観点からビタミンB12の注射や鉄剤の経口投与が行われる。
症状[編集]
- 他の貧血と同じく息切れや易疲労感などを呈する。
- 舌乳頭の萎縮、発赤を伴うハンター舌炎となる。
- 振動覚や位置覚の低下、知覚障害、深部腱反射亢進、意識障害、認知症様症状などのさまざまな症状を呈する。
検査[編集]
- MCVが高値、MCHCが正常値を示す大球性正色素性貧血となる。白血球や血小板も減少し、汎血球減少となる。過分葉好中球が増加する。
- 過形成であり、巨赤芽球、巨大後骨髄球、多核巨核球などを認める。
- 無効造血により細胞内の物質が血液中に出るため、間接ビリルビン、LDH、リゾチームの上昇、ハプトグロビンの低下を認める。ビタミンB12は低値となる。ビタミンB12の不足によりメチルマロニルCoAからスクシニルCoAへの代謝が障害されるため、メチルマロン酸が増加する。
- 造血自体は亢進するものの無効造血のために鉄が十分利用されないことを反映して、血漿鉄消失時間の短縮、血漿鉄交替率の上昇、赤血球鉄利用率の低下を認める。
- 抗内因子抗体や抗壁細胞抗体陽性。
- 胃液の分泌が低下する。
- 胃粘膜の萎縮を認める。
- 放射性ビタミンB12(57Co-VB12)を経口投与して非放射性ビタミンB12を筋注し、尿中の放射性ビタミンB12の活性を調べる試験。正常なら7%であるが、悪性貧血ではビタミンB12の消化管での吸収が障害されているために5%以下となる。内因子を同時に投与すれば尿中放射性ビタミンB12活性は正常値となる。
診断[編集]
貧血に加えて神経症状、ハンター舌炎、大球性貧血、汎血球減少、過分葉好中球といった所見が認められる場合に疑う。ビタミンB12の低下、抗内因子抗体陽性、シリング試験、内視鏡での胃粘膜の萎縮などの所見があればほぼ確定する。葉酸欠乏性貧血との鑑別のためにビタミンB12や葉酸を試験的に投与することはあるが、葉酸の投与は神経症状を増悪させることがあるため注意が必要である。
治療[編集]
ビタミンB12の非経口投与を行う。内因子が存在しなくても微量ながらビタミンB12は腸管から吸収されるため、大量経口投与を行う場合もある。
予後[編集]
適切な治療を行えば貧血は回復する。しかしながら神経症状は貧血と比べ回復が遅く、非可逆的となることがあるため早期発見・治療が重要となる。
脚注[編集]
- ^ Gastritis, Atrophic - eMedicine
- ^ “Megaloblastic Anemia: Overview - eMedicine Hematology”. 2009年2月7日閲覧。
- ^ Diphyllobothrium latum Infection - eMedicine
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 巨赤芽球性貧血 (特集 日常診療でみられる血液異常と血液疾患)
- 症例報告 悪性貧血や亜急性脊髄連合変性症がなく,認知症,失調性歩行を呈したビタミンB12欠乏の1例
- A型胃炎の経過観察中に関節リウマチを合併し橋本病を疑われた1例
- 中尾 絵美子,光永 篤,濱野 徹也,白戸 美穂,白戸 泉,西野 隆義
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 107(12), 1927-1932, 2010-12-05
- … 59歳女性.上部消化管内視鏡検査と血清学的検査で最初にA型胃炎(自己免疫性胃炎)と診断,甲状腺自己抗体も陽性であり橋本病疑いと考えられた.さらに1年後に関節リウマチと診断された.これまで悪性貧血を別にすると,A型胃炎の合併症は胃カルチノイドや胃癌が特に注目されてきたが,今回われわれは本症例を通じ,自己免疫性甲状腺疾患をはじめとするその他の自己免疫疾患の合併について検討したため,文 …
- NAID 10027700591
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- 悪性貧血とはビタミンB12が欠乏して起こる貧血です。鉄欠乏性貧血が鉄の欠乏 によって起こるのと同様に、ビタミンB12もまた赤血球を造るのに必要な物質です。昔は 原因が不明で治療法がなかったため、死に至る病気として恐れられていた貧血です。今 では ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 32歳の女性。皮膚の出血斑を主訴に来院した。5か月前から誘因なく肩や膝に径2~3cmの皮下出血斑が出現するのに気付いた。2週前から歯磨きで血がにじんだり、入浴時に強くこすった部位に点状出血斑がでるようになった。常用薬はない。貧血、黄疸、リンパ節腫大および肝脾腫を認めない。血液所見:赤沈15mm/1時間、Hb10.5g/dl、白血球4,500、血小板2万、網赤血球15‰。プロトロンビン時間(PT)95%(基準80~120)、APTT33秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン243mg/dl(基準200~400)、FDP10μg/ml以下(基準10以下)。血清生化学所見に異常はない。免疫学所見:CRP陰性、抗核抗体陰性、直接Coombs試験陰性。骨髄穿刺所見:有核細胞数は正常。巨核球は増加しているが異型細胞を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D034]←[国試_096]→[096D036]
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- 57歳の男性。[動悸]]を主訴に来院した。半年前に早期胃癌の診断で幽門側胃切除術を受けた。術後、 1回の食事量を少なくしてよくかんで食べるように心掛けていた。徐々に体調も良くなり、 3か月前から食欲も増して食事量も多くなってきた。 2か月前から時々、気分が悪くなり冷や汗が出て、胸がどきどきするようになった。症状は食後 2~ 3時間で出現し、 30~40分ほど持続して消失する。症状出現時に間食を摂ると症状は軽快する。運動時の胸痛や食後の胸やけはないが、心配になり受診した。既往歴は早期胃癌以外に特記すべきことはない。脈拍 72/分、整。血圧 138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
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- 54歳の男性。腋窩と頚部との皮膚のざらつきと痒みとを主訴に来院した。腋窩部の写真と腋窩部皮疹の病理組織H-E染色標本とを以下に示す。基礎疾患として考えられるのはどれか。2つ。
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[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D068]←[国試_099]→[099D070]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111G018]←[国試_111]→[111G020]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
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[正答]
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[正答]
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[★]
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[正答]
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[★]
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[★]
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[正答]
※国試ナビ4※ [111B062]←[国試_111]→[111C002]
[★]
[★]
- 英
- splenomegaly
- 関
- 脾臓
定義
- 脾臓が腫大した状態(250以上(正常は90-120g))
- 脾の大きさは長径と重量がよく相関し、超音波診断では長径×短径(SI スプリーンインデックス)が脾腫の指標となる。
- 正常の2倍程度となると脾腫として左季肋部で診察可能となる
- 慢性骨髄増殖症候群、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、遺伝性溶血性貧血、フェルティ症候群、マラリアでは巨大脾腫を認める。
頻度
- 急性ウイルス感染の約50%、銃声細菌感染症の約20%、慢性肝疾患の50-70%、溶血性貧血で約70%、血液造血器疾患で約40%に出現する。(IMD.544)
症状
- ほぼない。
- 胃か圧排するほど大きくなれば、胃の膨満感が出現しうる。
診察
- 仰臥位で右季肋部を触診
- 小児では触れても良いが、健常成人では触れない。触れたら異常である。
- 臍まで脾臓を脾臓を触知できる場合を特に巨脾という。
- 打診または触診で診察する
打診
- IMD 544
Nixon法
- 右側臥位とする
- 後腋窩線上を胸部から腹部に向かい打診する。
- 肺鼓音から濁音に変わった部位から左肋骨弓に直角に向かい打診をする。
- 正常では濁音界が6-8cmであるが、8cmを超えた場合異常と判断する。
Castell法
- 仰臥位とする
- 第8または第9肋間は正常では鼓音であるが、濁音であれば異常と判断する。
Traube法
- 左第6肋骨上縁と左中腋窩線および左肋骨弓に囲まれた部位を(トラウベ半月腔)という。
- 空腹時、通常の呼吸ではこの領域は鼓音であるが、濁音であれば異常と判断する。
検査
- 腹部エコー、腹部CT
- 腹部エコーで長径が10cmを超えると脾腫と判断しうる
鑑別疾患
病因による鑑別
- V 血管:全身性うっ血(心不全)、門脈系うっ血(肝硬変、門脈血栓症)
- I 感染症:細菌性心内膜炎、伝染性単核球症、結核、梅毒、エキノコックス、日本住血吸収症、マラリア
- N 血液悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病、骨髄線維症、慢性骨髄増殖症候群)
- D
- I
- C 血液系疾患(溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血、遺伝性球状赤血球症、サラセミア)、悪性貧血、特発性血小板減少性紫斑病)、免疫異常(関節リウマチ、フェルティ症候群、全身性エリテマトーデス)、蓄積病(ムコ糖質蓄積など)、嚢胞性疾患
- A
- T
- E
病態による鑑別疾患
- 脾臓は巨大なリンパ器官と考えられるために、原因は組織を考えれば鑑別を挙げることが容易となる。
治療
[★]
- 英
- vitamin B12
- 同
- コバラミン cobalamin
- 商
- アリチア配合
- 関
- シアノコバラミン、悪性貧血、ビタミン、メチルコバラミン
吸収
- 食物(コバラミン+蛋白質)→胃(コバラミン)+壁細胞が分泌する糖タンパク;内因子→コバラミン-内因子複合体→回腸 (SP.742)
- 回腸上皮細胞の刷子縁膜にコバラミン-内因子複合体に特異的なレセプターが存在 (SP.742)
- 細胞内ではβグロブリン(トランスコバラミン II)と結合して血中に入り組織に運ばれる (SPC.280, SPC.742)
部位: ビタミンB12は回腸。 葉酸は空腸。 鉄も空腸、ついでに十二指腸でも。
機能
- コバラミン依存の酵素は全部で十数種ある。コバラミン依存の酵素は分子内転移、メチル転移を触媒 (FB.387)
- 正常ミエリンの維持 (SPC.280)
- 葉酸の代謝(葉酸は核酸代謝に関わっている) (SPC.280)
- 奇数脂肪酸の酸化 (FB.386)
- メチルマロニルCoAムターゼの補酵素(奇数脂肪酸の酸化)
補酵素
必要量
- 一日の消費量(排泄):1-3ug (体の貯蔵量の-0.1%) (HIM.643)
- 体に貯蔵されてる量:2-3mg → 摂取しなくとも3-4年は欠乏しない
基準値
- 260-1,050pg/ml(192-775pmol/ml)
判定
低値
- 悪性貧血(内因子抗体、壁細胞抗体?)
- 胃切除後
- 萎縮性胃炎
- 吸収不良をきたす病態:クローン病、セリアック病、吸収不良症候群
高値
- 血液疾患:顆粒球増加を示す疾患 ← 顆粒球由来のビタミンB12輸送蛋白(トランスコバラミン?)が増加するため(QB.G-257)、崩壊した白血球から放出するため(YN.G-53)
臨床関連
[★]
- 英
- jaundice (prejndiceと似ている?), choloplania
- ラ
- icterus
- 関
- ビリルビン、新生児黄疸
- 基準値:総ビリルビン(TB) 0.2-1.2 mg/dl
- 総ビリルビンが2.0 mg/dl を超えると肉眼的に黄疸が認められる
黄疸の原因 (内科診断学 第2版)
- 同
- jaundice
- 同
- 付録16
[★]
- 英
- macrocytic anemia
- ラ
- anaemia macrocytica
- 関
- 貧血
- 巨赤芽球性貧血、大赤血球性貧血
- 平均赤血球容積 MCV
定義
- MCV*が正常値より大きい貧血、すなわちMCVが100を超えるような貧血をいう。すなわちMCV≧101の場合である。
原因
- ビタミン欠乏:アルコール多飲者
- 葉酸欠乏 → 巨赤芽球性貧血
- ビタミンB12欠乏 → 巨赤芽球性貧血
- 溶血性貧血
- 網状赤血球増加症:造血が亢進する際に見られる
- 肝硬変
- 骨髄異形成症候群
- 再生不良性貧血
診断
- 日本内科学会雑誌 2015年07月号
- 低下有り→巨赤芽球性貧血
- (自己抗体あり):悪性貧血、胃切除後貧血
- (自己抗体なし):回腸疾患、吸収不良症候群、腸内細菌叢異常
- 低下無し→非巨赤芽球性貧血
- (網状赤血球増加有り):溶血性貧血、出血性貧血
- (網状赤血球増加無し):アルコール中毒、肝疾患、甲状腺機能低下症、薬剤性。(いずれも否定的ならば骨髄検査を)骨髄異形成症候群、赤芽球癆
[★]
- 英
- extramedullary hematopoiesis extramedullary hemopoiesis
- 同
- 髄様化生 myeloid metaplasia
- 関
- 骨髄外造血
- 脾臓(YN.G-55) → 脾腫大をきたす
- 肝臓、リンパ節
- 副腎、軟骨、靱帯、脂肪組織、胸腔、腎、骨膜
-
- 乳幼児:持続的かつ高度な血球産生、胎児赤芽球症(胎児溶血性疾患)
- 成人 :慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症)
- 幼若細胞を造血部位にとどめておくことができないため、末梢血に幼弱な細胞が出現する。
- 赤芽球、幼若顆粒球、巨核球など
[★]
- 英
- bothriocephalus anemia
- 関
- 条虫貧血
[★]
- 英
- anemia
- 同
- 貧血症
- 関
- 慢性疾患による貧血 anemia of chronic disease ACD
定義(2007前期生理学プリント、WHOの貧血判定基準)
|
Hb(g/dl)
|
Ht(%)
|
男性
|
13
|
39
|
女性
|
12
|
36
|
高齢者・乳幼児・妊婦
|
11
|
33
|
ヘモグロビンと貧血症状
- 8 g/dl :急性貧血で症状が出る
- 7 g/dl :慢性貧血で症状が出る
- 5 g/dl :心雑音
- 3 g/dl :生命の危険
病因
臨床検査
- 一つの赤血球の平均の大きさが分かる
臨床検査に基づく分類
- 正球性貧血
- 小球性貧血
- 大球性貧血
- 低色素性貧血
- 正色素性貧血
貧血の鑑別 (文献不明)
スクリーニングによる貧血の鑑別 (OLM.80)
- Fe↓、UIBC↑、フェリチン↓:鉄欠乏性貧血、慢性出血、慢性体内溶血。体内での鉄の絶対量が不足
- Fe↓、UIBC↓、フェリチン↑:慢性感染症、慢性炎症。細網系では鉄が増加しているが(フェリチン↑)、末梢に鉄を放出できず(Fe↓)、トランスフェリンも減少している(UIBC↓)
身体所見
USMLE
貧血と低酸素血症
- 貧血とは血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態であり、一方、低酸素血症は単位体積あたりの酸素分圧が低下してる状態である。PaO2低下すなわちSpO2の低下に相当すると考えてみよう。貧血ではヘモグロビン濃度は少なくても、その少ないヘモグロビンの各々は十分に酸素化されるため、SpO2は低下しない。ただし、ヘモグロビンの絶対量が少ないために、末梢組織に届ける酸素の量が少なくなるだけなのである。(cf. 101B071)
臨床
- MCVで検査項目を絞っていくが、病態が複雑な場合はMCVによる絞り込みが意味をなさないことがある。commonな貧血から除外していく。
- 1. 血算、網状赤血球、フェリチン、鉄、UIBC、葉酸、ビタミンB12
- 2. 銅、亜鉛
- 3. 赤沈、血液像
- 4. 抗核抗体、抗dsDNA抗体、ハプトグロビン、免疫電気泳動(血液)、蛋白分画、IgG,IgA,IgM、C3c、C4、CH50、エリスロポエチン
- 5. 抗SS-A抗体、抗Sm抗体、ループスアンチコアグラント、抗カルジオ抗体、抗CLGPI抗体、抗RNA抗体、PR3-ANCA、MPO-ANCA、直接クームス検査
- 6. リンパ球サブセット、PNH(CD55,CD59)
[★]
- 英
- blood, (漢方)blood and body fluid energy
- 関
- 血液、血中
[★]
- 英
- malignant、pernicious、malignantly