- 英
- slapped cheek disease, slap cheek, infectious blushing
- ラ
- erythema infectiosum
- 同
- リンゴ病、第五病 fifth disease、
- 関
- B19ウイルス
特徴
- 発疹。骨髄赤芽球前駆体への親和性
- 発症前にウイルスが排出されるため感染予防が難しい。
- 2-7歳の幼児に多く。発熱。
- 成人では症状は出にくい:赤い紅斑はない。関節痛や関節炎が起きやすい。
疫学
病原体
潜伏期間
感染経路
症状
- 小児に多い
- 顔面に紅斑が出現し、四肢に網状紅斑が広がる
- レース状紅斑
合併症
経過
- 7-10日:発熱、カゼ様症状。鼻汁、血液、咽頭よりウイルス検出
- 9日:リンパ球減少
- 10-15日:網状赤血球現象。ヘモグロビン減少。IgM・IgG↑。カゼ様症状消失
- 18日頃:発疹。関節炎
検査
予防
- ワクチンなし
- 妊婦は、流行期には小児の多い場所へは近づかない。
- 参考2
- 経胎盤感染
- 妊娠初期(妊娠20週未満):約30%が経胎盤感染し、その1/3が胎児水腫に移行する。すなわち伝染紅斑に罹患した母の10%で胎児水腫(非免疫性胎児水腫)が見られる。
- 妊娠20週以降:母子感染はないとされる。
- 病態生理:貧血に対する心臓の代償的な心拍出量増加がおこるが、ついには代償機構が破綻し心不全(左心不全→右心不全)に至る。
- 胎児に対する検査:(超音波検査)MCA上昇、腹水・胸水・心嚢水の貯留
参考
- http://idsc.nih.go.jp/iasr/19/217/tpc217-j.html
- 2. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌61巻12号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6112-625.pdf
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伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)とは、ヒトパルボウイルスB19による感染症である。リンゴ病という通称がよく知られている。
目次
- 1 原因
- 2 歴史
- 3 症状
- 4 鑑別診断
- 5 診断
- 6 合併症
- 6.1 一過性骨髄無形成発作
- 6.2 持続性感染
- 6.3 胎児水腫
- 7 治療・予防
- 8 脚注
- 9 関連項目
原因
ヒトパルボウイルスB19の初感染による(ウイルスについての詳細はパルボウイルスを参照のこと)。
感染経路は経気道的な飛沫感染である。ただし、ウイルスが排泄されるのは(免疫が正常の患者では)特徴的な発疹が出現するよりも1週間程度前までなので、伝染性紅斑の患者を隔離しても他者への感染予防にはならない。
歴史
1799年Robert Willanにより「非カタル性風疹」として初めて記述され、1889年、Anton Tachamerにより変異型風疹と報告されたが、1896年にTheodor Escherichによって風疹とは全く別の病態であると報告された後、1899年に伝染性紅斑と名付けられた。本邦では1912年に大多和與四郎らにより初めて報告された。
症状
- 潜伏期間5〜6日で血液中にウイルスが出現、気道分泌物への排泄が始まる。
- 成人では感染7日目ごろから発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛などの非特異的症状がみられるが、小児ではこれらの症状が欠けることが多い。数日で血液中のウイルスが消失し、非特異的症状も改善、ウイルスの排泄もみられなくなる。
- その後約1週間は無症状。
- 無症状期の期間を過ぎて後、発疹が出現する。まず両側の頬が発赤し、その後1〜4日で体幹・四肢にも紅斑(赤い、平坦な発疹)が出現する。体幹・四肢の紅斑はある程度まで大きくなると、中央から退色し、網目状の発疹(レース状皮疹と表現される)となるのが特徴的である。
- 小児では発熱などもほとんどみられず、発疹だけが出現して治癒していくことが多い。
- 一方成人では、頭痛、掻痒感、発熱、関節痛および関節炎、筋肉痛など多様な全身症状を伴う。
鑑別診断
顔面の蝶形紅斑、四肢の発疹に関節炎を伴うため、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの膠原病・膠原病類縁疾患との鑑別を要する。
診断
非特異的症状期に本症を診断することはほぼ不可能である。血中のウイルスDNAをPCRで検出できる可能性はあるが、そもそも非特異的症状期に本症を疑うこと自体が不可能なため、実用的でない。
発疹出現後は、特徴的な発疹が診断の決め手となる。経過によっては上記のような疾患を鑑別するための検査が必要になる。免疫正常者ではヒトパルボウイルスB19特異的抗体の測定を行い、IgM陽性では現在あるいは最近の感染が示唆される。一方IgG陽性は、かつてヒトパルボウイルスB19に感染し、免疫があることを意味している。
抗体産生不全を伴う免疫不全者では、抗体価測定が診断に役立たない。血中のウイルスDNAを検出する(PCRなど)必要がある。
合併症
一過性骨髄無形成発作
この症状は遺伝性球状赤血球症やサラセミアなどの溶血性貧血の患者にみられ、赤血球の産生が停止するために急激に貧血を来たす。約1週間程度で、赤血球の産生は再開され、ヘモグロビン値もその患者にとっての正常値に戻る。
持続性感染
先天性・後天性の免疫不全症や白血病患者など、免疫不全患者では慢性の貧血の原因となることがある。発疹が出ないことが多いため、診断には血中のウイルスの証明が必要である。
胎児水腫
ヒトパルボウイルスB19に免疫のない妊婦が初感染を受けた場合、胎盤を介して胎児も感染する。胎児はB19ウイルスを駆除できずに持続感染となり、非免疫性胎児水腫、心不全などの症状を来たす場合がある。時には胎児死亡に至る。特に妊娠初期・中期の感染が危険である。妊婦のB19感染が即胎児の異常に結びつくものではなく、B19感染が確認された新生児でも妊娠分娩の経過が正常・出生後の発育も正常であることが多い。さらに、生存児での先天異常は知られていない[1]。
治療・予防
- 特異的な治療方法はないが、基礎疾患がない患者では一般に予後は悪くない。関節症状が強い場合には鎮痛薬が必要となる。
- 一過性骨髄無形成発作では、濃厚赤血球の輸血が必要となることがある。
- 持続性感染による慢性貧血の場合、免疫グロブリン投与が必要となることがある。
- 胎児水腫に対する治療法はない。妊娠経過中から出生後の成長発達まで、慎重に経過を観察する。人工妊娠中絶は適応ではない。
- 2006年9月現在、ヒトパルボウイルスB19ワクチンは存在せず、能動免疫による予防は不可能。
- ヒトパルボウイルスB19の排泄時期は、特徴的な症状が出現するよりも1週間以上前であるため、隔離による伝播予防も困難である。妊婦は原因不明の発熱をしている患者に接触すべきではないが、小児ではウイルス排泄の時期に何も症状がないため、妊婦への感染予防も困難である。ワクチンの開発が望まれる。
脚注
関連項目
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 中東呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ (H5N1) - 鳥インフルエンザ (H7N9)
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
|
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- ウイルス性急性発疹症 (内科医がおさえておくべき皮膚科の基本) -- (内科医がまずおさえておくべき重要な皮膚疾患)
- 一目瞭然!目で診る症例 問題・解答 (日本内科学会専門医部会)
- 麻疹・流行性耳下腺炎・伝染性紅斑 (周産期診療指針2010) -- (産科編 合併症妊娠と感染)
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- 感染症の話トップページへ 2004年第23週号(2004年5月31日~6月6日)掲載 伝染性紅斑 伝染性紅斑(Erythema infectiosum)は第5病(Fifth disease)とも呼ばれ、頬に出現する蝶翼状 の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる ...
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- 更新日:2015年6月26日 伝染性紅斑の流行状況(東京都) 都民向け情報リーフレット(伝染性紅斑が警報レベルで流行しています) 1 伝染性紅斑とは 伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19による感染症です。皮膚の発しんを主 ...
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[★]
- 68 歳の男性。発熱と皮疹とを主訴に来院した。5日前から持続する38℃台の発熱と顔面、頸部および体幹を中心に紅斑が出現し、次第に拡大融合したために受診した。三叉神経痛に対し6週間前からカルバマゼピンを内服中であった。体温 38.6℃。脈拍 88/分、整。血圧 140/86mmHg。口腔粘膜と咽頭とに異常を認めなかった。頸部と鼠径部とに径2cmのリンパ節を2個ずつ触知した。肝・脾は触知しなかった。血液所見:赤血球 420万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球 16,000(桿状核好中球7%、分葉核好中球 49%、好酸球 23%、単球6%、リンパ球 12%、異型リンパ球3%)、血小板 34万。血液生化学所見:総ビリルビン 1.0mg/dL、AST 110U/L、ALT 345U/L、γ-GTP 250U/L(基準 8~50)、クレアチニン 1.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 3.1mg/dL、VCA-IgG抗体 陰性、抗EBNA抗体 陰性、抗ヒトヘルペスウイルス6IgG抗体価 20倍(基準10以下)。体幹部の写真(別冊No. 30)を別に示す。3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6IgG抗体価は1,280倍であった。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D058]←[国試_112]→[112D060]
[★]
- 3歳の女児。発熱と全身の皮疹を主訴に祖母に連れられて来院した。2日前から38℃台の発熱と顔面の紅斑が出現し、紅斑は昨日から全身に拡大したという。薬剤内服歴はない。体温 38.1℃。脈拍 132/分、整。血圧 96/58mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 98%(room air)。口囲と鼻周囲の紅斑とともに鱗屑、黄色痂皮を認める。びまん性紅斑は頸部、腋窩、腹部および鼠径部に高度である。患児は接触痛を訴え、元気がなく不機嫌である。頸部の紅斑には小水疱と小膿疱を伴う。眼粘膜と口腔粘膜とに異常を認めない。血液所見:赤血球 434万、Hb 12.1g/dL、Ht 35%、白血球 12,300、血小板 33万。免疫血清学所見:CRP 0.8mg/dL、ASO 230単位(基準 250以下)。顔面から胸部にかけての写真(別冊No. 7)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D023]←[国試_114]→[114D025]
[★]
- 1歳7か月の女児。脾腫の精査を目的に来院した。 1歳6か月児健康診査で脾腫を指摘された。出生後の発育と発達とは正常である。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部で肝を1cm、脾を4cm触知する。血液所見:赤血球 347万、Hb 8.7g/dl、Ht 27%、白血球 12,100、血小板 36万。血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dl、アルブミン 4.2g/dl、総ビリルビン 2.0mg/dl、AST 41IU/l、ALT 23IU/l、ALP 558IU/l(基準361-958)、ハプトグロビン 10mg/dl(基準19-170)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.17)を別に示す。
- 合併によって原疾患が急激に増悪する可能性があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D042]←[国試_105]→[105D044]
[★]
- 8歳の女児。発熱と発疹とを主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱、咽頭痛および咳があり、2日前から体を痛がっていた。四肢と顔面との皮膚は発赤し、細かな点状出血様の小発疹を多数認める。口の周囲は顔面と比べて蒼白である。舌はイチゴ状に乳頭が腫脹し、咽頭に暗赤色の発赤と点状出血とを認める。扁桃は発赤腫大し、表面に滲出物を認め、綿棒で表面をこすると膿性粘液が得られる。結膜に発赤を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I070]←[国試_102]→[102I072]
[★]
- 6歳の女児。昨日から微熱、咳嗽および鼻汁がみられ、ほぼ同時に全身に発疹が出現したため来院した。体温37.8℃。脈拍84/分。結膜はやや充血し、咽頭は軽度発赤している。発疹は粟粒大点状丘疹で顔面、頸部および胸腹部にみられる。耳後部に圧痛のあるリンパ節腫脹を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [100I036]←[国試_100]→[100I038]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H069]←[国試_098]→[098H071]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100G082]←[国試_100]→[100G084]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097H066]←[国試_097]→[097H068]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106A003]←[国試_106]→[106A005]
[★]
- 感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届出を行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D009]←[国試_111]→[111D011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I001]←[国試_103]→[103I003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109F012]←[国試_109]→[109F014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102A011]←[国試_102]→[102A013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B097]←[国試_101]→[101B099]
[★]
- 1歳6ヶ月の幼児。顔面と躯幹とを中心に紅斑状丘疹が多数みられ、健康皮膚面も残されている。考えられる疾患はどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 関
- 感染症法、法令
第1条
(五類感染症)
第三章 感染症に関する情報の収集及び公表
(医師の届出)
第4条
- 3 法第十二条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める五類感染症(法第十二条第一項の規定により、当該感染症の患者について届け出なければならないものに限る。)は、次に掲げるものとする。
- 一 アメーバ赤痢
- 二 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)
- 三 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く。)
- 四 クリプトスポリジウム症
- 五 クロイツフェルト・ヤコブ病
- 六 劇症型溶血性レンサ球菌感染症
- 七 後天性免疫不全症候群
- 八 ジアルジア症
- 九 髄膜炎菌性髄膜炎
- 十 先天性風しん症候群
- 十一 梅毒
- 十二 破傷風
- 十三 バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
- 十四 バンコマイシン耐性腸球菌感染症
- 十五 風しん
- 十六 麻しん
(指定届出機関の指定の基準)
第6条
- 法第十四条第一項 に規定する厚生労働省令で定める五類感染症は、次の表の各項の上欄に掲げるものとし、同項 に規定する五類感染症の発生の状況の届出を担当させる指定届出機関の指定は、地域における感染症に係る医療を提供する体制、保健所の設置の状況、人口等の社会的条件、地理的条件等の自然的条件その他の地域の実情を勘案して同欄に掲げる五類感染症の区分(以下この条並びに次条第一項及び第三項において「五類感染症指定区分」という。)に応じ、原則として当該各項の下欄に定める病院又は診療所のうち当該五類感染症指定区分の感染症に係る指定届出機関として適当と認めるものについて行うものとする。
(感染症の発生の状況及び動向の把握)
第7条
- 法第十四条第二項 の届出は、当該指定届出機関に係る五類感染症指定区分の感染症の患者又はこれらにより死亡した者については診断し、又は検案した日の属する週の翌週(診断し、又は検案した日が日曜日の場合にあっては、当該診断し、又は検案した日の属する週)の月曜日(前条第一項の表の四の項の上欄に掲げる五類感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性アシネトバクター感染症又は薬剤耐性緑膿菌感染症に係るものにあっては、診断した日の属する月の翌月の初日)に、当該指定届出機関に係る疑似症指定区分の疑似症の患者については直ちに行うものとする。ただし、次に掲げる場合は、当該届出をすることを要しない。
- 一 当該指定届出機関(患者を三百人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもののうち、都道府県知事が指定するものに限る。)に係る前条第一項の表の二の項の上欄に掲げる五類感染症の患者に係るものにあっては、当該患者が入院を要しないと認められる場合
- 二 当該指定届出機関に係る疑似症指定区分の疑似症の患者に係るものにあっては、当該疑似症が二類感染症、三類感染症、四類感染症又は五類感染症の患者の症状であることが明らかな場合
- 2 法第十四条第二項 に規定する厚生労働省令で定める事項は、前条第一項の表の二の項の上欄に掲げる五類感染症に係るものについて前項第一号の指定届出機関が届け出る場合にあっては診断した患者に係る集中治療室及び人工呼吸器の使用の有無並びに脳波検査その他急性脳症の発症の有無を判断するために必要な検査の実施に関する事項とし、前条第一項の表の五の項の上欄に掲げる五類感染症に係るものにあっては原因となった病原体の名称及びその識別のために行った検査の方法とする。
- 3 法第十四条第三項 に規定する報告は、五類感染症指定区分の感染症の患者又はこれらにより死亡した者に係るものについては同条第二項 に規定する届出を受けた後七日以内に、疑似症指定区分の疑似症の患者に係るものについては直ちに行うものとする。
法令
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成十年十二月二十八日厚生省令第九十九号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10F03601000099.html
[★]
- 日
- ましん
- 英
- measles, rubeola
- 同
- はしか、麻しん
- 関
- 麻疹ウイルス、感染症法、ワクチン、学校伝染病。修飾麻疹
特徴
病原体
疫学
感染経路
- 空気感染
- 上気道粘膜に進入・増殖 → 所属リンパ節で増殖 → ウイルス血症 → 全身諸臓器で増殖
- 感染性のある時期は、前駆症状(鼻汁、咳嗽、全身倦怠感、結膜充血)が出現する直前から発疹出現後4日間である。
潜伏期
経過、症状
- NDE.437
- 1. カタル期:1-5病日:発熱、くしゃみ、鼻水、目脂。コプリック斑
-
- 白血球が劇的に低下し、2000-3000まで落ち込むことがある。
- カタル期終わりの1-2病日に解熱してコプリック斑が発生
- カタル期の鼻汁、唾液、涙液、気道分泌液は感染性有り
- 2. 発疹期:6-10病日:発熱。発疹は耳後部、頚部から始まり体幹から四肢へ。色素沈着を残す ⇔風疹
細胞性免疫の低下
- リンパ球への感染→細胞性免疫が低下
- 結核に罹患している場合、粟粒結核に進展することがある
合併症
晩期合併症
- M蛋白の欠損した麻疹ウイルスによる、らしい
- 麻疹に感染し、小児期に知能低下、ミオクローヌスなどを、初発症状として発症し、意識障害をきたし致命的となる。
妊娠
検査
診断
- 原則的には血清学的検査でペア血清による4倍以上の抗体価の上昇を証明する。ただし、検体を凍結保存する必要があり、2回目の検体は感染後2週間後の血清を用いることになり、迅速な診断には向かない。RT-PCRは効果であり、商業レベルで普及しておらず、実臨床では麻疹IgMの抗体価でもって診断をしているのが現状である。
鑑別疾患
治療
- 対症療法
- 合併症の治療:肺炎、中耳炎などの細菌性二次感染が多く、予防のために抗菌薬投与が行われる
- 学校保健安全法では、解熱後3日経過するまで出席停止(NDE.438)
出席停止の解除は、主要症状が消退したあと7日?
予防
- 麻疹生ワクチン
- 免疫不全患者にはγグロブリン製剤(ガンマグロブリン筋注)
- 免疫があれば重症化しない
暴露後発症予防
- 麻疹抗体を持たない健常者が麻疹患者と接触した場合、72時間以内であれば麻疹ワクチンを接種することにより麻疹の発症を予防できる可能性がある。また発症しても症状を軽減しうる。
- 免疫不全者、1歳以下の乳児、妊婦などが暴露された場合や麻疹ワクチンが禁忌の人では、暴露後6日以内であれば、免疫グロブリンを投与することにより、あるい程度の発症予防効果、症状軽減効果があるとされる。
予後
参考
uptodate
- 1. [charged] 麻疹の臨床症状および診断 - uptodate [1]
- 2. [charged] 麻疹の予防および治療 - uptodate [2]
- 3. [charged] 麻疹の疫学および伝染 - uptodate [3]
[★]
- 英
- rubella
- 同
- 三日はしか
- 関
- 風疹ウイルス、感染症法
特徴
感染経路
- 経気道感染(SMB.455)←つまり飛沫感染?。別の資料:飛沫経気道感染
疫学
- 好発年齢:5~15歳。 別の資料:4-9歳が先体の60%を占める(ウイルス学授業プリント)
- 季節性:春から初夏
- 不顕性感染率は約25%
- 終生免疫あり
潜伏期
- 18日 (ウイルス学授業プリント)。別の資料:16~18日間が多い
症状
- 丘疹:紅斑状の発疹が顔面に出現し、次第に体幹、四肢に広がる。発疹は癒合しない (⇔麻疹)。発疹消退後、色素沈着無し
- 軽度の発熱(38℃)、耳後、後頭部のリンパ節の腫脹、結膜炎、咽頭痛を呈する。
3大主症状
合併症
- 関節炎 (成人女性に多い)
- 血小板減少性紫斑病 (3000例に1例)
- 脳炎(6000例に1例)
- 溶血性貧血(まれ)
経過
- 病期:6-7日
- 発症前(発疹出現前)から伝染力有り。大体、感染時より10日後(SMB.455)
- このころには口腔、咽頭、気道分泌液中にウイルスが存在(SMB.455)
- 発症7日前からウイルス血症
- 発疹より先立って頚部のリンパ節が腫脹し、発疹消失後数週間に渡って持続
- 発疹出現-3~5日-発疹消失
- 発疹と共に発熱-2~3日-解熱 →三日はしか
検査
- IgG(陰性)2.0未満
- IgN(陰性)0.8未満
治療
予防
- 米ではMMRワクチンを12-15月、4-6歳の2回接種
出席停止の解除(学校保険法)
- 妊娠初期(妊娠3ヶ月以内)の妊婦に感染した場合は、胎児の多くが先天性異常を持って生まれてくる
先天性異常
- 聴覚障害:神経知覚性難聴
- 眼症状:白内障、緑内障、小眼症、網膜症
- 心疾患:動脈管開存、肺動脈狭窄、中隔欠損
- その他:小頭症、身体発育遅滞、骨透明症、肝脾種、血小板減少性紫斑病
発生率
- 妊娠4週まで :50%以上
- 妊娠 5~ 8週:35%
- 妊娠 9~12週:15%
- 妊娠13~16週: 8%
- 妊娠20週以降:まれ==ウイルス学==
鑑別
[★]
- parvo
- 英
- parvovirus B19
- 同
- human parbovirus B19, B19 virus、ヒトパルボウイルスB19、B19型ヒトパルボウイルス
- ヒトに感染するパルボウイルスを特にヒトパルボウイルスと呼ぶが、本wikiではヒト以外のウイルスについては対象外。
- 関
- ウイルス
- first aid step1 2006 p.151,152,154,299
ウイルス学
- エンベロープ無し
- DNAウイルス最小
- 赤血球系前駆細胞で増殖。
潜伏期間
感染経路
疫学
- 成人の40%が既感染
- 4-5年ごとに流行
- 春に多い
感染症
症状
- SMB.541-542
- 伝染性紅斑
- 急性熱性疾患
- 関節炎
- 成人の伝染性紅斑では関節痛を伴う2-4週間継続する関節炎を呈する。
- 免疫複合体の形成が原因
- 妊婦の感染→胎児の感染→肝臓での造血能低下→重症の貧血→胎児水腫(非免疫性胎児水腫)、流産、死産
- 経胎盤感染による感染率33%。胎児死亡の危険率は9%
合併症
経過
- 骨髄機能は10-14日で回復 → 症状は出ない。
治療
検査
予防
参考
- http://en.wikipedia.org/wiki/Parvovirus_B19
- 同
- HPV-B19
[★]
- 関
- 発疹
SPE.63
[★]
- 英
- erythema
- 関
- 発赤、発疹
分類
-
-
[★]
- 英
- communicability、infectious、epidemic、transmissible、communicable、contagious
- 関
- 感染性、伝達性、伝播性、流行、流行性、流行病、伝染病
[★]
- 英
- transmission、infection、contagion、transmit
- 関
- 感染、感染症、感染力、伝える、伝達、透過、接触感染
[★]
- 英
- macula
- 関
- 発疹