出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/12 19:35:06」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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2,2-ジクロロ-N-[(1R,2R)-1,3-ジヒドロキシ-1-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イル]アセトアミド | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 | C (外用剤はA) |
法的規制 | 処方せん医薬品 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 75から90% |
代謝 | 肝臓 |
半減期 | 1.5から4時間 |
排泄 | 尿 |
識別 | |
CAS登録番号 | 56-75-7 |
ATCコード | D06AX02 D10AF03
, G01AA05 , J01BA01 , S01AA01 , S02AA01 , S03AA08 |
PubChem | CID 298 |
DrugBank | EXPT00942 |
ChemSpider | 5744 |
KEGG | D00104 |
化学的データ | |
化学式 | C11H12Cl2N2O5 |
分子量 | 323.132 g/mol |
クロラムフェニコール (Chloramphenicol) はバクテリア Streptomyces venezuelae 由来の抗生物質であり、現在は化学合成によって作られている。化合物名は 2,2-ジクロロ-N-[(1R,2R)-2-ヒドロキシ-1-ヒドロキシメチル-2-(4-ニトロフェニル)エチル]アセトアミドである。
クロラムフェニコールはグラム陽性、陰性にかかわらず、多くの微生物に対して有効であるが、再生不良性貧血を含む骨髄の損傷など人体に重大な副作用があるため、腸チフスなど重大で生命の危機がある感染症にのみ用いられる。
重大な副作用はあるが、安価な代替品が存在せず、WHOは多くの発展途上国で小児の治療に使用することを容認している。ビブリオ属細菌を殺し下痢を抑えるのでコレラの治療に用いられる。テトラサイクリン耐性ビブリオにも効果がある。
本邦では内服薬が「クロロマイセチン錠50/250」として第一三共から販売されている。外用剤はクロマイ-P軟膏やクロマイ膣錠など多数にわたる。米国では点眼薬や軟膏も Chlorsig の名称で一般に販売されており、細菌性結膜炎・皮膚炎・生殖器感染症などの治療に使われる。
クロラムフェニコールが両生類のカエルツボカビ症の特効薬であることが最近発見された。カエルツボカビ症は両生類の致死的な真菌症であり、1980年以降に絶滅したカエル120種のうち3分の1の原因であると推定されている[1]。
目次
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クロラムフェニコールは原核生物である細菌の 50S リボソームに結合する。リボソーム上でのP座のペプチジールtRNAから、A座のアミノアシルtRNAへのペプチド鎖移動を司るペプチジルトランスフェラーゼ (peptidyl transferase) を阻害し、タンパク質合成を妨害することにより細菌の増殖を止める。一方、真核生物本体のリボソームは阻害しないため、真核生物への影響はバクテリアに比べれば遥かに低い。ヒトも真核生物に属すため抗生物質として使用できる。しかしながらミトコンドリアのリボソームは阻害されるため、この点が副作用の原因となる。なお、3ドメインの残り1つである古細菌は、種によって阻害される場合とされない場合があり傾向が明確で無い。
クロラムフェニコール耐性はCAT遺伝子により与えられる。この遺伝子は「クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)」と呼ばれる酵素をコードする。この酵素は、アセチル-S-補酵素A由来のアセチル基を1つまたは2つ、クロラムフェニコールのヒドロキシ基に結合させる。アセチル化されることによってクロラムフェニコールはリボソームに結合できなくなる。
経口投与で、速やかにほぼ全てが吸収される。血液中では30%–50% がタンパク質と結合しており、経口投与後約2時間で最大血中濃度となり、血中半減期は約2時間である。全身の組織に分布し、脳脊髄液などの体液にも分布する。約 10% は未変化体のまま尿中に排泄され、残りは肝臓で代謝され不活化される。
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クロロマイセチン耳科用液0.5%
なお、症状により適宜回数を増減する。
メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に溶けにくい。
国試過去問 | 「096I036」「091A071」「085A023」「093A073」 |
リンク元 | 「抗菌薬」「眼科用剤」「再生不良性貧血」「耐性菌」「インスリン製剤」 |
拡張検索 | 「クロラムフェニコール-O-アセチル基転移酵素」「クロラムフェニコールアセチル基転移酵素」「クロラムフェニコール-O-アセチルトランスフェラーゼ」「コハク酸クロラムフェニコールナトリウム」「クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ」 |
関連記事 | 「ラム」 |
B
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Mechanism of action | Drugs | |
1 | Block cell wall synthesis by inhibition of peptidoglycan cross-linking | penicillin, ampicillin, ticarcillin, piperacillin, imipenem, aztreonam, cephalosporins |
2 | Block peptidoglycan synthesis | bacitracin, vancomycin, cycloserine |
3 | Disrupt bacterial/fungal cell membranes | polymyxins |
4 | Disrupt fungal cell membranes | amphotericin B, nystatin, fluconazole/azoles |
5 | Block nucleotide synthesis | sulfonamides, trimethoprim |
6 | Block DNA topoisomerases | quinolones |
7 | Block mRNA synthesis | rifampin |
8 | Block protein synthesis at 50S ribosomal subunit | chloramphenicol, erythromycin/macrolides, lincomycin, clindamycin, streptogramins (quinupristin, dalfopristin), linezolid |
9 | Block protein synthesis at 30S ribosomal subunit | aminoglycosides, tetracyclines, spectinomycin ATuSi → あつし |
感染臓器・臨床診断 | 原因菌 | 投与期間(抗菌薬) |
髄膜炎 | インフルエンザ菌 | 7-10日 |
肺炎球菌 | 10-14日 | |
髄膜炎菌 | 7-10日 | |
GBS,腸内細菌,リステリア | 21日 | |
中耳炎 | <2 歳 | 10日 |
2 歳≦ | 5-7日 | |
咽頭炎 | A 群連鎖球菌 | 10日(ペニシリン系薬) |
5日(セフェム系薬) | ||
肺炎 | 肺炎球菌,インフルエンザ菌 | 解熱後3-4日 |
黄色ブドウ球菌 | 3-4週間 | |
マイコプラズマ,クラミジア | 10-21日 | |
腎臓、膀胱炎、腎盂腎炎 | 大腸菌,プロテウス,腸球菌 | 3日 |
14日 | ||
骨髄炎 | 黄色ブドウ球菌 | 21日 |
連鎖球菌,インフルエンザ菌 | 14日 |
骨 | 骨髄炎 | 4-6週 | |
耳鼻咽喉 | 中耳炎 | 5-7日 | |
副鼻腔炎 | 5-14日 | ||
A群溶連菌咽頭炎 | 10日 | ||
肺 | 肺炎 | 肺炎球菌 | 7-10日 or 解熱後3日間 |
インフルエンザ菌 | 10-14日 | ||
マイコプラズマ | 14日(7-10日) | ||
レジオネラ | 21日 | ||
肺化膿症 | 28-42日 | ||
心臓 | 感染性心内膜炎 | α連鎖球菌 | 2-4週 |
黄色ブドウ球菌 | 4-6週 | ||
消化管 | 腸炎 | 赤痢菌 | 3日 |
チフス | 14日(5-7日) | ||
パラチフス | |||
腹膜炎 | 特発性 | 5日 | |
二次性 | 10-14日 | ||
胆肝膵 | 肝膿瘍 | 細菌性 | 4-8週 |
アメーバ性 | 10日 | ||
尿路 | 膀胱炎 | 3日 | |
急性腎盂腎炎 | 14日(7-10日) | ||
急性腎盂腎炎・再発 | 6週 | ||
慢性前立腺炎 | 1-3ヶ月 | ||
髄腔 | 髄膜炎 | インフルエンザ菌 | 7-10日 |
髄膜炎菌 | |||
肺炎球菌 | 10-14日 | ||
リステリア | 21日 | ||
敗血症 | 敗血症 | コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 | 5-7日 |
黄色ブドウ球菌 | 28日(14日) | ||
グラム陰性桿菌 | 14日(7-14日) | ||
カンジダ | 血液培養陰性化後, 14日 |
再生不良性貧血の重症度基準(平成16年度修正) | ||
stage 1 | 軽 症 | 下記以外 |
stage 2 | 中等症 | 以下の2項目以上を満たす 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満 |
stage 3 | やや重症 | 以下の2項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満 |
stage 4 | 重 症 | 以下の2項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 好中球 500/μl未満 血小板 20,000/μl未満 |
stage 5 | 最重症 | 好中球 200/μl未満に加えて、以下の1項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 血小板 20,000/μl未満 |
注1 定期的な赤血球輸血とは毎月2単位以上の輸血が必要なときを指す。 | ||
注2 この基準は平成10(1998)年度に設定された5段階基準を修正したものである。 |
系統 | 前投与抗菌薬 | 抗菌薬投与後に高頻度に検出される細菌 | |
自然耐性菌 | 獲得耐性菌 | ||
ペニシリン系 | アンピシリン | Klebsiella pneumoniae | 大腸菌、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA) |
ピベラシリン | 緑膿菌 | ||
セフエム系(第1・2世代) | セフアゾリン、セフォチアム | 緑膿菌、腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌 |
セフエム系(第3世代) | セフ卜リアキソン | 腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、大腸菌 |
セフタジジム | |||
セフエビム | |||
カルバペネム系 | メロペネム | Stenotrophomonas maltophilia | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌 |
イミペネム | |||
アミノグリコシド系 | アミカシン | 腸球菌、嫌気性菌 | 緑膿菌, Serratia marcescens |
トブラマイシン | レンサ球菌、肺炎球菌 | ||
マクロライド系 | クラリスロマイシン | 腸内細菌科 | 黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、化膿性レンサ球菌 |
アジスロマシン | |||
テトラサイクリン系 | ミノサイクリン | Proteus mirabilis | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、Brukholderia cepacia、Acinetobacter baumannii |
Morganella morganii | |||
Providencia rettgeri | |||
キノロン系 | レポフロキサシン | レンサ球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA、大腸菌、緑膿菌 |
主な耐性菌 | 治療薬 |
緑膿菌 | アズトレオナム+ブラマイシン、シプロフロキサシン(感性株)、(コリスチン) |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) | バンコマイシン、テイコプラ二ン、アルベカシン、リネゾリド、(ST合剤、リファンピシン) |
ESBLs産生大腸菌 | ドリペネム、メロペネム、イミペネム、アミカシン、ST合剤 |
グルコース非発酵性グラム陰性桿菌 | ミノサイクリン、ピベラシリン、アンピシリン+スルバクタム、クロラムフェニコール、ST合剤、(コリスチン) |
バンコマイシン耐性腸球菌 | テイコプラ二ン(VanB型)、リネゾリド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン |
()は多分保険適用かないか、日本では未発売 |
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