- 英
- bone marrow biopsy
- 関
- 骨髄、骨髄穿刺(骨髄液を吸引)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/09 01:21:38」(JST)
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骨髄検査(英:Bone marrow examination)とは、骨髄を穿刺して骨髄液(骨髄血)を吸引する「骨髄穿刺」(英:Bone marrow aspiration)、または骨組織を含む造血組織を採取する「骨髄生検」(英:Bone marrow biopsy)の方法によって行われる造血組織の検査である。ドイツ語のKnochenmark(クノッヘンマルク:骨髄)から、医療業界用語(略語)ではマルクと呼ばれる。
主として血液疾患の検査のために行われる。末梢血は骨髄で産出された血液細胞で構成されるが、同等のものではない。血液疾患の原因あるいは状態を探る為には、造血の場である骨髄の状態を知ることが必要になることが多い。
骨髄液採取、ただし写真は骨髄移植の為の骨髄液採取であり大量に採取する必要がある。検査目的で採取する骨髄液はごく少量である
目次
- 1 検査の対象になる骨髄
- 2 骨髄穿刺
- 3 骨髄生検
- 4 dry tap
- 5 出典
- 6 関連項目
検査の対象になる骨髄
骨髄には造血機能を有している赤色骨髄と造血機能を失い主に脂肪で構成される黄色骨髄があるが、通常骨髄検査は血液造血組織および細胞の状態を調べることが目的であり、骨髄検査の対象はもっぱら赤色骨髄である。 造血を行う赤色骨髄は幼児期は全身の骨に存在するが、加齢と共に四肢の骨の造血機能は失われ黄色骨髄に置き換わる。 25歳を過ぎた成人では体躯の骨にほとんどの赤色骨髄が存在する。 したがって成人では検査用の骨髄は採取しやすく大量の骨髄が存在する腸骨もしくは胸骨から採取する。 胸骨は穿刺箇所の皮下組織が薄く、平板であり採取し易い。また腸骨に比べ細胞密度が濃いためより良い標本が採取できる。しかし心臓に近いため、事故の際には重大なことになる可能性がある。 骨髄生検を同時に行うときは腸骨から採取する。 小児では脛骨前面から採取することもある。
骨髄穿刺
骨髄穿刺の概要
骨髄液(骨髄血)を採取し骨髄塗末標本を作り、骨髄液内の細胞の形態学的観察を行う。 あるいは、細胞免疫学的マーカーや遺伝子検査も行うこともある。
骨髄穿刺の方法
施設・術者によるが、穿刺を行う医師と骨髄液の処理を行う検査技師のペアで行うことが多い。 穿刺箇所を消毒後、皮膚、皮下組織、骨膜(骨の表面の膜)を局所麻酔する。 麻酔後、骨髄穿刺針を骨表面に垂直に立て回転させながら針を進める。 骨髄穿刺針は2重構造になっており、外筒と内針で構成され内針は抜けるようになっている。 十分に骨髄穿刺針が骨髄内に達したら、内針を抜き、ディスポシリンジを外筒にセットし骨髄液を吸引する。 採取後は採取箇所に十分な圧迫をかけ止血する。
骨髄生検
骨髄生検の概要
骨髄穿刺で採取するのは骨髄液であり、骨髄のそのままの状態ではない。 したがって正確な骨髄細胞密度や病理組織学的検査の為に、骨髄内骨組織を含めてそのまま骨髄組織を採取する。 骨髄生検は腸骨で行う。
骨髄生検の方法
骨髄生検針も骨髄穿刺針と同様に2重針になっており、針先端が骨皮質に達する所までの方法は骨髄穿刺と同等である。 骨髄生検針が骨皮質を貫通したら、内針を抜き、外筒をそのまま進め外筒内に骨髄組織片を収める。 その後、針を左右上下に動かして外筒内に入った組織を骨髄組織全体から折って切断し、骨髄組織が中に入っている状態で外筒を引き抜く。
dry tap
ときに骨髄液吸引が不能の時がありdry tapと呼ばれる。 dry tapは多くの場合、骨髄の線維化など骨髄の異常が原因である。
出典
浅野茂隆、内山卓、池田康夫監修 『三輪血液病学』第3版、文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.550-552
関連項目
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Japanese Journal
- 骨髄穿刺法,骨髄生検法 (特集 内科医に必要な基本的診療手技のノウハウ)
- 加藤 琢磨,山本 議仁,松岡 祐貴,桑田 善弘,田岡 輝久,香月 奈穂美,串田 吉生,筧 善行
- 日本泌尿器科學會雜誌 102(1), 28-33, 2011-01-20
- … 診より2カ月後に癌悪液質にて死亡した.死亡後の骨髄生検にて骨髄への前立腺癌転移が確認された.症例2:68歳男性.血尿を主訴に当科を紹介された.膀胱鏡にて前立腺部尿道に非乳頭状腫瘍を認め,経尿道的生検を施行した.前立腺癌(T4N0M1)と診断され,MAB療法,ゾレドロン酸投与にて加療が開始された.治療開始8カ月後,倦怠感,貧血,血小板減少を認め,骨髄生検にて癌の骨髄転移と診断された.ホルモン交代療 …
- NAID 110008440745
Related Links
- 骨髄穿刺で採取するのは骨髄液であり、骨髄のそのままの状態ではない。 したがって 正確な骨髄細胞密度や病理組織学的検査の為に、骨髄内骨組織を含めてそのまま 骨髄組織を採取する。 骨髄生検は腸骨で行う。
- ハ 骨髄線維症が疑われる場合. ニ 白血病が疑われる場合. ホ 悪性リンパ腫のStaging. ヘ 悪性腫瘍の骨髄転移が疑われる場合. ト 粟粒結核などの肉芽腫が疑われる場合. 【 操作方法又は使用方法等】. この製品を使ってできる生検は、後上腸骨部生検である。
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★リンクテーブル★
[★]
- 77歳の男性。食欲不振と腎機能低下のため紹介されて来院した。2週間前から食欲不振が持続している。1か月前の血清クレアチニン値は1.7mg/dLであったが、3.0mg/dLへ上昇したため紹介されて受診した。15年前から高血圧症、脂質異常症および高尿酸血症のため内服治療中である。10年前、3年前および1か月前にそれぞれ冠動脈にステント留置術が行われた。身長 166cm、体重 68kg。体温 36.0℃。脈拍 64/分、整。血圧 128/70mmHg。下腿に浮腫と把握痛とを認めない。足背動脈の触知は良好である。左第4、第5趾が暗紫色である。足関節上腕血圧比(ABI)の低下を認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 321万、Hb 10.0g/dL、Ht 31%、白血球 11,300(好中球 70%、好酸球 12%、好塩基球 5%、リンパ球 13%)、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 3.2g/dL、AST 9U/L、ALT 19U/L、LD 175U/L(基準 176~353)、尿素窒素 42mg/dL、クレアチニン 3.2mg/dL、尿酸 6.8mg/dL、HbA1c 6.2%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 162mg/dL、トリグリセリド 150mg/dL、HDLコレステロール 38mg/dL。左足の写真(別冊No. 19A)及び腹部単純MRIの水平断像(別冊No. 19B)と冠状断像(別冊No. 19C)とを別に示す。
- 診断に最も有用な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D041]←[国試_111]→[111D043]
[★]
- 69歳の女性。リンパ節腫大の精査のため来院した。腹痛のため自宅近くの診療所を受診し、腹腔内のリンパ節腫大を指摘され紹介されて受診した。表在リンパ節は触知しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.3g/dL、Ht 40%、白血球 5,200(好中球 65%、好酸球2%、単球6%、リンパ球 27%)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.6g/dL、アルブミン 3.5g/dL、IgG 725mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 145mg/dL(基準 110~410)、IgM 121mg/dL(基準 65~350)、総ビリルビン 0.5mg/dL、AST 20IU/L、ALT 25IU/L、LD 471IU/L(基準 176~353)、ALP 133IU/L(基準 115~359)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、尿酸 8.0mg/dL、血糖 105mg/dL。免疫血清学所 見:CRP 0.1mg/dL、可溶性IL-2受容体 1,312U/mL(基準 122~496)、HBs抗原陰性、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、HTLV-I抗体陰性。全身造影CTでは、縦隔のリンパ節、傍大動脈リンパ節および腸間膜リンパ節の腫大を認めた。病型診断のために行った腸間膜リンパ節の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 7)を別に示す。生検組織からは染色体異常を認める。骨髄生検ではリンパ系腫瘍細胞の浸潤がみられる。
- 染色体異常はどれか。
- a t(8;14)
- b t(8;21)
- c t(9;22)
- d t(14;18)
- e t(15;17)
[正答]
※国試ナビ4※ [110A032]←[国試_110]→[110A034]
[★]
- 58歳の男性。右頸部腫瘤を主訴に来院した。半年前から右頸部の腫瘤を自覚していたが放置していた。3か月前から38℃程度の発熱を認め、頸部腫瘤が増大した。3か月で5kgの体重減少を認めた。右頸部に5×3 cmの硬いリンパ節を触知する以外は身体所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 522万、Hb 14.8 g/dl、Ht 48%、白血球 8,800(桿状核好中球 3%、分葉核好中球 53%、好酸球 2%、好塩基球 1%、単球 5%、リンパ球 36%)、血小板 29万。血液生化学所見:総蛋白 7.8 g/dl(Alb 62.4%、α1-グロブリン 2.8%、α2-グロブリン 7.4%、β-グロブリン 9.5%、γ-グロブリン 17.9%)、尿素窒素 19 mg/dl、クレアチニン 1.1 mg/dl、尿酸 7.5 mg/dl、総コレステロール130 mg/dl、AST 24 IU/l、ALT 32 IU/l、LD<LDH> 530 IU/l(基準176~353)。CRP 2.4 mg/dl。頸部リンパ節生検H-E染色標本を以下に示す。
- 治療方針の決定に必要なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I065]←[国試_103]→[103I067]
[★]
- 65歳の男性。頚部腫瘤を主訴に来院した。 6か月前から頚部に腫瘤を自覚しており、徐々に増大してきたため受診した。眼瞼結膜に貧血を認めない。左頚部に径2cmのリンパ節を3個、右腋窩に径2cmのリンパ節を1個触知する。いずれも弾性硬で圧痛はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球398万、 Hb11.0g/dl、 Ht38%、白血球6,300、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素19mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、 AST31IU/l、 ALT28IU/l、 LD447IU/l(基準176-353)。胸腹部造影CTで縦隔リンパ節、腹腔内リンパ節および脾臓の腫大を認める。
- 次に行う検査として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A022]←[国試_106]→[106A024]
[★]
- 65歳の男性。腹部膨満感と倦怠感とを主訴に来院した。3か月前から腹部膨満感と倦怠感とを自覚するようになり徐々に増強してきたため受診した。眼瞼結膜は貧血様である。右季肋下に肝を3cm、左季肋下に脾を10cm触知する。血液所見:赤血球 340万、Hb 10.2g/dL、Ht 33%、白血球 8,700(骨髄球 3%、後骨髄球 5%、好中球 59%、好酸球 4%、好塩基球 2%、単球 8%、リンパ球 19%、赤芽球 3個/100白血球)、血小板 35万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.2mg/dL、AST 36IU/L、ALT 24IU/L、LD 587IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 22mg/dL、クレアチニン 1.1mg/dL。骨髄穿刺ではdry tapで骨髄液を採取できなかった。
- 診断のために次に行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110G054]←[国試_110]→[110G056]
[★]
- 70歳の男性。定期健康診断で検査値の異常を指摘されたため来院した。 1年前に脳梗塞の既往がある。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。
- 血液所見:赤血球468万、 Hb13.9g/dl、 Ht42%、白血球12,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板250万。骨髄検査では線維化を認めず、染色体は正常核型である。末梢血塗抹may-giemsa染色標本(別冊No. 5A)と骨髄生検のH-E染色標本(別冊No. 5B)とを別に示す。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A026]←[国試_106]→[106A028]
[★]
- 70歳の女性。全身倦怠感と食欲不振とのため入院した。3年前から、腰痛と膝関節痛とのため非ステロイド性抗炎症薬を服用していた。尿所見:尿量2,200ml/日、蛋白(±)、蛋白定量1.5g/日。血液所見:赤血球320万、Hb 9.0g/dl、白血球4,000、血小板12万。血清生化学所見:総蛋白9.5 g/dl、アルブミン4、0g/dl、尿素窒素28mg/dl、クレアチニン1.7mg/dl、Na 138 mEq/l、K4.5mEq/l、Cl 115mEq/l、Ca 13.0mg/dl、P3.7mg/dl。診断に必要な検査はどれか。
- (1) 血清蛋白免疫電気泳動
- (2) 血清活性型ビタミンD3測定
- (3) 血清PTH測定
- (4) 腎生検
- (5) 骨髄生検
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095G034]←[国試_095]→[095G036]
[★]
- poly(多) + cyt(細胞) + mia(血症) vera(真性?)
- ラ
- polycythemia vera PCV PV
- 同
- 真性赤血球増加症、真性赤血球増多症
- オスラー病 Osler disease,オスラー・ワーケ病 オスラー-ヴァケー病 Osler-Vaquez disease,ヴァケー病 Vaquez disease
- 関
- 骨髄増殖性疾患(MPD)
概念
- 慢性骨髄増殖性疾患の一つ。
- 多能性血液幹細胞の腫瘍性増殖により、赤血球数の絶対的増加と循環赤血球量の増加を呈する。
- 赤血球の他に、白血球、血小板も増加するが、リンパ球は増加しない。
病因
- 多能性幹細胞の異常により、血球が腫瘍性に増殖することが原因とされる。
疫学
- 新患発生数:100万人対2人/年
- 50-60歳に多い。
症状
- 循環赤血球量の増加 → 循環血液量の増加+血液粘稠度の亢進:循環障害による頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、知覚異常、呼吸困難など → 高血圧、狭心症・心筋梗塞、間欠性跛行
- 血球の増加:脾腫(70%の症例)、赤ら顔(口唇、頬部、鼻尖、耳) →肝臓や脾臓の腫大は髄外造血による
- 骨髄
- ヒスタミンの放出:皮膚の掻痒感、消化性潰瘍
- 尿酸の放出増加:高尿酸血症 → 痛風
検査
- 赤血球:増加
- 白血球:増加
- 血小板:増加
- リンパ球:正常
血液生化学
遺伝子検査
特殊検査
- 循環赤血球量:増加(男性36 mL/kg以上、女性32 mL/kg以上) ← RIを使うはず
骨髄穿刺
鉄代謝
診断
- インスリン様成長因子Iに対する感受性の亢進、Bcl-2ファミリーに属するBcl-XLの発現亢進、エリスロポエチン受容体の発現パターンの異常、トロンボポエチン受容体の発現低下、チロシンホスファターゼの発現異常、エリスロポエチン受容体遺伝子の異常
診断基準
2008年WHOによる真性多血症診断基準
|
大基準
|
1. Hb>18.5g/dl(男性)、>16.5/dl(女性) もしくは 年齢、性別、住居している緯度から換算したHbかHtが9.9%以上増加している もしくは Hb>17g/dl(男性)、>15g/dl(女性)で鉄欠乏性貧血などの改善以外にHbが本人の基準値よりも2g/dl以上持続上昇している もしくは 赤血球数が予想値の25%を超えて上昇している
|
2. Jak2V617Fかもしくは同様の変異が存在する
|
小基準
|
1. 骨髄の3系統が増生を示す
|
2. 血清エリスロポイエチンがおおよそ正常値を示す
|
3. 内因性の赤芽球コロニー形成を認める
|
鑑別診断
治療
- 治療目標:生命予後は良好であり、10年生存率は50%異常が期待できる。合併症となる血栓症の予防が主眼となる。
- 瀉血:Ht 42-47% ← 血管閉塞症の頻度が低下する
- 血圧や脈拍の経過を見ながら月1-2回、1回200-400ml程度で行う。
- 高齢者や心血管障害を有する例では1回100-200ml頻回の瀉血が望ましい
- 抗血栓療法:血栓症の既往、もしくはリスクが高いときには抗血小板薬を処方。
- 抗癌薬投与:ヒドロキシウレアが第一選択で、不応例や不耐例の場合はルキソリチニブ。以前は40歳以上ではブスルファンとされていた。
- 放射性同位体:32P
- 高尿酸血症を有する場合にはフェブリクやアロプリノールを処方。
血栓症リスク
- Barbui T, et al.(J Clin Oncol. 2011 ; 29 : 761)
リスク分類
|
予後因子
|
低リスク
|
年齢<60歳、かつ血栓症の既往なし
|
高リスク
|
年齢≧60歳、または血栓症の既往がある
|
予後
- 生存は平均6-10年。5年生存率約75%, 10年生存率約55%
- 主な死因は、消化管出血や脳血管障害
長期生存
- 25%の症例で骨髄線維症へ移行
- まれに急性白血病を発症。32Pによる治療を受けた患者に多い
USMLE
- Q book p.245 32
- first aid step1 2006 p.278
国試
参考
- 総論 - 造血器腫瘍診療ガイドライン - 造血器腫瘍診療ガイドライン
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron
- PV瀉血療法後のHt目標値を45%にすることは勧められるか
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#cq7
- 真性多血症の治療ガイド - ノバルティスファーマ株式会社
http://product.novartis.co.jp/jak/tool/JAK00193GG0002.pdf
[★]
- 英
- aplastic anemia, AA
- 同
- 形成不全性貧血
- 関
- 貧血、難病、(造血器腫瘍ではない)
概念
- 造血幹細胞の遺伝子変異により、全血球の正常な分化が妨げられ汎血球減少をきたす。
- 末梢血の汎血球減少、骨髄低形成が特徴
- 特定疾患治療研究事業対象疾患
病因分類
-
病態
- 造血幹細胞の遺伝子変異 → 骨髄幹細胞の減少、血球の分化異常 → 骨髄低形成・汎血球減少
症候
- 汎血球減少に伴う症状。 肝脾腫はない ← 造血幹細胞の分化異常により髄外で造血を代替できないから?
検査
診断
重症度分類
- 参考1
再生不良性貧血の重症度基準(平成16年度修正)
|
stage 1
|
軽 症
|
下記以外
|
stage 2
|
中等症
|
以下の2項目以上を満たす 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満
|
stage 3
|
やや重症
|
以下の2項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満
|
stage 4
|
重 症
|
以下の2項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 好中球 500/μl未満 血小板 20,000/μl未満
|
stage 5
|
最重症
|
好中球 200/μl未満に加えて、以下の1項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 血小板 20,000/μl未満
|
注1 定期的な赤血球輸血とは毎月2単位以上の輸血が必要なときを指す。
|
注2 この基準は平成10(1998)年度に設定された5段階基準を修正したものである。
|
治療
- 参考1,2
- 治療の方針:原因の除去(二次性再生不良性貧血の場合)、支持療法、根治療法にわけ、また重症度に分けて考える。
支持療法
- 成分輸血(濃厚赤血球、濃厚血小板)、男性ホルモン(アンドロゲン療法)、タンパク同化ホルモン
- 重症型・中等症のうち輸血を必要とする症例、あるいは高度の血小板減少を認める例が治療の対象である。
根治療法
- 造血幹細胞移植:重症例でHLAが一致する血縁ドナーがいる若年患者には適応
- 免疫抑制療法
重症度別
- 軽症:(支持療法)男性ホルモン(アンドロゲン療法)、タンパク同化ホルモン ← 積極的な治療は不要ではない?
- 中等症:治療が推奨されるか不明。進行性の血球減少、重度の好中球減少±輸血依存状態には幹細胞移植や免疫抑制療法を考慮(uptodate.2)
- 重症:(根治療法)造血幹細胞移植、免疫抑制療法(ステロイドホルモン大量療法、抗リンパ球グロブリン製剤(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン製剤(ATG)、シクロスポリン(CYA)
年齢別
- 40歳未満:造血幹細胞移植が第一選択。治療後の生存率が高いため。高齢になるほどGHVDの副作用が高い。若年者への免疫抑制療法は造血系腫瘍(白血病、MDS,PNHなど)の可能性が高まる
予後
- 軽症と中等症の場合は男性ホルモンやタンパク同化ホルモンにより約60%が6ヵ月で寛解になる。(医学辞書)
- (幼少児発症する)Fanconi症候群による再生不良性貧血は副腎皮質ホルモンと男性ホルモンの併用療法に良く反応し、(成人に発症する再生不良性貧血より)予後は良好。
- 治療により、80%以上の長期生存が期待できる。
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/042_i.htm
uptodate
- 1. [charged] 再生不良性貧血:病因、臨床症状および診断 - uptodate [1]
- 2. [charged] 再生不良性貧血:予後および治療 - uptodate [2]
- 3. [charged] 再生不良性貧血における造血細胞移植 - uptodate [3]
- 4. [charged] 小児および若年成人における後天性再生不良性貧血 - uptodate [4]
- 5. [charged] 小児における遺伝性再生不良性貧血 - uptodate [5]
- 6. [charged] 小児における特発性の重症再生不良性貧血およびファンコニ貧血に対する造血細胞移植 - uptodate [6]
国試
[★]
- 英
- bone marrow aspiration, bone marrow puncture
- 同
- 骨髄穿刺法
- 関
- 骨髄生検
穿刺部位
[★]
- 英
- dry tap
- 関
- 骨髄生検、骨髄穿刺
[★]
- 英
- bone marrow biopsy tissue
[★]
- 英
- biopsy
- 同
- バイオプシー、診査切除術 exploratory excision、試験切除術
- 関
施行
条件付き
- リンパ節腫脹:感染によるリンパ節腫脹は自然消退しうるので一ヶ月以上経過観察してから。
禁忌
- 悪性黒色腫:転移しやすいため
- 精巣腫瘍:血行転移のおそれ → ゆえに精巣腫瘍を否定できない陰嚢腫脹に対しては診断を兼ねた高位精巣摘除が標準的治療
[★]
- 英
- bone marrow (Z)
- ラ
- medulla ossium
- 関
- 骨髄組織
分類
性状
細胞成分の過少
造血
加齢変化
- 6歳以後は加齢とともに脂肪化が進み、黄色骨髄が増加
- 長管骨の末端から黄色骨髄に置換されていく。成人では脊椎骨、胸骨、肋骨などで造血が起こる
- 乏血、低酸素状態では黄色骨髄が赤色骨髄に置換され、造血ができるようになる。