- 65歳の男性。3日前から続く鼻出血を主訴に来院した。3週前から全身倦怠感を自覚している。皮膚は蒼白で紫斑と点状出血とを認める。血液所見:赤血球210万、Hb 7.2g/dl、Ht 22%、網赤血球 0.1%、白血球1,900(桿状核好中球1%、分葉核好中球18%、好酸球1%、単球2%、リンパ球78%)、血小板0.8万。血液生化学所見:総蛋白8.1g/dl、アルブミン4.2g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、AST 32IU/l、ALT 26IU/l。骨髄生検H-E染色標本(別冊No.7)を以下に示す。
- 治療として適切なのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A028]←[国試_103]→[103A030]
★リンクテーブル★
[★]
- 26歳の女性。右眼の異常を主訴に来院した。昨夜、就寝時に右の目尻にわずかな痛みを感じた。今朝起きたところ右眼が赤くなったことに気付いた。眼脂はなかった。視力は、右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。角膜は透明で、前房は深く清明である。前眼部写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A029]←[国試_103]→[103A031]
[★]
- 19歳の女性。半年前から出現した右眼の視力低下と1週前から続く易疲労感とを主訴に来院した。意識レベルはJCS I-3。身長162cm、体重47kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧 100/64mmHg。頭部造影MRIのT1強調冠状断像と矢状断像とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A027]←[国試_103]→[103A029]
[★]
[★]
- 英
- aplastic anemia, AA
- 同
- 形成不全性貧血
- 関
- 貧血、難病、(造血器腫瘍ではない)
概念
- 造血幹細胞の遺伝子変異により、全血球の正常な分化が妨げられ汎血球減少をきたす。
- 末梢血の汎血球減少、骨髄低形成が特徴
- 特定疾患治療研究事業対象疾患
病因分類
-
病態
- 造血幹細胞の遺伝子変異 → 骨髄幹細胞の減少、血球の分化異常 → 骨髄低形成・汎血球減少
症候
- 汎血球減少に伴う症状。 肝脾腫はない ← 造血幹細胞の分化異常により髄外で造血を代替できないから?
検査
診断
重症度分類
- 参考1
再生不良性貧血の重症度基準(平成16年度修正)
|
stage 1
|
軽 症
|
下記以外
|
stage 2
|
中等症
|
以下の2項目以上を満たす 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満
|
stage 3
|
やや重症
|
以下の2項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする 網赤血球 60,000/μl未満 好中球 1,000/μl未満 血小板 50,000/μl未満
|
stage 4
|
重 症
|
以下の2項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 好中球 500/μl未満 血小板 20,000/μl未満
|
stage 5
|
最重症
|
好中球 200/μl未満に加えて、以下の1項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μl未満 血小板 20,000/μl未満
|
注1 定期的な赤血球輸血とは毎月2単位以上の輸血が必要なときを指す。
|
注2 この基準は平成10(1998)年度に設定された5段階基準を修正したものである。
|
治療
- 参考1,2
- 治療の方針:原因の除去(二次性再生不良性貧血の場合)、支持療法、根治療法にわけ、また重症度に分けて考える。
支持療法
- 成分輸血(濃厚赤血球、濃厚血小板)、男性ホルモン(アンドロゲン療法)、タンパク同化ホルモン
- 重症型・中等症のうち輸血を必要とする症例、あるいは高度の血小板減少を認める例が治療の対象である。
根治療法
- 造血幹細胞移植:重症例でHLAが一致する血縁ドナーがいる若年患者には適応
- 免疫抑制療法
重症度別
- 軽症:(支持療法)男性ホルモン(アンドロゲン療法)、タンパク同化ホルモン ← 積極的な治療は不要ではない?
- 中等症:治療が推奨されるか不明。進行性の血球減少、重度の好中球減少±輸血依存状態には幹細胞移植や免疫抑制療法を考慮(uptodate.2)
- 重症:(根治療法)造血幹細胞移植、免疫抑制療法(ステロイドホルモン大量療法、抗リンパ球グロブリン製剤(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン製剤(ATG)、シクロスポリン(CYA)
年齢別
- 40歳未満:造血幹細胞移植が第一選択。治療後の生存率が高いため。高齢になるほどGHVDの副作用が高い。若年者への免疫抑制療法は造血系腫瘍(白血病、MDS,PNHなど)の可能性が高まる
予後
- 軽症と中等症の場合は男性ホルモンやタンパク同化ホルモンにより約60%が6ヵ月で寛解になる。(医学辞書)
- (幼少児発症する)Fanconi症候群による再生不良性貧血は副腎皮質ホルモンと男性ホルモンの併用療法に良く反応し、(成人に発症する再生不良性貧血より)予後は良好。
- 治療により、80%以上の長期生存が期待できる。
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/042_i.htm
uptodate
- 1. [charged] 再生不良性貧血:病因、臨床症状および診断 - uptodate [1]
- 2. [charged] 再生不良性貧血:予後および治療 - uptodate [2]
- 3. [charged] 再生不良性貧血における造血細胞移植 - uptodate [3]
- 4. [charged] 小児および若年成人における後天性再生不良性貧血 - uptodate [4]
- 5. [charged] 小児における遺伝性再生不良性貧血 - uptodate [5]
- 6. [charged] 小児における特発性の重症再生不良性貧血およびファンコニ貧血に対する造血細胞移植 - uptodate [6]
国試