- 英
- chronic subdural hematoma
- 関
- 急性硬膜下血腫、硬膜下血腫 凹、硬膜外血腫 凸
定義
- 何らかのきっかけにより出血し(頭部外傷が多い。20%の症例では外傷の既往がない)、その出血から3週間以降に症状が出現した場合
- 1週間以内に発症したものは急性硬膜下血腫
概念
- 硬膜内面の外側皮膜(外膜)とくも膜表面の内側皮膜(内膜)に包まれた暗赤色流動性の血腫(SCN.266)
疫学
- 中高年以上の男性に多い
- 片側性(90%)、両側性(10%)
病理
- 慢性硬膜下血腫の外膜は組織的には肉芽組織で血管に富む。内膜はコラーゲン束からなり血管は見られない(SCN.266 図:SCN.267(病理組織))
- 血腫は凝固因子を欠如しているため、凝固しない(SCN.266)
症状
- YN.
- 片麻痺、記憶力低下、意識障害
- 若年者・・・頭痛、高齢者・・・認知症が多い。
- 頭蓋内圧亢進症状 >> 脳圧迫症
検査
CT
- 三日月型の血腫が典型的 ⇔ 急性硬膜外血腫
- 血腫は新鮮なものはhighしだいにisoからlowに変化する。
- 出血後2-4修吾の血腫は、血腫被膜部の増強効果がみられる。
MRI
治療
- 穿頭術により流動性血腫を除去後、血腫腔を生理食塩水で洗浄した後、血腫腔にドレーンを1日留置することで症状が劇的に改善する(SCN.267)
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/01/11 16:10:36」(JST)
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慢性硬膜下血腫のデータ |
ICD-10 |
S065x(外傷性)
I0620(非外傷性)
|
統計 |
出典:
|
脳神経外科学会 |
日本 |
日本脳神経外科学会 |
世界 |
世界脳神経外科学会連盟 |
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慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ、chronic subdural hematoma)は、主に高齢者にみられる、硬膜と脳の間に血腫が緩徐に形成される疾患。多くは、数ヶ月前に頭をぶつけたなど比較的軽度な頭部外傷が原因のことが多いが、原因となる外傷が思い当たらない(または思い出せない)ことも多い。水頭症に対してドレナージを行った際の減圧もリスクになるとされる。
目次
- 1 症状
- 2 疫学
- 3 診断
- 4 治療
- 5 予後
- 6 小児の慢性硬膜下血腫
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
|
症状
数週間か数ヶ月前に頭をぶつけた等の既往歴があって、しばらく全く異常がなかったものが、だんだん痛み、片麻痺、意識障害が徐々に出現・進行してくる。また認知症に似た症状もみられる事から、認知症と混同されてしまう場合もある。これを認知症という定義で言うならば治療可能な認知症の代表と言う事が出来る。
疫学
アルコール常飲者の高齢者の男性に多い。
診断
- 頭部CTにて三日月状の血腫をみとめる。血腫に被膜が形成されているという特徴がある。
- 頭部MRIでは、一般にT1強調画像で高信号域、T2強調画像でも高信号域を示す。
治療
局所麻酔下に穿頭し、血腫ドレナージを行う。侵襲度の低い処置であり、ほぼ全例に適応がある(抗血栓薬を使用中でも適応となることがある)。また、処置として様子をみる場合、手術しない場合もある。
予後
遅滞なく手術が行われれば基本的には予後良好な疾患である。術直後から症状の改善が見られることが多い。8~20%の頻度でドレナージ術後の再発が報告されている。再発は術後1カ月前後の比較的早い時期に起こってくることが多く、遅くなって再発することは稀である。 進行は一般的に緩徐であるが、脳ヘルニアを起こすまでに至った場合には、死亡したり重篤な後遺症を残す可能性もある。
小児の慢性硬膜下血腫
- 生後3~9カ月頃をピークに発生する。
- 出産時、胎児が産道を通過する際に頭蓋骨の重積が起こり、架橋静脈が断裂するという説がある。
- その他の要因としては、墜落や交通事故、虐待、出血傾向などが挙げられる。
- 85%が両側性と言われる。
- 症状
- 進行性の頭部拡大、大泉門の膨隆、不機嫌、痙攣発作、嘔吐、傾眠などの頭蓋内圧亢進症状が認められる。
- 診断
- CTでは出血の時期や再出血の有無により低吸収域~高吸収域まで様々な様相を呈する。脳溝および髄液槽が消失する。
- 大泉門外側からの穿刺による硬膜下穿刺。血性液が認められれば診断は確定する。
- 治療法
- 硬膜下穿刺のみで治療可能なことが多い。頭蓋内圧亢進例(大泉門膨隆、嘔吐など)にのみ穿刺を行うべき。
- 硬膜下穿刺によっても液貯留が改善されない場合には硬膜下腹腔シャントを試行する。シャントまでが必要となるのは10%以下と言われている。
- 予後
- 死亡率は5~10%。生存例でも知能障害や神経脱落症状を示すものが少なくない。
- 50~75%は正常に発育する。
- 以上の点より、成人の慢性硬膜下血腫の比較して予後不良な疾患と考えられる。
関連項目
外部リンク
- 慢性硬膜下血腫(日本脳神経外科学会の脳神経外科疾患情報ページ)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Treatable dementia--正常圧水頭症,慢性硬膜下血腫,薬剤性認知症の診断と治療 (特集 認知症) -- (診断・治療の実際)
- 症例報告 慢性硬膜下血腫を契機に診断された多巣性線維硬化症(multifocal fibrosclerosis)の1例
- 症例 頭痛で発症し,初期にはMRI上出血が明らかでなかった慢性硬膜下血腫の1例
Related Links
- 慢性硬膜下血腫. 頭部外傷から数週~数カ月の後に頭の中に出血が起こることが あります。頭の骨(頭蓋骨)のすぐ内側には硬膜と呼ばれる膜がありますが、この硬膜の 内側にじわじわと出血が起こって血液の塊(血腫)が出来た状態を慢性硬膜下血腫と いい ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、19~21の問いに答えよ。
- 80歳の女性。右上下肢の脱力を主訴に救急車で来院した。
- 現病歴 : 約20年前から高血圧症を指摘され降圧薬投与を受けていた。日常生活は自立していたが、昨日朝からしゃべりづらくなり、今朝から右上下肢の力が入らなくなり、夕方トイレで立てなくなった。
- 既往歴 : 75歳ころ、口唇と手とのしびれを認め、78歳時に左下肢の脱力に続いて動きが悪くなったことがある。
- 生活歴 : 85歳の夫、長男夫婦と平屋家屋に同居。
- 現症 : 意識は清明。体温36.4℃。呼吸数20/分。脈拍62/分、整。血圧162/70mmHg。舌は乾燥し、尿失禁を認める他特記すべきことはない。神経学的診察では右側の顔面を含む不全片麻痺と舌の右方偏位とを認める。Babinski徴候は両側で陽性である。
- 入院後経過 : 内科的治療とリハビリテーションとを行った。意識状態は変化せず麻痺の進行もなかったが、尿路感染症を合併したころから昼夜の逆転現象と被害妄想とが出現した。リハビリテーションを再開したが、入院40日の時点で車椅子介助で意欲に乏しい。食事は左手で自力摂取可能であるが、尿失禁のためオムツを使用し、昼夜の逆転現象も持続している。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H018]←[国試_095]→[095H020]
[★]
- 78歳の男性。帰宅途中に転倒し顔面を打撲したため搬入された。72歳から胃食道逆流症で通院治療中である。10日前に仕事からの帰宅時に尿失禁をしたが、意識障害や麻痺は伴わなかった。5日前の定期来院時、同伴の家族は少し元気がないと訴えたが、本人はそれを否定した。バイタルサイン、心肺および神経学的に異常所見を認めず帰宅した。搬入時、激しい頭痛や嘔吐はないが、右上肢が動かしづらいと訴える。意識は清明。体温 36.8℃。脈拍 92/分、整。血圧 154/64mmHg。右前額部から眼窩部にかけて皮下出血を認める。眼瞼結膜に貧血を認めない。右眼球結膜に出血を認める。胸部と腹部とに異常を認めない。神経学的所見で右指鼻試験がやや稚拙であるが、他に異常を認めない。尿所見、血液所見および血液生化学所見に異常を認めない。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。頭部単純CT(別冊No.12)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G068]←[国試_104]→[104H001]
[★]
- 次の文を読み、45、46の問いに答えよ。
- 55歳の男性。呼吸停止状態でマスクによる用手人工呼吸を受けながら救急車で搬入された。
- 現病歴 : 会社で電話中に後頭部に激しい頭痛を訴えて倒れた。同僚がかけつけたときいぴきを伴う大きな呼吸をしていたが、救急車到着時には呼吸停止の状態であった。
- 既往歴 : 高血圧を指摘されたが無治療であった。
- 現症 : 意識は昏睡状態。体温37.0℃。自発呼吸はない。脈拍は微弱。血圧68/40mmHg。左前額部に擦過傷を認める。瞳孔径左右とも3mm、対光反射は左右とも消失。心雑音はない。腹部に異常所見は認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F045]←[国試_097]→[097F047]
[★]
- 芥川龍之介著「歯車」の一部を以下に示す。
- のみならず僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?-と云うのは絶えずまわっている半透明の歯車だった。僕はこう云う経験を前にも何度か持ち合わせていた。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代わりに今度は頭痛を感じはじめる、-それはいつも同じことだった。
- 「僕」の症状から最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104F016]←[国試_104]→[104F018]
[★]
- 57歳の男性。1週前から頭痛があり、家族に支えられて来院した。
- 約1か月前、飲酒後転倒して頭部を打撲した。軽度の見当識障害を認める。体温、呼吸、脈拍および血圧に異常はない。
- 項部硬直はない。右上肢の挙上ができず、右下肢の脱力のため起立保持ができない。深部反射は右上下肢で亢進している。頭部単純CTを以下に示す。
- この患者に最も適切な治療法はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D045]←[国試_098]→[098D047]
[★]
- 75歳の男性。転びやすいことを主訴に来院した。 4日前から少しずつ歩行が不安定となり転倒しそうになることが多くなった。家族は 1週前から受け答えもつじつまが合わないと言う。 1か月前、歩行中に転倒して右側頭部を打ち、裂創を生じたため他院で縫合処置を受けた。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108H025]←[国試_108]→[108H027]
[★]
- 75歳の男性。5日前から徐々に増悪する頭痛と左上下肢の脱力とを主訴に来院した。意識は清明。左上下肢の不全麻痺と左半身の感覚低下とを認める。頭部単純CTを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G045]←[国試_101]→[101G047]
[★]
- 72歳の男性。頭痛を主訴に来院した。2か月前に家の中で転倒し、頭を打ったことがある。2週前から右上下肢の脱力感を自覚していたが、数日前から頭痛も自覚している。頭部単純CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D019]←[国試_100]→[100D021]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B051]←[国試_100]→[100B053]
[★]
- 英
- cerebral hemorrhage
- 関
- 脳内出血
概念
- 頭蓋内の出血は総称して一般的に脳出血または脳溢血と呼ばれる。脳出血は脳内への出血と脳周囲への出血に分類される。医学的には狭義での脳内出血のみを指すことが多い。
疫学
部位別頻度
- 被殻出血:40%、視床出血:30%、大脳皮質下出血:10%、小脳出血:10%、橋出血:10%
リスクファクター
- IMD.1027
分類
部位による
YN.J-87 SQ.518
|
被殻出血
|
視床出血
|
橋出血
|
小脳出血
|
皮質下出血
|
割合(%)
|
40
|
30
|
10
|
10
|
10
|
意識障害
|
{+}
|
{+}
|
{++}
|
{±}
|
|
嘔吐
|
{+}
|
{+}
|
{++}
|
{+++}
|
|
頭痛
|
{±}
|
{±}
|
{-}
|
{+++}
|
|
運動障害
|
対側
|
対側
|
四肢麻痺
|
運動失調
|
|
感覚障害
|
対{+}
|
対{++}
|
{±}
|
{-}
|
|
共同偏視
|
病側
|
内下方
|
正中
|
健側
|
|
瞳孔
|
{±}
|
縮瞳
|
縮瞳
|
{±}
|
|
瞳孔反射
|
○
|
時に×
|
○
|
○
|
|
外科的治療
|
血腫除去術
|
×
|
×
|
血腫除去術
|
血腫除去術
|
症候
- 前駆症状無く、日中の活動時や食事中に突然発症する。
- 頭痛や嘔吐を伴い、半数の症例では意識障害を伴う。
- 脳局所症状は数分から数時間のうちに完成する。
検査
- T1:
- T2:
- 拡散強調画像:(出血直後は多分低信号で、血腫を作れば明らかな)高信号
治療
脳出血に共通
参考
- http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
国試
[★]
- 英
- acute subdural hematoma
- 同
- 急性硬膜内血腫?
- 関
- 硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫。急性硬膜外血腫
[★]
- 英
- treatable dementia
- 同
- 治療可能な認知症
- 関
- 認知症
[★]
- 同
- 慢性硬膜下血腫
[★]
- 英
- melena
- ラ
- melaena
- 同
- タール便 tarry stool
- 関
- 消化管出血(上部消化管出血、下部消化管出血)、黒色便、赤色便。吐血
定義
- (広義)便の中に血液が含まれている状態:黒色便、タール便、粘血便、鮮血便 (ただし潜血便は含まれない)
- (狭義)タール便
狭義
下血
分類
頻度
- IMD.566
出血部位と便の性状
- IMD.567
[★]
- 英
- hematoma
- ラ
- haematoma
- 同
- 血瘤
- 関
- 参考1
参考
- 1. B.産婦人科検査法 9.婦人科疾患のMRI 診断 - 日産婦誌53巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/53/5306-099.pdf
[★]
- 英
- subdural hematoma
- 関
- 急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫
硬膜外血腫
|
硬膜下血腫
|
・殆どが外傷性(80-90%)で、頭蓋冠骨折を伴う ・硬膜動脈の破綻による ・左右側頭部が好発部位 ・意識清明期を伴うことが多い ・骨と硬膜の硬い結合を剥がしながら伸展するので出血速度は遅い
|
・硬膜下腔への出血である ・硬膜外出血より進展しやすいので、意識障害の出現が早い ・(1)橋静脈の破綻によるもの、(2)高度の脳挫傷を伴うもの
・
|
-subdural hematoma
[★]
- 英
- dura mater
- ラ
- dura pachymeninx
- 関
- 脳硬膜、脊髄硬膜、髄膜
神経
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物