- lividity
- 英
- postmortem lividity, death spots
- ラ
- livor mortis
- 関
- 早期死体現象、死体現象
- 死後1-2時間で発現、5-6時間で著明、12-15時間で最高。死後5-6時間以内の体位変化で死斑の移動。8-10時間くらいまでは死斑が移動しうる。死後12時間くらいまでは死斑を圧迫すると消失。死後24時間以降は消退しなくなる(SLE.263)
死斑の色(SLE.263)
WordNet
- a state of fury so great the face becomes discolored
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2021/05/01 05:46:16」(JST)
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死後変化[1]
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蒼白(Pallor mortis)
死冷(Algor mortis)
死後硬直(Rigor mortis)
死斑(Livor mortis)
細胞分解(Putrefaction)
腐敗(Decomposition)
白骨化(Skeletonization)
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表・話・編・歴
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死斑(しはん)とは、人間の死体に起こる死後変化であり、皮膚の表面に現れる痣状の変化である。人間が死ぬと、拍動の永久的な停止により血液の循環が止まる。その際、死体が動かされずにいた場合、血液が重力に逆らえず死体の低い位置に沈下し、その色調が皮膚の表面に現れることが原因で起こる。死斑は死後の時間の経過により状態が変化してゆくので死亡推定時刻等を調べる上で参考になる場合がある。また死亡原因によって死斑の状態に色調、強弱の差が見られるため死亡原因の特定にも有効である。
死斑の変化
死斑は死後数十分で出現する。初期は斑点状で時間の経過と共に斑点は融合し増強されてゆき、死後15時間ほどで最も強くなり、以後は変化しない。初期には死体の体位を変えると元の位置にあった死斑は消え新たな低位置に死斑は移動してゆく。しかし7時間ほどすると元の死斑は消えずに新たな低位置にも死斑が出現する。初期の死斑は指で圧迫すると容易に退色するが死後一日が経過すると死斑は容易には退色しない。初期の死斑は血管内の鬱血であるため圧迫により容易に消失するが、時間の経過と共に皮膚組織に血液の色素が深く浸透することが原因である。
死斑の発現部位
死後、血液は低位置に移動するため死体が仰向けの状態で置かれた場合には死斑は背面部に出現する。うつ伏せの場合は人体の前面部に移動する。首吊り死体の場合は下半身に広く出現する場合が多い。
死斑の色調、強弱
死斑の色調、強弱の違いで死因を特定できる可能性がある。死斑の通常の色は暗い紫赤色であるが一酸化炭素中毒や青酸ガスで死亡した場合は死斑の色は鮮やかな紅色である。これは血中のヘモグロビンと一酸化炭素や青酸ガスが結合するために起こる。死斑がチョコレート色の場合には亜硝酸ナトリウム、塩素酸カリウム中毒が疑われる。硫化物中毒が死因の場合、死斑は緑色を帯びる。急性心臓病、窒息、脳出血などで死亡した場合、死斑は強く出現する。反対に死斑の出現が弱い場合は血管の破綻による失血死、敗血症、慢性肝炎、腎不全などの場合である。通常新生児の死斑は弱い。溺死体の場合は死体は定位置に定まっていない場合が多く死斑は発現しにくい。
皮下出血との違い
死斑は外見が皮下出血と似ているため見誤る場合がある。皮下出血と死斑の見分け方がいくつか存在する。
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死斑
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皮下出血
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発生部位
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死体の低位部
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特に定まらない
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指圧
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死後初期は容易に退色
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退色しない
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凝血
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無
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有
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脚注
- ^ 人間の場合の死体現象。死後経過時間(PMI:Post-mortem Interval)も参照。この他、脳死とされた患者に見られるラザロ徴候(英語版)、通常は極端な状況や感情の元で死亡した場合に現われる死体硬直(英語版) などの現象がある。
参考文献
- 『臨床のための法医学[第四版]』(朝倉書店) 澤口彰子ほか共著。 ISBN 4-254-31084-6
関連項目
死 |
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医学的側面 |
- 細胞死
- 壊死
- プログラム細胞死
- アポトーシス
- オートファジー
- 自己融解
- かさぶた
- 妊娠中絶
- 検死
- 脳死
- 臓器ドナー
- ターミナルケア
- DNR/尊厳死
- 安楽死
- ラザロ徴候
- 末期症状
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死亡率 |
- 防ぎうる死
- 乳幼児死亡率
- 乳児死亡率
- 妊産婦死亡率
- 周産期死亡率
- Micromort
- メメント・モリ
- 不老不死
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超常現象 | |
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法的側面 |
- 人の終期
- 認定死亡
- 死亡診断書
- 変死体
- 殺人
- 死刑囚
- 法医病理学
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その他 |
- 死と文化
- 死の準備教育
- 擬死
- ダークツーリズム
- 死の行進
- ダーウィン賞
- 命日
- 辞世
- デストルドー
- 自殺
- 絶滅
- 屍姦
- アンデッド
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UpToDate Contents
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- 1. SIDSを含む乳児の予期せぬ死亡:初期マネージメントsudden unexpected infant death including sids initial management [show details]
…place where found. The infant may have blood-tinged, frothy fluid coming from the mouth and nose. Lividity and rigor mortis may be present. The parents and caregivers are in shock, and a wide range of reactions…
- 2. 小児に対する入院前ケアの留意事項pediatric considerations in prehospital care [show details]
…hemicorporectomy. Evidence of a significant time lapse after pulselessness, including dependent lividity, decomposition and in the absence of severe hypothermia, rigor mortis. "If the patient has arrested…
- 3. 小児における低体温:マネージメントhypothermia in children management [show details]
…features of death such as fixed and dilated pupils, pulselessness, apnea, apparent rigidity, dependent lividity, cyanosis, pallor, and palpable cold are typical in severe hypothermia; all such markers have been…
- 4. 小児二次救命処置法(PALS)pediatric advanced life support pals [show details]
…initial presentation (eg, patients with sudden infant death syndrome who are found with evidence of lividity would have CPR discontinued earlier than patients with in hospital arrests) Presenting rhythm (eg…
- 5. 成人外傷患者における入院前のケアprehospital care of the adult trauma patient [show details]
…abdomen and/or chest without vital signs), or those with obvious signs of death (eg, postmortem lividity, rigor mortis, or gross decomposition). Caution should be exercised when developing protocols paramedics…
Japanese Journal
- 日本産<i>Phytophthora</i>属菌3種の樹木23種の苗に対する接種試験
- 市原 優,升屋 勇人
- 日本森林学会大会発表データベース 131(0), 220, 2020
- … 接種2か月後、樹種と接種菌、および苗木の状態によってばらつきがあったが、全ての樹種で接種による内樹皮壊死斑の軸方向長は対照よりも長かった。 … とくにミズナラとコナラの壊死斑長は大きく、一部の壊死斑が重なって測定できなかった。 …
- NAID 130007880569
- 死後変化に影響を与える因子の探索および 死後経過時間の推定式の作成
- 臼元 洋介
- 横浜医学 = Yokohama Medical Journal 70(4), 645-651, 2019-10-30
- … ある.これまでに,死後, 死体に現れるさまざまな化学的,物理的な現象を用いて,死後経過時間は推定されてきた.その中で も,現在広く用いられているのは,死斑や死後硬直,直腸温を用いた推定法である.しかしながら, 死斑や死後硬直については評価が主観的であり,直腸温については周囲の環境(気温や日当たりなど) の影響を強く受けるため,精密な死後経過時間の推定は容易では …
- NAID 120006797951
- 危険ドラッグ、ジフェニジンの死亡事例と生体影響評価
- 奥田 勝博,浅利 優,田中 宏樹,堀岡 希衣,塩野 寛,清水 惠子
- 日本毒性学会学術年会 46.1(0), S12-2, 2019
- … 司法解剖時、死斑発現は極めて強度。 …
- NAID 130007677521
Related Links
- 死斑は、通常、暗赤色~暗紫赤色(酸素が消費された還元ヘモグロビンの色)を呈するが、急性一酸化炭素中毒では死斑は鮮紅色となり、死因の推定上有用である。また、死斑には死後経過時間の推定に有用な法則性もある
- 死斑(しはん)とは、人間の死体に起こる死後変化であり、皮膚の表面に現れる痣状の変化である。 人間が死ぬと、 拍動 の永久的な停止により 血液 の循環が止まる。
- 死斑とは、 死後から6-12時間にかけて皮膚に現れる紫色のアザ です。死亡後に出てくる斑点なので、死斑と呼ばれます。 死斑の画像を見たい方は以下のアコーディオン部分を開くと画像を見ることができます。
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★リンクテーブル★
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- 次の文を読み、63~65の問いに答えよ。
- 63歳の男性。上行結腸癌の経過観察と腹部造影CT検査のため来院した。
- 現病歴:1年前に上行結腸癌に対して右半結腸切除術を受けている。術後の経過観察のため来院し、外来診察、採血検査および腹部造影CT検査を受けた。
- 既往歴:高血圧症に対し内服治療中。薬物アレルギーはない。
- 生活歴:酒店経営。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親は心筋梗塞で死亡。母親は膵癌で死亡。
- 検査所見:血液所見:赤血球 309万、Hb 10.4g/dL、Ht 32%、白血球 4,200、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.8g/dL、AST 34IU/L、ALT 40IU/L、尿素窒素 21mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 107mEq/L。
- その後の経過:腹部造影CT検査の直後から、全身の掻痒感と呼吸困難が生じ、声がかすれてきた。
- 症状出現時の現症:意識は清明。体温 36.3℃。脈拍 88/分、整。血圧 80/68mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 92%(room air)。四肢の伸側に膨疹を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。胸部全体にwheezesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。
- その後の経過:適切な治療を行い呼吸困難は改善した。腹部造影CTの結果、単発の肝腫瘤を認め転移性肝癌と診断した。肝切除術を行うこととなり、手術の前日に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを留置する方針となった。留置処置の当日、局所麻酔後、穿刺を行ったところ鮮紅色の血液の逆流を認めた。穿刺針を抜去したところ同部位が腫脹し始めた。意識は清明。脈拍 72/分、整。SpO2 96%(room air)。呼吸に異常を認めない。
- その後の経過:適切な処置をした後、肝切除術が施行された。3年後、多発性の転移性肝腫瘍が再発した。患者と家族は積極的な治療を望まず、自宅で過ごすことを希望したため訪問診療が開始された。今朝になって患者の意識がなく呼吸が停止している状態であると、家族から連絡があった。昨晩は意識があり、意思疎通可能であったという。担当医として駆けつけたところ、瞳孔は散大固定で、対光反射の消失、心停止および呼吸停止を認め死亡を確認した。
- 認める可能性が低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110G064]←[国試_110]→[110G066]
[★]
- 58歳の男性。ショッピングセンターの駐車場でエンジンがかかったまま停車している自家用車を不審に思った買い物客により、運転席で死亡しているのを発見された。救急隊が現場に到着した時には既に硬直がみられたため病院には搬送されず、死因等究明のため司法解剖された。身長 170cm、体重 90kg。背面に死斑が高度に発現し、硬直は全身の諸関節で強い。外表に創傷はない。脳は1,750gで浮腫状である。胸郭・脊椎に骨折はなく、左右胸膜腔に液体貯留はほとんどない。心嚢に破裂はない。心重量は610gで冠状動脈に内膜肥厚・血栓はなく、心筋には異状を認めない。大動脈はValsalva洞から左鎖骨下動脈起始部の下15cmの高さにかけて、内外膜間が解離し、両端部の内膜および中膜に亀裂がある。肺と肝臓はうっ血しているが、臓器表面に異状はない。死後解剖前に撮影した胸部CT(別冊No. 5A)及び解剖時に心嚢を切開した際に撮影した写真(別冊No.5B)を別に示す。
- 最も考えられる病態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C035]←[国試_114]→[114C037]
[★]
- 69歳の男性。自宅のかもいにヒモをかけ首を吊っているのを午後6時半ころ帰宅した家族に発見された。
- 家族はすぐにヒモを切断し、男性を仰向けに寝かせ、身体を揺り動かし呼びかけたが、身体は冷たく全く応答はなかった。
- 診療所の医師に連絡したところ、午後7時に医師が到着し、死亡の確認後、死体の検案が行われた。
- 直腸温34.0℃。室温22.0℃。顎、肩および股関節の硬直が軽度である。
- 検案時の死斑の出現部位はどれか。
- a. 顔面
- b. 下半身の背面
- c. 下半身の全面
- d. 全身の背面
- e. 全身の全面
[正答]
※国試ナビ4※ [103G041]←[国試_103]→[103G043]
[★]
- (1) 出血死では減弱する。
- (2) 一酸化炭素中毒による死亡患者では暗紫色を呈する。
- (3) 死体が腹臥位であっても体背面に出現する。
- (4) 死後30分~1時間で明瞭となる。
- (5) 死後7~10時間経つと圧迫しても消えない。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G068]←[国試_098]→[098G070]
[★]
- 室温15℃前後の室内において死後約12時間経過した死体にみられるのはどれか。
- a 瞳孔が透視できない。
- b 腹壁の緑変が始まる。
- c 関節の硬直が高度である。
- d 体温が15℃に下がっている。
- e 体位を変えると死斑が容易に転移する。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G013]←[国試_104]→[104G015]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096B023]←[国試_096]→[096B025]
[★]
- 高齢者が自室内で心肺停止状態で発見された。外因死を最も強く示唆するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B023]←[国試_108]→[108B025]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096G074]←[国試_096]→[096G076]
[★]
- 英
- early postmortem change, postmortem phenomena at early stage
- 関
- 死体現象
早期死体現象
- 死後1-2時間で発現、5-6時間で著明、12-15時間で最高。死後5-6時間以内の体位変化で死斑の移動。8-10時間くらいまでは死斑が移動しうる。死後12時間くらいまでは死斑を圧迫すると消失。死後24時間以降は消退しなくなる(SLE.263)
- 死後2-3時間で発現(顎関節、頚関節→上肢関節→下肢関節)。6-8時間で全身の関節に及ぶ。12-15時間で最高となる。死後1日から1日半持続。30-36時間で発現した順序に従って緩解が始まる。夏2-3日、冬4-5日で完全に緩解、消失(SLE.263)
- 3. 体温の降下(死体冷却) → 低体温の場合がある。
- 死体の直腸温:死後1-2時間は殆ど低下しない。10-12時間までは直線的かつ急激に低下。以降、気温とゆるかやに平衡に達する。(SLE.265)
- 1時点測定法:死後10時間までは1時間あたり1度低下、10-20時間までは0.5時間低下するとして推定。夏:1.4倍、冬:0.7倍、太った人:1.2倍、やせた人:0.8倍。(SLE.266)
- 4. 角膜混濁:24時間以降に顕著
- 5. 死体の乾燥(表皮の乾燥)
- 6. 眼圧の低下
[★]
- 同
- cadaveric lividity, hypostasis
- 関
- 早期死体現象、死斑
[★]
- 関
- 死の不確徴、早期死体現象
[★]
- 英
- macula
- 関
- 発疹