- 英
- ketone body, ketone bodies
- 同
- アセトン体 acetone body
- 関
- ケトーシス
ケトン体
ケトン体の生合成
ケトン体の代謝
検査
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/06/13 10:34:35」(JST)
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ケトン体(ケトンたい)とは、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの総称。脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物である。
一般に、解糖系やβ酸化で生産されたアセチルCoAは速やかにクエン酸回路により消費される。しかし、肝臓において過剰のアセチルCoAが産生されると、肝臓のミトコンドリア中でアセチルCoAは3-ヒドロキシ酪酸あるいはアセト酢酸に変換される。3-ヒドロキシ酪酸は酵素的にアセト酢酸に変換され、βケト酸であるアセト酢酸は不安定な物質で容易に非酵素的に脱炭酸してアセトンへと変化する。このようなケトン体が過剰な状態ではケトン血症やケトン尿症を引き起し、呼気中にアセトンが発せられ、尿中にケトン体が含まれるようになる。このような病状をケトーシスと呼ぶ。単胃動物ではケトン体は肝臓でのみ合成される。
一般にケトーシスはグルコース代謝に異状をきたし、代償的にケトン体でエネルギー代謝を賄おうとして引き起こされる。例えば、重度の糖尿病患者では、β酸化の過度の亢進などにより肝臓からこれらのケトン体が大量に産生される。インスリンはグルコースの利用を促進するホルモンであるが、1型糖尿病患者ではインスリンが欠乏しているために肝臓、筋肉といった組織が血糖を取り込むことができず、脂肪酸からβ酸化によりアセチルCoAを取り出し、TCAサイクルを回すことでエネルギーを調達する。このケトンによってアシドーシス(血液が酸性に傾く状態)となる。このようなケトンによるアシドーシスは特にケトアシドーシスと呼ばれ、特に糖尿病によって引き起こされた場合を糖尿病性ケトアシドーシスという。グルコースが枯渇しているような絶食時、激しい運動時、高脂肪食においてもケトン体が生成される[1]。
脂肪酸は脳関門を通れないため、脳は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[2]。絶食等によりグルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体(アセト酢酸)もグルコースと同様に脳関門を通過でき[3]、脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて脳細胞のミトコンドリアのTCAサイクルでエネルギーとして利用される。なお、ケトン体のうちアセトンは最終代謝物なのでエネルギーに変換できない[2]。ケトン体は骨格筋、心臓、腎臓などでもエネルギー源となるが、肝臓ではエネルギー源として利用できない[1]。
脚注
- ^ a b http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%82%B1%E3%83%88%E3%83%B3%E4%BD%93 ケトン体 - 薬学用語解説 - 日本薬学会
- ^ a b “ケトン体合成”. 講義資料. 福岡大学機能生物化学研究室. 2011年10月18日閲覧。
- ^ http://www.nms.ac.jp/ig/biocell/topics/youngbook2.html
関連項目
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- 英
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- 同
- immunoreactive insulin IRI ← ELISAを利用して定量されるインスリン(臨床検査医学)
- 関
- インスリン製剤、インスリン受容体
- レギュラーインスリン、1型インスリン
分類
性状
産生組織
- プレプロインスリンの生合成@粗面小胞体 → プレプロインスリン -(切断@小胞体)→ プロインスリンはゴルジ体に輸送 -(切断@ゴルジ体小胞体)→ インスリン
標的組織
作用
- 全般的な傾向として、同化作用↑、異化作用↓(糖新生↓)
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- 肝臓・筋肉でNa-Kポンプを活性化(PT. 482)。Na/H交換体、Na-K-2Cl共輸送体、Na/K-ATPaseを活性化。
- 高カリウム血症の治療にはインスリン&グルコースの投与
- 肝細胞でグリコーゲン合成↑
- アミノ酸取り込み↑→タンパク質合成↑
- 脂肪合成↑
- 脂肪分解↓
分泌の調節
-
- 細胞外K濃度↑→膵臓β細胞脱分極→インスリン分泌↑
-
- 細胞外K濃度↓→膵臓β細胞再分極→インスリン分泌↓
分泌機構
- 1. グルコース→解糖系→ATP↑→KATP閉鎖→脱分極→VDCC解放→[Ca2+]i↑→インスリン開口分泌*2a. ペプチドホルモン→Gsα活性化→AC↑→cAMP↑→PKA↑→インスリン開口分泌
- 2b. ノルアドレナリン→Giα活性化→AC↓→cAMP↓→PKA↓→インスリン分泌抑制
- 3. アセチルコリン→PLC活性化→
→IP3↑→[Ca2+]i↑→インスリン開口分泌
→DAG↑→PKC活性化→インスリン開口分泌
作用機序
臨床関連
- インスリン作用不足による代謝障害
- 血漿中:ブドウ糖↑、アミノ酸↑、遊離脂肪酸↑、ケトン体↑
- →インスリン抵抗性
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- 英
- acetone odor
- 関
- ケトーシス、ケトン体
[★]
- 英
- β-hydroxybutyrate, β-hydroxybutyric acid, beta-hydroxybutyrate
- 同
- 3-ヒドロキシ酪酸 3-hydroxybutyrate 3-hydroxybutyric acid,D-3-ヒドロキシ酪酸 D-3-hydroxybutyrate,ヒドロキシ酪酸 hydroxybutyrate
- 関
- ケトン体、酪酸
- 3-hydroxybutyrate カルボキシ基の炭素が1位
- β-hydroxybutyrate カルボキシ基に隣接する炭素がα位
- 脂肪のβ酸化が亢進するときに生じる。
- 3分子のアセチルCoAでHMG-CoAを生じ、HMG-CoAリアーゼによりアセト酢酸が生じる
[★]
- 英
- ketosis (FB)
- 同
- ケトン血症、インスリン依存性糖尿病
- 関
- ケトン、ケトン体
[show details]
- アセト酢酸の代謝分解より生成の方が早い
- 呼気がアセトン臭
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- 英
- acetoacetic acid, acetoacetate
- 同
- 3-オキソ酪酸 3-oxobutyric acid、β-ケト酪酸 β-ketobutyric acid
- 関
- ケトン体
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- 英
- test of keton bodies
- 関
- ケトン体、ケトン体定性
[★]
- 英
- total ketone bodies, total ketone body
- 関
- ケトン体
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- 英
- ketone body fraction
- 関
- ケトン体
[★]
- 関
- ケトン体、ケトン体検査法
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー