- 英
- eclampsia
- 関
- 妊娠中毒症
- 妊娠子癇 antepartum eclampsia
- 分娩子癇
- 産褥子癇 puerperal eclampsia
概念
- 脳出血、脳梗塞、てんかんなど痙攣を起こす疾患は子癇に含まれない。
時期による分類
診断
- 鑑別診断:脳出血、脳梗塞、てんかん ← 脳出血がないかCTを取る
予後
- 産褥子癇 > 妊娠子癇
- 子癇の1/4でみられる高血圧性脳出血は予後不良
- 発作が頻回にわたる場合は予後不良
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/17 08:01:39」(JST)
[Wiki ja表示]
|
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2011年10月) |
子癇(しかん、ラテン語: Eclampsia)とは周産期に妊婦または褥婦が異常な高血圧と共に痙攣または意識喪失、視野障害を起こした状態である。分娩前にも分娩中にも産褥期にも起こりうる。
子癇の本質は高血圧にともなう脳組織の循環障害と機能障害であり、非妊娠個体においても痙攣や意識障害などの中枢神経症状として発症する高血圧脳症(高血圧クリーゼ)の類縁疾患である。妊娠に伴って発症した高血圧疾患を妊娠高血圧症候群といい、単に高血圧を伴う場合(妊娠高血圧)と、高血圧蛋白尿が合併した状態(妊娠高血圧腎症)に分類されるが、子癇発生のリスクは妊娠高血圧腎症の方が高い。なお、妊娠高血圧腎症は英語ではpreeclampsiaとされ、その直訳は「子癇前症」になり、ときおりその訳語が内科領域などで使用されることがある。しかし、2005年に日本産科婦人科学会で正式に採択された妊娠高血圧症候群の定義分類では、「子癇前症」の呼称は「子癇の切迫した症状」と混同される可能性があるとの理由から敢えて用いず、「妊娠高血圧腎症」との病名が選択された。なお、もともと高血圧を持っていた妊婦が妊娠中に蛋白尿を伴った場合や、腎疾患にて蛋白尿を持っていた妊婦が妊娠中に高血圧を伴う場合を合わせて「加重型妊娠高血圧腎症(preeclampsia superimposed chronic hypertension and/or renal diseases)」と言い、やはり子癇発生リスクが高い状態と考えられる。
目次
- 1 病因
- 2 症状
- 3 疫学
- 4 鑑別疾患
- 5 合併症
- 6 治療
- 7 社会とのかかわり
- 8 脚注
- 9 参考文献
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
病因
妊娠高血圧腎症に伴う高血圧と末梢循環機能障害の結果として、脳の循環血流量の変化を介した血流自動調節能の障害がおこり、局所的な浮腫による機能障害を原因として痙攣や意識障害、視野障害が起こると考えられている。なお、同様の機序として肝臓の動脈が攣縮した場合がHELLP症候群であると考えられている。症状だけからは、妊娠中に発生した脳卒中との区別は難しいことがある。
妊娠高血圧腎症は妊娠初期から中期にかけての期間、血管内皮増殖因子や胎盤増殖因子に対する抑制因子の存在により胎盤形成過程に障害がおこることが主要病因とされており、その他、母体の高血圧性素因やインスリン感受性の異常なども病態形成に重要な役割を果たすとされている。それらの原因により母体全身の血管内皮細胞の機能が障害され、プロスタサイクリンやNO産生障害、アンギオテンシンIIへの感受性亢進、などの結果末梢血管が収縮し、弾力が低下して高血圧を生じる。また、血液凝固線溶系異常なども起こり、DICを起こしやすい状態となる。
ほかのリスク因子として初産、妊娠高血圧腎症の既往、多胎、高齢(35歳以上)・若年(18歳以下)などがある。
症状
- 頭痛、視覚障害、左上腹部痛、心窩部痛などがみられることもある。
- 基本的には痙攣発作と意識消失である。あえて典型例を示すのなら、
-
- 誘導期:意識消失、瞳孔散大、対光反射消失、眼筋痙攣、顔面痙攣
- 強直性痙攣:痙攣が全身に広がる、後弓反射、呼吸停止、これらは10秒程度続く。
- 間代性痙攣:間歇的痙攣、瞳孔散大、チアノーゼ、これらが1分程度続く。
- 昏睡期:痙攣発作やチアノーゼはおさまるが、顔面浮腫、いびきを伴う昏睡
疫学
妊娠高血圧症候群患者の約1%にみられる。妊娠子癇が50%、分娩子癇と産褥子癇が50%程度である。先進国においては、分娩全体の0.05%に起こる。貧困層あるいは発展途上国ではさらに高い。子癇発作は未治療で放置すれば反復しやすい(重責発作)。反復することにより脳浮腫をきたし、致死的となる。途上国に於いては子癇による死亡率は高い。
鑑別疾患
妊婦の意識障害を起こす疾患を以下に列記する。
- 子癇
- 脳血管障害:脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、動脈瘤など
- 脳腫瘍
- 代謝異常、糖尿病
- 尿毒症、肝不全
- てんかん
- 外傷
- 中毒
意識障害からの回復がおそい、麻痺などの神経学的な所見があるといった場合、子癇以外を考えるべきである。しかし、これらの疾患には子癇に続発して起きるものもあり、何より救命を優先して治療すべきである。治療の項に述べるように、本症は暗室にて絶対安静が必要であり、十分な痙攣発作再発予防策を取った上で動かすことが可能になるまではCTスキャンなどの方策は採りがたい。
合併症
脳血管疾患
妊娠中の脳出血はまれな疾患であるが、その多くの割合が子癇に続発するものである。アメリカにおける疫学調査では、全妊娠中で脳出血を起こす危険度は10万対で7.1(=0.0071%)であるが、その3~4割が子癇や妊娠高血圧腎症に続発するものであり、オッズ比で言えば10倍にもなる[1]。フランス[2]、タイ[3]等の疫学調査の結果も同様であった。
また、妊娠中の脳梗塞の発生率は10万対で4.3だが、その4割もやはり子癇や妊娠高血圧腎症に続発するものである[2]。また一過性盲が見られ、一過性脳虚血発作も起きているものと考えられる[4]。
従って、子癇と診断された患者に後になって脳出血が発見されたとしても、それのみを以って誤診と決め付けることはできない。こうしたことから、
- マグネシウムに反応しない
- 意識障害が遷延する
- 巣症状を認める
などの症状を呈した患者にはCT撮影を推奨した研究もある[5][6]。 しかし疫学の節で述べた子癇の発生率から逆に計算すれば、子癇発作の中でも脳出血に発展する確率は1%にも満たない。前述の通り、子癇発作の直後は体動や光などわずかな刺激で再度の痙攣発作を誘発し、生命に関わる。そのため子癇の状況で、特別脳出血を疑う所見がない限り頭部CTなどは原則として撮ることはない。
治療
子癇の治療の目標としては、痙攣の制御、低酸素血症の補正、高血圧の管理、分娩の管理である。
- 抗痙攣薬:硫酸マグネシウム[7]、フェニトイン、ジアゼパム、フェノバルビタール[8]などを緩徐に静注する。
- 舌損傷の予防:バイトブロック挿入、患者をひとりにしない。
- 気道確保、酸素投与
- 降圧薬:ヒドララジン、ラベロールなど
- 輸液管理:尿道カテーテルを挿入し、尿量をみる。乏尿では観血的血圧測定の適応となる。
社会とのかかわり
子癇と脳血管障害に関連した症例で、社会問題となったものがある。たとえば大淀町立大淀病院事件である。
脚注
- ^ Bateman BT, Schumacher HC, Bushnell CD, Pile-Spellman J, Simpson LL, Sacco RL, Berman MF. "Intracerebral hemorrhage in pregnancy: frequency, risk factors, and outcome." Neurology. 2006 Aug 8;67(3):424-9. PMID 16894102
- ^ a b Sharshar T. "Incidence and causes of strokes associated with pregnancy and puerperium. A study in public hospitals of Ile de France. Stroke in Pregnancy Study Group." Stroke. 1995 Jun;26(6):930-6. PMID 7762040
- ^ Chinayon P. "Clinical management and outcome of eclampsia at Rajavithi Hospital." J Med Assoc Thai. 1998 Aug;81(8):579-85. PMID 9737110
- ^ Zeeman GG; Fleckenstein JL; Twickler DM; Cunningham FG Cerebral infarction in eclampsia. Am J Obstet Gynecol 2004 Mar;190(3):714-20. PMID 15042004
- ^ Akan H, Kucuk M, Bolat O, Selcuk MB, Tunali G. "The diagnostic value of cranial computed tomography in complicated eclampsia." J Belge Radiol. 1993 Oct;76(5):304-6. PMID 8119869
- ^ Witlin AG, Friedman SA, Egerman RS, Frangieh AY, Sibai BM. " Cerebrovascular disorders complicating pregnancy--beyond eclampsia." Am J Obstet Gynecol. 1997 Jun;176(6):1139-45; discussion 1145-8. PMID 9215166
- ^ Sibai BM. Magnesium sulfate prophylaxis in preeclampsia: Lessons learned from recent trials. Am J Obstet Gynecol 2004 Jun;190(6):1520-6. PMID 15284724
- ^ Sibai BM. "Diagnosis, prevention, and management of eclampsia." Obstet Gynecol. 2005 Feb;105(2):402-10. Review. PMID 15684172
参考文献
関連項目
外部リンク
- メルクマニュアル第17版日本語版
- Maternal Vitamin D Deficiency Increases the Risk of Preeclampsia
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 子癇 eclampsia
- 2. 子癇前症:臨床的特徴および診断 preeclampsia clinical features and diagnosis
- 3. 産後ケアの概要 overview of postpartum care
- 4. 子癇前症:管理および予後 preeclampsia management and prognosis
- 5. 妊娠中および周産期の重症疾患 critical illness during pregnancy and the peripartum period
Japanese Journal
- 6)CQ315子癇の予防と対応については?(産科改訂版,産婦人科診療ガイドライン解説,第63回日本産科婦人科学会 第63回学術講演会生涯研修プログラム,研修コーナー)
- 3)子癇の予防と発作時の対応(I.重症妊娠高血圧症候群の重篤な合併症予防対策,日産婦医会共同企画 症例から学ぶ-ハイリスク妊娠への対応,第63回日本産科婦人科学会 第63回学術講演会生涯研修プログラム,研修コーナー)
- 前駆症状と頭部MRIによる子癇の発症予測 (特集 最新情報からみた周産期医療と画像診断)
Related Links
- 妊娠・子育て用語辞典 - 子癇の用語解説 - 妊娠高血圧症候群によって起こった妊産婦の意識消失やけいれん発作をいいます。そのほとんどは妊娠末期に起こり、この場合、死亡することも少なくありません。妊娠高血圧症候群を予防 ...
- 子癇前症は妊娠高血圧に蛋白尿が加わったものである。子癇は子癇前症の患者における原因不明の全身性発作である。子癇前症および子癇は妊娠20週から産後1週目の終わりまでに発症する。診断は臨床的に,さらに尿蛋白測定により ...
- 妊婦の約3~7%が子癇前症(妊娠中毒症)を発症します。この合併症の主な症状はタンパク尿を伴う血圧上昇です。子癇前症は妊娠20週以降に発症し、出産後の1週間を迎える前の発症が多く認められます。 子癇前症の原因はわかって ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、1~3の問いに答えよ。
- 34歳の初産婦。胎児の異常を指摘され、妊娠31週に近医の紹介で精査のため入院した。
- 現病歴 : 妊娠初期に特記すべきことはなく、妊娠29週ころから軽度の腹部緊満感を訴えていた。妊娠30週の妊婦健康診査で胎児の異常を指摘された。
- 既往歴・家族歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 意識は清明。身長155cm、体重58㎏。体温36.0℃。脈拍80/分、整。血圧98/64mmHg。下肢に浮腫を認める。触診上、胎児は第1頭位であった。子宮底長32cm。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球320万、Hb10.2g/dl、Ht30%、白血球9,800、血小板20万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.0g/dl、アルブミン3.1g/dl、クレアチニン0.5mg/dl、AST22単位、ALT20単位、LDH180単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ350単位(基準260以下)。胎児の腹部超音波写真(別冊No.1A)と胎児MRIのT2強調冠状断像(別冊No.1B)とを別に示す。
- 入院後の経過:腹部緊満感が徐々に強くなり、妊娠33週には子宮底長が38cmとなり、軽度の呼吸困難を訴えるようになった。超音波検査で羊水腔の拡大が認められる。胎児心拍数パターンに以上を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [099H030]←[国試_099]→[099I002]
[★]
- 25歳の女性。反復する嘔吐と著しい体重減少とを主訴に来院した。重症妊娠悪阻の診断で緊急入院となった。絶食とし、糖質と電解質との輸液によって悪阻は軽減した。入院後3週目ころから急に、歩行がふらつき、物が二重に見えるようになり、会話内容も支離滅裂になった。意識は軽度混濁、見当識障害を認める。身長156 cm、体重39㎏。体温36.5℃。呼吸数18/分。脈拍88/分、整。血圧120/70mmHg。皮膚色は正常。貧血と黄疸とを認めない。胸部にラ音を聴取しない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫はない。眼振、眼球運動制限および歩行失調を認める。四肢麻痺、けいれん及び項部硬直はない。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A050]←[国試_099]→[099A052]
[★]
- 28歳の女性。妊娠36週。けいれん発作のため搬入された。家族によると、突然意識を失った後に全身のけいれんが起こったという。受診時にけいれんは治まっていたが、昏睡状態は続いている。頭部MRIのT2強調像(別冊No.21A)と拡散強調像(別冊No.21 B)とを別に示す。
- この患者の脳にみられる病態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I066]←[国試_105]→[105I068]
[★]
- 37歳の初妊婦。妊娠28週の定期妊婦健康診査で来院した。既往歴に特記すべきことはない。身長158cm、体重58.5kg。2週前より1.5㎏の増加を認める。仰臥位で脈拍108/分、整。血圧156/92mmHg。下腿に指圧痕を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球380万、Hb10.8g/dl、Ht38%、白血球9,200、血小板31万。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097I050]←[国試_098]→[098A002]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105C001]←[国試_105]→[105C003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107H038]←[国試_107]→[107I002]
[★]
- a. 妊娠中全ての痙攣発作をいう
- b. 妊娠高血圧症候群重症と判定する
- c. 予防に硫酸マグネシウムを使用する
- d. 児の分娩後には痙攣発作は生じない
- e. わが国の妊産婦死亡原因の第1位である
[★]
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- 英
- HELLP syndrome hemolysis, elevated liver enzymes, low platelets
- 同
- ヘルプ症候群
概念
- 溶血、肝臓酵素上昇、血小板減少を伴う。(NGY.399)
- 本疾患の溶血は微小血管障害性に起因する(参考6)ものであり、これで肝臓酵素上昇、血小板減少が説明できると思われる。
- 放置するとDICを発症する。(NGY.399)
- 妊娠高血圧症候群に伴うことが多い(NGY.399)。しかし15-20%の本疾患の患者では発症前に高血圧や蛋白尿を示していないため、妊娠高血圧腎症とは別の疾患概念と考える専門家もいる。(参考6)
疫学
- 発生頻度:0.021%、妊娠高血圧症候群の約2%(NGY.399)
臨床所見
- 右上腹部圧痛 80%
- 浮腫を伴う体重増加 60%
- 高血圧(重症 50%, 軽症 30%, なし 20%)
症状(NGY.399)
- 上腹部痛・心窩部痛(90%)、疲労感・倦怠感(90%)、嘔気・嘔吐(50%)
合併症
- DIC 20%
- 常位胎盤早期剥離 16%
- 腎不全 7%
- 肝破裂
- (子癇発作を起こしやすい)
診断
- 参考5
- 1. 肝機能:血清AST(GOT)値70U/l 以上、血清LDH 値600U/l 以上
- 2. 溶 血:血清間接ビリルビン値1.2mg/dl 以上、血清LDH 値600U/l 以上。病的赤血球の出現
- 3. 血小板数減少:血小板数10 万/μ l 以下
- 2)Sibai の基準を全て満たさなくても以下のような基準をひとつでも満たす場合には、HELLP 症候群発症を警戒し、注意を喚起する(妊娠中毒症学会HELLP 症候群検討小委員会)
- 1. 肝機能:血清AST(GOT)値、血清LDH 値が各施設の正常域を越えて高値の場合
- 2. 溶 血:血清間接ビリルビン値、血清LDH 値が各施設の正常域を越えて高値の場合
- 3. 血小板数減少:血小板数15 万/μ l 以下の場合
- 4. その他:血中アンチトロンビン活性が正常値の80% 未満の低下を示した場合やハプトグロビン値の低下した場合
鑑別疾患
治療
- 参考6
- 初期治療の方針:母体の安定化と胎児の評価を行い、急速遂娩の必要性を評価
- 1. termination:最良の治療法
- 以下に当てはまれば急速遂娩の適応:(1)妊娠34週以降である、(2)胎児の状態がnon-assureing statusである、(3)重篤な母体状態(多臓器不全、DIC、肝梗塞、肝出血、腎不全、早期胎盤剥離)である。
治療の禁忌
- 参考5
- 病態に交感神経活性化があるために、β受容体拮抗薬(リトドリン)、副交感神経遮断薬(ブスコパン)は血管攣縮を助長するため禁 ← 前者はα受容体の相対的活性化、後者は交感神経優位となるため、と思う。
予後
資料
- 1. HELLP, TTP, HUS の診断およびその管理
- http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5102-31.pdf
- 2. 妊娠高血圧症候群 - 日本産科婦人科学会 - 日産婦誌58巻5号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5805-061.pdf
- 3. 2)妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群) HELLP 症候群 - 日本産科婦人科学会
- http://www.jsog.or.jp/PDF/57/5709-257.pdf
- 4. HELLP症候群の診断と対応(児娩出後の悪化への対応) - 日本産科婦人科学会 - 日産婦誌62巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/62/6209-273.pdf
- 5. C.産科疾患の診断・治療・管理 6.異常分娩の管理と処置 - 日産婦誌56巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5606-107.pdf
- 6. [charged] HELLP syndrome - uptodate [1]
[★]
- 英
- pregnancy induced hypertension, PIH
- 関
- [[]]
- 妊娠中毒症の名称、定義、分類は2005年4月で改正された
定義 NGY.392
- 妊娠20週以降、分娩後12週までに1),2)のいずれかであって、かつこれらの症候が偶発合併症によらないもの
- 1) 高血圧が見られる
- 2) 高血圧にタンパク尿を伴う
疫学
- 初産婦、高齢妊婦(35歳以上)で発生しやすい
- 妊娠前BMI24以上で2-3倍の発症率
- 双胎妊娠では30-40%発症リスクが高まる。
分類
病型
- 以前からの蛋白尿 + 妊娠20週以降の高血圧
- 以前からの高血圧 + 妊娠20週以降の蛋白尿
- 以前からの高血圧・蛋白尿 → 妊娠20週以降に増悪
重症度
|
軽症
|
重症
|
収縮期血圧
|
140-160mmHg
|
>160mmHg
|
拡張期血圧
|
90-110mmHg
|
>110mmHg
|
蛋白尿
|
300-2000mg/day
|
>2000mg/day
|
妊娠高血圧腎症と加重型妊娠高血圧腎症の比較
- QB.P-239
|
妊娠高血圧腎症
|
加重型妊娠高血圧腎症
|
経産回数
|
初産婦に多い
|
経産婦に多い
|
後遺症
|
なし(分娩後早期に症状消失)
|
高血圧
|
再発
|
難
|
易。妊娠回数に比例
|
病態生理
- 組織レベルでは、血圧上昇・血管収縮(血管の攣縮)、凝固の促進(血管内凝固の促進)、腎の虚血、糸球体障害、血管透過性の亢進が起きており、鼓音結果として高血圧、蛋白尿、浮腫をきたすと考えられている。(NGY.394)
病理
- 胎盤:胎盤血管の壊死、血栓形成。
- 腎臓:メサンギウム細胞、上皮細胞、内皮細胞を中心とした増殖性糸球体の変化を生じる。蛋白尿の原因は限外濾過の破綻である。(NGY.394)
症候
治療
- NGY.396 G10M.99
- 極端な塩分・水分制限は循環動態を悪化させる
- 浮腫:利尿薬の使用は子宮胎盤循環を悪化させうるので肺水腫合併以外には禁忌。
- 子癇:予防的に硫酸マグネシウム投与
- 血栓:予防的にアンチトロンビン、ヘパリンなど
[★]
- 英
- neutrophilia
- 同
- 好中球増多、好中球増加、好中球増加症
- 顆粒球増加症 granulocytosis、好中球性白血球増加症 neutrophilic leukocytosis
- 関
- 白血球増多症
[show details]
定義
- 成熟好中球の絶対数が8x103/uL以上に増加している状態
- OLM 94,95
-
-
国試
[★]
- 英
- intracranial hypertension, increased intracranial pressure
- 同
- 脳圧亢進 brain hypertension
- 関
- 頭蓋内圧、頭蓋内圧亢進症
PON.594-595
頭蓋内圧亢進を来す疾患
症状
- 頭痛、嘔吐、視力障害(うっ血乳頭)、外転神経麻痺(頭蓋内での走行が長いので障害を受けやすい?)
- 脳ヘルニアに至れば、意識障害、呼吸障害、クッシング現象(徐脈、血圧上昇)
- 頭痛は早朝に出現することが多い。血中CO2濃度が上昇にするため。(脳血管拡張にてさらなる脳圧の亢進が見られる?)
[★]
- 英
- eclamptic attack, eclamptic fit
- 関
- 子癇
[★]
- 英
- intrapartum eclampsia
- 関
- 子癇
[★]
- 英
- eclamptic
- 関
- 子癇