抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
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- the 1st letter of the Roman alphabet (同)a
- the blood group whose red cells carry the A antigen (同)type_A, group A
- in the Christian era; used before dates after the supposed year Christ was born; "in AD 200" (同)A.D., anno_Domini
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- answer / ampere
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/05/24 00:00:10」(JST)
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抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 |
分類および外部参照情報 |
診療科・
学術分野 |
内分泌学 |
ICD-10 |
E22.2 |
ICD-9-CM |
253.6 |
DiseasesDB |
12050 |
MedlinePlus |
003702 |
eMedicine |
emerg/784 med/3541 ped/2190 |
MeSH |
D007177 |
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(こうりにょうほるもんふてきごうぶんぴつしょうこうぐん、英:Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:以下、アクロニムを用いてSIADHと記載)とは、尿量を減少させる作用を持つホルモンであるバソプレッシンが血漿浸透圧に対して不適切に分泌、または作用することによって起こる症候群。
目次
- 1 バソプレッシンについて
- 2 原因
- 3 病態
- 4 症状
- 5 検査所見
- 6 鑑別すべき疾患
- 7 治療
- 8 脚注
- 9 関連項目
バソプレッシンについて
バソプレッシンは、下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモンである。バソプレッシンは血管を収縮させて血圧を上昇させる作用のほかに、腎臓での水再吸収を促進させることにより尿量を減少させる作用を持つ。バソプレッシンはこの二つの作用により循環血液量と血圧の維持を行っている。後者の作用のため、バソプレッシンは抗利尿ホルモン(英:Antidiuretic hormone:ADH)という別名を持つ。
ADHの分泌は血漿浸透圧の上昇(すなわち、水分の減少=循環血液量の減少)および血圧の低下により促進され、その逆では抑制される。
原因
SIADHは、血漿浸透圧が低下しているにもかかわらずADHの分泌が不適切に多いか、あるいは腎臓のADHに対する感受性が高まっているために起こる。単独の病気として起こることは基本的になく、別の疾患の合併症あるいは部分症状として発症する。
ADHの不適切な分泌の原因としては、肺疾患(肺癌、特に小細胞癌など)や中枢神経疾患(代表的には髄膜炎)が多いが、そのほかにもADH産生性の腫瘍によるもの、薬剤性のものなどがある。薬剤の中には、腎臓のADHに対する感受性を変化させ、結果的にSIADHの症状を来たすものもある。[1]
病態
ADHの過剰分泌、ないしは過剰作用によって腎臓における水の再吸収が亢進し、循環血液量(正確には細胞外液量)が増加する。その結果、血液が希釈され低ナトリウム血症を来たす。一方で、循環血液量の増加はナトリウムの排泄を増加させるため(糸球体濾過量の増加や、心房性ナトリウム利尿ペプチドの分泌が亢進することによる)、低ナトリウム血症はさらに進行する。
症状
循環血液量の増加に伴って尿量は増加するため、尿量の減少(乏尿)は目立たない。浮腫となることも通常はない、あるいは基礎疾患に伴う浮腫のためにSIADHによる浮腫として認識されない。低ナトリウム血症が重篤となれば、意識障害や痙攣などの神経症状が出現する。
実際には、別の目的で行われた血液検査によって偶然に低ナトリウム血症が発見されることからSIADHが診断されることが多い。
検査所見
- 血液所見
- 血漿浸透圧の低下、血清ナトリウム濃度の低下(低ナトリウム血症)がみられる。ADHの測定を実際に行う必要があることは少ないが、測定すると必ずしも高値ではないことが多い。これは、SIADHではADHが異常に多量に分泌されているわけではなく、血漿浸透圧が低下してもADHの分泌量が減少しないことによって発症しているからである。ADH産生性腫瘍によるSIADHは例外で、ADHの著明な高値を認める。
- 尿所見
- 尿量は必ずしも減少しない。低ナトリウム血症および血漿浸透圧の低下があるにもかかわらず、尿浸透圧が比較的高い(100mOsm/kg以上)こと、尿中ナトリウム排泄量が多い(20mEq/日以上)ことが特徴的所見である。
鑑別すべき疾患
副腎不全や慢性原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)の急性増悪(アジソンクリーゼ)を鑑別する必要がある。これらはいずれも、低ナトリウム血症と尿中へのナトリウム排泄亢進を示すからである。下痢・嘔吐に伴う低浸透圧性の脱水も鑑別されなければならない(治療法が正反対である)。
治療
水分制限が第一の治療である。テトラサイクリン系抗生物質が腎に対するADHの作用を阻害するため、低ナトリウム血症が遷延する例では投与が考慮される。フロセミドなどのループ利尿薬はあまり有効ではなく、電解質代謝異常を却って悪化させる可能性もあるため投与には慎重を要する。
神経症状が出現しているような場合には高張食塩水の点滴を行うが、急速に低ナトリウム血症を補正しようとすると重篤な中枢神経障害を起こす危険がある(急速に上昇した血漿浸透圧のために、脳から水が吸いだされてしまうため)。そのため、低ナトリウム血症の補正は緩徐に慎重に行わなければならない。
異所性ADH産生腫瘍によるSIADHの場合、モザバプタンを使用することができる。
脚注
- ^ 日内会誌 101: 1393-1396, 2012.
関連項目
- 内分泌学
- バソプレッシン
- 下垂体
- 腎臓
- 肺癌
- 細菌性髄膜炎
- クモ膜下出血
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ADH不適合分泌症候群(SIADH)を呈した Wegener 肉芽腫症の1例
- 磯部 全,須賀 達夫,濱口 重人,山口 昭三郎,原 健一郎,青木 史暁,青木 望,青柳 香菜,上野 学,前野 敏孝,倉林 正彦
- 日本呼吸器学会雑誌 = The journal of the Japanese Respiratory Society 45(9), 679-684, 2007-09-10
- NAID 10020117516
- 症例 ADH不適合分泌症候群を合併した筋萎縮性側索硬化症の1例
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- SIADH, (抗利尿ホルモン不適合分泌症候群) syndrome of inappropriate secretion of ADH 尿量を減少させる作用を持つホルモンであるバソプレッシンが血漿浸透圧に 対して不適切に分泌、または作用することによって起こる症候群。 (副作用でSIADHに) ...
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- 英
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone, (国試)SIADH
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuresis, SIAD
- 同
- 抗利尿ホルモン不適合分泌、ADH不適合分泌症候群 inappropriate antidiuretic hormone secretion inappropriate secretion of antidiuretic hormone syndrome inappropriate ADH syndrome IADHS、シュワルツ・バーター症候群 Schwartz-Bartter syndrome。抗利尿ホルモン分泌異常症。不適切ADH分泌症候群
- syndrome of inappropriate ADH、syndrome of inappropriate ADH secretion、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion、syndrome of inappropriate diuresis、syndrome of inappropriate secretion of ADH、syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
- 関
- バソプレシン AVP
病因
- 1. 抗利尿ホルモンが分泌される血漿浸透圧の閾値が異常となっている ← セットポイントの異常
- 2. 何らかの原因によって、恒常的に抗利尿ホルモンが分泌されている
HIM.2222改変
- 癌腫:肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱・尿路系
- その他:胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、gangliocytoma、ユーイング肉腫
- 頭部外傷
- 感染症
- 血管障害
- 神経疾患
- 先天奇形
- 代謝異常
- 薬剤性
病態生理
- なぜ、waterのreabsorptionが増えるにもかかわらず、血圧が上昇しないの?
- HIM.2222
- 何らかの原因による不適切な抗利尿ホルモンの分泌 → 水の過剰な保持 →
- 1. → 細胞外液の増加 → (1)糸球体濾過量の増加と心房性利尿ペプチドの分泌、(2)レニン活性の抑制(supresses plasma renin activity)、(3)尿ナトリウム排泄の増加
- 細胞外液の増加を相殺しているが、その代償としてナトリウムを喪失し、低ナトリウム血症の増悪に繋がっている。 ← このために血圧は正常で、浮腫も起きないし、体液量も増えないと。
- 2. → 低ナトリウム血症 → 脳を含めた全身の細胞内液の増加 → 頭蓋内圧が亢進 → 急性水中毒症状
- 2-3日で脳の組織から水が排除されて症状が寛解する。
- 上記メカニズムに追加。
- 3. 1.の通り、循環血漿量の増加を招き、RAA系抑制などが起こる → 近位尿細管でのNa、水吸収低下(近位尿細管でのNa再吸収にはアンジオテンシンIIが関与) → 尿酸の再吸収低下、尿排泄増加(近位尿細管での挙動はNa、水と同じ、らしい) → 低尿酸血症
症状
- 低ナトリウム血症に基づくもの
- 尿量は変化がない ← 水の再吸収が亢進しているため??
検査
診断基準
- 1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
- 2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L未満で、血漿バゾプレシソ値が測定感度以上である。
- 3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。 ← 基準値:275-295 mOsmol/kg serum water(HIM.A)
- 4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kgを上回る。 ← 基準値:50-1200 mOsm/l (QB) , 500-800 mOsmol/kg water(HIM.A)
- 5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
- 6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl以下である。
- 7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6μg/dl以上である。
鑑別診断
治療
- 参考1
- 1.根治療 : 原疾患の治療を行う。
- 2.水分摂取制限: 1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
- 3.Na摂取 :食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
- 4. 自由水排泄 :重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
- 5.ADH拮抗阻害薬:異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
- 6.ADH拮抗阻害薬:デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する。
- 注意:急速な低Na血症の補正は橋中心髄鞘崩壊 CPMをきたす。
- ADH拮抗薬としては抗菌薬のデメクロサイクリン(レダマイシン)や抗てんかん薬のジフェニルヒダントイン(フェニトイン)が使われることがあった
参考
- http://square.umin.ac.jp/endocrine/tebiki/001/001008.pdf
国試
- 同
- 不適切ADH分泌症候群
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- incompatibility、incompatible
- 関
- 配合禁忌、配合変化、非両立、不適合性、不和合性、矛盾、両立しない、適合しない
[★]
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]