- 英
- brachial plexus (B)
- ラ
- plexus brachialis
- 図:N.413(模式図) N.457(枝の走行) KA.413(腕神経叢)
- 後頚三角にあり、前斜角筋と中斜角筋の間から出るところで3本の神経幹を作った後、外側に下行する。
- C5-T1までの5本の脊髄神経の前根が腕神経叢を作る
- 神経幹より近位の部分は、鎖骨より内側にある (N.412 KA.413)
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/26 13:19:25」(JST)
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右の頚部を切開したところの図。前斜角筋の後部から腕神経叢がでている。
腕神経叢(わんしんけいそう、brachial plexus)とは脊髄神経から分岐し頭・首・上肢のうちに鎖骨・上腕・前腕・手へ繋がる神経叢の名称。
腕神経叢は脊髄神経から分岐し頭部・背中・肩部と上肢のうち後頭部・首・鎖骨に繋がる頚神経叢と相互に連結しているためこれらを合わせて頚腕神経叢と呼ぶ。
目次
- 1 腕神経叢の構成
- 2 外側神経束外側
- 3 外側神経束内側と内側神経束外側の合流部
- 4 内側神経束内側
- 5 後神経束
- 6 腕神経叢の枝
- 7 鎖骨上枝
- 8 鎖骨下枝
- 9 腕神経叢麻痺
- 10 関連項目
腕神経叢の構成
腕神経叢は第5頚神経~第1胸神経の前枝から構成されており、根と神経幹と神経束の3つからなる。
第5、第6頚神経の前枝が合流し上神経幹、第7頚神経の前枝が中神経幹、第8頚神経と第1胸神経の前枝が合流し下神経幹を形成する。上・中神経幹からの枝(前部)が合流し外側神経束(C5~C7)、上・中・下の神経幹からの枝(後部)が合流し後神経束(C5~Th1)、下神経幹からの枝(前部)から内側神経束(C8、Th1)が形成される。
外側神経束外側
筋皮神経(C5~C7)
外側神経束内側と内側神経束外側の合流部
正中神経(C5~Th1)
内側神経束内側
尺骨神経(C8~Th1)
後神経束
橈骨神経(C6~C8)
腋窩神経(C5~C6)
腕神経叢の枝
腕神経叢の枝は大きく分けると、鎖骨上枝と鎖骨下枝に分かれる。
鎖骨上枝
肩甲背神経(C4~C6)
肩甲上神経(C5)
長胸神経(C5~C7)
鎖骨下筋神経(C5)
鎖骨下枝
- 胸背神経(C5~C8)
- 外側胸筋神経(C5~C7)
- 内側胸筋神経(C7~Th1)
- 肩甲下神経(C5~C7)
- 外側上腕皮神経
- 内側上腕皮神経
- 外側前腕皮神経
- 内側前腕皮神経
腕神経叢麻痺
- 原因は外傷、分娩麻痺、リュックサック麻痺、睡眠中の圧迫、腫瘍、肩関節脱臼、注射、手術などが考えられる。
-
- 上部麻痺(エルブ麻痺):C5-6の麻痺症状。三角筋、上腕二頭筋麻痺、肩関節挙上・肘関節屈曲・前腕回外障害などの運動麻痺。C5-6領域の知覚異常。
- 下部麻痺(クルンプケ麻痺):C8-Th1の麻痺症状。手指屈筋・手内筋・手関節掌屈筋障害などの運動麻痺。C8-Th1領域の知覚異常。
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 腕神経叢ブロック (特集 区域麻酔のリスクマネージメント)
- 腕神経叢損傷に対する横隔神経移行による肘屈曲再建術後の肺機能の検討
- 千原 一久,斉藤 貴徳,谷川 暢之,松矢 浩暉,石原 昌幸,飯田 寛和
- 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 中部日本整形外科災害外科学会抄録 54(5), 1061-1062, 2011-09-01
- NAID 10029799749
- 巨大ブラを有する患者に対する自発呼吸下腕神経叢ブロック併用全身麻酔の経験
- 関谷 伸一,南部 久男,西岡 満 [他]
- 日本セトロジー研究 (21), 1-8, 2011-06
- … カマイルカの頚椎と腕神経叢を肉眼解剖学的に検討した。 … 腕神経叢は第3-8頚神経(C3-C8)および第1胸神経(T1)から構成された。 … 横隔神経と肩甲上神経は、腕神経叢の頭側縁から分岐した。 … costo-coracoid筋(小胸筋)には胸筋神経と横隔神経からの枝、あるいは腕神経叢から直接分岐した枝が分布していた。 …
- NAID 40018960290
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★リンクテーブル★
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[正答]
※国試ナビ4※ [106I038]←[国試_106]→[106I040]
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- ☆case13 手の筋力の低下
- ■glossary
- brisk adj. (人・態度が)活発な、元気のよい、きびきびした。ぶっきらぼうな、素っ気ない。(商売が)活況の(⇔dull)。小気味のよい、(大気など)爽快な、気持ちのよい。(味などが)ピリッとする。鋭い。(飲料が)盛んに泡立つ
- dysarthria n. difficulty in articulating words due to disease of the central nervous system 構音障害
- dysphasia n. loss of or deficiency in the power to use or understand language as a result of injury to or disease of the brain 失語症、言語障害
- multidisciplinary adj. 集学的な
- gastrostomy 胃瘻造設術
- feeding gastrostomy n. Surgery A procedure in which an opening is created in the anterior wall of the stomach to allow suction decompression and improved respiratory function by eliminating the need for a nasogastric feeding tube
- ■症例
- 67歳、男性 元大学講師(retired university lecturer)
- 主訴:左手の筋力低下と筋萎縮
- 現病歴:左手を使った労作後に左手の筋力が低下する(例えば、ドライバーを使った後など)。前腕の筋に疝痛をみとめる。発話はわずかに流暢であり(slight slurred)、水を飲んだあとで窒息しだす。服用薬はシンバスタチン、アスピリン、アテノロール。喫煙はしない。飲酒は週にワインのボトルを1本あける。
- 既往歴:高血圧が15年間続いている。3年前に心筋梗塞。
- 家族歴:妻と暮らしている。大きくなった2人の子供がいる。
- ・診察 examination
- 血圧:146/88 mmHg。心血管系、呼吸器系、腹部に異常を認めない。上肢に萎縮を認める。特に左手に著しい萎縮を認める。両側の上腕の筋にいくらか線維性筋攣縮を認める。筋力は左で全般的に低下(globaly reduced)、右手でわずかに低下。筋緊張は正常。上腕二頭筋反射・上腕三頭筋反射は両側ともに活発に認められる(brisk)。感覚喪失(sensory loss)は認めない。わずかに構音障害を認める
- ■キーワード&着目するポイント
- 筋萎縮、線維性筋攣縮、感覚喪失なし
- ■解説
- (第1パラグラフ) 疫学
- ・この男は運動ニューロン疾患。
- ・この疾患は原因不明の疾患で、脊髄、脳神経核、運動皮質に影響を及ぼす。
- ・この病気は普通50-70歳で出現する。
- (第2パラグラフ) 症状
- ・筋力低下と筋萎縮は一側の手か腕にあらわれるのが一般的 ← 両側性でないということか。
- ・筋力低下は運動後に最も顕著に表れる
- ・前腕の疝痛は疾患の初期に一般的である。
- ・患者は下肢の筋力低下あるいは構音障害や言語障害を訴えてやってくることがある。
- ・この病態の特徴的な生理的徴候は線維性攣縮(筋束の不規則で早い収縮。下位運動ニューロンの障害を示唆) → 下肢の運動ニューロン損傷による筋肉の脱神経が原因
- ・反射は著明 → 皮質運動ニューロンの喪失による。
- ・感覚喪失はない
- (第3パラグラフ) 鑑別
- ・進行例では診断は容易だが、初期ではmore problematic。
- ・疲労で悪化する四肢の筋力低下は「重症筋無力症」と混乱する。
- ・老人における失語症と構音障害の原因は、「脳血管障害による偽性球麻痺」であることがより一般的。
- ・上肢に感覚障害を伴わない筋萎縮、線維束攣縮を呈する他の疾患として「頚髄症」がある。
- ・「外傷」や「心尖部肺癌(パンコースト腫瘍)」による腕神経叢の損傷で腕に症状があらわれるかもしれない。
- ・末梢運動神経優位のニューロパチーは対側性の筋力低下と反射の低下というパターンを起こす。 ← ?
- (第4パラグラフ) 症状・経過
- ・運動ニューロン疾患は進行性で不治の病態
- ・足の痙性麻痺を発現する傾向がある
- ・球麻痺は失語症と構音障害を起こす
- ・肛門括約筋は普通影響を受けない
- ・知能は一般的に影響を受けない
- (第5パラグラフ) 治療・管理
- ・この病態に対して治癒的な治療法はない
- ・発症から平均生存期間は2-4年
- ・医師は診断と予後について患者と家族に説明しなければならない。
- ・集学的なチームはサポートを提供しなければいけない。
- ・病気が進行して発話が悪くなったとき、コンピュータの使用で会話は補助されうる。
- ・feeding gastrostomyは十分なカロリーの摂取を可能にするために必要かもしれない。
- ・非侵襲的な呼吸器は呼吸不全を補助するために使われうる
- ・普通、気管支肺炎で死亡する
- ■運動ニューロン疾患とは?
- 運動ニューロン疾患 motor neuron disease MND
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
[★]
- 英
- median nerve (B)
- ラ
- nervus medianus
- 関
- 筋皮神経、橈骨神経、尺骨神経、腕神経叢
- 筋:前腕の屈筋・回内筋、母指球筋、2,3指の虫様筋
- 皮:掌側は3.5指だが背側は指先のみ
|
由来
支配
走行 (KL.127 N.429-431)
枝 (正中神経の枝)
臨床関連
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- radial nerve
- ラ
- nervus radialis
- 関
- 筋皮神経、正中神経、尺骨神経、腋窩神経、腕神経叢
筋:上腕・前腕の伸筋、回外筋
皮:手の背側で橈側2.5指
|
- 腕神経叢最大の枝(上腕、前腕、手に枝を出すから)
- 図:N.456,460,461(上腕、前腕、手掌の走行の概略)
由来
支配
- 前腕の伸筋(後区域の伸筋) ←(Red,b){注意};:後骨間神経として
- 上腕の皮枝 (N.461)
- 橈骨神経浅枝・背側指神経:手掌の背側で第4指半分から外側へ第1指まで
走行 (KL.131)
臨床関連
[★]
- 英
- musculocutaneous nerve (KL)
- ラ
- nervus musculocutaneus
- 関
- 橈骨神経、正中神経、尺骨神経、腕神経叢
筋:上腕の屈筋
皮:前腕外側の皮神経
由来
支配
走行
臨床関連
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- cervical nerve (KH), cervical nerves
- ラ
- nervi cervicales
- 関
- 頚神経叢、脊髄神経
頚神経 (KL.655)
前枝 (KL.655)
- C1-C8,T1,T2は頭部の一部、頚部、上肢に分布
- C1-C4は頚神経叢を作り頭部の一部と頚部に分布
- C5-T1は腕神経叢を作って上肢に分布
後枝 (KL.655)
- 皮枝:背部の皮膚に分布
- 筋枝:固有背筋に分布
- C1-C3の後枝はよく発達しており、以下の神経として後頭部に分布
- 後頭下神経:C1
- 大後頭神経:C2
- 第三後頭神経:C3
[★]
- 英
- brachial plexus palsy, brachial plexus paralysis
- 同
- Erb麻痺
- 関
- 腕神経叢
- 周産期:骨盤分娩時の上肢牽出によるもの。頭位分娩かつ巨大児分娩における肩甲難産によるもの。
[★]
- 英
- brachial plexopathy、brachial plexus neuropathy
- 関
- 腕神経叢ニューロパチー
[★]
- 英
- brachial plexus block
- 関
- 腕神経叢、神経叢ブロック
[★]
- 英
- brachial plexus neuropathy
- 関
- 腕神経叢障害
[★]
- 英
- nerve
- ラ
- nervus
- 関
- ニューロン
解剖で分類
- 中枢神経 central nervous systen CNS
- 末梢神経 peripheral nervous system PNS
情報で分類
- 感覚神経 sensory nerve = 求心性線維 afferent nerve
- 運動神経 motor nerve = 遠心性線維 efferent nerve
機能で分類
- 体性神経 somatic nervous system SNS
- 自律神経 autonomic nervous system ANS