- 英
- Wilson disease (HIM) , Wilson's disease
- 同
- ウイルソン病、(国試)Wilson病、(国試)肝レンズ核変性症 hepatolenticular degeneration、ウェストファル-シュトリュンペル病 Westphal-Struempell disease
- 関
- カイザー・フライシャー角膜輪 Kayser-Fleischer ring, ATP7B、銅
遺伝形式
疫学
- 20歳までに発症。早ければ3歳で発症(HIM.2450)。
病因
- 細胞内銅輸送蛋白の遺伝子異常(ATP-7B)(13q14.3)
病態
- 十二指腸上部で銅の吸収 → 血行性に肝臓に輸送される → 胆汁内への銅への排泄が障害される → 肝細胞内銅沈着 → 肝細胞細胞障害 → 肝硬変
- 肝臓内でアポセルロプラスミンに銅を結合する反応の異常(HIM.2450) & セルロプラスミンの合成低下(出典不明。肝機能低下?) → 血清セルロプラスミン低下 → (正常では血液中に存在する銅の90%がセルロプラスミンに結合しているので)血清銅低下 (HIM.2450)
- 血液中に入った銅はアルブミンと結合して存在 → 結合能弱くfreeの血清銅増加
- → 血行性に各臓器に移行・沈着 → 脳、角膜、腎臓、血球に障害 (IMD)
- → 尿中への銅排泄増加
症候
治療
- 食事療法:銅制限食(貝、甲殻類、レバー、ナッツ類、チョコレート、キノコ類、豆類は銅を多く含むので避ける)
- 薬物療法:銅キレート薬((D-ペニシラミン)の投与。トリエンチン
参考
- http://omim.org/entry/277900
- 2. [charged] Pathogenesis and clinical manifestations of Wilson disease - uptodate [1]
- 3. [charged] Treatment of Wilson disease - uptodate [2]
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/14 19:01:27」(JST)
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肝レンズ核変性症(ウィルソン病) |
分類及び外部参照情報 |
カイザー・フライシャー角膜輪が瞳孔の辺縁に茶色の輪としてみられる
|
ICD-10 |
E83.0 |
ICD-9 |
275.1 |
OMIM |
277900 |
DiseasesDB |
14152 |
MedlinePlus |
000785 |
eMedicine |
med/2413 neuro/570 ped/2441 |
MeSH |
D006527 |
GeneReviews |
Wilson Disease |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
肝レンズ核変性症(かんレンズかくへんせいしょう)とは、先天性代謝異常によって無機銅が代謝されずに蓄積し、大脳のレンズ核の変性と共に肝硬変・角膜輪等を生ずる疾患である。ウィルソン病(Wilson's Disease)とも言う。5歳から15歳頃までに発病する。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 検査
- 4 治療
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
|
原因
本来、消化管で吸収した銅は門脈を経て肝臓に運ばれる。肝臓では、肝細胞が銅を胆管に排出することで生体内の銅バランスを保っている。本症は、肝細胞が銅を排出する段階に異常があり、銅が肝臓に蓄積してしまう。過剰に蓄積された銅はやがて血中にあふれ出し、大脳基底核や角膜、腎臓などに沈着し、神経症状などを引き起こすようになる。
遺伝子診断により、本症ではATP7Bと呼ばれる遺伝子に異常があることが知られている。本症は常染色体劣性遺伝である。
症状
初期には筋硬直による歩行障害、多量のよだれを見る。進行するにつれ言語は断綴性になり、やがては発語不能となる。また、羽ばたき振戦や企図振戦が発現し、様々な精神症状(性格の変化、抑うつ、多幸、知能低下)も出現する。角膜輪はスリットランプで黄褐色・緑色の色素沈着を見ることができる。蓄積銅が肝を障害することで、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変など様々な病態を呈す。
検査
- 身体基本検査
- カイザー・フライシャー角膜輪(Kayser-Fleischer corneal ring) : 銅が角膜の周囲に沈着し黒褐色のリングを示す。これをカイザー・フライシャー角膜輪と言う。
- 血液検査
- 血清銅の低下。各組織に銅が沈着するために血中銅は低下する。
- 血清セルロプラスミン値の低下。銅の運搬体であるセルロプラスミンが消費されるためである。
- 尿検査
- 肝機能の低下
- AST、ALTの上昇。
- 血中ビリルビンの上昇。
- 血中アルブミンの低下。
- プロトロンビン時間(PT)、部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長。
治療
治療としては当然、銅の蓄積の改善である。したがって銅排泄および低銅食が治療の基本である。
- D-ペニシラミン投与による重金属排泄促進。D-ペニシラミンは、血中で銅と結合し、銅を尿中へ排泄する。本症に対する第一選択薬ではあるが、ネフローゼ症候群や重症筋無力症、全身性エリテマトーデスなどの重篤な副作用が報告されている。
- 塩酸トリエンチンによる銅排泄促進。塩酸トリエンチンは銅イオンと錯体を形成し、銅を尿中へ排泄する。D-ペニシラミンに比べて効果は弱いが、副作用が極めて少ないのがメリットである。
- 亜鉛製剤による銅吸収阻害。排泄の促進作用はないので、治療の安定期または発症前に内服するのがよい。
- 肝硬変の進行が早い場合は肝移植も行うことがある。
参考文献
- 青木継稔「ウイルソン病」(星和書店)、神経精神疾患モノグラフシリーズ9
関連項目
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外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症候性ウィルソン病における亜鉛薬単剤療法単独による長期の治療--17症例の経験
- Linn Francisca H. H.,Houwen Roderick H. J.,Hattum Jan van [他]
- Hepatology 5(1), 16-27, 2010-04
- NAID 40017125301
- LECラットならびにウィルソン病患者における尿中銅の状態
- 4.若年性ミオクロニーてんかんにウィルソン病を合併した1例(一般演題,第2回日本てんかん学会北海道地方会)
Related Links
- ウイルソン病は、多くの場合、3~15歳の小児期に、肝障害にて発見されます。肝症状 は、疲れやすかったり、白眼のところや皮膚が黄色(黄疸)くなったりして気づかれます。 しかし、多くは無症状にて、血中AST(GOT)・ALT(GPT)など肝機能の異常を指摘され、 ...
- ウイルソン病友の会では、患者やその家族、専門家や他の患者の会などと力を合わせ て患者と家族をめぐる医療・福祉などのトータルな充実した環境づくりをめざします。
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★リンクテーブル★
[★]
- 17歳の男子。全身倦怠感を主訴に来院した。身長168cm、体重54kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧110/70mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を4cm触知する。脾は触知しない。血液所見:赤血球380万、Hb11.2g/dl、白血球5,600、血小板18万。血清生化学所見:AST120IU/l、ALT265IU/l、LDH420IU/l(基準176~353)、Cu30μg/dl(基準68~128)、セルロプラスミン5.1mg/dl(基準21~37)。免疫学所見:CRP0.1mg/dl、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。尿中Cu排泄量500μg/日(基準100以下)。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G051]←[国試_101]→[101G053]
[★]
- 英
- dementia
- 同
- 痴呆、痴呆症、器質痴呆 organic dementia
- 関
- amyotrophic lateral sclerosis、ハチンスキー虚血スコア
定義
- いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたすようになった状態。(参考1)
- 1. 知的機能が脳の器質性障害によって低下
- 2. 認知機能が選択的に障害された状態(PSY.312)
- 3. 記憶と判断力の障害を基本とする症候群(PSY.312)
認知症の概念
- 1. 記憶障害
- 2. 記憶以外の認知機能の障害
- 3. それらによる日常生活や職業生活の障害
- 4. 意識障害によらないこと
認知症と区別すべき病態
など
認知症の分類
-
-
- ピック病:行動の障害、人格変化。Pick球やPick細胞が存在
原因疾患
原因
- KPS.369
認知症症状
1. 中核症状
- 記憶障害:初期には記銘力、短期記憶から障害される。早期:エピソード記憶 → 重症:意味記憶
- 判断力低下
- 見当識障害
- 言語障害(失語)
- 失行
- 失認
2. 周辺症状
認知症と老化現象との違い
- 老化現象
- 体験の一部を忘れる ← ヒントを与えられると思い出せる
- 名前や日付などをとっさに思い出せる
- 日常生活に支障はない
- 物忘れに対して自覚がある
- 体験した全てを忘れる。最近の記憶がない ← ヒントを与えられてても思い出せない
- 時間や自分のいる場所が分からない
- 日常生活を営むことが困難
- 物忘れに対して自覚がない
検査
診断
|
アルツハイマー病
|
脳血管性認知症
|
ピック病
|
認知症
|
全般的認知症
|
まだら認知症
|
アルツハイマー病に類似。 早期には人格、注意力が障害され、 次第に記憶力も障害される。
|
人格
|
晩期に人格障害
|
保たれる
|
早期に人格障害
|
病識
|
なし(初期にはあり)
|
あり
|
なし
|
経過
|
進行性
|
動揺性、階段状に進行性
|
進行性
|
基礎疾患
|
特になし
|
高血圧、糖尿病、心疾患
|
特になし
|
画像検査
|
対称性の脳溝開大
|
脳実質内に脳梗塞巣
|
側頭葉と前頭葉の萎縮
|
機能画像検査
|
側頭葉、頭頂葉での代謝低下
|
前頭葉を中心とした多発性の脳代謝低下
|
前頭葉、側頭葉での代謝低下
|
treatable dementia
- 治療可能な認知症を診断しておく。根本的な治療が可能で、認知機能は可逆的である。
- → 治療できる認知症
治療
認知症高齢者を対象とした事業・施設
国試
[★]
- 英
- proximal renal tubular acidosis, proximal RTA, pRTA, proximal tubular acidosis
- 同
- 2型尿細管性アシドーシス、II型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシス2型、尿細管性アシドーシスII型
- 2型腎尿細管性アシドーシス、II型腎尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシス2型、腎尿細管性アシドーシスII型
- type 2 renal tubular acidosis, type II renal tubular acidosis, renal tubular acidosis type 2, renal tubular acidosis type II
- type 2 RTA, type II RTA, RTA type 2, RTA type II
- 関
- 尿細管性アシドーシス、アシドーシス。遠位尿細管性アシドーシス
[show details]
概念
- 腎尿細管アシドーシスの中で、近位尿細管における重炭酸イオン再吸収障害に伴う酸排泄障害を原因とするものをいう。
- アニオンギャップが正常な高Cl性の代謝性アシドーシス
病因
- 参考1
-
- 多発性骨髄腫 → 成人におけるRTA type 2の原因で最多
- 薬物性
病態
- 参考1
- 重炭酸が何らかの原因により再吸収されない。 → 高Cl性代謝性アシドーシス
- リン酸、グルコース、尿酸、アミノ酸が再吸収されない。 → 低リン酸血症、腎性糖尿、低尿酸症、アミノ酸尿
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版 p.151
- 近位尿細管で重炭酸イオン(その他各種電解質も)の再吸収が低下するために血清HCO3-が低下する
- 血清HCO3-が15mEq/l以下になると再吸収が可能となるので、proximal RTAにおいて血清HCO3-が15-17mEq/l以下になることはまれ。
- YN
- 近位尿細管におけるNa+/H+交輸送体の異常や、炭酸脱水酵素遺伝子異常、Na+/HCO3-共輸送体遺伝子異常
治療
- アシドーシス補正:重曹
- 低カリウム血症:カリウム補充
参考
- わかりにくい
- http://omim.org/entry/179830
- 2. [charged] Etiology and diagnosis of distal (type 1) and proximal (type 2) renal tubular acidosis - uptodate [3]
- 3. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [4]
[★]
- 英
- liver
- 関
- 肝臓の病理、肝区域
発生学的由来
- 発生第3週の中頃に、前腸末端における内胚葉性上皮芽として現れる。
- 造血細胞、クッパー細胞、結合 組織細胞は横中隔の中胚葉に由来
- 肝芽は横中隔(心膜腔と卵黄嚢柄)との間の中胚葉板に進入
肝臓の周辺の膜
肝臓に関係する血管
解剖
- 体重の約2%。1.2-1.5kg。(YN.B-2)
参考資料
- 肝臓研究室
- http://www.med.kyushu-u.ac.jp/intmed3/medical_3.html
組織
体表解剖
- 第4肋間以下のレベルで貫通する障害を受けたとき、肝臓が損傷する。
機能
- 物質の合成と貯蔵 → (肝障害時)低下:アルブミン、凝固因子、補体、LCAT、コレステロール、コリンエステラーゼ
- 解毒
- 血糖コントロール
- 胆汁の合成分泌
- 血液循環と濾過
- 血液循環:肝循環の調整、血清Na, Kの調整 → (肝障害時)腹水、Kプールの減少
- Kupffer細胞による菌・有害物の貪食 → (肝障害時)易発熱性
薬物代謝 PPC.51
- phase I: oxidation, reduction
- phase II: hydrolysis, conjugation
年齢との関連
- I相:加水分解、酸化、還元 :加齢により低下
- II相:抱合 :不変
酵素
- 肝酵素
画像
CT
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- Zn zinc
- 関
- 亜鉛欠乏症。微量元素欠乏症 トレースエレメント欠乏症
- 原子番号30番の元素の金属で、原子量は65.39、元素記号はZnである。
- 人体では非常な僅かな量であるが、酵素が機能するために重要な役割を果たしており、必須微量元素と呼ばれている。
- 検査:金属定量用のスピッツで採血する。
- 基準値:血清亜鉛濃度:80-160μg/dl。小児の場合はこれより低め。
- 薬剤性:血中濃度上昇(サイアザイド系薬、ループ利尿薬、ジスルフィラム)、血中濃度低下(糖質コルチコイド、クロフィブラート、経口避妊薬)
医薬品
サプリメント
- (奏効)亜鉛欠乏症(下痢や腸管吸収障害、肝硬変、アルコール依存症、長期の中心静脈栄養)の治療
- (多分奏効):ウィルソン病
- (奏効するとはいえないが、効能は研究で示されている)摂食障害患者のうつ状態の改善や体重増加を促す、味覚障害、尋常性ざ瘡、骨粗鬆症(亜鉛低値と骨量減少の関連が示されている。亜鉛+銅+マンガン+カルシウムの摂取で閉経後の女性で骨量減少を抑制することがある、腸性肢端皮膚炎の治療、ハンセン病の治療、外用による単純ヘルペスウイルスの治療、加齢黄斑変性症の治療、胃潰瘍の予防・治療、低亜鉛血症を背景とした筋痙攣・足潰瘍の予防
臨床関連
[★]
- 英
- Fanconi's syndrome, Fanconi syndrome
- 同
- ファンコニ症候群、ファンコニー症候群、Fanconi症候群、近位腎尿細管機能障害 proximal renal tubular dysfunction、デトーニ・ドゥブレ・ファンコニ症候群 De Toni-Debre-Fanconi syndrome、腎ファンコニー症候群 renal Fanconi syndrome
- 関
- 腎尿細管転送障害症、尿細管性アシドーシス、近位尿細管
概念
- 以下の病態の総称 : 近位尿細管の障害 → アミノ酸 + 糖 + リン酸 などの漏出 & 近位尿細管アシドーシス(RTA I)
原因
- 参考1,2
-
病態
- 近位尿細管の障害により、吸収されるべき分子が尿中に排出され、その結果として生じる血液検査、尿検査、様々な症候を呈する。
- 血液検査:低リン血症、低カルシウム血症、低カリウム血症、低尿酸血症
- 尿検査:腎性糖尿、汎アミノ酸尿、尿細管性蛋白尿(β2ミクログロブリン)、高リン酸尿症
参考
- 1. SPE.606
- 2. Etiology and clinical manifestations of renal tubular acidosis in infants and children - uptodate [5]
[★]
- 英
- Kimmelstiel-Wilson lesion
- 関
- 糖尿病性腎症
[show details]
参考
- http://lh3.ggpht.com/bharatsiddharth/SFbGHgNyMOI/AAAAAAAAALQ/cvjMwLrSgn8/Kimmelstiel-Wilson%20nodules_thumb%5B2%5D.jpg
- http://missinglink.ucsf.edu/lm/IDS_106_DM_Complications/ASSETS/DMrenalKWDzhp.jpg
[★]
- 英
- medicine for Wilson disease, anti-Wilson disease
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患