- 英
- spontaneous bacterial peritonitis SBP
- 関
- 腹膜炎、肝硬変
概念
病因
- 門脈圧亢進により腸管壁の細菌透過性が亢進するため、らしい。
- 腸内細菌の過剰増殖(腸管の運動低下による)、PPI使用による低胃酸症、肝硬変による腸管透過性亢進(uptodate.2)
病原体
- IRE.704
- 小児:肺炎球菌、A群β溶連菌>黄色ブドウ球菌・グラム陰性桿菌
- 成人:大腸菌>クレブシエラ属>肺炎球菌>>>黄色ブドウ球菌
症状
- uptodate.3
- 発熱、腹痛 and/or 圧痛、精神状態の変化。なかには好中球増多、アシドーシス、あるいは腎機能の低下しか示さない例もある。
症候
|
(%)
|
発熱
|
69
|
腹痛
|
59
|
精神状態の変化
|
54
|
腹部圧痛
|
49
|
下痢
|
32
|
麻痺性イレウス
|
30
|
低血圧
|
21
|
低体温
|
17
|
検査
- 腹水白血球:500個/ul以上 (YN.A-112)
診断
- 腹水中好中球が診断に重要 (YN.A-112)
- 腹水中の細菌培養(+)で、かつ多形核白血球の絶対的増加(250/ul以上) (uptodate.4)
参考
uptodate
- 1. [charged] 特発性細菌性腹膜炎の亜種 - uptodate [1]
- 2. [charged] 特発性細菌性腹膜炎の病因 - uptodate [2]
- 3. [charged] 特発性細菌性腹膜炎の臨床症状 - uptodate [3]
- 4. [charged] 特発性細菌性腹膜炎の診断 - uptodate [4]
- 5. [charged] 特発性細菌性腹膜炎の治療および予防 - uptodate [5]
国試
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症に対し, ポリメチルメタクリレート膜血液濾過器を用いた持続的血液濾過透析を2系列同時施行した特発性細菌性腹膜炎の1救命例
- 松村 洋輔,織田 成人,貞広 智仁,仲村 将高,安部 隆三,中田 孝明,平澤 博之
- 日本集中治療医学会雑誌 = Journal of the Japanese Society of Intensive Care Medicine 17(4), 505-512, 2010-10-01
- NAID 10027854265
- 腹水を伴う肝硬変合併腎不全に腹膜透析を導入した2例 : 日本における報告例のまとめ
- 中川 卓,木村 庄吾,藤本 圭司,渥美 浩克,井村 淳子,近沢 芳寛,奥山 宏,山谷 秀喜,浅香 充宏,横山 仁
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 43(1), 93-98, 2010-01-28
- … coliを主体とする腹膜炎を発症し,特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis:SBP)と診断した.腹膜硬化症合併が懸念され血液透析へ移行したが,肝不全の増悪から永眠した.肝硬変合併例に対するCAPD治療の選択を考える上で貴重な2症例と考え報告するとともに,これまで本邦で報告された15例をまとめて,肝硬変合併例におけるCAPD治療の利点と欠点に関して考察を加えた. …
- NAID 10026316217
- 肝疾患と感染症 (特集 基礎疾患患者の感染症診療をどうするか) -- (基礎疾患別 注意すべき・罹患しやすい感染症の診療の考え方--基礎疾患をもたない患者との相違点・分岐点)
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★リンクテーブル★
[★]
- 54歳の男性。腹痛と発熱とを主訴に来院した。1週前から体重の増加と腹部膨満とを認める。5年前から肝硬変で経過観察中である。眼球結膜に黄染を認める。腹部に波動を認め、腹部全体に軽度の圧痛を認める。腹水所見:淡黄色、比重1.012、蛋白2.1g/dl、アミラーゼ300IU/l、白血球950/μl(好中球多数)。腹部エックス線単純写真立位像で異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D040]←[国試_102]→[102D042]
[★]
- 54歳の男性。1週前から体重の増加と腹部膨満とを認め、腹痛と発熱とが出現したため来院した。5年前から肝硬変として経過観察中である。眼球結膜は黄染し、腹部に波動を認め、腹部全体に軽度の圧痛を認める。腹水所見:淡黄色、蛋白濃度低値、アミラーゼ低値、好中球多数。立位腹部エックス線単純写真で異常を認めない。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A027]←[国試_096]→[096A029]
[★]
- 英
- cirrhosis of liver (M), liver cirrhosis LC, cirrhosis
- 関
- 肝臓
定義
(アトラス肝臓病 金原出版 谷川久一、阿部弘彦 昭和62年1月30日 p.57)
- 1. 肝細胞死が原因で、びまん性の結合組織増生が肝臓全域に見られる
- 2. 肝実質の結節性再生と小葉構造の改築が認められるもの
概念
- 肝硬変はびまん性に線維化した肝病変の終末像であり、慢性肝炎とともにもっともしばしばみられる肝の病態である。臨床的には様々な程度の肝細胞機能不全状態と門脈圧亢進症による症状がみられる慢性疾患である。
疫学
- 人口10万人あたりの死亡率12.5人
- 45-59歳の男性では死亡順位第4位
- 西日本に多い
病因
病理
- 炎症による細胞の破壊と再生を繰り返す結果、再生した肝細胞と新たに形成された線維性の隔壁を有する結節が形成され(再生結節)、肝硬変となる。(BPT.647)
- ウイルス性肝炎の慢性化による肝硬変では、3mm以上の結節がみられる(macronodular cirrhosis)。
- アルコール性肝炎の慢性化による肝硬変では、平均3mmの結節がみられる(micronodular cirrhosis)。
病態生理
- 肝機能低下により(1)エストロゲンの肝臓における異化が低下、(2)アルブミン合成能が低下、(3)門脈圧亢進が起こる。(1)によるエストロゲンなどの血管拡張因子により血管が拡張し循環血漿量が減少する。(2)による膠質浸透圧の低下はサードスペースへの体液移動を引き起こしさらに循環血漿量を低下させる。これには(3)も相加的に作用すると思われる。循環血漿量の低下はRAA系の亢進をきたし、アルドステロンによるNa、水の貯留引き起こす。
- 非代償性肝硬変では、肝網内系(クッパー細胞など)の機能低下、白血球減少による易感染性を呈する。
症状
合併症
- 参考2
身体所見
[show details]
- 腹部:脾腫 ← 門脈圧と脾腫の程度は相関しない (QB.B-315)
検査
血算
-
- 血小板減少が門脈圧亢進の最初の徴候(HIM.1978)
- 白血球減少 ← 門脈圧亢進によるうっ血性の脾腫に伴う脾機能亢進。 骨髄での産生低下も原因らしい(出典不明)
血液生化学
-
- 総ビリルビン T-Bil:上昇
- アンモニア NH3:上昇
- Fischer比:低下
- 線維化マーカー (ヒアルロン酸、IV型コラ-ゲン):上昇
- 膠質反応(TTT,ZTT):上昇
- γグロブリン:上昇 ← 門脈血に含まれる細菌の抗原が肝臓をシャントしてリンパ組織に到達するためとされている(uptodate)
-
-
- 糖の処理障害により食後高血糖を来しやすく、糖尿病を発症しやすい。
- 低ナトリウム血症、血漿浸透圧低下 ← 血液中の水が間質に移動する結果、電解質も共に移動する。血液中には水が過剰となり、低ナトリウム血症、血症浸透圧低下となる。volume depletionに対してADHが主に作用するからか、あるいはH2Oが移動しやすいからなのかは不明。
免疫血清検査
- 多クローン性γグロブリン血症
- IgG:増加する傾向あり。 ← 門脈血が肝臓を通過せずにリンパ組織に流れ込む結果。著しく高値であったら自己免疫性肝炎。(参考1)
- IgM:高値であったら90-95%はPBCである。(参考1)
- 壊死、炎症が持続的に起きているから上がると解釈することもできる、みたい。
画像
- (US,CT, MRI,Angio,肝シンチ、上部消化管内視鏡)
腹腔鏡、肝生検
- 分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids, BCAA)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acids; AAA)の分子比(モル比)
-
- 肝臓、末梢(筋肉など)でよく代謝される
- ほぼ肝臓で代謝される
診断
治療
- IMD 参考2 YN.B-47
- 治療のゴールは、(1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させること、(2)他の原因による肝臓障害を予防すること、(3)合併症の予防、(4)肝移植の時期を決定することである。
- 方針:原疾患の治療を行い、肝硬変の進展を抑えるように食事、生活療法を行う、非代償期には合併症の治療を行う。
- (1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させる:原疾患の治療を行う(自己免疫性肝炎であればステロイドや免疫抑制薬、アルコール性肝障害であれば禁酒、ウイルス性肝炎であれば病原体に応じた治療)。
- (2)他の原因による肝臓障害を予防する:肝臓に障害を与えないようにする(アルコール摂取、アセトアミノフェンの過剰服用)。予防接種を受ける(肝予備能がほとんど無ければA型肝炎、B型肝炎。肺炎球菌、インフルエンザウイルスに対する予防接種も考慮される。
- (3)合併症の予防:肝細胞癌、静脈瘤出血、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝性脳症、肝肺症候群
- (4)肝移植の時期を決定:
代償期
- 食後の安静、適切な熱量(25-30kcal/kg/日)で適切な蛋白質(1.2-1.5g/kg)の食事を摂取、ビタミンB、ビタミンK補充
- 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸、グリチルリチンなど)
非代償期
-
- 食塩制限(5-7g以下)。飲水制限(1L/day)(腹水貯留時)
- 蛋白質の補充:分枝鎖アミノ酸の多い食事、分枝鎖アミノ酸製剤の点滴。NH3が上昇するなど肝性脳症の危険があれば低蛋白食とする。
- 膠質浸透圧の維持:アルブミン製剤
- 早朝低血糖に対し、夜食を勧める(肝機能低下により糖新生↓のはず)。(出典不明)
- 利尿薬:抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)、トルバプタン、フロセミド、サイアザイド → 後2者はhypokalemiaからmetabolic alkalosisを惹起、アンモニアのNH4+ ⇔ NH3 + H+の平衡を左に移行させてアンモニアの排泄を阻害、高アンモニア血症を増悪しうる(非イオン化状態では尿細管で再吸収されやすいはず)(出典不明)。
- 腹水濃縮再注入法
- 肝内門脈大循環シャント、腹膜静脈短絡術
- 食道静脈瘤の治療:内視鏡的食道静脈瘤硬化術・結紮術、外科的治療
- 肝性脳症の治療:腹水の食事療法に準じるが、NH3再吸収につながる便秘の予防に気をつける。
- 肝移植
予後
- 死因:(1)肝性脳症、(2)静脈瘤破綻、(3)肝癌合併
- (1),(2)の治療が発達したことにより、(3)での死亡が増加している。
参考
- 1. [charged] Diagnostic approach to the patient with cirrhosis - uptodate [6]
- 2. [charged] Overview of the complications, prognosis, and management of cirrhosis - uptodate [7]
国試
[★]
- 英
- nephrotic syndrome, NS
- 同
- ネフロージス nephrosis
- 関
- 腎 ネフローゼ症候群、小児ネフローゼ症候群
- 蛋白分画
概念
- 高度の蛋白尿とそれに起因する低蛋白血症、浮腫および高脂血症を呈した臨床病態
- 臨床的な概念であり、尿中に多量の血清タンパク成分を喪失するときにみられる共通の病態
病型
- 原発性糸球体腎炎
- 続発性ネフローゼ症候群:先行する疾患(膠原病、糖尿病など)に続発する
疫学
成人(IMD)
ネフローゼ症候群の原因
- 微小変化群:大人,約20-30%. 子供,70-80%
- 膜性腎症:大人,約30%. 子供,5%
- 膜増殖性糸球体腎炎:大人,5-7%
病理
- 広範囲にわたる著明な糸球体臓側上皮細胞の障害が認められ、足突起が単純化(simplification; 足突起の突起が減少すること?))および消失している。(PRE.224)
ネフローゼ症候群に関わる3つの基本的な病型
- PRE.224
- 1. 糸球体上皮細胞の障害:微小鹸化群、原発性巣状硬化症 ← 単球から放出されたサイトカインが上皮細胞の障害に関わっている
- 2. 上皮下における免疫複合体の形成と補体の活性化により、沈着した免疫複合体の周りに基底膜マトリックスが沈着し、基底膜が肥厚する膜型病変を呈する
- 3. 糸球体壁に影響を及ぼす蓄積病変は、ALアミロイドーシスや軽鎖蓄積病、あるいは糖尿病性腎症がある。
検査
- IMD
血液検査
凝固系検査
- フィブリノゲン、第I因子、第VIII因子、第X因子など → 肝臓で産生される。肝臓機能の亢進を示唆
血液生化学検査
- アルブミン:低値
- γ-グロブリン:低値 → IgGが低値となる。これが易感染性と関連している。なぜこうなるかは分かっていない。 → 易感染性につながる
- α2-グロブリン高値
- β-グロブリン:高値
- コレステロール:高値
- 中性脂肪:増加(特にLDL、VLDL)
- 低カルシウム血症 ← アルブミン低値による(アルブミン1.0 g/dlの低下により血清カルシウム0.8mg/dlの低下)。
- フィブリノゲン:高値 → 肝機能の亢進による
α2グロブリンが高値になるメカニズム
ネフローゼの場合血中のタンパクはどんどん尿に漏出していく。そのためアルブミン、γグロブリンは割合が低下している。α2分画にはα2マクログロブリンが存在する。これは分子量が77万から82万という大きな分子であるので、ネフローゼで糸球体のサイズバリアが崩壊しているとしても尿中に排出されず残るため、相対的にα2分画が高くなる。
赤沈が亢進するメカニズム
赤沈は第1相で赤血球同士が連銭形成し、第2相で沈んでいき、第3相では沈んできた赤血球の密度が上昇して沈降速度が鈍ってくる。赤沈が亢進するには、凝集が促進されるか、沈降の抵抗が少ないかである。赤血球の膜は負に帯電しており、正に帯電しているフィブリノゲン、γグロブリンが増加すると負の電荷同士で集まり合い凝集が促進される。逆に負に帯電しているアルブミンの量が減少すると、負同士の反発が軽減し凝集が容易になる。また貧血であると第3相で密度が低くなり沈降が早くなる。以上より、ネフローゼの場合アルブミンが尿中に排泄され血清アルブミンの濃度が低下、また、β分画のフィブリノゲンが上昇しているため赤沈は亢進する。
尿検査
- 蛋白尿
- 顕微鏡的血尿
- 顆粒円柱、脂肪球、卵円脂肪体
診断基準(厚生省特定疾患 ネフローゼ症候群 調査研究班)
- 1.と2.が 成人ネフローゼ症候群の必須条件。
- また尿沈渣中多数の卵円形脂肪体、重屈折脂肪体は参考所見となる
- 高脂血症と浮腫は必須条件ではない。
合併症
- IMD
- 1.乏尿、急性腎不全(循環血液量の減少)
- 2.低栄養(アルブミンの低下)、感染症(リンパ球サブセット・サイトカインの変化、血漿γグロブリン減少)
- 3.胸水、腹水(アルブミンの低下、体液量の増加)
- 4.起立性低血圧(循環血液量の減少)
- 5.凝固能亢進・血栓症(凝固因子増加、線溶活性低下、循環血液量減少、血液濃縮、脂質代謝異常):静脈血栓症、腎静脈血栓症、肺梗塞(アンチトロンビンIII低下例に多い)
- 6.治療薬(糖質コルチコイド、シクロスポリン?)の副作用:易感染性、消化性潰瘍、精神症状、高血圧、白内障、多毛、肥満、免疫性低下、白血球減少、出血性膀胱炎
- 2+3. 特発性細菌性腹膜炎
予後
- 糸球体選択指数 selection index S.I.によって治療の予後が予測できるらしい。
- SI(selectivity index)=(尿中IgG/血清IgG)/(尿中Tf/血清Tf)。
- SIが小さいほどサイズバリアーが機能しているということ。
- 0.2以下:high selective :プレドニゾロンに反応しやすい
- 0.2以上:low selective :プレドニゾロンに反応しにくい
[★]
- 英
- hepatic encephalopathy
- 関
- (部分症)肝性昏睡、門脈大循環性脳症、門脈体循環性脳症
定義
病因
病態
- 種々の原疾患により肝性脳症を来す物質が蓄積、中枢神経に移行して脳症を発症する
原因物質
症状
治療
- 便秘 → ラクツロースを利用した緩下
- 脱水 → 補液
- 消化管出血 → 止血
- 感染症 → 特発性細菌性腹膜炎など
食事療法
内服薬=
国試
[★]
[★]
特発性細菌性腹膜炎 SBP
[★]
- 英
- bacterium,(pl.) bacteria
- 同
- バクテリア
- 関
- 特殊な細菌 、細菌の鑑別、細菌の同定?、細菌の分類?
細菌の命名
- ラテン語であり、イタリックで表す。
- 「属名 + 種名」で表現される。
グラム染色性と形状による分類と疾患
[★]
- 英
- peritonitis
- 関
- 腹膜
|
sensitivity(%)
|
specificity(%)
|
positive likehood ratio
|
garding
|
13~69
|
56~97
|
2.6
|
rigidity
|
6~31
|
96~100
|
5.1
|
rebound tenderness
|
40~95
|
20~89
|
2.1
|
rectal tenderness
|
20~53
|
41~96
|
n.s.
|
positive abdominal wall tenderness test
|
1~5
|
32~72
|
0.1
|
国試
[★]
- 英
- peritoneum (Z) < peritonaion < peritonos < peri-'around'+-tonos'stretched' ; perineumと勘違いしないように
- 関
- 漿膜
[★]
- 英
- idiopathy、idiopathic、cryptogenic、agnogenic, essential
- 同
- 本態性
- 関
- 原因不明
[★]
- 関
- 炎光、炎症