- 英
- hematopoietic stem cell, HSC
- 関
- 幹細胞
細胞表面マーカー
分化
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/20 18:38:11」(JST)
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造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう; hematopoietic stem cell - HSC)とは血球系細胞に分化可能な幹細胞である。ヒト成体では主に骨髄に存在し、白血球(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、マクロファージ)、赤血球、血小板、肥満細胞、樹状細胞を生み出す。血球芽細胞、骨髄幹細胞ともいう。幹細胞の定義として、一個の細胞が分裂の結果2種類以上の細胞系統に分化 (differentiation) 可能であると同時に幹細胞自体にも分裂可能であり(self renewal: 自己複製)結果として幹細胞が絶える事なく生体内の状況に応じて分化、自己複製を調整し必要な細胞を供給している事になる。
血球系の細胞には寿命があり、造血組織より供給されなくなると徐々に減って行く。この寿命は血球の種類によって異なり、ヒトでは赤血球(約120日)、リンパ球(数日から数十年)、好中球(約1日)、血小板(3~4日)などである。ヒトの造血組織は骨髄内に存在するが、全ての骨の骨髄で造血が行われる訳ではなく、胸骨、肋骨、脊椎、骨盤など体幹の中心部分にある、扁平骨や短骨で主に行われる。その他の長管骨の骨髄では出生後しばらくは造血機能を持つが、青年期以降は造血機能を失い、加齢とともに徐々に辺縁部位が脂肪組織に置き換わって行く。最長の大腿骨でも25歳前後で造血機能を失う。なお、発生直後から骨髄で造血されているわけではなく、骨髄造血が始まるのは胎生4ヶ月頃からである。それ以前は初期は卵黄嚢で、中期は肝臓と脾臓で造血される。なお、肝臓と脾臓は造血機能を完全に失うわけではなく、血液疾患時には造血が見られることもある。骨髄には造血細胞だけでなく、脂肪細胞、マクロファージ、間葉幹細胞などが存在し、造血細胞の中にも、分化した上記血球系細胞およびそれらの前駆細胞が存在している。多分化能を保った造血幹細胞はこれらの中のごく一部であり、最新の学説においては、骨組織と骨髄の境界領域に高頻度に存在し、骨組織内の骨芽細胞(osteoblast)との接触がその維持に重要と考えられている。(造血幹細胞ニッチ)
マウスの実験において、大量の放射線を個体に照射すると造血障害が発生するが、MHCの一致した他のマウスより採取した骨髄細胞を移植するとその造血機能が回復する事により、骨髄細胞内に造血幹細胞が存在する事が証明されている。さらに、血球細胞の表面抗原に対するモノクローナル抗体を組み合わせてフローサイトメトリーにて細胞を純化する技術が開発され、骨髄細胞より高濃度で造血幹細胞を純化する事が可能となっており、1個の細胞を移植する事で放射線照射したマウスの造血機能を回復する事が可能になっている。 以上の知見をもとに臨床応用されているのが造血幹細胞移植であり、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの血液癌の治療などに役立っている。
余談
疑似科学の千島学説は、造血は消化器官の特に小腸で行われると主張する。 しかしこの説は科学的医学的に認められていない。
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骨髄系統 - 血液 (白血球 · 赤血球 · 血小板) |
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造血幹細胞
HSC |
骨髄系前駆細胞
(CFU-GEMM)
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顆粒球・単球系前駆細胞
(CFU-GM)
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骨髄芽球→前骨髄球→骨髄球→後骨髄球→桿状核球→分葉核球(好中球)
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マクロファージ
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組織球 · クッパー細胞 · 肺胞マクロファージ · 小膠細胞 · 破骨細胞 · 類上皮細胞 · 巨細胞 (ラングハンス巨細胞、異物巨細胞、トートン型巨細胞)
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CFU-DL
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樹状細胞 · ランゲルハンス細胞
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共通
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骨髄性単球
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CFU-Baso
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骨髄芽球→好塩基性前骨髄球→好塩基性骨髄球→好塩基性後骨髄球→(好塩基球)
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CFU-Eos
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骨髄芽球→好酸性前骨髄球→好酸性骨髄球→好酸性後骨髄球→好酸性桿状核球→好酸性分葉核球 (好酸球)
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MEP
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CFU-Meg
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巨核芽球 · 巨核球 · 血小板
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CFU-E
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赤芽球 · 網赤血球
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CFU-Mast
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肥満細胞前駆体
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非細胞 |
血漿
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UpToDate Contents
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- 1. 造血幹細胞の概要overview of hematopoietic stem cells [show details]
… smaller pool of hematopoietic stem cells (HSCs), which are thought to be mostly in a resting or non-dividing state and have the capacity to self-renew (and thus maintain their numbers). HSCs are multipotent …
- 2. 造血幹細胞の分布sources of hematopoietic stem cells [show details]
…concept that CD34 expression and the number of CD34+ cells infused correlate closely with the pace of hematopoietic reconstitution both in animals and in humans. Hematopoietic stem cells (HSCs) can be found …
- 3. 重度の複合免疫不全症での造血細胞移植hematopoietic cell transplantation for severe combined immunodeficiencies [show details]
…from mutations in genes expressed in hematopoietic stem cells (HSCs) or in the downstream progenitors of mature immune cells. As such, replacement of defective HSCs through HCT permits the development of …
- 4. 原発性骨髄線維症の臨床症状および診断clinical manifestations and diagnosis of primary myelofibrosis [show details]
…multicenter study, the median absolute number of circulating CD34+ hematopoietic precursor cells in 84 consecutive patients with PMF (92 CD34+ cells/microL; range: 0 to 2460) was 400 times that of healthy normal …
- 5. 幹細胞の概要overview of stem cells [show details]
…as ethical considerations that have generated much controversy. Hematopoietic stem cells are discussed separately. Hematopoietic stem cell transplantation for specific clinical conditions is discussed …
Japanese Journal
- 難治性貧血に対する造血幹細胞移植の進歩 (特集 難治性貧血 : 診断と病態・治療の進歩)
- 赤芽球癆の診断と病態・治療の進歩 (特集 難治性貧血 : 診断と病態・治療の進歩)
- 造血幹細胞移植のための全身照射 (悪性リンパ腫の診断と治療) -- (放射線治療)
- 慢性骨髄性白血病 (増大号特集 小児血液疾患 : よくわかる最新知見) -- (造血器悪性疾患)
Related Links
- 造血幹細胞移植は、通常の化学療法や免疫抑制療法だけでは治すことが難しい血液がんや免疫不全症などに対して、完治させることを目的として行う治療です。 通常の治療法に比べて、非常に強い副作用や合併症を生じることもあり ...
- デジタル大辞泉 - 造血幹細胞の用語解説 - 血液中の赤血球、白血球、血小板などの血液細胞を産生する細胞のこと。この細胞には自己複製能があり、自らが分化して血液細胞になる。成人では主に骨髄に存在し、胎児では肝臓、脾臓 ...
- 骨髄移植 末梢血幹細胞移植 臍帯血移植 長所 ・通常1回の採取で移植に必要な細胞数を確保できる ・ドナーに全身麻酔や自己血貯血が不要であり、負担が少ない ・好中球回復(生着)までの期間が短い(2週間前後) ・ドナーへの負担がない
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★リンクテーブル★
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- a. (1)(2)
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[正答]
※国試ナビ4※ [099D044]←[国試_099]→[099D046]
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[正答]
※国試ナビ4※ [114C009]←[国試_114]→[114C011]
[★]
- 英
- neutrophil (Z),neutrophile ,neutrophils
- 関
- 血液、血球、白血球
特徴
- マクロファージより貪食能が高い
- 非特異的感染防御に関与
- 寿命:1週間。(他の資料:1週間以内。血中で6-7時間,活性化時1-2日。)
- 好中球比率(対白血球):50-60%。文献によっては50-70%
- ケモカインによって走化能を示し、異物を貪食する
- 貪食→食胞形成→proteolysis (lysosome: 約30種類)
分化・成熟
骨髄芽球:顆粒なし
↓
前骨髄球:アズール顆粒出現
↓
骨髄球:好中球に特異な顆粒(ALP、リゾチーム)が出現
↓
後骨髄球:核が分葉。細胞分裂(-)
↓
桿状核球:末梢血中に現れる� ↓
↓
分葉核球:成熟細胞
顆粒
成長とリンパ球・好中球数
- PED.703
- リンパ球数は生後1ヶ月以降に増加して6ヶ月~1年でピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- これに対して好中球は生下時にピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- 生後一ヶ月までは好中球優位であり、1ヶ月~2-6歳まではリンパ球優位となり、以降好中球優位となる。
臨床関連
- 末梢血好中球数1500/μl以下 、特に500/μl以下 (定義:[1])
- 末梢血好中球数7500/μ以上
- 慢性肉芽腫症:NADPH酸化酵素の異常による好中球の活性酸素産生障害をきたす疾患。常染色体劣性遺伝。
- チェディアック・東症候群:細胞内輸送蛋白(CHS1)の調節の異常により巨大顆粒の形成、殺菌性蛋白・溶菌性酵素の食胞内放出が障害され、また好中球の遊走能が低下する疾患。常染色体劣性遺伝。
[★]
- 英
- erythrocyte (Z), red blood cell (Z), RBC
- 関
- 血液、貧血、血液像
- 直径:7.62±0.61μm → 7-8μm
- 厚さ:1.0-2.0μm
- 容積:90μm3
- 表面積:130μm2
- 比重:1.097
分化
基準値
2007前期解剖学授業プリント
♂:420万 - 570万 (/μl) 495万±75万 x 10^6 (/μl)
♀:380万 - 550万 (/μl) 465万±85万 x 10^6 (/μl)
-2007前期生理学授業プリント
♂:450万 - 610万 /μl
♀:380万 - 530万 /μl
-PT.233
♂:500万 /mm3
♀:450万 /mm3
-異常値の出るメカニズム第5版 p.79
男:400万-700万/ul
女:350万-600万/ul
-HIM
男:430–560 x 10^4/μl
女:400–520 x 10^4/μl
寿命
赤血球の増加
- テストステロン、低酸素、コルチゾール、エリスロポエチン
[★]
- 英
- colony-forming unit-erythroid colony-forming units-erythroid colony forming unit erythroid CFU-E, erythroid colony forming unit
- 同
- 赤芽球コロニー形成細胞 erythroid colony-forming cell、分化赤血球系前駆細胞 (血液細胞アトラス)
- 関
- 赤血球
BFU-E<-CFU-E->塩基性赤芽球
分化
-CFU-E
[★]
- 同
- KIT kit c-kit receptor for stem cell factor
- 関
- 消化管間質腫瘍 GIST
概念
- 造血幹細胞が有する。
- チロシンキナーゼの受容体をコードしている(BPT.625)。大部分のGISTではc-KITに変異が生じている(BPT.625) ← 治療薬:イマチニブ(慢性骨髄性白血病に使われる)
- 分子量145kDaの前がん遺伝子c-kitの産物
- クラスIIIレセプタ型チロシンキナーゼ・ファミリーに属する
発現細胞
- hematopoietic progenitors (IMM.790)
- ごく少数の正常骨髄細胞に発現。発現している骨髄細胞はCD34を発現している
- 肥満細胞(1)
機能
- stem-cell factor receptor(SCF受容体 SCF receptor)
参考
- http://www.bc-cytometry.com/Data/db_search/CD117.htm
[★]
- 英
- burst-forming unit-erythroid burst forming unit erythroid, BFU-E
- 同
- 前期赤芽球系前駆細胞、赤芽球バースト形成単位、分化赤血球系前駆細胞 (血液細胞アトラス)
- 関
- 赤芽球
分化
[★]
- 英
- hematopoietic stem cell transplantation、hematopoietic stem cell transplant、HSCT
- 骨髄移植 bone maroow transplantation BMT
- 末梢血幹細胞移植 peripheral blood stem transplantation PBS CT
- 臍帯血移植 cord blood transplantation CBT
前処置
- 参考1
- 抗悪性腫瘍薬、全身放射線照射、免疫抑制薬を組み合わせて行う。
CY+TBI法
- 参考2
- 1の後に2を行う。
- 1. シクロフォスファミド:60 mg/kg/day, 2-4時間かけて静脈投与, 2 days。
- 2. 全身放射線照射:3Gy/回, 1日2回。CY前後。延べ2日間。前照射線量 10-12Gy。1回1時間程。
ガイドライン
- http://www.jshct.com/guideline/
参考
- http://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCI/method.html
- 2. 愛知県がんセンター/がんの知識/いろいろながん/造血幹細胞移植
- http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/200/210/several-cancers/iroiro-na-gan-19.html
- 3. わたしの療養手帳/私の治療ダイアリー|がん情報ガイド|中外製薬株式会社
- http://gan-guide.jp/handbook/
- 患者むけ
- http://gan-guide.jp/handbook/pdf/diary_1_3.pdf
[★]
- 英
- stem cell factor, SCF
- 同
- 幹細胞刺激因子、スティール因子 steel factor SLF、キットリガンド kit-ligand KL、肥満細胞増殖因子 mast cell growth factor MCGF
- 関
- 幹細胞、Kit、c-Kit、CD117
概念
遺伝子
[★]
- 英
- hematopoietic stem cell colony, hemopoietic stem cell colony
- 同
- 芽球コロニー blast cell colony
[★]
- 英
- peripheral blood stem cell transplantation
[★]
- 英
- stem cell, stem cells
- 関
- 造血幹細胞
特徴
- 参考.1
- 1. 多分化能:複数系統の細胞に分化できる。
- 2. 自己複製能:細胞分裂を経ても多分化能を維持できる。
- 3. 分化を抑制する遺伝子の発現
- 4. テロメラーゼの発現
- 不死細胞ではない。哺乳類の造血幹細胞では、一生の間に行う分裂は80-200回とされている?
細胞分裂の特徴
- 分裂により2つの異なる細胞ができる:別の種類の細胞に分化したもの。同じ分化能を維持したもの。
参考
[★]
- 英
- hematopoiesis
- 同
- hemopoiesis
- 関
- 血液
造血部位
- 胎児:(-3ヶ月)卵黄嚢、肝臓、脾臓(2-10ヶ月。4ヶ月がピーク)、骨髄(4ヶ月以降)
- 成人:骨髄
[★]
- 英
- cell
- ラ
- cellula
- 関