- 英
- Turner syndrome, Turner's syndrome
- 同
- XO症候群 XO syndrome, 卵巣形成不全 ovarian hypoplasia、Ullrich-Turner症候群
- 関
- モノソミー、ヌーナン症候群
概念
- 性腺発育不全、翼状頸、外反肘、低身長を主徴とする性染色体異常症候群。
病因
- 核型:45X(約50%)、45X/46XX (モザイク)、46XXq、46XXp
- X染色体の長腕・短腕は卵巣機能に関係、X染色体の短腕は身長に関連
疫学
- 新生児発生頻度:1/2,000。出生女児数1,000人対1人
症候
- 全身:低身長:3歳ごろまでは正常。以降低下し、日本人では平均成人身長は138cm。(SPE.223)
- 知能:正常。まれだが、環状X染色体を有する場合は重度の精神遅滞を呈する。(参考1)
- 頚部:翼状頚
- 胸部:盾状胸
- 上肢:外反肘
- 生殖器
- 外生殖器:形成は正常だが、エストロゲン低値により外観は小児様外性器を呈する。
- 内生殖器
- 子宮、卵管は特に問題なし
- 性腺(卵巣):卵巣形成不全(索状卵巣 streak gonad) → 二次性徴の欠如、卵巣性無月経、貧毛症、不妊症、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症。
奇形
治療
参考
- 1. [charged] Clinical manifestations and diagnosis of Turner syndrome (gonadal dysgenesis) - uptodate [1]
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/29 14:29:15」(JST)
[Wiki ja表示]
ターナー症候群 |
分類及び外部参照情報 |
45,X カリオタイプ
常染色体がすべて正常な2本ずつの組であるのに対し、一番右下の性染色体は片方が欠け1本しかない
|
ICD-10 |
Q96 |
ICD-9 |
758.6 |
DiseasesDB |
13461 |
MedlinePlus |
000379 |
eMedicine |
ped/2330 |
MeSH |
D014424 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
ターナー症候群(ターナーしょうこうぐん、Turner syndrome)とは、染色体異常の一つで、正常女性の性染色体がXXの2本なのに対し、X染色体が1本しかないことによって発生する一連の症候群のこと。その名称は、この症候群を報告したアメリカの内分泌学者ヘンリー・ターナー(英語版)に由来する。
この症候群の現れ方は多様であり、染色体の異常だけで外見的には全く普通の女性と変化が無い。
目次
- 1 原因
- 2 頻度
- 3 症状
- 4 治療
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
- 7 脚注
原因
染色体異常症のうちの異数性の一つ。配偶子形成時の減数分裂過程での染色体不分離により、X染色体が1本少ないことによる。正常女性核型は 46,XX とX染色体が2本あるのに対して、X染色体が少なく 45,X となる。しかしながら、実際には 45,X だけではなく、X染色体の構造異常によりX短腕が欠失した核型も稀ではなく、46,X,i (Xq) やマーカー染色体などがモザイクで存在する場合も多い。
頻度
98%は胎児の段階で自然流産となる。頻度は2000人〜3000人に1人。
症状
診断される契機としては、新生児期の四肢の浮腫、先天性心疾患、低身長、無月経などである。無月経であるので妊娠することはできないが、性交渉は可能である。12歳になっても思春期の起点である乳房の発達が始まらないか16歳になっても初潮を迎えておらず、且つ低身長である場合は、本疾患を疑うべきである。上記の症状が現れることなく自然に思春期が到来する場合もあり、結婚してから不妊症として発見されることもある。
- 低身長
- 第二次性徴の欠如(卵巣の瘢痕化による)
- 月経不順などがあることもある。腫瘍・糖尿病の危険性が高い。
- 外反肘、翼状頸、盾状胸、毛髪線の低位などがみられる。ただしこれらの症状はそれほど著明ではないので、思春期に至って低身長や二次性徴の欠如が目立つようになるまでは気付かれないことも多い。
- 大動脈縮窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症などの左心系の心奇形、馬蹄腎などの腎奇形をしばしば合併する。
また、極稀ではあるがこれによって異性一卵性双生児が起こる場合もある。
治療
- 低身長に対して:成長ホルモン投与
- 二次性徴:性ホルモン
関連項目
外部リンク
- 「Turner Syndrome」 - Medpediaにある「ターナー症候群」についての項目。(英語)
- ターナー症候群を持つ女性のためのサポートムービー(日本語字幕)
脚注
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- ターナー症候群 (今月の臨床 婦人科内分泌療法--病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント) -- (思春期)
- 23歳時に貧血精査を契機に診断されたモザイク型Turner症候群の1例
Related Links
- ターナー症候群とは? ターナー症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の代表的な疾患で、女性にだけ起こる先天的な病気です。そのもっとも大きな特徴は、背が低いことです。 他にも、首のまわりの皮膚がたるんでいるために ...
- ターナー症候群(Turner's Syndrome)は,女性において2,500人にひとりの頻度で見られる染色体異常症で,身長の低いことと性発達の遅れが特徴的です.この症候群は H.H. Turner博士により1938年に初めて記載されました.他の身体症状は ...
- ターナー症候群の最大の特徴 ターナー症候群の女性(以下ターナー女性といいます)には「背が低い」「二次性徴(女の子が女性らしくなること)がない」の二つが最大の特徴があるのです。この二つは女性の長い人生にとってつらい症状 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 14歳の女子。低身長と初経の遅れとを主訴に母親に伴われて来院した。身長140 cm、体重45kg。第二次性徴はみられず、翼状頚と外反肘とを認める。
- この疾患で正しいのはどれか。
- a 子宮は存在しない。
- b 多嚢胞状の卵巣である。
- c 血中FSHは高値を示す。
- d 染色体数は47本である。
- e 先天性心疾患の合併頻度が高い。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I049]←[国試_105]→[105I051]
[★]
- ☆case30 無月経
- ■症例
- 23歳 女性 女優
- 主訴:無月経
- 現病歴:5ヶ月前からの無月経である。初経は13歳で、これまで月経周期は整であった。食欲はあると言っているが昨年から(over the pas year)体重が8kg減少した。
- 嗜好品:アルコール10 unit/week(缶ビール(350ml)6本弱本/週)。
- 既往歴:なし
- 社会歴:現在は無職。
- 服用薬:なし
- 生活歴:一年前、彼氏と別れた。
- 身体所見 examination
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。身長1.7m、体重41kg、BMI 13.7(標準的:20< <24)。頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。脈拍52/分。血圧96 /60 mmHg
- 検査所見 investigations
- ECG
- 血液生化学
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓, Alb(保たれているのか・・・)
- 問診(S)
- 5ヶ月前からの無月経
- 昨年から8kg体重が減少。
- 無職
- 1年前に彼氏と別れた
- 身体所見(O)
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。
- 身長1.7m
- 体重41kg
- BMI 13.666666666666666
- 頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。
- 脈拍52/分
- 血圧96/60 mmHg
- 検査(O)
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓
- ・なにをすべきか?
- ・無月経の鑑別診断?
- ・体重減少の原因
- ■診断
- 神経性食思不振症, anorexia nervosa, AN
- ■要点
- ・嘔吐 → H+,Cl-喪失。
- ・減少した血漿量 → アルドステロン分泌亢進 → 尿細管ではナトリウム保持、カリウム分泌、(本来分泌されるべき)H+の枯渇
- ・アルカローシス(血中:Cl-低値、HCO3-高値。尿:Cl-低値、K+高値)
- ・尿中のCl-:<10mmol/day:嘔吐していることを暗示(imply vomitting)。高値:利尿剤の乱用
- ・anorexia nervosaで見られる検査値もチェックしておこう
- ・LH, FSH, エストロゲンは低値
- ■key points
- ・神経性食思不振症は若年女性の中で無月経の主要な原因である。
- ・低カリウム性代謝性アルカローシスは特徴的な代謝異常
- ・神経性食思不振症は利尿剤や下剤の濫用と結びついていることがある。
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
- ■major cases of secondary amenorrhea
- ・視床下部、下垂体の疾患:ex. 下垂体機能低下症、高プロラクチン血症
- ・性腺不全:ex. 自己免疫性卵巣不全、多能性卵巣
- ・副腎不全:ex. クッシング病
- ・甲状腺疾患:ex. [甲状腺機能低下症]]、甲状腺機能亢進症
- ・重症慢性疾患:ex. 癌、慢性腎不全
- □アルコールのunit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- 350ml アルコール5% → 350x0.05/10=1.75 unit
- ■glossary
- buttock
- n. 殿部、尻。船尾
- interrelate
- vi. 相互関係を持つ(有する)
- vt. 相互に関係(関連)づける
- contract
- v. 収縮する
- lanugo
- n. 毳毛、うぶ毛
[★]
- 英
- congenital heart disease, CHD
- 同
- 先天性心血管奇形 congenital cardiovascular anomaly
- 関
- 先天性心奇形
先天性心疾患.xls
先天性心疾患
右→左シャントが優位な疾患 チアノーゼ性心疾患
左→右シャントが優位な疾患 非チアノーゼ性心疾患
疫学
症状
- 参考文献(2)より
心疾患による症状
|
|
肺血流増加
|
肺血流減少
|
低心拍出
|
1.新生児期・乳児早期
|
多呼吸,陥没呼吸, 呼吸困難,喘鳴, 多汗, 哺乳障害
|
チアノーゼ
|
蒼白,末梢冷感, 冷汗,網状チアノーゼ, 体重増加不良, 弱い泣き声
|
2.乳幼児期
|
多呼吸, 易感染性,反復する肺炎
|
チアノーゼ, 低酸素発作, 蹲踞
|
体重増加不良, 運動発達遅延, 易疲労性, 顔色不良,やせ
|
3.小児期
|
運動能低下, 息切れ
|
ばち状指
|
運動能低下, 動悸
|
4.思春期以後 合併症による症状
|
胸痛,失神発作,突然死,喀血,不整脈,出血傾向,痛風,けいれん 等
|
|
|
酸素投与の悪影響(1)
- 1)動脈管依存型 → 酸素投与により動脈管が閉鎖方向に向かう
-
- 肺動脈閉鎖、右室低形成、重症肺動脈狭窄
- 大動脈縮窄・大動脈離断、大動脈閉鎖
- 2)肺循環負荷型 → 酸素投与により肺血管が拡張し、肺血管抵抗も減少して肺うっ血が増強
-
- 心室中隔欠損、大動脈縮窄複合、完全心内膜床欠損、総動脈幹遺残、
- 完全大血管転位(II型)、三尖弁閉鎖(C型)、大動脈肺動脈窓など
- 総肺静脈環流異常、三心房心、僧帽弁狭窄、肺静脈狭窄など
合併症
- QB.C-478
先天性疾患と先天心疾患
参考文献
- http://nmcg.shiga-med.ac.jp/rc_lecture/lecture21.htm
- (2) 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf
[★]
- 英
- amenorrhea
- 関
- 月経 menorrhea、月経異常
発症時期による分類
原因による分類
検査
-
[★]
- 英
- aortic coarctation, coarctation of aorta COA CoA, coarctation of the aorta
- 関
- 先天性心疾患
疫学
分類
狭窄部位
発症時期
- 乳児型 infantile type
- 成人型 adult type
病態
- NSU.373
管前型
- 発症が乳児期? → 乳児型
- 狭窄部は動脈管よりも近位。
- 動脈管は開存していることが多い
- 上半身:左心室からの血流。下半身:動脈管からの血流(合併する心奇形により、酸素化された肺静脈血が混合されている)。
- → (1) 左右シャント増加 → 肺高血圧の出現。
- → (2) 心不全
管後型
- 発症が成人? → 成人型
- 狭窄部は動脈管より遠位
- 動脈管は閉鎖?
- 上半身の高血圧、下半身の低血圧が特徴的で、側副路が発達し、年長児では肋間動脈が拡張(rib-notching)
- 左室圧負荷
治療
薬物療法
- 管前型の場合は直ちにプロスタグランジンE1を投与し、動脈管の閉鎖を防ぐ。
手術療法
- 参考2 SSUR.375 NSU.373
- いずれの方法でも動脈管は結紮、切離。
- 縮窄切除・単々吻合(resection with end-to-end anastomosis):狭窄部を切除し、断端を吻合する。
- 鎖骨下動脈フラップによる大動脈形成術(subclavian flap aortoplasty):鎖骨下動脈を切断し、その血管壁を利用して大動脈縮窄部位を拡張する。
- Blalock-Park法:鎖骨下動脈を離断して狭窄部の遠位部に吻合。
- 人工血管置換術:成人に対して行われる。大動脈瘤/破裂の頻度が高い。
手術合併症
参考
- 1. [charged] Clinical manifestations and diagnosis of coarctation of the aorta - uptodate [2]
- 2. [charged] Management of coarctation of the aorta - uptodate [3]
[★]
- 英
- fetal hydrops, hydrops fetal
- ラ
- hydrops fetalis
- 関
- 先天性胎児全身水腫
概念
- 胎児水腫とは以下の所見を2つ以上そなえるものである;(1)腹水、(2)胸水、(3)心嚢水、(4)浮腫(skin edema)、(5)羊水過多 (参考1)
分類
病態生理
非免疫性胎児水腫
- 参考1
- 明らかになっていないが、以下の異常が1つ以上組み合わさって生じている。
- 1. リンパ管の閉塞 (ex. 先天奇形、悪性腫瘍)
- 2. 脈管の透過性亢進 (ex. 感染)
- 3. 心筋の不全(myocardial failure) or 静脈還流路の閉塞
- 4. 浸透圧の減少 (肝疾患、腎疾患、非免疫的機序を介さない貧血)
疫学
- 非免疫性胎児水腫がほとんど。免疫性胎児水腫は予防方法が発達してきたため、胎児水腫の90%を非免疫性胎児水腫が占め、有病率は1500-3800出産に1例となっている(参考1)。
診断
予後
- 免疫性胎児水腫に比べて非免疫性胎児水腫の予後はよくない。(QB.P-257)
- 非免疫性胎児水腫は周産期死亡の50-98%と関連している。予後に影響を与える要素は発症時の胎齢と胸水の存在で、胎齢20週以下での胸水を伴う胎児水腫の発症は予後が悪い。胸水の存在により肺の低形成をきたすためである。(参考1)
参考
- 1. [charged] Nonimmune hydrops fetalis - uptodate [4]
国試
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候
[★]
- 英
- Turner