- 英
- complex regional pain syndrome, CRPS
- 関
- 反射性交感神経性ジストロフィー
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/06 20:03:33」(JST)
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複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)は、交感神経の過剰な活性化に関っていると考えられる疼痛である。神経因性疼痛の代表的疾患であり、体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされるが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある。 また、感覚過敏・アロディニア・代謝異常・浮腫・腫脹・皮膚温異常・局所的骨粗鬆症など様々な症状が観察されることが多い。最も多発する部位は手であり、その場合は同側肩関節の運動制限を伴うことが多い。この病気は、難病指定はされていない。
目次
- 1 用語
- 2 分類
- 3 診断
- 4 臨床症状
- 5 発生機序
- 6 罹患期間
- 7 関連項目
- 8 参考文献
用語
以前より、交感神経系の影響により慢性疼痛となる可能性は指摘されており、その中に、カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)・肩手症候群(Shoulder hand syndrome,SHS)・外傷後ジストロフィー・ズデック骨萎縮・交感神経性持続疼痛などがある。現在では、これらの用語が病気の兆候や症状を適切に表現するには適切でないとされ、国際疼痛研究学会(IASP;International Association of the Study of Pain)は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)という用語の使用を勧めている。しかし、臨床現場では依然として旧名称が用いられる事が多い。
分類
- Ⅰ型
- 神経損傷のない組織損傷に関連するCRPS。RSDがこれに相当する。受傷後数週間経過してから発症する事が多い。
- Ⅱ型
- 神経も巻き込んだ損傷に関連するCRPS。カウザルギーがこれに相当する。受傷直後に発症する事が多い。
診断
臨床検査として、サーモグラム・神経伝導速度検査・交感神経ブロック・筋電図・X線写真・三相性放射核種骨スキャニング・コンピュータ断層撮影(CT)・核磁気共鳴画像法(MRI)等を用いる。しかし、これらの試験においてCRPS患者は正常な所見を示す場合もある。
- CRPS診療用診断基準(IASP,2005)
- きっかけとなった外傷や疾病に不釣り合いな持続性の痛みがある
- 以下の4項目のうち、3つ以上の項目で1つ以上の自覚的徴候がある
- 感覚異常:自発痛、痛覚過敏
- 血管運動異常:血管拡張、血管収縮、皮膚温の左右差、皮膚色の変化
- 浮腫・発汗異常:浮腫、多汗、発汗低下
- 運動異常・萎縮性変化:筋力低下、振戦、ジストニア、協調運動障害、爪・毛の変化、皮膚萎縮、関節拘縮、軟部組織変化
- 診察時において、上記の項目のうち、2つ以上の項目で1つ以上の他覚的所見がある
- 上記の症状や徴候をよりうまく説明できる他の診断がない
- CRPS臨床用判定指標(CRPS研究会,2008)
自覚的症状(病気のいずれかの時期に、以下の自覚的症状のうち2項目以上該当すること)
- 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
- 関節可動域制限
- 持続性ないし不釣り合いな痛み、しびれたような針で刺すような痛み、または知覚過敏
- 発汗の亢進ないしは低下
- 浮腫
他覚的所見(診察時において、以下の他覚的所見の項目を2項目以上該当すること)
- 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
- 関節可動域制限
- 異痛症(触刺激または熱刺激)ないしは痛覚過敏(ピンプリック)
- 発汗の亢進ないしは低下
- 浮腫
臨床症状
- 刺激を起している損傷や疾病とは不釣り合いな激しい疼痛
- 疼痛性刺激に対する過剰反応
- 通常なら疼痛を起さない刺激に反応した痛覚
- 皮膚萎縮(光沢・乾燥・鱗状を示す。)
- 多汗症
- 浮腫
- こわばり
- 毛髪の成長低下
- 患部のまだら様骨粗鬆症
- 運動制限
- 皮膚温異常
- 筋萎縮
- 爪の変化(初期は速く伸び、やがて伸びにくくなる。脆くなる。)
- 症状の拡大
発生機序
交感神経が疼痛に影響するメカニズムは2009年現在明らかにされていない。しかし、そのメカニズムは交感神経求心性線維または遠心性線維から放出される神経伝達物質によって、侵害受容器を直接刺激することに起因するとされる。疼痛により生じる交感神経活性は、求心性C線維を活性化させることがあり、これは二次痛を増大させる。これはさらに交感神経の活性を亢進させ、痛みの悪循環が形成される。
罹患期間
CRPSの罹患期間は多様である。軽症の場合は、数週間後に寛解するが、多くは何年にも渡る。寛解と再発を経験する場合もある。 以前はステージによる病期分類が行われていたが、疾患の進行は患者により様々であり、予期が困難である為、現在はあまり使用されていない。
関連項目
参考文献
- Michelle H.Cameron 編著 渡辺一郎 監訳:普及版EBM物理療法 第2版.医歯薬出版株式会社,2006,ISBN4-263-21292-4
- Merskey H,Bogduk N:Classification of chronic pain.ISAP press,1994
- Bonica JJ:Causalgia and other reflex sympathtic dystrophies,The Management of Pain.Edited by Bonica JJ.Philadelphia,Lea and Febiger,p220
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Japanese Journal
- 複合性局所疼痛症候群に対するfunctional MRIを用いた痛みの可視化と罹病期間の検討
- 医原性末梢神経損傷 (特集 Orthopaedic Neurology : 神経内科と整形外科の狭間で)
- 鍼灸クリニカルレポート : 総合医療に向けて医科大学からの発信(第30回)複合性局所疼痛症候群(CRPS)Type1に対する鍼灸治療
- 寺澤 宏美,山口 智
- 医道の日本 = The Japanese journal of acupuncture & manual therapies 73(3), 95-104, 2014-03
- NAID 40020004423
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★リンクテーブル★
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- 72歳の女性。右手の疼痛を主訴に来院した。3か月前に右橈骨遠位端骨折を受傷し、8週間のギプス固定を受けた。ギプス除去後にリハビリテーションを受けている。手を触られると刺すような痛みがあり、手掌の発汗亢進を自覚していたが、その後、増強するようになったため受診した。来院時、右手指は腫脹しており、つまみ動作は可能である。手関節とすべての手指の関節とに可動域制限を認める。両手エックス線写真(別冊No. 22)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D043]←[国試_109]→[109D045]
[★]
- 英
- edema
- 関
- 水腫、angioedema、全身性浮腫
分類
- 低アルブミン血症はfast edema と覚えておく
浮腫の原因
- IMD.518
-
- 内分泌性浮腫
- 栄養失調性浮腫・栄養障害性浮腫
- 薬剤性浮腫
- 起立性浮腫
- 特発性浮腫
- 内科診断リファレンス p.4
浮腫を来す疾患
- IMD.519改変
-
- 内科外科マニュアルp.212
- 蜂窩織炎
- 深部静脈血栓症
- 表在静脈瘤(慢性静脈還流不全)
- うっ血性心不全
- ネフローゼ症候群
- 肝硬変
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 薬剤:CCB,ピオグリタゾン,NSAIDs,女性ホルモン,甘草
- 特発性浮腫:女性,夕方増悪する下腿の浮腫:NaCl,炭水化物制限
- 月経前症候群:黄体期に出現し,月経発来と共に消退:当帰芍薬散,加味逍遥散
肝性浮腫と腎性浮腫
- 肝性浮腫は下肢に、腎性浮腫では眼瞼に浮腫が初発する?(出典不明)
-
- 越婢加朮湯
- 五苓散
-
-
- 当帰芍薬散
- 真武湯
-
- 防已黄耆湯
- 八味地黄丸
参考
[★]
- 英
- autonomic neuropathy、autonomic dysfunction、dysautonomia、disorders of the autonomic nervous system, autonomic disturbance
- 関
- 純粋自律神経不全症、自律神経ニューロパチー、自律神経性ニューロパチー、自律神経ニューロパシー、自律神経系疾患、自律神経機能異常、自律神経異常症、自律神経機能不全
臓器毎の自律神経障害
眼
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瞳孔の異常 (縮瞳,散瞳)、眼瞼下垂
|
循環器
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起立性低血圧、食事性低血圧、不整脈
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呼吸器
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睡眠時呼吸障害
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消化器
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便秘、便失禁、下痢
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泌尿器
|
神経因性膀胱(頻尿,排尿困難,残尿など)
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生殖器
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勃起障害
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皮膚
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発汗低下、皮膚栄養障害
|
自律神経障害を来しうる疾患
全身
局所
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- 英
- complex regional pain syndrome、CRPS
- 関
- 複合性局所疼痛症候群
[★]
複合性局所疼痛症候群
- 同
- complex regional pain syndrome
[★]
複合性局所疼痛症候群
- 同
- CRPS
- 同
- CRPS
[★]
- 英
- complex regional pain syndrome type I、(abrv)CRPS type I
- 関
- 有痛性骨萎縮症、反射性交感神経性ジストロフィー、肩手症候群、複合性局所疼痛症候群I型、スデック萎縮
[★]
- 英
- complex regional pain syndrome type II、CRPS type II
- 関
- カウザルギー、求心路遮断性疼痛、複合性局所疼痛症候群II型
[★]
- 英
- complex regional pain syndrome type II
- 関
- 複合性局所疼痛症候群2型
[★]
- 英
- complex regional pain syndrome type I
- 関
- 複合性局所疼痛症候群1型
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- pain, dolor
- 同
- 痛み
- 関
- 痛覚 pain sensation
疼痛
疼痛の伝達
疼痛の調節
- ゲートコントロール:Aδ線維とC線維による痛みはAβ線維による入力で中枢伝達細胞のレベルで抑制される。
- 下行性疼痛抑制系神経系:下行性疼痛抑制系神経系による入力で中枢伝達細胞のレベルで抑制される。
- 下行性疼痛抑制系神経系は中脳水道周辺灰白質からの脊髄への入力からなる。具体的には大縫線核(セロトニン作動性)、巨大細胞網様核・傍巨大細胞網様核(ノルアドレナリン作動性)がの2系統が起点となる。抗うつ薬はこれらの神経伝達物質の再吸収を妨げ鎮痛作用を発揮する。
痛みと異常知覚の命名法
- Adams and s Principles of Neurology, Ninth Edition Allan Ropper. table 8-2より抜粋
- dysesthesia : Any abnormal sensation described as unpleasant by the patient.
- hyperalgesia : Exaggerated pain response from a normally painful stimulus; usually includes aspects of summation with repeated stimulus of constant intensity and aftersensation.
- hyperpathia : Abnormally painful and exaggerated reaction to a painful stimulus; related to hyperalgesia.
- hyperesthesia (hypesthesia) : Exaggerated perception of touch stimulus.
- allodynia : Abnormal perception of pain from a normally nonpainful mechanical or thermal stimulus; usually has elements of delay in perception and of aftersensation.
- hypoalgesia (hypalgesia) : Decreased sensitivity and raised threshoid to painful stimuli.
- anesthesia : Reduced perception of all sensation, mainly touch.
- pallanesthesia : Loss of perception of vibration.
- analgesia : Reduced perception of pain stimulus.
- paresthesia : Mainly spontaneous abnormal sensation that is not unpleasant; usually described as "pins and needles".
- causalgia : Buming pain in the distribution of one or more peripheral nerves.
[★]
- 英
- spot、local、regional、locoregional
- 関
- 局在性、局所性、局所的、地域、点、斑点、領域、領域性、地方、局所領域的、スポット
[★]
- 英
- complex
- 関
- 合成物、錯体、複合体、複合物、複雑、コンプレックス
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化