グレーブス病
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バセドウ病またはバセドー病(バセドウびょう、バセドーびょう、 独: Basedow-Krankheit)[1]とは、甲状腺自己抗体によって甲状腺が瀰漫(びまん)性に腫大する自己免疫疾患(II型アレルギー)。英語圏ではグレーブス病(グレーブスびょう、 英: Graves' disease)と呼ばれる。ロバート・ジェームス・グレーブス(英語版)(1835年)とカール・アドルフ・フォン・バセドウ(1840年)によって発見、報告された。
目次
- 1 病態・原因
- 2 統計
- 3 症状
- 4 検査
- 5 診断
- 6 治療
- 6.1 薬剤による治療
- 6.2 アイソトープ(放射性ヨード)治療
- 6.3 手術
- 7 予後
- 8 妊娠・出産
- 9 歴史
- 10 ANCA関連血管炎とバセドウ病との関連
- 11 脚注
- 12 参考文献
- 13 関連項目
- 14 外部リンク
病態・原因
甲状腺の表面には、下垂体によって産生される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の受容体(甲状腺刺激ホルモン受容体、TSHレセプター)が存在する。バセドウ病では、この受容体に対する自己抗体(抗TSHレセプター抗体、TRAb)が生じ、それがTSHの代わりにTSHレセプターを過剰に刺激するために、甲状腺ホルモンが必要以上に産生されている。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を高めるホルモンであるため、このホルモンの異常高値によって代謝が異常に活発になることで、心身に様々な影響を及ぼす。
この自己抗体産生が引き起こされる原因は、2007年現在不詳である。過度なストレス・過労が発症・再発に関与しているという説もある。またバセドウ病を発症する場合、多くはその家系内に甲状腺関連の病気を患った事が多いことから遺伝的な要素が多いと考えられる。
なお、ヨウ素の摂取量が少ない地域(西ヨーロッパなど)では、ヨウ素を大量摂取することで、潜在的なバセドウ病が発症することがある。これをヨードバセドウ病と呼ぶ。
統計
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気、すなわち甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気である。中年以上の女性がバセドウ病に罹患した場合、更年期障害と勘違いする事が多い。
ほかの甲状腺の病気と同じように女性に多い病気だが、その比率は男性1人に対して女性4人ほど。甲状腺の病気全体の男女比は男性1対女性9の割合であるから、甲状腺の病気のなかでは比較的男性の比率が高い病気である。
発病年齢は、20歳代と30歳代で全体の過半数を占め、次いで40歳代、50歳代となっており、青年から壮年に多い病気といえる。何らかのアレルギーを持っている人が多い。
症状
- 甲状腺腫大、眼球突出(甲状腺眼症)、頻脈。これらはカール・アドルフ・フォン・バセドウが一般診療を開始したメルゼブルク(Merseburg)の地にちなみ、メルゼブルク三徴と当初呼ばれた[2]。
- 他に甲状腺機能亢進症を来たし、以下のような症状も見られる場合がある。
- 低カリウム血症から低カリウム性周期性四肢麻痺になる。
- あらゆる臓器が常に全力疾走しているのと同じ状態になり、大量のエネルギーを必要とするため食欲が異常に増すが、代謝が高いため体重減少を来たす(代謝以上に食欲が亢進し、太る場合もある)。
- 心臓機能の亢進から収縮期高血圧と頻拍、時に心房細動を来たす。
- 新陳代謝の活発化から発汗過多を来たす(夏の暑さに耐えられない/冬でも暑い)。
- 内分泌のバランスが崩れて精神的に不安定になる、イライラする、集中力が低下する。
- 振戦、手の震え。
- 甲状腺クリーゼ:突然重篤な甲状腺機能亢進状態となる合併症。高熱、頻脈、嘔吐、下痢、意識障害などを来す。生命に関わることもあるため注意を要する。
- 眼球突出が顕著となると、眼球運動障害(複視)や視神経症をきたす事がある。
- ステルワーグ徴候(瞬きの増加)、グレーフェ徴候(上眼瞼拳筋の過度の緊張で上方注視後に下方に視線を移すと、上眼瞼下際と角膜の間に白目が見える)、メビウス徴候(両眼輻輳失調)が見られる。
上記症状のすべてが出るわけでなく、患者により差異がある。潜在的甲状腺機能亢進症で症状がない患者もいる。
検査
- 血液検査
- 甲状腺ホルモン
- T3, Free T3
- T4, Free T4
- TSH
- 電解質
- 全身の細胞膜上にあるNa-Kポンプにもアクセルがかかり低カリウム血症になる。
- TRAb(=TSH receptor antibody)
- 抗TPO抗体(thyroid peroxidaseに対する抗体、抗ミクロゾーム抗体と近い)
- 橋本病でもバセドウ病でも抗TPO抗体は、しばしば認められる。
- 画像診断
- 頸部レントゲン撮影
- 頸部エコー … 血流の増加はドップラーエコーで"thyroid inferno"と呼ばれる。無痛性甲状腺炎との鑑別に有用。[3]
- 甲状腺シンチグラム
- 生理検査
診断
甲状腺腫大、眼球突出、頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見などからバセドウ病が疑われる場合、血中の甲状腺ホルモン測定などにより判断する。
- 甲状腺ホルモン:freeT4、freeT3の高値、TSHの抑制。ただしeuthyroid Graves' diseaseの場合はホルモン正常であるので注意。
- 自己抗体:抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性、または抗TSH受容体刺激抗体(TSAb)陽性。
- 甲状腺機能の亢進:甲状腺シンチでの摂取率高値、エコーでの血流増加。
これについては、日本甲状腺学会より「甲状腺疾患診断ガイドライン2013」として 「バセドウ病の診断ガイドライン」が提示されている [4]。
治療
薬剤による治療
甲状腺ホルモンの合成を抑える薬(抗甲状腺薬:メチマゾール(チアマゾール、メルカゾール)、チウラジール(プロバジール)を、規則的に服用する方法。定期的に甲状腺ホルモンの量を測定しながら、適切な量の薬を服用することで、血液中の甲状腺ホルモンの濃度を正常にする。薬で甲状腺刺激ホルモンの量を調整することで普通の人と変わらない生活を営むことができるが、甲状腺刺激抗体が消えるまで薬を飲みつづける必要がある為、完治には長い期間を要する。副作用としては、5%に皮膚の炎症、0.05%に白血球の減少や無顆粒球症が生じることがある。これらの副作用は服用開始から3か月以内に現れることが多い。無顆粒球症が生じたら直ちに服薬を中止し、他の治療法に切り替える必要がある。(好中球数 1000個/μLを下回れば中止とする。)
- メルカゾールではMPO-ANCA関連血管炎がまれに引き起こされる。
- メルカゾールは15mg/dayで開始が安全といわれている。
- プロプルチオウラシルは重症肝障害が出現することがあるため、ガイドラインでもメルカゾールを第一選択薬としている[5]。
アイソトープ(放射性ヨード)治療
ヨードの放射性同位元素(ラジオアイソトープ; radio isotope; RI)を服用し、甲状腺の細胞の数を減らす方法。甲状腺細胞の数が減少すれば、分泌される甲状腺ホルモンの量が減少する。およそ2 - 6か月で甲状腺ホルモンの量が減少すると言われ、手術よりは手軽で、薬より早く治るのが、この方法の長所である。ただし、時間経過とともに細胞が減りすぎて、逆に甲状腺の機能低下が発生することもある。なお、放射性物質を用いるので被曝の影響が全くないとはいえず、妊娠中や授乳中の女性およびすぐに妊娠を希望する女性などには行わない。放射線の影響は約4か月でなくなるとされることから、4か月で妊娠を許可している施設もあるが、甲状腺機能の変動があるため1年は待つべきとされる。
- RI治療により、バセドウ眼症が悪化することもある。眼症を持つ患者にはRI治療は注意して行われる。また眼症増悪の際には、プレドニゾロン投与、またはステロイドパルスと球後照射の併用が施行される。
- 13mCi投与により、ややover-burnとすることが多い。
手術
甲状腺の一部を残して、切除する方法。甲状腺を切除することで甲状腺ホルモンの量を調整する。他の治療法より早く完治し、再発も少ないが、入院を要する。また、傷跡が目立つことがある。手術による合併症も起こりうるので、高齢者や心臓の病気がある人などには行わない。術後に甲状腺機能低下症に陥ることが多いが、その場合の治療は通常の甲状腺機能低下症と同じである。なお、再発した場合は再手術は行わず、ヨード治療などに切り替える。
予後
バセドウ病は適切な治療を行えば予後良好である。しかし、治療を怠ると死亡の原因にもなる。頻脈ひいては心房細動に至ると、脳塞栓を起こすこともありうる。甲状腺クリーゼは早急に専門医に紹介されるべき病態のひとつである。
周期性四肢麻痺は、そのものは生命には関与しないが、てんかん発作と同様に車の運転中などに発作を起こすと事故に至ることも懸念される症状のひとつである。
妊娠・出産
適切な治療が行われていないとき、妊娠中、へその緒を通しての胎児への栄養がうまく送れなくなり、胎児が発育遅延になる場合がある。母体のTRAbやTSAbが多い場合、これらの抗体が胎盤を通して胎児に送られるため、新生児に一時的にバセドウ病の症状が現れることがあるが、これらの抗体は新生児が産生しているものではないため、やがて症状は消える。
甲状腺の治療薬は長い間、胎児の奇形に寄与すると信じられていたが、現在では否定されている。
歴史
アイルランドの医師グレーブス(1835年)によって初めて報告された。その後バセドウ伯(1840年)が独自に発見・報告し[6]、ゲオルグ・ヒルシュによりこの名が付けられた。症状の「メルゼブルクの三徴」は、バセドウの出身地、メルゼブルク(ドイツ語版)の地名に因む[2]。本症の発見前後、日本の医学は主にドイツからの情報に依存していたため、グレーブス病(Graves' disease)ではなくバセドウ病と呼ばれる事が多い。ちなみに欧州圏においてはバセドウ病と呼ばれることが多いようである。
ANCA関連血管炎とバセドウ病との関連
未治療のバセドウ病患者や抗甲状腺薬内服後にANCA陽性となる症例が方向されている。そのほとんどはMPO-ANCAである。抗甲状腺薬内服後にANCA陽性となった場合は無症状で低抗体価ならば内服変更はせずに経過観察でもよいという報告はある。しかし、血管炎症状合併時や高抗体価の場合は内服薬の変更が好ましいとされている。
脚注
- ^ バセドウ氏病とも。ドイツ語の"ow"は「オウ」という二重母音ではなく「オー」と長音で発音されるため、正確には「バーゼドー」だが、慣用として「バセドウ病」という表記が定着している。
- ^ a b カール・アドルフ・フォン・バセドウ, バセドウ病についてあれこれ
- ^ 日内会誌102(3): 618-623, 2013.
- ^ バセドウ病の診断ガイドライン2013 - 日本甲状腺学会
- ^ 日本甲状腺学会編: バセドウ病治療ガイドライン2011. 南江堂. 東京. 2011.
- ^ 原文ドイツ語。部分的な英訳がRalph Hermon Major著『Classic Descriptions of Disease』Springfieldにある。初版1932年、第2版1939年、第3版1945年刊。
参考文献
- グレーブス=ロバート・ジェイムズ、1835年5月23日「Clinical lectures - At the Meath Hospital during the Session of 1834-5. Lecture XII」『The London Medical and Surgical Journal』7巻2号513 - 520ページ、2010年11月6日閲覧
- バセドウ伯=カール・アドルフ、1840年3月28日「Exophthalmus durch Hypertrophie des Zellgewebes in der Augenhöhle」『Wochenschrift für die gesammte Heilkunde. 1840』13号197 - 204・220 - 228ページ、2010年11月6日閲覧
関連項目
外部リンク
- バセドウ病とは? - 日本小児内分泌学会
- バセドウ病の診断ガイドライン2013(医師・医療関係者用) - 日本甲状腺学会
- 甲状腺眼症(バセドウ病などの一症状) - 日本眼科学会
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Japanese Journal
- Basedow病発見の契機となった汎発性脱毛症 (特集 付属器疾患)
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- a. 抗甲状腺薬は数ヶ月で中止できる
- b. アイソトープ治療の効果は2週間後に出現する
- c. 眼球突出は甲状腺亜全摘術後1ヶ月で改善する
- d. 甲状腺機能亢進症状は甲状腺亜全摘術後、数週間以内に改善される。
- e. 抗甲状腺薬の投与は症状を見ながら次第に減らしていく。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
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[正答]
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※国試ナビ4※ [103E006]←[国試_103]→[103E008]
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- 英
- Graves' disease, Graves disease
- 同
- バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's disease、グレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiter、パリー病 Parry disease
- ラ
- morbus Basedowii
- 関
- 甲状腺中毒症
概念
病因
- 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
- 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
- TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
- 自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
- 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。
疫学
頻度
- 住民検診などで見つかる Basedow病は、1,000人に対し 1-6人と報告されている。
- 男女比は1:4で女性に多い。特に、20-50歳の女性に多い。
- 家族内集積が高い。
病変形成&病理
- 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。
症状
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
- 心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
- 2. びまん性甲状腺腫大(表面は平滑で柔らかい、血管雑音)
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。
合併症
検査
- 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値
- 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
- 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進
エコー
診断
(Basedow病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会 第7次案))
- 所見
- 1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- 2. びまん性甲状腺腫大
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 3. 抗TSH受容体抗体(TRAb,TBII) 陽性、または刺激抗体(TSAb) 陽性
- 4. 放射線ヨード(またはテクネシウム) 甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
- 診断
- a) の1つ以上に加えて、b) の4つを有するもの
- a) の1つ以上に加えて、b) の1、2、3を有するもの
3) Basedow病の疑い
- a) の1つ以上に加えて、b) の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3カ月以上続くもの
- 付記
- 1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い.
- 2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある.
- 3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid
Graves’diseaseまたはeuthyroidophthalmopathyといわれる.
- 4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする.
- 5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める.
- 6. 遊離T3(pg/ml) /遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる
治療
の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。
- 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)
治療の中止
- 4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
- 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
- 2. 投薬継続期間が2年以上
- 3. 甲状腺腫が小さくなった
- 4. TSH受容体抗体が陰性
βブロッカー
- 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して
放射性ヨード療法
- 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
- 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。
外科的治療法
比較
|
放射性ヨード療法 131療法
|
外科的治療法
|
抗甲状腺薬
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長所
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治療法が簡単
|
|
どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
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成人合併例でも治療可能
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|
通院での治療可能
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比較的短期間で寛解
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短期間に治癒
|
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永続寛解率が高い
|
高い寛解率
|
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侵襲が少ない
|
|
不可逆的な甲状腺機能低下は稀
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短所
|
特別な施設が必要
|
手術侵襲
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副作用(無顆粒球症・肝障害)
|
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加
|
永続的甲状腺機能低下症
|
|
妊娠、授乳期では禁忌
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瘢痕
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治療期間が長い
|
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術後合併症(反回神経麻痺、テタニー)
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永続寛解率が低い
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|
術後再発
|
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回避・禁忌
|
30歳以下は避ける
|
|
|
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌
|
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適応
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欧米の第一選択
|
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日本の第一選択
|
老人で早期治療を望む場合
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早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望)
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小児、妊婦
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抗甲状腺薬で副作用の例
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
FT4軽度上昇例
|
服薬・治療コンプライアンス低
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服薬・治療コンプライアンス低
|
|
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合
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通院が困難
|
|
手術後再発例
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甲状腺腫が大
|
甲状腺腫が小
|
病理
- 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf
[★]
- 英
- thyroid gland
- ラ
- glandula thyroidea
- 関
- 甲状腺ホルモン、副甲状腺(上皮小体)
- 喉頭
- 図:N.24(全面の筋),25(全面の筋),70(血管),71(血管)
解剖学
部位
性状
- 成人の正常重量15-25g、女性の方が少し重い。妊娠中や性周期で重量が変化する。分泌期初期(early secretary phase排卵後2-5日目)には50%も重量が増加する。
大きさ
- よくわかる甲状腺疾患のすべて 永井書店 (2004/01) ISBN 481591673X
- 単位はmm?
|
n
|
峡部
|
横断厚
|
横径
|
縦経(右)
|
縦経(左)
|
男性
|
34
|
1.8±0.6
|
18±3.0
|
48±4.8
|
49±3.7
|
49±3.8
|
女性
|
16
|
1.3±0.8
|
16±2.2
|
46±3.6
|
45±6.0
|
46±3.0
|
血管
動脈
静脈
神経
- 声帯を支配する神経が甲状腺の裏側を通過 N.71
画像
- (高エコー)筋肉>甲状腺>気道(低エコー) ← 要確認
組織学
- 成人甲状腺全体の0.1%を占める
- カルシトニン産生細胞、HEでは判別困難。
- 銀染色(Glimerius)、免疫組織化学(chromogranin A、synaprophysin, carcitoninなど)により明らかとなる。
- 電顕では、electron dense な顆粒を有する(神経内分泌顆粒)。
機能
発生
神経支配
- 上頚部交感神経節、中頚部交感神経節。交感神経神経線維は濾胞近傍に終末し、分泌に影響を及ぼす。
臨床関連
診察所見と疾患
非腫瘍性疾患
- a) 無形成 Agenesis
- b) 低形成 Hypoplasia
- c) 異所性甲状腺:異残物
- mynocyclineによるblack thyroid:消耗性色素リポフスチンと他の物質(lipid-drug complexによりlysosomeに色素が沈着する)。
- a) 濾胞腺腫 follicular adenoma
- a) 乳頭癌 papillary carcinoma 88%
- b) 濾胞癌 follicular carcinoma 4.2% 甲状腺濾胞癌 thyroid follicular carcinoma
- c) 低分化癌 poorly differentiated carcinoma
- d) 未分化癌 undifferentiated carcinoma 1.5%
- e) 髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma, C-cell carcinoma 1.4%
- f) 悪性リンパ腫 malignant lymphoma 3.5%
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
分類
[★]
- ☆case30 無月経
- ■症例
- 23歳 女性 女優
- 主訴:無月経
- 現病歴:5ヶ月前からの無月経である。初経は13歳で、これまで月経周期は整であった。食欲はあると言っているが昨年から(over the pas year)体重が8kg減少した。
- 嗜好品:アルコール10 unit/week(缶ビール(350ml)6本弱本/週)。
- 既往歴:なし
- 社会歴:現在は無職。
- 服用薬:なし
- 生活歴:一年前、彼氏と別れた。
- 身体所見 examination
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。身長1.7m、体重41kg、BMI 13.7(標準的:20< <24)。頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。脈拍52/分。血圧96 /60 mmHg
- 検査所見 investigations
- ECG
- 血液生化学
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓, Alb(保たれているのか・・・)
- 問診(S)
- 5ヶ月前からの無月経
- 昨年から8kg体重が減少。
- 無職
- 1年前に彼氏と別れた
- 身体所見(O)
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。
- 身長1.7m
- 体重41kg
- BMI 13.666666666666666
- 頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。
- 脈拍52/分
- 血圧96/60 mmHg
- 検査(O)
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓
- ・なにをすべきか?
- ・無月経の鑑別診断?
- ・体重減少の原因
- ■診断
- 神経性食思不振症, anorexia nervosa, AN
- ■要点
- ・嘔吐 → H+,Cl-喪失。
- ・減少した血漿量 → アルドステロン分泌亢進 → 尿細管ではナトリウム保持、カリウム分泌、(本来分泌されるべき)H+の枯渇
- ・アルカローシス(血中:Cl-低値、HCO3-高値。尿:Cl-低値、K+高値)
- ・尿中のCl-:<10mmol/day:嘔吐していることを暗示(imply vomitting)。高値:利尿剤の乱用
- ・anorexia nervosaで見られる検査値もチェックしておこう
- ・LH, FSH, エストロゲンは低値
- ■key points
- ・神経性食思不振症は若年女性の中で無月経の主要な原因である。
- ・低カリウム性代謝性アルカローシスは特徴的な代謝異常
- ・神経性食思不振症は利尿剤や下剤の濫用と結びついていることがある。
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
- ■major cases of secondary amenorrhea
- ・視床下部、下垂体の疾患:ex. 下垂体機能低下症、高プロラクチン血症
- ・性腺不全:ex. 自己免疫性卵巣不全、多能性卵巣
- ・副腎不全:ex. クッシング病
- ・甲状腺疾患:ex. [甲状腺機能低下症]]、甲状腺機能亢進症
- ・重症慢性疾患:ex. 癌、慢性腎不全
- □アルコールのunit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- 350ml アルコール5% → 350x0.05/10=1.75 unit
- ■glossary
- buttock
- n. 殿部、尻。船尾
- interrelate
- vi. 相互関係を持つ(有する)
- vt. 相互に関係(関連)づける
- contract
- v. 収縮する
- lanugo
- n. 毳毛、うぶ毛
[★]
- 英
- amenorrhea
- 関
- 月経 menorrhea、月経異常
発症時期による分類
原因による分類
検査
-
[★]
- 英
- radiation therapy, radiotherapy, radiation treatment
- 同
- 放射線治療
- 関
- 高エネルギーX線治療
放射線治療の適応疾患
根治的放射線療法
- 根治的放射線療法が可能な悪性腫瘍
ガイドライン
- 1. 放射線治療計画ガイドライン・2008 - 日本放射線専門医会・医会,日本放射線腫瘍学会,日本医学放射線学会編集
- http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患