出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/02 19:13:51」(JST)
肝炎 | |
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分類及び外部参照情報 | |
アルコール性肝炎
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ICD-10 | K75.9 |
ICD-9 | 573.3 |
DiseasesDB | 20061 |
MeSH | D006505 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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肝炎(かんえん、英Hepatitis)とは、何らかの原因で肝臓に炎症が起こり発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状を来たす疾患の総称である。
日本ではウイルス性による肝炎が80%を占める。 日本では特にA、B、C型が多い。
目次
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肝炎の原因は以下が存在する。
肝炎ウイルスによる肝炎発症の機序は、ウイルス自体が肝細胞を破壊するために起こるのではなく、肝細胞内で増殖しているウイルスに対する生体の免疫反応によって、ウイルスだけではなく肝細胞も一緒に障害を受けてしまうことによる。
肝の急性の炎症。頻度としてはA型肝炎が多く、一過性に重篤な肝障害、劇症肝炎を起こすことがある。また、成人発症のB型肝炎も殆どは急性肝炎で発症する。HBVによる慢性肝炎も有名であるが、これは垂直感染によってキャリア化した場合が殆どである。但し、キャリアが急性増悪を起こし、急性肝炎のような経過を取ることはよくある。また、薬剤性肝障害も急性の発症をする。アルコール性肝障害のひとつであるアルコール性肝炎も急性肝炎の発症をする。アルコール性肝炎は劇症肝炎に近い経過をとることも多く、急性膵炎と同様、非常に重篤な病態である。ウィルソン病、バッド・キアリ症候群は急性、慢性両方の経過を取りえる。
発症後8週間以内に高度の肝機能異常、肝性昏睡II度以上を来たし、プロトロンビン時間が40%以下であるものを指す(第12回犬山シンポジウム、1981年)。
亜急性型のほうが急性型と比較して圧倒的に予後が悪い。亜急性型劇症肝炎の救命率は未だに10%程度である。基本的に、急性型はA型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)が原因であることが多いが、亜急性型は原因不明であることが多く、両者は別疾患であるのではないかと考える学者もいる。亜急性型では予後が悪いとわかっているので肝移植を検討することが多い。
また、劇症肝炎は有効な内科的治療法が殆ど確立していない。血漿交換、ステロイド、グルカゴン・インシュリン療法など一応治療法と呼ばれるものはあるが、効果の無さは救命率が示している。劇症肝炎の合併症としては消化管出血、脳浮腫、DICなどがあげられる。
総合感冒薬や解熱鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェンは大量服薬をすると劇症肝炎を起こすことが知られており、自殺目的に利用するものも多い。
発症後8週以降、6ヵ月未満に肝性昏睡II度以上、プロトロンビン時間40%以下を示すものを指す。劇症肝炎亜急性型と同様に予後は悪い。
慢性肝炎とは、臨床的には6ヶ月以上の肝機能検査の異常とウィルス感染が持続している病態を指す。組織学的には、門脈域にリンパ球を主体とした細胞浸潤と線維化を認め、肝実質内には種々の程度の肝細胞の変性・壊死所見を認める。 慢性肝炎の活動性は piecemeal necrosis, 小葉内細胞浸潤, 肝細胞の変性・壊死(spotty necrosis, bridging necrosisなど)によりNone(A0), Mild(A1), Moderate(A2), Severe(A3)の4段階に分ける。さらに線維化の程度により4段階、線維化なし(F0)、門脈域の線維性拡大(F1)、bridging necrosis(F2)、小葉のひずみを伴うbridging fibrosis(F3)に分ける。以上は「新犬山分類」(第19回犬山シンポジウム、1995年)の骨子である。
肝硬変や肝細胞癌へと進行する恐れがある。頻度としてはC型肝炎が最も多いが、鑑別として、AST、ALTといったトランスアミナーゼ上昇が目立つ場合は自己免疫性肝炎、ALP、γGTPといった胆道系酵素が目立つ場合は原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎を疑うべきである。B型肝炎が原因である可能性もあり、ウイルスの抗原、抗体を検査する必要がある。自己免疫性肝炎なら、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗肝可溶性抗原抗体を測定し、原発性胆汁性肝硬変ならば抗ミトコンドリア抗体を測定するべきである。原発性硬化性胆管炎ならば、画像所見で比較的診断をつけやすい。
一般に慢性肝機能障害では高グロブリン血症をきたすことが知られている。トランスアミナーゼの上昇が軽度で、肝の予備能が明らかに低下している肝硬変まで至らないような状況である場合は、この所見は非常に重要となる。IgG、IgMを測れば良いのであるが測定に簡便さという点で、ZTTやTTTがよく利用される。TTTは血清IgM量を、ZTTは血清IgG量を反映する。但し、高グロブリン血症は炎症が起こっている場合は、大抵は起こる非特異的な所見である。A型肝炎ではTTTが上昇するがIgMは上昇するのだから当然である。あくまで、検査値で肝機能障害がわかりにくい場合に測定する項目である。
慢性肝炎では肝硬変の移行がないのかを確認することが重要である。具体的には血小板数、コリンエステラーゼ、アルブミン、プロトロンビン時間などで肝機能を調べつつ、血清ヒアルロン酸で肝の線維化をみて、エコーで形態変化をみる。ウイルス性肝炎の場合は肝硬変に至る前にインターフェロン治療等を行うのが望ましい。
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国試過去問 | 「100D034」「099G060」「100H036」「103A056」「108C009」「101C016」「100E037」「100E042」「104I006」「083A056」 |
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C
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B
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B
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D
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A
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B
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E
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C
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BC
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一般名 | 略号 | 販売名 | 作用点 | |
アスナプレビル | asunaprevir | ASV | スンベプラ | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害 |
エルバスビル | elbasvir | EBR | エレルサ | HCV NS5A阻害 |
グラゾプレビル | grazoprevir | GZR | グラジナ | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害 |
グレカプレビル・ピブレンタスビル | glecaprevir/pibrentasvir | GLE/PIB | マヴィレット配合 | HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害・HCV NS5A阻害 |
ソホスブビル | sofosbuvir | SOF | ソバルディ | 核酸アナログ |
ソホスブビル・ベルパタスビル | sofosbuvir/velpatasvir | SOF/VEL | エプクルーサ配合 | 核酸アナログ |
ダクラタスビル | daclatasvir | DCV | ダクルインザ | HCV NS5A複製複合体阻害 |
リバビリン | ribavirin | RBV | レベトール、コペガス | 核酸アナログ |
レジパスビル・ソホスブビル | sofosbuvir/ledipasvir | SOF/LDV | ハーボニー配合 | HCV NS5A阻害・核酸アナログ |
C型肝炎ウイルスの遺伝子型 | DAA治療歴のない慢性肝炎 | ||
一般名 | 備考 | ||
1型 | SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 |
EBR+GZR | elbasvir+grazoprevir | ||
GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
2型 | SOF+RBV | sofosbuvir+ribavirin | 腎障害では禁 |
GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 | |
C型肝炎ウイルスの遺伝子型 | DAA治療歴のない代償性肝硬変 | ||
一般名 | 備考 | ||
1型 | SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 |
EBR+GZR | elbasvir+grazoprevir | ||
GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
2型 | SOF+RBV | sofosbuvir+ribavirin | 腎障害では禁 |
GLE/PIB | glecaprevir/pibrentasvir | ||
SOF/LDV | sofosbuvir/ledipasvir | 腎障害では禁 |
B型肝炎 | C型肝炎 | ソース | |
感染の特徴 | 慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発? |
慢性の肝細胞障害 | 根拠なし |
劇症化 | 0.1-1% | 0.1% | HIM |
慢性化率 | 1-10% | 85% | HIM |
キャリア化 | 稀。通常、母子感染でおこる | 医学辞書 | |
肝細胞癌患者中 | 約20% | 約70% | QB.B-281 |
肝細胞癌患者年齢 | 若年発症 | QB.B-281 | |
肝細胞癌発症形式 | 突発あり | 緩徐進展 | QB.B-281 |
遺伝子型 | B型肝炎ウイルス#遺伝子型 | ||
A型、C型 | 1b型、2a型,、2b型 | ||
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 | 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除) | ||
治療 | インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
ペグインターフェロン+リバビリン |
病期 | 肝炎 | 血中 | 肝臓 | ||||
DNA量 | HBe抗原 | HBs抗原 | cccDNA | ||||
免疫寛容期 | 無症候性キャリア | ー | 8~11 | ++ | +++ | +++ | |
免疫排除期 | 慢性肝炎 | HBe抗原陽性 | 持続 | 6~10 | + | ++ | ++ |
HBe抗原陰性 | 変動 | 3~8 | ー | +~++ | +~++ | ||
免疫監視期 | 非活動性キャリア | ー | <4 | ー | + | + | |
回復期 | ー | ー | ー | ー | + |
ローリスク群 | ハイリスク群 | 意義 | |
HBIG筋注 | 0ヶ月 | 0ヶ月 | ウイルス粒子に対する防御 |
2ヶ月 | |||
HBワクチン | 2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月 |
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月 |
防御抗体の付与 |
HBs抗原検査 | 1ヶ月 | HBV感染の確認 | |
6ヶ月 | 6ヶ月 | ||
HBs抗体検査 | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 防御抗体獲得の確認 |
B型肝炎 | C型肝炎 | ソース | |
感染の特徴 | 慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発? |
慢性の肝細胞障害 | 根拠なし |
劇症化 | 0.1-1% | 0.1% | HIM |
慢性化率 | 1-10% | 85% | HIM |
キャリア化 | 稀。通常、母子感染でおこる | 医学辞書 | |
肝細胞癌患者中 | 約20% | 約70% | QB.B-281 |
肝細胞癌患者年齢 | 若年発症 | QB.B-281 | |
肝細胞癌発症形式 | 突発あり | 緩徐進展 | QB.B-281 |
遺伝子型 | B型肝炎ウイルス#遺伝子型 | ||
A型、C型 | 1b型、2a型,、2b型 | ||
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 | 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除) | ||
治療 | インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
ペグインターフェロン+リバビリン |
AIH | 自己抗体 | HCV感染 | |||
抗核抗体 | 抗平滑筋抗体 | 抗LKM-1抗体 | 抗SLA抗体 | ||
ANA | ASMA | ||||
I型 | + | + | - | - | - |
IIa型 | - | - | + | - | - |
IIb型 | - | - | + | - | + |
III型 | - | - | - | + | - |
IV型 | - | + | - | - | - |
1. 血中自己抗体(特に抗核抗体、抗平滑筋抗体など)が陽性。 |
2. 血清γグロブリン値またはIgGの上昇 (2g/dl以上)。 |
3. 持続性または反復性の血清トランスアミナーゼ値の異常。 |
4. 肝炎ウィルスマーカーは原則として陰性。 |
5. 組織学的には肝細胞壊死所見およびpiecemeal necrosisに伴う慢性肝炎あるいは肝硬変であり、しばしば著明な形質細胞浸潤を認める。時に急性肝炎像を呈する。 |
註 * 本邦ではHLA-DR4陽性症例が多い ** 本邦ではC型肝炎ウィルス血症を伴う自己免疫性肝炎がある。 *** C型肝炎ウィルス感染が明らかな症例では、インターフェロン治療が奏功する例もある。 |
ICG試験 | BSP試験 | その他 | ||
血中消失率 (K) |
15分血中停滞率 (R15) |
血中停滞率 45分値 | ||
健常者 | 0.168-0.206 | 0-10% | 正常 | |
ジルベール症候群 | 正常(1) | |||
デュビン・ジョンソン症候群 | 正常~軽度異常(2) | 低下後再上昇 | ||
ローター症候群 | >70% 70-80(3) |
異常値 45-50%(3) |
黄疸 | |
ICG排泄異常症 | >70% | 肝機能検査正常 | ||
慢性肝炎 | 0.1-0.15 | 10-30% | ||
肝硬変 | 0.077 | >30%, 平均35% | ||
肝臓での処理 | 代謝されない | グルタチオン抱合 | ||
(1) 正常のことが多い(QB.B-267)、正常か時に中等度の異常(LAB.1358) | ||||
(2)(QB.B-267)、正常(LAB.1358) |
[★] ;英:α-fetoprotein AFP, alpha fetoprotein, alpha-fetoprotein
肝炎ウイルス.xls
感染症 | A型肝炎 | B型肝炎 | C型肝炎 | D型肝炎 | E型肝炎 | |
ウイルス | HAV | HBV | HCV | HDV | HEV | |
科 | ピコルナウイルス科 | ヘパドナウイルス科 | フラビウイルス科 | 未分類 | ヘペウイルス科 | |
属 | ヘパトウイルス属 | オルソヘパドナ属 | ヘパシウイルス属 | デルタウイルス属 | ヘペウイルス属 | |
ゲノム | ssRNA+ | dsDNA | ssRNA+ | ssRNA- | ssRNA+ | |
エンベロープ | - | + | + | + | - | |
逆転写酵素 | - | + | - | - | - | |
潜伏期 | 文献1 | 15-40days | 50-180days | 1-5months | 21-90days | 2-9weeks |
文献2 | 約4週 | 1-6ヶ月 | 平均6-8週 | 平均7週 | 平均5-6週 | |
type of onset | 急性 | 潜行性 | 潜行性 | 急性 | 急性 | |
前駆症状 | 関節炎、皮疹 | 関節炎、皮疹 | ||||
感染経路 | 経口・糞光 | ○ | 無 | 無 | 無 | ○ |
非腸管 | 稀 | ○ | ○ | ○ | 無 | |
その他 | 食物、水 | 性的接触、周産期感染。血液、体液、垂直感染 | 性的接触(稀)。血液、体液 | 性的接触(稀) | 水 | |
後遺症 | キャリアー | × | ○(約10%) | ○(約50-70%) | ○(重複感染:2-20%) | × |
慢性肝炎 | × | ○ | ○ | ○ | × | |
肝硬変→肝細胞癌 | × | 2.5-3 %/年 | 5-7 %/年 | × | ||
劇症肝炎 | 0.1% | 0.2 % | 0.2 % | 0.3-5.0% | ||
死亡率 | 0.1-0.2% | 0.5-2.0%(健常者) | 1-2%(健常者) | 2-20% | 2%(一般)。20%(妊婦) | |
発熱 | ○ | ? | ? | ? | ? | |
予防 | A型肝炎ワクチン(不活化) | B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原)、HBIG | なし | B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原) | ワクチン | |
治療 | なし | IFN ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
INF+リバビリン IFN(著効率:30%。2a 60%, 2b 45%, 1b 15%) |
IFN? | なし | |
その他 | CPEなし | Gianotti病 | HBVと同時感染、Ribozyme活性 | 風土病。人獣共通感染症(豚、イノシシ、鹿) |
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