腎血管性高血圧症
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腎血管性高血圧症(じんけっかんせいこうけつあつしょう)は、腎臓の血管障害に起因する高血圧症。
目次
- 1 病態
- 2 原因
- 3 統計
- 4 症状
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 8 予後
- 9 診療科
- 10 脚注
- 11 参考文献
- 12 関連項目
- 13 外部リンク
病態
腎血流が何らかの原因で低下した結果、全身が低血圧状態にあると勘違いした腎臓の傍糸球体装置が血圧上昇ホルモンであるレニンを分泌して、レニン-アンジオテンシン系が亢進して高血圧になる。
原因
- 内因性
- 線維筋性異形成
- 大動脈炎症候群
- 動脈硬化症 : 腎動脈が厚くなる。厚くなることを肥厚すると言う。腎動脈が肥厚して血管腔を狭窄する。
- 外因性
- 腎細胞癌 : 腫瘍による腎動脈の圧迫。
- 解離性大動脈瘤 : 偽腔の血腫が腎動脈を圧迫狭窄する。
統計
- 原因
- 線維筋性異形成 : 40%
- 動脈硬化症 : 25%
- 大動脈炎症候群20%
- 原因の約九割を、線維筋性異形成、動脈硬化症、大動脈炎症候群、で占める。
症状
- 血圧高値: 若年高血圧、高齢者で急速な血圧上昇をきたすもの、降圧薬によるコントロールが困難なものは、腎動脈狭窄に限らず二次性高血圧を疑い精査が必要。
- 頭痛
検査
- 基本的身体検査
- 腎血管障害による血流雑音が心窩部、腹部で聴取される。腎動脈以外の動脈狭窄を合併していないか注意すること。
- 血清生化学検査
- 高レニン血症、高アルドステロン血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、等が認められる。
- カプトプリル負荷試験
- カプトプリル内服によるレニンの過大反応を認める。両側に高度の腎動脈狭窄がある場合、ACE阻害薬投与によりショックとなる可能性もあるので注意。
- 画像検査
- 3D-CT:多列CTの登場により、狭窄部位を鮮明に画像化できるようになってきている。
- 腹部超音波検査:ドップラー検査により腎動脈の血流を計測する。
- シンチグラフィー(レノグラム):カプトプリル負荷レノグラム。
診断
レニン、アルドステロンの上昇確認。最終的に腎動脈造影による腎動脈の狭窄の確認。
治療
- 薬物療法
- 対症療法として各種降圧薬を用いて血圧コントロールを行う。特にレニン-アンジオテンシン系を遮断するために、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬、等を用いる。
- 手術療法
- 狭窄した腎血管に対して腎動脈形成術、等を行う。腎動脈形成術は、バルーンやステントを用いる。バルーンやステントを用いる腎動脈形成術を経皮経管的腎血管形成術(PTRA)と言う。PTRAが治療の第一選択となることも多い。[1]
予後
診療科
腎臓内科 - 循環器内科
脚注
- ^ Zeller T, te al: Predictors of improved renal function after percutaneous stent-supported angioplasty of severe atherosclerotic ostial renal artery stenosis. Circulation 108 2244-2249, 2003.
参考文献
関連項目
外部リンク
腎・泌尿器系の疾患 |
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疾患 |
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糸球体病変
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急性糸球体腎炎 | IgA腎症 | 急速進行性糸球体腎炎 | 慢性糸球体腎炎
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原発性
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UpToDate Contents
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- 1. 腎血管性高血圧の診断 establishing the diagnosis of renovascular hypertension
- 2. 片側性アテローム性腎動脈狭窄症の治療 treatment of unilateral atherosclerotic renal artery stenosis
- 3. アテローム性腎動脈狭窄に起因する慢性腎疾患の臨床症状および診断 clinical manifestations and diagnosis of chronic kidney disease resulting from atherosclerotic renal artery stenosis
- 4. 両側性アテローム性腎動脈狭窄症および機能的単腎の狭窄の治療 treatment of bilateral atherosclerotic renal artery stenosis or stenosis to a solitary functioning kidney
- 5. 二次性高血圧の評価 evaluation of secondary hypertension
Japanese Journal
- 進行性の腹部大動脈狭窄を生じたMid-Aortic Syndromeの1例
- 腎動脈形成術により, コントロール不良な心不全を改善できた陳旧性心筋梗塞の1例
- 大地 悠子,岩渕 薫,長谷部 雄飛,神戸 茂雄,矢作 浩一,竹内 雅治,宮田 正弘,杉浦 章,上田 詩文,平本 哲也
- 日本内科学会雑誌 99(8), 1903-1906, 2010-08-10
- NAID 10026623422
Related Links
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- 高血圧症は“治らない病気”という印象が強いですが、なかには“治る高血圧”もあります。 それは、原因がはっきりしている「二次性高血圧症」といわれるものです。高血圧のもと になっている病気をきちんと治療すれば、高血圧症は治ります。しかし、なかには原因 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 44歳の女性。2年前から手指のしびれ感と下肢の麻痺症状とが出現し、階段の昇降ができなくなり来院した。常用薬はない。身長160cm、体重48kg。脈拍76/分、整。血圧162/92mmHg。頸部に甲状腺を触知しない。両下肢に筋力低下を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球400万、Hb13.7g/dl、Ht39%、白血球4,200。血清生化学所見:総蛋白5.9g/dl、アルブミン3.9g/dl、総コレステロール167mg/dl、尿素窒素10.1mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、尿酸7.4mg/dl、Na143mEq/l、K2.7mEq/l、アルドステロン28.6ng/dl(基準5~10)、血漿レニン活性0.2ng/ml/時間(基準1.2~2.5)。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F055]←[国試_100]→[100F057]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103A013]←[国試_103]→[103A015]
[★]
[★]
- 英
- secondary hypertension
- 同
- 症候性高血圧 symptomatic hypertension
- 関
- 高血圧、本態性高血圧
病因
-
二次性高血圧を連想する症状
二次性高血圧を疑わせる臨床所見
- JSH2014 第13章 二次性高血圧
原因疾患
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示唆する所見
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鑑別に必要な検査
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二次性高血圧一般
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重症高血圧、治療抵抗性高血圧、 急激な高血圧発症、 若年発症の高血圧
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腎血管性高血圧
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RA系阻害薬投与後の急激な 腎機能悪化、腎サイズの左右差、 低K血症、腹部血管雑音
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腎動脈超音波、腹部CTA、 腹部MRA、レノグラム、PRA、PAC
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腎実質性高血圧
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血清Cr上昇、蛋白尿、血尿、 腎疾患の既往
|
血清免疫学的検査、腹部CT、 超音波、腎生検
|
原発性アルドステロン症
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低K血症、副腎偶発腫瘍
|
PRA、PAC、負荷試験、副腎CT、副腎静脈採血
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睡眠時無呼吸症候群
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いびき、肥満、昼間の眠気、早朝・夜間高血圧
|
睡眠ポリグラフィー
|
褐色細胞腫
|
発作性・動揺性高血圧、動悸、 頭痛、発汗
|
血液・尿カテコールアミンおよび カテコールアミン代謝産物、腹部 超音波・CT、MIBGシンテグラフィー
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クッシング症候群
|
中心性肥満、満月様顔貌、 皮膚線条、高血糖
|
コルチゾール、ACTH、腹部CT、 頭部MRI、デキサメサゾン抑制試験
|
サブクリニカル クッシング症候群
|
副腎偶発腫瘍
|
コルチゾール、ACTH、腹部CT、 デキサメサゾン抑制試験
|
薬物誘発性高血圧
|
薬物使用歴、低K血症
|
薬物使用歴の確認
|
大動脈縮窄症
|
血圧上下肢差、血管雑音
|
胸腹部CT、MRI・MRA、血管造影
|
甲状腺機能低下症
|
徐脈、浮腫、活動性減少、 脂質・CPK・LDH高値
|
甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体、甲状腺超音波
|
甲状腺機能亢進症
|
頻脈、発汗、体重減少、 コレステロール低値
|
甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体、甲状腺超音波
|
副甲状腺機能亢進症
|
高Ca血症
|
副甲状腺ホルモン
|
脳幹部血管圧迫
|
顔面けいれん、三叉神経痛
|
頭部MRI・MRA
|
検査
- 原発性アルドステロン症:ARR
- クッシング症候群:
- 褐色細胞腫:
[★]
- 英
- chronic glomerulonephritis CGN
- 同
- 慢性腎炎 chronic nephritis, 慢性腎炎症候群 chronic nephritic syndrome、慢性糸球体腎炎症候群 chronic glomerulonephritic syndrome
概念
- 蛋白尿・血尿が1年以上持続する病態
- 透析導入原疾患の第2位をしめる。
疫学
- 参考1
- 慢性糸球体腎炎が減少し続ける理由:学校検尿・健康健診・人間ドックによる早期発見治療。治療の進歩、生活環境の清潔化、RAA系の抑制薬の登場、腎炎に関する知識の普及
原疾患
診断基準
参考
- http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/CKDguide2009.pdf
[★]
- 英
- renin-angiotensin system
- 関
- レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
RA系
- QB.D-243
[★]
- 英
- fibromuscular dysplasia, FMD
- 同
- 線維筋性形成異常症
- 関
- 腎血管性高血圧
- 中~大筋性動脈の血管壁の不規則な肥厚。腎動脈、頚動脈、脾動脈。椎骨動脈。原因不明だが、発生と関連。(BPT.341)
- 血管壁は巣状に肥厚。血管壁の内膜と中膜が不規則に過形成・線維化。(BPT.341)
- 腎動脈の遠位2/3に血管壁の肥厚による狭窄が遠位2/3に好発する。狭窄は片側であることが多い。腎動脈の狭窄により腎血管性高血圧を生じる。
[show details]
国試
[★]
- 英
- renal hypertension
- 関
分類
[★]
- 英
- renovascular hypertension
- 同
- 腎血管性高血圧
- 関
- 腎性高血圧 renal hypertension
概念
- 片側あるいは両側の腎動脈主幹部、もしくはその分枝の狭窄性病変に起因
- 腎灌流圧の低下に基づくレニン-アンジオテンシン系の亢進 ← レニンは必ずしも高値ではない
病因
疫学
- 軽症~中等症の高血圧症の中では1%以下
- 重症~治療抵抗性高血圧症の中では10-45%
- 粥状動脈硬化症:中高年 :40歳~ :男性多:腎動脈近位部:約38%:全身血管にも動脈硬化所見
- 線維筋性異形成:若年者 :~40歳 :女性多:腎動脈遠位部:約18%:頚動脈にも病変があり得る
- 大動脈炎症候群:黄色人種:20-40歳:女性多:腎動脈近位部:約15%:大動脈の他の分枝にも狭窄
- 腎動脈狭窄:一側性70-80%、両側性20-30%
病態生理
- 腎動脈狭窄→患側腎の灌流圧低下→傍糸球体装置からの分泌↑→アンジオテンシンII↑→副腎アルドステロン↑、末梢血管収縮
症状
検査
診断
治療
- IMD YN.E-71
- 腎動脈形成術が基本。できない場合に薬物治療。
- 薬物療法:外科手術が施行できない例、術前血圧コントロールする場合などに適応
- 経皮的腎血管形成術 PTRA
- バイパス血管による血行再建
- 腎摘出術:血管再建術不能例
- 腎自家移植:血管再建術不能例。自己の腎臓を腸骨窩に移植。
[★]
- 英
- blood pressure, BP
- 同
- 動脈圧 arterial pressure AP
- 関
- 血圧測定
成人の血圧
- 至適血圧:<120mmHg かつ <80mmHg
- 正常血圧:130mmHg かつ 85mmHg
- 正常高値血圧:130~139mmHg または 85~89mmHg
- I度高血圧(軽症):140~159mmHg または 90~99mmHg
- II度高血圧(中等症):160~179mmHg または 100~109mmHg
- III度高血圧(重症):≧180mmHg または ≧110mmHg
- 収縮期高血圧:≧140mmHg かつ <90mmHg
糖尿病性腎症
- 管理目標: 130/80 mmHg
- 尿蛋白1g/日以上:125/75 mmHg
冠血管と血圧
- In the normal state, autoregulatory mechanisms adjust coronary tone tomatch myocardial oxygen supply with oxygen requirements. In the absence of obstructive coronary disease, thesemechanisms maintain fairly constant rate of coronary flow, as long as the aortic perfusion pressure is approximately 60 mmHg or greater.
血圧の異常
血圧の上肢における左右差
- 大動脈炎症候群:腕頭動脈、鎖骨下動脈の狭窄・閉塞を生じる
- 動脈硬化:鎖骨下動脈領域の病変があるとき、左右の脈拍差や皮膚温の違いを生じる
血圧の上下肢の差(下肢>上肢)
- 大動脈炎症候群:大動脈弓部が冒されやすいが、鎖骨下動脈が冒された場合に上肢の血圧が低下。
- 解離性大動脈瘤:解離腔に生じた血腫が鎖骨下動脈を圧迫すると、上肢の血圧が低下
- 大動脈閉鎖不全症:Hill徴候
収縮期血圧のみ高い。拡張期血圧は高くない
- 拡張期に動脈血流が減少する病態(血流が体循環に押し出されないか、心収縮力のみ上昇している状態?(体循環の血管抵抗が上がっていない?))
- 脈圧が上昇する
- 1. 大動脈基部の血流が逆流やシャントにより減少する場合
ショック
非侵襲的な血圧測定法による血圧の上肢・下肢の差
- 血圧を測定するために駆血帯で血流を遮断する必要がある。このとき、下肢の動脈の方が深部を走行しているため上肢より強く駆血帯で圧迫する必要がある。強く圧迫を要する分だけ下肢の血圧が高く測定されてしまう。
心血管とその周囲の血圧 YN.C-29
- see also PHD.61
中心静脈
|
|
肺動脈楔入圧
|
4~8
|
8~20
|
右心房
|
左心房
|
1~4
|
8~20
|
右心室
|
左心室
|
8~20
|
120~20
|
肺動脈
|
大動脈
|
8~20
|
120~70
|
臓器移植における脳死判定の除外
- 脳死判定#脳死判定の除外規定、臓器の移植に関する法律施行規則#第二条第四項
- 収縮期血圧が以下で定められる数値未満の場合には脳死判定ができない。
- 1歳未満の者 65
- 1歳以上13歳未満の者 年齢x2+65
- 13歳以上の者 90
国試
[★]
- 英
- blood vessel, blood vessels
構造
- 内皮細胞(単層扁平上皮細胞)
- 基底板
- 内皮下結合組織(内皮下層 subendothelial layer):疎性結合組織、縦走平滑筋
- 内弾性板
分類
[★]
- 英
- vascular vasculogenic
- 関
- 維管束、血管、血管原性、脈管
[★]
- 英
- emulgent, renal blood vessel, renal vessel
- 関
- 腎臓
[★]
- 英
- renovascular
- 関
- 腎血管