- 英
- von Hippel-Lindau disease VHL disease, VHL
- 同
- フォンヒッペル・リンダウ病 VHL病 、リンダウ病、ヒッペル病、フォン・ヒッペル・リンダウン病、フォン・ヒッペル-リンダウ病
- 網膜血管腫症 retinal angiomatosis
- 関
- 血管芽腫、神経皮膚症候群。フォン・ヒッペル病(網膜の血管腫のみの場合(SOP.144))
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概念
- 癌抑制遺伝子であるVHL遺伝子の変異による常染色体優性遺伝疾患で、中枢神経系の血管芽腫、網膜血管芽腫、腎細胞癌、副腎腫瘍などを発症する疾患である。
- 頭部の血管芽腫と腎・副腎腫瘍と覚えておこう
病因
- 3p25のVHL遺伝子:癌抑制遺伝子の変異が関与
- 11q13にもマッピングされている。
疫学
遺伝形式
病態
- 多くの臓器に腫瘍や嚢胞を形成(腎(40%に腎細胞癌。腎嚢胞)、中枢神経系の血管芽腫、網膜血管腫、膵腫瘍(膵嚢胞)、肝、副腎(褐色細胞腫)など)
- 眼 :毛細血管レベルで血管腫が発生し、グリアの増殖を伴ってオレンジ色の結節を形成する。血管腫を介したシャントが形成されるために動脈・静脈が拡張蛇行する。進行すれば血管腫から血漿が漏出して漿液性網膜剥離をきたす。また硬性白斑がみられる。
症状
- 眼 :(網膜剥離が起これば)視野障害・視力障害
- 神経:(小脳の血管芽腫により)小脳失調。てんかん(SOP.144)。
- 皮膚:(低頻度)血管腫、カフェオレ斑
合併症
検査
- 造影:小脳の血管芽腫は濃染される。嚢胞を伴う場合は均一な低信号領域が認められる。
- [show details]
国試
参考
- 1. [charged] フォンヒッペル・リンダウ病の臨床的特徴、診断、および管理 - uptodate [1]
- 2. [charged] フォンヒッペル・リンダウ病の分子生物学および病因 - uptodate [2]
- 3. VON HIPPEL-LINDAU SYNDROME - OMIM
- http://omim.org/entry/193300
メモ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/26 18:53:57」(JST)
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フォン・ヒッペル・リンドウ病 |
フォン・ヒッペル・リンドウ病で典型的に見られる中枢神経系の血管芽腫。
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
Q85.8 |
ICD-9 |
759.6 |
OMIM |
193300 |
DiseasesDB |
14000 |
eMedicine |
ped/2417 oph/354 |
Patient UK |
フォン・ヒッペル・リンドウ病 |
GeneReviews |
- Von Hippel-Lindau Syndrome
|
フォン・ヒッペル・リンドウ病(英:Von Hippel–Lindau disease)(VHL病)とは、中枢神経や網膜での血管芽腫や腎臓での明細胞癌、褐色細胞腫などの腫瘍が多発する常染色体優性の遺伝性疾患である。およそ、36000人に1人の割合で見られる[1]。第3染色体にあるVHL遺伝子の変異が原因となっている。90%が家族性で、10%が孤発例である。
目次
- 1 概要
- 2 分類
- 3 臨床像
- 3.1 中枢神経系血管芽腫
- 3.2 網膜血管芽腫
- 3.3 腎嚢胞・腎細胞癌
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
概要
フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL病)は網膜に生じる家族性の血管芽腫を発見したフォン・ヒッペル[2]と、網膜と小脳の血管芽腫の関係性について発見したリンドウ[3]の名前を取って名付けられた遺伝性疾患である。フォン・ヒッペル・リンドウ病は中枢神経系や網膜の血管芽腫のほか、腎細胞癌(主として明細胞癌)、褐色細胞腫、精巣上体嚢胞、多発性腎嚢胞、膵嚢胞、膵内分泌腫瘍、内耳内リンパ嚢胞腺腫等を生じうる。 この疾患の責任遺伝子は第3染色体の3p35-26領域にあるVHL遺伝子である[4]。VHL遺伝子はがん抑制遺伝子であり、最も研究されているのはHIF-αに対するE3ユビキチンリガーゼ活性である。低酸素下ではHIF-αはHIF-βと二量体を形成し、VEGFやTGF-β、EPOなどの転写を促進するが、酸素存在下ではHIF-αはVHLタンパク(p-VHL)によってユビキチンによる標識を受けてプロテアソームにより分解される[5]。ヘテロ接合性の消失やメチル化などによってVHLの機能が失われることによってVEGF等が過剰となり腫瘍を生じると考えられている。
分類
褐色細胞腫を伴うかどうかで大きくtype1とtype2に分かれる。
- type1:褐色細胞腫を伴わないもの。
- type2A:褐色細胞腫と血管芽腫を生じるが、腎細胞癌を伴わないもの。
- type2B:褐色細胞腫、腎細胞癌、血管芽腫のいずれも伴うもの。
- type2C:褐色細胞腫のみ。
臨床像
フォン・ヒッペル・リンドウ病による血管芽腫に伴って生じた網膜剥離
中枢神経系血管芽腫、網膜血管芽腫、多発性腎嚢胞、腎細胞癌、褐色細胞腫、精巣上体嚢胞、膵嚢胞、膵内分泌腫瘍などを生じうるが、臨床症状には個人差があり、それぞれ生じる腫瘍や嚢胞による症状を呈する。
中枢神経系血管芽腫
VHL病の約80%に見られる頻度の高い病変である。うち、80%が脳(特に小脳)、20%が脊髄に発生する。小脳血管芽腫ではふらつき、めまい、運動失調などの小脳症状のほか、中脳水道狭窄による頭蓋内圧亢進症状を呈する。脊髄血管腫では知覚・運動障害、膀胱直腸障害などを生じる。
網膜血管芽腫
網膜の耳側部に好発する。無症状で眼科的検査でたまたま見つかることもあるが、腫瘍に伴う網膜剥離・出血により視野欠損や視力障害をきたす場合がある。
腎嚢胞・腎細胞癌
VHL病ではしばしば多発性腎嚢胞を認めることがあり、腎嚢胞を背景として明細胞癌を生じることが多い。
参考文献
- 菅野洋 (2012). “家族性脳腫瘍の基礎と臨床”. BRAIN and NERVE~神経研究の進歩~ 64 (5): 557-564. PMID 22570069.
出典
- ^ Maher ER, Iselius L, Yates JR (1991). “Von Hippel-Lindau disease: a genetic study”. Journal of medical genetics 28 (7): 443-447. PMID 1895313.
- ^ Von Hippel E (1904). “Ober eine sehr seltene Erkrankung der Netzhaut.”. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 59: 83-106.
- ^ Lindau A (1926). “Studien uber Kleinhirncysten. Bau, Pathogenese und Beziehungen zur Angiomatosis retinae.”. Acta Pathol Microbiol Scand (Suppl): 1-128.
- ^ Latif F, Tory K, Gnarra J, Yao M, Duh FM, Orcutt ML, Stackhouse T, Kuzmin I, Modi W, Geil L, et al. (1993). “Identification of the von Hippel-Lindau disease tumor suppressor gene”. Science 260 (5112): 1317-1320. PMID 8493574.
- ^ Kaelin WG (2005). “The von Hippel-Lindau tumor suppressor protein: roles in cancer and oxygen sensing”. Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology 70: 159-66. PMID 16869749.
外部リンク
Related Links
- フォンヒッペル・リンドウ病(VHL病)は脳,脊髄,網膜の血管芽腫,腎嚢胞や腎がん, 褐色細胞腫,内耳内リンパ嚢胞腺腫などを生じる.小脳の血管芽腫は頭痛,嘔吐,歩行 障害や失調を伴うことがある.網膜の血管芽腫はしばしば初発症状となり,失明の原因 ...
- 目次. ◇紹介 ◇文献 ◇引用 ◇ニュース. >TOP. □紹介 フォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau;VHL)病. ◇定義(難病情報センター フォン・ヒッペルリンドウ病の病態 調査と診断治療系確立の研究班 平成23年度概要より) 常染色体優性遺伝性疾患で、 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 36歳の男性。2か月前から頭痛、めまい及びふらつきが出現したため来院した。14歳時に両側眼底出血の既往がある。意識は清明。眼振、四肢協調運動障害および体幹失調を認める。四肢の麻痺と感覚障害とはみられない。頭部MRIのT1強調像、造影T1強調像及び椎骨動脈造影側面像を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A046]←[国試_096]→[096A048]
[★]
- 英
- pheochromocytoma PC, phaeochromocytoma
- 同
- クロム親和細胞腫 chromaffin cell tumor chromaffinoma
- 関
- 副腎外褐色細胞腫、傍神経節腫 paraganglioma。アドレナリン受容体
概念
- 副腎髄質や傍神経節などのクロム親和性細胞から発生する腫瘍。
- カテコールアミン分泌する
病型
- 臨床像:発作型・持続型
- 腫瘍発生様式:散発性、家族性(10%) : :*家族性発生のものはMEN2の可能性あり。
- 発生部位:副腎原発(90%)(片側性、両側性(10%))、副腎外発生(10%)
- 腫瘍の数:単発性、多発性(10%)
- 腫瘍の正常:良性、悪性(10%)
病因
- 10% disease
- embfc ← なんか適当な語呂にして
- extraadrenal:副腎外10%
- malignancy:悪性10%
- bilateral:両側10%
- familial:家族性10%
- child:小児10%
疫学
遺伝形式
原因となる遺伝子
Location
|
Phenotype
|
Phenotype
|
Gene/Locus
|
Gene/Locus
|
MIM number
|
MIM number
|
1p36.22
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
KIF1B
|
605995
|
1p36.13
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHB
|
185470
|
2q11.2
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
TMEM127
|
613403
|
3p25.3
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
VHL
|
608537
|
5p13.2
|
{Pheochromocytoma, modifier of}
|
171300
|
GDNF
|
600837
|
10q11.21
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
RET
|
164761
|
11q23.1
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHD
|
602690
|
14q23.3
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
MAX
|
154950
|
病態生理
- 起立性低血圧:慢性的な血管収縮により体液が減少して生じやすくなる。また、慢性的なカテコラミン過剰により自律神経の血圧調節能力低下。
病理
- 悪性褐色細胞腫ではコハク酸脱水素酵素サブユニットB(SDHB)遺伝子に変異が存在するものがある。
症状
- カテコールアミンの過剰分泌による症状
- 高血圧、頭痛、発汗、動悸・頻脈、高血糖 → 5H
- 起立性低血圧、起立性めまい、蒼白、不安・神経過敏、体重減少
- YN.D-69
- HT,HM,HG,Hhidr,Head
高血圧
- α1作用により末梢血管収縮。
- β1作用によりレニン分泌
代謝亢進
高血糖
- α2作用:インスリン分泌抑制
- β2作用:肝臓によるグリコーゲン分解
頭痛
発汗
- 代謝亢進による体温上昇に対して発汗により体温の上昇を補償することがメカニズムと思われる。
- 甲状腺機能亢進症と同じメカニズムに基づく。さらに、脱共役蛋白質の活性化によるものと思う(成長ホルモン#)。
検査
- MRI:病変はT2 high
- CT:出血・壊死部位は低吸収
- シンチ:副腎シンチグラム:131I-MIBGの取り込みを見る。
検査禁忌
- 副腎静脈造影、副腎静脈サンプリング ← 褐色細胞腫の場合に高血圧クリーゼの恐れ
診断
治療
- 薬物療法と手術療法がある。
薬物療法
手術療法
- αブロッカー(プラゾシン)とβブロッカーを併用、あるいはαβ遮断薬(ラベタロール)を使用し血圧を安定させてから手術を行う。手術は静脈結紮を先に行いカテコラミンの体循環への流入を防ぐ。
- 腹腔鏡下副腎摘除術
禁忌となる薬物
- グルカゴン:以下のような目的でグルカゴンが用いられるが、褐色細胞腫の患者においては「カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがあ」ため、禁忌
- 成長ホルモン分泌能検査、インスリノーマの診断、肝糖原検査、低血糖時の救急処置、消化管のX線および内視鏡検査の前処置
- β受容体遮断薬:α受容体遮断薬と併用することなしに単独で用いるのは禁忌。α受容体の血管収縮作用を相対的に増強させるため、逆に血圧が上昇してしまう危険がある。(QB.D-289)
参考
- 1. PHEOCHROMOCYTOMA - OMIM
- http://omim.org/entry/171300
国試
[★]
- 英
- neurocutaneous syndrome、neurocutaneous disorder
- 関
- 母斑症 phakomatosis
- 外胚葉異常により皮膚母斑や神経腫瘍を生じる先天性疾患
- 神経線維腫症2型, neurofibromatosis type 2, NF2
- 結節性硬化症, tuberous sclerosis
- ポイツ・イェーガー症候群, Peutz-Jeghers syndrome:顔面片側性の単純血管腫(三叉神経第1枝に沿う(CN V1))、眼の脈絡膜血管腫、脳軟膜の血管腫 → 中枢神経症状(乳幼児期からの痙攣発作、大脳半球萎縮、石灰化、知能障害)、眼症状(脈絡膜の血管腫による眼圧亢進、緑内障 → 牛眼 )
- 色素失調症, incontinentia pigmenti, ブロッホ・ザルツバーガー症候群, Bloch-Sulzberger syndrome
- スタージ・ウェーバー症候群, Sturge-Weber syndrome:遺伝性無し。皮膚症状:顔面片側性の単純血管腫(三叉神経第1枝に沿う(CN V1)) 。中枢神経症状:顔面血管腫が存在する側の特に後頭葉に脳軟膜の血管腫が発生 (NDE.349)。乳幼児期からの血管発作。大脳半球萎縮、石灰化、知能障害。眼症状:緑内障(牛眼)
- クリッペル・トレノーニイ・ウェーバー症候群, Klippel-Trenaunay-Weber syndrome
- 神経皮膚黒色症, neurocutaneous smelanosis
- 汎発性黒子症候群, lentiginosis profusa, LEOPARD症候群
- 基底細胞母斑症候群, basal cell nevus syndrome
- フォン・ヒッペル・リンドウ病, von Hippel-Lindau disease:常染色体優性遺伝。
- 色素血管母斑症, phacomatosis pigmentovascularis, オスラー病, Osler disease
- 遺伝性出血性毛細血管拡張症, hereditary hemorrhagic telangiectasia
- 青色ゴムマリ様母斑症候群, blue rubber-bleb nevus syndrome
- マフッチ症候群, Maffucci's syndrome
- Zinsser-Cole-Engman症候群, Zinsser-Cole-Engman syndrome
- 先天性角化異常症, dyskeratosis congenita
- 表皮母斑症候群, epidermal nervus syndrome
- 先天性血管拡張性大理石様皮斑, cutis marmorata telangiectatica congenita
[★]
- 英
- autosomal dominant disease, autosomal dominant disorder
- 同
- 常染色体優性遺伝疾患
- 関
- 常染色体劣性遺伝病
autosomal-dominant diseases (first aid step p.108)
男性の年齢と孤発性常染色体優性遺伝病
- HIM.2319
[★]
フォン・ヒッペル・リンドウ病
- 同
- フォン・ヒッペル・リンダウ病
[★]
フォン・ヒッペル・リンドウ病 von Hippel-Lindau disease
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- reversible ischemic neurological deficit, RIND
- 同
- 完全回復性脳卒中 stroke with full recovery SFR
[★]
- ラ
- Gentiana
- 関
- ゲンチアナ、ゲンチアナ属、リンドウ属、Gentiana属、竜胆
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患