- 48歳の男性。動悸、頭痛および発汗を主訴に来院した。1年前の健康診断で高血圧を指摘されたが、放置していた。身長168cm、体重69kg。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧168/104mmHg。血液生化学所見:Na 142mEq/l、K 4.5mEq/l、尿中アドレナリン 102μg/日(基準1-23)。腹部単純CTで副腎部に4×6cmの腫瘤を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A043]←[国試_104]→[104A045]
★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の男性。オートバイで走行中に乗用車と衝突したため搬入された。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識レベルはJCS II-20。呼吸数16/分。脈拍64/分、整。血圧136/80 mmHg。全身の擦過傷と左前額部の皮下血腫とを認める。両鼻孔から淡血性の液体の流出があった。入院時の頭部単純CT(別冊No.20A、B、C)を別に示す。
- この患者でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A042]←[国試_104]→[104A044]
[★]
- 8か月の乳児。発達の遅れを主訴に来院した。4か月健診で肝・脾の腫大を指摘され経過観察されていた。2か月前から全身の筋緊張亢進が著明になった。首はすわっているが、寝返りとお座りとはできない。身長64.1cm(-2.3SD)、体重6.9kg(-2.2SD)。顔貌に異常を認めない。腹部は膨隆し、右肋骨弓下に肝を5cm、左肋骨弓下に脾を7cm触知する。
- 診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A044]←[国試_104]→[104A046]
[★]
[★]
- 英
- pheochromocytoma PC, phaeochromocytoma
- 同
- クロム親和細胞腫 chromaffin cell tumor chromaffinoma
- 関
- 副腎外褐色細胞腫、傍神経節腫 paraganglioma。アドレナリン受容体
概念
- 副腎髄質や傍神経節などのクロム親和性細胞から発生する腫瘍。
- カテコールアミン分泌する
病型
- 臨床像:発作型・持続型
- 腫瘍発生様式:散発性、家族性(10%) : :*家族性発生のものはMEN2の可能性あり。
- 発生部位:副腎原発(90%)(片側性、両側性(10%))、副腎外発生(10%)
- 腫瘍の数:単発性、多発性(10%)
- 腫瘍の正常:良性、悪性(10%)
病因
- 10% disease
- embfc ← なんか適当な語呂にして
- extraadrenal:副腎外10%
- malignancy:悪性10%
- bilateral:両側10%
- familial:家族性10%
- child:小児10%
疫学
遺伝形式
原因となる遺伝子
Location
|
Phenotype
|
Phenotype
|
Gene/Locus
|
Gene/Locus
|
MIM number
|
MIM number
|
1p36.22
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
KIF1B
|
605995
|
1p36.13
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHB
|
185470
|
2q11.2
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
TMEM127
|
613403
|
3p25.3
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
VHL
|
608537
|
5p13.2
|
{Pheochromocytoma, modifier of}
|
171300
|
GDNF
|
600837
|
10q11.21
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
RET
|
164761
|
11q23.1
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHD
|
602690
|
14q23.3
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
MAX
|
154950
|
病態生理
- 起立性低血圧:慢性的な血管収縮により体液が減少して生じやすくなる。また、慢性的なカテコラミン過剰により自律神経の血圧調節能力低下。
病理
- 悪性褐色細胞腫ではコハク酸脱水素酵素サブユニットB(SDHB)遺伝子に変異が存在するものがある。
症状
- カテコールアミンの過剰分泌による症状
- 高血圧、頭痛、発汗、動悸・頻脈、高血糖 → 5H
- 起立性低血圧、起立性めまい、蒼白、不安・神経過敏、体重減少
- YN.D-69
- HT,HM,HG,Hhidr,Head
高血圧
- α1作用により末梢血管収縮。
- β1作用によりレニン分泌
代謝亢進
高血糖
- α2作用:インスリン分泌抑制
- β2作用:肝臓によるグリコーゲン分解
頭痛
発汗
- 代謝亢進による体温上昇に対して発汗により体温の上昇を補償することがメカニズムと思われる。
- 甲状腺機能亢進症と同じメカニズムに基づく。さらに、脱共役蛋白質の活性化によるものと思う(成長ホルモン#)。
検査
- MRI:病変はT2 high
- CT:出血・壊死部位は低吸収
- シンチ:副腎シンチグラム:131I-MIBGの取り込みを見る。
検査禁忌
- 副腎静脈造影、副腎静脈サンプリング ← 褐色細胞腫の場合に高血圧クリーゼの恐れ
診断
治療
- 薬物療法と手術療法がある。
薬物療法
手術療法
- αブロッカー(プラゾシン)とβブロッカーを併用、あるいはαβ遮断薬(ラベタロール)を使用し血圧を安定させてから手術を行う。手術は静脈結紮を先に行いカテコラミンの体循環への流入を防ぐ。
- 腹腔鏡下副腎摘除術
禁忌となる薬物
- グルカゴン:以下のような目的でグルカゴンが用いられるが、褐色細胞腫の患者においては「カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがあ」ため、禁忌
- 成長ホルモン分泌能検査、インスリノーマの診断、肝糖原検査、低血糖時の救急処置、消化管のX線および内視鏡検査の前処置
- β受容体遮断薬:α受容体遮断薬と併用することなしに単独で用いるのは禁忌。α受容体の血管収縮作用を相対的に増強させるため、逆に血圧が上昇してしまう危険がある。(QB.D-289)
参考
- 1. PHEOCHROMOCYTOMA - OMIM
- http://omim.org/entry/171300
国試