-cervical spondylosis
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/03 13:26:46」(JST)
頚椎症(頚部脊椎症、cervical spondylosis)とは、頚椎の椎間板、ルシュカ関節、椎間関節などの適齢変性が原因で、脊柱管や椎間孔の狭窄をきたして症状が発現した疾患である。そのうち脊髄症状を発現した場合を頚椎症性脊髄症、神経根症が発現した場合は頚椎症性神経根症とよぶ。神経根症では主に一側性に痛みやしびれが生じる。
目次
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頚椎症では首の痛み、肩こり、上枝の痛み、しびれ、感覚鈍麻、手指の動きのぎこちなさ(巧緻運動障害)、歩きにくさ(歩行障害)などを訴えることが多い。痛みは起床時に強く、あたたまることで日中に楽になり、筋疲労で夕方に痛みが増強することが多い。
まずは首の姿勢、即ち首下がりや斜頚の有無を確認する。関節可動域制限、C2などに圧痛がないか、叩打痛などがないかを確認し、神経学的所見の有無を確認する。
ジャクソン試験は神経根刺激症状をみる検査である。頚椎をやや後屈位にし、頭部を下方に圧迫すると患側の上枝に放散痛が生じる。
スパーリング試験は神経根刺激症状を見る検査である。頚椎を患側へ後側屈させ軸圧を加えると椎間孔が狭窄されて疼痛が症状側の上枝にはしる。
レルミット徴候は仰臥位で頭部を他動的に前屈させる。背部から下肢に電撃痛が走った場合は陽性である。
10秒試験は巧緻運動障害の有無を調べる検査である。グーとパーを繰り返す動作を10秒間で何回できるか数える。20回以下では巧緻運動障害ありと考える。
アドソン試験は鎖骨下動脈の圧迫を調べる検査である。
簡便に調べるには以下のような手順でスクリーニングする。まずはバンザイの動作をして肩周囲の筋力と肩の関節可動域を確認する。次に抵抗下で肘の曲げ伸ばしでC5とC7の筋力を確認する。手首の背屈でC6の筋力を確認する。そして握力計で握力を測定する。
神経根 | C5 | C6 | C7 | C8 |
---|---|---|---|---|
腱反射 | (上腕二頭筋反射低下) | 上腕二頭筋反射低下 | 上腕三頭筋反射低下 | (上腕三頭筋反射低下) |
筋力低下 | 三角筋筋力低下(上腕二頭筋筋力低下) | 上腕二頭筋筋力低下 | 上腕三頭筋筋力低下 | (上腕三頭筋筋力低下)、小手筋筋力低下 |
感覚障害 | 肩周辺 | 母指、示指 | 示指、中指 | 薬指、小指 |
正中神経障害では感覚障害は手首より遠位部の掌側に限局し、第4指は橈側半分が障害される。C6~C7根症では手首より前腕の方に感覚障害の分布が広がっており手背部も障害される。
尺骨神経障害では感覚障害が手首より遠位部第4指の尺側と第5指の掌側と背側が障害される。C8~T1根症では手首より前腕に感覚障害が広がっている。
神経症状がある場合はすみやかにMRI撮影を行う。痛みのみの場合は必要に応じて行う。
薬物治療、注射治療、装具療法、理学療法、神経ブロック、手術療法が知られている。
消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、胃炎治療薬を投与する場合が多い。疼痛が弱い場合は湿布などを用いる。
疼痛が存在する部位が明らかな場合はトリガーポイント注射を行う。生理食塩水100ml+ノイロトロピン®1A+メチコバール®1Aや痛みが強い場合はデカドロン®2~4mgを投与する。
首が痛みで動かせない場合は頚椎カラーを用いて頚椎の安静をはかる。
急性期には行わないが1週間程度経過し症状が落ち着いたら理学療法を行う。頚椎牽引、温熱療法、ストレッチなどがある。
体重の1/6から開始し8~15Kgまでを目安にする。
肩すくめ、胸はり、首の回旋などの指導を行う。
慢性炎症の消炎に効果がある。
頚椎後方手術としては頚椎症性脊髄症に対する片開き式脊柱管拡大術が知られる。頚椎前方手術としては頚椎椎間板ヘルニアに対する前方除圧固定術が知られる。
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国試過去問 | 「105I065」 |
リンク元 | 「筋力低下」「100Cases 48」「レルミット徴候」「頚椎疾患」「頚部脊椎症」 |
拡張検索 | 「変形性頚椎症」「頚椎症性脊髄症」「キーガン型頚椎症」 |
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muscle weakness : 約 4,720,000 件 muscular weakness : 約 725,000 件
症候・検査 | 障害部位 | |||
上位運動ニューロン | 下位運動ニューロン | 神経筋接合部 | 筋 | |
筋力低下 | + | + | + | + |
筋萎縮 | - | + | - | +*** |
筋線維束攣縮 | - | + | - | - |
筋卜ーヌス | ↑ | ↓ | → | ↓ |
腱反射 | ↑ | ↓~- | → | ↓~- |
病的反射 | + | - | - | - |
異常連合運動 | + | - | - | - |
血清CK | → | →(ときに→↑) | → | ↑ |
針筋電図 | → | 神経原性変化 | →** | 筋原性変化 |
神経伝導速度 | → | → (脱髄性の ニューロバ シー*で↓) |
→ | → |
筋生検 | → | 神経原性変化 | → | 筋原性変化、 各疾患に特徴的な変化 |
代表的疾患 | 脳梗塞、出血、脳腫癌など による片麻痺、脊髄障害 による対麻痺、運動ニューロン疾患、頚椎症、多発性硬化症 | 運動ニューロン疾患、頚椎症 *ニューロパシー (Charcot-Marie-Tooth病、Guillain-Barre症候群など) |
(a)重症筋無力症 (b)筋無力症候群 **誘発筋電図で、 (a)waningあるいは (b)waxingがみられる |
筋ジストロフィー、筋 炎、代謝.内分泌性ミオパシー、ミトコンドリア脳筋症 ***周期性四肢麻痺では 筋萎縮はほとんどない |
+:存在する、-:なし・消失、↑:亢進・上昇、↓:低下・減少、→:正常ないし著変なし、 →↑:軽度上昇 |
末梢神経領域の筋脱力 | 単神経障害 | ||
非対称性 | 一側上下肢 | 脳神経障害あり | 大脳、脳幹障害(脳血管障害、脳腫瘍など) |
脳神経障害なし | 頚椎症、脊髄腫瘍、脊髄空洞症 | ||
両側遠位優位 | 筋萎縮あり、感覚障害なし | 運動ニューロン疾患、筋緊張性ジストロフィー | |
急性に両下肢末梢から始まり. 感冒様症状が前駆 | Guillain-Barre症候群 | ||
対称性 | 両下肢 | 筋萎縮なし‥膀胱直腸障害レベルを有する感覚障害あり | 変形性脊椎症、脊髄腫瘍、MS、脊髄炎 |
筋萎縮なし‥感覚障害なし . | ヒ卜T細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)関連ミエロパシー(HAM)、亜急性連合性脊髄変性症 | ||
両側近位優位 | 易疲労性 | MG、Eaton-Lambert症候群 | |
急性2-3日で自然軽快 | 周期性四肢麻痺、低K性ミオパシー | ||
亜急性 | PM、DM | ||
慢性 : 神経原性 | Kugelberg-Welander病(脊髄性筋萎縮症3型) | ||
慢性 : 甲状腺機能異常 | 粘液水腫、甲状腺中毒性ミオパシー | ||
慢性 : ステロイド使用 | ステロイドミオパシー |
概念 | 疫学 | 自覚症状 | 他覚症状 | ||||
頚椎症状 | 神経根症状 | 脊髄症 | 神経根症 | 脊髄症 | |||
頚椎椎間板ヘルニア | 椎間板の退行変性に基づく線維輪断裂部からの椎間板組織の脱出。後方正中ヘルニア→脊髄症。後側方のヘルニア→神経根圧迫 | 30-50歳代。男性。中下位頚椎 | 喉頭・頚部から肩甲背部の疼痛、しびれと頚椎運動制限を呈する。通常頚椎の運動時に増悪し、安静にて軽快する。 | 一側の肩甲背部の疼痛、上肢へ放散する疼痛、しびれと感覚障害、脱力、筋萎縮、筋の線維性攣縮などを呈する | 感覚以上は手指、手掌全体に及ぶしびれ感が主体で、体幹、下肢に広がる。運動系では、手指巧緻運動障害を訴える。下肢痙攣麻痺(ぎこちない歩行、階段下降時に手すりが必要、走れない)。進行すると膀胱直腸障害を自覚 | 神経障害部位に一致した上肢の筋力低下、および筋萎縮、感覚障害、腱反射減弱。Spurlingテスト陽性が多い。 | 上肢に障害髄説に一致した腱反射低下、筋力低下。それ以下は錐体路障害による腱反射亢進(Hoffmann反射、Rossolimo徴候、Mendel-Bekhterev反射、膝・足クローヌス陽性)。手指巧緻運動障害。感覚障害は初期に上肢、故知に体幹・下肢に拡大。腹壁反射、睾丸挙筋反射消失。Babinski反射陽性。排尿障害は軽微 |
変形性頚椎症 | 椎間板の退行変性により、椎間板腔の狭小化、椎体近縁の骨硬化・骨棘形成、椎間関節の狭小化などを生じる。これにより、可動域制限、疼痛、こり感などの局所症状を呈した状態 | 中下位頚椎。高齢者ではC3-4椎間。 | 椎間板および椎間関節の変形などによる頚肩部の疼痛、運動制限 | ||||
頚椎症性神経根症 | 変形性頚椎症に加え、神経根症を呈した状態 | 圧迫に伴う神経根刺激症状として、上肢のしびれ、放散痛、感覚異常(後根)がある。 | Jacksonテスト、Spurlingテスト陽性。神経脱落症状としては、感覚鈍麻、脱失および上肢の脱力、筋萎縮筋の線維束攣縮が見られる。 | ||||
頚椎症性脊髄症 | 頚椎症性神経根症に加え、脊髄症を合併した状態。 | 上肢における巧緻運動障害、myelopathy hand、下肢腱反射亢進、病的反射の亢進、痙性歩行障害などの痙性麻痺および神経因性膀胱などが見られる。 | |||||
頚椎後縦靭帯骨化症 | 椎体および椎間板の後面にあり脊柱管の前壁をなす後縦靭帯が肥硬・骨化し、脊髄を緩徐に圧迫して脊髄症状を引き起こす疾患。 | 後縦靭帯骨化:男性4%、女性2%。 | 頚椎可動性の減少、肩こり、頚部痛が見られる。重要な障害は圧迫による脊髄症の麻痺症状である。一般に脊髄症は緩徐に進行する。外傷を契機に急激に悪化する場合もある。受診時に、多くの患者は種子のしびれや巧緻運動障害、下肢の痙性麻痺による歩行障害を呈する。 |
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