出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/16 18:02:54」(JST)
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2009年11月) |
カフェイン | |
---|---|
IUPAC名
1,3,7-トリメチルキサンチン |
|
識別情報 | |
CAS登録番号 | 58-08-2 |
KEGG | D00528 |
SMILES
|
|
特性 | |
化学式 | C8H10N4O2 |
モル質量 | 194.19 |
外観 | 白色結晶 |
密度 | 1.23, 固体 |
融点 |
238 |
出典 | |
ICSC | |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
カフェイン(英: caffeine、英語発音: /kæˈfiːn/ キャフィーン)は、アルカロイドの一種。プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、コーヒー類に含まれることからこの名がある[1]。また、安息香酸ナトリウムカフェイン剤などは強心・興奮作用を期待して使われる。IUPAC名は 1,3,7-トリメチルキサンチン。さらに、抗がん剤が破壊したがん細胞のDNAの修復を阻害する作用があるとされる(抗がん剤などの効果を高める)。
コーヒー、コーラ、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、チョコレート、栄養ドリンクなどに含まれる。また、一部の医薬品にも含まれる。なお、茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような興奮作用は弱く緩やかに作用する。 結晶は一水和物 (C8H10N4O2・H2O) もしくは無水物(無水カフェイン、C8H10N4O2)として得られる。白色の針状または六角柱状結晶で匂いはなく、味は苦い。昇華性がある。
1819年(一説には1820年)にドイツのフリードリープ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒーから世界で初めて単離された。分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのはゲーテであったと伝えられている。[2]
目次
|
主な作用は覚醒作用、脳細動脈収縮作用、利尿作用。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。カフェインを習慣的に摂取する人が半日から1日カフェインを摂取しなかった時に現れる症状として最も顕著であるものは頭痛であり、その他、不安、疲労感、集中力の欠如、抑うつが現れることがある[3]。
カフェインはアデノシン受容体に拮抗することによって、覚醒作用を示す。また、メチルキサンチン誘導体に共通の活性として、ホスホジエステラーゼの非選択的な阻害作用があり、細胞内cAMP濃度の上昇を引き起こす。これにより、心筋収縮力の増大、気管支平滑筋の弛緩、脳細動脈の収縮のような交感神経興奮様作用を示す。これらの作用の結果、腎血管拡張により糸球体濾過量(GFR)が増大し、さらに尿細管での水分の再吸収の抑制により利尿作用を現わす。また膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシンの働きをカフェインが妨害するために頻尿になるという説もある。さらに、cAMPの濃度の増大は胃酸を産生する細胞では、プロトンポンプを活性化し、胃酸分泌を亢進する。また、わずかではあるが骨格筋収縮力を増大させる作用もあり、2004年まではドーピングに対する禁止薬物リストにも含まれていた。
カフェインの半数致死量(LD50) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10–12 g 以上が危険といわれる(詳しくはカフェイン中毒を参照)。医療分野において薬事法では1回(1錠・1包等)あたりに500mg以上のカフェインを含むものを劇薬に指定している。カフェインは体内で代謝され、主に尿酸となって尿と共に排泄される。
主に無水カフェインとして、一般消費者向けの総合感冒薬に用いられることが多い。これは、カフェインの作用である鎮痛補助目的が主で、配合された塩酸ジフェンヒドラミンやマレイン酸クロルフェニラミンなど催眠性の強い抗ヒスタミン剤の副作用を緩和する目的ではない(実際のところ、催眠性成分の緩和には至らない)。しかし、逆に風邪を引いているときにぐっすり眠れるようにと、意図的にカフェインを配合していない感冒薬もあるように、消費者の心理的作用を利用したものもある。また、安息香酸ナトリウムカフェイン(アンナカ)はカフェインに安息香酸ナトリウムを加えて水に溶けやすくしたものである。
天然のカフェイン(コーヒーの種子又はチャの葉から得られたもの)は既存添加物名簿に収載されており、食品添加物として使用が認められている[4]。なお、合成のカフェイン(尿素から人工的に合成したものなど)は使用できない。
多くの人がコーヒーや緑茶などからカフェインを日常的に摂取しているが、過剰な摂取は健康に害をおよぼすことが知られている。カフェインは法的に禁止・制限された薬物ではないが、脳神経系に作用するものである。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取に関しては医者の指示を仰いだ方がよい。
不眠症がある場合には、カフェイン摂取は制限するか控えることが望ましい。
利尿作用があるため、コーヒー等カフェインを多く含む飲料は水分補給としての効果が薄い。
カフェインは一時的に頭痛を止める働きがある一方で、常用するとかえって頭痛が起こりやすくなる。これは、カフェインの脳血管収縮作用により頭痛が軽減される[5]ためで、時間の経過とともにこの血管収縮作用が消えると反動による血管拡張により頭痛が生ずる[6]ことがある。
カフェインの常用で血圧が4〜13mmHgほど上昇する可能性も報告されている[7]。カフェインはエストロゲンの分泌を亢進させる働きがあるため、乳腺症などのエストロゲンによる症状がある場合、カフェインの摂取を控えることで症状が改善する場合がある。また、カフェインは一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種であるCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢神経作用が強く出現することがあり、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインがCYP1A2を阻害するとともに、カフェインの代謝はCYP1A2及びモノアミン酸化酵素により行われることに起因する。コーヒーや紅茶と一緒に薬を飲んでいけないと言われている理由は主にここにある。
カフェインの体内での半減期は約4.9時間であるが[8]、カフェインの禁断症状は一般的に服用をやめてから12~24時間後に始まり、20~51時間後に最も強くなり、2~9日間も続く[9]。
カフェインの摂り過ぎは骨を弱くする[10]。
カフェインの副作用を考慮して、嗜好品の中には、カフェインの含有量を通常のものより抑えた代替品が存在する。これらはカフェインレスとして知られ、コーヒー、コーラ、茶類などのうち、カフェインの含有量の少ないもしくは含まないものとしては、ノンカフェインコーヒー(デカフェ)、ノンカフェイン紅茶、ノンカフェインコーラ、また杜仲茶や麦茶、黒豆茶、そば茶、甜茶、ゴーヤ茶、昆布茶、柚子茶、ハーブティー、ルイボスティー、たんぽぽコーヒーなどがある。
西欧人にはアルコール耐性が高い人が多く、酒を飲んでも表情に出ず酔いつぶれにくいということがあるが、反面、カフェインへの耐性が無い、または低い人が多く、このような人はしばしばコーヒー酔いを起こす。デカフェ(カフェイン除去済みのコーヒー)の需要が多い。アジア系でカフェイン耐性が無い人は比較的少ないといわれている。
2005年にアメリカ合衆国で発売されたフォー・ロコは、カフェイン入りアルコール飲料であり、飲みやすさから若年層に人気があったが、カフェインが酔いを助長させ多数の急性アルコール中毒患者を出したことから、後にカフェインなどの成分を取り除く見直しが行われた[11]。
ウィキメディア・コモンズには、カフェインに関連するカテゴリがあります。 |
|
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
ミグレニン 「ホエイ」
(頻度不明)
(頻度不明)
国試過去問 | 「111D003」 |
リンク元 | 「麻黄」「薬物濫用」「メチルキサンチン」「睡眠障害」「アセトアミノフェン」 |
拡張検索 | 「無水カフェイン」「安息香酸ナトリウムカフェイン」「カフェイン使用障害」「カフェイン添加」 |
関連記事 | 「カフ」 |
D
※国試ナビ4※ [111D002]←[国試_111]→[111D004]
精神依存 | 身体依存 | |
コカイン、アンフェタミン類(アンフェタミン、メチルフェタミン)、大麻 | ○ | |
麻薬(モルヒネ、ヘロイン、コデイン)、バルビツール酸系(フェノバルビタール、チオペンタール)、アルコール | ○ | ○ |
血中濃度 | 作用 |
0.5-1.0mM | [Ca2+]i↑ |
>50μM | ホスホジエステラーゼの阻害 |
<50μM | アデノシン受容体の拮抗 |
カフェイン | テオフィリン | テオブロミン | |
中枢作用 | ◎ | ○ | △ |
心血管系作用 | ○ | ◎ | △ |
気管支拡張作用 | △ | ◎ | ○ |
利尿作用 | ○ | ◎ | △ |
.