- 英
- intraocular pressure IOP, ocular tension
- ラ
- tensio intraocularis
- 同
- 眼内圧、房水
- 関
- 健常眼圧、高眼圧、低眼圧
眼圧の成因
- 眼球内圧は毛様体上皮からの房水産生と隅角からの房水流出のバランスと上強膜静脈圧とによって決定される。
基準範囲
- 日本では、平均眼圧:14.5±2.5 mmHg 正常眼圧上限:20 mmHg (SOP.80)
- 正常人の眼圧は10~21mmHgの間で平均は約15mmHg、標準偏差値3mmHgである。
生理
測定方法
- 外来では非接触型眼圧測定、あるいは接触型眼圧測定(トノペン)が行われうる。前者は検者が被検者の角膜の中心に狙いを合わせ、眼球に強い風をあてる事で測定される。後者の場合、測定装置が眼球に触れるため感染に配慮する必要がある。
臨床的意義
- 緑内障を始めとした眼科疾患において診断に重要である。
臨床関連
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/08 15:21:59」(JST)
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眼圧(がんあつ、ocular tension)は、眼球内を満たしている眼内液の圧力を指す。大気圧よりも僅かに高く、この大気圧との差を眼圧の値として表す。単位はmmHg(ミリ水銀柱)。眼圧の異常による疾患に、緑内障がある。
目次
- 1 定義
- 2 構造
- 3 測定
- 4 変動要因
- 5 関連項目
定義
眼内液の圧力を表す用語は、正確には眼内圧(intraocular pressure)であり、眼圧とはあくまでも眼球壁の圧力のことを指す。眼内圧は、マノメーターなどにより眼内液の圧力を直接に測定するが、これは実験動物などに限られる。そのため、ヒトを対象とした医学上の検査では、眼内圧を類推するための値として、眼圧を測定する。このように、医学的検査では眼内圧を直接扱うことがないことから、医学上で使われる広義の「眼圧」は、眼球壁の測定値としての眼圧だけでなく、実際の眼内圧を指す場合にも使われる。また、眼圧の訳語にも、ocular tension だけでなくintraocular pressureも使われる。
(以下の項目では、眼内圧と眼圧を区別する)
構造
眼内圧は、眼内液の増減によって調節されている。眼内液はリンパ液の一種であり、毛様体で分泌されることによって補給される。この液体を房水と呼ぶ。毛様体から分泌された房水は、まず虹彩と毛様体とレンズ(水晶体)の間の空間である後房に放出され、虹彩とレンズの間を通り抜け、瞳孔を通って角膜と虹彩の間の空間である前房(前眼房ともいう)に出る。前房に入った房水は、虹彩と角膜の結合部分である隅角にある線維柱帯からシュレム管を通過することで眼球外に排出される。つまり、毛様体における房水の産出量と、シュレム管における房水の排出量のバランスによって眼内圧は調節されている。
測定
眼内圧は、実験動物の場合にはマノメーターによって直接測定するが、ヒトの場合は眼内圧を直接測定することはない。眼圧は、眼球壁の一部である角膜の圧力から測定する。眼圧測定は、非接触測定法として空気眼圧計で、または正確には圧平眼圧計(ゴールドマン眼圧計)により直接角膜に測定部を接触させて眼圧を計る。ヒトの角膜の圧力の正常値は、10 - 21 mmHgと定義され、これを診断上の正常眼圧としている。
眼圧と眼内圧は、基本的には相関関係にあるため、眼圧が高いほど眼内圧は高くなる。しかし眼圧は、眼球壁が固くなるほど、または厚くなるほど高めに測定される。この場合、眼圧は高いが眼内圧は高くないため、視神経が侵されることがなく、高眼圧症と診断されることになる。逆に、眼球壁が薄い場合は、眼圧が低くても眼内圧は比較的高い状態であることになり、視神経が侵される状態にあることになる。これが正常眼圧緑内障の診断例の増加の一因であるともいわれている。
変動要因
- 眼内圧と血圧は別のものである。しかし、拡張時血圧(最低血圧)の高い人や、糖尿病患者と眼圧値の間に正の相関がみられるという報告もある(山梨医大雑誌 1999)。
- 日内変動することが確認されている。
- 運動による変動も確認されている。
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- グラフ 内科医のための眼病変の知識 : 加齢性の眼病変(3)緑内障・高眼圧症
- トラボプロスト点眼液からトラボプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液への変更
- ブリモニジン点眼液の原発開放隅角緑内障および高眼圧症を対象とした臨床第III相試験-チモロールとの比較試験またはプロスタグランジン関連薬併用下におけるプラセボとの比較試験
- 新家 眞,山崎 芳夫,杉山 和久 [他],桑山 泰明,谷原 秀信
- 日本眼科學会雜誌 116(10), 955-966, 2012-10-10
- NAID 10031120994
Related Links
- 緑内障とは眼圧上昇によって、視野が欠ける眼病。生活習慣病と言われ治療が難しい緑内障の症状。緑内障の予防について真剣に取り組んでいます。 ... 緑内障で視野の欠け、視界異常を自覚した時は中期以上です。 突然、緑内障と診断を ...
- 眼球内の圧を測定する検査で、血圧とは異なります。緑内障などの疾患では眼圧が高くなります。 ... 健康診断で眼圧を測る場合、圧縮した 空気を片方の眼に吹きつけ て、眼圧を測定します。 空気が角膜に当たると角膜がへこみ、そのへこみ ...
- 眼圧検査は、眼球を外から押してみて、その押す力に対して眼球から押し返す力(内圧)を調べるものです。高い眼圧は視神経を侵し、視野が欠けたり視力が低下していきます。眼圧は緑内障と深くかかわるため、検査は緑内障の診断には ...
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★リンクテーブル★
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- 53歳の女性。事務職。眼の圧迫感を主訴に来院した。5年前から気管支喘息があり、副腎皮質ステロイド吸入薬を使用している。3年前から夕方になると、眼がかすむことがあった。最近は、書類が見づらくなり眼の痛みを感じることが多い。眼位と眼球運動とに異常を認めない。視力は右1.0(1.2× -0.25D)、左1.2(矯正不能)。眼圧は右22mmHg、左22mmHg。細隙灯顕微鏡検査では前眼部、中間透光体および眼底に異常を認めない。静的量的視野検査で異常は検出されない。涙液分泌検査SchirmerテストI法で右10mm、左10mm。調節幅は両眼ともに2.0Dである。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A055]←[国試_104]→[104A057]
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- 83歳の男性。左眼の視力低下を主訴に来院した。6か月前から左眼の見え方に違和感があった。1か月前から視力低下が進行した。75歳時に両眼の白内障手術の既往がある。視力は右1.0(矯正不能)、左0.6(矯正不能)。眼圧は右14mmHg、左14mmHg。眼内レンズが両眼に挿入されている。両眼の眼底写真(刺冊No.11A、B)を別に示す。
- 6か月前からあったと推定される症候はどれか。
[正答]
C
- 左眼の黄斑部に出血、色素上皮の萎縮がみられるらしいが・・・
※国試ナビ4※ [105D035]←[国試_105]→[105D037]
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- 46歳の女性。今朝からの耳鳴りと両眼の視力低下とを主訴に来院した。5日前から微熱と頭痛とが続いている。視力は右0.1(0.8× +3.0D)、左0.08(0.7× +3.5D)。眼圧は両眼とも15mmHg。結膜、角膜、水晶体および硝子体に異常を認めない。両眼とも前房に細胞を認める。右眼底写真(別冊No.23A)と右蛍光眼底造影写真(別冊No.23B)とを別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I070]←[国試_104]→[104I072]
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- 75歳の女性。視力低下を主訴に来院した。数年前から両眼の視力低下を自覚していたが、数日前から右眼がほとんど見えなくなった。視力は、右手動弁(矯正不能)、左O.1(矯正不能)。眼圧は、右8mmHg、左12mmHg。細隙灯顕微鏡検査で両眼水晶体の混濁を認める。散瞳下で眼底検査を行ったが両眼とも詳細な観察が困難である。
- まず行う検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E059]←[国試_104]→[104E061]
[★]
- 45歳の男性。左眼の視力低下を主訴に来院した。1か月前から左眼で中心が見にくく、物が小さく見えるようになった。矯正視力は右 1.2、左 0.9。左眼の眼底写真(別冊No. 12A)、蛍光眼底造影写真(別冊No. 12B)及び光干渉断層計(OCT)の結果(別冊No. 12C)を別に示す。
- この疾患について正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I045]←[国試_109]→[109I047]
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- 24歳の女性。両眼の視力低下を主訴に来院した。3日前から頭痛、耳鳴りがあり視力の低下を自覚している。両眼とも矯正視力は0.3である。両眼の前房に細胞を認め、眼圧は左右眼ともに12mmHgである。左眼の眼底写真を以下に示す。右眼の眼底も同様である。
- 診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B028]←[国試_098]→[098B030]
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- 63歳の女性。左眼の視力低下を主訴に来院した。2か月前から眼痛があった。視力は右1.0(矯正不能)、左0.2(矯正不能)。眼圧は右16mmHg、左38mmHg。左眼の充血を認める。左眼に隅角の新生血管と著明な虹彩ルベオーシスとを認める。
- 左眼の眼圧上昇の原因となり得るのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E053]←[国試_105]→[105E055]
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- 11か月の乳児。生後2か月のとき上背部に紅色結節が生じ、次第に大きくなった。この腫瘤以外に皮膚病変はない。発達にも異常はない。背部腫瘤の写真を以下に示す。
- 異常がみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F007]←[国試_100]→[100F009]
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[正答]
※国試ナビ4※ [102B034]←[国試_102]→[102B036]
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- 67歳の女性。突然の眼痛、頭痛、悪心および嘔吐を訴えて来院した。結膜充血がみられ、角膜は浮腫状である。
- 診断に最も有用な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F023]←[国試_097]→[097F025]
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- 44歳 女性
- 主訴:頭痛
- 現病歴:前年より頭痛が続いていた。頭痛が増強してきたたため、当院受診となった。
- なお頭痛は両側性であり、夜に向かって増悪し、視覚障害、または嘔気は伴わない。その他に食欲減退と早朝覚醒を伴う睡眠障害がある。
- 嗜好歴:喫煙 15/day、飲酒 15units/week (350mlの缶ビール 10本)
- 社会歴:パートタイムのoffice cleaner。離婚している。2人の子供(10歳と12歳)の世話をしている。
- 家族歴:母が脳腫瘍で死亡。
- 既往歴:皮疹と過敏性腸症候群(当時はそれ以外になにも問題なかった)
- 服用薬:頭痛に対してパラセタモールかイブプロフェン
- 身体所見 examination
- 全身:引きこもっているように見える(withdrawn)。
- 脈拍:74/分、整。血圧:118/76 mmHg。
- システミックレビュー:心血管系、呼吸器系・消化器系、胸部および網内系は正常。神経学所見は正常。眼底所見は正常
- Q1. 診断は?
- Q2. 鑑別診断は?
- Q3. 管理方法は?
-
- ■鑑別診断
- 片頭痛 問診:(典型例では)眼症状に続く片側性、拍動性の頭痛で、悪心・嘔吐もあり、数時間持続。家族歴。
- 群発頭痛 問診:眼窩の激烈な痛み(行動不能になる程度)。
- 占拠病変による頭痛
- その他
- 副鼻腔炎 問診:頭重感、鼻汁の有無、発熱。診察:上顎洞・前頭洞の圧痛を触診、扁桃腺視診、頚部リンパ節触診
- 歯牙障害 歯科コンサルト
- 頚椎症 加齢による退行性変性を考慮しつつ、頚部の可動制限、疼痛、凝り感を問診。単純X線、MRIで診断。
- 緑内障 問診:視野。検査:視力、眼圧、視野、視神経乳頭形態、隅角検査
- 外傷後頭痛 外傷の既往歴、頭皮の視診
- □unit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- ■glossary
- withdrawn
- v.
- withdrawのpp.
- adj.
- 1.(人が)引きこもった、内にこもった、世間と交わらない
- She looks withdrawn.
- 2.人里離れた、遠くにある
- 3.(商品などが市場から)回収された
- 4.(競争などから)撤退した
- reticuloendothelial system
- 細網内皮系 = 網内系
- dental disorder 歯牙障害
- bereavement
- n.
- 死別
- sneezing
[★]
- 英
- primary open-angle glaucoma, POAG
- 同
- 原発性開放隅角緑内障、慢性単性緑内障 chronic simple glaucoma
- 関
- 緑内障
リスクファクター
- 年齢、黒人、家族歴、眼圧、その他(近視、偽落屑、拡張期低灌流圧(low diastolic perfusion pressure), 心血管疾患、高血圧([[systemic hypertension)、糖尿病、甲状腺機能低下症)
病態
- 前眼房は正常であるが、視神経乳頭や視野に緑内障性視神経症の所見が認められる。
- 初期には乳頭から耳上側、耳下側に弓状、楔状のやや暗赤色に見える部分が出現し、その部分お神経線維が消失し網膜神経線維層欠損を来す。これにより視野欠損(傍中心暗点、ザイデル暗点、ブエルム暗点)が認められるようになる。
症状
- 両側性に発症
- 初期には症状なく、視野狭窄が初発症状となる。
- 疼痛(眼痛)、充血は認められない。
検査
- 緑内障性の変化:傍中心暗点 → Seidel暗点 → Bjerrum暗点 → Roenne鼻側階段 → 中心視野のみreserve
参考
- http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma2.jsp
- 2. [charged] Open-angle glaucoma: Epidemiology, clinical presentation, and diagnosis - uptodate [1]
国試
[★]
- 関
- intraocular pressure、intraocular tension、ocular tension
[★]
- 関
- intraocular pressure、intraocular tension、IOP
[★]
- 関
- intraocular pressure、IOP、ocular tension
[★]
- 英
- normal tension glaucoma, normal-tension glaucoma NTG, normotensive glaucoma
- 関
- 低眼圧緑内障
症状
[★]
- 英
- low-tension glaucoma, low tension glaucoma
- 関
- 正常眼圧緑内障、緑内障
[★]
- 英
- indentation tonometer, impression tonometer
[★]
- 英
- pressure
- 関
- 圧力