- 英
- morphine
- ラ
- morphinum
- 同
- モルフィン
- 化
- 塩酸モルヒネ morphine hydrochloride
- 商
- MSコンチン、MSツワイスロン、アヘンチンキ、アヘンチンキ、アヘン散、アポカイン、アンペック、エチルモルヒネ塩酸塩水和物、オプソ、カディアン、ドーフル散、パシーフ、ピーガード、プレペノン、モヒアト、モルペス
- 関
- アヘンアルカロイド、オピオイド、モルヒネ中毒
- アヘンアルカロイド系麻薬
薬理作用
・鎮痛作用:経口投与では効果小(肝初回通過効果)
- 精神作用:痔痛患者に陶酔感euphoria,健常人に不快感dysphoria
- 鎮静作用:ヒト,サル,イヌ,ウサギ,ラット
- Straub tail反応: morphineの脊髄興奮作用によりマウスの尾が立ちあがる。
- 呼吸抑制作用:呼吸中枢のC02に対する反応性低下 う急性中毒死
- 催吐作用:延髄chemoreceptor trigger zone (CTZ)に作用--吐き気,噛吐
- 心血管作用:動静脈の緊張低下-心臓負荷減少-→肺うっ血,浮腫を軽減 ← 肺静脈各調査用により肺うっ血を改善させるからこういう症例に良いらしい(105C031)
- 消化管作用:腸管神経叢のACh遊離抑制 →蠕動運動抑制
腸管壁から5-HT遊離 →腸管平滑筋の緊張亢進
- 胆管内圧上昇: Oddi括約筋の収縮(だから胆石症の時には注意)
- 縮瞳作用:動眼神経核の刺激
- 反復投与-耐性,身体的・精神的依存が形成
- 突然の休薬・オピオイド括抗薬投与-禁断症状withdrawal symptoms
- (振戦,不安,不眠,疫撃,発汗,鼻汁,流涙,発熱,血圧上昇,頻脈,
- 下痢,腹痛,堰吐など)
- SPC.206
- 鎮痛
- 快感、鎮静、眠気、知的鈍麻
- 呼吸抑制
- 鎮咳
- 悪心・嘔吐
- 瞳孔縮小
- 循環器系:ほとんど影響ない
- 消化器系:消化管運動低下(平滑筋の緊張亢進によるらしいい)、胆管攣縮
- 泌尿器:平滑筋の緊張により尿管スパズム、膀胱排尿筋収縮、利尿ホルモン分泌増加、尿閉。
- その他:肥満細胞からのヒスタミン遊離により発赤、熱覚、発汗、気管支収縮。
適応
- 術後痛(硬膜外投与,副作用に拝み,呼吸抑制)。末期癌疼痛
- 心筋梗塞の疼痛
- 手術後の腸管揺動運動抑制
- 激しい下痢(ロペラミドの開発により使用は減少)、激しい咳
循環器
- 末梢血管を拡張し静脈還流量を減少させる。ファロー四徴症における無酸素発作の予防につかわれる(YN.C-123)、らしい
注意
禁忌
- モヒアト注射液
- 1. 重篤な心疾患のある患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
- 2. 重篤な呼吸抑制のある患者〔呼吸抑制を増強する。〕
- 3. 気管支喘息発作中の患者〔気道分泌を妨げる。〕
- 4. 重篤な肝障害のある患者〔昏睡に陥ることがある。〕
- 5. 慢性肺疾患に続発する心不全の患者〔呼吸抑制や循環不全を増強する。〕
- 6. 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者〔脊髄の刺激効果があらわれる。〕
- 7. 急性アルコール中毒の患者〔呼吸抑制を増強する。〕
- 8. アヘンアルカロイド及びアトロピンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 9. 緑内障の患者〔アトロピンの抗コリン作用により房水通路が狭くなり眼圧が上昇し、緑内障を悪化させるおそれがある。〕
- 10. 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者〔排尿障害を増悪することがある。〕
- 11. 器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者〔消化管運動を抑制する。〕
- 12. 出血性大腸炎の患者〔腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長をきたすおそれがある。〕
副作用
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/8119505A1050_2_01/8119505A1050_2_01?view=body
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モルヒネ
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(5α,6α)-7,8-didehydro-
4,5-epoxy-17-methylmorphinan-3,6-diol
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
吸入, 経口, 皮下注射, 筋肉内注射, 静注 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
〜25% (経口); 100% (静注); |
血漿タンパク結合 |
30–40% |
代謝 |
肝臓 90% |
半減期 |
2–3 時間 |
排泄 |
腎臓 90%, 胆汁 10% |
識別 |
CAS番号 |
57-27-2 |
ATCコード |
N02AA01 |
PubChem |
CID: 5288826 |
DrugBank |
APRD00215 |
ChemSpider |
4450907 |
KEGG |
D08233 |
化学的データ |
化学式 |
C17H19NO3 |
分子量 |
285.4 |
SMILES
-
OC(C=CC1CC2N3C)=C(OC4C(O)C=5)C1C4(CC3)C2C5
|
モルヒネ(morphine、英語発音: [ˈmɔːrfiːn]、発音:モーフィーン)は、アヘンに含まれるベンジルイソキノリン型アルカロイドの一種で、チロシンから生合成されるオピオイド系の化合物である。代表的な麻薬である。主にアヘンから抽出される。モルヒネからさらに依存性の強いヘロイン(ジアセチルモルヒネ)がつくられる。
鎮痛・鎮静作用のため、主にがんの疼痛(とうつう)に用いられる。依存性が強く、麻薬に関する単一条約の管理下にあり、各国で法律により厳しく管理されている。
目次
- 1 医療用途
- 2 作用機序
- 3 副作用
- 4 毒性
- 5 法的分類
- 6 歴史
- 7 脚注
- 8 関連項目
医療用途
医療においては、癌性疼痛をはじめとした強い疼痛を緩和する目的で使用される。モルヒネは身体・精神依存性を持つが、世界保健機関方式がん疼痛治療法に従いモルヒネを使用した場合は、依存は起こりにくいとされる。薬剤の剤形としては錠剤、散剤、液剤、坐剤、注射剤があり、それぞれ実情に応じて使用される。「モルフィン」「モヒ」とも言う。
軍事用途でも、戦闘により負傷した場合、強い疼痛を軽減する目的で、主に注射剤の形で使用され続けている。資格を持った衛生兵だけが携帯でき[1]、トリアージを行っている間に投与処置を行うこともある。
作用機序
モルヒネはオピオイド神経を興奮させ、下行性疼痛制御により、侵害受容器(痛みを感じる受容器)で発生した興奮の伝達を遮断し上行性疼痛伝達をとめることにより中枢鎮痛作用を示す。
副作用
モルヒネの副作用には依存性、耐性のほか悪心嘔吐、血圧低下、便秘、眠気、呼吸抑制などがある。便秘はほぼ 100%、悪心嘔吐は 40%–50% の症例でみられる。眠気はモルヒネ使用開始から1週間の間にみられ、その後は自然に改善することがほとんどである。
毒性
毒としてみた場合、非常に強い塩酸モルヒネを例にとると薬物でヒト(経口)LD50:120-500mg/kg。マウス皮下注 (LD50) 456mg/kg、マウス静注 (LD50) 258 mg/kg。乳児・ 小児では感受性が高い。数量にするとヒトに対し6-25gであり、数分から2時間程度で死亡する。江戸川乱歩の短編「屋根裏の散歩者」で使用されていることでも有名。
法的分類
国際的には、麻薬に関する単一条約の、スケジュールIに指定されている。
- 日本において、モルヒネは麻薬及び向精神薬取締法において麻薬に指定されている。
- イギリスにおいて、モルヒネは「1971年薬物誤用法」 (Misuse of Drugs Act 1971) の、クラスA薬物に分類されている。
- アメリカにおいて、モルヒネは規制物質法の、スケジュールII薬物に分類されている。
- オーストラリアにおいて、モルヒネは医薬品法 (Therapeutic Goods Act 1989) の、スケジュール8薬物として分類されている。
歴史
1804年、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナーにより、初めて分離される(この物質は、史上初めて薬用植物から分離されたアルカロイドとなった)。ゼルチュルナーは、この薬が「夢のように痛みを取り除いてくれる」ということから、ギリシア神話に登場する夢の神モルペウス (Morpheus)にちなんでモルフィウム (morphium) と名づけ、効用の研究・宣伝に当たった。しかし、1853年の皮下注射針の開発までは、モルヒネは普及しなかった。鎮痛の為に用いられ、また、アヘン・アルコール中毒の治療として用いられた。南北戦争ではモルヒネは広く使用され、軍人病(モルヒネ中毒)による40万人を超える被害者を生み出した。また普仏戦争において、同様のことが西欧で起こった。
1874年に、ヘロインがモルヒネを原料に生成された。ヘロインが使用され始めるまでは、モルヒネは一般的に最も誤用された麻薬性鎮静剤であった。[要出典]
脚注
- ^ 実際に使用する際は、場合によっては患者たる軍人や隊員自身に注射器を握らせ、他の者が介助することで体内に注入するという方法を用いる場合もある。自衛隊での訓練でもこの方法を教育する場合があるが、無論、通常はこの方法を用いる場合本人が自身に投与する余裕が無いなど緊急避難処置扱いのみ許される処置であり、厳密には医療職以外の者は投与できない。
関連項目
- デソモルヒネ
- ブロンプトン・カクテル
- L.A.ノワール
- 推理ゲーム。風紀犯罪課の捜査でモルヒネの事件を扱う。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 強オピオイド モルヒネ (緩和ケア特集 鎮痛薬の特徴はやわかり手帳 : お役立ちポケットカードつき)
- 各オピオイド製剤で異なるオピオイド耐性 (特集 薬剤耐性Up-to-Date : 感染症・がん領域を中心に) -- (がん領域)
- 緩和医療領域で使用するおもな薬剤 (特集 小児緩和医療 : 包括医療としての取り組み) -- (緩和医療として提供する内容)
- 症例報告 ドパミンシステムスタビライザーであるアリピプラゾールの少量投与によって,モルヒネ依存から離脱できた難治性慢性疼痛の1例
- 笠原 諭,大谷 晃司
- Practice of pain management : 学際的治療による有効な疼痛マネジメントを追求する 3(2), 130-132, 2012-06
- NAID 40019345578
Related Links
- モルヒネ(morphine、英語発音: /ˈmɔːrfiːn/ モーフィーン)は、アヘンに含まれる アルカロイドで、チロシンから生合成される麻薬のひとつ。「モルフィン」「モヒ」とも言う。 ベンジルイソキノリン型アルカロイドの一種。分子式 C17H19NO3。分子量285.4。 モルヒネ ...
- 医療用麻薬のモルヒネとは?痛み止めのために処方されるされることがあるモルヒネ。 意外と知らないことが多いです。そしてモルヒネに対する誤解も多々あるようです。癌の 痛みとモルヒネの効果は?モルヒネの服用で死期は早まるのか?モルヒネは末期がん に ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
モルペス細粒2%
組成
- モルペス細粒2%は、1g中 モルヒネ硫酸塩水和物を20mg含有する製剤で、1包(0.5g)中モルヒネ硫酸塩水和物10mgを含有する。
添加物として亜硫酸水素ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アスパルテーム、セタノール、セルロース、乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、無水ケイ酸、その他10成分を含有する。
禁忌
- 重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する。]
- 気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる。]
- 重篤な肝障害のある患者[昏睡に陥ることがある。]
- 慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
- 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄の刺激効果があらわれる。]
- 急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]
- アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者
- 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある。]
効能または効果
- モルヒネ硫酸塩水和物として、通常、成人1日20〜120mgを2回に分割経口投与する。
なお、初回量は10mgとすることが望ましい。
症状に応じて適宜増減する。
慎重投与
- 心機能障害のある患者[循環不全を増強するおそれがある。]
- 呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
- 肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
- 脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。]
- ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]
- 代謝性アシドーシスのある患者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
- 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者[呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。]
- 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者[呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。]
- 薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 新生児、乳児(「小児等への投与」の項参照)
- 衰弱者[呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。]
- 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者[排尿障害を増悪することがある。]
- 器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者[消化管運動を抑制する。]
- 痙攣の既往歴のある患者[痙攣を誘発するおそれがある。]
- 胆嚢障害及び胆石のある患者[胆道痙攣を起こすことがある。]
- 重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。]
- ジドブジン(アジドチミジン)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
重大な副作用
1)ショック
- ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
2)依存性
- 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと。
3)呼吸抑制
- 呼吸抑制があらわれることがあるので、息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
4)錯乱、譫妄
- 錯乱、譫妄があらわれることがあるので、このような場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5)無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫
- 無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫があらわれるとの報告がある。
6)麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸
- 炎症性腸疾患の患者に投与した場合、麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。
7)肝機能障害
- AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al−P上昇等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 痛覚情報が末梢から脊髄後角を経て脳に入り視床、大脳皮質知覚領に至る痛覚求心路の抑制による4)。
中枢神経系内のいくつかの部位における作用によるものであり、脊髄及び多くの脊髄上部における部位が確認されている5)。
有効成分に関する理化学的知見
- 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。酢酸(100)に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、クロロホルム又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 48歳の男性。腹部膨満感、咳、腰痛および腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴:2年前に胃癌で胃全摘術を受け、その後外来で約6か月間の抗癌化学療法を受け外来通院で経過観察となった。1年前に腫瘍マーカーの上昇と肝転移とを指摘され、再度抗癌化学療法を受けたが、食欲不振が高度となり、治療効果が認められず中止となった。4か月前から上腹部の膨満、咳および腰痛を自覚していた。画像診断で軽度の腹水貯留と肝、肺および腰椎への多発転移が認められた。利尿薬、鎮咳薬および非ステロイド性抗炎症薬の処方にて落ち着いていたが、3日前から新たに腹部の鈍痛が出現したため受診した。経口摂取は可能である。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:喫煙歴はない。飲酒は日本酒1合/日を20年間。
- 家族歴:父親が肺癌のため70歳で死亡。
- 現症:意識は清明。身長165cm、体重56kg。2年間で10kgの体重減少。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧134/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%。眼球結膜に黄染を認めない。心音に異常を認めない。呼吸音は左背部で減弱している。腹部はやや膨隆しているが軟で、心窩部に圧痛がある。心窩部に肝を触知し、両下肢に軽度の浮腫を認める。
- 検査所見:血液所見:赤血球364万、Hb 10.3g/dl、Ht 32%、白血球6,400、血小板14万。血液生化学所見:血糖78mg/dl、総蛋白5.9g/dl、アルブミン2.4g/dl、尿素窒素10mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、尿酸4.9mg/dl、総コレステロール187mg/dl、トリグリセリド143mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST 32IU/l、ALT 18IU/l、LD 387IU/l(基準176~353)、ALP 644IU/l(基準115~359)、γ-GTP 32IU/l(基準8~50)、アミラーゼ124IU/l(基準37~160)、Na 134mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l、Ca 6.5mg/dl。CEA 28.7ng/ml(基準5以下)、CA19-9 336U/ml(基準37以下)。CRP 3.4mg/dl。動脈血ガス分析(room air):pH 7.32、PaCO2 38Torr、PaO2 94Torr、HCO3- 19mEq/l。
- まず行うべき治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107C029]←[国試_107]→[107C031]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 95歳の男性。呼吸困難のため搬入された。
- 現病歴 咳嗽が続くため2か月前に自宅近くの診療所を受診した。胸部エックス線写真にて肺野に異常陰影を認めたため、近くの病院を紹介され、精査の結果、肺腺癌、肺内転移、骨転移および心膜転移と診療された。患者本人や家族と相談の結果、積極的治療は行わない方針となり、診療所の医師が主治医となって自宅で療養していた。昨日から呼吸困難が出現し、今朝になって増強したため、主治医に相談した上で、救急車を要請した。
- 既往歴 7年前に心筋梗塞。
- 生活歴 息子夫婦、孫2人との5人暮らし。喫煙は20本/日を20歳から50年間継続した後、禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 現症 意識は清明。身長160cm、体重52kg。体温37.5℃。呼吸数32/分、努力様。脈拍120/分、整。血圧72/40mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)88%。頚静脈の怒張を認める。心音に異常を認めない。両側肺底部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に浮腫を認める。
- 検査所見 血液所見:赤血球 385万、Hb 11.0g/dl、Ht 36%、白血球 9,500、血小板 22万。血液生化学所見:血糖 86mg/dl、総蛋白 5.4g/dl、アルブミン 2.6g/dl、尿素窒素 24mg/dl、クレアチニン 1.1mg/dl、AST 24IU/l、ALT 40IU/l、LD 322IU/l(基準176-353)、ALP 158IU/l(基準115-359)、Na 142mEq/l、K 4.2mEq/l、Cl 101mEq/l。CRP 1.2mg/dl。胸部エックス線写真では原発巣の増大、心陰影の拡大および胸水の貯留を認める。心電図では洞性頻脈と低電位とを認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [105C030]←[国試_105]→[105C032]
[★]
- 64歳の男性。ろれつの回りにくさと体重減少を主訴に来院した。半年前から話しにくさを自覚しており、同僚からも声が小さくて聞き取りにくいと指摘されるようになった。2か月前から食事に時間がかかるようになり、2か月間で体重が5kg減少している。1か月前からは両手指の脱力で箸が使いづらく、階段昇降も困難になってきたため受診した。意識は清明。眼球運動に制限はなく顔面の感覚には異常を認めないが、咬筋および口輪筋の筋力低下を認め、舌に萎縮と線維束性収縮を認める。四肢は遠位部優位に軽度の筋萎縮および中等度の筋力低下を認め、前胸部、左上腕および両側大腿部に線維束性収縮を認める。腱反射は全般に亢進しており、偽性の足間代を両側性に認める。Babinski徴候は両側陽性。四肢および体幹には感覚障害を認めない。血液生化学所見:総蛋白 5.8g/dL、アルブミン 3.5g/dL、尿素窒素 11mg/dL、クレアチニン 0.4mg/dL、血糖 85mg/dL、HbA1c 4.5%(基準 4.6~6.2)、CK 182U/L(基準 30~140)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.38、PaCO2 45Torr、PaO2 78Torr、HCO3- 23mEq/L。呼吸機能検査:%VC 62%。末梢神経伝導検査に異常を認めない。針筋電図では僧帽筋、第1背側骨間筋および大腿四頭筋に安静時での線維自発電位と陽性鋭波、筋収縮時には高振幅電位を認める。頸椎エックス線写真および頭部単純MRIに異常を認めない。嚥下造影検査で造影剤の梨状窩への貯留と軽度の気道内流入とを認める。
- この時点でまず検討すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A046]←[国試_113]→[113A048]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 72歳の女性。突然の頭痛のため搬入された。
- 現病歴:2時間前、突然の後頭部痛と嘔気とが出現した。
- 既往歴:40歳代から高血圧症辱降圧薬を服用中である。
- 生活歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:父親が高血圧。母親が大腸癌。
- 現症:意識は清明。身長150cm、体重49kg。体温37.2℃。脈拍68/分、整。血圧164/88mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球415万、Hb13.0g/dl、Ht38%、白血球(桿状核好中球4%、分葉核好中球78%、好酸球1%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球12%)、血小板18万。血液生化学所見:血糖181mg/dl、総蛋白6.9g/dl、アルブミン4.2g/dl、尿素窒素14.0mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、総コレステロール194mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST23IU/l、ALT20IU/l、LDH223IU/l(基準176~353)、ALP243IU/l(基準260以下)、Na141mEq/l、K4.2mEq/l、Cl102mEq/l。
- 診察中に全身のけいれんが起こり、持続している。投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102C029]←[国試_102]→[102C031]
[★]
- 74歳の男性。背部痛と呼吸困難とを主訴に来院した。膵体部癌切除術後に有痛性の多発性肺転移をきたしたが積極的な治療は望まず、 1か月前から自宅近くの診療所で経口モルヒネを処方され内服していた。 5日前に体動時の背部痛を認め、それを契機に徐々に息苦しさを感じるようになったため紹介されて受診した。意識は清明。身長164cm、体重48kg。体温36.7℃。脈拍76/分、整。血圧120/70mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 97%(room air)。血液所見:赤血球302万、 Hb7.8g/dL、 Ht29%、白血球2,600、血小板8.0万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.7g/dL、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、総ビリルビン2.1mg/dL、AST 47IU/L、 ALT 68IU/L、 ALP378IU/L(基準115-359)、 γ-GTP67IU/L(基準8-50)。食事の経口摂取は可能で、食欲も保たれている。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E040]←[国試_106]→[106E042]
[★]
- 82歳の女性。悪心と骨盤の痛みとを主訴に来院した。2年前に骨病変を伴う多発性骨髄腫と診断された。抗癌化学療法とビスホスホネート製剤の投与とを受けていたが治療抵抗性となり、3か月前に抗癌化学療法は中止した。その後、多発性骨髄腫による骨盤の痛みが生じたため、局所放射線照射を行ったが除痛効果は一時的であり、モルヒネの内服を開始した。当初、痛みは良好にコントロールされていたが、徐々にモルヒネの効果が乏しくなったため、段階的に増量した。数日前から痛みに加え、食欲不振と悪心が強くなり受診した。血液検査で電解質に異常を認めない。腹部エックス線写真でイレウス所見を認めない。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112C034]←[国試_112]→[112C036]
[★]
- 98歳の女性。咳と発熱とを主訴に来院した。 1週前から咳が出るようになり、2日前から発熱が出現したが、入院を嫌って自宅で我慢していた。症状が改善しないため心配して訪ねてきた家族に伴われて受診した。 1人暮らしであり、最近まで日常的に畑仕事をしていたという。食欲に変化はなく食事は摂れており、全身倦怠感は訴えていない。
- 意識は清明。身長154cm、体重38kg。体温38.5℃。脈拍96/分、整。血圧116/84mmHg。呼吸数16/分。 SpO2 97%(room air)。右前胸部と右背部でcoarse cracklesを聴取する。
- 血液所見:赤血球377万、 Hb 10.2g/dl、Ht33%、白血球9,800、血小板23万。血液生化学所見:尿素窒素12mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl。 CRP 2.8mg/dl。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認める。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B040]←[国試_106]→[106B042]
[★]
- 66歳の男性。意識障害とけいれんのため救急車で搬入された。3年前から頭部外傷後てんかんで抗けいれん薬の内服治療を受けていた。この1年間はけいれん発作がなかったため、2週間前から服薬していなかったところ、外出先で突然、強直間代けいれんを起こし、居合わせた人が救急車を要請した。発症から10分後の救急隊接触時には間代けいれんがわずかにあったが、救急搬送中に消失した。搬入時、けいれんを認めないが、意識レベルはJCS Ⅰ-3。体温 36.9℃。心拍数 92/分、整。血圧 140/90mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 99%(マスク 6L/分酸素投与下)。処置室でバイタルサインを測定し、静脈路を確保し生理食塩液の輸液を開始した直後に、強直間代けいれんが再発した。
- 直ちに投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113E030]←[国試_113]→[113E032]
[★]
- 64歳の男性。めまい、頭痛および嘔吐後の意識障害のため救急車で救命救急センターに搬入された。突然の回転性めまいと頭痛を訴えた後に嘔吐した。意識レベルはJCSⅡ-30。心拍数 96/分、整。血圧 198/112mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 96%(マスク 6L/分酸素投与下)。瞳孔径は両側4mmで対光反射は両側で遅延している。乳酸リンゲル液を輸液中である。頭部CT(別冊No. 7)を別に示す。
- この時点で投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114B037]←[国試_114]→[114B039]
[★]
- 46歳の男性。近医で右肺尖部の異常陰影を指摘され来院した。胸部造影CTを撮影した直後に呼吸困難を訴え始めた。意識は清明。呼吸数36/分。脈拍140/分、整。血圧 78/44mmHg。全身の皮膚に発赤を認め、呼気時に喘鳴を聴取する。
[正答]
※国試ナビ4※ [103F022]←[国試_103]→[103F024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096E040]←[国試_096]→[096E042]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106A008]←[国試_106]→[106A010]
[★]
- 66歳の男性。5年前から前立腺癌で治療中である。半年前に腰椎と右肋骨に転移が確認され、最近、腰痛を自覚するようになった。疼痛以外の自覚症状はない。
- 疼痛緩和のために、まず投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113E038]←[国試_113]→[113E040]
[★]
- a 医療用麻薬の投与は避ける。
- b がんの診断後に早期から行う。
- c 意識障害の患者は対象としない。
- d モルヒネは体性痛に有効である。
- e 経済的苦痛は身体的苦痛に含まれる。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E027]←[国試_107]→[107E029]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D011]←[国試_105]→[105D013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108I007]←[国試_108]→[108I009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109G025]←[国試_109]→[109G027]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I026]←[国試_106]→[106I028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096G071]←[国試_096]→[096G073]
[★]
- 英
- tetralogy of Fallot TOF ToF TF
- 同
- (国)Fallot四徴症
- 関
- 先天性心疾患、心奇形
まとめ
- 肺動脈狭窄、心室中隔欠損、大動脈騎乗、右室肥大が四徴とされており、漏斗部中隔が右前方へ偏位したために生じた大きな心室中隔欠損と漏斗部狭窄が病態の核心である。出生後は体重増加正常であるが、生後数ヶ月後より徐々にチアノーゼが出現、次第に増悪していく。無酸素発作が出現するようになり、小児期には蹲踞の姿勢をとるようになる。聴診上、2-3LSBに駆出性雑音を聴取、またII音は単一II音として聴取される。低酸素血症の持続により、バチ指、多血症、鉄欠乏性貧血を来す。治療は鉄欠乏性貧血に対して鉄材内服、無酸素発作に対して胸膝位、酸素投与、モルヒネ、βブロッカーとし、予防的にβブロッカーを投与する。手術療法としては1歳頃までに頻回の失神発作、無酸素発作をきたす例に対して、Blalock-Taussig手術を施行、1-3歳頃に根治的に心内修復術(心室中隔欠損の閉鎖、肺動脈の拡張/右室流出路形成)を行う。合併症として脳血栓、脳膿瘍、感染性心内膜炎に留意する。(文献(2) YN.C-121 SPE.452)
原因
- 発生の過程で、円錐動脈管中隔(漏斗中隔)が前方に変位 → 円錐の不等分割 (L.225)
- 22q11の微少な欠損が関係する (PHD.391)
- 22q11.2欠失症候群 CATCH22
四徴
病態
肺動脈狭窄
- (左室の心筋収縮による駆出圧が、心室中隔欠損により右室壁に加わる)
PSと大動脈騎乗を伴う心室中隔欠損
疫学
- 9.6/10000出生。 5/10,000 live births(PHD.391)
- 心奇形を合併しうる (PHD.391)
症状
- 息切れ、易刺激性、チアノーゼ、頻呼吸、ときに失神、痙攣。無酸素発作
- 運動時、食事、哺乳 → 全身の血管が拡張 → 肺血管抵抗 >> 全身血管抵抗 → ↑右左シャント → チアノーゼ
- 子供は全身の血管抵抗を上げるためにしゃがむようになる(蹲踞)。大腿の血管が圧排されて全身血管抵抗が上がる → ↓右左シャント → ↓チアノーゼ
- 中心性チアノーゼ(生後2-3ヶ月) → 無酸素発作(生後6ヶ月) → 蹲踞の姿勢(2歳以降)
- 無酸素発作/低酸素発作:生後、3-4ヶ月移行、急に多呼吸になりチアノーゼが増強。呼吸困難、意識消失を来す。午前中の覚醒時に起きることが多い。右室流出路狭窄の増強が引き金となり、肺血流の低下が起こる。3ヶ月頃から出現。
身体所見
聴診 PHD.393
- RV heave:右室肥大
- 単一II音 ← 肺動脈への駆出路が狭窄しており、かつ肺動脈弁は低形成であるためP2成分は小さく聴取できない。そのためA2成分のみS2として聴くことになる。
- 左右の胸骨縁に収縮期雑音:右室の駆出路で乱流が発生することで生じる(肺動脈までの流路が狭窄しているから)
-
- 心室中隔欠損症 VSDによる雑音は生じない。欠損している部分が大きすぎるため
検査
胸部単純X線写真
- 心陰影は正常/やや小さい ← 拡大はない
- 木靴心:左第二弓陥凹、左第四弓突出
- 肺血管陰影の減弱
心エコー
[show details]
心電図
- 右室肥大所見(high RV1, deep SV6)
心カテーテル検査
右室造影
治療
内科療法
- 多血症:Ht>60%で注意、>70%で危険なので、瀉血を行う。 (PED.919)
薬物療法
- 鉄欠乏性貧血、無酸素発作の予防が目的。
- 無酸素発作:(治療)胸膝位、酸素投与、モルヒネ、βブロッカー、アシドーシス補正の補液。(予防)βブロッカー ⇔ 禁忌:β刺激薬 → 漏斗部狭窄(肺動脈弁下狭窄)を増強させてしまう
- 治療
- βブロッカー:右室流出路狭窄の改善
- モルヒネ:鎮静、漏斗部のspasm解除。
末梢血管の拡張、静脈還流量減少? ← 塩酸モルヒネ/ペチロルファンを用いる(PED.918)
- アシドーシス補正の補液:重炭酸を含む輸液
- 予防
- 塩酸プロプラノロール/塩酸カルテオロール (PED.918)
手術療法
- 新生児期において動脈管依存性の重症例では、プロスタグランジンE1の持続投与を行い、ブラロック・タウシグ手術(Blalock-Taussig手術)を行う。(ガイドライン1)。
- 動脈管非依存性の場合、1歳頃に頻回の失神発作、無酸素発作をきたす例に対して(YN.C-122)、内科的に無酸素発作のコントロールが困難な症例や著しい肺動脈低形成に対してブラロック・タウシグ手術を行う(ガイドライン1)。
- 1-2歳(ガイドライン1)/1-3歳(YN.C-122)頃に、根治的に心内修復術(心室中隔欠損の閉鎖、肺動脈の拡張/右室流出路形成)を行う。
合併症
ガイドライン
- 1. 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf
国試
症例
- 2歳男児。運動後にチアノーゼが見られるため来院した。家族の話によると、うずくまっていることが多くなってきたという。胸骨左縁第2肋間に駆出性収縮期雑音を聴取する。
[★]
- 英
- vomiting, emesis
- ラ
- vomitus
- 関
- 悪心、嘔気 nausea、悪心・嘔吐 nausea and vomiting
概念
- 胃の内容物をはき出す現象。
- 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。
嘔吐中枢
嘔吐中枢の近傍に存在するもの
- 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核
随伴症状
- 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど
症状の出現形式と原因の所在
噴水状、噴射状嘔吐
- projectile vomiting is where stomach contents 'shoot out' (like a fountain) to a distance sometimes many feet away.
嘔吐に関わる経路
- IMD.351
- 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
- 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
- 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
- 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.
原因
小児科で遭遇する嘔吐の原因
[★]
- 英
- opioid receptor
- 同
- モルヒネ受容体 morphine receptor
- 関
- オピオイドペプチド、オピオイド
- オピオイド受容体はμ受容体、κ受容体、δ受容体がある。
- モルヒネ、フェンタニルはμ受容体刺激薬
- 呼吸抑制はμ2受容体を介したものである。
オピオイドとオピオイド受容体 (GOO.552)
オピオイド受容体の生理作用(周術期管理学 091211 III)
受容体
|
μ
|
δ
|
κ
|
μ1
|
μ2
|
作用
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
悪心・嘔吐
|
鎮静
|
鎮静
|
身体依存
|
多幸感
|
呼吸抑制
|
身体違和感
|
精神依存
|
掻痒感
|
身体依存
|
気分不快
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
精神依存
|
興奮
|
|
尿閉
|
消化器運動抑制
|
幻覚
|
|
鎮咳
|
鎮咳
|
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
利尿
|
オピオイド受容体と非麻薬性鎮痛薬について
身体依存性
- 痛みがある人には精神的依存はきたさない(痛みの有無によらず退薬現象はある)
[★]
- 英
- drug abuse, substance abuse
- 同
- 薬物乱用
- 関
- 薬物依存、薬物嗜癖、物質乱用、物質依存症、薬物使用、接着剤吸引
薬物使用が身体に及ぼす効果
- 濫用 substance abuse:a pattern of abnormal substance use that leads to impairment of occupational, physical, or social functioning(BBS.73)
- 依存 substance dependence:ub stance abuse puls withdrawal symptoms, tolerance, or a pattern of repetitive use(BBS.73)
- 離脱 withdrawal:the development of physical or pschological symptoms after the reduction or cessation of intake of a substance(BBS.73)
- 耐性 tolerance:the need for increased amounts of the substance to achieve the same positive psychological effect(BBS.73)
- 交差耐性 cross-tolerance:the development of tolerance to one substance as the result of using another substance(BBS.73)
薬物
-
-
精神依存、身体依存
[★]
- 英
- WHO method for relief of cancer pain
- 同
- WHO式癌疼痛治療法 WHO Cancer Pain Relief Programme、WHO3段階除痛ラダー WHO three-stepanalgesic ladder、3段階ラダー
WHOの基本5原則
- 1. WHOのラダーに沿って
- 2. できるかぎり内服で、
- 3. 少量で始めて疼痛が消える量へと漸増し、
- 4. 定時投与とし、 ← 頓用ではない
- 5. 必要に応じて鎮痛補助薬の併用も考慮
鎮痛補助薬 SAN.410
参考
- http://www.geocities.jp/study_nasubi/l/l13.html
国試
- 106C030:吐き気はオピオイド服用開始に出現しやすいので、開始時から制吐薬を開始する。副作用に対してはオピオイドの減量ではなく、制吐薬・緩下薬などを利用し、オピオイドの減量は避ける、だったっけ?
メモ
[★]
- 英
- morphine sulfate
- 関
- モルヒネ、モルヒネ硫酸塩
[★]
- 英
- morphine sulfate
- 関
- モルヒネ、硫酸モルヒネ