- 英
- opioid receptor
- 同
- モルヒネ受容体 morphine receptor
- 関
- オピオイドペプチド、オピオイド
- オピオイド受容体はμ受容体、κ受容体、δ受容体がある。
- モルヒネ、フェンタニルはμ受容体刺激薬
- 呼吸抑制はμ2受容体を介したものである。
オピオイドとオピオイド受容体 (GOO.552)
オピオイド受容体の生理作用(周術期管理学 091211 III)
受容体
|
μ
|
δ
|
κ
|
μ1
|
μ2
|
作用
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
悪心・嘔吐
|
鎮静
|
鎮静
|
身体依存
|
多幸感
|
呼吸抑制
|
身体違和感
|
精神依存
|
掻痒感
|
身体依存
|
気分不快
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
精神依存
|
興奮
|
|
尿閉
|
消化器運動抑制
|
幻覚
|
|
鎮咳
|
鎮咳
|
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
利尿
|
オピオイド受容体と非麻薬性鎮痛薬について
- 英
- nonopioid analgesic, non-narcotic analgesic
- 同
- 麻薬拮抗性鎮痛薬、麻薬性拮抗性鎮痛薬
- 関
- 薬理学
麻薬拮抗性鎮痛薬とオピオイド受容体
(標準麻酔科学 第2版p.182)
受容体
|
μ
|
δ
|
κ
|
作用
|
μ1
|
μ2
|
上脊髄性鎮痛
|
|
幻覚・譫妄
|
脊髄性鎮痛
|
|
呼吸抑制
|
呼吸促進
|
呼吸抑制
|
|
身体依存性
|
不快感
|
鎮静
|
|
徐脈
|
頻脈
|
脈拍不変
|
縮瞳
|
散瞳
|
痙攣
|
モルヒネ
|
agonist
|
-
|
agonist
|
ペンタゾシン
|
antagonist
|
agonist
|
agonist
|
ブプレノルフィン
|
partial agonist
|
-
|
agonist
|
ブトルファノール
|
antagonist
|
-
|
agonist
|
ナロキソン
|
antagonist
|
antagonist
|
antagonist
|
身体依存性
- 痛みがある人には精神的依存はきたさない(痛みの有無によらず退薬現象はある)
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/03 06:29:19」(JST)
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オピオイド受容体(オピオイドじゅようたい、英: Opioid Receptor)とはモルヒネ様物質(オピオイド)の作用発現に関与する細胞表面受容体タンパク質である。少なくとも4種類のサブタイプが存在しているが、いずれもGi/G0共役型の細胞膜7回貫通型受容体である。以前は外因性の麻薬性鎮痛物質が結合する脳内の作用点として「オピエート受容体 (Opiate Receptor)」と称されたが、受容体タンパク質と結合する生理活性ペプチドとしてβエンドルフィンなどのオピオイドペプチドが発見されるに伴い、オピオイド受容体と呼ばれるようになった。オピオイド受容体は侵害受容線維であるC線維やAδ線維の前シナプス末端部に存在し、リガンドの結合により膜電位依存性のカルシウムチャネルの機能を抑制し、疼痛伝達物質(サブスタンスPなど)の放出抑制によって鎮痛効果を示す。また、Tリンパ球などの免疫系細胞の細胞表面にも発現が見られることが知られており、免疫調節への関与が示唆されている。
目次
- 1 各受容体サブタイプの特徴
- 2 構造とシグナル伝達
- 3 脚注
- 4 参考文献
|
各受容体サブタイプの特徴[編集]
- δ受容体(Delta-Opioid Receptor(DOP),OP1)
- オピオイド受容体の中で最初にクローニングされた受容体である。メチオニンエンケファリンやロイシンエンケファリンに対して強い親和性を持つ受容体として発見されたものであり、中枢神経系に広く分布している。δ受容体は抗うつ作用、身体・精神依存あるいは後述のμ受容体より作用が弱いが鎮痛にも関与している事が知られている。δ受容体をさらに細分類化するとδ1とδ2の二つの受容体に分けられる。
- κ受容体 (Kappa-Opioid Receptor (KOP),OP2)
- ダイノルフィンと高親和性の受容体であり、κ1からκ3までの3種類が存在するとされている。鎮痛や鎮咳、幻覚、せん妄などに関与する。ペンタゾシンやブプレノルフィンなどの麻薬拮抗性鎮痛薬の中ではこのκ受容体に対して親和性を有するものが多い。
- μ受容体 (Mu-Opioid Receptor (MOP),OP3)
-
オピオイドμ受容体の構造。リガンド(図中紫色)は細胞外ドメインに結合する。
- μ受容体はモルヒネの鎮痛作用に最も関連がある受容体であり、モルヒネ(Morphine)の頭文字をとってμ受容体と呼ばれるようになった。内因性オピオイドペプチドであるエンケファリンやβエンドルフィンに対して高親和性を有する一方、エンドルフィンに対しては低親和性である。受容体の中でもさらに鎮痛や多幸感などに関与するμ1受容体と呼吸抑制や掻痒感、鎮静、依存性形成などに関与するμ2受容体が存在する。μ3受容体というものも報告されているが[1]、その機能はよく分かっていない。
- オピオイド性の鎮痛薬の多くはμ受容体に対して強く結合するものであり、薬物治療のターゲットとなる。麻薬拮抗薬であるナロキソン (Naloxone) はμ受容体に対する親和性が高く、一方でδ受容体およびκ受容体に対しては親和性が低い。
- ノシセプチン受容体 (Nociceptin Receptor (NOP),ORL1,OP4)
- 上記の3つの受容体サブタイプと類似の構造を有するが、リガンドが分からないといういわゆるオーファン受容体であった。しかし、近年では内因性のリガンドとして脳から発見されたノシセプチン(N/OFQ)の存在が報告されている。ノシセプチン受容体を介した作用はモルヒネの鎮痛作用に拮抗するものであると考えられている。
- その他
- 過去にはσ受容体と呼ばれる受容体がオピオイド受容体の一種であると考えられたことがある。多くのオピオイド性の医薬品がσ受容体を介して鎮咳作用を示すことからそのように考えられていたが、内因性のオピオイドにより活性化されないことや他の既知の受容体サブタイプと遺伝子配列が全く異なることがわかり、現在ではオピオイド受容体の一種として数えられていない。
構造とシグナル伝達[編集]
シナプス前膜に存在するμ受容体はカルシウムの流入を負に制御し、NMDAシグナルを抑制する。
オピオイド受容体タンパク質はアミノ基側末端が細胞外、カルボキシル基側末端が細胞内に存在するGタンパク質共役型受容体である。オピオイド受容体にリガンドが結合するとGタンパク質の一種であるGi/Goタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ (AC) の機能を抑える。これによりセカンドメッセンジャーであり、プロテインキナーゼの活性化を促すサイクリックAMP (cAMP) の産生が抑制されることになる。さらにはK+チャネルの開口促進やCa++チャネルの開口抑制、転写抑制も引き起こし、細胞機能の調節を行う。
脚注[編集]
- ^ Cadet P, Mantione KJ and Stefano GB (2003). "Molecular identification and functional expression of μ3, a novel alternatively spliced variant of the human μ opiate receptor gene". J.Immunol.,170,5118–23. PMID 12734358
参考文献[編集]
|
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- 今堀 和友、山川 民夫 編集 『生化学辞典 第4版』 東京化学同人 2007年 ISBN 9784807906703
- 田中 千賀子、加藤 隆一 編集 『NEW薬理学 第4版』 南江堂 2002年 ISBN 9784524220830
- 本郷 利憲、廣重 力、豊田 順一 監修『標準生理学 第6版』医学書院 2005年 ISBN 9784260101370
- Trescot AM, Datta S, Lee M and Hansen H.(2008)"Opioid pharmacology."Pain Physician.,11,S133-53.
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Japanese Journal
- 腸管神経叢に発現している消化管運動制御受容体と,それらをターゲットにした消化管機能改善薬 (第1土曜特集 神経消化器病学の進歩) -- (消化管神経系の構造と機能)
- 高用量フェンタニル貼付剤が無効な疼痛へのオキシコドンへのオピオイドローテーション
- 赤司 雅子,有賀 悦子
- Palliative Care Research 6(1), 330-335, 2011
- … また, その背景としてμオピオイド受容体機能の多様性の基礎研究も行われている. …
- NAID 130000858767
- がん疼痛治療薬トラマドール塩酸塩(トラマール®カプセル25 mg·50 mg)の薬理作用と臨床試験成績
- 廣内 雅明,田中 麻美子,西村 健志
- 日本薬理学雑誌 137(4), 189-197, 2011
- … トラマール®カプセル25 mg・50 mg(有効成分:トラマドール塩酸塩)は,「軽度から中等度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」の効能・効果で2010年7月に承認された.トラマドール塩酸塩はμ-オピオイド受容体を介する作用,ならびにノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み系を抑制する作用を有し,これらが抗侵害作用の主たる作用機序と考えられている.軽度から中等度のがん疼痛患者を対象とした臨床試験に …
- NAID 130000654879
- MW8-5 精神的ストレス誘発性喘息の病態とμ-オピオイド受容体の関与(MW8 動物モデルを用いた喘息病態と治療法開発,ミニワークショップ,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 奥山 香織,河野 資,大河原 雄一,曽良 一郎,櫻田 忍,高柳 元明,大野 勲
- アレルギー 59(9・10), 1353, 2010-10-30
- NAID 110008083863
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- narcotic analgesic, narcotic analgesics
- 同
- オピオイド鎮痛薬、モルフィン鎮痛薬???
- 関
- オピオイド
モルフィン鎮痛薬
内因性オピオイド
外因性オピオイド
合成
麻酔薬として
- 心臓手術やハイリスク患者の麻酔に用いる。
- 使用される薬にはクエン酸ファンタネルやモルヒネがある。
- 脳神経に存在する麻酔特有の受容体(オピオイド受容体)をしげきする
- 鎮痛作用は協力
- 麻酔薬なので常習性がある。
- 副作用:呼吸抑制、精神神経作用、消化器症状がある。
- 注意:患者さんの状態に合わせて、睡眠作用のある薬を使用。すなわち、これ単独では眠らない(記憶を失わない)
- ○強力な鎮痛・鎮静。血圧安定
- ×術中覚醒。呼吸抑制。筋硬直。徐脈。術中高血圧
- パンクロニウム(長時間使用で頻脈になる)を併せて使うことがある。
依存性
副作用
[★]
- 英
- dihydrocodeine
- 化
- リン酸ジヒドロコデイン dihydrocodeine phosphate、ジヒドロコデインリン酸塩 dihydrocodeine phosphate
- 商
- カフコデ(ジプロフィリン、ジヒドロコデイン、dl-メチルエフェドリン、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン、ブロモバレリル尿素)、セキコデ(ジヒドロコデイン、エフェドリン、塩化アンモニウム、クロフェドリン、ライトゲン、ムコブロチン、ミゼロン、プラコデ、フステン、フスコブロン、ニチコデ、フスコデ(ジヒドロコデイン、dl‐メチルエフェドリン、クロルフェニラミン)、オピセゾールコデイン(キキョウ流、カンゾウ、車前草、シャクヤク、ジヒドロコデイン)
- 関
- モルフィン鎮痛薬、オピオイド受容体。コデイン
特徴
- 麻薬性中枢性鎮咳薬。
- リン酸コデインより強い鎮咳・鎮痛作用を有し、特に鎮咳作用はリン酸コデインの2倍、呼吸抑制作用はモルヒネに比べて弱い。
適応
[★]
- 英
- codeine
- 同
- メチルモルヒネ methylmorphine
- 化
- リン酸コデイン コデインリン酸塩 codeine phosphate codeini phosphas、codeine polistirex、codeine sulfate
- 商
- ブロチンコデイン(桜皮、コデイン)、サリパラ・コデイン
- 関
- モルフィン鎮痛薬、オピオイド受容体。ジヒドロコデイン
- アヘンアルカロイド系麻薬
薬理作用
適応
慎重
- 前立腺肥大があると尿閉を来しやすいので使いづらい。 → デキストロメトルファン考慮
- 便秘 → 便秘になることを説明する。重症の便秘の人には使わない。
処方例
[★]
- 英
- enkephalin
- 関
- 神経伝達物質、オピオイドペプチド
- 5残基からなる。C末端のアミノ酸により2種類に分けられる
- 内因性オピオイド = 内因性モルヒネ様ペプチド
種類 (GOO.549)
- Y-G-G-F-M
- Y-G-G-F-L
受容体
- enkephalin receptor GOO.149
- 痛覚抑制
作用
脊髄後角、下腸間膜動脈神経節におけるエンケファリンの作用 (SPC.80)
[★]
- 英
- remifentanil
- 化
- 塩酸レミフェンタニル remifentanil hydrochloride
- 商
- アルチバ
- 関
- 麻薬、麻酔薬、オピオイド、オピオイド受容体
- フェニルピペリジン構造(フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル)
- 選択的μ受容体アゴニスト
- 脳内への移行が速やかなため、作用発現までの時間が短く、消失も早い。
- 投与中中止後、速やかに血中濃度が低下し、術後呼吸抑制の心配が少ない(SAN.55)
- 血中および組織内の非特異的エステラーゼによって加水分解されるため(腎・肝機能に非依存的)、蓄積性がなく、肝・腎機能障害を有している患者にも有効。
[★]
- 英
- delta opioid receptor
- 関
- δ受容体、δオピオイドレセプター
[★]
- 英
- kappa opioid receptor
- 関
- κ受容体、κオピオイドレセプター
[★]
- 英
- mu opioid receptor
- 関
- μ受容体、μオピオイドレセプター
[★]
- 英
- opioid
- 同
- 類麻薬
- 関
- オピオイド受容体
作用
縮瞳
- モルフィンと多くのμ,κアゴニストは瞳孔の縮小を引き起こす。これは瞳孔を支配する副交感神経の興奮による。μアゴニストを中毒量投与すると縮瞳し、pinpoints pupupilsはpathognomonicである。(GOO.559)
オピオイドとオピオイド類似物質の作用
- GOO.552
+アゴニスト ーアンタゴニスト P partial agonist
各鎮痛薬のオピオイド受容体への作用
- μ受容体 κ受容体
- レミフェンタニル +++ ー
- フェンタニル +++ -
- モルヒネ +++ +
- ペチジン ++ +
- トラマドール + -
- ペンタゾシン ー ++
- ブプレノルフィン P ー
- ナロキソン ー -
[★]
- 英
- receptor
- 同
- レセプター、リセプター
- 関
種類
First Aid FOR THE USMLE STEP 1 2006 p.199
一般的作動薬
|
受容体
|
G protein subunit
|
作用
|
アドレナリン ノルアドレナリン
|
α1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
α2
|
Gi
|
中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制
|
β1
|
Gs
|
心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解
|
β2
|
骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出
|
β3
|
肥満細胞脂質分解亢進
|
アセチルコリン
|
M1
|
Gq
|
中枢神経
|
M2
|
Gi
|
心拍数低下
|
M3
|
Gq
|
外分泌腺分泌亢進
|
ドーパミン
|
D1
|
Gs
|
腎臓平滑筋弛緩
|
D2
|
Gi
|
神経伝達物質放出を調節
|
ヒスタミン
|
H1
|
Gq
|
鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み
|
H2
|
Gs
|
胃酸分泌
|
バソプレシン
|
V1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
V2
|
Gs
|
腎集合管で水の透過性亢進
|
チャネルの型による分類(SP. 154改変)
イオンチャネル連結型受容体
Gタンパク質共役型受容体
受容体とシグナル伝達系
リガンド、受容体、細胞内情報伝達系
PKA,PKC
癌細胞における
[★]
- 英
- accept, acceptance
- 関
- 受け取る、承認、受諾、認容、認める、受け入れる
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー