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この項目では、薬物としての大麻(たいま)について説明しています。
- 植物としての大麻については「アサ」をご覧ください。
- 繊維については「麻 (繊維)」をご覧ください。
- 神道の神札については「大麻 (神道)」をご覧ください。
- その他の大麻(たいま、おおあさ(地名など))については「大麻 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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「ガンジャ」はこの項目へ転送されています。アゼルバイジャンの都市については「ギャンジャ」をご覧ください。 |
大麻(たいま)ないしマリファナ (marijuana[1]) とは、アサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたもの。これに含有される化学物質カンナビノイド(約400種類の合成物の一つ特にテトラヒドロカンナビノール (THC))には様々な薬理作用があり、嗜好品や医薬品として用いられる。日本においては、大麻取締法により、大麻の所持、栽培、譲渡等に関して規制がある。
目次
- 1 概要
- 2 医療大麻
- 3 呼称
- 4 歴史
- 5 種類
- 5.1 乾燥大麻
- 5.2 大麻樹脂
- 5.3 液体大麻
- 6 摂取方法
- 7 人体への影響
- 7.1 医学的見地
- 7.2 社会的意見
- 7.2.1 効力の増加
- 7.2.2 交通事故との関係
- 7.2.3 踏み石論
- 8 薬物検査(ドラッグテスト)
- 9 日本の状況
- 9.1 乱用問題
- 9.1.1 学校
- 9.1.2 相撲界
- 9.1.3 自衛隊
- 9.1.4 その他
- 9.2 乱用の背景
- 10 法規制
- 10.1 日本における法規制
- 10.1.1 規制対象
- 10.1.2 免許制
- 10.1.3 罰則
- 10.1.4 コントロールド・デリバリー
- 10.1.5 大麻規制に対する賛否
- 10.2 各国・地域の大麻政策
- 10.2.1 アメリカ合衆国
- 10.2.2 EU
- 10.2.3 ロシア
- 10.2.4 カナダ
- 10.2.5 イスラエル
- 10.2.6 ウルグアイ
- 10.2.7 ブラジル
- 10.2.8 アルゼンチン、チリ
- 10.2.9 ジャマイカ
- 10.2.10 オーストラリア
- 10.2.11 タイ王国
- 10.2.12 シンガポール
- 10.2.13 インドネシア、マレーシアなどの東南アジア島嶼部
- 11 題材とした作品
- 12 脚注
- 13 参考文献
- 14 関連項目
- 15 外部リンク
概要
日本では、大麻には多幸感をもたらす鎮痛作用・食欲増進などの薬理作用があることなどから、大麻取締法による規制を受ける麻薬(痲薬)[2]の一種に分類されている。日本では、無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。
アメリカでは、17州で医療大麻として2州では嗜好品として合法化されている。2012年のアメリカ大統領選に合わせ、嗜好品としての大麻合法化の是非を問う住民投票が3州にて行われ、コロラドとワシントンの2州が賛成多数で可決し嗜好品として大麻が合法化された[3]。アメリカではこれまで医療大麻としては17州で合法化されていたが、嗜好品としての大麻合法化はこれが初となる。また米国の連邦法と矛盾するものの米国では一般法は基本的に州法が優先されるため大麻問題に関しても同様に州法が優先することとなっている。
オランダでは大麻がコーヒーショップなどで販売され、早くから大麻が合法化されている事が広く知られている。しかし2011年オランダ政府は「ドイツやベルギー国境で頻発している密輸を取り締まること、外国人によるドラッグツーリズムを減少させること」などを目的に外国人の利用を禁じる方針を発表している。また将来的には「大麻許可証」の導入も検討されている。一方で規制への反対派は「オランダの観光業にとって自殺行為、治安が悪化する恐れもある」と猛反発している[4]。
イギリスの薬物乱用防止法[5]では薬物の危険度順 (ABC) に分類[6]し、大麻はクラスBに分類されている(2009年1月よりクラスCから再度格上げ[7])。オランダのあへん法においては、ソフトドラッグの区分に分類されている。世界ドーピング防止規程[8]では、興奮剤やヘロイン等の麻薬と共に大麻の主成分であるカンナビノイドをスポーツ競技会における禁止薬物としており、アルコールと共にカンナビノイドが特定物質[9]とされている。長野オリンピックのスノーボードの試合で金メダルを獲得したロス・レバグリアティがドーピング検査の結果大麻の陽性反応が出たため、メダルが剥奪されかけたが、オリンピックの時点では、まだ大麻を吸っていなかったことなどから、最終的に処分は取り消されている。
産業用のアサは、陶酔成分が生成されないよう改良された品種が用いられる。また、品種が同じでも産業用と嗜好用とでは栽培方式が異なる。前者は縦に伸ばすために密集して露地に植えられる方式が主であるが、後者は枝を横に伸ばすために室内栽培が多い。そのため嗜好目的のためのアサを産業的栽培だと偽って栽培するのは困難である。また、大麻成分の研究が目的の場合、合成のカンナビノイドが使用されるため、栽培はされない。古来より日本で栽培されてきた大麻は幻覚成分であるTHCの含有量が少なく、日本には大麻を吸引する文化はなかったとされるが、麻畑では麻酔いと呼ばれる精神作用があることが知られていた[10]。
医療大麻
医療大麻(いりょうたいま、Medical Cannabis)または医療マリファナは、大麻(マリファナ)や合成THC、カンナビノイドを利用した生薬療法。現在、アメリカ合衆国の17州[11]、カナダ・イスラエル・ベルギー・オーストリア・オランダ・イギリス・スペイン・フィンランドなどで使われている。大抵の場合、大麻の使用には処方箋が必要になり、地域法によって販売(配給)の方法が異なるのが特徴である。
アメリカ合衆国では合成大麻成分のドロナビノール(英: Dronabinol)(合成テトラヒドロカンナビノール:THC)はマリノール(英: Marinol)という商品名で販売され、腰痛、消耗症候群、慢性痛、末期エイズ患者の食欲増進、ガンの化学療法に伴う吐き気の緩和のために処方されている[12]。また、ドロナビノールはドイツにて、抽出大麻成分を含有するサティベックスはカナダ[13]にて処方されている。
大麻の医療活用について多くの研究がなされ、現在も研究が進められている[14][15][16][17]。
しかし日本では大麻草は大麻取締法の規制により、大麻の化学成分(THC、CBDなど)は麻薬及び向精神薬取締法[18]の規制により、医療目的であっても使用、輸入ならびに所持は禁止されている。
「医療大麻」および「大麻精神病」も参照
呼称
マリフアナはメキシコ・スペイン語で「安い煙草」を意味する。これは大麻の繁殖力が強く、野草として自生していたために、安価に手に入ったことからメキシコでこの呼称が一般的になり、これがアメリカ合衆国へと伝わって世界中にマリファナという呼称が定着した。その他ガンジャ、ハーブ、ウィード、日本では草、葉っぱ、緑などの俗称、隠語、スラングで呼ばれることがある。
歴史
大麻の薬や嗜好品としての歴史は長く、中国で2700年前にシャーマンが薬理作用を目的としたとされる大麻が発見されている[19]。後漢の頃に成立したとされる中国最古の薬物学書「神農本草経」には薬草として使われていたことが記されている。歴史の父と呼ばれるヘロドトスは、『歴史』において、紀元前450年のスキタイ人やトラキア人は大麻を吸っていたと伝え、70年にはローマの医学治療として大麻の使用が言及された。アラビアと中東では900年から1100年にかけて大麻の喫煙習慣が広まった。アメリカ大陸においては、1549年にアンゴラの奴隷がブラジル東北部での砂糖のプランテーションで砂糖とともに大麻を栽培し、喫煙していた。アメリカ大陸のスペイン領やイギリス領でも大麻の栽培は行われ、特にメキシコでは大麻使用が大衆化した。ヨーロッパでは、嗜好品としての大麻は1798年のナポレオン・ボナパルトによるエジプト遠征によってエジプトから伝えられ、1843年にはパリで「ハシッシュ吸飲者倶楽部」が設立、1870年にギリシアで大麻使用が全土に普及した。また、イギリスの上流階級の間にも広がり、ヴィクトリア女王は生理痛の緩和に使っていた。薬用としては腹痛や発熱、不眠症や結核患者に使われた。その後、ほとんどの欧州諸国で非合法化されてきたが、1976年にオランダで寛容政策が行われ、コーヒーショップやユースセンターでの大麻販売を認めた。日本では、江戸時代の博物学者貝原益軒の『大和本草』に大麻(アサ)の項があり、麻葉の瘧への治療薬としての効能、日本で大昔から麻が植えられていた様子が日本書紀や舊事紀に見られることなどが記されている[20]ほか、戦前の生薬学では、大麻の麻酔性がインド、中国では紀元前から知られており、嗜好用途のほかに鎮静薬及び催眠薬として、喘息への熏煙剤及び紙巻煙草としての用法があるとされている[21]。また、1886年に印度大麻草として日本薬局方に記載され、1951年の第5改正日本薬局方まで収載されており[22]、庶民の間でも痛み止めや食用として戦後に規制されるまで使用されていた。ただし、日本で伝統的に栽培されていた大麻は幻覚成分であるTHC含有量が0.1%程度と弱く、日本では大麻の使用は工業用途に限られていたと考えられており、日本における嗜好目的での使用は第二次世界大戦後のアメリカ進駐軍から広まったといわれている[要出典]。
アメリカ合衆国においては、1840年に医薬調合品として大麻の利用が可能になり、1842年から1890年代まで処方される薬の上位にあった。嗜好品としてはオスマン帝国のスルタンであるアブデュルハミト2世が伝えたとされ、1876年の独立100周年を記念するフィラデルフィア万国博覧会のオスマン帝国のパビリオンでは大麻の吸引が行われた。その後、アメリカ北部で大麻を吸引できる店が開店し、上流階級や地位のあるビジネスマンがお忍びで通った。禁酒法時代にはクラブなどの公共の場で酒の代わりとして振る舞われていた。しかし、1915年-1927年には南西部州を中心に医療目的以外の大麻使用が州法で非合法化され始め、禁酒法の廃止や治安悪化、人種差別や移民問題[23]、合成繊維の普及と相まって、1937年に連邦法によって非合法化された。1960年代にはヒッピー・ムーブメントで大麻使用が大衆化され、ベトナム戦争で大麻を吸うアメリカ兵士が急増した。現在では州法での医療大麻の使用が可能になった州もあるが、連邦法との板挟み状態にあり、医療目的で大麻を使用する患者や老人、薬局などが逮捕や強制捜査を受けるなどのグレーゾーンであったが、2009年2月に医療大麻に対する取り締まりが終結された[24]。
宗教面では、前1200-前800年にはバラモン教の聖典「ヴェーダ」から医薬や儀式、シヴァ神への奉納物として使用されたと記されている。その他には前600年のゾロアスター教の経典「アヴェスター」では麻酔薬・鎮静剤として言及され、500年-600年にはユダヤのタルムードにおいても大麻の使用が記載されている。また、日本の神道とも関わりが深く、穢れを祓う紙垂(しで)は古くは麻の枝葉や麻布であったとされるし、神職がお祓いに使う大幣(おおぬさ)は大麻とも書き、麻の糸を使用している[25]。ほかにお盆の迎え火や[26]正月の護摩焚きで麻が燃やされるなど、神事、仏事に広く利用されていた[要出典]。
2010年10月、メキシコ軍はメキシコのティフアナ市郊外で民家などから大麻105トンを押収。末端価格は総額42億ペソ(約280億円)相当に上り、大麻の1度の押収量としては世界最高記録とされる。
種類
嗜好品としての大麻は、以下の3種類に分類されている。なお、この種類の節では『2006年世界薬物報告』の統計データを用いている。
乾燥大麻
花穂や葉を乾燥させた大麻加工品を乾燥大麻(マリファナ)という。大麻の葉をリーフ、花穂をバッズ、無受精の雌花の花穂をシンセミア(種無し)という。乾燥大麻は、嗜好品としての大麻の最も一般的な加工方法であり、世界で押収された大麻のうち79%が乾燥大麻である[27]。バッズのTHC及びカンナビジオール含有率は、他の部位に比べて高く、シンセミアにおける含有率は更に高い。市場で流通する乾燥大麻のTHC含有率は大麻の品種改良や栽培技法の確立により年々上昇している。
また、良質のシンセミアを確実に得たいという思う愛好者の要望に応じるため、栽培業者は巧妙な交配を行って雌株の発芽率を高めた種子を販売している。このような種子をフェミナイズド・シード (feminised seeds) といい、種子製造メーカーによっては雌株発芽率が100%だと標榜している品もある。
大麻樹脂
花穂や葉から取れる樹液を圧縮して固形状の樹脂にした大麻加工品を大麻樹脂という。ハッシッシ、ハシシ、ハシシュ (hashish)、チョコ、チャラスとも呼ばれる。ハシシの製法は大きく分けて、手もみ(チャラス)、ポリネーター(ポーリン)、アイソレーターがある。世界における消費地は主に西ヨーロッパであり、世界における大麻樹脂の74%はここで押収されている[27]。また、モロッコが大麻樹脂の最大生産国である[27]。
液体大麻
乾燥大麻や樹脂を溶剤で溶かし抽出した大麻加工品を液体大麻という。ハシシオイル、ハッシュオイル、ハニーオイルとも呼ばれる。溶剤には、アルコールや油、石油エーテル、ブタンなどが用いられる。THCを抽出するためTHC含有率が高く、溶剤にもよるが50%を超える場合もある。日本の行政は一般に液体大麻と呼称するが、形状は溶剤により様々ある。
摂取方法
Aは紙巻き機、Bは完成したジョイント、Cは乾燥大麻、Dは巻き紙である
大麻は主に以下の方法で摂取される。
- パイプ(煙管様の喫煙具)で摂取する方法
- もっともシンプルな摂取方法で、古くから行われているという。パイプは木、金属、ガラス、陶器などの素材で作られており、様々な形状を持つ。中には装飾的な意匠の品もあり、これらを好みに応じて使い分けたり、コレクションとして収集する愛好者もいる。
- インドではチラムと呼ばれる棒状のパイプがある。
- ジョイントで摂取する方法
- 乾燥大麻または大麻樹脂を煙草の巻紙に巻いたものに点火して吸う。
- 地域や好みによって異なるが、紙で巻くときに乾燥大麻にタバコの葉を混ぜることがある。これはハシシ(大麻樹脂)が主流だった時の名残で、ハシシだけでは火の点きが悪いため、タバコの葉を用いることでこの問題を解消していたからである。
- 巻紙に巻く手間がかかること、有効成分が散逸しやすいのと、煙が直接体内に入るため一酸化炭素・タール・シアン化物などの有害な成分による健康被害を受けやすいという欠点がある。
- ジョイントを好む愛好者は、どの巻紙を使うかという点にそれぞれの趣味を持っている。また、吸いたい時にさっと巻けることがスマートだと認識されており、その手法についても各人のこだわりが現れている。
- ボング(水パイプ)で摂取する方法
- ボングと呼ばれる喫煙具を使うと煙をいったん水に通すことで喉あたりがよくなる。水を通すことで煙の有害物質が除去されると思われがちだが、実際には煙草のフィルターのような有害化学物質を取り除く力はほとんどない。ジョイントよりも効率よくTHCなどの有効成分を摂取することができる。
- ボングには様々な形状のものがあり、好みのものを買い求めたり自作するなど副次的な趣味を形成している。手のひらに乗るくらいコンパクトなものから、一輪差しの花瓶や理科の実験で使うフラスコに似た形状のもの、それよりも大きくビアジョッキ程度の大きさのもの、さらに大きなものでボングの高さが80cmに及ぶものがある。
- 小さなボングは携帯性を重視しており、ハンドバッグに入れて持ち歩くことができるようになっている。大きなボングは吸引時に勢いよく煙を立てることができ、迫力を楽しむことができる。大きなボングには複数の吸い口が取り付けられ、複数人で一つの大麻を摂取することができるようになっているものがあり、親近感を深める意味合いで用いられる。
- ヴェポライザー(気化器)で摂取する方法
- ヴェポライザーと呼ばれる喫煙具は大麻を燃やさず有効成分のみを気化させた蒸気を直接または袋に溜めて吸引する器具である。通常はTHCの気化する約170℃まで熱して蒸気を発生させる。調理用オーブン用に遥かに高い温度でも安全を保障する耐熱ラップや耐熱フィルムが開発されているため、こういった素材を使った製品では過剰に熱したり、より多くの成分を吸引しようとして長時間熱しても、プラスチックやビニール素材からくる有害成分は発生しない。
- またタールやタバコを混ぜた場合のニコチン等、植物繊維を燃やすことによる有害成分も全く発生させないので、医療目的に使用されているほか、タバコを吸えない愛好家にも好んで使われている。オランダのコーヒーショップなどでもヴェポライザはあまり普及していないが、一般的になりつつある。
- 調理して摂取する方法
- 菓子の材料に加えたり、バターや食用油やアルコールに溶かし、調理して食べることで大麻を摂取することができる。
- 大麻で作られた菓子はスペースケーキと呼ばれ喫煙と同様の酩酊作用を持つ。またインドには大麻の搾り汁をヨーグルトで割ったバング・ラッシーという飲み物がある。
- ヴェポライザーと同じようにタールによる害を避けられ、医療目的での摂取に重宝されている。しかし、調理方法や使用する大麻の量と質によって効き目が変わり、遅れて作用が得られるため、適量の判断が難しいという欠点がある。
- その他の方法
- 大麻樹脂を溶剤で溶かして、煙草に混ぜたり、煙草の紙に塗りつけたりして吸う。
- この方法に用いられる大麻樹脂の抽出物はハニー、オイルと呼ばれる。
- 大麻成分の抽出物をカプセルや錠剤、スプレーなどで経口摂取する場合もある。
人体への影響
医学的見地
詳細は「大麻の医学的研究」を参照
「医療大麻」および「大麻精神病」も参照
大麻の致死量は、カンナビノイドの含有量が品種によって違うため断定出来ないが、急性中毒による死亡はまずないと言われており、過剰摂取による死亡例の報告は無い。1977年にアメリカ大統領の諮問に対するシェーファー委員会の答申に基づいて出されたカーター教書によってマリファナの使用は精神病の原因になるとはいえないこと、個人の少量所持を刑事罰の対象から外すのが望ましいと言明された[28]。1999年、全米科学アカデミー医学研究所は煙による害を別にすれば、大麻使用による副作用は他の医薬品で許容されている副作用の範囲内にあるとしている[29][要ページ番号]。また2008年にはイギリスの研究団体ベックリー財団(英語版)も「大麻は精神及び身体を含む健康問題で良くない場合があるが、相対的な害では、それはアルコールかタバコより極めて害が少ない」とする報告書を発表した[30][31]。
近年、後述するようにイギリスやカナダのように大麻についての科学的な調査・研究、医療利用への積極的な支援を行う国が出てきており、法規制を受けることなく動物実験、臨床試験を行える研究機関、研究者も存在する。
大麻が原因と考えられる精神疾患を総称して大麻精神病と呼ぶこともあるが、大麻精神病という疾患単位は確立しておらず、WHOは「大麻精神病」という疾患は明確に定義されていないのが実情であり、さらに推定される症状も統合失調症など他のすでにある精神疾患と判別がつかないため、大麻精神病を確認するには研究による証拠の提出が必要となるとしている[32]。
社会的意見
1997年のWHOによる「カナビス:公衆衛生上の観点と調査事項 Cannabis:a health perspective and research agenda」[32]と題する大麻に関する報告がある。
大麻は低用量・中用量では交感神経系が優位になり、頻脈、心拍出量増加、血圧増加を起こす。高用量では逆に副交感神経系が優位になって、徐脈と血圧低下を起こす。さらに虚血性心疾患を起こし、わずかな労作で狭心症症状を示す頻度が増える。これは危険な症状であり、突然死の危険もある。正常な心臓を持った人にも、血管攣縮による心筋梗塞を起こすことも報告されている[33]。また、大麻使用の直後に、一過性脳虚血発作や脳卒中を起こした複数の若者の症例も報告されており、これは大麻以外の他原因による可能性が除外された症例である[34]。
日本においては財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が大麻の有害性を主張しているが、その主張は薬物標本の説明書の翻訳であり、医学的根拠が定かではない[35]。
効力の増加
現在の大麻は品種改良や栽培技術の向上によって過去に比べて効力が増加しているとする社会的意見がある。
イギリス政府は「スカンク」と呼ばれるTHCが30%を超える高効力の大麻が蔓延し、深刻な精神病に陥ると主張しているが、押収されたスカンクのTHCの平均含有率は14%であり、20%を超えたのは全体の4%のみで、30%を超えるスカンクは無かった[36]。アメリカの薬物乱用予防教育 (DARE) は「現在の大麻は30年前(1970年代)と比べて効力(THCの含有量)が20倍に増している。」と指摘しているが、2007年のホワイトハウス麻薬撲滅対策室 (ONDCP) の発表では大麻の効力は20年で2倍程度増えたとしている[37]。国立薬物乱用研究所 (NIDA) の調査 (NIDA-sponsored Marijuana Potency Monitoring System) でも連邦麻薬局 (DEA) が押収した大麻のうちTHC濃度が15%を越えていたのは10%以下で、20%以上のものはサンプル全体の2%であった[38]。2008年、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学と国立ドラッグ&アルコール研究センター (National Drug and Alcohol Research Centre) の世界中で実施された9つの研究のデータをメタ分析した研究では「社会では効力が過去よりも20~30倍も強力になってメンタル・ヘルスに悪影響を及ぼしているとする主張されているが、今回の証拠はその主張を支持していない。」としている[39]。また、ヨーロッパ麻薬監視センター (EMCDDA) の報告では効力の強い大麻が健康被害リスクを増やすとことを示す証拠はなく、個人や社会、公共の秩序又は犯罪行為など全体において効力の強い大麻が普通の大麻よりもリスクが大きいということはないとしている[40]。
カナダで医療用に発売されている大麻のTHC含有量は10~14%であり[41]、オランダの医療用大麻のBedrocanは19%である[42]。効力の強い大麻のほうが少量の吸引量で望む陶酔状態が得られるので煙の害を抑えることができるという指適がある[43]。
日本国内に古来から自生している野生の大麻や繊維などを取る目的で栽培されていた大麻のTHC成分は0.1から1.6%程度であり、もし大麻取締法を全廃して大麻を解禁したら、上記にある高濃度のTHCを含有する外国製大麻が流入することとなり、日本国内に限って言えば効力が一気に増加する結果になる。
交通事故との関係
米国においては、死者が発生した自動車事故において運転者から検出されることのある物質の1位がアルコール、2位がマリファナである[44]。大麻の影響下にある運転者の自動車事故リスクについて過去に行われた調査では、大麻の影響(典型的には運転者の血中THC濃度によって測られる)が大きいほど、自動車事故リスクが高まると報告されている。しかしながらそれらの調査においても、大麻のために上昇したとされる事故リスクは、違法運転とならない量のアルコールを摂取した場合のリスクよりも一貫して低い水準にある事が示されている[45]。
大麻を吸引すると調整能力、視標追跡能力、反応時間といった運転時に必要な能力が低下するが、大麻タバコ3分の1本以下の少量の吸引であれば運転能力に支障は見られず、かえってシラフのドライバーよりも事故を起こしにくいという研究報告がある[46]。特に近年は欧米政府機関により、同様の趣旨の報告が相次いでおり、英国運輸省による報告書[47]は「平常時とは異なるが、必ずしも事故につながる技能的な障害があるとはいえない。」としている。米国運輸省[48]やカナダ政府違法薬物委員会[49]からも同様の報告がある。また、英国国会貴族院科学技術委員会の報告書[50]では、アルコール使用者は平常時よりも危険な運転をする傾向があることに対し、マリファナ使用者は危険を回避しようと低速で注意深く運転する傾向にあり反応時間や運動能力の低下を相殺するため、直接的に事故の増加にはつながらないとしている。
大麻を多量に吸引した場合は、車線に沿って運転できない、黄色信号や不意の危険に対しての対応速度が鈍る、自分のスピードが正しく認識できないなどといった問題が発生し事故リスクが高まる。また、アルコールと大麻を併用した場合は、いずれか一方のみを使用した場合よりも事故のリスクが高くなる[46]。
踏み石論
詳細は「ゲートウェイドラッグ」を参照
日本において大麻を取り締まる大きな理由の一つに、いったん大麻を使うと他のドラッグをも使用するようになり、他の薬物への入り口となるという「踏み石理論(ゲートウェイ・ドラッグ理論)」がある。これは1950年代にアメリカの麻薬取締り機関が広めた考えであるが、近年欧米の政府機関によりこの理論についての再考察が盛んに行われている。
- 2005年のイギリス国会下院科学技術委員会の報告書は、様々なドラッグやゲートウェイ理論に関して幅広く考察しているが、この中で、イギリス国立薬物乱用センターのジョン・ストラングは、「(大麻をゲートウェイとする同じ論旨では)小学校に行くことはヘロイン中毒患者になるゲートウェイですが、そこに何らかのつながりを見出そうとは誰も思わないでしょう。」と語っている。また、薬物乱用諮問委員会会長、ロンドン大学名誉教授のマイケル・ローリンズは「若い頃のニコチンやアルコールの使用は、続く薬物の乱用に対してカナビスに比べはるかに広い入り口である。」と語っている。同報告書は、「われわれには大麻のゲートウェイ理論を支持するいかなる証拠も発見できなかった。」と結論付けている[51]。
- 2006年に発表された、米国国立ドラッグ乱用研究所 (NIDA) がピッツバーグ大学に委託をし行った研究では、224人の少年を対象に10才または12才から22才になるまでの10年間あまりを追跡調査をしている。その結果、「ドラッグ乱用を進める順序について、特定のドラッグが起点になっていることも、また決まったドラッグの次になっていることもない」 と結論付けている。この研究は、元来ゲートウェイ理論を唱えていた機関が研究の目論見と正反対の結果を見出し発表したことで注目された[52]。
- 2006年に発表されたワシントン医科大学他による、大麻や他のドラッグを使用している4000人を越えるオーストラリアの双子を対象にした大規模な研究でも、長期間の追跡調査の結果、大麻に他のドラッグの使用を引き起こすような順序関係はないと結論を出している。また、仮に何らかのゲートウェイ効果があったとしても、それは「大麻が法規制されているため、ユーザーをブラック・マーケットのディラーと結びつけ、そのディラーが他の違法ドラッグの供給源になる」ためだとしている。事実、コーヒーショップでの大麻の販売を認めたオランダでは、ヘロイン使用者数は減少傾向となっている[53]。
- 2006年のヨーロッパ・ドラッグ監視センター (EMCDDA) の報告[54]では、ドラッグの多重使用について主に使用しているドラッグ別に使用者をグループ分けをして分析した結果、大麻を主なドラッグとしたグループは他のドラッグを使うこと自体が極端に少ないことが示された。もっともこの報告書には、そもそもゲートウェイ理論という考え方自体記載されていない。ヨーロッパ全体の約3割の人々が過去に大麻を経験しており、若年層への蔓延もあいまって大麻常用者が年々増加しているものの、エクスタシー以外の他のドラッグ使用率は横ばいか下降傾向にあると示されており、ゲートウェイ理論が成り立たないことが見て取れる。
- この他、近年のアメリカ医学研究所 の報告書やオーストラリアの研究[55]、オランダの研究でもゲートウェイ理論は否定されている[56]。大麻が置かれている法的立場がこうしたゲートウェイになっているとの見解がある[57]。また、これらの研究に先立つ1997年のWHOの報告書でも、大麻使用者の大半は他の非合法な向精神薬の使用へと進まないとしている[32]。
以上の各国の政府機関による報告書などのように、近年はゲートウェイ理論を否定する報告が相次いでいる。
ゲートウェイ理論を支持する研究としては以下のようなものがある。
- 1997年のコロンビア大学薬物中毒・乱用センターの研究では大麻使用者でコカインを使ったことのある人の割合 (17%) をコカイン使用者で大麻未経験の人の割合 (0.2%) で割って算出した結果、大麻使用者がコカインを使用する確率は85倍であるとしている[58]。ただし正確に言うと、研究で明らかになった事実は「両グループの人数比は85対1であった」ということまでで、この数字だけを持って「大麻の使用がコカイン使用の確率を高める」とするのは同センター独自の理論であり、前述したジョン・ストラングの意見がちょうどこれへの反論になっている。例えば「大麻使用」を「小学校への通学」というありふれた経験に置き換え、「小学校への通学経験が有りコカインの使用経験も有る者」と「コカインの使用経験が有り小学校への通学経験が無い者」のグループを作った場合でも、その人数の比は相当に大きくなる筈である。これに同センターの論理をそのまま当てはめると「小学校への通学はコカイン使用の確率を高める」という結論になる。
- アメリカ麻薬取締局 (DEA) が、ウェブサイト等で行っている主張では、大麻使用者がコカインを使用する確率は通常の104倍[59]であるとし、大麻をゲートウェイドラッグと位置づけている。DEAのこの主張の引用元は、国立ドラッグ乱用研究所 (NIDA) が、上記同研究所による最新の研究より30年前の1975年に行った研究を元にした記述[60]であるが、そこには104倍という具体的な数字はなく「非常に大きい (much greater)」と書かれている。
このほか、近年ゲートウェイ理論を否定した上記研究機関が1970年代~1990年代に行った研究にも同様にゲートウェイ理論を裏付けているとするものがあり、ゲートウェイ理論を論じる場合には、同機関による最新の研究が存在するかどうかに留意する必要がある。
科学者のカール・セーガンは、大麻に関する統計資料のほとんどが有害が前提とされる統計手法か、意図的に数字を改竄した資料も存在し、科学的検証に耐えられないデータばかりが媒体で取り上げられ「有害である」と喧伝されていると主張している[61]。
薬物検査(ドラッグテスト)
大麻の検査方法は尿・血液・毛髪・唾液と4つの検査方法がある。主には尿検査で行われることが多く、大麻成分の検出期間は使用頻度に比例して、最低で48から72時間、最大で12週間は検出可能とされている。また、簡易検査(スクリーニング・テスト)と精密検査がある。簡易検査では扱いが容易で安価な酵素増倍免疫測定法 (EMIT) が用いられ、陽性闘値は50ng/mlと高く設けられている。精密検査ではガスクロマトグラフィーと質量分析 (GCMS) による検査が1日から数日間掛けて行われ、陽性闘値は15ng/mlと低い数値でも陽性と判断することが可能である。大麻陽性反応は医薬品のドロナビノール(マリノール)を服用していた場合でも出る。
アメリカでは、連邦政府が強制的な実施指導方針を職場の薬物検査に設けており、検査の実施場所や担当係員、実施方法などについて詳細に定めている[62]。現在、日本では薬物検査の方法に対して法律などによる規定はない。
近年、尿の簡易検査薬の大半が誤って陽性反応を示すなどの欠陥が指摘されている[63]。
日本の状況
- 概要
- 日本国内で栽培される大麻(アサ)はほとんどが栃木県産で、その用途は主に麻糸・麻布であり、他に日用品(衣類)、神事(注連縄等)、漁具(魚網、舫)、麻幹(おがら)として使用されている。栽培されている大麻はトチギシロ(栃木白)というTHCをほとんど含んでいないとされている改良品種である。栃木県はトチギシロの種子の県外持ち出しを禁止している。麻の特産品として美濃麻、木曾麻、岡地苧、鹿沼麻、雫石麻、上州苧などがある。
- 大麻草は現在でも雑草に混じって普通に自生している。自生している大麻草そのものは自然物であるため、法的に違法物という訳ではないが[64]、それを葉1枚であっても許可無く採取することは大麻取締法による違法行為にあたる。警察は大麻が自生している土地の所有者に除草を呼びかけているが、大麻は自生力が強く広範囲に自生し焼却するにも燃料のコストと失火の危険が伴うことから完全な根絶は難しい。また、大麻は北海道に限らず、日本各地に自生しており、毎年、各地域の保健所や自治体によって自生大麻の刈り取りなどの撲滅活動を行っている。その弊害としてアサカミキリといった昆虫が環境省の準絶滅危惧種に指定されるなど生態系に影響を及ぼしている。
- 太平洋戦争以前
- 日本においての麻はかつて、繊維素材の他、種を食用にしたりと、種をまけば勝手に自生し肥料や間引きなどの手間のかからない一年草で「農作物としての」大麻は一部の貧農にとって主要な収入源であった。過去、北海道で大麻は軍需品の一つとして栽培されていた。歳入財源のため、1873年に明治政府はビール、ワインの造酒、(北海道の気候・風土に合った)小麦、蚕製糸、亜麻とともに大麻の作付けを、屯田兵による北海道開拓事業の一環として行った[要出典]。1887年に北海道製麻株式会社(後の帝国製麻株式会社)が設立。明治時代にはぜんそくの治療品として「ぜんそくたばこ印度大麻草」名で販売されてもいた。
- GHQ
- 戦後、GHQの政策により法律の中に大麻栽培の罰則が設けられる。(当時の)アメリカにおける大麻吸引禍の問題をそのまま日本の法律に盛り込んだが、麻の栽培で副収入を得ていた小作農は猛反発し、アメリカでの大麻吸引による社会的問題に至るまでの経緯など知りえなかった日本政府は小作農からの突き上げと、GHQによる突然の達しに板ばさみになり、第7回衆議院厚生委員会において答弁に窮する場面もみられた。その後、綿やジュート、化学製品が広く流通、商品販売されるにつれ麻繊維の需要は急激に落ち込んだ上に、戦後の食料難という事情も重なり、麻の栽培はほぼ途絶えることになる。
- 現在においても「大麻吸引でアルコール売り上げ低下を危惧する酒造メーカーのロビー活動で大麻取締法は守られている」という説があるが、大麻は吸引できる嗜好品という習慣などなかった日本において、当時日本全国で自生していた大麻が煙草の代用品となることもなかった。
- 大麻吸引を持ち込んだのは在日米軍基地で働いていたジャズ奏者やMPなどで、その者らの間で嗜好されていたものが徐々に日本人の間にも伝播した。
- ベトナム戦争
- 敗戦後の好景気を経てアメリカでのヒッピームーヴメントに触発される形で日本でフォークミュージックが流行。ベトナム戦争反対、世界平和の機運が盛り上がる最中、反戦ツールの一つとして大麻吸引が流行として広がり、大麻の吸引、所持、販売で逮捕、検挙が増えるにつれ社会問題として扱われるようになる。
- 1980年代以降
- 1980年代以降も無免許栽培や違法販売、外国からの密輸入は途絶えていない。室内での栽培技術が進歩した。芸能人、スポーツ選手、公務員の逮捕も後を絶たない。
乱用問題
近年、興味本位等安易な動機により大麻吸引目的での栽培に至る例が後を絶たない。
薬物事犯の件数と人数[65][66]
|
大麻 |
覚せい剤 |
向精神薬 |
あへん |
平成15年 |
2,772件(2,032人) |
20,129件(14,624人) |
952件(465人) |
84件(50人) |
平成16年 |
3,018件(2,209人) |
17,699件(12,220人) |
1,156件(560人) |
80件(59人) |
平成17年 |
2,831件(1,941人) |
19,999件(13,346人) |
1,154件(504人) |
31件(12人) |
平成18年 |
3,252件(2,288人) |
17,226件(11,606人) |
1,133件(519人) |
50件(27人) |
平成19年 |
3,282件(2,271人) |
16,929件(12,009人) |
1,088件(469人) |
57件(41人) |
平成20年 |
3,832件(2,778人) |
15,840件(11,041人) |
1,106件(493人) |
19件(14人) |
学校
2007年には関東学院大学ラグビー部学生寮において同部員による種子(原産地は不明)からの栽培が摘発され、2名の逮捕・起訴者に加え、部員計12名が書類送検となる不祥事が起きた(ただし起訴された2名を除き、吸引のみの部員12名は不起訴処分)。また、2010年には九州看護福祉大学の鍼灸スポーツ科の助教が大麻取締法違反で逮捕されている。
相撲界
角界においては2008年8月にロシア出身の若ノ鵬が大麻所持で逮捕され、9月には麻薬の簡易検査[67](陽性闘値50ng/ml)で同じロシア出身の 露鵬、白露山の2人と日本人力士の1人から大麻の疑陽性反応が出た。露鵬と白露山は精密検査(陽性闘値15ng/ml)においても陽性反応が出たため、解雇処分となった。日本人力士は3回目の簡易検査において陰性反応が出たため、その検体(尿)や検査結果などの資料を破棄。精密検査を受けることはなく、処分はなかった[68]。これらのことを受け、日本相撲協会では薬物検査により、大麻陽性の力士は解雇処分にする方針をとっている[69]。これに対して、検査方法の不備と受動喫煙や飲食物に混入されて無意識に摂取してしまった場合などに不考慮であるとして、この動きを懸念する意見もある[70][71]。2009年1月には若麒麟が知人と共に逮捕された。
自衛隊
2007年2月9日には陸上自衛隊第1普通科連隊で、2008年11月には第2師団で、2009年2月には海上自衛隊大湊地方隊(基地業務隊)で、自衛官の大麻所持が発覚し逮捕された。
その他
2008年には、群馬県のレイブパーティーにおいて、大麻や合成麻薬などで15人の逮捕者が出た[72][73]。また、大学生の間で大麻を所持して逮捕される例が相次ぎ、年間で2,778人が検挙され、その90.6%が初犯であった[66]。
乱用の背景
大麻事犯増加の背景として、大麻の栽培が簡易であることや、大麻は古くから日本各地で栽培され、野生化していた上に、旧日本軍が第二次世界大戦前より軍需品生産を目的として長野県や北海道などで生産を推奨したため、第二次世界大戦後の大麻取締法の制定後も、北海道[74]、長野、東北地方などに自生している。そのため、行政が駆除しているが、生命力が強く、駆除は困難である。自生大麻の多い北海道では行政主導のもと撲滅運動を行っている。これら野生化した地域では違法取引価格が他の地域より破格に安価であったり、採取が可能なことから、大麻事犯の増加の一因と指摘されている。そのほかにインターネットの普及で栽培方法を知ったり、ネット通販で観賞用としての名目で、大麻の種や栽培・吸引用具が販売されていることも挙げられる。
また、覚せい剤事犯の減少によって取り締まりの矛先が大麻事犯へ向けられていることが大麻事犯の検挙数増加の一因となっているという見方がある[75]。
2008年、乾燥大麻の押収量389.9kgのうち73.9kgは密輸入されたものである。乾燥大麻の仕出地は南アフリカからの密輸入量の33.9kgが最も多く、密輸入事犯(47件)の仕出地ではアメリカの13件に次いでタイの9件が多くなっている[66]。
2008年にコアマガジン社が、大麻栽培方法を紹介した雑誌を出版し、問題となった。東京都は同年3月に、都の青少年健全育成条例に基づき、この雑誌を、18歳未満が閲覧できない有害図書に指定、同社に対しても処分を行った。同社はその後も、同年12月に類似した内容の雑誌を出版した。都は再び厳重注意としたが、流通禁止措置には踏み切らなかった。この雑誌は都の指導後もインターネットなどで流通していたが[76]、現在は廃刊となっている。
法規制
日本における法規制
「大麻取締法」も参照
日本では、大麻は大麻取締法による規制を受ける。大麻があへん同様、麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)とは別の法律で規制されているのは、不法製造者の職種が異なり、取締りの完璧を期するためである[77]。ただし、麻薬及び向精神薬取締法においては、大麻の慢性中毒を、他の麻薬の慢性中毒と同じく麻薬中毒といい、同様に扱っている。さらに、麻薬特例法においても、規制薬物と規定されている。
規制対象
日本の大麻取締法は、大麻を「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」と規定している(同法1条)。
種の学名「カンナビス・サティヴァ・エル (Cannabis sativa L.)」を用いて定義しているため、亜種ないし品種である、サティヴァ種 (Cannabis sativa subsp. sativa var. sativa)・インディカ種 (Cannabis sativa subsp. indica)・ルデラリス種 (Cannabis sativa subsp. sativa var. spontanea) すべてが、規制対象となる。アサ科アサ属(カンナビス属)の植物は、カンナビス・サティヴァ・エル1種のみであるので、大麻取締法1条にいう「大麻草(カンナビス・サティヴァ・エル)」とは、カンナビス属に属する植物すべてを含む[78]。
大麻種子は調味料や鳥の餌などで普及しており、規制が難しく取り締まりの対象とされていない。関税法では発芽防止の熱処理されていない大麻種子は輸入規制されている。また大麻の吸引自体は、法律違反ではない。これは揮発した大麻成分を自然摂取してしまう麻農家や同法制定までは麻が燃やされていた護摩炊き、お盆の迎え火や野焼きなどによる受動喫煙、飲食物に混入されてしまった場合などを考慮したものであるとされる。
免許制
大麻取締法により、大麻(大麻草及び大麻製品)の所持・栽培・輸出入は、免許制となっている。すなわち、繊維若しくは種子を採取する目的で大麻草を栽培しようとする場合は、都道府県知事の大麻栽培者免許が必要であり、研究目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用しようとする場合は大麻研究者免許若しくは薬剤師免許が必要である(同法2条、3条)。また、免許を受けた大麻研究者が大麻を輸出又は輸入しようとするときは、厚生労働大臣の許可が必要である(同法4条1項1号)。
日本では大麻栽培に免許制度を採用しており、産業的栽培は法的に可能である。しかし、厚生労働省は新規の免許交付については、単に農作物として出荷する目的での栽培を認めるわけではなく、「その栽培目的が伝統文化の継承や一般に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合」に限るとしており[79]、事実上、ほとんど認めない方針を取っている。
また、栽培中にその成分を自然吸引することになるため、使用の有無にかかわらず身体から大麻反応が出ても、免許保持者は罰せられることはない。
罰則
無免許ないし無許可で栽培又は輸出入をした場合は、7年以下の懲役が科せられる(同法24条1項)。営利目的の場合は10年以下の懲役(又は情状によりこれに300万円以下の罰金が併科される)である(同条2項)。大麻の不法所持、譲渡・譲受けは5年以下の懲役である(同法24条の2第1項)。営利目的の場合は7年以下の懲役(又は情状によりこれに200万円以下の罰金が併科される)である(同条2項)[80]。
大麻の栽培又は輸出入については予備罪も処罰され(同法24条の4)、栽培、輸出入、所持、譲渡・譲受けともに未遂も処罰される(同法24条3項、24条の2第3項)。さらに犯人が所有し又は所持する大麻は没収(必要的没収)されるほか(同法24条の5第1項)、大麻の運搬に使用された艦船、航空機又は車両は没収(任意的没収)することができるとされる(同条2項)。
大麻の輸入・輸出・栽培・譲渡し・譲受け・所持等の罪は、刑法2条に従い、国外犯も処罰対象である(24条の8)から、外国で大麻を所持した日本人はもちろんのこと、例えばカリフォルニア州で医療用大麻を所持したアメリカ人(連邦法では非合法)、所持が合法のワシントン州で大麻を譲り受け所持したアメリカ人(同じく連邦法では非合法)、コーヒーショップで大麻を譲り受けたオランダ人なども理論的には処罰の対象となる。
昭和27年から29年にかけて占領法制の再検討、行政事務の整理簡素化という趣旨で法令整理が行われたときには大麻取締法の廃止が検討されたが、見送られることになった経緯がある[81]。
コントロールド・デリバリー
麻薬特例法(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)にはコントロールド・デリバリー(制御下配送、いわゆる「泳がせ捜査」)の規定があり、大麻の輸出入をしようとした場合、税関で判明しても即座に検挙せずにいったん通関させ、配送先・配送元の情報を入手したり、組織的な薬物取引を一斉検挙することが行われている。
大麻規制に対する賛否
大きく二分でき、「現状の大麻に対する規制に賛成する人・現状より強化することを求める人々」と「現状の規制の緩和・撤廃を求める人々」がいる。
- 規制維持・強化を求める人々
- 規制維持・強化を求める人々は行政機関や教育関係者、就学児童の保護者、大麻の害を懸念する立場の医療関係者、大麻の使用に倫理的な問題があると考える人が主になっている。
- 規制維持・強化を求める人々の多くは、大麻と覚醒剤などのハードドラッグを分類する必要性を感じていない。これは、現行法である薬物四法(麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、覚せい剤取締法、あへん法)の存在を基本とする立場である。
- また禁止薬物の使用は、正当な法改正運動と異なり、現行法に対する反抗で反社会的な傾向があるため、使用者に対しては特に彼らの主張を受け入れる必要はないと考える。
- 彼らは、大麻が生産国の反政府ゲリラやテロ組織、暴力団の資金源となることを理由として挙げている。
- 規制緩和・撤廃派のソフトドラッグ・ハードドラッグの分類論を背景とした「ソフトドラッグである大麻の規制を緩和・撤廃することにより、ハードドラッグの使用者減少のメリットを訴える主張」に対し、彼らは、そもそも日本とオランダ(ソフトドラッグ分類論発祥の国)やEUでは薬物汚染人口が全く異なるので、ソフトドラッグ理論は当てはまらないとの反論をする。また、仮にその理論を日本に当てはめるとしても、(薬物汚染が比較的進んでいない)日本の現状を踏まえれば、大麻の使用が薬物使用の入り口となり覚醒剤などのハードドラッグの使用へとつながる可能性があるとして反論する(詳しくは、ゲートウェイドラッグを参照)。
- またこれらの麻薬は労働意欲を低減させると考えられる。
- 各自治体では、大麻使用を戒めるポスターの配布や学校への巡回講演を行って、特にドラッグの誘惑を受けやすい児童に対して、この危険性を訴えている。ポスターは学校に限らず、住居地区の掲示板、駅、公共施設、娯楽施設、商業施設など人目に付く所の多くに掲示されている。
- 規制緩和・撤廃を求める人々
- 規制緩和・撤廃を求める人々には、規制が緩和されている国・地域に渡航し実際に大麻を摂取し、その結果をよいものと捉えた人々が含まれている(補足:使用以外の国外犯は、大麻取締法24条の8により違法行為である)。また、違法に大麻を所持している者、使用している者も含まれる。かつてのヒッピー文化やある種のアンダーグラウンドなサブカルチャーに属する人も関連している(俗に、ファッション感覚・ファッション大麻)。大麻を医療用として用いることを目的としている病人や医師、薬剤師、薬学者など、産業用資源として大麻に注目する農業関係者、エコロジー製品関係者も含まれている。また、大麻が害が比較的低いと考える立場の者は、医療的価値もあるものに対して、一切の使用を認めず刑事罰を科すことは倫理的に問題がある、と考える者がいる。薬物としての依存性や毒性がタバコや酒以下でありさほど社会に悪影響をおよぼさないという前提の中、自らの健康被害のリスクは個人の自己決定権の範疇にあり、国家が個人の自己決定権に刑罰でもって過剰に介入するパターナリズムに批判的な立場から大麻取締法撤廃を支持する意見もある。また民族主義者の一部には、大麻取締法が日本国憲法と同様に日本の産業や伝統文化を破壊するために占領下にGHQより押し付けられた法律であり、神道や皇室の伝統行事を冒涜するものだと考える者も存在する。
- 規制緩和・撤廃を求める人々の多くは、大麻と覚醒剤などのハードドラッグを分け、覚醒剤などのハードドラッグの規制を認めている。両者を区別する考え方は、オランダの薬物政策から引用されたものである。(近年、犯罪の増加からオランダでも規制の向きがある)
- 彼らは、頻繁に「規制を緩和させた一部国家の、一部地域の法令」や「日本国外における一部の研究機関での肯定的な研究結果」を引用する。しかし、海外と日本との安直な比較は、必ずしも正確ではないことに注意が必要である。例えば、頻繁に引用されるEU各国の現状では、大麻の生涯使用者(今までに1回でも使用したことのある人)が7100万人で、欧州人口の22%にのぼっている(2008年度EMCDDA調査より[82])。つまり、日本とEUとでは大麻容認の進行具合が異なり、そのような背景を考慮することなくEUの法令や研究データを引用することには無理があるとして批判を受ける[要出典]。
- 彼らは、「大麻を合法化することが暴力団などの非社会的組織の大麻による資金源を断ち、そうした組織との接触がなくなることでハードドラッグの蔓延を防ぐ」とも主張する。
- 彼らは許容を求める理由として、同じく人体に対する有害性があるのに国内法で合法として扱われるタバコや酒との比較を用い、法の矛盾を指摘する。また、日本国外で「大麻はアルコールやタバコより毒性が低い」とする論文・研究報告が現在までに複数発表されていることを理由に挙げる者もいる。(一方、それら論文の多くがWHOから「恣意的内容が多い」と否定されている。論文「A comparative appraisal of the health and psychological consequences of alcohol, cannabis, nicotine and opiate use」はWHOによると、「矛盾に満ち」「非科学的である」とされている。)[要出典]
- 彼らは、大麻の医薬的有効性も併せて主張する。ただ、これは医療大麻の問題であり、趣味快楽嗜好を目的とした嗜好品としての問題とは切り離して考えるべき問題である[要出典](詳しくは医療大麻の項参照)。医療大麻としての有効性を示す証拠は、肯定的な報告と否定的な報告が入り混じっている。規制緩和・撤廃を求める人々は、科学的で客観的な調査研究を行った上で、論争に合理的な決着をつけることを望んでいる。しかし、日本国内では所持自体が大麻取締法により違法行為であり、医療大麻に関して研究自体が許されない状況にある。日本国外では、一部研究機関において臨床試験を含む科学的な研究が行われている[83][84][85][86]。日本国外では、規制側がそのような客観的な基礎データの蓄積に繋がる研究すらも行わせないような圧力をかけてきた経緯がある[87]。
- 規制緩和派は草の根的なネットワークを通じ、印刷物の配布、学習会、メールマガジン、イベントの開催などを行い、大麻と他のドラッグが違うことを訴え、処罰の軽減や制限付きでの所持許可を求めている。
- その他
- 既述の通り、神道(神社本庁)では、古来より「麻」を神聖な物として特別視してきており、現在でも伊勢神宮などでは、神札を「大麻」若しくは「神宮大麻」と呼んでいる。しかし一般人にとっては「大麻」と言えば麻薬を連想してしまうとして、神社界の一部より「大麻取締法」を「マリファナ等の取り締まりに関する法律」といった名称に変更して欲しい、という声が出ている。
各国・地域の大麻政策
世界の大麻所持に関する法規制(少量所持)
合法/一部合法
非犯罪化
非合法だが非強制施行
非合法
不明
1990年、国連総会決議45/179に基づき設置された国連薬物犯罪事務所 (UNODC) と、その機関の国連薬物統制計画 (UNDCP) によって大麻は不正薬物に指定されており、国際的に問題視されている。
今日では、多くの国が大麻に関して原則的に規制をする法律を規定している。これらの法律は、国連の麻薬に関する国際3条約(1961年「麻薬に関する単一条約」/1971年「向精神薬に関する条約」/1988年「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」)を批准するに先立ち、国内法を整備するものでどの国でも同程度の規制を整えている(北朝鮮でさえ2007年に同3条約を批准している)。ただし、条約批准国の中には、一部の国の一部地区において、使用形態・使用用途などを絞って、例外的に許可される場合が存在する。
先進国の多くの国では、個人使用目的の大麻少量所持は事実上黙認されており、大麻の所持や栽培について、少量所持であっても最低刑を懲役刑と定めているのはG8各国中で日本だけである[88]。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国の各州における大麻の法律地図
医療用大麻が合法の州
大麻所持が非犯罪化されている州*
医療用と非犯罪化の両方該当する州
大麻が合法化されている州
カリフォルニア州で医療麻薬が許可されている地区
カリフォルニア州で医療麻薬が許可されていない地区
アメリカ合衆国議会が定める連邦法の規制物質法では、少量の所持であっても違法であるのであるが、1977年にアメリカ大統領の諮問に対するシェーファー委員会の答申に基づいて出されたカーター教書によってマリファナの使用は精神病の原因になるとはいえないこと、個人の少量所持を刑事罰の対象から外すのが望ましいと言明された[89]。その後個人の少量所持に対しては州によっては非犯罪化が進んだ。大麻は規制物質法の中で、「スケジュールI」に分類される。スケジュールI物質は、処方箋に書かれることがない。スケジュールI物質は、麻薬取締局による製造割り当てにより製造が制約される。と定められ、DEAによって厳格に取り締まりを受ける。
州による法の運用は、多くの州が規制物質法に従って執行している。ただ、一部の州(50州中のうち13州)では、自己使用目的の少量(1オンス=約28g以下)の所持が罰金刑などに指定される場合がある[90]。もちろん、これらの13州でも「1オンスを超える量の所持」「大麻樹の所持」「大麻の栽培」「大麻の販売・輸送・配布」「所持量にかかわらず、販売目的での所持」などは重罪であり、懲役刑が科される。
2012年11月6日、ワシントン州にて大統領選挙に合わせて住民投票が行われ、同年12月6日、米国で初めて嗜好用マリファナ(乾燥大麻)の私的使用が合法化された。新法では、21歳以上に最高1オンスのマリファナ所持が認められている[91]。合法的に販売されるマリファナには25%の税金が州より課せられる[92]。
コロラド州でも同様に11月6日に住民投票が行われ、合法化が可決された。翌年1月5日から新法は施行され、[91]州内の住民であれば1回当たり最大1オンス(約28グラム)まで、州外の住民であれば4分の1オンスまでの購入ができるようになった。現在の店頭価格は1オンス当たり400ドル~500ドルで、密売されていた当時の末端価格の4~5倍の値がついている[93]。
オレゴン州でも同様に11月6日に住民投票が行われたが、反対55%、賛成45%で合法化が否決されている[91]。
2013年9月8日、アメリカは、マリファナを習慣的に使用している12歳以上のアメリカ人は、全体の12.7%になるとの調査結果を発表した。エリック・ハンプトン・ホルダー司法長官は、児童をマリファナから遠ざける州法の整備を条件に、マリファナを合法化する州で吸引した場合、連邦法の罰則の対象にしないとの方針を表明した[94]。
- アメリカにおける医療大麻
詳細は「医療大麻#アメリカ合衆国」を参照
- 連邦法である規制物質法では、医療大麻の合成THC(商品名マリノール)を、「スケジュールIII」に分類している。スケジュールIII物質は医師による処方が許容される場合がある。ただし、当局はスケジュールIII物質についても「濫用の危険性」を認めており、安全性を保障するものではない。さらに、食品医薬品局 (FDA)[95] と麻薬取締局 (DEA)[96] は「大麻には医療価値はない」との見解を示している。
- アメリカでは各州議会が定める州法「医療大麻法」により、この医療大麻について、医師の推薦や許可が得られる場合に限って、大麻を所持・栽培できる州がいくつか存在する。ただし、どの州も患者による大麻の販売(転売)や配布は違法行為である。医療大麻法は1996年にカリフォルニア州で執行されたのを皮切りにして、現在までに50州のうち、14州に存在する[97]。
EU
欧州でも法文上は、日本の大麻取締法と同程度の厳しい罰則が、輸出・輸入、栽培・販売・輸送・製造、営利目的での栽培・販売・輸送・製造、所持などの行為に科せられている。EUのほとんどの国が、国連の麻薬に関する国際3条約を批准しており、批准に先立って国内法改正により同条約に準拠した罰則を整備することが求められることから、共通の規正法が存在している。また、1999年のアムステルダム条約発行後は、麻薬の売買などの犯罪対策がEUレベルで可能となり、警察・刑事司法協力が実現している。
ただ罰則があるのにもかかわらず、EUでの薬物犯罪は後を絶たない。その中でも大麻は特に使用者が多く、2008年度のEMCDDAの調査[98]によれば、欧州成人における大麻の生涯使用者(今までに1回でも使用したことのある者)は7100万人で、欧州人口の22%にのぼっている。過去1年以内の使用者は、2300万人。過去1月以内の使用者は1200万人。このような大量の薬物使用者が存在する現状に、警察・司法が犯罪撲滅に追いつけない現状にある。
欧州では、繊維利用を目的とし品種改良したアサを、伝統的な呼び名であるヘンプ (hemp) とし、ドラッグとしてのイメージが強いマリファナ、カナビス (cannabis) と区別している。繊維利用を許可するために、陶酔成分0.2%以下のアサの栽培を許可制ないし届出制としている国がある。陶酔成分量0.2%は、自生する麻の陶酔成分量(1%~20%)のものよりも格段に少なく、事実上、ドラッグ目的への不正転用は不可能である。
EUでは、大麻を医療目的に使用することに関して様々な研究をしている(医療大麻のページ参照)。また、EUの一部には大麻犯罪につき寛容な政策を採用している国が存在する(詳細は各国の記述を参照)。
- オランダ
詳細は「オランダの薬物政策」を参照
- オランダでは、大麻などのソフトドラッグ使用者が多く、ソフトドラッグを完全追放できないと考える。これを禁止法で抑えつければ、ソフトドラッグがハードドラッグと同じ闇市場に出回る結果、ソフトドラッグ使用者がハードドラッグ使用に走る機会を増し、薬物による害を増やすことになる。それよりは、行政がしっかり管理できる施設にのみ一定条件下でソフトドラッグ販売を許可し、ソフトドラッグ市場とハードドラッグ市場を完全に分離し、ハードドラッグが入ってこないようにソフトドラッグ市場を限定して厳格に管理したほうが薬物による害は少なくなる(ハーム・リダクション)、と考える。
- 深刻な薬物汚染という国の事情から、地方自治体は個人使用のための大麻を販売する小売店コーヒーショップを許可する権限を持つ。オランダ国内法では、個人使用のための製造及び所持も違法行為であるため、地方自治体が許可するコーヒーショップは矛盾を抱えた存在である。
- 矛盾を根源的に解消できる策(法改正等)ではないが、オランダ法務省は1996年から「ソフトドラッグに関する寛容政策 (Gedoogbeleid)」というガイドラインを適用している。オランダでは法の刑罰に優先順位を付けており、「個人使用目的とした5グラム以下のソフトドラッグ所持」と「個人使用目的とした0.5グラム以下のハードドラッグ所持」は優先順位が低い。そのため、これらの罪は通常、起訴が猶予される。違法行為ではあるものの、深刻な薬物汚染のために警察・司法の人員の配分を後を絶たない薬物犯罪にあてずに済むようにするためのやむを得ない処置である。ただし、ガイドラインは法の執行基準であるため、これに反して起訴が為されたとしても、ガイドラインを根拠に無罪にはならない。違法行為であることには変わらないのである。
- このような法令と法執行基準が明らかに矛盾した状況には、地方政府からも批判の声が上がっている。2005年、国境の町であるマーストリヒトの市長ヘルト・レールス (Gerd Leers) は現在の政策を矛盾していると批判した。大麻の小売と所持を認可する一方、栽培および卸を不認可することにより、政府は治安と犯罪からなる多くの問題を作り出していると、市長は主張している。かつ、栽培の合法化及び調整をするか、又は、完全な抑制をするか、のどちらか一方に切り替えて欲しいと主張している。レールスの主張は地方自治体からの支持を集め、栽培問題を再び議題に呼び戻した。
- オランダの薬物政策において、法改正による一部薬物の完全合法化という道を、オランダはとることができない。オランダは1961年「麻薬に関する単一条約」、1971年「向精神薬に関する条約」及び1988年「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」の条約国である。このような規制に関する国際条約を締結している以上、法改正により規制を緩和する処置を採ることは条約違反となるため、選択肢として現実的ではない。このことも、法令と法執行に大きな矛盾を抱える一因となっている。
- 近年、オランダ議会において法令自体を根源的に見直す動きが起こり、各自治体や国民は関心を寄せている。2008年11月、オランダの政権与党第一党キリスト教民主連盟(CDA/41議席)はソフトドラッグの販売禁止を提案した。ピーター・ファン・ヘールは「ソフトドラッグを販売するコーヒーショップの全面閉鎖」を主張。連立与党第三党のキリスト教連盟党(CU/6議席)もこれを支持した。これに対し、連立与党第2党の労働党(PvdA/33議席)は反対を表明した[99][100]。
- オランダの大麻寛容政策は、その歴史の中で何度も議論が起こり、各党の政治方針の違いが衝突することも多く、政府の見解もぶれ続けてきたが、欧州で深刻だったヘロイン中毒患者を実際に減少させ続けるなど、実績を示したため麻薬政策の先進地・テストケースとして各国に注目されてきた[要出典]。2011年オランダ政府はスカンク等、THCを15%以上含む向精神作用の強い大麻をハードドラッグとして指定。大麻規制が強化された[101]。
- イギリス
- 2004年に大麻の違法薬物としての分類が下げられ個人使用量相当の所持は取り締まりの対象外である。イギリスにおいて大麻は、1971年薬物乱用法 (Misuse of Drugs Act 1971) のもとでクラスB(アンフェタミンなどと同等)に分類されていた。薬物乱用法において指定されている薬物の所持及び供給は犯罪であり、刑罰の対象であった。1984年警察及び犯罪証拠法 (Police and Criminal Evidence Act 1984) において警察の捜査権限は制限され、警察の無令状での逮捕を制限する概念「逮捕できる罪状 (Arrestable offence)」が導入された。これにより、クラスC薬物の所持は「逮捕できる罪状」ではなくなったが、クラスB薬物である大麻の所持は依然「逮捕できる罪状」であった。2001年、トニー・ブレアの労働党政権下で内務大臣であったデヴィッド・ブランケットは、大麻をクラスBからクラスCに変更する可能性を発表した。この活動は、当時、保守党の政治家デービッド・キャメロンにより支持された。2004年に大麻はクラスC薬物となり、所持は「逮捕できる罪状」ではなくなり、大麻の所持は違法ではあるものの非刑罰化された。この変更は、警察当局がその他の犯罪に人的資源を注力できるように計画されていた。オランダ式のコーヒーショップを確立する為の幾つかの案などが、この変更に際して提案されていたが、それらの大部分は廃案となった。
- 大麻の有害性の知識を国民に広めるキャンペーン(「率直」戦略、FRANK campaign)が始められた。イギリスでは大麻の蔓延が大きな社会問題であるため、2006年に政府の専門委員会が大麻に関する科学的論文を総覧し、その影響について結論した。その結論は、「大麻は有害である。大麻を摂取すれば、広範囲な肉体的・精神的危険にさらされる。」という一文で始まる。しかし「大麻は疑いなく有害だが、クラスBの薬物(非注射のアンフェタミン等)に匹敵する危険はない」とも明言している[要出典]。大麻の有害性を教育現場や一般向けに周知させる政策が2006年からとられることとなった[要出典]。また、同年にリチャード・カボーン前スポーツ担当大臣はロンドンオリンピックでの大麻容認を訴えた[102]。2009年、政府は高濃度のTHCを含む『スカンク』の蔓延、大麻による精神疾患への懸念を理由に、大麻は危険麻薬に再度指定され、クラスCからクラスBに格上げされた[103]。この格上げは、大麻と精神病の関係を示すエビデンスが弱く、クラスCに据え置くべきとする薬物乱用諮問協議会 (ACMD) の勧告[104]を押し切った形で執行された[105]。
- ドイツ
-
- 大麻の不法所持は違法であり、罰金及び禁固刑で罰せられる。ただし、警察または検察が公共の重要性がないと判断、あるいは麻薬をわずかな個人使用量だけ所持・栽培している場合、行為者の罪がわずかだと認められれば、検察は起訴しなくとも良いとされている[106]。
- 合成THCを含有する医薬品ドロナビノールは1998年から認可されている。[要出典]
- ベルギー
-
- 少量所持を許容する法案が可決されたものの、運用方法の曖昧さにより裁判所で却下され、現在国会で条文が再検討されている。条文が再可決されるまでの暫定的なガイドラインとして、少量所持が発覚した場合は口頭注意にとどめ、大麻そのものの没収はしないよう通達されている[要出典]。
- イタリア
-
- 最高裁はラスタファリアンの大麻の所持を認める判決を出している[107]。
- ポルトガル
-
- ポルトガルでは2001年に大麻及びその他の軽微なドラッグ(ヘロインやコカインなど)を非犯罪化している。ケイトー研究所の調査では、この非犯罪化政策はドラッグ問題の管理や関連する分野で改善されており、政策を成功としている[108]。
- スペイン
- 現在個人の大麻の使用は合法であるが販売については規制対象である。また2006年以降、種子の販売が合法化され、個人栽培が盛んになっている。1990年代終わりから2000年代初頭に医療大麻の非犯罪化が推進された。2001年にカタロニア地方議会が全会一致で医療大麻の合法化を議決したのを皮切りにアラゴン州やバレアリック諸島等でも合法化され、マドリード大学やバルセロナ大学などで医療分野の研究が盛んに行われている。また1991年に非営利で会員に大麻を譲渡する最初の大麻クラブが設立され、現在ではスペイン全土にひろがっている。しかしこれらのクラブが法律に抵触するのかどうかについては議論が続いており、2000年代に幾度か行われたクラブのオーナーに対して行われた裁判ではそれぞれ矛盾した判決があったが、近年ではこうした大麻クラブに対しても取締りが緩和される傾向にある。2006年~2007年には、複数のクラブが大麻の販売で訴追されたが、被告のクラブメンバー等が無罪を勝ち取り、没収された収穫を警察が返納するという判例が出ている。
- チェコ共和国
- 2010年より、個人使用目的の大麻草5本以下の所持は駐車違反程度の罰則となった[109]。
- デンマーク
- コペンハーゲンにあるクリスチャニアでは使用されている。
ロシア
医療目的の所持・使用を容認[要出典]。大麻所持20グラム以下の場合は、4000ルーブル以下の罰金か地域奉仕の処罰、20グラム以上は禁固刑となる[110]。
カナダ
医療目的の大麻栽培、所持、使用は合法化されており、カナダ保健省では処方箋のある患者への販売も実施している。また、世界で初めて医療大麻使用者に対する医療費控除制度も導入した。
裁判所は大麻禁止法に違憲判決を出している[111]。
イスラエル
2007年から保健省の認可を受けることで医療大麻の使用が可能になった[112]。
ウルグアイ
2013年12月10日、政府の監視の下でマリフアナの生産・流通・販売を認める世界初の国となった、国際麻薬統制委員会は11日、同国の決定は国際法違反と警告した[113]。
ブラジル
大麻の少量の個人使用目的での取得、所持、保管、輸送、携行で逮捕の対象とされない。が、社会奉仕命令や薬物講習への参加などの代替刑が科され、それに従わない場合は罰金刑が科される[114]。
アルゼンチン、チリ
いずれも刑法によって、医療用以外の目的での所持、消費、生産、精製、販売が違法とされ、取締りの対象となっていたが、2009年8月25日にアルゼンチン最高裁はマリファナ使用で成人を罰するのは、その人物が他人を傷つけたのでない限り、違憲だと指摘し、個人的使用や所持は事実上合法化された。
ジャマイカ
ジャマイカでは1913年より施行された危険薬物法 (Dangerous Drugs Law) により[115]、大麻の所持、売買、喫煙は禁止されており[116]、違反者にはそれぞれに応じた罰金刑、懲役刑が科されている[117]。
オーストラリア
西オーストラリア州を始めとした一部地域では少量所持や栽培が非犯罪化されている[要出典]。
タイ王国
タイの法律では麻薬生成、販売に関わった場合は死罪、単純所持でも懲役刑が言い渡される可能性があり、麻薬組織に対しては証拠不十分でも法的手続きを経ず超法規的殺害が行われる場合がある[118]。2003年のタクシン首相政権時には3か月で麻薬事犯とみられる2500名が殺害されているが、タクシン失脚後の調査では、その内1400名が麻薬事犯とは無関係であるとされている[119]。
シンガポール
大麻を含む禁制薬物(麻薬・覚醒剤など)の所持に対しては厳罰を以って臨んでおり、死刑の判例がある[要出典]。
インドネシア、マレーシアなどの東南アジア島嶼部
イスラム教圏であるので当然薬物は厳禁であり、シンガポール同様の厳罰政策をとっている[要出典]。
題材とした作品
- 映画
- 『マリファナ』(1936年)
- 『リーファー・マッドネス 麻薬中毒者の狂気』(1936年) - アメリカの大麻撲滅キャンペーンで作られたプロパガンダ映画。
- 『麻薬売春Gメン』(1972年) - 千葉真一主演による麻薬Gメンがマリファナを撲滅を描いた作品
- 『東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯』(1973年) - 国際的な麻薬ルートを暴く作品で、千葉真一、ノラ・ミャオなど四か国の俳優が出演し、製作された
- 『チーチ&チョン スモーキング作戦』(1978年) - コメディアンのチーチ&チョンが大麻とヒッピーを題材にした映画。
- 『グラス―マリファナvsアメリカの60年』(1999年) - アメリカにおいて、大麻規制のプロパガンダからはじまり、ドラッグ戦争を肯定・否定を追っていくドキュメンタリー映画。
- 『ビー・バッド・ボーイズ』(2001年) - ヒップホップ・アーティスト、メソッド・マンとレッドマンが主演の大麻を題材にしたコメディ映画。
- 『Super High Me』(2007年) - コメディアンのダグ・ベンソンが大麻を30日間に亘って吸い続けて、大麻を吸わなかった30日間と身体の変化を比較する『スーパー・サイズ・ミー』のパロディ映画。
- 『スモーキング・ハイ』(2008年) - 大麻を題材としたコメディ映画。2008年8月に全米興行収入成績最高位第2位を記録した。
- 『Growing Op』(2008年) - カナダのコメディ映画。
- 『Humboldt County』(2008年) - アメリカのドラマ映画。
- ドラマ
- 音楽
- ピーター・トッシュ『Legalize It(邦題:解禁せよ)』(1976年)
- ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『カヤ』(1978年)
- タイマーズ『TIMERS』(1989年)
- 浪花男『インディカ』(1993年)
- audio active『Free The Marijuana』(1994年)
- BOXER KID『吸引希望者』(1998年)
- TAKAFIN『HIGH GRADE』(1998年)
- MAXIM SAW『GANJA FI LEGAL』(1998年)
- RYO the SKYWALKER『7th HEAVEN』(1998年)
- BOXER KID『SHUUKAKU-SAI』(2000年)
- 本気男『BOOM!!』(2000年)
- PAPA B & U・ロイ『SWEET & NICE』(2003年)
- ミスターT.H.C『まやくじゃないのょ(アムステルダム編)』(2003年)
- ミスターT.H.C『まやくじゃないのょ(歴史編)』(2003年)
- ミスターT.H.C『水耕栽培』(2003年)
- 心-G『Keywordはホッコリ』(2003年)
- RUDE BOY FACE『RUDEBOY AND COWBOY』(2003年)
- 遊人『MARI-CHANG』(2004年)
- HIBIKILLA『Redder』(2005年)
- CHEHON『みどり』(2006年)
- GREEN HERB『BAMBU- Get Ghetto Weed DUB』(2011年)
- SiM『KiLLiNG ME』(2011年)
- 小説
- リリー・フランキー『大麻農家の花嫁』
- 小川国夫『ハシッシ・ギャング』
- テオフィル・ゴーティエ『ハシッシュ吸飲者倶楽部』
- エッセイ
脚注
- ^ スペイン語のjは英語のhに近い発音。Marihuanaと綴られる場合もある。
- ^ 「麻薬」の用語は、麻薬及び向精神薬取締法別表第一に定められた薬物(狭義の麻薬)をいう場合と、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、麻薬特例法を含めた麻薬五法に定められた薬物(広義の麻薬)をいう場合があるが、大麻は広義の麻薬に含まれる。国語辞典でも麻薬と説明しているものが多い。「アサから製した麻薬」(広辞苑)、「アサの別名。また、その葉や樹脂から製する麻薬。」(大辞泉)
また、麻薬はもともと「痲薬」と書いたが、「痲」が常用漢字に無いため「麻」の字を当てた表記であり、大麻とは言葉の成り立ちに直接の関係はない。
- ^ 【ロイター】米2州が住民投票で大麻合法化、嗜好用として初めて(2012.11.8)
- ^ 観光に打撃、大麻店はオランダ人限定で ニューズウィーク日本語版
- ^ Misuse of Drugs Act
- ^ クラスAは「最も有害 (most harmful)」、クラスBは「中間 (an intermediate category)」、クラスCは「害が少ない (less harmful)」
- ^ ただし、大麻の場合は他のB分類のドラッグの扱いとは違い、初犯は警告、再犯は罰金、それ以降は逮捕というスリーストライク制が適用される。しかし初犯の記録は残さないため、現実的にはこの方法での取り締まりは不可能である
- ^ 日本アンチ・ドーピング機構 禁止表
- ^ 特定物質とは「禁止表では、医薬品として広く市販され、したがって、不注意でドーピング規則違反を起こしやすい薬物、あるいはドーピング物質としては比較的乱用されることが少ない薬物」。制裁処置が軽減されることがある。
- ^ 薬物乱用「大麻の害に関して」
- ^ 米コロラドなど2州、大麻合法化の住民投票可決 嗜好用として初
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- ^ 大幣、大麻はそもそも「たいま」とも読む。お祓い大麻ともいう。ほかに、年末に神社が配る神札には、「神宮大麻」(伊勢神宮の例)、「氏神大麻」などと書かれ、中に串が入っているが、これは元来は中に小さなお祓い大麻が入っていた名残りである(神奈川県神社庁設立60周年記念特別展<展示19>)。古くは麻の葉そのものが入っていたとも言われる。また、各地神社の祭祀で麻の枝葉や繊維を使用していたか、現在も使用している例も多い。
- ^ 祖霊がわが家に帰り来るのに道に迷うわないようにと、庭先とか玄関先で、前年に収穫し繊維や種をとったあとの残りの大麻(おがら)を「迎え火」として炊く風習は現在も残っている。また、祖霊の乗り物として、ナスの牛とキュウリの馬(精霊馬)を作る土地があるが、その足にもおがらを使う。
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- ^ 大麻取締法が規制するのは、無許可かつ故意の栽培、所持(採取)である。しかし、私有地に自然に大麻が生えていることを発見した場合、手を触れず、警察か保健所に連絡するべきである。故意の栽培と疑われれば刑事罰を受ける危険がある。
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- ^ 検査にはMonitect-3と呼ばれる簡易検査キットが使われた。これはイムノクロマト法によって、メタンフェタミン・アンフェタミン・THCの検出が可能である。
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- ^ 相撲協会の尿検査に新たな問題点が発覚 大麻取締法変革センター
- ^ 群馬のレイブパーティー、さらに7人逮捕 17 - 40歳の男女 産経新聞 2008.8.17
- ^ 麻薬使用容疑で姉妹逮捕 群馬県みなかみ町の「レイブ」舞台に 産経新聞 2008.9.22
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- ^ 大麻の栽培紹介雑誌、東京都の「有害」指導後にまた発行 読売新聞 2009年2月4日
- ^ 昭和23年06月12日衆議院厚生委員会において、竹田儀一厚生大臣は大麻取締法の提案理由を次のように説明した。「大麻草に含まれている樹脂等は麻薬と同樣な害毒をもつているので、従来は麻薬として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に従事しているのでありまして、今回提出されています麻薬取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、薬剤師等は、職業の分野がはなはだしく異つています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由と相なつております。」(出典:国会会議録検索システム)
- ^ 最高裁判所昭和57年9月17日第二小法廷決定
- ^ 日本産業用大麻クラブ 2001年大麻栽培免許拒否理由 大麻栽培免許に係る疑義について(照会) 『特に、目的については、免許制度により禁止の解除を行っている趣旨からして、「国民生活にとって必要不可欠なものであるか否か等目的意義が禁止を解除するに値するものであるか否か」を検討し行うことが妥当とされていますが、この趣旨は,農作物として出荷する目的での栽培を一律に認めるのではなく、あくまでも、その栽培目的が伝統文化の いる生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合に限り免許すべきものと解してよろしいか。』 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長 『平成13年3月9日保健第1976号により照会があった標記については、貴見のとおりと解する。』
- ^ なお、ヘロインの不法所持は10年以下の懲役、あへんの不法所持は7年以下の懲役、向精神薬不法所持は3年以下の懲役である。
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- ^ 立法当初は万国阿片条約にて締結されたアヘンの取締りを主目的としていた。 鈴木慎一郎「Yard Livity part 5 ジャマイカのガンジャ文化」『レゲエ・マガジン』46号、株式会社タキオン、1995年、129-132ページ
- ^ Background to the Ganja Issue in Jamaica
- ^ 鈴木慎一郎「Yard Livity part 5 ジャマイカのガンジャ文化」『レゲエ・マガジン』46号、株式会社タキオン、1995年、129-132ページ
- ^ Is this the future of our own "War on Drugs"? AP Wire
- ^ Southeast Asia: Most Killed in Thailand's 2003 Drug War Not Involved With Drugs, Panel Finds
参考文献
- 国際機関による大麻関連の報告(厚生労働省)
- 「大麻:健康上の観点と研究課題」 (PDF) 世界保健機関 (WHO)、1997年。“Cannabis: a health perspective and research agenda”
- 「世界薬物報告書2006 第2章」 (PDF) 国連薬物犯罪事務所 (UNODC)、2006年。“World Drug Report 2006”
- 「2001年年次報告」 (PDF) 国際麻薬統制委員会 (INCB)。
- 「2002年年次報告」 (PDF) 国際麻薬統制委員会 (INCB)。
- 「2004年年次報告」 (PDF) 国際麻薬統制委員会 (INCB)。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、マリファナに関連するメディアがあります。 |
- 大麻精神病
- ヘンプ・オイル
- 嗜好品
- カナビス・カップ
- ラスタファリ運動
- 420 (大麻)
- ハイ・タイムズ
- 大麻 (神道)
外部リンク
- 公的機関のサイト
- 大麻について 財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター
- 大麻・けしの見分け方 厚生労働省
- 大麻所持・栽培は重大犯罪です(2009年3月19日配信・全11分28秒) - 政府インターネットテレビ
- 薬物依存の家族を持つサイト
- 大麻の取り締まりに反対するサイト及びページ
全て個人運営
- 大麻報道センター(2013年10月に主宰者が大麻パーティー参加と所持で逮捕された)
- Cannabis Study House - カナビス・スタディハウス
- CANNABIST Internet - カンナビスト 大麻非犯罪化人権運動
- 麻と人類文化(弁護士丸井英弘)
- 医療大麻wiki
- 大麻草検証委員会(大麻を正しく考える国民会議)
- 大麻は痲薬ではない(武田邦彦)
- 大麻は合法化して規制すべきだ(池田信夫)
- 大麻を問題視するサイト