出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/21 09:46:57」(JST)
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メタンフェタミン | |
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IUPAC名
(S)-N-メチル-1-フェニルプロパン-2-アミン |
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別称
N-メチルアンフェタミン
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 537-46-2 |
KEGG | D08187 |
特性 | |
化学式 | C10H15N |
モル質量 | 149.24 |
沸点 |
212[1] |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
メタンフェタミン(英語:Methamphetamine, Methylamphetamine)とは、アンフェタミンの窒素原子上にメチル基が置換した構造の有機化合物である。代表的な覚醒剤として知られる。
目次
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1893年(明治26年)、日本の薬学者・長井長義によりエフェドリンから合成されて生まれた。1919年(大正8年)、緒方章がその結晶化に成功した。
アンフェタミンより強い中枢神経興奮作用をもつ覚醒剤であり、日本では覚せい剤取締法により規制されている。医療の現場においては現在、昏睡、手術後の虚脱状態、統合失調症における遅鈍症、ナルコレプシー等に対し施用されることがある。
第二次世界大戦当時には連合国軍と枢軸国軍の双方で、航空機や潜水艦の搭乗員を中心に、士気向上や疲労回復の目的で用いられた。21世紀初頭の近年、世界各国においてその蔓延の急速な進行が確認されており、一例としてアメリカ合衆国では、「最も危険なドラッグ」として語られるものとなっている。
日本語では、シャブ、エス(s)、スピード(speed)などの俗称で呼ばれる。ヒロポンの名でも知られるが、これは商品名である(ヒロポン参照)。
英語ではice(アイス)、meth(メス)、crystal meth(クリスタル・メス)などの俗称がある。
諸言語における俗称としては、冰毒(中国語)、tina(フランス語)、shaboo(イタリア語)、tik(フランス語)が挙げられる。
異称、the queen of ice(氷の女王)。
中枢神経を刺激して覚醒させる作用があるため、欝病・精神病などの虚脱状態や各種の昏睡・嗜眠状態などの改善・回復に用いられる。神経終末からノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンなどのアミン類を遊離させ、間接的に神経を興奮させる。さらに、モノアミントランスポーターの阻害作用によるアミン類の神経終末への再取り込み阻害作用と、モノアミン酸化酵素の阻害作用によって、シナプス間隙におけるアミン類の濃度を上昇させる作用を持つ。
不安、興奮、頭痛、不眠、手のふるえ、動悸などが起こったり、味覚の異常やじんま疹などの過敏症状が起こることがある。
「覚醒剤#歴史」も参照
ヒロポン®(Philopon)とは、大日本住友製薬(旧:大日本製薬)によるメタンフェタミンの商品名であり、同社の登録商標(第364236号の1)である。成分名は塩酸メタンフェタミン錠。剤型はアンプルおよび錠剤である。「ヒロポン」の名は、「疲労をポンと取る」にも掛けているが、英文綴りに見られるように、ギリシア語のΦιλόπονος(労働を愛する)を由来としている。
日本では太平洋戦争以前より製造されており、「除倦覺醒劑」として販売されていた。その名の通り、疲労倦怠感を除き眠気を飛ばすという目的で、軍・民で使用されていた。現在でこそ覚醒剤の代名詞であるヒロポンだが、当時は副作用についてまだ知られていなかったため、規制が必要であるという考え方自体がなく、一種の強壮剤のような形で利用されていた。当時の適応症は、「過度の肉体および精神活動時」、「夜間作業その他睡気除去を必要とする時」、「疲労二日酔乗り物酔い」、「各種憂鬱症」であった。軍では長距離飛行を行う航空兵などに支給されている。ヒロポンの注射薬は「暗視ホルモン」と呼ばれ、B29の迎撃にあたる夜間戦闘機隊員に投与された。中には一晩で5機のB29を撃墜した例もあった(黒鳥四朗を参照)。ヒロポンは「決戦兵器」のひとつとして量産され終戦時に大量に備蓄されていた。
終戦により軍の備蓄品が一気に市場へ流出すると、酒や煙草といった嗜好品の欠乏も相まって人々が精神を昂揚させる手軽な薬品として蔓延した。その依存者即ち「ポン中」が大量発生し、中毒患者が50万人を超えるなど社会問題となった。加えて中毒者が行う不潔な注射は肝炎ウィルスの伝染機会を増加させて輸血後肝炎が拡大する遠因となった。
政府は1949年(昭和24年)にヒロポンを劇薬指定して覚醒剤としての製造の禁止を製造業者に勧告し、1951年(昭和26年)に覚せい剤取締法を施行した。これに伴い、日本国内では同法により規定された少数の研究・医療機関への販売や、統合失調症やナルコレプシーの治療等、限定的な医療用途での使用といった項目を除いて、一切の使用・所持が禁止された(但し、日本薬局方の医療用医薬品の覚醒剤として、未だに処方薬として残っている)。よって現在では覚醒剤としてではなく、処方薬として「ヒロポン錠」「ヒロポン注射液」の二種類が製造されている。
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国試過去問 | 「107A020」 |
リンク元 | 「アドレナリン受容体」「薬物濫用」「濫用薬物」「アンフェタミン」「精神刺激薬」 |
拡張検索 | 「メチレンジオキシメタンフェタミン」「塩酸メタンフェタミン」 |
BCE
※国試ナビ4※ [107A019]←[国試_107]→[107A021]
受容体 | 反応 | 例外 |
α受容体 | 興奮 | 小腸運動:抑制 |
β受容体 | 抑制 | 心臓 :興奮 |
受容体 | 作動薬 | 遮断薬 | 存在部位 | 作用 | |||||
α | α1 | A≧NA>ISP | [直接作用] ノルアドレナリン アドレナリン ドーパミン [間接作用] チラミン [直接・間接作用] エフェドリン アンフェタミン メタンフェタミン |
メトキサミン フェニレフリン |
フェノキシベンザミン フェントラミン |
プラゾシン タムスロシン |
血管平滑筋 | 収縮 | |
腸平滑筋 | 弛緩 | ||||||||
膀胱括約筋 | 収縮 | ||||||||
肝臓 | グリコーゲン分解 | ||||||||
α2 | A≧NA>ISP | クロニジン グアンファシン グアナベンズ メチルドパ |
ヨヒンビン | NA作動性神経終末 | NAの放出抑制 | ||||
血管平滑筋 | 収縮 | ||||||||
膵臓β細胞 | インスリン分泌抑制 | ||||||||
β | β1 | ISP>A=NA | イソプロテレノール | ドブタミン | [第一世代]:ISA有 ピンドロール [第二世代]:ISA無 プロプラノロール [第三世代]:β1特異的 アテノロール ビソプロロール [第四世代]:有用な特性 カルベジロール |
心臓 | 心拍数↑ 心収縮↑ 心伝導速度↑ | ||
腎臓(傍糸球体細胞) | レニン分泌促進 | ||||||||
β2 | ISP>A>NA | サルブタモール テルブタリン リトドリン |
骨格筋血管 気管支 胃腸 尿路 子宮平滑筋 |
弛緩 | |||||
肝臓、骨格筋 | グリコーゲン分解 | ||||||||
膵臓β細胞? | インスリン分泌促進? | ||||||||
β3 | ISP=NA>A | 脂肪組織 | 脂肪分解促進 |
精神依存 | 身体依存 | |
コカイン、アンフェタミン類(アンフェタミン、メチルフェタミン)、大麻 | ○ | |
麻薬(モルヒネ、ヘロイン、コデイン)、バルビツール酸系(フェノバルビタール、チオペンタール)、アルコール | ○ | ○ |
毒物及び劇薬取締法 | 毒物 | シアン化合物、ヒ素、黄リン、水銀、ニコチン |
劇物 | 硫酸、硝酸、塩酸、メタノール | |
特定毒物 | パラチオン、四アルキル鉛、メタノール | |
毒薬 | アトロピン、ジギタリス配糖体、スコポラミン、ストリキニーネ | |
劇薬 | カフェイン、プロカイン | |
麻薬及び向精神薬取締法 | 麻薬 | アヘンアルカロイド、コカイン、合成麻薬、LSD |
第1腫向精神薬 | セロバルビタール、メチルフェニデート | |
第2腫向精神薬 | アキサゾラム、ペンタゾシン、ペントバルビタール | |
第3腫向精神薬 | アロバルビタール、オキサゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタール、トラゼパム | |
覚醒剤取締法 | 覚醒剤 | アンフェタミン、メタンフェタミン |
大麻取締法 | 大麻 | 大麻草及び製品 |
あへん法 | けし属 | けし、けしがら、アヘン |
精神賦活薬 : 約 103,000 件 精神刺激薬 : 約 110,000 件 精神賦活薬 psychoactive : 14 件 精神刺激薬 psychoactive : 32 件
-メタンフェタミン
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