出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/22 08:57:25」(JST)
この項目では、薬物に対する依存症について説明しています。依存症の包括的説明については「依存症」を、薬物による急性毒性作用については「薬物中毒」をご覧ください。 |
物質依存 | |
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分類及び外部参照情報 | |
依存症専門の精神科医による、乱用薬物の有害性についての投票[1]
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ICD-10 | F10.2-F19.2 |
ICD-9 | 303-304 |
MeSH | D019966 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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薬物依存症(やくぶついそんしょう、やくぶついぞんしょう、英: Substance Dependence)とは、同量の薬物を摂取した場合の薬物の効果が薄れる薬物耐性が形成され、薬物に対する渇望が存在し、薬物の摂取量が減った離脱時に離脱症状を呈するといったいくつかの診断基準を満たした精神疾患である。以上のような身体症状を示す身体的依存を含まない場合は、単に薬物乱用の状態である。しかしながら、ともに生活の支障や身体への害を認識しているにもかかわらず、薬物使用の抑制が困難になっている病態である。薬物依存症は、すべての精神疾患の頻度の高い要因である[2]。
国際的に「刑罰ではなく治療へ」というのが主流であるが、日本では精神医療の専門家でさえ厳罰化を唱えることがあり[3]、日本では依存症の治療施設が少なく[4]、鎮静剤による依存が増加している[5]。1度の使用で依存が形成されることはなく、依存は継続的に使用された場合に形成される[6]。依存症者は、意思が弱い、ろくでなしといったということではなく、治療が必要な病人である[7]。道徳教育や[8]、刑罰[9]が有効であることは示されていない。日本での覚醒剤乱用者は、高い再犯率を維持しており、刑罰が依存症に効果を上げていないためである[10]。ヤキを入れるといった行為も、すでに依存状態に陥り自信を失っている依存症者自身のさらなる失望につながり、自傷行為的な自暴自棄な薬物使用を誘う[11]。周囲に必要とされるのは、一貫して、敬意を保ち、裁かない態度である[12]。
依存の対象となる薬物は、精神に活性を及ぼす向精神薬が多い。1961年の麻薬に関する単一条約からはじまる国際条約において、医療用途がないスケジュールIと、医療用途があり乱用の危険度によりスケジュールII以下で分類される物質が乱用の危険性がある物質であり、規制の対象となる。その中に身体的依存を示す物質と示さない物質とが含まれる。各国は国際条約に批准しているため、アメリカでは規制物質法、イギリスでは1971年薬物乱用法、日本では麻薬及び向精神薬取締法をはじめとした薬物四法で規制されている。そのほかに例外化されているタバコとアルコールは、最も公衆衛生上の被害をもたらしている薬物依存症の原因となる物質である。
薬物依存症の症状としては、渇望のような精神的依存と、離脱症状を伴う身体的依存がある。薬物からの離脱において、アルコールや睡眠薬からの離脱のように離脱症状が致命的となる可能性があるため、場合により医学的監視が必要な薬物と、タバコの禁煙のように比較的安全なため医学的監視が必要でないものとがある[13]。科学的根拠に基づけば、依存性薬物からの解毒(離脱)には急速な断薬は推奨されず、離脱を制御しやすいほかの交叉耐性を持つ同種の薬物に置き換えた後に、徐々に漸減することが多い[13]。
1980年代にはLSDのような、身体的依存や渇望を起こさず、単に意識を変容させるための好奇心から乱用される薬物についての議論が持ち上がり、嗜癖(英: Addiction)という言葉で区別されたが、依存と嗜癖の用語は一般的には混同される[14]。#依存性節で示されるが、一般的に幻覚剤には強い依存性はない。さらに幻覚剤は他の薬物の依存症の治療に良好な結果が見られるものもある。
薬物依存症は、意志や人格に問題があるというより、依存に陥りやすい脳内麻薬分泌を正常に制御できない状況が引き起こした「病気」である。「まだ大丈夫」と問題性を否認しているうちに、肉体・精神・実生活を徐々に破壊していく。家族などの周囲をも巻きこみながら進行し、社会生活や生命の破滅にいたることも稀でない。
また、精神疾患の強迫性障害に伴う気分変調を紛らわすという目的で薬物に依存し、アルコール依存症などに陥る場合もある。
それだけでなく、ニコチンに対する依存症である喫煙のように、依存者自身やその周囲にいる他者へ受動喫煙として悪影響を与えることで、生活習慣病や重大な死因、気管支の疾患や胎児へ影響し、健康に対する影響が社会的に甚大である薬物もある。アルコールへの依存も、未成年者の脳の発育や胎児、生活習慣病や肝臓の疾患に影響する。これらを日本での社会的な費用に換算すると、喫煙は社会全体で約4兆円の損失、アルコールは社会全体で医療費や収入減などを含め約6兆6千億円になるとされる[15]。
2008年には、日本の薬物の治療施設において鎮静剤の患者第2位となり急増しており、医療観察法によって入院となった者でも入院前に依存・乱用が気付かれていた者はその3分の1である[5]。
ICD-10(『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』)における、診断コードF1x.2が依存症(Dependence syndrome)である。以下の診断基準が、前年に3つ以上同時に存在した場合にのみ診断が確定される。
(a) 物質を摂取したいという強い欲求や衝動的な感覚;
(b) 物質摂取行動を管理することの困難さ、その使用の開始、停止あるいは量の条件におけるもの;
(c) 生理学的離脱状態(F1x.3とF1x.4参照)は、物質の使用を中止あるいは減量した場合に、以下から明らかである;その物質に特徴的な離脱症候群;あるいは、同じ(または密接に関連する)物質の使用が、離脱症状を軽減あるいは避ける目的を伴っている;
(d) 耐性の証拠は、向精神性物質の使用量の増加のように、当初は低用量で生じていた作用を得るためにさらに必要とされている(この明白な例として、アルコール-とオピエート-依存症の人では、非耐性の使用者を、行動不能または殺すのに十分な量を毎日摂取する);
(e) 代替の楽しみあるいは興味を軽視することの進行が、向精神性物質の使用が原因となっており、その物質を入手あるいは、摂取したり、その作用から回復するのに要する時間が増加した;
(f) 明白な有害な結果の証拠が明らかとなっているのに反して物質の使用が持続し、それは過度の飲酒を経て肝臓に害があるとか、激しい物質使用の期間の結果として生じる抑うつ気分状態であるとか、あるいは薬物に関連した認知機能の障害といったものである;
— 世界保健機関, The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders: Clinical descriptions and diagnostic guidelines[16]
世界保健機関によれば、SSRI抗うつ薬の離脱症状を表現するのに、中断症候群(英: discontinuation syndrome)という言葉を用い、依存症との関連付けを避けているが、この薬剤に対する依存症が報告されている[17]。
アメリカ精神医学会(APA)による診断基準では、物質依存症は以下のように定義される。
物質依存症の診断基準
物質の使用における不適応な様式が、臨床的に著しい障害や苦痛をもたらしており、以下のうち3つ(あるいはそれ以上)が、同じ12か月の間に起きている。
(1) 耐性、以下のいずれかに定義される
(a) 陶酔あるいは期待する効果を得るための、物質の量の著しい増加を必要とする(b) その物質の同量の消費の継続により著しく効果が減少した(2) 離脱、以下のいずれかに定義される
(a) その物質に特有の離脱症状(特定の物質からの離脱のために設けられた基準の、診断基準AおよびBを参照)(b) 離脱症状を軽減するか避けるために、同じ(あるいは近縁関係の)物質が摂取されている(3) その物質が、頻繁に大量に、あるいは目的とするよりも長期間にわたり摂取される
(4) 渇望が持続しており、減量あるいは物質使用の抑制の試みが失敗している
(5) かなりの時間がその物質を入手するために必要な活動(例. 複数の医者を訪れる、あるいは長距離を運転する)、物質の使用のため(例. チェーン・スモーキング)、あるいはその影響から回復するのに費やされている
(6) 物質使用のために、重要な社会的、職業上の、あるいは娯楽的な活動を、断念あるいは減少させている
(7) その物質が原因になっていたり悪化させている可能性が高い身体的、あるいは心理的な問題が維持されたり、反復しているという認識にもかかわらず、その物質の使用が継続されている(例. コカイン誘発性うつ病の認識に反しての反復的なコカインの使用、あるいは、アルコールの消費により潰瘍が悪化したという認識に反して飲酒を継続する)
— アメリカ精神医学会『精神障害の診断と統計マニュアル』IV-TR、2000年[18]
DSM-IVによる物質依存の特徴は、耐性、離脱、強迫的な使用である[19]。DSMには重症度の概念が存在するため[20]、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を引き起こしていない場合は、除外され、それは単に娯楽的な使用である[2]。
DSM-IVでは、臨床的に離脱症状が生じることが確認されていない幻覚剤には、離脱の診断基準は用いることができない。
DSM-5において、物質乱用と物質依存症を廃止・統一し、新しく物質使用障害を用意したが、以下のような論争があり、DSM-IVの編集委員長のアレン・フランセスは、ICDによる依存と乱用を区別した診断コードの使用を推奨している[2]。 以前のDSMで用意した物質乱用は一過性のものだが、新しい診断名を使うことによって常用者のようなレッテルを張り、当人が不利益を被る可能性がある。一時的な乱用者とすでに依存症が進んだ者とでは、予後、治療の必要性などが異なり、そのような区別をもたらす臨床上の重要な情報が失われる。
耐性や離脱、強迫的な使用がない場合、物質乱用である[2]。
依存症を引き起こすことが知られている薬物は違法薬物、処方せん医薬品、市販薬などに区別される。 アメリカ依存医学会(英語版)によると、以下のように分類される。
薬物依存症の可能性は、個々の物質ごとにそれぞれ異なる。摂取量、摂取頻度、物質、投与経路、薬物動態などが、薬物依存形成の要素である。
医学雑誌『ランセット』に示された、20の薬物についての身体的依存、精神的依存、多幸感の平均尺度が0 - 3の範囲で示された。カフェインは研究に含まれていない[1]。
薬物 | 平均 | 多幸感 | 精神的依存 | 身体的依存 |
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ヘロイン | 3.00 | 3.0 | 3.0 | 2.9 |
コカイン | 2.37 | 3.0 | 2.8 | 1.3 |
アルコール | 1.93 | 2.3 | 1.9 | 1.6 |
たばこ | 2.23 | 2.3 | 2.6 | 3.0 |
バルビツール酸 | 2.01 | 2.0 | 2.2 | 1.8 |
ベンゾジアゼピン | 1.83 | 1.7 | 2.1 | 1.8 |
アンフェタミン | 1.67 | 2.0 | 1.9 | 1.1 |
大麻 | 1.47 | 1.9 | 1.7 | 0.8 |
LSD | 1.23 | 2.2 | 1.1 | 0.3 |
エクスタシー | 1.13 | 1.5 | 1.2 | 0.7 |
離脱症状(りだつしょうじょう)とは、摂取した薬物が身体から分解や排出され体内から減ってきた際に起こるイライラをはじめとした不快な症状である。このような離脱症状を回避するために、繰り返し薬物を摂取することは、依存症の診断基準を満たす。またアルコールのように、震戦(手の震え)などの身体に禁断症状が生じる場合もある。
離脱症状と依存症には因果関係はないというのは、離脱症状が軽度であれば離脱は困難ではなく、断薬できるということは依存症の定義を満たさないためである[21]。
耐性とは、連用することによってその薬物の効果が弱くなることである。これを薬物に対する耐性の形成と呼ぶ。耐性が存在しない薬物もある。薬物が効きにくくなるたびに使用量が増えていくことが多く、最初は少量であったものが最後には致死量に近い量を摂取するようになることすらある。耐性が形成されやすい薬物として、アンフェタミン類、モルヒネ類(オピオイド類)、アルコールなどが挙げられる。
ヘロインや、モルヒネのようなオピオイド系麻酔薬が呼吸中枢を抑制する危険性が最も高い。アルコールはそれらに匹敵するほど高く、バルビツール酸系睡眠薬や、ベゲタミン(商標名)や、ペントバルビタール(商標名ラボナ)も致死量に対する作用量の割合が高い。
薬の種類としては、バルピツール酸系に代わり、ベンゾジアゼピン類が用いられることも多いが、フルニトラゼパム(商標名ロヒプノール、サイレース)のような強力なベンゾジアゼピン類も致死性が近いことには変わりがない。
カフェインのような薬物では、作用量と致死量との差が100倍あるが、こうした薬物の場合オーバードースによる死は起こりがたい。一方、作用量と致死量が近い薬物を日常的に利用している場合、薬物に耐性がついて以前と同じ量では効かなくなるが、しばらく利用をやめ耐性が回復したにも関わらず、以前と同じ感覚で利用した場合に、致死量を摂取してしまう場合がある。これには、特にヘロイン、コカイン、アンフェタミン、アルコール、バルビツール酸系医薬品や、これらの同時に摂取が当てはまる。
特に薬物依存症者の死亡率は、アルコールでも6倍、20倍とこのグループの自殺率を大幅に上げているのは、鎮静催眠薬である[23]。
依存性薬物の作用機序は様々であるが、その多くに直接的にせよ間接的にせよ共通しているのが、脳内で本来働いている物質と同様に働き、脳がその違いを区別できないアゴニストとしての作用によるものである。典型的な例としてはオピオイド(例: ヘロイン、モルヒネ、アヘン等)が挙げられる。特定の受容体に対して本来正常に機能している内因性の脳内物質(この場合はβ-エンドルフィンなどいくつかあるオピオイド受容体のアゴニストまたはアンタゴニストといった内因性リガンド)に代わり、通常(内因性のアゴニスト)ではありえないほど強力かつ長時間アゴニストとして作用することによって作用する。また、それらに対して拮抗的に作用するのがナルトレキソンやナロキソンなどのアンタゴニストである。
身体的依存性のある薬物の血中濃度が低下してくると、生理的、心理的に不快な離脱症状として多彩な症状が生じる。オピオイドの場合は、どれほど耐えがたい離脱症状であっても通常致命的ではない。この離脱症状の辛さは、再び薬物を摂取したいという欲求の強力な誘因の一つとなる。
離脱症状はアゴニストとして働いていた物質が単に身体にとって不十分になれば程度の差はあれ生じる。しかし、個々の薬物の摂取後の血中濃度や薬物動態と症状の発現や程度は必ずしも相関しないことも多い。そうして断薬を継続すれば、慢性的な薬物摂取のため低下していた内因性アゴニストの分泌や受容体の数、感受性等が徐々に回復して正常化していき、そうすることで離脱症状も徐々に薄れていく。最終的に、離脱症状と身体的依存の状態から完全に回復する。しかし一般的に行われている治療では、それでもまた薬物中毒者に戻ってしまう人々の割合、すなわち再発率は高いことが多くの研究によって明らかになっている。
各薬物ごとに、さまざまな離脱の計画のための証拠がある。また、薬物依存を専門に扱う病院や施設が存在する。しかしながら、治療が科学的根拠に基づいていないことが多いと指摘されている[24]。
アルコールからの離脱は、致命的な振戦せん妄(DT)の可能性がある。離脱から48時間までに発作や幻覚を含む重篤な症状が出現し、4日までにDTが発現する可能性があり、全体で7 - 10日要し、医学的管理が伴えばDTや急性アルコール誘発性発作を軽減できる。ベンゾジアゼピン系薬が離脱症状の緩和のために用いられるが、アルコールとの併用は致命的なため、注意を要する[13]。
ベンゾジアゼピン系のような抑制剤からの離脱は、一部では致命的である。アルコールの離脱に類似した発作やせん妄が生じる可能性がある。離脱症状は2週間まで続き、一部の症状は4 - 6か月持続する(遷延性離脱症候群) 。ゆえに、血中半減期の長い長時間作用型のほかの医薬品に置換し、数週間から数カ月にわたり漸減することが推奨される[13]。
オピオイドからの急激な離脱は推奨されない。離脱による禁断症状は、7日から数週間続き、漸減するか置換により離脱症状を緩和する。メサドンは、依存症の危険性はあるがオピオイドより危険性が少ないと考えられ、またオピオイドやアルコールのような激しい離脱症状を呈さないため置換の手段の1つである[13]。
ニコチン、大麻、コカインからの離脱には入院は要さない[25]。
タバコからの離脱は、危険ではなく医療的監視を要さない。離脱症状は数時間ではじまり、数日で頂点に達し、多くは数週間で治まり、一部では数カ月続く。離脱症状を軽減するために、パッチやガムによるニコチン置換療法(NRT)が広く用いられる[13]。
覚醒剤からの離脱に関する証拠はあまり存在しない。離脱症状の緩和に有効性が示された医薬品はない[13]。
大麻の離脱症状はまれで、幻覚剤には離脱症状はない[26]。
動機づけ面接(MI)、動機強化療法(MET)、認知行動療法(CBT)といった心理療法の有効性が示されている。MIとMETは、一年後の禁欲が65.5%に対して、この心理療法を受けていない場合37%である。12週間では、標準的な個別カウンセリングよりも、アルコールや他の薬物の使用を減少させている[27]。
また、日本ではSMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program:せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)と呼ばれる集団認知行動療法によるグループワークの有効性も報告されている。
ロシアの薬物乱用の専門治療を行う精神科医のエフゲニー・クルピツキーは20年間にわたり、麻酔薬のケタミンを幻覚剤として利用するアルコール依存症の治療を行ってきたが、111人の被験者のうち66%が少なくとも1年間禁酒を継続し、対象群では24%であった[28]などのいくつかの報告[29][30]がある。また、ケタミンはヘロインの依存症患者に対しても薬物の利用を中断する効果が見られた[31][32]。アヘンの禁断症状を減衰させるという報告もある[33]。幻覚剤のアヤワスカがアルコールや麻薬の常習を減らしたという報告もある[34]。
アルコール依存症や他の薬物において、回復を目的として、同じような境遇の人々が集まりお互いに影響を与える自助グループがある。
アメリカでは、1935年に12ステップのプログラム(英語版)を実施する依存症当事者の団体であるアルコホーリクス・アノニマス(AA)が発足している。ナルコティクス・アノニマス(英語版)(NA)は、薬物依存症を対象としアメリカでアルコホーリクス・アノニマスから発展してきた団体であり、同様に12ステップのプログラムを用いる。これらは、国際的な運動となっている。
日本のDARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)は、日本の入寮施設にてナルコティクス・アノニマスのミーティングを行っていた近藤恒夫が始めた当事者の団体である。
薬物乱用を早期発見し、早期治療に結びつけるため、国際連合薬物犯罪事務所は次の社会体制整備を必須としている。
アメリカでは、1980年代から薬物戦争(War on Drug)をスローガンにして厳罰主義となったが、1990年代には薬物の依存と乱用に効果がなくむしろそれらを促進しており、取締りのコストに対して納税者の批判が集まったことから、回復を目指すドラッグコートという施設が実験されていった[35]。国際的には、刑罰ではなく依存症の治療を提供する政策が主流となっている[3]。
日本では、このアメリカの政策を後追いした[35]。日本では薬物使用によって、初犯で1年6か月の拘禁が言い渡され3年の執行猶予とされるが、この期間中に再犯となってしまうことが多く、再犯として2年の拘禁が言い渡され、合計3年6か月の拘禁となることが多い[10]。そして、さらに出所後にも再び薬物犯罪となり、再犯荷重として刑が重くなってしまう[10]。これは薬物依存症が治療されないため、高い再犯率を維持しているということである[10]。司法にかかるコストのほうが、治療にかかるコストよりも大きい[10]。近年、日本でも、薬物犯罪の刑の一部執行猶予する法案が取っており、心理療法など治療の整備が求められている[4]。一方で、薬物依存症についての正確な知識を学ぶ機会が日本では乏しく、精神医療の専門家でさえ違法薬物の使用に対して厳罰化が唱えることがある[3]。
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リンク元 | 「薬物濫用」「接着剤吸引」「substance dependence」 |
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精神依存 | 身体依存 | |
コカイン、アンフェタミン類(アンフェタミン、メチルフェタミン)、大麻 | ○ | |
麻薬(モルヒネ、ヘロイン、コデイン)、バルビツール酸系(フェノバルビタール、チオペンタール)、アルコール | ○ | ○ |
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