プロポフォール | チアミラール | ケタミン | ミダゾラム | |
催眠作用 | 強 | 強 | 中 | 中 |
鎮痛作用 | 無 | 無 | 強 | 無 |
脳血流量 | ↓ | ↓↓ | ↑↑ | ↓ |
脳灌流圧 | ↓ | ↓ | ↑ | ↓ |
脳酸素消費量 | ↓ | ↓↓ | ↑ | ↓ |
頭蓋内圧 | ↓ | ↓↓ | ↑ | ↓ |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/04 17:37:26」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
(RS)-2-(2-chlorophenyl)-2-methylamino-cyclohexan-1-one | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
、(POM (Unscheduled, イギリス, though Class C) |
投与方法 | 静注, 筋注, 吸入, 経口, 局部 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 93% 筋注, 17% 経口 |
代謝 | 肝臓 |
半減期 | 2.5~3時間 |
排泄 | 腎臓(>90%), 尿 |
識別 | |
CAS番号 | 6740-88-1 |
ATCコード | N01AX03 N01AX14 |
PubChem | CID 3821 |
DrugBank | APRD00493 |
KEGG | D08098 |
化学的データ | |
化学式 | C13H16ClNO |
分子量 | 237.725 g/mol |
ケタミン(Ketamine)はフェンサイクリジン系の解離性麻酔薬(大脳皮質などを抑制し、大脳辺縁系に選択的作用を示す)。塩酸塩が医薬品として第一三共株式会社からケタラール®の名で販売され、静注用および筋注用が提供されている。麻酔薬として、特に獣医師や大型動物を実験に用いる研究機関では「常備薬」になっている。日本では2007年1月1日以降、麻薬及び向精神薬取締法に基づく麻薬に指定された。
1962年、アメリカ合衆国の製薬会社パーク・デービス社によって同社が開発した麻酔薬のフェンサイクリジン (PCP) の代用物として合成された[1]。
(RS)-2-(2-クロロフェニル)-2-メチルアミノシクロヘキサノン 塩酸塩。化学式でC13H16ClNO・HClと表される。分子量は274.19。CAS登録番号は6740-88-1。
常温常圧においては固体で、白い粉末状の物質。融点は266度で、不燃性である。ギ酸に非常に解けやすく、水やメタノールにも解けやすい特性を示す。また、無水酢酸やジエチルエーテルには殆ど溶けない。pHは3.5~5.5で、水溶液は酸性。
NMDA受容体拮抗薬であり、中枢神経系のシナプス後膜にあるNMDA受容体に選択的に働き、興奮性神経伝達をブロックする。
解離性麻酔薬の副作用として悪夢を引き起こすことが多いことが知られているが、呼吸抑制作用が弱く、患者は麻酔中でも自発呼吸を行うことが可能。ただし、大量では呼吸抑制が現れる。
ケタミンは血圧が下がらず、呼吸が止まりにくいという大きな利点があるうえ筋肉注射が可能であることから静脈注射がやりにくい動物用として重宝されてきた。また、この特性から麻酔銃の麻酔としても用いられてきた。 多くの麻酔薬が血圧を下げるのに対して、むしろ血圧を上げることが多いためプロポフォール・フェンタニルなどの血圧を下げる麻酔薬と併用することも多い。プロポフォール・ケタミン・フェンタニルを使用する場合PKF麻酔と呼ばれることもある。
ケタミンはNMDA受容体に対するアンタゴニストとして働くだけでなく、モノアミン輸送体を阻害する[2]ことによるカテコールアミン遊離作用があるため、交感神経を刺激し、気管支拡張作用・頻脈・昇圧作用を示す。そのため気管支喘息を持つ患者にも比較的安全に使用できるが、脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧の患者にはあまり使用されない。 脳圧、眼圧を上昇させるため、脳外科の手術や緑内障患者には使用されにくい。 精神的な副作用や脳圧の上昇はベンゾジアゼピンの併用で少なくなるともいわれる。 気管支は拡張し呼吸抑制作用は少ないが分泌物が多くなるため注意が必要。
嘔吐中枢の化学受容器引き金帯を刺激し、嘔吐を誘発する。
内臓に対する効果よりも体の浅層における麻酔効果が高く、麻酔から覚醒した後も鎮痛作用は持続している。 このため皮膚表面の手術に使用されることが多い。
即効性の抗うつ作用があり投与から2時間で効果が現われることが臨床試験で示された[3]。
ロシアで薬物乱用の専門治療を行う精神科医のエフゲニー・クルピツキーは、20年間にわたり麻酔薬のケタミンを幻覚剤として利用するアルコール依存症の治療を行ってきたが、111人の被験者のうち66%が少なくとも1年間禁酒を継続し、対象群では24%であった[4]などのいくつかの報告[5][6]がある。また、ケタミンはヘロインの依存症患者に対しても薬物の利用を中断する効果が見られた[7][8]。アヘンの禁断症状を減衰させるという報告もある[9]。
代謝による半減期はおよそ3時間。 持続投与された場合、蓄積はされにくいが、代謝産物にも作用がある。 モルヒネの耐性形成を抑制し退薬発現を抑制することが報告されている。
本来は主に動物病院での麻酔に使われる薬であるが、解離性麻酔薬であるため、ヒトがこの粉末を鼻孔吸入、もしくは経口摂取・静脈注射した場合、一種の臨死体験様作用が得られることから、不正な密輸入および若者の間での乱用が問題となり、厚生労働省はケタミンを麻薬及び向精神薬取締法に基づく「麻薬」に指定することを決めた。この指定は、医療用等の用途に対する代換品移行措置期間も考慮し、施行は2007年1月1日となっている。
乱用した場合は臨死体験などの幻覚作用があり、悪夢を見るという副作用もある。LSDと同様、サイケデリック系の薬物として知られるため、一時期は「K」「スペシャルK」などという隠語で呼ばれトランス系の音楽を流すクラブで多く流通したこともある。だが、ケタミンは本来の用途が麻酔薬であるため、LSDとは反対に精神状態は沈静化するので、テンションを上げたい乱用者の間では不人気であった。
ワインドアップ現象を抑制するため、ニューロパシックペインなどの慢性疼痛の治療でその効果は見直されているが、麻薬に指定されたことにより使用は制限されている。(海外では内服薬も使用されている)
日本では麻酔銃に必須だったケタミンが麻薬指定されたことにより、動物の捕獲に支障を来たしていることから、代替薬の研究が行われ、代替品が使用されるようになってきているが、ケタミン以上に便利な薬品は見つかっていない。
野犬捕獲等、野外で使用される塩酸ケタミンの代替薬品検討のための室内実験において、塩酸ケタミンと塩酸メデトミジンの混合注射と同等の効果が、塩酸キシラジン、塩酸メデトミジン、ミダゾラムの任意の2種類の組み合わせで得られたという報告がある[10]。
アメリカではスケジュールⅢであるため、獣医師や保護官などは麻薬免許無しでも取り扱えるので、問題化していない。
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ケタラール静注用50mg
手術の少なくとも6時間前から絶飲絶食とし、アトロピン硫酸塩水和物等の前投薬を行い、次いで本剤の1回量を緩徐に静注する。麻酔の維持には、本剤の追加投与を行うが、手術の時間が長くなる場合には点滴静注法が用いられる。投与速度は最初30分間が0.1mg/kg/分、それ以後は0.05mg/kg/分を一応の基準として、必要に応じ若干これを増減し、手術終了の30分前に投与を中止する1, 2)。なお、手術の種類によっては、吸入麻酔剤に切り替える。また必要によりスキサメトニウム塩化物水和物等の筋弛緩剤を併用する。
0.1%未満
なお、観察を十分に行い、呼吸抑制の症状があらわれた場合には、補助呼吸を行うなど適切な処置を行うこと。
0.59%
頻度不明
イ)覚醒時反応を防ぐには、回復期の早期に患者に話しかけたりするような不必要な刺激は避けること。また、完全に覚醒するまで患者のバイタルサインを監視するなど、全身状態の観察を十分に行うこと。
ウ)覚醒時反応を予防するために、ジアゼパム、ドロペリドール等の前投薬を行うことが望ましい(「相互作用」の項参照)。
エ)興奮、錯乱状態等の激しい覚醒時反応に対する処置としては、短時間作用型又は超短時間作用型バルビツール酸系薬剤の少量投与、あるいはジアゼパム投与を行うことが望ましい(「相互作用」の項参照)。
喘息患者にケタミン1?2mg/kgを静注した場合、発作を誘発又は増悪することはないが、気管支痙縮を軽減する作用はない19, 20)。
なお、急速静脈内投与により筋緊張が亢進することがある。
ギ酸に極めて溶けやすく、水又はメタノールに溶けやすく、エタノール(95)又は酢酸(100)にやや溶けにくく、無水酢酸又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
国試過去問 | 「109G026」「078B073」 |
リンク元 | 「吸入麻酔薬」「脳血流」「WHO方式癌疼痛治療」「静脈麻酔薬」「ドラッグチャレンジテスト」 |
拡張検索 | 「ケタミンテスト」 |
B
※国試ナビ4※ [109G025]←[国試_109]→[109G027]
化合物名 | 分子式 | 小さいほど強力 | 小さいほど効きが早い | 特徴 | 麻酔に必要な条件 | |||
MAC | 血液ガス分配係数 | 意識消失 | 鎮痛 | 筋弛緩 | 反射抑制 | |||
笑気 | N2O | 101 | 0.47 |
|
△ 低MAC | ○ | × | ? |
イソフルラン | F3C-CH(Cl)-O-CHF | 1.15 | 1.48 |
|
○ | × | ○ | ? |
セボフルラン | FH2C-O-CH(CF3)2 | 1.71 | 0.63 |
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○ | × | ○ | ? |
ハロタン | F3C-CHClBr | 0.76 | 2.3 |
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○ | × | △ | ? |
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脳血流 | 脳代謝量 | 頭蓋内圧 | CO2反応性 | 自己調節能 | ||
静脈麻酔薬 | プロポフォール | ↓↓ | ↓ | ↓ | → | → |
バルビツレート | ↓ | ↓ | ↓ | → | → | |
フェンタニル | →↓ | →↓ | →↓ | → | → | |
レミフェンタニル | →↓ | →↓ | →↓ | → | → | |
ケタミン | →↑ | →↑ | →↑ | → | → | |
吸入麻酔薬 | セボフルラン | →↑ | ↓ | →↑ | → | →↓ |
イソフルラン | →↑ | ↓ | →↑ | → | ↓ | |
ハロタン | ↑↑ | ↓ | ↑ | → | ↓ | |
亜酸化窒素 | →↑ | →↑ | →↑ | → | →↓ |
分類 | 投与経路 | 薬剤名 | 脳血流 | 脳代謝量 |
麻酔薬 | 静脈 (静脈麻酔薬) |
プロポフォール | ↓↓ | ↓ |
バルビツレート | ↓ | ↓ | ||
ミダゾラム | ↓ | ↓ | ||
ケタミン | ↑↑ | ↑ | ||
吸入 (吸入麻酔薬) |
亜酸化窒素 | ↑ | ↑ | |
セボフルラン | ↑ | ↓ | ||
イソフルラン | ↑ | ↓ | ||
ハロタン | ↑↑ | ↓ | ||
鎮痛薬 | 静脈 | フェンタニル | ↓ | ↓ |
レミフェンタニル | ↓ | ↓ |
分類 | 薬剤名 | 脳血流 | 脳酸素消費量 |
吸入麻酔薬 | 亜酸化窒素 | ↑↑ | ↑ |
ハロタン | ↑↑ | ↑ | |
イソフルラン | ↑ | ↓↓ | |
セボフルラン | →↑ | ↓↓ | |
静脈麻酔薬 | チオペンタール | ↓↓ | ↓↓ |
プロポフォール | ↓↓ | ↓ | |
フェンタニル | → | → | |
ケタミン | ↑↑ | ↑ |
薬剤群 | 代表薬 | 代替薬 |
非オピオイド鎮痛薬 | アスピリン | コリン・マグネシウム・トリサルチレート) |
アセトアミノフェン | ジフルニサルa) | |
イブプロフェン | ナプロキセン | |
インドメタシン | ジクロフェナク | |
フルルビプロフェン※1 | ||
弱オピオイド (軽度から中等度の強さの痛みに用いる) |
コデイン | デキストロプロポキシフェンa) |
ジヒドロコデイン | ||
アヘン末 | ||
トラマドールb) | ||
強オピオイド (中等度から高度の強さの痛みに用いる) |
モルヒネ | メサドンa) |
ヒドロモルフォンa) | ||
オキシコドン | ||
レボルファノールa) | ||
ペチジンc) | ||
ブプレノルフィンa) | ||
フェンタニル※2 |
興奮性麻酔薬 | 抑制性麻酔薬 | |
例 | ケタミン | バルビツレート プロポフォール |
脳自発的活動 | ↑ | ↓ |
血圧 | ↑ | ↓ |
交感神経活動 | →↑ | ↓ |
脳酸素消費量 | ↑ | ↓ |
脳血流 | ↑ | ↓ |
頭蓋内圧 | ↑ | ↓ |
鎮痛作用 | 強い | 弱い |
麻酔導入が早い、全麻の導入、ごく短時間の痛みの少ない手術、検査 抗麻痺や、脳保護薬としても使われる 鎮痛、筋弛緩作用がないため併用が必要 急性間欠性ポルフィリン症は禁忌 ヘム合成系路の酵素欠損によって起こる 気管支喘息の患者には使用禁忌 サイトカインが出るから ○:強力な催眠作用 ×:組織刺激性あり。静脈注射のみ 細胞膜にはGABA依存性のCl-チャネル(GABAA受容体=イオンチャネル共役型受容体)が存在し、バルビツール酸結合部位、ベンゾジアゼピン結合部位、GABA結合部位を有している。 3つの部位が独立に作用がある。相加的に働く。 GABAB受容体は7回膜貫通タンパク質である。 作用は バルビツール酸>ベンゾジアゼピン
試験薬剤 | 痛みの発生機序 | 試験が陽性の 場合に行う治療法 | |||||
交感神経の関与 | 中枢性 | 心因性 | 神経の異所性異常活動 | NMDA受容体の関与 | 侵害受容性疼痛 | ||
チアミラール | - | ● | ● | - | - | - | ペントバルビタールカルシウム内服 脊髄・脳電気刺激療法 |
フェントラミン | ● | - | - | - | - | - | 交感神経節ブロック 局所静脈内交感神経ブロック |
リドカイン | - | - | - | ● | - | - | リド力イン点滴静注 メキシレチンの内服 |
ケタミン | - | ● | - | - | ● | - | デキストロメトルファンの内服 ケタミン持続点滴療法 脊髄・脳電気刺激療法 |
モルヒネ | - | - | - | - | - | ● | リン酸コデイン、モルヒネの内服 知覚神経ブロック 消炎鎮痛薬の内服 |
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