- 英
- home oxygen therapy, HOT、(欧米)long-term oxygen therapy LTOT
- 同
- 家庭酸素療法
- 関
- 酸素、酸素療法
概念
- 1985年に医療保険の適用
- HOTを導入されている患者:約10万人(2002年)、約13万人(2008年?)
- 疾患別HOT導入患者数:COPD(約半数) > 肺結核後遺症 > 肺線維症 > 肺癌
目的
- 生命予後改善、運動耐容能の改善、QOLの向上
- 低酸素血症の持続による全身的な臓器障害の予防、生存期間の延長
- 呼吸困難感の軽減や運動耐容能の改善および入院回数の減少 → QOL改善
対象疾患
保険上の適応
- 種々の原因による呼吸不全症例であって(慢性呼吸不全で少なくとも1か月以上病態が安定していること)、(1)もしくは(2)であるもの。
社会保険の適用基準 - 日本呼吸リハビリテーション学会
- 医科点数表記改定点の解釈 平成 26 年 4 月版
対象疾患
- 1: 高度慢性呼吸不全例
- 2: 肺高血圧症
- 3: 慢性心不全
- 4: チアノーゼ型先天性心疾患
高度慢性呼吸不全例の対象患者
- 動脈血酸素分圧(PaO2)が 55 Torr 以下の者、および PaO2 60 Torr 以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者。適応患者の判定に、パルスオキシメータによる酸素飽和度を用いることは差
し支えない。
慢性心不全の対象患者
- 医師の診断により、NYHA Ⅲ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1 時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう)が 20 以上であることが睡眠ポリグラフィー上で確認されている症例。
チアノーゼ型先天性心疾患について
- チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素または無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。
装置
- 酸素濃縮装置/酸素濃縮器(膜型・吸着型):空気から酸素を取り出す方式 ← 9割以上の症例で
- 液体酸素:外出の機会の多い活動度の高い症例のみ
- 酸素ボンベ
- その他:(外出用)携帯用酸素ボンベ、(長時間利用できるタイプ:吸気時にのみ酸素を供給)節約装置
導入
- 在宅酸素療法の導入には入院でおこない、酸素流量の決定と患者さんの学習が行われる。
治療目標
- 酸素流量の決定:動脈血酸素飽和度により低酸素状態を評価。デバイスとしてパルスオキシメーターが許容されているが、動脈血液ガス検査を施行することが好ましい。
- 在宅酸素療法で用いる機械をベットサイドに用意、3つの状況(安静時、睡眠時、労作時)毎に酸素流量を決定する。
- 安静時:(1)高CO2血症を伴わない症例:PaO2 80-100Torr。高CO2血症を伴う症例:PaO2 70Torr前後。
- 睡眠時:睡眠中SpO2が90%以上。REM睡眠期に低酸素の著しい症例では高CO2血症に陥ることがある。
- 労作時:6分間歩行テストがSpO2が90%以上。目安:「COPD・肺結核後遺症」安静時の1-2L/分増し。「肺線維症」安静時の3倍
ガイドライン
参考
- http://rockymuku.sakura.ne.jp/kokyuukinaika/zaitakusannsoryouhounotekiyou.pdf
- http://www.zaitakusansoryoho.com/hot/h04.html
- http://nsleep.com/hp/home-care/ho-hot/ho-hot.htm
- http://www.jrs.or.jp/home/modules/glsm/index.php?content_id=48
- 5. 酸素療法マニュアル - 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- http://www.jsrcr.jp/uploads/files/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E7%99%82%E6%B3%95%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/07 23:45:01」(JST)
[Wiki ja表示]
酸素吸入(さんそきゅうにゅう)とは、空気よりも高濃度の酸素を人為的に吸入することである。医療や健康増進などの目的で行なわれる。
目次
- 1 急性期ケアにおける酸素吸入
- 1.1 目的
- 1.2 適応
- 1.3 装置および器具
- 1.4 診療報酬
- 1.5 潜水事故バイスタンダーによる酸素供給について
- 2 慢性期ケアにおける酸素吸入
- 3 副作用
- 4 脚注
- 5 参考文献
- 6 関連項目
急性期ケアにおける酸素吸入[編集]
目的[編集]
酸素療法の第1の目的は、吸入酸素濃度(FiO2)を増加させて、動脈血酸素分圧(PaO2)を正常に保ち、組織に十分な酸素を供給することである。また、肺胞酸素分圧(PAO2)が70mmHg以下になると低酸素性肺血管攣縮を起こし、肺高血圧症の原因となることから、これを防ぐことも目的のひとつである。
適応[編集]
低酸素血症とは、動脈血中PaO2が正常域値を下回った状態と定義される。
- ルームエア呼吸下でPaO2<60 torr、またはSaO2<90%。あるいはPaO2および/あるいはSaO2が特別な臨床的状況に関して好ましい範囲を下回った状態をいう。
- 低酸素血症が疑われる急性ケアの例。治療開始後の一定時間内に低酸素血症が認められた場合。
- 重症外傷。
- 急性心筋梗塞。
- 短期間の治療あるいは外科的治療。
装置および器具[編集]
酸素供給装置は、患者の吸気流量と酸素供給流量の関連から、低流量と高流量に分けられる。低流量のものは、経済的で侵襲度が低い一般的な酸素供給方法である。一方高流量のものは、酸素供給流量を患者吸気流量より高く設定するので大気の混入がなく、患者の換気状態が変化しても設定したFiO2を維持できる。
吸入器具としては、鼻腔カニューレ(nasalと通称されることが多い)、単純なフェイス・マスク、リザーバー付きのフェイス・マスクの3種が多用される。それぞれの器具を使用した場合の吸入酸素濃度(FiO2)は下表のとおりである。
鼻腔カニューレの場合 |
酸素マスクの場合 |
リザーバー付マスクの場合 |
100%酸素流量(l/min) |
FiO2(%) |
100%酸素流量(l/min) |
FiO2(%) |
100%酸素流量(l/min) |
FiO2(%) |
1 |
24 |
5 |
40 |
6 |
60 |
2 |
28 |
6 |
50 |
7 |
70 |
3 |
32 |
7 |
60 |
8 |
80 |
4 |
36 |
|
|
9 |
90 |
5 |
40 |
|
|
10 |
99 |
6 |
44 |
診療報酬[編集]
診療報酬上、医療機関での酸素吸入は処置に区分けされている。
潜水事故バイスタンダーによる酸素供給について[編集]
上記の適応には上げられていないが、減圧症(DCS)および動脈空気塞栓(AGE)に対しても酸素投与が有効であるとされている。これらの障害に対して最終的には高圧酸素療法が適用されるが、オンサイトでの大気圧酸素呼吸(NBO)は、適切な応急処置として推奨されている。これは、下記の根拠によるものとされている。
- 末梢組織に過飽和状態で溶け込んだ窒素が末梢血管内でバブルを形成するには、減圧終了後30分~1時間を要するとされ、末梢組織を傷害しているバブルは次第に大きくなっていく。100%の酸素を呼吸すると数分で肺の中の空気は全酸素に置き換えられ、30分以内に動脈血の窒素(78%)は、オキシジェン・ウィンドウ[1]理論により、酸素に置き換えられる。なお、高圧酸素療法においては、気泡の全圧も上昇して圧勾配がさらに大きくなることから、より効果的となる。
- この結果、末梢組織の過剰な窒素は毛細管壁を通って静脈血側に追い出され、気泡の増大を阻止するとともに、すでにできてしまったバブルも酸素に置き換えられ、バブルを縮小する。
- バブルは末梢の血流を阻害しているが、それには白血球やリンパ球が関与した赤血球凝集が原因となる。酸素分圧が高い状態では、赤血球凝集を阻止できる。
オンサイトでのNBO実施は、既に欧米では実績を上げている。例えばDANヨーロッパで行なわれた研究では、NBO非実施群では再圧治療開始までに症状が緩解ないし消滅したのは3.7%にすぎなかったのに対し、NBO実施群では60.8%に達している。しかし日本においては、オンサイトでNBOを実施しうる資格を有するダイバーがあまりに少ないと指摘されている。
オンサイトNBOにおいては、病室での酸素投与とは異なり、酸素の供給源に限りがあることから、デマンド式の機材が使用されることが多い。また、高圧酸素療法が可能になるまでの応急処置としての性格が強いことから、極力高濃度の酸素投与が推奨されることも特徴である。ただし、酸素による肺障害のリスクを考慮して、DANのガイドラインは、NBOが6時間を越えないように求めている。またオンサイトNBOでは、洞穴潜水など環境圧が高い状況での酸素投与も想定されるため、中枢神経系における酸素中毒にも留意すべきである。
慢性期ケアにおける酸素吸入[編集]
呼吸器疾患などの患者は、長期的に高濃度の酸素を吸入しなければいけないため、医師の処方指導の元自宅で日常生活をしながら酸素を吸入する在宅酸素療法(en)(home oxygen therapy 略称HOT)が行なわれている。これには短期間の医療機関の入院を行い動脈血液の酸素ガス濃度を測りながら酸素流量を調節し使用酸素濃度を調節するなど厳密な管理が必要である。また、外出中でも携帯装置で酸素を吸入することもできる。
装置および器具[編集]
自宅・携帯用の酸素を出す装置には、以下のものがある。
- 酸素濃縮器
- ランニングコストはほぼ電気代のみであり(レンタルの場合はレンタル料も)、酸素ボンベと比較するとランニングコストが安い。自宅では高濃度型の酸素濃縮器、外出時は携帯用酸素ボトルを使用する例が一般的。
- 携帯酸素発生器
- 二種類の薬剤と水を専用のプラスティックボトルに入れて100%の酸素をおよそ10分間発生させる器具がある。近年、航空機へはテロ対策として酸素ボンベなど酸素を発生する器具類は安全確保のため手荷物として持ち込むことが出来ない。しかし、この薬剤と水を反応させる携帯用の酸素発生器は、航空機へ載せることが出来る唯一の酸素発生器で、登山や高地への旅行には高山病予防に欠かせない器具である。
- 液体酸素容器
- 一般的には液体酸素が充填されている容器を「液酸容器」という。これは凍傷など各種の危険性が伴うため、家庭に設置する場合は許可や使用訓練が必要であるが近年より簡便に使用出来るようになりライフラインに左右される事の無い事から使用例が増えつつある。自宅には液酸容器、外出時は携帯用液体酸容器に自分で充填して使用するか、携帯用酸素ボトルを使用する。電気代は電池代だけである。
- 携帯用酸素ボトル(酸素瓶)
- 外出時に使用する、気体の酸素を充填している高圧容器である。空になったら再充填して使用する。日本では酸素ボトルのことを酸素ボンベと呼ぶ場合もある。医療用のものはグラスファイバー製で軽く航空機への持ち込みも許可されるものが多い。(届け出は必要)なお携帯用酸素ボトルは、家庭で充填できる機器も存在する(インバーケア製)。呼吸に合わせて酸素を出したり止めたりする酸素節約装置(酸素セーバー)という機器を使って使用するのが一般的である。アルミ製缶に酸素を充填した使い捨ての小型酸素ボンベも市販されている、酸素バルブを接続し流量を調整して使用するがきわめて短時間の使用しか出来ない(およそ9分)
- 携帯用液体酸素容器
- 外出時に液体酸素を常圧で保冷して携帯するための容器である。携帯用酸素ボンベの大きさに比べて、小型かつ軽量な機種がほとんどで、携帯用酸素ボンベに比べて長時間の外出が可能である。近年その携帯性と長時間利用可能なメリットとより簡便な利用が可能になり使用する例が増えて来つつある。(航空機への持ち込みは出来ない)デメリットは、酸素を低温で液体状態にして魔法瓶のような構造の容器で保存する関係上、利用しなくても徐々に蒸発していく事で、保存しておける時間は、ヘリオスリザーバーで約57日、ヘリオスポータブルで約18時間である。
- 酸素発生器・酸素缶
- 酸素発生器は水の中にタブレットを投入し水との化学反応で酸素が発生する機器だが一度反応を始めたら止める事は出来ないし使用可能時間も少ない、また、酸素缶は一般的に良く売られているスプレー缶に酸素を詰めたもので連続使用には不向で、それぞれ一時的に気分が悪くなった場合などに使用するのが一般的である。
いずれの容器、装置を使用する場合でも、火気厳禁(最低2m、できれば5m範囲)である。
副作用[編集]
酸素吸入に関して警戒すべき副作用としては、未熟児においては未熟児網膜症による失明、慢性呼吸不全患者においては炭酸ガスナルコーシスによる自発呼吸の停止および意識障害がある。また、高濃度酸素の長時間吸入による酸素中毒症や吸収性無気肺なども発生しうるほか、活性酸素を増やすため、場合によっては弊害もあるとの説もある。そのため医療機関では厳密な酸素濃度管理を行い過度の血中酸素ガス濃度にならないよう管理している。
脚注[編集]
- ^ オキシジェン・ウィンドウとは、組織での酸素消費によって肺胞気、動・静脈血の全圧の間に較差が生じることをさしたもので、これは呼吸する酸素分圧に比例して増大することから、酸素吸入によって肺・組織間のオキシジェン・ウィンドウが増大すると、気泡と組織の間の圧勾配が大きくなり、気体の拡散が促進されて気泡は縮小することになる。
参考文献[編集]
- 大岩弘典『新しい潜水医学』水中造形センター, 2003年
関連項目[編集]
- 酸素
- 酸素濃縮器
- 酸素バー
- 酸素カプセル
- 高気圧酸素治療
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Premium Edition 早川教授の薬歴添削教室 : 「オーディット」で薬歴をレベルアップ! 在宅酸素療法実施中のCOPD患者へのケア
- 早川 達,A,B [他]
- 日経ドラッグインフォメーションpremium (181), PE17-24, 2012-11
- 北海道薬科大学薬物治療学分野教授。POS(Problem Oriented System)に基づく薬歴管理の第一人者。著書に『POS薬歴がすぐ書ける「薬歴スキルアップ」虎の巻』基本疾患篇、慢性疾患篇、専門疾患篇など。 今回は、友愛薬局勝田台店に来局した74歳男性、花岡二郎さん(仮名)の薬歴をオーディットしました。
- NAID 40019486677
- 石井 芳樹
- Dokkyo journal of medical sciences 39(3), 245-249, 2012-10-25
- … 境衛生の悪化によって発症する疾患,さらに災害によるライフラインの途絶や医薬供給の途絶による医療サポートの欠如などである (表1).呼吸器疾患領域においては,停電により慢性呼吸不全患者に対する在宅酸素療法や在宅呼吸器管理ができなくなる問題,被災による寒冷曝露や粉塵曝露による感冒や肺炎への罹患,口腔衛生状態悪化による誤嚥性肺炎の増加,集団避難所などにおける伝染性疾患の流行,常用薬の紛失や入 …
- NAID 110009493549
- 在宅酸素療法患者の外出を支援する追従型搬送移動体の開発 (第29回日本ロボット学会学術講演会論文特集号(2))
- 慢性肺疾患の予防戦略 (特集 新生児医療 : up to date)
Related Links
- 在宅酸素療法(HOT)についての医学的情報と在宅酸素療養者の生活を応援する在宅 酸素療法専門サイトです。呼吸のしくみと病気、在宅酸素療法とはの2つのテーマに 分かれたコンテンツがあり、基礎的な知識から導入までの手順を詳しく解説しています。
- 在宅酸素療法(HOT)導入までの流れをわかりやすく説明します。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、 66~ 68の問いに答えよ。
- 72歳の女性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。
- 現病歴:約半年前から労作時の呼吸困難を自覚していた。当初は階段や急な坂を登る時のみであったが次第に悪化し、より軽い労作でも呼吸困難を感じるようになった。現在では 2. 3分の平地歩行でも呼吸困難を自覚するようになったが、安静時には症状はない。
- 既往歴: 20歳時に副鼻腔炎手術。 38歳時に子宮筋腫手術。 10年前から高血圧症に対し内服治療中。
- 生活歴:喫煙歴はない。 1年前から室内でネコを飼っている。
- 家族歴:夫が 3年前に肺癌で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 152 cm、体重 52 kg。体温 36.1℃。脈拍 88/分、整。血圧 122/68 mmHg。呼吸数 18/分。 SpO2 97% ( room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張と口唇のチアノーゼとを認めない。心雑音を聴取しないが胸骨左縁第 2肋間で II音の亢進を認める。呼吸音は正常で、呼吸副雑音を聴取しない。腹部診察で異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)。血液所見:赤血球 396万、 Hb 13.0 g/dl、Ht 38%、白血球 6,800、血小板 23万、 Dダイマー 3.6 μg/ml(基準 1.0以下 )。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dl、アルブミン 4.2 g/dl、総ビリルビン 0.7 mg/dl、AST22 IU/l、ALT 20 IU/l、LD 256 IU/l(基準 176.353)、尿素窒素 10 mg/dl、クレアチニン 0.6 mg/dl、Na 139 mEq/l、K 4.9 mEq/l、Cl 109 mEq/l、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉140 pg/ml(基準 18.4以下 )。 CRP 0.2 mg/dl。
- 平地歩行をしてもらったところ 1分程度で強い息切れを訴え、その時の SpO2は78% ( room air)であった。
- 今後の治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108E067]←[国試_108]→[108E069]
[★]
- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 58歳の女性。腰背部の激痛を訴え、家族に付き添われ来院した。
- 現病歴 : 慢性関節リウマチで15年間治療中であり、5年前に右膝人工関節置換術を受け、現在は少量の副腎皮質ステロイド薬と非ステロイド性抗炎症薬とを中心に服用中である。特に誘因なく4日前から増悪する腰背部痛を自覚した。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長154cm、体重46kg。円背があり、胸背移行部に強い自発痛と叩打痛とがあり、坐位保持は30分間が限度である。神経学的には明らかな脊髄症状はみられない。手指変形と多発性関節痛とがある。屋内は伝い歩きが可能であるが、屋外歩行は困難である。
- 検査所見 : 胸腰椎エックス線単純撮影で第7、8、9及び12胸椎に圧迫骨折が認められる。
- 経過 : 以上の所見から入院となった。体幹装具を作製し、歩行訓練を始め、杖歩行が可能となった。4週経過し退院準備中である。なお本人の自宅居室は1階にある。退院前検査所見:血液所見:赤血球370万、Hb 10.5g/dl、白血球6,000。血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン3.5g/dl。CRP2.3mg/dl(基準0.3以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):PaO2 80Torr、PaCO2 40 Torr。胸部エックス線写真で軽度の間質性肺炎の所見がみられる。
- a. 住居新築
- b. 安静臥床
- c. 在宅酸素療法
- d. 電動車椅子使用
- e. 日常生活動作指導
[正答]
※国試ナビ4※ [096F048]←[国試_096]→[096F050]
[★]
- 次の文を読み、39、40の問いに答えよ。
- 72歳の男性。歩行時に急苦しさが強くなってきたので来院した。
- 現病歴 : 半年前から坂道を登るときに急が苦しくなり、最近では平坦な道を多くときも苦しくなってきた。長時間の歩行は困難で休みながらでないと歩けない状態である。咳や痰を自覚することは少ない。
- 嗜好 : 喫煙は30本/日を50年間であったが、半年前から禁煙している。
- 現症 : 身長172cm、体重54kg。呼吸数18/分。脈拍86/分、整。血圧136/80mmHg。頚静脈の怒張はない。胸郭はビア樽状を呈する。腹部は平坦で肝を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤沈36mm/1時間、赤血球485万、Hb14.5g/dl。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.8g/dl、AST〈GOT〉18単位(基準40以下)、ALT〈GPT〉16単位(基準35以下)、LDH360単位(基準176~353)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):PaO2 55Torr、PaCO2 43Torr。スパイロメトリ:VC 3,100ml、%VC100%、FEV1.0% 39%。胸部エックス線写真で肺の過膨張、横隔膜の平低化および滴状心を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F039]←[国試_096]→[096F041]
[★]
- 74歳の男性。背部痛と呼吸困難とを主訴に来院した。膵体部癌切除術後に有痛性の多発性肺転移をきたしたが積極的な治療は望まず、 1か月前から自宅近くの診療所で経口モルヒネを処方され内服していた。 5日前に体動時の背部痛を認め、それを契機に徐々に息苦しさを感じるようになったため紹介されて受診した。意識は清明。身長164cm、体重48kg。体温36.7℃。脈拍76/分、整。血圧120/70mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 97%(room air)。血液所見:赤血球302万、 Hb7.8g/dL、 Ht29%、白血球2,600、血小板8.0万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.7g/dL、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、総ビリルビン2.1mg/dL、AST 47IU/L、 ALT 68IU/L、 ALP378IU/L(基準115-359)、 γ-GTP67IU/L(基準8-50)。食事の経口摂取は可能で、食欲も保たれている。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E040]←[国試_106]→[106E042]
[★]
- 70歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。3年前から労作時の息切れを自覚し、徐々に増悪するため受診した。夜間睡眠中には自覚症状はない。43歳時に心房中隔欠損症の手術歴がある。気管支喘息の既往はない。喫煙は 20本/日を47年間。3年前から禁煙している。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 134/70mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 97%(room air)。6分間歩行試験ではSpO2の最低値は91%であった。胸部聴診では呼吸音は減弱し、軽度のrhonchiを聴取する。心エコー検査では、左室駆出率は保たれ推定肺動脈圧の上昇も認めない。呼吸機能所見:VC 3.40L、%VC 92%、FEV1 1.30L、FEV1% 38%。胸部エックス線写真(別冊No. 32A)と胸部CT(別冊No. 32B)とを別に示す。
- 初期治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 抗菌薬の投与
- b 在宅酸素療法
- c 副腎皮質ステロイド吸入薬の投与
- d 長時間作用性吸入β2刺激薬の投与
- e 長時間作用性吸入抗コリン薬の投与
[正答]
※国試ナビ4※ [112A065]←[国試_112]→[112A067]
[★]
- 71歳の女性。労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した。約10年前にCOPDと診断された。1年前からⅡ型呼吸不全をきたしたため在宅酸素療法(1L/分)を行っている。前回外来診察時には呼吸数20/分、SpO2 94%(鼻カニューラ 1L/分酸素投与下)であった。数日前より労作時呼吸困難が悪化したため、家族に付き添われて受診した。外来待合室で30分くらい前から居眠りをしていた。付き添いの家族が呼びかけに応答しないことに気付いて、看護師に声をかけた。脈拍 104/分、整。血圧 144/92mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 91%。吸入酸素量を確認したところ、5L/分であった。家族によると、タクシーを降りてから待合室まで歩行したところ、呼吸が苦しくなったので本人が酸素量を増やしたとのことであった。
- 現時点で必要ないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C045]←[国試_113]→[113C047]
[★]
- 72歳の男性。肺結核による胸郭成形術を行い、長年にわたり在宅酸素療法を行っている。通常の酸素投与量は0.25L/分である。担当医の指示どおり、パルスオキシメーターを購入し、労作時や労作後の酸素飽和度を自己測定し、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が90%以下に低下したときは、90%以上に戻るまで酸素吸入量を一時的に調節する自己管理を行っていた。本日夕方から、SpO2が80%近くに低下したので酸素吸入量を0.5L/分に増やし1時間様子を見ていたが、SpO2は90%を超えなかった。呼吸困難の程度は普段と変わりはなかった。
- 電話で相談を受けた当直医の指示で正しいのはどれか。
- a 「苦しくなければ心配ありません」
- b 「絶対安静にして様子を見て下さい」
- c 「すぐに来院するようにして下さい」
- d 「次回の予約日に外来を受診して下さい」
- e 「酸素吸入量を4L/分へ上げて吸って下さい」
[正答]
※国試ナビ4※ [104H028]←[国試_104]→[104H030]
[★]
- 63歳の男性。動悸と労作時息切れとを主訴に来院した。3年前の健康診断で心拡大を指摘されたが無症状であるため医療機関を受診しなかった。1週前から動悸を自覚するようになり、坂道を歩くと息切れを感じるため受診した。脈拍 104/分、不整。血圧 122/78mmHg。SpO2 97%(room air)。胸骨左縁第2肋間を最強点とする収縮期雑音とII音の固定性分裂とを聴取する。肝を3cm触知する。下腿に軽度の浮腫を認める。12誘導心電図(別冊No. 26A)、胸部エックス線写真(別冊No. 26B)及び心エコー図(別冊No. 26C、D)を別に示す。
- 今後の方針として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D053]←[国試_109]→[109D055]
[★]
- 91歳の女性。肺炎で入院中である。脳梗塞の後遺症で3年前から要介護4となり、長男(68歳)とその妻(64歳)の居宅で介護サービスを利用していた。肺炎はほぼ治癒したが、著しい嚥下障害を認めたため、 7日前から経管経腸栄養を開始した。現在、意識レベルはJCS I-1であり、栄養状態は良好である。皮膚に褥瘡や深部静脈血栓症を疑う所見を認めない。退院に向けた準備を進めることとなった。
- 退院後のケア計画に関連する要素のうち、現時点で最も重要性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H026]←[国試_106]→[106H028]
[★]
- 69歳の男性。全身倦怠感と食欲不振とを主訴に来院した。2年前に進行胃癌のため胃全摘術を受けた。その後受診をしなかったが、3か月前から倦怠感を自覚し、最近食欲不振が増強して食事摂取量が平常時の1/3以下となったため、不安になり受診した。身長 170cm、体重 45kg。体温 36.2℃。脈拍 80/分、整。血圧 130/70mmHg。呼吸数 14/分。胸部エックス線写真で多発肺転移を認め、腹部CT及び超音波検査で多発肝転移と軽度の腹水貯留とを認めた。悪心、嘔吐、呼吸困難および疼痛を認めず、患者と家族は在宅医療を希望している。
- 今後の方針として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A023]←[国試_112]→[112A025]
[★]
- 52歳の男性。就寝中のいびきを主訴に来院した。会社で日中の居眠りが多く、最近、注意力の低下を自覚している。妻にいびきがひどいことを指摘され受診した。飲酒はビール1,000ml/日を18年間。身長165cm、体重90kg。ポリソムノグラフィにて無呼吸指数52(基準5未満)。
- この患者について適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 在宅酸素療法を行う。
- b 体重を減らすよう指導する。
- c ビール1,000ml/日程度の飲酒は問題ない。
- d 向精神薬を投与して睡眠をコントロールする。
- e 睡眠中に経鼻的持続的気道陽圧法による呼吸管理を行う。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G056]←[国試_105]→[105G058]
[★]
- 48歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。15年前から咳と痰とが持続している。数か月前から黄色痰を伴う咳が増悪し、1週前から血痰が出現した。両肺野にcoarse cracklesを聴取する。ばち指を認める。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.34、PaO2 53Torr、PaCO2 50Torr。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100H038]←[国試_100]→[100H040]
[★]
- 45歳の男性。胸痛のため来院した。身長167cm、体重83kg。脈拍84/分、整。血圧164/104mmHg。飲酒3合/日、喫煙40本/日。2か月前から階段を昇る時に前胸部痛が出現した。前医で行った24時間連続記録心電図で胸痛時にST低下が記録されている。呼吸機能検査で異常所見を認めない。
- この患者に必要でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F027]←[国試_097]→[097F029]
[★]
- a 高二酸化炭素血症には禁忌である。
- b 特発性肺線維症の生命予後を改善する。
- c 日本では肺結核後遺症が基礎疾患として最も多い。
- d 肺高血圧症は動脈血酸素分圧の値にかかわらず適応がある。
- e 運動時の酸素投与量はSpO2が80%以上を保つように設定する。
[正答]
※国試ナビ4※ [111H038]←[国試_111]→[111I002]
[★]
- 英
- home mechanical ventilation HMV
- 関
- 在宅酸素療法 HOT、人工呼吸
[★]
- 英
- home oxygen therapy
- 関
- 在宅酸素療法
[★]
- 英
- oxygen
- 関
- 空気、酸素療法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%B0%97
麻酔科
- 参考1
|
酸素
|
笑気
|
空気
|
二酸化炭素
|
医療ガス配管
|
緑
|
青
|
黄
|
橙
|
ガスボンベの色(日本)
|
|
|
|
緑
|
ピンインデックス
|
・ ・
|
・
・
|
・
・ ・
|
・ ・
|
ピン
|
2
|
2
|
3
|
2
|
角度(時計回り)
|
180
|
135
|
120
|
-90
|
参考
- http://www.eonet.ne.jp/~hidarite/me2/anzenkanri05.html
[★]
- 英
- oxygen therapy
- 同
- 酸素吸入療法、酸素治療 oxygen treatment、酸素投与 oxygen administration
- 関
- 在宅酸素療法
[★]
- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- therapy、regimen、cure、remedy、therapeutic
[★]
- 英
- home
- 関
- 家、ホーム