出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/04/16 22:41:05」(JST)
Pneumovax | |
ワクチン概要 | |
---|---|
病気 | 肺炎レンサ球菌 |
種別 | 結合ワクチン |
臨床データ | |
法的規制 |
|
識別 | |
ATCコード | J07AL (WHO) |
ChemSpider | none |
肺炎球菌ワクチン(はいえんきゅうきんワクチン)とは、細菌である肺炎レンサ球菌に対するワクチンである[1]。 このワクチンで肺炎、髄膜炎、敗血症の予防ができる[1]。 肺炎球菌ワクチンには二種類あり、1つは結合型ワクチンで、もう1つは多糖体ワクチンである[1]。 投与法は筋肉内注射または皮下注射である[1]。
世界保健機関は、結合型ワクチンの子供への定期的予防接種を推奨している[1]。またHIV/エイズの人にも勧められている[1]。 3回から4回の投与による重度の症状の予防効果は71%~93%である[1]。多糖体ワクチンは健康な大人への投与が効果的であり、2歳未満の子供や免疫機能の低い人への投与の効果はない[1]。
これらのワクチンは一般的に安全である[1]。統合型ワクチンの投与後、約10%の赤ちゃんに穿刺による赤み、発熱、睡眠の変化がみられる[1]。重度のアレルギーは非常に稀である[1]。
最初の肺炎球菌ワクチンが開発されたのは1980年代である[1]。このワクチンは世界保健機関の必須医薬品リストに記載されており、医療制度において必要とされる最も効果的で安全な医薬品である[2]。開発途上国での2014年の卸売価格は1投与およそ$17米ドルである[3]。 米国では1投与$25~$100米ドルである[4]。
1927年米国メルク社によって開発が開始され、1940年6価の肺炎球菌ワクチンが実用化された[5]。1960年代以降、ペニシリンに薬剤耐性を示す肺炎球菌が出現し、1977年アメリカで14種類の莢膜多糖体を含む14価の肺炎球菌ワクチンPPV14が承認され、1983年に23価のPPV23となった[6]。日本ではPPV23が1988年に導入された[6]。
従来のポリサッカロイド肺炎球菌ワクチンでは、小児では実用性がないが、ヒブワクチンで初めて実用化された、抗原タンパク質を結合させる結合型ワクチンによって、これが可能となり小児用の結合型肺炎球菌ワクチンが登場した[7]。
2000年には、アメリカでは、7つの血清型の肺炎球菌を標的とする小児用のPCV7が認可され、この型の感染が集団的に減少した[6]。日本では、PCV7の導入は2010年であり、2013年にはPCV13となった[6]。
日本では、小児用肺炎球菌ワクチンの販売会社であるワイス社は2007年に承認申請を行い、2008年にも同社のワクチンメディカルマネジャーである中村理子が、肺炎球菌ワクチンとHibワクチンとで細菌性髄膜炎を予防できるとして、日本での導入を訴えていた[8]。2009年にPCV7が承認され、またHibワクチンは2007年に導入され、島という条件が適した北海道での調査では2011年末までには髄膜炎の減少は観察されなかった[9]。
7種類の血清型を対象とする7価ワクチンによって侵襲性肺炎球菌疾患が引き起こされる割合は、2007年時点でアメリカでは83%とされ、一方アフリカではもっと多様な型が流行しており、また世界保健機関は13の血清型で各国の平均は70-75%とした[7]。
2013年のコクランレビューでは、侵襲性肺炎球菌感染症では予防効果が認められ、非侵襲性肺炎球菌性肺炎と、全ての肺炎では、予防効果はあるが証拠の信頼性は低く結論を導いていない[6]。
薬剤耐性を持つ菌の出現する可能性や、ワクチンに含まれている型以外の感染が増加するという血清型置換の現象が観察されている[10]。フランスでは初期の接種率の低さと型置換もあり、PPV7導入後の髄膜炎と侵襲性肺炎の減少は、31%と14%であり控えめであり、PPV14導入後接種率は高率であり、それぞれ20%、36%減少し、地域性肺炎も36%減少した[11]。
欧州において高齢者ではPPV23の導入後も、肺炎球菌による地域性の肺炎は生じている[12]。小児期のPCV13の導入後、英国での成人におけるワクチンに対応した型の肺炎球菌性疾患の罹患者は確認され、依然として高い負荷がある[13]。
痛み・腫れ・発赤は、PCV13接種者の約半分まで生じ8%は、重篤である[14]。臨床試験では、38度以上の発熱は、24-35%に生じている[14]。熱性けいれんは、PCV13で6,000から83,000人に1人、同時にインフルエンザワクチンを摂取した場合で、2,000から21,000人に1人[14]。
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病原体 | 感染症 | ワクチン | 学校伝染病 | ワクチンの形状 | 潜伏期間 | 季節性 | 年齢 | 出席停止解除条件 | |
ジフテリア菌 | Corynebacterium diphtheriae | ジフテリア | ジフテリア,破傷風,百目咳混合ワクチン | トキソイド | |||||
百日咳菌 | Bordetella pertussis | 百日咳 | ○ | 不活化 | 6~14 | 咳の消失 | |||
結核菌 | Mycobacterium tuberculosis | 結核 | BCG | ○ | 不活化 | 伝染のおそれが無くなるまで | |||
ポリオウイルス | poliovirus | ポリオ | ポリオワクチン(経口) | 生 | |||||
麻疹ウイルス | measles virus | 麻疹 | 麻疹・風疹混合ワクチン | ○ | 生 | 10~12 | 0~2 | 解熱後3日 | |
風疹ウイルス | rubella virus | 風疹 | ○ | 生 | 18 | 春~初夏 | 4~9 | 発疹消失 | |
日本脳炎ウイルス | Japanese encephalitis virus | 日本脳炎 | 日本脳炎ワクチン | 不活化 | |||||
インフルエンザウイルス | influenza virus | インフルエンザ | インフルエンザワクチン | ○ | 不活化 | 1~5 | 冬期 | 解熱後2日 | |
インフルエンザ菌 | Haemophilus influenzae | 化膿性髄膜炎など | Hibワクチン | ||||||
肺炎球菌 | Streptococcus pneumoniae | ||||||||
水痘・帯状疱疹ウイルス | varicella zoster virus | 水痘 | ○ | 生 | 11~21 | 冬(12, 1) | 5~9 | 発疹の痂皮化 | |
ムンプスウイルス | mumps virus | 流行性耳下腺炎 | ○ | 生 | 18~21 | 耳下腺腫脹消失 | |||
B型肝炎ウイルス | hepatitis B virus | B型肝炎 | 成分 | 60~160 | |||||
A型肝炎ウイルス | hepatitis A virus | A型肝炎 | 不活化 | 15~40 | |||||
狂犬病ウイルス | rabies virus | 狂犬病 | 不活化 | ||||||
アデノウイルス | adenovirus | 咽頭結膜熱 | ○ | ||||||
黄熱病ウイルス | yellow fever virus | 黄熱病 | 生 |
乳児 | RSウイルス | インフルエンザウイルス | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | |
小児 | RSウイルス | インフルエンザウイルス | 肺炎球菌 | クラミジア・ニューモニエ | マイコプラズマ・ニューモニエ |
青年期 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | マイコプラズマ・ニューモニエ | ||
成人 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | |||
高齢者 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | レジオネラ・ニューモニエ | インフルエンザウイルス |
年齢階級 | 総数 | 15~ | 25~ | 35~ | 45~ | 55~ | 65~ | 75~ | 85~ | 90~ | |
19 | 29 | 39 | 49 | 59 | 69 | 79 | 89 | ||||
受療率 | 外来 | 6 | 3 | 4 | 3 | 3 | 6 | 7 | 14 | 21 | 21 |
入院 | 19 | 2 | 3 | 2 | 3 | 7 | 21 | 86 | 309 | 489 | |
死亡率 | 男性 | 76.4 | 0.5 | 0.5 | 1.5 | 4.6 | 15.2 | 69.2 | 339 | 2087 | 4317 |
女性 | 62.7 | 0.3 | 0.5 | 0.9 | 1.9 | 5.6 | 22.4 | 144 | 934 | 2291 | |
総数 | 69.4 | 0.4 | 0.5 | 1.2 | 3.2 | 10.3 | 44.6 | 249 | 1291 | 2787 |
.