- 英
- esophageal varix, esophageal varices
- 関
- 胃静脈瘤、variceal bleeding、門脈圧
病態
- 門脈圧亢進を背景として粘膜下層~粘膜固有層の静脈叢に静脈瘤が形成される。
- 好発部位:下部食道
- 静脈瘤の形成には左胃静脈、短胃静脈、後胃静脈が関与している。
検査
上部消化管内視鏡検査
- 日本では形態(form, F)F2以上や発赤所見(red color sign, RC)RC2以上が危険な静脈瘤として予防的治療の適応となっている(SSUR.645)
- 青色静脈瘤、連珠状静脈瘤(F2)以上、red color sign陽性は治療対象(QB.A-341)
内視鏡所見の分類
- 参考3
F:form 形態
|
F0 静脈瘤として認められないもの F1 直線的な細いもの F2 連珠状、中等度 F3 結節状、腫瘤状
|
C: color 色調
|
Cw (白色静脈) Cb (青色静脈)
|
RC:red color sign 発赤所見
|
Red color sign(RC) ミミズ腫れ所見 red wale marking (RWM) サクランボ様発赤 cherry red spot様所見 (CRS) 血マメ所見 hematocystic spot (HCS)
|
- F3, red color sign [show details]
治療
- SSUR.649-
- (緊急出血)バソプレシン・ソマトスタチン:門脈の流入血流を減少させ、門脈圧を減少させる。肝機能悪化リスクあり。
- (予防)プロプラノロール・ナドロール:非選択的βブロッカーを使うことで、β2受容体を介した血管拡張がblockされα1受容体を介した血管収縮が優位となり、腸管の細動脈の収縮により門脈の血流が減少、門脈圧が低下する。さらに多く用いれば、β1受容体を介した心拍出量の低下により脾動脈血流量が減少し、門脈圧がより低下する。(参考2)
- interventional radiology, IVR
- 適応:内視鏡的硬化薬注入量法(EIS)、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)で止血不可能な例、再発・出血を繰り返す例
予後
- 血小板減少:止血が困難となるため
- 肝硬変:総ビリルビン4mg/dl以上では硬化療法が選択できないため
参考
- フリーPDF有り
- 1. 食道静脈瘤内視鏡所見記載基準 (日本門脈圧亢進症研究会)
- 2. [charged] Primary prophylaxis against variceal hemorrhage in patients with cirrhosis - uptodate [1]
- 3. 消化器基本画像集
- 大変勉強になる資料です!!
- http://www.pariet.jp/alimentary/picture.html
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/17 22:50:40」(JST)
[Wiki ja表示]
食道静脈瘤のデータ |
ICD-10 |
I85 |
統計 |
出典: |
世界の患者数 |
|
日本の患者数 |
|
食道静脈瘤学会 |
日本 |
日本消化器病学会 |
世界 |
|
この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています |
食道静脈瘤 |
分類及び外部参照情報 |
赤く腫れ上がった食道静脈瘤
|
ICD-10 |
I85 |
ICD-9 |
456.0-456.2 |
DiseasesDB |
9177 |
MedlinePlus |
000268 |
eMedicine |
med/745 radio/269 |
MeSH |
D004932 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
食道静脈瘤(しょくどう・じょうみゃくりゅう、Esophageal varix(単数) / 複数は varices )とは、主に食道粘膜下層の静脈が拡張・蛇行し、瘤状に隆起して静脈瘤を形成したものを指す。
目次
- 1 定義(概念)
- 2 病態
- 3 原因
- 4 症状
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 8 予後
- 9 診療科
- 10 参考文献
- 11 関連項目
定義(概念)
食道粘膜下層の静脈の拡張により、肉眼的に粘膜が瘤状に隆起しているのが認められる疾患である。
病態
門脈圧亢進により本来であれば門脈に流入するはずの静脈血が側副血行路を流れるようになるために発生する。
原因
門脈圧亢進をきたす疾患が原因となる。門脈圧が亢進することで門脈に流入するはずの血流が逆流し、胃の静脈を経由して食道の静脈から上大静脈に流入するように血行路が形成される。その結果として食道に静脈瘤が発生する。
まれではあるが、上大静脈や奇静脈の閉塞によって静脈瘤が形成されることもある。
症状
静脈瘤自体の症状は見られない。静脈瘤が破裂すると大量の吐血が起こり、出血量が多くなるとショックをきたす。また、黒色便がみられることもある。肝硬変が原因の場合、出血が止まりにくいので特に注意が必要となる。
合併症
門脈圧亢進症の症状が見られる。同様に側副血行路である腹壁の静脈瘤(Caput Medusae; メデューサの頭)や、直腸の静脈瘤である痔核を併発することもある。
検査
- 上部消化管内視鏡
- 肉眼的に静脈瘤の大きさや形態等を確認できるので主力の検査となる。他の検査では確認できない大きさの静脈瘤も診断することが可能である。
- X線検査
- 食道造影で粘膜の隆起等を確認することが可能。
- 門脈造影
- 側副血行路の状態を確認できる。
- CT、MRI
- 側副血行路の状態を確認できる。
診断
内視鏡で肉眼的に静脈瘤を確認する。検査で偶然発見されることも多い。
治療
治療は静脈瘤出血の止血と静脈瘤自体の消失の大きく2つに分けられる。前者は対症療法、後者は根治療法にあたるため、最終的な目標は静脈瘤の消失となる。
- 食道バルーンタンポナーデ
- バルーンによって出血部位を圧迫することで止血を図る。長期間使用すると圧迫壊死を起こすため、あくまで一時的な止血手段であり、他の治療法によって完全に止血させる必要がある。
- 薬物療法
- バソプレッシンで門脈圧を低下させて止血を図る。βブロッカーやARBも有効とされる。
- 内視鏡的硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy; EIS)
- 硬化薬(オレイン酸エタノールアミンなど)を血管内外に局注して止血を図る。90%以上の確率で止血可能。
- 内視鏡的静脈瘤結紮術(endoscopic variceal ligation; EVL)
- 内視鏡下でOリングで直接静脈瘤を結紮する。簡便に行えるというメリットがある。
- 経頚静脈的肝内門脈静脈短絡術(transjugular intrahepatic portasystemic shunt; TIPS)
- 肝内で門脈-静脈シャントを形成する。再閉塞の可能性がある。
- 手術療法
- 食道静脈瘤では食道離断術が多く行われる。中下部食道周囲の血管郭清、食道離断再縫合を行い、脾摘、腹部食道、胃噴門部血行遮断を行う。
予後
かつては初回出血で約40%が死亡していたが、現在では出血自体による死亡は激減し、むしろ肝予備能などの肝臓の状態に左右される。
診療科
参考文献
- 杉本恒明、内科学 第8版、朝倉書店、2003年、945-950
- 小柳仁、標準外科学 第10版、医学書院、2004年、718-731
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 外科学の古典を読む(第49回)食道静脈瘤に対する杉浦手術(東大第二外科法)の原典
- 小原 勝敏
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 57(6), 1347-1360, 2015
- … 食道静脈瘤の治療法として,保存的治療(薬物療法,バルーンタンポナーデ法),内視鏡的治療(EIS,EVL),外科的治療が施行されてきたが,本邦における出血例に対する第一選択の治療法はEVLであり,待期・予防例ではEISやEVLが一般的に施行されている.しかしながら,待期・予防例を安全かつ効果的に治療するためには,食道・胃静脈瘤の内視鏡所見記載基準の知識,治療適応および禁忌例の把握,使用する各種硬 …
- NAID 130005085954
- 肝機能温存を目的とした集学的食道静脈瘤治療 (特集 門脈圧亢進症の治療法の選択とその成績)
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- 食道静脈瘤とは、食道粘膜の粘膜内ならびに粘膜下層にある静脈が太くなり、こぶのようになった状態を指します。これは、消化管から吸収した栄養分などを肝臓に送る輸送路である「門脈」にかかる圧(門脈圧)が上昇することで ...
- どんな病気か 肝硬変や慢性肝炎、あるいは門脈や肝静脈の狭窄・閉鎖によって門脈圧が上昇し、その結果、食道の粘膜下層の静脈が太くなって、さらには破裂するものです。その結果、吐血や下血が起こります。肝硬変の死亡原因の ...
- 食道静脈瘤。Esophageal varices. 図あり。食道静脈瘤の原因は何か胃や腸の血液は集って門脈へ流れ込み、これが肝臓を通って心臓へもどります。腸で吸収した栄養物を肝臓で処理して自分の体で使えるものに変えています。たとえばブタ ...
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[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 血液検査所見で予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B049]←[国試_105]→[105B051]
[★]
- 55歳の男性。両足の浮腫を主訴に来院した。10日前に両足の浮腫が出現し増悪したため受診した。身長 170cm、体重 75kg(10日前は65kg)。脈拍100/分、整。血圧 92/56mmHg。両下肢に浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、潜血(-)。随時尿の尿蛋白/Cr比は8.7g/gCr(基準 0.15未満)。血液所見:赤血球 485万、Hb 18.1g/dL、Ht 48%、白血球 7,800、血小板 23万。フィブリノゲン 677mg/dL(基準 186~355)、Dダイマー 3.1μg/mL(基準 1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白 4.0g/dL、アルブミン 1.5g/dL、尿素窒素 56mg/dL、クレアチニン 1.3mg/dL、血糖 84mg/dL、HbA1c 6.0%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 310mg/dL、トリグリセリド 120mg/dL。腎生検にて微小変化型ネフローゼ症候群と診断された。
- この患者において注意すべき合併症はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114B030]←[国試_114]→[114B032]
[★]
- 55歳の女性。6か月前から頚部と腰部との皮膚掻痒感が出現し、最近尿が褐色調となったので来院した。身長155cm、体重52kg。眼球結膜は黄染し、正中線上で肝を3cm、左肋骨弓下に脾を2cm触知する。血液所見:赤血球325万、Hb9.2g/dl、Ht30%、白血球5,400、血小板9万。血清生化学所見:総蛋白6.7g/dl、アルブミン3.8g/dl、総ビリルビン3.2mg/dl、直接ビリルビン1.9mg/dl、GOT62単位(基準40以下)、GPT59単位(基準35以下)、γ-GTP322単位(基準8~50)、アルカリホスファターゼ782単位(基準260以下)。肝生検組織H-E染色標本を以下に示す。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095G025]←[国試_095]→[095G027]
[★]
- 55歳の女性。2週前からの褐色調尿を主訴に来院した。身長155cm、体重52kg。眼球結膜に黄染を認める。右肋骨弓下に肝を3cm、左肋骨弓下に脾を2cm触知する。血液所見:赤血球325万、Hb9.2g/dl、Ht30%、白血球5,400、血小板9万。血清生化学所見:総蛋白6.7g/dl、アルブミン3.8g/dl、IgG1,360mg/dl(基準960~1,960)、IgA150mg/dl(基準110~410)、IgM480mg/dl(基準65~350)、総ビリルビン3.2mg/dl、直接ビリルビン1.9mg/dl、AST62IU/l、ALT59IU/l、ALP782IU/l(基準260以下)、γ-GTP322IU/l(基準8~50)。免疫学所見:CRP0.3mg/dl、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体80倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体160倍(基準20以下)。
- この疾患に合併する頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A027]←[国試_101]→[101A029]
[★]
- 73歳の女性。昨夜コップ1杯の吐血があり来院した。1年前から時々胸やけを生じている。2か月前から心房細動のためワーファリンの服用を開始しているが、それ以外の薬剤は服用していない。血液所見:赤血球412万、Hb13.8g/dl、Ht41%、白血球7,800、血小板32万。食道内視鏡写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D021]←[国試_097]→[097D023]
[★]
- 62歳の男性。夕食後、突然吐血し搬入された。35歳時の交通外傷時に輸血を受けた。5年前に健康診断で肝障害を指摘された。意識は清明。顔面蒼白。脈拍100/分、整。血圧90/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。静脈路確保後に行った緊急上部消化管内視鏡検査の食道写真を以下に示す。
- 処置として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H045]←[国試_101]→[101H047]
[★]
- 74歳の女性。胸やけを主訴に来院した。
- 10年前から前屈あるいは高脂防食摂取で増悪する胸やけの症状があり、制酸薬と酸分泌抑制薬との処方を受けていた。服薬による改善と中断による再燃とを繰り返してきた。
- 食道造影写真を以下に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D029]←[国試_098]→[098D031]
[★]
- 55歳の男性。嚥下困難と嘔吐とを主訴に来院した。2か月前から食物のつかえ感を自覚した。5日前から固形物をとると嘔吐し、水分のみが摂取可能となった。喫煙は30本/日を35年間。身長168cm、体重55kg。眼瞼結膜に貧血を認める。食道内視鏡写真を以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D029]←[国試_102]→[102D031]
[★]
- 内視鏡治療と使用する機器の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108E018]←[国試_108]→[108E020]
[★]
- 54歳の男性。胸やけを主訴に来院した。1年前から食後に胸やけの症状がある。食道内視鏡写真を以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A024]←[国試_101]→[101A026]
[★]
- 75歳の男性。嚥下痛を訴えて来院した。40年前から糖尿病の治療を受けている。食道造影写真を以下に示す。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C023]←[国試_095]→[095C025]
[★]
- ある患者に対して処置を行った後の腹部エックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。
- この患者の疾患として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D005]←[国試_112]→[112D007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G114]←[国試_098]→[098G116]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G116]←[国試_097]→[097G118]
[★]
- 上部消化管内視鏡像(別冊No. 2)を別に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I010]←[国試_109]→[109I012]
[★]
- (1) 黄疸で発症することが多い
- (2) 肝細胞癌と胆管細胞癌とは、発生頻度がほぼ等しい
- (3) 血清CA19-9は、診断に重要な検査である。
- (4) 腹水の有無は、手術適応決定の参考になる
- (5) 高度の食道静脈瘤を合併する場合は、肝癌の手術前に硬化療法を行う
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 消化管内視鏡による治療が適応となるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G034]←[国試_102]→[102G036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103B029]←[国試_103]→[103B031]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B033]←[国試_100]→[100B035]
[★]
- 英
- vasopressin VP
- 同
- バゾプレッシン, arginine vasopressin AVP、抗利尿ホルモン antidiuretic hormon ADH
- 商
- ピトレシン Pitressin
- 関
- デスモプレシン、尿細管
[show details]
分類
性状
産生組織
- PED. 1328
標的組織
- 腎臓の集合管
- 腎臓の細い上行脚、太い上行脚、接合尿細管にも作用する (SP.816)
生理作用
- 血管平滑筋の収縮(V1受容体)
- V1受容体は抗利尿作用を示すより大用量で動作(SAN.189) ← 生理的な量では血管収縮による血圧上昇はない。
- 髄質内層集合管で尿素の再吸収を高める(SP.817)
作用機序
抗利尿作用
|
集合管上皮細胞
|
V2R
|
血管平滑筋収縮(昇圧作用)
|
血管内皮
|
V1R
|
分泌調節
- 血漿浸透圧↑、循環血漿量↓→分泌↑ ( 出血 )
- 血漿浸透圧↓、循環血漿量↑→分泌↓ ( 水の大量摂取 )
ADH分泌促進/作用増強する薬物
- QB.D-331
ADHの作用を修飾する物質
- 糖質コルチコイド:水代謝作用(水利尿):GFR↑させたりADHに拮抗することで細胞内への水移動を抑制する
癌患者とADH
- 日腎会誌 2012:54(7):1016-1022
- Ellison DH, Berl T. Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. NEJM. 2007;356:2064-2072. PMID 17507705
- 異所性ADH産生腫瘍、抗悪性腫瘍薬の副作用、手術侵襲、嘔気・嘔吐、疼痛
分子機構
ここまで、2007後期生理学授業プリント&想像 でまとめた
- 集合管の上皮の基底側に発現していると思われるV(75%){2};Rを介して、アクアポリン2(AQP2)が発現して尿細管腔側に局在、アクアポリン2から水を細胞内に取り込み、アクアポリン3を介して細胞基底側(血管腔)に水が移動する (2007後期生理学授業プリント, SP.817 図12-63)
- 以下の記述と矛盾する気がする・・・
- 水輸送体apuaporin1(AQP1)に作用して集合管における水透過性を高める(SP.817)。
効能又は効果
- ピトレシン注射液20
薬効薬理
- ピトレシン注射液20
- 遠位尿細管における水の再吸収を促進することにより、抗利尿作用を発揮する1)。
- 腹部内臓の細動脈を収縮させ、門脈血流を減少させるので、一時的に門脈圧が下降するため、門脈圧亢進による食道出血時に止血作用を発揮する。
副作用
- ピトレシン注射液20
- 血管収縮による血圧上昇、狭心症、腹痛がありうる。(QB.D-357)
- 重大な副作用:ショック、横紋筋融解症、心不全・心拍動停止、精神錯乱・昏睡、水中毒、中枢神経障害(中心性橋脱髄症)、無償、心室頻拍
禁忌
- ピトレシン注射液20
- 1. 本剤の成分に対しアナフィラキシー又は過敏症の既往歴のある患者
- 2. 冠動脈硬化症 (心筋梗塞症、狭心症等) の患者[心筋虚血を延長させることがある。]
- 3. 急速な細胞外水分の増加が危険となるような病態 (心不全、喘息、妊娠中毒症、片頭痛、てんかん等) のある患者[水中毒を起こすことにより、それらの病態を悪化させるおそれがある。]
- 4. 血中窒素貯留のある慢性腎炎の患者[水分貯留を起こすことにより、血中窒素の排泄が抑制されるおそれがある。]
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2414402A1035_1_02/2414402A1035_1_02?view=body
臨床検査
基準値
- 0.3-4.2pg/ml (RIA2抗体法) (検査の本)
- 0.3-4.0pg/ml (RIA2抗体法) (LAB.695)
[★]
- 英
- superior vena cava syndrome, SVC syndrome, SVCS
- 関
- 上大静脈、頚静脈怒張
概念
- 上大静脈の閉塞や有意狭窄によって生じる上半身の静脈圧の上昇で、頭部、顔面、上肢、頸部および上半身のうっ血を来す症候群。
- 肺癌、ホジキンリンパ腫(→ホジキン病)、大動脈瘤などの縦隔洞、胸腔内腫瘍により急速に上大静脈が圧迫され、静脈還流異常をまねき、これによって生ずる種々の症状をいう。
病因
病態生理
症状
- 上肢静脈圧は30-50cmH2Oと上昇し頚部、上腕、胸壁の静脈は怒張し、顔面、上肢の浮腫をみる。
- 頚静脈、側頭静脈の怒張、起坐呼吸、失神発作
- 脳浮腫 → 頭痛、めまい、傾眠傾向、(ときどき)痙攣・呼吸困難など
- 脳静脈圧上昇 → 抗利尿ホルモン分泌亢進 → 脳脊髄循環に悪影響
身体所見
- (原因疾患が良性で慢性に経過する場合)副血行路が主として奇静脈、内胸静脈、側胸静脈、脊椎静脈に生じる。門脈系を通して食道静脈瘤を生じる。
副側路(表在腹壁静脈)の流れる方向
検査
- 胸部単純X線写真:左第一弓の突出
- 胸部造影CT:上大静脈の閉塞、奇静脈の拡張
[show details]
治療
- 手術療法:大動脈瘤や甲状腺腫など
- 放射線療法・抗癌剤化学療法:摘除不能な悪性腫瘍
- バイパス手術:人工血管にて閉塞部をバイパス
- 経皮的血管形成術:バルーン拡張やすてんと留置で閉塞部を広げる。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
国試
[★]
- 英
- operation、surgery、operate
- 関
- 機能、外科、外科学、作動、操作、オペ、外科術、運用、操縦、術、外科手術、施行
脳外科
心臓外科
消化器
食道
直腸
-
耳鼻科
婦人科
子宮奇形
産科
[★]
- 英
- Sengstaken-Blakemore tube
- 同
- ゼングスタケン・ブレークモア管, ゼングスタケン・ブレークモアチューブ、ゼングスターケン・ブレークモア管, ゼングスターケン・ブレークモアチューブ、セングスターケン・ブレークモア管,セングスターケン・ブレークモアチューブ 、Sengstaken-Blakemoreチューブ Sengstaken-Blakemore管、SBチューブ S-B tube
- 関
- 食道静脈瘤
[show details]
概念
- 食道静脈瘤破裂による出血に対する緊急止血用デバイス。
- 出血により視野が遮られ内視鏡的止血を施行できない場合に用いる、らしい
- 長時間の使用は食道を圧迫障害するために、数時間ごとに減圧する。
参考
- http://img.tfd.com/dorland/tube_Sengstaken-Blakemore.jpg
- http://www.free-ed.net/sweethaven/MedTech/NurseCare/pics/fig91801_07.jpg
[★]
- 英
- gastric varix, gastric varices
- 同
- 噴門部静脈瘤 cardiac varices
- 関
- 食道静脈瘤、食道胃静脈瘤
概念
- 門脈圧の亢進により胃の静脈に側副血行路が形成され、これが静脈瘤として認められたもの。
病因
疫学
病態
- 食道胃噴門部静脈瘤:食道静脈瘤と連続:奇静脈系の側副血行路 (SSUR.643)
- 孤立性胃静脈瘤:食道静脈瘤を伴わず胃噴門部弓隆部に存在:80%以上の症例で胃腎静脈シャントを形成 (SSUR.643)
症状
診断
検査
治療
- いろいろある。
カテーテルインターベンション
- 孤発性胃静脈瘤治療で中心の治療法。経カテーテル的に下大静脈から胃静脈瘤の排血路である胃腎静脈シャントを逆行性にアプローチし、胃静脈瘤を塞栓する方法。硬化剤はエタノラミンオレイトを使用。胃静脈瘤消失流は90%以上。長期的に見ても胃静脈瘤の再発率は5%以下。問題点は長期の経過中に胃静脈瘤が出現すること。(SSUR.650)
予後
予防
国試
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[★]
- 関
- 食道静脈瘤、胃静脈瘤、静脈瘤
2. 形態 form, F
- F0:治療後に静脈瘤が認められなくなったもの
- F1:直線的な比較的細い静脈瘤
- F2:連珠状の中等度の静脈瘤
- F3:連節状あるいは腫瘤状の太い静脈瘤
4. 発赤所見 red color sign, RC
- RC0:発赤所見を全く認めないもの
- RC1:限局性に少数認めるもの
- RC2:RC1とRC3の間
- RC3:全周性に多数認めるもの
- ミミズ腫れ red wale marking RWM
- チェリーレッドスポット cherry-red spot CRS
- 血マメ hematocystic spot HCS
参考
- フリーPDF有り
- 食道静脈瘤内視鏡所見記載基準 (日本門脈圧亢進症研究会)
[★]
- 英
- rupture of esophageal varices
- 関
- 食道静脈瘤
国試
[★]
- 英
- endoscopic injection sclerotherapy, sclero-therapy for esophagus varices
[★]
- 英
- esophageal varices hemorrhage
[★]
- 英
- esophageal varices sclerosant
[★]
- 英
- esophagus (Z)
- 関
- 消化器系
解剖
- 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
- L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る
部位区分
- SSUR.456
生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)
- 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
- 切歯から15cm
- 食道の上端で、咽頭に連なる部位
- 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
- 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
- 切歯から25cm
- 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
- 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
運動 (SP.720)
組織
- 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
- 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい
食道の上皮と上皮下の組織
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層構造
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1
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2
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3
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5
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6
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器官
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単層扁平上皮
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単層立方上皮
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単層円柱上皮
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角化重層扁平上皮
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非角化重層扁平上皮
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上皮表層の構成細胞
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粘膜固有層
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腺の構成細胞
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粘膜筋板
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粘膜下組織 (大抵、粗結合組織)
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筋層
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漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ)
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食道
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○
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食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
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粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す)
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縱層 (縦走筋のみ)
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固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム)
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内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
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外膜(横隔膜まで) 漿膜
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臨床関連
- 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
- 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)
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- 英
- esophageal vein
- 関
- 食道静脈叢
起始
終止
分布
枝
臨床関連
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- 英
- vein (Z)
- ラ
- vena
- 毛細血管から発生した静脈血を心臓に送るために使われる血管。
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- 英
- varix, varicosity varicose vein