出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/03/08 14:50:03」(JST)
Anaphylaxis | |
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分類及び外部参照情報 | |
アナフィラキシー患者の背中にできた発疹
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ICD-10 | T78.2 |
DiseasesDB | 29153 |
eMedicine | med/128 |
MeSH | D000707 |
アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とはヒトや他の哺乳類で認められる急性の全身性かつ重度なI型過敏症のアレルギー反応の一つ。この用語はギリシャ語であるανα ana(反抗して)とφύλαξις phylaxis(防御)を語源とする[1]。ほんの僅かなアレルゲンが生死に関わるアナフィラキシー反応を引き起こすことがある(アナフィラキシーショック)。アナフィラキシーは、アレルゲンの摂取、皮膚への接触、注射や時に吸入により惹起され得る[2]。
目次
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アナフィラキシーの症状は、IgEと他のアナフィラトキシンの反応が関与する。すなわち、これらの物質は肥満細胞からヒスタミンや他の媒介物質(メディエーター)を遊離(脱顆粒)させ、さらにヒスタミンは細動脈の血管拡張や肺の細気管支の収縮、気管支痙攣(気管の収縮)を引き起こす。
ヒスタミンや他のメディエーターは身体の別器官の組織で遊離されるが、これらが(血流等を介して他の部位に運ばれ)気管収縮とこれに伴う喘鳴や呼吸困難、そして胃腸症状(腹痛、さしこみ、嘔吐、下痢など)を引き起こす。ヒスタミンは血管拡張(これに伴う血圧低下)と血流から組織への体液漏出(これに伴う血流量低下)を引き起こし、これらが影響してショック症状を呈する。体液が肺胞に漏出することもあり、これが肺水腫を引き起こす。
アナフィラキシーで見られる症状には以下のようなものがある。
アナフィラキシーの症状が出た場合は、即座に緊急の注射薬を打つ必要があり、文部科学省や厚生労働省なども、この場合の注射は医師法には触れないとの通達を出している。また、学校においては、児童・生徒の保護者から、アナフィラキシー対応の自己注射薬を預かるケースが多くなっている。
アナフィラキシーショックはI型アレルギー反応の一つである。外来抗原に対する過剰な免疫応答が原因で、好塩基球表面のIgEがアレルゲンと結合して血小板凝固因子が全身に放出され、毛細血管拡張を引き起こす為にショックに陥る。ハチ毒・食物・薬物等が原因となることが多い。アナフィラキシーの症状としては全身性の蕁麻疹と以下のABCD(喉頭浮腫、喘鳴、ショック、下痢、腹痛)のうちどれかがある。なお、アナフィラキシーショックは二峰性の経過をとるものがしばしばみられるので、院内で経過観察(約8時間、重症例では24時間)をしなければならない。アナフィラキシーはIgEを介して肥満細胞が脱顆粒しておこるが、IgEを介さず肥満細胞が脱顆粒を起こすアナフィラキトイド(類アナフィラキシー反応)と呼ばれる反応もある。類アナフィラキシー反応として造影剤アレルギーなどが有名である。その他、ラテックスアレルギー・口腔アレルギー症候群・食物依存性運動誘発性アナフィラキシーなど、特異的なアレルギーがあり、アナフィラキシーショックを起こす場合がある。
治療としてはエピネフリンの筋肉注射(商品名:エピペン)が有効である。エピネフリン(ボスミン0.3mg)筋注(皮下注では血管が収縮するので作用が遅くなる)はβ2作用で肥満細胞の脱顆粒を抑制する働きがある。エピネフリンは10分ほどで効果が出るはずなので、反応がなければ2~3回繰り返すことが必要な場合もある。また、高血圧でβブロッカー(まれにαブロッカーやACE阻害薬でも)を服用している患者ではエピネフリンが効かないことがあるので、この場合はグルカゴン1~5mgが効果があり使用される(交感神経を介さず、cAMPを増やすことで効果が出る)。ステロイドや抗ヒスタミン薬は4時間くらい効果がでるのにかかるので救急では使えないので注意が必要であるが、遷延性や二峰性の後半の反応を予防するためにステロイドを用いることはある。また、鯖を食べた場合にアナフィラキシーのような症状を示す場合もあるが、鯖の場合はヒスタミンを含んでおり肥満細胞を介するものではないので、抗ヒスタミン薬やステロイドで充分である。
エピネフリン(ボスミン0.3mg)筋注を行い反応が悪ければ10~15分ごとに追加投与を行い最大1mgまで投与する。小児の場合は0.01mg/Kgずつ行い最大0.3mg/Kgである。数リットルの及ぶ十分な補液が必要なこともある。
全身性蕁麻疹、血管性浮腫の場合はH1ブロッカー特にジフェンヒドラミンを1~2mg/Kgを4~6時間ごとに点滴する。H2ブロッカーであるラニチジンを併用することも多い。
気管支痙縮に対しては気管支喘息と同様にβ刺激薬を投与する。サルブタノールで2~3パフの吸入を行う。
ヒドロコルチゾンを用いる場合が多い。6時間ごとに1~2mg/Kg投与する。またプレドニン30~40mg/Kgを3日程内服することもある。
βブロッカーを内服している場合はエピネフリンの効果不十分のため用いることがある。1Aで1mgであるため生理食塩水に溶解し1mgのボーラスを行う。効果を見ながら5分ごとに1mgの追加投与を行っていく。次いで1~5mg/hで持続投与を行う。副作用としては吐き気やめまい、低K血症、血糖異常などが知られている。
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リンク元 | 「シクロホスファミド」「アロプリノール」「アシクロビル」「パクリタキセル」「オメプラゾール」 |
関連記事 | 「アナフィラキシー」「症状」 |
種類\頻度 | 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 |
肝臓 | 肝機能異常,黄疸 | コリンエステラーゼ低下 | |
腎臓 | 蛋白尿,浮腫 | 食欲不振,味覚異常,胸やけ,おくび,腹部膨満感 | |
消化器 | 悪心・嘔吐 | 口渇,潰瘍性口内炎,腹痛,便秘,下痢 | |
過敏症 | 発疹 | ||
皮膚 | 脱毛 | 皮膚炎,色素沈着,爪の変形・変色 | |
精神神経系 | 頭痛,眩暈,不眠,運動失調 | 倦怠感 | |
呼吸器 | 肺水腫 | ||
循環器 | 心電図異常,心悸亢進,低血圧 | ||
内分泌系 | 副腎皮質機能不全 | 甲状腺機能亢進 | |
性腺 | 無月経 | 無精子症,卵巣機能不全 | |
その他 | 発熱,注射時熱感,局所痛,CK(CPK)上昇 | 創傷の治癒遅延,高血糖 |
自覚症状 | 他覚症状 | |
全身症状 | 熟感,不安感,無力感 | 冷汗 |
循環告症状 | 心惇克進,胸内苦悶 | 血庄低下,脈拍微弱,脈拍頻数 チアノーゼ |
呼吸菩症状 | 鼻閉,喉頭狭窄感, 胸部絞拒感 |
くしやみ,咳発作,喘鳴, 呼吸困難,チアノーゼ |
消化器症状 | 悪心,腹痛,腹鳴,便意, 尿意,口内異物感、異味感 |
嘔吐,下痢,糞便,尿失禁 |
粘膜・皮膚症状 | 皮膚掻痒感 | 皮膚蒼白,皮膚のー過性紅潮 尋麻珍,眼瞼浮庫, ロ腔粘膜浮腫 |
神経症状 | 口唇部しびれ感,四肢末端 のしぴれ感,耳鳴,めまい, 限の前が暗くなる |
痙攣,意識喪失 |
観察部位 | 症状 |
気道 | 口腔内浮腫、喉頭浮腫、嗄声、気管支痙攣、鼻炎症状 |
呼吸 | 呼吸困難、喘鳴 |
循環 | 血管拡張と血液透過性亢進によるショック、冷感、不整脈 |
消化器 | 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢 |
精神 | めまい、意識レベル変容、不穏、錯乱、痙攣、失禁 |
皮膚 | 血管性浮腫、冷汗、蕁麻疹、紅斑、掻痒感、チアノーゼ、結膜充血 |
全身 | 脱力、悪寒 |
Grade | 皮膚 | 消化器 | 呼吸器 | 循環器 | 精神神経 |
1 | 限局性掻痒感、発赤、じんましん、血管性浮腫 | 口腔内掻痒感、違和感、軽度口唇腫脹 | - | - | - |
2 | 全身性掻痒感、発赤、じんましん、血管性浮腫 | 上記に加え、悪心、嘔吐 | 鼻閉、くしゃみ | - | 活動性変化 |
3 | 上記症状 | 上記に加え、繰り返す嘔吐 | 鼻汁、明らかな鼻閉、咽頭喉頭の掻痒感/絞扼感 | 頻脈(+15/分) | 上記に加え、不安 |
4 | 上記症状 | 上記に加え、下痢 | 嗄声、犬吠様咳嗽、嚥下困難、呼吸困難、喘鳴、チアノーゼ | 上記に加え、不整脈、軽度血圧低下 | 軽度頭痛、死の恐怖感 |
5 | 上記症状 | 上記に加え、腸管機能不全 | 呼吸停止 | 重度徐脈、血圧低下、心拍停止 | 意識消失 |
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