- 関
- 胃潰瘍、NSAID-induced gastropathy
リスク因子
- 高齢、潰瘍の既往、糖質ステロイドの併用、高用量あるいは複数のNSAIDの内服、全身疾患の合併 (ガイドライン1)
病態
- 幽門部から前庭部に多発する比較的小さな潰瘍、前庭部の深掘れ潰瘍、不整形の巨大潰瘍などが特徴 (ガイドライン1)
治療と予防
- ガイドライン1
- 非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAID)は可能ならば中止し通常の潰瘍治療を行う。NSAIDの中止が不可能ならばプロトンポンプ阻害薬(PPI)あるいはプロスタグランジン(PG)製剤により治療を行う。
NSAID継続下での再発の防止には、PPI、PG製剤あるいは高用量のH2受容体拮抗薬(H2RA)が有効である。
- COX-1は胃粘膜などの組織で構成的に発現している。NSAIDの作用によりCOX-1の作用が抑制されると胃潰瘍を来しうる。投与経路(経口、坐薬)を変更してもこの副作用の発現は変わらない、らしい。
ガイドライン
- 1. H19(2007)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)
- http://minds.jcqhc.or.jp/lo/ps/Fpastlist.aspx
PrepTutorEJDIC
- National Security Agency(米国の)国家安全保障局
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 平石 秀幸,太田 慎一,寺野 彰
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 99(7), 760-768, 2002-07-05
- … 節疾患,結合織疾患,脳血管障害・虚血性心疾患の1次あるいは2次予防などのために,その使用頻度は増加すると予測される.「科学的根拠に基づく胃潰瘍診療ガイドラインの策定に関する研究」を行い,NSAID胃潰瘍に対する治療のガイドラインとして,以下のステートメント(案)を策定した.1.NSAIDは可能ならば中止し通常の潰瘍治療を行う.2.NSAIDの中止が不可能ならば,プロトンポンプ阻害薬(PPI)あるいはプロスタグ …
- NAID 10009545390
- NSAID胃潰瘍の治療と予防 (特集・非ステロイド性抗炎症剤 NSAIDsの長期使用の問題と対策--NSAID潰瘍を中心に)
Related Links
- H.pylori 陽性のNSAID 潰瘍の場合は、活動期に除菌を行うと、潰瘍治癒率が落ちると の報告があり、治癒確認後に除菌療法を ... 特に高リスク患者のNSAID潰瘍発生の 予防のためのPPI などの抗潰瘍薬投与に関しては、NSAID継続下での 潰瘍再発防止 の ...
- 胃潰瘍の原因 - 非ステロイド系消炎鎮痛薬 - NSAIDsについて.
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- gastric ulcer GU, stomach ulcer
- ラ
- ulcus ventriculi UV
- 関
- 胃、十二指腸潰瘍、胃十二指腸潰瘍、消化性潰瘍
疫学
病態
- 高位潰瘍:高齢者。低酸。 ← 幽門腺(ガストリン分泌)と胃底腺(胃酸・ペプシノゲン分泌)の境界が上昇する。このため潰瘍形成部位が上昇する
- 幽門部潰瘍:若年者。高酸
- 急性潰瘍:多発性。体部
- 穿孔・穿通:潰瘍が筋層以下に進展すれば生じうるが、十二指腸潰瘍に比べで頻度は多くない。→穿通性潰瘍 →穿孔性潰瘍
症状
- 食後1時間以内の早期痛と数時間後の晩期痛がある。(QB.A-308)
- 腹痛の十二指腸潰瘍/胃潰瘍に対する陽性予測率は高くない。NSAIDによる粘膜病変をもつ患者の10%までが先行症状なくcomplication(出血、穿孔、閉塞)を来す。(HIM.1860)
- 十二指腸潰瘍/胃潰瘍では、焼けるようなあるいは差し込むような痛みと表現される。the discomfort is also described as an ill-defined, aching sensation or as hunger pain.(HIM.1861)
- 痛みのパターン:(十二指腸潰瘍)食事後30分~3時間で痛みが治まる。深夜からA.M.3時までの間に痛みで目をさます。これがとっとも鑑別する症状であり、2/3の患者にみられる。しかし、non ulcerative dyspapsia患者の1/3でもこのような症状はみられる。(胃潰瘍)痛みは食事により強まり、悪心と体重減少が起こるのが一般的である。(HIM.1861)
合併症
- 好発部位:小弯部上の巨大潰瘍
- 症状:突然現れる上腹部痛。前屈位・側臥位となる。上腹部腹壁緊張亢進、筋性防御、板状硬をみとめ、Blumberg徴候陽性となる。
検査
上部消化管内視鏡
崎田分類(ステージ分類)
- 参考1
- A1:潰瘍辺縁は浮腫状であり潰瘍底は黒苔で覆われている
- A2:辺縁の浮腫は改善し潰瘍底は白苔により被覆されている
- H1:潰瘍辺縁に再生上皮の出現を認める
- H2:白苔は薄く縮小し再生上皮の部分が拡大している
- 胃潰瘍瘢痕期:潰瘍の治癒期には再生上皮による被覆が完成し白苔は消失
消化管造影
- 胃癌との対比(RNT.191)
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良性潰瘍
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悪性潰瘍
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ニッシェ
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円形、輪郭明瞭、深い
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不整型、輪郭不明瞭、浅い
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軟膜ヒダ
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不整なく均一
|
不整、不均一(先細り、肥大、融合)
|
診断
治療
生活療法
- 精神的・肉体的安静
- 食事療法(刺激物摂取禁止)
- 生活習慣改善(禁煙・禁酒)
薬物療法
- 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプインヒビター、H2受容体拮抗薬、ムスカリン受容体拮抗薬)
- Helicobacter pyloriの除菌(プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン、クラリスロマイシン)。クラリスロマイシン無効ならメトロニダゾールに変更。
interventional radiology
手術療法
- SSUR.501
- 手術適応:内科的手法で止血が得られず、また止血されても繰り返す場合。
- 幹迷走神経切離術 truncal vagotomy:腹部食道の高さで迷走神経を切離:肝枝や腹腔枝が切離され、下痢や胆石症を生じる。胃内容物停滞が起こる
- 選択的迷走神経切離術 selective gastric vagotomy:胃枝のみ切離し、肝枝、幽門枝、腹腔枝を温存:胃内容物停滞が起こる
- 選択的近位迷走神経切離術:selective proximal vagotomy, proximal gastric vagotomy, highly selective vagotomy, parietal cell vagotomy:胃の壁細胞領域に分布する胃体部枝のみを切離する。幽門洞枝が温存され、幽門洞の運動機能が保存される。
予後
参考
- 1. H19(2007)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)
- http://minds.jcqhc.or.jp/lo/ps/Fpastlist.aspx
国試
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- 英
- ulcer
- ラ
- ulcus
- 関
- びらん
- 粘膜の損傷が粘膜筋板に達し、その筋層を貫通した場合。
[★]
非ステロイド性抗炎症薬, non-steroidal antiinflammatory drug
[★]
非ステロイド性抗炎症薬