急性型 | リンパ腫型 | 慢性型 | くすぶり型 | |
典型的な症状 | 腫瘍随伴症状(腫瘍熱、高カルシウム血症(意識障害・脱水・腎機能障害) (50%で認められる))が初発症状であることが多い。 臓器浸潤による症状(消化管浸潤(下痢・腹痛)、肝臓浸潤(黄疸)、 肺浸潤(呼吸困難)、中枢神経浸潤(脳神経症状)) |
リンパ節腫大は全例で認められる。 腫瘍熱、高カルシウム血症を初発症状とする場合もある。 末梢血中の形態的異常細胞は1%以下 |
多くの場合、自覚症状を欠き、健康診断などで偶然診断される。 日和見感染症や腫瘍の浸潤に伴う皮膚症状(皮疹、皮膚腫瘤)、 肺病変(労作時息切れ、咳嗽)が診断の発端となる場合もある。 |
リンパ球増多を伴わないため、血液検査では診断に至らない。 無症候キャリアーと同様、多くの患者では症状を欠く。 |
PS>1 | 67.6% | 45.4% | 27.2% | 22.7% |
感染性併発症 | 26.9% | 10.9% | 35.5% | 35.6% |
皮膚病変 | 40.2% | 25% | 46.1% | 48.9% |
肺病変 | 20.2% | 10.9% | 15.1% | 15.6% |
肝腫大 | 35.9% | 16% | 13.8% | 0% |
脾腫大 | 29.9% | 15.4% | 11.2% | 0% |
4個以上の腫大リンパ節 | 80.7% | 62.2% | 54% | 6.7% |
高カルシウム血症 | 50.3% | 16.7% | 0% | 0% |
貧血(Hb<10g/dl) | 10.1% | 4.5% | 4% | 0% |
血小板減少(10万/ul) | 19.4% | 4.5% | 2% | 6.7% |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/29 16:41:25」(JST)
成人T細胞白血病(せいじんTさいぼうはっけつびょう、ATL, Adult T-cell leukemia、成人T細胞白血病/リンパ腫、- leukemia/lymphoma)は、腫瘍ウイルスであるHTLV-1感染を原因とする白血病、もしくは悪性リンパ腫である。
1976年(昭和51年)に高月清らによって発見、命名された。発症の原因はHTLV-I感染であり、独自の形態をもつ異型リンパ球(CD4陽性リンパ球)の単クローン性腫瘍である。
ATLの臨床経過は多彩であり、以下のような4つの病型と1つの病態が知られている。
この診断基準は消去法にて定義されている。急性型の病態が最も多彩であり、定義しにくい反面、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型はそれぞれの特徴が比較的明確である。基本的には定義しやすいくすぶり型、慢性型、リンパ腫型でなければ急性型と考える[1]。
予後不良因子としては、年齢、パフォーマンスステータス、総病変数、高カルシウム血症、高LDH血症があげられる。予後不良因子を持たないくすぶり型と慢性型では化学療法がむしろ免疫不全を助長し、感染症合併の要因になるため、原則として経過観察とする。急性型、リンパ腫型では極めて予後不良であるため、ただちに加療する必要がある。急性化すると極めて予後不良である。急性型と診断された患者の生存期間中央値は1年未満である[2]。
原因ウイルスであるHTLV-Iの感染者は日本、特に九州に多く、他にはカリブ海沿岸諸国、中央アフリカ、南米などに感染者がみられる。そのため、成人T細胞白血病(ATL)患者もこれらの地域に多くみられる[3]。
日本におけるATLによる年間死亡者数は約1,000人であり、1998年(平成10年)以降の10年間に減少傾向はみられていない[4]。
詳細は「HTLV」を参照
HTLV-1キャリアは日本全国で100万以上いるとされる[5]。また、日本人におけるHTLV-Iの陽性率は、献血者を対象とする結果から0.32%と推定されている[4]。
一方、感染者の分布は九州・沖縄に編在している。例えば東京都におけるHTLV-1の陽性率が0.15%と低率であるのに対して、全国で最も陽性率が高い鹿児島県では1.95%と、住民の約50人に一人がHTLV-1キャリアとなっている[4]。
日本ではHTLV-Iキャリアのうち、毎年600-700人程度がATL(病型は問わない)を発症している。キャリアの生涯を通しての発症危険率は2-6%である。HTLV-1の感染経路は授乳、性交、輸血があげられる。キャリアの母親による母乳保育が継続された場合、児の約20%がキャリア化するとされる[6]。一方、これを人工栄養へ切り替えることによって母子感染はほぼ防げる。性交による感染は通常、精液に含まれるリンパ球を通じての男性から女性への感染である[5]。
個体内でのHTLV-1増殖の場は主にリンパ節であると考えられている。リンパ節で増殖したATL細胞が血液中に流出すると、特徴的なATL細胞が末梢血で見られるようになる[7]。
CHOP療法が選択されるが、再発、薬剤耐性化が多い。若年発症では造血幹細胞移植も試みられている。
母乳中のHTLV-1感染リンパ球が乳児の消化管内で乳児のリンパ球に接触することでHTLV-1は新たに感染することができる。レトロウイルスであるため、リンパ球DNAに組み込まれ、ウイルスの再生産を行う。HTLV-1のp40 taxは宿主細胞のIL-2レセプター遺伝子などを活性化し、その分裂増殖を引き起こす。こうして無限増殖を繰り返す宿主細胞がその過程でなんらかのエラーをおこし、形質転換をおこし、ATLを発症すると考えられている。
1970年代の日本の白血病、リンパ腫の論文ではいくつかの興味深い症例報告をみることができる。西南日本に予後不良の悪性リンパ腫が多いこと、家族内発症が悪性リンパ腫にみられること、ホジキン病が南九州に多いこと、セザリー症候群や皮膚T細胞リンパ腫が九州に多いこと、リンパ腫から白血化し、急激に死にいたる症例が認められること、末梢血に核が分葉した奇妙な白血病細胞が認められることなどがあげられる。
これらの多くは2008年(平成20年)現在の診断能力ではATLと診断されておかしくないものばかりであるが、腫瘍ウイルスが原因とわかったのは1980年代である。
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年 | 病原微生物 | 種類 | 疾患 |
1973 | Rotavirus | ウイルス | 小児下痢症 |
1975 | Parvovirus B19 | ウイルス | 伝染性紅班 |
1976 | Cryptosporidium parvum | 寄生虫 | 下痢症 |
1977 | Eboravirus | ウイルス | エボラ出血熱 |
Legionella pneumophila | 細菌 | レジオネラ症 | |
Hantaanvirus | ウイルス | 腎症候性出血熱 | |
Campylobacter jejuni | 細菌 | 下痢症 | |
1980 | Human T-lymphotropic virus-1 | ウイルス | 成人T細胞白血病 |
Hepatitis D virus | ウイルス | D型ウイルス肝炎 | |
1981 | TSST-1-producing Staphylococcus aureus | 細菌 | 毒素性ショック症候群 |
1982 | Escherichia coli 0157:H7 | 細菌 | 腸管出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群 |
Human T-lymphotropic virus-2(1) | ウイルス | 白血病 | |
Borrelia burgobrferi | 細菌 | ライム病 | |
Rickttsia japonica | 細菌 | 日本紅斑熱 | |
1983 | Human immunodeficiency virus | ウイルス | 後天性免疫不全症候群 |
Helicobacter pylori | 細菌 | 胃炎(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌、MALTリンパ腫) | |
1985 | Enterocytozoon bieneusi | 寄生虫 | 持続性下痢症 |
1986 | Cyclospora cayetanensis | 寄生虫 | 持続性下痢症 |
Prion(2) | プリオン | 牛海綿状脳症 | |
1988 | Human herpesvirus-6 | ウイルス | 突発性発疹症 |
Hepatitis E virus | ウイルス | E型肝炎 | |
1989 | Ehriichia chaffeensis | 細菌 | エールリキア症 |
Hepatitis C virus | ウイルス | C型肝炎 | |
Clamydia pneumoniae | 細菌 | 肺炎、気管支炎 | |
1991 | Guanarito virus | ウイルス | ベネズエラ出血熱 |
Encephalitozoon heilem | 寄生虫 | 結膜炎 | |
Newspecis of Babesia | 寄生虫 | 非定型性バベシア症 | |
1992 | Vibrio choerae 0139 | 細菌 | 新型コレラ |
Bartoneiia henselae | 細菌 | 猫ひっかき病 | |
1993 | Sin Nombre virus | ウイルス | ハンタウイルス肺症候群(成人呼吸窮迫症候群) |
Encephalitozoon cuniculi | 真菌 | ミクロスポリドーシス | |
1994 | Sabia virus | ウイルス | ブラジル出血熱 |
Hendra virus | ウイルス | ウイルス性脳炎 | |
1995 | Human herpesvirus-8 | ウイルス | カポジ肉腫 |
Hepatitis G virus | ウイルス | G型肝炎 | |
1996 | TSE causing agent | プリオン | 新型クロイツフェルト・ヤコブ病 |
Australian bat lyssavirus | ウイルス | ウイルス性脳炎 | |
1997 | Influenza A/H5N1 | ウイルス | トリ型インフルエンザのヒト感染 |
1999 | Nipa hvirus | ウイルス | 急性脳炎 |
2003 | SARS coronavirus | ウイルス | 重症急性呼吸器症候群(SAR) |
-感染症
♂:淋菌性尿道炎 > クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ ♀:クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ > 淋菌性尿道炎
病原体 | 感染症 | 原因ウイルス |
ウイルス | 性器ヘルペス | 単純ヘルペスウイルス |
尖圭コンジローマ、子宮頚癌 | ヒト乳頭腫ウイルス | |
B型肝炎 | B型肝炎ウイルス | |
C型肝炎 | C型肝炎ウイルス | |
エイズ | ヒト免疫不全ウイルス | |
成人T細胞白血病 | ヒトTリンパ球向性ウイルス | |
サイトメガロウイルス感染症 | サイトメガロウイルス | |
伝染性軟属腫 | 伝染性軟属腫ウイルス | |
伝染性単核症 | EBウイルス | |
細菌 | 梅毒 | 梅毒トレポネーマ |
性器クラミジア感染症 | クラミジア・トラコマチス | |
淋病 | 淋菌 | |
軟性下疳 | ヘモフィルス・デュクレイ | |
鼠径部肉芽腫 | 肉芽腫カリマトバクテリウム | |
赤痢 | 赤痢菌 | |
非淋菌性尿道炎 | クラミジア・トラコマチス、マイコプラズマ、ウレアプラズマ | |
真菌 | 口腔カンジダ症 | カンジダ |
非淋菌性尿道炎 | カンジダ | |
寄生虫、 原虫 |
いろいろ | トリコモナス |
非淋菌性尿道炎 | 腟トリコモナス | |
アメーバ赤痢 | 赤痢アメーバ | |
毛ジラミ症 | Phthirus pubis | |
疥癬 | 疥癬虫 | |
白癬 | Trichophyton rubrum, Trichophyton mentagrophytes | |
ランブル鞭毛虫下痢症 | ランブル鞭毛虫 |
sIg | CD5 | CD10 | CD19 | CD20 | CD23 | CD43 | bcl | cyclin | TdT | その他 | 転座 | |
小リンパ性リンパ腫 small lymphocytic lymphoma 慢性リンパ性白血病 chronic lymphocytic leukemia |
+ | + | + | + | + | - | - | - | ||||
濾胞性リンパ腫 FL |
+ | - | + | + | bcl2 + | - | ||||||
MALTリンパ腫 |
- | - | + | |||||||||
マントル細胞リンパ腫 MCL |
+ | + | - | + | + | |||||||
びまん性大細胞性B細胞リンパ腫 DLBL |
+ | - | +/- | + | + | bcl6 + | ||||||
前駆Bリンパ芽球性リンパ腫 急性Bリンパ球性白血病 LBL/ALL |
- | + | + | |||||||||
バーキットリンパ腫 BL |
+ | - | + | + | + | Myc, Ki-67 | t(8,14)Myc;IgH ~80% t(2,8)κ;Myc ~15% | |||||
ホジキンリンパ腫 |
CD15, CD30, CD45 - | t(8,22)Myc;λ ~10% | ||||||||||
成人T細胞白血病 ATL |
CD2, CD3, CD4, CD25, HLA-DR, CD8 - |
属 | ウイルス | 疾患 |
α-レトロウイルス属 | ||
β-レトロウイルス属 | ||
γ-レトロウイルス属 | ||
δ-レトロウイルス属 | ヒトTリンパ球向性ウイルス1, 2 | 成人T細胞白血病(ATL) |
ε-レトロウイルス属 | ||
レンチウイルス属 | ヒト免疫不全ウイルス1, 2 | 後天性免疫不全症候群(AIDS) |
スプーマウイルス属 |
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