- 英
- cirrhosis of liver (M), liver cirrhosis LC, cirrhosis
- 関
- 肝臓
定義
(アトラス肝臓病 金原出版 谷川久一、阿部弘彦 昭和62年1月30日 p.57)
- 1. 肝細胞死が原因で、びまん性の結合組織増生が肝臓全域に見られる
- 2. 肝実質の結節性再生と小葉構造の改築が認められるもの
概念
- 肝硬変はびまん性に線維化した肝病変の終末像であり、慢性肝炎とともにもっともしばしばみられる肝の病態である。臨床的には様々な程度の肝細胞機能不全状態と門脈圧亢進症による症状がみられる慢性疾患である。
疫学
- 人口10万人あたりの死亡率12.5人
- 45-59歳の男性では死亡順位第4位
- 西日本に多い
病因
病理
- 炎症による細胞の破壊と再生を繰り返す結果、再生した肝細胞と新たに形成された線維性の隔壁を有する結節が形成され(再生結節)、肝硬変となる。(BPT.647)
- ウイルス性肝炎の慢性化による肝硬変では、3mm以上の結節がみられる(macronodular cirrhosis)。
- アルコール性肝炎の慢性化による肝硬変では、平均3mmの結節がみられる(micronodular cirrhosis)。
病態生理
- 肝機能低下により(1)エストロゲンの肝臓における異化が低下、(2)アルブミン合成能が低下、(3)門脈圧亢進が起こる。(1)によるエストロゲンなどの血管拡張因子により血管が拡張し循環血漿量が減少する。(2)による膠質浸透圧の低下はサードスペースへの体液移動を引き起こしさらに循環血漿量を低下させる。これには(3)も相加的に作用すると思われる。循環血漿量の低下はRAA系の亢進をきたし、アルドステロンによるNa、水の貯留引き起こす。
- 非代償性肝硬変では、肝網内系(クッパー細胞など)の機能低下、白血球減少による易感染性を呈する。
症状
合併症
- 参考2
身体所見
[show details]
- 腹部:脾腫 ← 門脈圧と脾腫の程度は相関しない (QB.B-315)
検査
血算
-
- 血小板減少が門脈圧亢進の最初の徴候(HIM.1978)
- 白血球減少 ← 門脈圧亢進によるうっ血性の脾腫に伴う脾機能亢進。 骨髄での産生低下も原因らしい(出典不明)
血液生化学
-
- 総ビリルビン T-Bil:上昇
- アンモニア NH3:上昇
- Fischer比:低下
- 線維化マーカー (ヒアルロン酸、IV型コラ-ゲン):上昇
- 膠質反応(TTT,ZTT):上昇
- γグロブリン:上昇 ← 門脈血に含まれる細菌の抗原が肝臓をシャントしてリンパ組織に到達するためとされている(uptodate)
-
-
- 糖の処理障害により食後高血糖を来しやすく、糖尿病を発症しやすい。
- 低ナトリウム血症、血漿浸透圧低下 ← 血液中の水が間質に移動する結果、電解質も共に移動する。血液中には水が過剰となり、低ナトリウム血症、血症浸透圧低下となる。volume depletionに対してADHが主に作用するからか、あるいはH2Oが移動しやすいからなのかは不明。
免疫血清検査
- 多クローン性γグロブリン血症
- IgG:増加する傾向あり。 ← 門脈血が肝臓を通過せずにリンパ組織に流れ込む結果。著しく高値であったら自己免疫性肝炎。(参考1)
- IgM:高値であったら90-95%はPBCである。(参考1)
- 壊死、炎症が持続的に起きているから上がると解釈することもできる、みたい。
画像
- (US,CT, MRI,Angio,肝シンチ、上部消化管内視鏡)
腹腔鏡、肝生検
- 分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids, BCAA)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acids; AAA)の分子比(モル比)
-
- 肝臓、末梢(筋肉など)でよく代謝される
- ほぼ肝臓で代謝される
診断
治療
- IMD 参考2 YN.B-47
- 治療のゴールは、(1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させること、(2)他の原因による肝臓障害を予防すること、(3)合併症の予防、(4)肝移植の時期を決定することである。
- 方針:原疾患の治療を行い、肝硬変の進展を抑えるように食事、生活療法を行う、非代償期には合併症の治療を行う。
- (1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させる:原疾患の治療を行う(自己免疫性肝炎であればステロイドや免疫抑制薬、アルコール性肝障害であれば禁酒、ウイルス性肝炎であれば病原体に応じた治療)。
- (2)他の原因による肝臓障害を予防する:肝臓に障害を与えないようにする(アルコール摂取、アセトアミノフェンの過剰服用)。予防接種を受ける(肝予備能がほとんど無ければA型肝炎、B型肝炎。肺炎球菌、インフルエンザウイルスに対する予防接種も考慮される。
- (3)合併症の予防:肝細胞癌、静脈瘤出血、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝性脳症、肝肺症候群
- (4)肝移植の時期を決定:
代償期
- 食後の安静、適切な熱量(25-30kcal/kg/日)で適切な蛋白質(1.2-1.5g/kg)の食事を摂取、ビタミンB、ビタミンK補充
- 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸、グリチルリチンなど)
非代償期
-
- 食塩制限(5-7g以下)。飲水制限(1L/day)(腹水貯留時)
- 蛋白質の補充:分枝鎖アミノ酸の多い食事、分枝鎖アミノ酸製剤の点滴。NH3が上昇するなど肝性脳症の危険があれば低蛋白食とする。
- 膠質浸透圧の維持:アルブミン製剤
- 早朝低血糖に対し、夜食を勧める(肝機能低下により糖新生↓のはず)。(出典不明)
- 利尿薬:抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)、トルバプタン、フロセミド、サイアザイド → 後2者はhypokalemiaからmetabolic alkalosisを惹起、アンモニアのNH4+ ⇔ NH3 + H+の平衡を左に移行させてアンモニアの排泄を阻害、高アンモニア血症を増悪しうる(非イオン化状態では尿細管で再吸収されやすいはず)(出典不明)。
- 腹水濃縮再注入法
- 肝内門脈大循環シャント、腹膜静脈短絡術
- 食道静脈瘤の治療:内視鏡的食道静脈瘤硬化術・結紮術、外科的治療
- 肝性脳症の治療:腹水の食事療法に準じるが、NH3再吸収につながる便秘の予防に気をつける。
- 肝移植
予後
- 死因:(1)肝性脳症、(2)静脈瘤破綻、(3)肝癌合併
- (1),(2)の治療が発達したことにより、(3)での死亡が増加している。
参考
- 1. [charged] Diagnostic approach to the patient with cirrhosis - uptodate [1]
- 2. [charged] Overview of the complications, prognosis, and management of cirrhosis - uptodate [2]
国試
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|
肝硬変 |
肝硬変に合併した肝細胞癌。
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
K70.3, K71.7, K74 |
ICD-9 |
571 |
DiseasesDB |
2729 |
eMedicine |
med/3183 radio/175 |
Patient UK |
肝硬変 |
MeSH |
D008103 |
肝硬変(かんこうへん、英:Liver cirrhosis)は、肝臓病の一つである。慢性の肝障害の進行によって、肝細胞が死滅・減少し線維組織によって置換された結果、肝臓が硬く変化し、肝機能が著しく減衰した状態を指す。
肝炎は可逆的であるが、肝硬変は非可逆的である。
目次
- 1 疫学
- 2 症状
- 3 身体所見
- 4 検査
- 4.1 血液検査
- 4.2 肝生検
- 4.3 上部消化管内視鏡検査
- 5 画像診断(CT、超音波など)
- 6 治療
- 7 肝移植
- 8 予後
- 9 脚注
- 10 関連webページ
- 11 関連項目
疫学
ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎など)、アルコール性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、Wilson病などの慢性肝疾患が原因となり、あるいはこれらの疾患が進行した終末像である。[1] 日本には40万人の肝硬変患者がおり、60%がC型肝硬変、15%がB型肝硬変、12%がアルコール性肝硬変である(新臨床内科学 第8版)。かつては日本でも日本住血吸虫の有病地において、虫卵と栄養不良を原因とする肝硬変もみられた。最近ではメタボリックシンドロームに関連した非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) が原因として注目されている。
症状
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- 軽症では 食欲不振、易疲労感(疲れやすくなる)、体重減少などが見られる。
- 急性増悪(悪化)の場合、黄疸を伴う。
- 重症化すると、下肢の浮腫、腹水による腹部の拡張(膨満という)、意識障害(肝性脳症)などが生じる。
- 重症例では食道静脈瘤の破裂による吐血も見られる。
- 他に、細菌感染を併発しての発熱、凝固因子欠乏による鼻血、歯茎からの出血などが見られる。
- しばしば肝細胞癌を合併する。
- その過程で下記に示すような特徴的な身体所見があらわれる。
身体所見
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- 皮膚にはクモ状血管腫(vascular spider:前胸部にできやすい)、手掌紅斑(palmer erythema:手のひらの小指側の丘が紅潮する)を認めることがある。
- 黄疸の出現にともない眼球結膜は黄染し、進行すれば皮膚も黄褐色からややどす黒い色調を示す。(偽性黄疸との違いは、眼球結膜黄染の有無である)
- 肝臓左葉は腫大し、硬く、鳩尾(みぞおち)付近に結節性の辺縁を触れることがある。門脈圧亢進に伴い脾臓も腫大する。
- 門脈圧亢進症に伴い、食道静脈瘤、腹部の静脈の怒張(「メデューサの頭」, caput Medusae)や痔核を認めることがある。
- 末期では腹水、胸水、むくみ(浮腫,edema)、下腿の点状出血(紫斑,purpura)を認める。
- 肝性脳症を合併した場合、特徴的な羽ばたき振戦(flapping tremor)を認め、意識障害や昏睡状態となることもある。
検査
血液検査
肝機能(AST(GOT)、ALT(GPT)等)は軽度異常であることが多く、肝硬変の程度をはかる指標にはならない。 肝硬変の程度を測る指標としては、血清アルブミン濃度の低下、総ビリルビン濃度の上昇、プロトロンビン時間の延長、コリンエステラーゼの低下がある。
他に、肝硬変に特有の検査として、肝臓の線維化マーカーであるヒアルロン酸やIV型コラーゲン7S,プロコラーゲンIIIペプチド(P-III-P)も用いられる。これらの異常は肝硬変であることを強く示唆する。 排泄能の評価にはインドシアニングリーン静注後15分の停滞率を測定することが多い(略号ICG15)。
そのほか、血液中の血小板数の減少(C型肝炎において肝線維化との相関が強い)、白血球減少、貧血、血清γグロブリンの上昇を認める。[2]
肝硬変患者は糖尿病を合併することがあり、しばしば血糖値とHbA1c(ヘモグロビンA1c分画)の上昇を認める。
- 肝臓のブドウ糖吸収能、糖新生能は、ともに肝硬変で低下するため、高血糖・低血糖がともにみられる。
肝臓によって合成される非特異的コリンエステラーゼ値・アルブミン値は、肝臓の蛋白合成能を反映し、肝硬変ではしばしば低下する。
成因についての検査としてはウイルス学的検査(HBV抗原・抗体, HCV抗体など)、自己免疫学的検査(ANA(Anti-Nuclear Antibody:抗核抗体),AMA,AMA-M2分画=抗PDH抗体など)などを行う。
肝生検
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肝生検では、再生結節を伴う線維化した肝組織を認める。再生結節の大きさが3mmより小さいものは小結節性肝硬変と分類され、アルコール性肝硬変に多くみられる。3mm以上のものは大結節性肝硬変と分類され、ウイルス性肝硬変に多くみられる。日本では大結節性肝硬変が多い。近年、超音波や腹部CTなどの画像診断技術の進歩に伴い、肝硬変の診断における肝生険の意義は薄れつつある。
上部消化管内視鏡検査
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上部消化管内視鏡検査にて、食道・胃の静脈瘤を定期的に検索することは、生命予後を改善する上で重要である。
画像診断(CT、超音波など)
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腫大した肝左葉と萎縮した肝右葉、mesh pattern(小網目状)の実質、鈍化した辺縁、肝表面の凹凸が 腹部超音波検査や腹部CT検査で共通にみられる典型的な肝硬変像である。しばしば腹水が見られる。
腹部超音波検査では、肝臓の再生結節、門脈圧亢進を反映した胆嚢壁の肥厚を認める(胆嚢静脈が門脈に還流するため)。左葉の腫大については、腹部超音波検査で尾状葉(S1)が大動脈の位置まで達していれば、左葉腫大と判定する。
アルコール性肝硬変では、再生結節が小さく均一に分布するため、両葉が腫大し、実質は粗くなく、表面の凹凸も目立たない。
傍臍静脈や左胃静脈の拡張・脾後腹膜短路など、側副血行路の形成も認める。
肝硬変にはしばしば肝細胞癌が合併するが、造影剤を用いたダイナミックCT・MRI検査や超音波ドップラー法などで、癌組織内の血流を評価する検査が癌の診断に有用である。
治療
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- アルコール性肝硬変ではアルコール摂取を断つことが最も効果のある治療法である。
- ウイルス性肝硬変においても、禁酒は予後を改善する。
- C型代償性肝硬変では、セルログループ1の低ウイルス量例とセログループ1以外の症例に天然型インターフェロンβを用いる。
- B型肝硬変ではHBV-DNAが陽性の症例にはエンテカビルを用いる。[3]
- 5年間にわたるテノフォビル投与により、HBVによる肝硬変患者の約75%は、肝硬変が改善していた。[4]
- アルコールは肝硬変を悪化させる、健康食品などによる過剰なたんぱく質の摂取は肝性脳症を誘発する、過剰な塩分の摂取は腹水を悪化させることが知られており、禁酒と食事中の蛋白・塩分制限が必要になることがある。肝硬変患者では消化管での脂溶性ビタミン、特にビタミンKの吸収が低下するため、ビタミン剤の補給が必要になることがある。
- 腹水や浮腫の治療としてスピロノラクトンやフロセミドなどの利尿薬の内服や、腹水穿刺やLe-Veen shuntによる物理的な腹水の除去が行われることがある。門脈圧亢進症に対してTIPS(経頚静脈的肝内門脈肝静脈短絡術)など血管内治療による治療が行われる場合もある。いずれの治療法にせよ、病期の進行とともに治療は困難となることが多い。
- 特発性細菌性腹膜炎が腹水の原因である場合は、第三世代セフェム系抗生物質を使用する。腹膜炎の発症のリスクの高い患者では予防的な抗生剤の内服を行うこともある。
- 貧血に対してはその原因に応じて鉄剤やビタミン剤を補給する。輸血が必要になることもある。
- 出血傾向に対する治療としてビタミンKの補充や、血液凝固因子の補充を目的として新鮮凍結血漿の輸血が行われることがある(これはアルブミンの補充にもなる)。
- 腎機能の低下(肝腎症候群)や呼吸機能の低下(肝肺症候群)を合併することがある。この場合、予後は著しく不良である。
- 低アルブミン血症を改善するために分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA顆粒製剤)を服用することが推奨されている。肝不全の悪化や食道静脈瘤破裂、肝細胞癌発生の抑制が期待できる。
- 肝硬変ではしばしば下肢のこむら返りがみられる。ジアゼパムやダントロレンなどによる神経系の抑制のほか、芍薬甘草湯が効果を示すこともある。
肝移植
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米国では脳死肝移植が一般的だが、日本では生体肝移植が一般的である。移植後は拒絶反応を抑制する目的で免疫抑制薬(タクロリムス)が用いられることが多い。
予後
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肝硬変患者の予後を予測するための指標として、Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類(肝性脳症の有無、腹水の有無、血清総ビリルビン値、血清アルブミン値、PT活性値などで分類)がしばしば使われる。肝硬変の予後は、肝不全、消化管出血、肝細胞癌の合併症により決定される。特にC型肝硬変では肝細胞癌の合併が多く、中でも予後は比較的不良である。肝移植が成功した患者では、その予後は著しく延長する。
脚注
- ^ 肝疾患診療実践マニュアル 文光堂 1995
- ^ 今日の診断指針第6版 医学書院 2010
- ^ 今日の治療指針 医学書院 2009
- ^ Lancet 2012 Dec 10; [e-pub ahead of print].
関連webページ
- 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、肝硬変に関連するカテゴリがあります。 |
- 肝臓学
- 消化器学
- 肝臓
- 肝炎
- 脂肪肝
- 肝線維症
- 肝癌
- 日本肝臓学会
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診療ガイドライン(2012年) : 厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班
- ダメダメ指導にさようなら 栄養指導の○(まる)と×(バツ)(40)C型肝硬変患者の栄養指導
- 肝硬変合併患者に対する周術期管理 (特集 消化器癌併存症 : 周術期の対処法)
- 左党のあなたに贈る 肝硬変、肝がんの防ぎ方 毎日酒を飲んでもγ-GTPは下げられる!
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- 肝硬変<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>。肝硬変とはどんな病気か 肝硬変は、ひとつの独立 した疾患というよりも、種々の原因によって生じた慢性肝炎(まんせいかんえん)が治癒 しないで、長い経過をたどったあとの終末像であって、その肝病変は一般に非可逆 goo ...
- 肝硬変をきたす病気には次のようなものがあります。 ・ウイルス性: B型肝炎ウイルス: C 型肝炎ウイルス; ・自己免疫性: 自己免疫性肝炎: 原発性胆汁性肝硬変; ・非アルコール 性脂肪性 ... 肝硬変では血液凝固因子が低下するためプロトロンビン時間が延長する。
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- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 58歳の女性。腰背部の激痛を訴え、家族に付き添われ来院した。
- 現病歴 : 慢性関節リウマチで15年間治療中であり、5年前に右膝人工関節置換術を受け、現在は少量の副腎皮質ステロイド薬と非ステロイド性抗炎症薬とを中心に服用中である。特に誘因なく4日前から増悪する腰背部痛を自覚した。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長154cm、体重46kg。円背があり、胸背移行部に強い自発痛と叩打痛とがあり、坐位保持は30分間が限度である。神経学的には明らかな脊髄症状はみられない。手指変形と多発性関節痛とがある。屋内は伝い歩きが可能であるが、屋外歩行は困難である。
- 検査所見 : 胸腰椎エックス線単純撮影で第7、8、9及び12胸椎に圧迫骨折が認められる。
- 経過 : 以上の所見から入院となった。体幹装具を作製し、歩行訓練を始め、杖歩行が可能となった。4週経過し退院準備中である。なお本人の自宅居室は1階にある。退院前検査所見:血液所見:赤血球370万、Hb 10.5g/dl、白血球6,000。血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン3.5g/dl。CRP2.3mg/dl(基準0.3以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):PaO2 80Torr、PaCO2 40 Torr。胸部エックス線写真で軽度の間質性肺炎の所見がみられる。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F049]←[国試_096]→[096G001]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 血液検査所見で予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B049]←[国試_105]→[105B051]
[★]
- 次の文を読み、 49-51の問いに答えよ。
- 63歳の男性。発熱と腹痛とを主訴に来院した。現病歴:昨日から38℃台の発熱と腹部全体の痛みとがある。痛みは持続的で、下痢と嘔吐とはない。家族の話では、いつもと比べて何となくぼんやりしているという。
- 既往歴 53歳時にC型肝炎を、 60歳時に肝硬変を指摘された。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父親が脳梗塞のため84歳で死亡。
- 現 症 意識レベルはJCS I-2。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧106/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し、打診では仰臥位から左側臥位への体位変換で濁音境界が移動する。腹部全体に軽度の圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球295万、 Hb9.2g/dl、Ht27%、白血球4,200、血小板4.3万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.6g/dl、尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、 AST94IU/l、 ALT64IU/l、 ALP230IU/l(基準115-359)、アンモニア73μg/dl(基準18-48) 。腹部超音波検査で肝臓に腹痛を認めない。
- 認められる可能性がある身体所見はどれか。 3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B048]←[国試_106]→[106B050]
[★]
- 63歳の男性。発熱と腹痛とを主訴に来院した。現病歴:昨日から38℃台の発熱と腹部全体の痛みとがある。痛みは持続的で、下痢と嘔吐とはない。家族の話では、いつもと比べて何となくぼんやりしているという。
- 既往歴 53歳時にC型肝炎を、 60歳時に肝硬変を指摘された。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父親が脳梗塞のため84歳で死亡。
- 現 症 意識レベルはJCS I-2。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧106/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し、打診では仰臥位から左側臥位への体位変換で濁音境界が移動する。腹部全体に軽度の圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球295万、 Hb9.2g/dl、Ht27%、白血球4,200、血小板4.3万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.6g/dl、尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、 AST94IU/l、 ALT64IU/l、 ALP230IU/l(基準115-359)、アンモニア73μg/dl(基準18-48) 。腹部超音波検査で肝臓に腹痛を認めない。
- 病態把握のために最も重要な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B049]←[国試_106]→[106B051]
[★]
- 63歳の男性。発熱と腹痛とを主訴に来院した。現病歴:昨日から38℃台の発熱と腹部全体の痛みとがある。痛みは持続的で、下痢と嘔吐とはない。家族の話では、いつもと比べて何となくぼんやりしているという。
- 既往歴 53歳時にC型肝炎を、 60歳時に肝硬変を指摘された。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父親が脳梗塞のため84歳で死亡。
- 現 症 意識レベルはJCS I-2。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧106/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し、打診では仰臥位から左側臥位への体位変換で濁音境界が移動する。腹部全体に軽度の圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球295万、 Hb9.2g/dl、Ht27%、白血球4,200、血小板4.3万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.6g/dl、尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、 AST94IU/l、 ALT64IU/l、 ALP230IU/l(基準115-359)、アンモニア73μg/dl(基準18-48) 。腹部超音波検査で肝臓に腹痛を認めない。
- 治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B050]←[国試_106]→[106B052]
[★]
- 61歳の男性。自営業。旅客機内で耐え難い全身倦怠感を訴えた。2週間の仕事を終えて東アジアのある国から帰国するところである。たまたま同乗していた医師が機内アナウンスに呼応した。男性が現地の医療機関を昨日受診した際に渡された紹介状の一部を示す。
- The patient is a 61-year-old man with a complaint of general malaise. Distended abdomen has been developed in these two days. He has a long history of drinking. However, he has never been treated on alcoholic problems.On physical examination, his consciousness was clear. He had no fever. Icterus on his conjunctiva, several vascular spiders in his anterior chest and bilateral pretibial edema were observed. Moderate amount of ascites was detected by ultrasonography.
- Therefore, I strongly recommended him to consult a physician in his home country as soon as possible.
- 機内での現症:体温 36.5℃。脈拍 88/分、整。呼吸数 12/分。腹部に圧痛を認めない。
- この情報から最も疑うべき疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110C019]←[国試_110]→[110C021]
[★]
- 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
- 62歳の女性。意識障害のため家族とともに来院した。
- 現病歴 : このところ忙しく便秘気味であった。昨夕から食事中に箸を落としたり、しばらくボーッとするなど、少し様子がおかしいことに家族が気付いた。
- 既往歴 : 30歳時分娩の際に大量出血をきたし輸血を受けた。病院に行くのが嫌いなため、その後血液検査を受けたことがない。
- 現症 : 意識はやや低下している。身長157cm、体重56kg。体温35.8℃。脈拍80/分、整。血圧146/82mmHg。眼球結膜に軽度の黄染を認める。胸部にくも状血管腫を認める。腹部は平坦、軟で、心窩部に肝を8cm触知する。脾は触知しないが、脾濁音界は拡大している。下肢に浮腫は認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F032]←[国試_098]→[098F034]
[★]
- 78歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。感冒罹患を契機に5日前から食欲が低下し、ほとんど食事が摂れなかった。昨夕近医でブドウ糖の大量輸液を受けたところ、明け方、意識低下に家族が気付いた。最近、視野が狭くなり、新聞が読みづらいと訴えていたという。脈拍64/分、整。血圧102/64mmHg。浮腫も脱水もない。血清生化学所見:空腹時血糖117mg/dl、総蛋白6.Sg/dl、アルブミン4.1g/dl、尿素窒素6mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、尿酸2.2mg/dl、Na105mEq/l、K4.3mEq/l。血清浸透圧206mosm/l(基準275~288)、尿浸透圧366mOsm/l(基準50~1,300)。頭部CTで下垂体部に径25mmの腫瘤を認める。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D048]←[国試_097]→[097D050]
[★]
- 72歳の女性。下腿の浮腫を主訴に来院した。浮腫は3か月前から両側の足首に出現し、その後下腿全体に広がった。身長152cm、体重63kg。脈拍64/分、整。血圧160/94mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。眼底に網膜新生血管を認める。尿所見:蛋白4+、糖2+。血液所見:Hb 11.0g/dl、白血球 6,800、血小板 23万、フィブリノゲン 460mg/dl(基準200-400)。血液生化学所見:血糖 150mg/dl、HbA1c 7.4%、総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.8g/dl、尿素窒素 32mg/dl、クレアチニン 1.8mg/dl、尿酸 8.5mg/dl、総コレステロール 380mg/dl、Na 136mEq/l、K 6.0mEq/l、Cl 108mEq/l。
- 浮腫の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D032]←[国試_104]→[104D034]
[★]
- 68歳の女性。朝食摂取後から次第に増強する上腹部痛が出現し、夕方には発熱と軽度の意識混濁とが出現したため救急車で搬入された。胆嚢結石と胃潰瘍で近医に通院中であった。来院時、血圧86/50mmHg。軽度の意識混濁がある。皮膚は温かい。肝濁音界は存在するが、右肋骨弓下に圧痛と抵抗とを認める。血液所見:赤血球460万、Hb14.4g/dl、白血球15,000、血小板5万。血清生化学所見:総ビリルビン6.5mg/dl、直接ビリルビン4.0mg/dl、AST140単位、ALT130単位、アルカリホスファターゼ976単位(基準260以下)、アミラーゼ1,200単位(基準37~160)。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099H011]←[国試_099]→[099H013]
[★]
- 40歳の女性。軽度の全身倦怠感と易疲労感とを主訴に来院した。5年前から1日3合の冷酒を飲むようになった。身長152cm、体重44kg。右肋骨弓下に表面平滑の肝を3cm触知し、圧痛を認めない。血清生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dl、AST80IU/l、ALT50IU/l、γ-GTP580IU/l(基準8~50)。肝生検組織H-E染色標本を以下に示す。
- この疾患で正しいのはどれか。2つ選べ。
- a. 同一飲酒量では男性の方が罹患しやすい。
- b. 飲酒を続けても肝硬変には進展しない。
- c. γ-GTPは禁酒により速やかに改善する。
- d. 肝に蓄積しているのは中性脂肪である。
- e. 肝の組織学的変化は不可逆性である。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G027]←[国試_101]→[101G029]
[★]
- 65歳の男性。吐血のため搬入された。起床時から悪心があり、朝食前に洗面器・いっぱいの吐血があった。肝硬変で通院中である。意識は清明。身長167cm、体重42kg。体温36.8℃。脈拍108/分、整。血圧96/60mmHg。腹部は膨隆。血液所見:赤血球 340万、Hb 8.5g/dl、Ht 26%、白血球 3,800、血小板 7.2万。血液生化学所見:総蛋白 5.5g/dl、アルブミン 2.9g/dl、尿素窒素 45mg/dl、クレアチニン 1.4mg/dl、総ビリルビン 1.3mg/dl、直接ビリルビン 0.8mg/dl、AST 55IU/l、ALT 30IU/l。
- 血管確保後にまず行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D022]←[国試_104]→[104D024]
[★]
- 67歳の男性。数週前から夕方になると足がむくみ、靴が履きにくくなるため来院した。足背に浮腫を認める以外特記すべき所見はない。血圧142/86mmHg。尿所見:蛋白3+、糖(-)、沈さに赤血球1~3/1視野、白血球1~3/1視野。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dl、アルブミン2.2g/dl、尿素窒素18.0mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総コレステロール310mg/dl。腎生検組織の蛍光抗体IgG染色標本と電子顕微鏡写真とを以下に示す。
- 基礎疾患として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D049]←[国試_102]→[102D051]
[★]
- 61歳の男性。黒色便を主訴に来院した。1年前に肝細胞癌と診断され、ラジオ波焼灼を受けた。血液所見:赤血球220万、Hb7.5g/dl、白血球2,800、血小板7万、プロトロンビン時間65%(基準80~120)。血清生化学所見:アルブミン3.3g/dl、総ビリルビン1.8mg/dl、AST72単位、ALT65単位。腹部造影CTを以下に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100H022]←[国試_100]→[100H024]
[★]
- 23歳の男性。健康診断で食道の異常を指摘され、精査を希望して来院した。自覚症状はない。身体所見では軽度の脾腫を認める以外に特記すべき異常はない。食道内視鏡写真と経動脈性門脈造影写真とを以下に示す。考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095G021]←[国試_095]→[095G023]
[★]
- 61歳の男性。C型肝炎から肝硬変になり加療中であった。病院から自転車で帰宅の途中転倒し、左前額部を打撲し救急搬入された。治療の甲斐なく2日後に死亡し、病理解剖で左前額部挫創、180gの左硬膜下血腫、肝硬変および3cm大の肝細胞癌が認められた。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F001]←[国試_097]→[097F003]
[★]
- 66歳の男性。皮疹を主訴に来院した。3か月前から体幹に軽度の掻痒を伴う皮疹が多発してきた。体幹の写真と皮疹の拡大像とを以下に示す。基礎疾患として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E043]←[国試_102]→[102E045]
[★]
- 54歳の男性。腋窩と頚部との皮膚のざらつきと痒みとを主訴に来院した。腋窩部の写真と腋窩部皮疹の病理組織H-E染色標本とを以下に示す。基礎疾患として考えられるのはどれか。2つ。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A007]←[国試_099]→[099A009]
[★]
- 54歳の男性。腋窩と頸部との皮膚のざらつきと痺みとを主訴に来院した。腋窩部の写真と腋窩部皮疹の病理組織H-E染色標本とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A034]←[国試_102]→[102A036]
[★]
- 全身状態・疾患とそれに伴う貧血の原因の組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108C013]←[国試_108]→[108C015]
[★]
- 英
- hyponatremia
- 同
- 低Na血症
- 関
- ナトリウム、高ナトリウム血症、電解質異常
定義
- 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
- 水とナトリウムのバランスという観点で、2つに分けられる
疫学
分類
-
病型
ICU.525
- 利尿・副腎不全: 尿中Na > 20mEq
- 嘔吐・下痢 : 尿中Na < 20mEq
- 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。下表で[1]に相当
- 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態:下表で[3]に相当
- 腎不全 : 尿中Na > 20mEq
- 心不全・肝不全: 尿中Na < 20mEq
IMD
- [1] 細胞外液量増加:組織間質に非常に多量の水と多量のナトリウムが移動。移動する原因は血液のうっ滞、膠質浸透圧の低下など
-
- うっ血性心不全や腹水を伴う肝硬変では、圧受容器が循環血液量の減少を検出してバソプレシンを分泌する(cases.200)
- 消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞など)、熱傷、利尿薬の過剰投与、腎疾患、副腎不全など。
- [3] 細胞外液量正常:ナトリウムの摂取・排泄は変わらないが、水が異常に蓄積されるため? ← 最も多いらしい
- 内分泌疾患(副腎不全、抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症)、薬物、水中毒(心因性多飲)など。
- 高浸透圧性:高血糖、マンニトール投与など。
- 正浸透圧性:脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症など。
水とナトリウムのバランスによる分類
低ナトリウム血症+血漿浸透圧上昇
- QB.D-333
- 高脂血症 → (炎光光度法で測定する場合)過剰の脂質によって血漿の非液相成分が増加し血漿浸透圧が上昇するが、液相成分が減少しているため見かけ上低ナトリウム血症となる (ICU.523) → 偽性低ナトリウム血症
- 高血糖 ← 高血糖だけで低血糖になる?
- 尿毒症 → 浸透圧較差の増大による。ある種の毒性物質(エタノール、メタノール、エチレングリコール、腎不全によって蓄積した同定できない毒素)が細胞外液にあるときに増加する(ICU.517)(つまり、毒性物質が浸透圧を生み出す物質として作用するということ)。ちなみに、急性腎不全では正常であり、慢性腎不全で浸透圧較差は上昇する。
病態生理
- 体液電解質異常と輸液 改訂第3版 p.51
低ナトリウム血症のメカニズム
|
|
障害の原因
|
障害の例
|
effective osmole(Na, K)の欠乏
|
長期間のの下痢・嘔吐・絶食
|
浸透圧利尿
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水分過剰
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口渇感の異常 (多飲)
|
尿自由水排泄能力を超えた量の飲水
|
心因性多飲
|
マラソン中の多量飲水
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尿希釈能の低下 (水排泄障害)
|
尿細管での 自由水生成障害
|
有効循環血漿量低下 (心不全、肝不全、脱水)
|
極度の低栄養・偏食
|
腎障害
|
不適切な抗利尿ホルモン作用
|
SIADH
|
有効循環血漿量低下
|
甲状腺機能低下
|
糖質コルチコイド欠乏
|
症状
- 急性:症状が出現しやすい。意識障害を呈する
- 慢性:無症候。125mEq/L以下にならなければ顕性化しない事が多い。臨床的に問題となるのは非常に低いレベル(120mEq/L)。
- 全身 :無力感、全身倦怠感
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
- 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
- 筋 :痙攣、腱反射低下、筋力低下
重症度別(YN.D137)
- 軽症:120mEq/L以上:無気力、疲労感、軽度の食思不振、頭痛
- 重症:120mEq/L以下:悪心・嘔吐、強い食思不振や頭痛、精神症状や間代性痙攣、意識障害
検査
- 血清Na・K 測定、腎機能検査、ADH、コルチゾール、アルドステロン、甲状腺ホルモンの測定、血液ガス分析など(IMD)
- 尿の浸透圧、尿Na濃度
治療
YN.D-137改変
|
脱水
|
|
水
|
Na
|
体液
|
病態生理
|
尿中Na
|
尿浸透圧
|
ADH
|
治療
|
原疾患
|
[1]
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なし
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hyponatremia with hypervolemia
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大過剰
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過剰
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細胞外液量増加
|
|
(>20mEq/L)
|
|
分泌される
|
・ループ利尿薬+水,Na制限 ・(不十分)サイアザイド追加 ・低Kや体腔液貯留が強い場合スピロノラクトン追加
|
末期腎不全
|
(<20mEq/L)
|
うっ血性心不全、肝硬変
|
[2]
|
あり
|
hyponatremia with hypovolemia
|
ナトリウム喪失型 ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症
|
-
|
過少
|
細胞外液量減少
|
Na OUT →○⇒
|
↑ 80mEq/L (>20mEq/L)
|
|
|
・Naの補給+等張液輸液(生食,乳酸リンゲル) ・Na排泄率をモニターしIN>OUTを確認
|
腎性:利尿薬の過剰投与、Addison病、尿細管傷害
|
↓ 20mEq/L (<20mEq/L)
|
腎外性:消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞)、熱傷、
|
Na IN →○→
|
↓ 20mEq/L
|
経口摂取不能
|
[3]
|
なし
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hyponatremia with normovolemia
|
水過剰型 希釈性低ナトリウム血症
|
過剰
|
-
|
細胞外液量正常
|
水 OUT →○→
|
→ 40mEq/L
|
ADH excess >320 mOsm/kg (>100mOsm/L)
|
分泌抑制不可能
|
・水制限 ・ループ利尿薬+生理食塩水
|
SIADHなど
|
|
水IN ⇒○→
|
↓ 20mEq/L
|
<100 mOsm/kg (<100mOsm/L)
|
分泌抑制を上回るwater intake
|
低張輸液過多、水中毒(心因性多飲)
|
[4]
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|
|
|
|
|
偽性低Na血症
|
高浸透圧性
|
|
|
|
|
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高血糖、マンニトール投与
|
正浸透圧性
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脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症
|
対症療法
- 脱水:等張の生理食塩水
- SIADH:飲水制限
- 水とナトリウムの過剰:水とナトリウムの摂取制限、利尿薬
- 研修医当直御法度 症例帳 p.28
- 低ナトリウム血症だからといって生理食塩水を輸液すればいいわけではない。
- [1] ナトリウム過剰(それ以上に水貯留):(症状)浮腫、腹水などによる著明体重増加。(基礎疾患)心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変
- ・・・ 生理食塩水輸液××
- ・・・ 生理食塩水輸液ok
- [3] ナトリウム正常(水が過剰):水中毒、SIADH
- ・・・ 生理食塩水輸液××
合併症
- 急速な低ナトリウム血症の補正により生じうる。
- 中枢神経に細胞内脱水をきたし、橋部を中心に脱髄病変を示す。
- 症状:神経障害、意識障害、痙攣、四肢麻痺など
[★]
- 英
- hepatitis B virus, HBV, hepatitis virus B
- 関
- ウイルス、肝炎、B型肝炎、肝炎ウイルス
ウイルス学
抗原&および抗体
HBs抗原
|
HBsAg
|
表面抗原である。HBs抗原(+)はウイルスが体内に存在することを示す。
|
抗HBs抗体
|
anti-HBs
|
中和抗体である。抗HBs抗体(+)は過去にHBVに感染して治癒しているか、HBVワクチンを接種されているかをしめす。
|
HBc抗原
|
HBcAg
|
HBVを構成するタンパク質であるが、キャプシド内のタンパク質である。
|
抗HBc抗体-IgM
|
IgM anti-HBc
|
感染初期に現れ、数ヶ月後に消える。急性肝炎の診断に使用される。
|
抗HBc抗体-IgG
|
IgG anti-HBc
|
抗HBc抗体-IgMに少し遅れて現れ、ほぼ生涯にわたって血中に存在する。過去にHBVにかかったことを示す。
|
HBe抗原
|
HBe
|
HBe抗原は発症に遅れて一ヶ月後から増加し始め、治癒した後2,3ヶ月かけて減少する。HBe抗原(+):HBVが増殖する際に過剰に作られるタンパク質。HBVの活発な増殖を示しており、感染力が強いことを示す。
|
抗HBe抗体
|
anti HBe
|
抗HBe抗体(+):HBVウイルス量と増殖が落ち着いていることを示しており、感染力が弱いことを示す。
|
HBcAg
- HIM.1935
- ヌクレオキャプシドはC geneがコードしている。ヌクレオキャプシド:に発現している抗原をHBcAgという。
HBeAg
- HIM.1935
- C geneがコード。スタートコドンが箇所有り、precore regionから開始するものは小胞体シグナルを含み、細胞外に分泌される。core regionから翻訳されたものがnucleocapsid particleの組み立てに用いられる。この蛋白はRNAと結合する。ウイルスの増殖性・感染性と関係がある。HBs-Ag陽性キャリアの母親が妊娠・出産して子供にHBVが伝播する確率は、HBeAg陽性で90%、HBe陰性で10-15%。3ヶ月を越えてHBeAg陽性だったら、慢性化した事の証。(HIM.1933)
- HBeAgは、HBsAgと同時かあるいはそのちょっと後に出現する。急性のB型肝炎の場合は、ALTがピークをつけたあたりで検出できなくなる。
初感染時に、末梢血でみられる血清学的変化の順番
- IgM anti-HBc (対応抗原が末梢血に出てこないから検出が容易という訳じゃよ、たぶん) -> anti-HBe ->anti-HBs
HBV抗原の局在
- QB.278
- HBsAg:肝細胞質内
- HBeAg:肝細胞質内
- HBcAg:肝細胞核内? ← ホントかな。末梢血に出ないというだけじゃね?
抗原/抗体の状態
|
HBs抗原
|
抗HBs抗体
|
抗HBc抗体
|
HBe抗原
|
抗HBe抗体
|
RT-PCR
|
未感染者
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
ワクチン接種者
|
-
|
+
|
-
|
-
|
-
|
-
|
既感染者
|
-
|
+
|
+
|
-
|
+
|
-
|
キャリア
|
+
|
-
|
+++
|
+
|
-
|
+
|
-
|
+
|
慢性化
- HBsAgが6ヶ月以上陽性で、IgG anti-HBcが優性となり、anti-HBsは検出できないか検出限界以下となる。このころにHBV DNAは末梢血・肝細胞の核内に存在し、free or episomal form(エピソーム)として存在する。
- 1. replacative stage: HBVの増殖や肝障害が激しい。このstageにおいてHBV DNAは量的, HBeAgは質的なマーカーとなる。
- 2. nonreplacative stage: 年に~10%の割合で起こる。HBeAg陽性からanti-HBeへの血清変換(seroconversion)が起こる。この時期にたいていALTが上昇するが、身体の細胞性免疫がウイルスを排除したと考えられている。このころにはHBV DNAは核内に存在して、宿主のゲノム内にintegrateされている。末梢血にはウイルス粒子ではなく、球状・管状のウイルス粒子がみられる。肝臓の障害もやんでいる傾向にある。時に、HBeAgへの血清変換とHBV DNAの上昇、IgM anti-HBcの出現を伴ってウイルスの再活性化が起こる。IgM anti-HBcはウイルスの再活性化でも起こるから、初感染の指標としては使えないね。患者の病歴が重要。(HIM.1935)
- 血清変換は細胞性免疫が減弱した老人で起こりにくく、若者に多い。
- 3. inactive HBV carrier: nonreplicative stageに入った患者のうち、活動性の肝障害がないヒトを指している。
ウイルスの生活環
- when packaging within viral peoteins is complete, synthesis of the incomplete plus strand stops
侵入&増殖
- ウイルスDNAは核内に移行
- ニックの入った鎖がDNAポリメラーゼに修復され2本鎖環状DNAとなる
遺伝子型
遺伝子型
|
A
|
C
|
地域
|
海外?
|
日本
|
慢性化
|
する
|
しにくい
|
重症度
|
軽い
|
重い
|
IFN効果
|
奏効しやすい
|
奏効しにくい
|
腫瘍
|
|
肝細胞癌発症しやすい
|
潜伏期
- 60-160日
- 約35日でHBV DNAが検出可能
- 約59日でHBs抗原が検出可能
感染経路
- 血液、体液、分泌液(唾液)が粘膜と接触することで引き起こされる
- 垂直感染:母子感染(経産道感染。経胎盤感染しない。母乳感染なし。) ⇔ ときに経胎盤感染するらしい(G10M.168)
G10M.168
疫学
- 世界中に存在する
- 流行地:中国、東南アジア、サハラ砂漠地域、アマゾン川流域、太平洋湾岸地域
症状
急性肝炎
慢性肝炎
合併症
経過
- 感染後、10%がキャリアーとなり慢性化する
急性B型肝炎 (SMB.547)
- 急性B型肝炎→慢性B型肝炎
- 免疫能が正常な人に感染した場合、長い潜伏期の後にA型肝炎様の症状を発症する。2-4ヶ月で治癒する
- 1-2%の確率で劇症肝炎を引き起こす
慢性B型肝炎 (SMB.547)
- HBVキャリア:血中のHBs抗原が6ヶ月以上にわたり陽性である
- 無症候性キャリア:自発症状がない
- キャリアとなるとウイルス量は多いが肝障害がない無症候性キャリアとなる ← 免疫系が誘導されていない。免疫寛容の状態
- 10-30歳で肝炎を発症し、多くの場合、B型肝炎ウイルスを排除する方向に向かっていく(HBe抗体が立ち上がる)が、10%の症例で肝炎が持続する。HBe抗体が立ち上がっても5-10%の症例で変異型HBVにより肝炎が持続する。肝炎が持続すると肝硬変、原発性肝癌を生じる (SMB.547)
検査
治療
治療薬
急性肝炎
慢性肝炎
インターフェロン
- seroconversion(HBe抗原→HBe抗体)しにくいHBe抗原陽性活動性肝炎
- HBV DNA陽性・HBe抗体陽性活動性肝炎
ラミブジン
- 目的:救命
- 絶対適応:重症化、重症化の予想される慢性肝炎、活動性肝硬変、F3/A3の慢性肝炎、発症早期の劇症肝炎
- 相対適応:35歳以上のF2/A2慢性肝炎
- 禁忌 :35歳以下でF1/A1慢性肝炎
- 炎症:A1<A2<A3、線維化の程度F1<F2<F3<F4
ラミブジン耐性株
検査
予防
- HBs抗原の遺伝子を酵母に遺伝子導入して作らせた成分ワクチン
母子感染の予防
- ↓陽性
- 2-a.(HBe陽性)ウイルス量が多い場合の予後 :感染率100%, キャリア化率80-90%
- 0ヶ月:HBIG
- 1ヶ月: →HBs抗原検査
- 2ヶ月:HBIG:B型肝炎ワクチン
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 4ヶ月:
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
- 2-b.(HBe陰性)ウイルス量が少ない場合の予後:感染率 10%, キャリア化率まれ
- 0ヶ月:HBIG
- 1ヶ月:
- 2ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 4ヶ月:
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
消毒薬
- アルコールでは不十分
- 0.5%次亜塩素酸、2%グルタルアルデヒドを用いる
ステロイド使用
- http://www.kenei-pharm.com/medical/academic-info/icnews/2015/4072/
- http://www.ryumachi-jp.com/info/news110926_gl.pdf#search=%27%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89+B%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E+%E9%99%A4%E5%A4%96%27
関連疾患
参考
- http://www.bml.co.jp/genome/product_service/invader01.html
[★]
- 英
- diuretic, diuretics
- 関
- 尿細管
適応
利尿薬の種類 (GOO.744)
利尿薬の例
-
利尿薬の作用部位
- ホルモンと利尿薬の作用部位についての簡単なまとめは→尿細管
参照
- http://hobab.fc2web.com/sub4-Diuretics.htm
[★]
- 英
- autoimmune hepatitis AIHA, AIH
- 関
- 類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病
まとめ
- 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
- 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
- LAB.894
- II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
- IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
- IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
- 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
- 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
- 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
- AST, ALT:高値
- γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
- 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
- ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
- 抗核抗体:I型で陽性
- 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
- 抗LKM-1抗体:II型で陽性
- 抗SLA抗体:III型で陽性
- 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
- 参考3
診断
- 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
- 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
- 副腎皮質ステロイドが著効する
- ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
- ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
- 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
- インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
- 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
- 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [3]
- 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
- 英
- idiopathic thrombocytopenic purpura, ITP
- 同
- ヴェルルホフ紫斑病 Werlhof purpura、(immune thrombocytopenic purpura← これは上位の疾患概念?)
- 関
- 血小板減少
概念
- 血小板に対する自己抗体によって血小板数が減少し、出血傾向をきたす自己免疫疾患
- 他の自己免疫性疾患による血小板減少は除外(除外診断)。
- 他の自己免疫性疾患との合併も多く、自己免疫性溶血性貧血・SLE・橋本病などが合併しうる。
疫学
- 小児に多い。1-3週前にウイルス感染症に罹患した後に発症。6ヶ月以内に治癒。
- 成人(10歳以上。20-40歳)女性に多い。緩慢に発症。軽快と増悪を繰り返す。
病因
- 血小板に対する自己抗体の出現による。
- 凝集に関与する糖蛋白GpIIb\GpIIIaに対する自己抗体が出現することで、自己の血小板に対する免疫反応が惹起され、血小板の破壊亢進が起こる。さらに原因は不明ではあるが粘着に関与する糖蛋白GpIb/GpIXに対する自己抗体も出現してくる。
症候
- 出血症状:皮膚の紫斑(点状出血・斑状出血)・鼻出血・歯肉出血・性器出血(月経多過)
- 関節内出血や深部出血は稀。
身体所見
- 急性特発性血小板減少性紫斑病:軽度の発熱、脾臓の軽度腫大?(10%の子供の患者にみられるが、正常な群でも同程度みられる。また、脾摘を受けた患者では脾臓の重さは正常であった。(WCH.1537) → つまり脾腫は一般的な症状とは言えない)
検査
血液
- 血小板数 10万 /μl 以下。赤血球数・白血球数は正常
骨髄検査
- 正形成。巨核球数は正常or増加
- 血小板付着を欠く巨核球が多い。
- [show details]
巨核球が若干多いかもしれないがよく分からない
免疫血清学的検査
- 血小板結合性IgG(PAIgG):高値 ←特異度低(SLE、肝硬変などでも↑)
- GPIIb・GPIIIa・GPIb・GPIXに対する自己抗体:特異度は高いが、感度が低い。民間病院レベルでは施行できない。
診断
成人の慢性ITPの診断基準
- 厚生労働省特定疾患特発性造血障害研究班(2004試案)
- 1.血小板減少(10万/ul以下)
- 2.末梢血塗沫標本は正常
- 3.以下の検査のうち3項目以上を満たすこと
- (1)貧血がない
- (2)白血球減少がない
- (3)末梢血液中の抗GPIIb/GPIIIa抗体産生B細胞の増加
- (4)血小板関連抗GPIIb/GPIIIa抗体の増加
- (5)網状血小板比率の増加
- (6)血漿トロンボポエチン軽度上昇にとどまる(<300pg/ml)
- 4.他の免疫性血小板減少を除外できる(SLE, リンパ増殖性疾患, HIV感染症, 肝硬変, 薬剤性)。
鑑別診断
治療
modality
- ステロイド
- 免疫グロブリン
- ヘリコバクター・ピロリの除菌:日本ではHP感染症との関連が統計的に明らかとなっており、ステロイドに先んじてHP除菌が試みられる。
- 脾摘:ステロイドが奏効しない場合にはやむなく脾臓摘出が検討される。小児の場合は急性例であることが多く、かつ免疫機構の一部として重要な臓器であるため、発症6ヶ月以内では脾摘は見合わせる。
- 血小板輸血は、輸血後破壊されてしまうために、緊急時以外は適応ではない。
治療の選択
- 出典不明
- 血小板数3万/ul以上:経過観察
- 血小板数1万-3万/ul以上 or 重篤な粘膜出血:経口ステロイド
- 血小板数1万以下-3万/ul以上:免疫グロブリン
参考
- 1. 妊娠により重症化した難治性特発性血小板減少性紫斑病に対して摘脾が有効であった1例
- http://www.med.osaka-cu.ac.jp/labmed/ITP.pdf
- 2. 難病情報センター | 特発性血小板減少性紫斑病(公費対象)
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/303
uptodate
- 1. [charged] 成人における免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病の臨床症状および診断 - uptodate [4]
- 2. [charged] 成人における免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病の治療および診断 - uptodate [5]
- 3. [charged] 成人における慢性難治性免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病 - uptodate [6]
- 4. [charged] 小児における免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病の臨床症状および診断 - uptodate [7]
- 5. [charged] 小児における免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病の治療および予後 - uptodate [8]
国試