- 英
- antimitochondrial antibody, AMA
- 同
- 抗糸粒体抗体
- 関
- 原発性胆汁性肝硬変
PrepTutorEJDIC
- American Medical Association 米国医師会
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 原発性胆汁性肝硬変に全身性エリテマトーデスを合併した2例
- 斎藤 広信,高橋 敦史,阿部 和道,物江 恭子,菅野 有紀子,横川 順子,大平 弘正
- 肝臓 52(3), 169-175, 2011-03-25
- … プレドニゾロン(PSL)内服にて症状は改善し,PSL 10 mg/日の隔日投与でSLEの活動性はなく経過していた.SLE診断時から肝機能異常があり,精査目的に当科へ紹介となった.胆道系酵素優位の肝障害,抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性,肝生検にてPBC(Scheuer分類のII期)と診断された.症例2は,55歳,女性.3年前,肝障害を認めAMA陽性からPBCが疑われたが肝生検は施行されなかった.以後,UDCA内服にて肝障害は改善して …
- NAID 10029285191
- 田中 篤
- 日本消化器病学会雑誌 108(11), 1845-1851, 2011
- 自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病像が同時に,あるいは異時性に同一患者に併存することがある.この病態はAIHとPBCの「オーバーラップ症候群」と呼ばれてきたが,その疾患概念は曖昧で診断基準も確定していない.2010年にAIHの専門家グループから「オーバーラップ症候群」という疾患概念は不適切であるというstatementが発表されており,このような病態はAIHないしPBCいず …
- NAID 130001457905
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- 抗ミトコンドリア抗体のページです。抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は,原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC)の診断に用いられる疾患特異性の高い自己抗体である。AMAの対応抗原はその局在や酵素処理 ...
- 自己抗体の一つである抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibody: AMA)が90%以上の症例で検出され、診断的意義が高い。臨床的には胆汁うっ滞に伴うそう痒感が特徴的であるが、臨床症状が全くみられない無症候性PBCの症例 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。発熱と歩行障害とを主訴に来院した。1か月前から38℃を超える発熱が持続し、抗菌薬を内服しても軽快しなかった。体重が3か月で4kg減少した。2週間前から左手の小指がジンジンするようになり、1週間前から右足趾にも同様の症状が出現するとともに右足が下垂してきたため受診した。意識は清明。身長 148cm、体重 38kg。体温 37.7℃。脈拍 96/分、整。血圧 138/84mmHg。呼吸数 18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。上肢の筋力は正常で、右前脛骨筋と長母趾伸筋の筋力は徒手筋力テストで2である。左尺骨神経領域と右総腓骨神経領域とに全感覚低下を認める。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球 50~100/1視野、硝子円柱1/数視野、尿蛋白 2.5g/日。血液所見:赤血球 340万、Hb 9.5g/dL、Ht 32%、白血球 17,700(桿状核好中球 1%、分葉核好中球 88%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 2%、リンパ球 7%)、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 5.0g/dL、アルブミン 3.4g/dL、尿素窒素 44mg/dL、クレアチニン 2.6mg/dL。CRP 14mg/dL。右腓腹神経生検のH-E染色標本(別冊No. 10)を別に示す。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I053]←[国試_111]→[111I055]
[★]
- 64歳の女性。皮膚の黄染を主訴に来院した。 5年前から肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状がなかったためそのままにしていた。 3週前から皮膚の痒みが出現し、 1週前に皮膚が黄色いことに気付いたという。服薬歴に特記すべきことはない。輸血歴はない。飲酒は機会飲酒。身長163cm、体重57kg。眼球結膜に黄染を認める。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球335万、 Hb10.8g/dl、 Ht35%、白血球3,300、血小板8.5万。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dl、アルブミン 3.2g/dl、総ビリルビン 2.8mg/dl、直接ビリルビン 1.8mg/dl、 AST 186IU/l、 ALT 148IU/l、 LD 184IU/l(基準176-353)、ALP 559IU/l(基準115-359)、 γ-GTP 253IU/l(基準8-50)。免疫学所見: CRP 2.4mg/dl。 HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性。リウマトイド因子(RF) 陰性、抗核抗体 40倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体 80倍(基準20以下)。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D042]←[国試_106]→[106D044]
[★]
- 70歳の女性。自宅近くの診療所で初めて受けた血液検査で異常を指摘され来院した。飲酒歴はない。輸血歴はない。常用薬はない。意識は清明。身長158cm、体重74kg.腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 310万、Hb 10.9g/dl、Ht 31%、白血球 4,200、血小板 9.7万、PT 68%(基準80-120)、血液生化学所見:HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、アルブミン 3.3g/dl、IgG 2,614mg/dl(基準739-1,649)、IgM 82mg/dl(基準46-260)、総コレステロール 122mg/dl、トリグリセリド 140mg/dl、AST 84IU/l、ALT 98IU/l、γ-GTP 62IU/l(基準8-50)。免疫学所見: HBs抗原、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性。腹部超音波検査で肝表面の凹凸不整、肝腎コントラストの明瞭化および軽度の脾腫を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I045]←[国試_105]→[105I047]
[★]
- 35歳の男性。1か月前の職場の健康診断で血液検査の異常を指摘されて来院した。自覚症状はないが、最近は仕事が忙しく睡眠不足気味であった。既往歴に特記すべきことはない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 478万、Hb 14.7g/dL、Ht 45%、白血球 7,300、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.5g/dL、アルブミン 4.2g/dL、ハプトグロビン 45mg/dL(基準 19~170)、総ビリルビン 2.9mg/dL、直接ビリルビン 0.5mg/dL、AST 21IU/L、ALT 16IU/L、LD 290IU/L(基準 176~353)、ALP 238IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 22IU/L(基準 8~50)、クレアチニン 0.7mg/dL、尿酸 5.9mg/dL、血糖 98mg/dL。HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。腹部超音波検査で異常を認めない。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D033]←[国試_110]→[110D035]
[★]
- 61歳の女性。全身倦怠感、筋肉痛および四肢のしびれを主訴に来院した。2年前から喘息様症状が出没している。1か月前から両肩の疼痛と右足のびりびりした異常知覚とが出現し、対側の下肢と両前腕とに及んだ。体温36.8℃。血圧140/80mmHg。リンパ節腫脹を認めない。胸部聴診上異常所見はない。下腿に紫斑を認める。左前腕の屈筋と左腓腹筋とに軽度の筋力低下を認める。両側前腕と下腿とに感覚低下を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球380万、Hb13.3g/dl、白血球22,300(好中球37%、好酸球42%、単球4%、リンパ球17%)、血小板48万。血清生化学所見:総蛋白7.3g/dl、γ-グロブリン22.4%、AST28単位(基準40以下)、ALT30単位(基準35以下)、CK42単位(基準10~40)。CRP4.4mg/dl(基準0.3以下)。
- この疾患でよくみられる自己抗体はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A052]←[国試_098]→[098A054]
[★]
- 48歳の女性。昨年と今年の健康診断にて肝機能障害を指摘されて来院した。発熱と腹痛とはない。飲酒歴はない。常用している薬剤や栄養機能食品はない。身長 159cm、体重 49kg。体温 36.4℃。脈拍 60/分。血圧 110/62mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 432万、Hb 14.0g/dL、Ht 40%、白血球 3,500、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 101IU/L、ALT 89IU/L、γ-GTP 51IU/L(基準 8~50)、ALP 298IU/L(基準 115~359)、IgG 2,710mg/dL(基準 960~1,960)、IgM 99mg/dL(基準 65~350)。免疫血清学所見:HBs抗原(-)、HBs抗体(-)、HBc抗体(-)、HCV抗体(-)。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A035]←[国試_109]→[109A037]
[★]
- 56歳の女性。肝機能異常を主訴に来院した。5年前の市の健康診査では肝機能異常は指摘されなかったが、1か月前の検査ではALTの軽度上昇とγ-GTPの上昇とを指摘された。輸血歴と薬物服用歴とはない。飲酒歴は機会飲酒。手掌紅斑とくも状血管腫とは認めない。、右肋骨弓下に肝は触知しない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.6 g/dl、Ht36%、血小板24万。血清生化学所見:総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.3g/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST48単位(基準40以下)、ALT65単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ846単位(基準260以下)、γ-GTP326単位(基準8~50)。HBs抗原(-)、HCV抗体(-)。腹部超音波検査とMRCP(磁気共鳴胆管膵管像)とに異常を認めない。診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D027]←[国試_098]→[098D029]
[★]
- 32歳の女性。両下肢の筋肉痛としびれ感とを主訴に来院した。2週前から両下肢の症状が出現し、徐々に悪化した。2年前から気管支喘息と診断され治療中である。体温37.2℃。脈拍72/分、整。血圧110/64mmHg。胸部背面で軽度のwheezesを聴取し、下肢の筋力低下と下腿の感覚低下とを認める。血液所見:赤沈32mm/1時間、白血球12,400(桿状核好中球2%、分葉核好中球40%、好酸球29%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球23%)、血小板44万。血液生化学所見:IgE 786IU/ml(基準250未満)、尿素窒素9.2mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、AST22IU/l、ALT18IU/l、CK56IU/l(基準40~200)。CRP4.21ug/dl。
- この疾患で陽性になるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I064]←[国試_102]→[102I066]
[★]
- 52歳の女性。Raynaud現象と指先潰瘍とを主訴に来院した。数年前から手指のRaynaud現象が出現している。今年の冬に右示指と中指との先端に潰瘍が生じ、治らなくなった。意識は清明。両手指から手背にかけての浮腫状硬化と前胸部の斑状色素脱失とを認める。右示指と中指との先端に小潰瘍と陥凹性瘢痕とを認める。血液所見:赤沈64mm/1時間、赤血球320万、Hb 10.0g/dl、白血球5,600、血小板24万。血清生化学所見:尿素窒素12 mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、AST(GOT)36単位(基準40以下)、アルカリホスファターゼ220単位(基準260以下)。CRP0.2mg/dl(基準0.3以下)、抗核抗体160倍(基準20以下)。この疾患の診断に最も有用な自己抗体はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D053]←[国試_096]→[096D055]
[★]
- 56歳の女性。皮膚そう痒感を主訴に来院した。3年前の健康診断で肝機能異常を指摘されたが放置していた。輸血歴と服薬歴とはない。飲酒歴は機会飲酒。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球340万、Hb 11.6 g/dl、血小板14万。血液生化学所見: 総蛋白7.7 g/dl、アルブミン4.2 g/dl、総ビリルビン1.8 mg/dl、AST 56IU/l、ALT 65 IU/l、ALP 935 IU/l (基準 115~359)、γ-GTP 616 IU/l (基準8~50)。免疫学所見:HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。肝生検組織のH-E染色標本を以下に示す。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I076]←[国試_103]→[103I078]
[★]
- 45歳の女性。会社の健康診断で2年連続して肝機能障害を指摘され、精査のため来院した。腹部身体所見に異常はなく、肝も触知しない。飲酒はしない。本年の健康診断での血清生化学所見:GPT67単位(基準35以下)、γ-GTP35単位(基準8~50)、アルカリホスファターゼ200単位(基準260以下)。診断に必要な検査はどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095D025]←[国試_095]→[095D027]
[★]
- 52歳の男性。胸部圧迫感を主訴に来院した。 1か月前から仰向けに寝ると前胸部に違和感を自覚していた。心音と呼吸音とに異常を認めない。初診時の胸部造影CT(別冊No.22)を別に示す。
- 診断に必要な検査項目はどれか。 3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A057]←[国試_105]→[105A059]
[★]
- 45歳の女性。会社の健康診断で2年連続して肝障害を指摘され来院した。飲酒はしない。身長158cm、体重46kg。腹部所見に異常はなく、肝も触知しない。血清生化学所見:空腹時血糖86mg/dl、総蛋白7.6g/dl、ZTT19.2単位(基準4.0~14.5)、AST62単位、ALT106単位、ALP200単位(基準260以下)、γ-GTP35単位(基準8~50)。
- 診断に有用な自己抗体はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F028]←[国試_100]→[100F030]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D068]←[国試_099]→[099D070]
[★]
- 46歳の女性。1年前から全身掻痒感有り来院した。肝を右肋骨弓下に1cm触知する。赤血球388万、Hb 12.0g/dl、白血球6,100。血清化学所見:総ビリルビン1.9mg/dl, AST 110単位、ALT 105単位、ALP 690単位(正常290以下)、γ-GTP 108単位(正常8-50)、抗ミトコンドリア抗体陽性
- この疾患の合併症で最も頻度の高いのはどれか?
[★]
- 英
- primary biliary cholangitis
- 同
- 原発性胆汁性肝硬変
- first aid step1 2006 p.280
- 2009/7/16 III 消化器
まとめ
- 肝内の小葉間胆管が組織的に慢性非可能性破壊性胆管炎により障害され、肝内に胆汁うっ滞をきたしてうっ血性肝障害を起こす疾患である。発症は中年以降の女性に好発する。またHLA-DR8と関連があるらしい。初期症状は皮膚掻痒感であり、黄疸を示さない無症候性PBCがほとんどである。疾患の進行により、黄疸、全身倦怠感が出現、やがて肝硬変、さらに非代償性の肝硬変に陥り、腹水、門脈圧亢進症などを呈する。病理学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎が特徴的であり、門脈域周囲にリンパ球の浸潤、非乾酪性壊死を認める。血清学的には抗ミトコンドリア抗体(M2抗体)が疾患特異的に出現し、抗平滑筋抗体も50%弱の症例で陽性となり、またIgMの上昇が認められる。その他血液検査は胆汁うっ滞による肝障害に特徴的な異常がみられる。合併症として、シェーグレン症候群が多く、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、強皮症(あるいはCREST症候群)の合併もありうる。治療は対症療法的にウルソデオキシコール酸、ベサフィブラートを用い、肝障害が末期的になれば肝移植の適応となる。
概念
- 特定疾患治療研究対象疾患
- 肝内の中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管が障害される原因不明の慢性肝内胆汁うっ滞症。
- 慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)による慢性の肝内胆汁うっ滞を来す疾患(YN.)。
- 初発症状は皮膚掻痒感。
- 末期になると肝硬変像を示す。 → 門脈圧亢進症
- 血清学的には抗ミトコンドリア抗体(IgM)が特徴的だが、胆管障害機序は不明。 → 自己免疫機序?
- 胆汁うっ滞に基づく症状を呈さないPBCを無症候性PBC、症状を呈すものを症候性PBCという。
疫学
- 発症年齢は40から60歳代に集中。約90%は女性。 → 中年以降の女性に好発
YN.
- 有病率:3-4人/10万人。欧米より低いと推定されている。
- 40-60歳の女性。女性が90%
病型と症状
- 初発症状:皮膚掻痒が最も多い。門脈圧亢進症に基く消化管出血が初発症状の場合がある。
- 無症候性PBC:皮膚掻痒感、黄疸など症状を欠く。新規症例の2!3
- 症候性PBC-S1:倦怠感、掻痒感
- 症候性PBC-S2:非代償性。黄疸,腹水
病理
[show details]
病理所見
- 胆管上皮の増殖性変化,胆管上皮細胞の壊死, 胞体の腫大や好酸性変化
- 基底膜の破壊、核の非偏在化、核の重層化、門脈域にリンパ球、形質細胞が浸潤
- 門脈域主体の炎症細胞浸潤
- 小葉内胆管の障害像
- 非乾酪性類上皮肉芽腫
- 好酸球
病態
- 自己免疫機序によると思われる胆管の傷害 → 胆汁うっ滞 → 肝細胞傷害および線維化 → 門脈圧亢進症 → 肝硬変
- 肝内の中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管が障害されることによる肝内性胆汁うっ滞 ← これは「肝内胆管が拡張しない」ことの説明になるの?(QB.B-339)
症状(YN., HIM.chapter 302)
- 初発症状:皮膚掻痒感(診断された症例の50%に見られる)、皮膚黄色腫
- 疲労感:肝臓の状態や年齢にそぐわないようなひどい疲労感
- 黄疸
身体所見
- 門脈圧亢進症に基づく症状:肝腫大、脾腫大、腹水、浮腫
- 原発性胆汁性肝硬変に特有:色素沈着(皮膚を掻爬するため)、黄色腫・眼瞼周囲の黄色腫(高脂血症による)
合併症
- YN.
検査(YN.)
血液一般
- 赤血球、白血球、血小板:減少 → 門脈圧亢進症による脾腫が原因
生化学 - 脂質
生化学 - 銅
- 血清Cu:上昇、尿中Cu:上昇、肝組織内銅含有量:上昇
- 血清セルロプラスミン:上昇
肝障害
胆汁
- 胆汁うっ滞の所見が特徴的。ただし総ビリルピンの上昇は末期
免疫血清学
- 抗ミトコンドリア抗体(AMA):陽性。臓器特異性はない ← 90%の患者で陽性。PBCに特異的。
- M2抗体:PBCに特異的。 AMA陰性患者でもほとんどの場合M2抗体が陽性。
- M2の主要対応抗原はミトコンドリア内膜のpyruvate dehydrogenase (PDH) E2 component。
- 抗PDH抗体:陽性。抗PDH-E2抗体と反応する分子がPBCの胆管上皮に高濃度に存在。
- IgM:上昇:70%の症例 ← PBCではIgM産生能が高まったB細胞が末梢血中に存在する。PBCの発症機序との関連が示唆されている。(参考3)
- ANA、抗平滑筋抗体は50%の症例で陽性
- AMA陽性 + ANA陽性 = オーバーパップ症候群
AMAのターゲット(HIM.chapter.302)
- これらの抗原に対する自己抗体は病態形成には関与していないが、疾患のマーカーとなる。
- pyruvate dehydrogenase complex
- branched chain-2-oxoacid dehydrogenase complex
- 2-oxogluterate dehydrogenase complex
超音波検査・CT・MRI
診断
- 臨床症状、血清学的検査、エコー、CTで疑い、肝生検による組織診で確定診断する。
- ALP、γ-GTP → エコーで胆道閉塞性疾患を否定 → AMA、IgM検査 → 肝生検
- AMA陰性の場合は肝生検が決め手
参考2より抜粋
- 次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する。
- 1. 組織学的にCNSDCを認め,検査所見がPBCとして矛盾しないもの。
- 2. AMAが陽性で,組織学的にはCNSDCの所見を認めないが,PBCに矛盾しない組織像を示すもの。
- 3. 組織学的検索の機会はないが,AMAが陽性で,しかも臨床像及び経過からPBCと考えられるもの。
鑑別診断
- 1期: florid duct lesion - 無症候性
- 慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)といわれる所見、すなわち、胆管上皮細胞の変性、壊死、脱落と、胆管周囲へのリンパ球、形質細胞の浸潤。
- 2期: ductular prliferation - 無症候性
- 細胆管の増生と門脈域より肝実質へのリンパ球浸潤。
- 架橋壊死と線維性隔壁を伴った瘢痕。
- 肝硬変
予後
- 黄疸が出現したら肝臓の予後は不良 → つまり進行性
- 無症候性PBCの予後はおおむね良好、15-20年間経過観察された無症候性PBCの約10%が症候性PBC(黄疸あり)へ移行
- 症候性PBCの5年生存率は約40%、総ビリルビン>2.0mg/mlで数年以内に腹水貯留などの肝不全の徴候があらわれてくることが多い
冶瞭
- UDCA(ウルソデオキシコール酸)、ベサフィブラート、肝移植(scheuer stage IV)
薬物療法
- ウルソデオキシコール酸:胆汁排泄を促進して胆道系酵素を低下させる。 → 病態の進行を遅らせるだけに過ぎない
臓器移植
- 進行例に対して肝移植を施行
- 肝移植: 1年生存率 75-90%、 5年生存率 75-85%
- 再発は20-30%(確診), 28-90%(compartible)
禁忌
- ステロイド:骨粗鬆症の増悪を招くため! → 自己免疫性肝炎ではステロイドを使用(よく反応するらしい)。 PBCに対するステロイド療法は症状緩和のみで根治できず、長期投与が必要になるということか???
合併症
鑑別診断
他疾患との比較
PBCとPSCの比較
Table 16-7. Main Features of Primary Biliary Cirrhosis and Primary Sclerosing Cholangitis
|
Parameter
|
primary biliary cirrhosis
|
primary sclerosing cholangitis
|
Age
|
Median age 50 years (30-70)
|
Median age 30 years
|
Gender
|
90% female
|
70% male
|
Clinical course
|
Progressive
|
Unpredictable but progressive
|
Associated conditions
|
Sjogren syndrome (70%)
|
inflammatory bowel disease (70%)
|
scleroderma (5%)
|
pancreatitis (≦25%)
|
thyroid disease (20%)
|
idiopathic fibrosing disease (retroperitoneal fibrosis)
|
Serology
|
95% AMA positive
|
0% to 5% AMA positive (low titer)
|
20% ANA positive
|
6% ANA positive
|
60% ANCA positive
|
82% ANCA positive
|
Radiology
|
normal
|
strictures and beading of large bile ducts; pruning of smaller ducts
|
duct lesion
|
florid duct lesion; loss of small ducts
|
concentric periductal fibrosis; loss of small ducts
|
自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変
症例
- 52歳女性。3ヶ月前から皮膚の掻痒感と軽度の黄疸が出現したため来院した。抗ミトコンドリア抗体が陽性である。
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/029_i.htm
- http://www.nanbyou.or.jp/pdf/029_s.pdf
- 3. [charged] Pathogenesis of primary biliary cirrhosis - uptodate [1]
国試
[★]
- 英
- autoimmune hepatitis AIHA, AIH
- 関
- 類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病
まとめ
- 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
- 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
- LAB.894
- II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
- IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
- IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
- 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
- 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
- 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
- AST, ALT:高値
- γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
- 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
- ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
- 抗核抗体:I型で陽性
- 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
- 抗LKM-1抗体:II型で陽性
- 抗SLA抗体:III型で陽性
- 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
- 参考3
診断
- 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
- 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
- 副腎皮質ステロイドが著効する
- ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
- ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
- 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
- インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
- 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
- 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [2]
- 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
- 英
- antinuclear antibody ANA, anti nuclear antibodies ANAs
- 関
- SLE、自己抗体
- 検査法:HEp-2細胞を器質に用いる。
- 頻度についてはsee REU.14
- 正常値:40倍以下(REU.13)
- 高齢者では80,160倍と言った値が見られることがある。
- 20-60歳の健常人を調べた検査で、40倍での陽性率30%、80倍は13%、160倍は3%。
- 参考1
参考
- http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/otherdata/127-P77-0361.html
[★]
- 英
- anticytoplasmic antibody
- 関
- 抗核抗体、自己抗体
[★]
[★]
- 英
- (ns)mitochondrion, (np)mitochondria
- 同
- 糸粒体、コンドリオソーム chondriosome
- 関
- 細胞
組織学
- FB.333
- 外膜---
- 膜間部
- 内膜--- クリステという構造を作っている
- マトリックス
ミトコンドリア内膜にはNADH輸送タンパク質がない!!(FB.333)
解糖系で得られたNADHは、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルにより還元力がミトコンドリア内に送られる。(FB.309 図15-27,333)
ミトコンドリアゲノム
- ヒトのミトコンドリアゲノム 16.6kb
- mtDNAは二本鎖環状
- mtDNA(染色体DNAとは独立したDNA。ミトコンドリアゲノム)は体細胞の100-1000倍存在すると言われている。
- DNA修復機構を持たない。
- DNAを保護する構造(ヒストン)がない
- バクテリア型の転写・翻訳系を有する → クロラムフェニコールに感受性があり、特に幼児に顕著。
ミトコンドリア内膜
CO2
O2
クエン酸 トリカルボン酸輸送経路
ピルビン酸 輸送体により制御
ATP 輸送体により制御
ADP 輸送体により制御
Pi 輸送体により制御
Ca2+ 輸送体により制御
リンゴ酸 輸送体により制御
アスパラギン酸 輸送体により制御
アセチルCoA (トリカルボン酸輸送経路に乗せるために、クエン酸に変換)
オキサロ酢酸 (リンゴ酸かアスパラギン酸に変換)
機能
- 酸化的リン酸化 ⇔ 基質準位リン酸化
- クエン酸サイクル
- 脂肪酸酸化
- アミノ酸分解
- ヌクレオチド合成
- 尿素回路
- アポトーシスに関与
[★]
- 英
- antibody, Ab
- 関
- γ-globline、免疫グロブリン
- 抗原を特異的に認識する糖蛋白質である免疫グロブリンの一種。
- 血液・リンパ液中で抗原と非結合状態のものを指す
- 液性免疫に関与
[★]
- 英
- ipecac, ipecacuanha root
- ラ
- ipecacuanhae radix
- 同
- 吐根
- 商
- トコンシロップ、ドーフル
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー
[★]
抗ミトコンドリア抗体