- 英
- HCV antibody
- 同
- 抗HCV抗体 anti-HCV antibody、C型肝炎抗体 hepatitis C antibody、C型肝炎ウイルス抗体 hepatitis C virus antibody
- 関
- C型肝炎
WordNet
- the 8th letter of the Roman alphabet (同)h
PrepTutorEJDIC
- hydrogenの化学記号
- 鉛筆の硬度 / 《俗》heroin
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C型肝炎ウイルスの電子顕微鏡写真、スケールは50μm
C型肝炎(Cがたかんえん、英: Hepatitis C)とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。
ウイルスについては「C型肝炎ウイルス」を参照
目次
- 1 疫学
- 2 感染経路
- 3 病態
- 3.1 初期感染
- 3.2 持続感染
- 3.3 慢性肝炎
- 4 検査
- 4.1 問診
- 4.2 血液検査
- 4.3 画像検査
- 4.4 病理組織検査
- 5 治療
- 5.1 抗ウイルス療法
- 5.2 肝庇護療法
- 5.3 その他
- 6 予防
- 7 脚注
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
疫学
現在の日本のHCV感染者数は約200万、世界では1億7千万(世界人口の3%近く)がキャリアであると見られている。
日本ではインターフェロン治療が効きにくい1b型が70 - 85%を占め、以降2a型が10 - 15%、2b型が約5%で、他はまれである。ただし、血友病患者では1a型が多い。これは血友病患者がC型肝炎に罹患する原因となった血液製剤の輸入元であるアメリカでは1a型が最も多いことに由来する。
以前より、非A非B型肝炎と称されていた。
U.S. Preventive Services Task Forceは、1945~1965年生れのすべてのアメリカ人に対してC型肝炎スクリーニングを推奨することとした[1]。
感染経路
HCVは血液が主な感染経路で、かつては輸血による感染が多かった。ディスポーザブル注射器の普及により現在においては先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。B型肝炎と異なり、性行為ではほとんど感染せず[2]、また母子感染も少ない。
血液製剤(フィブリノゲン製剤、第IX因子製剤)の投与によるC型肝炎感染については、非血友病患者に対する投与に対して国と製薬会社を相手とする訴訟(薬害肝炎訴訟)が起こされている。
病態
肝硬変については「肝硬変」を、肝細胞癌については「肝細胞癌」を参照
初期感染
一般に自覚症状が乏しい場合もあるが、発熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、口腔扁平苔癬[3]が出現し、血液検査にて肝障害(AST・ALT高値)、黄疸(T-Bil高値)を認めるといった急性肝炎症状を呈する場合が多い。多くは症状が強いほど自己の免疫応答によってC型肝炎ウイルスの排除が行われるが、70%程度は感染が遷延化し持続感染へと移行する。なお、B型肝炎やA型肝炎に比較して劇症肝炎を呈する例は稀である。
持続感染
初期感染後に、血液検査にてALTが正常化しHCV-RNAも陰性となってC型肝炎ウイルスが排除され治癒する場合もあるが、70%程度はC型肝炎ウイルスが排除されず、血液検査にてHCV-RNA陽性状態が続き、持続感染状態となる。
慢性肝炎
血液検査にて、HCV-RNA陽性でALTが正常な場合は無症候性キャリアであるが、多くの場合はALT高値持続し慢性肝炎状態となる。ALT高値が持続する慢性肝炎の状態を5~10年以上経過することで、その後肝硬変への移行・肝細胞癌発症となってくる。慢性肝炎持続の場合、約60%が肝硬変へと進展し、肝硬変後は年間7 - 8%が肝細胞癌を発症する。肝硬変に至る前は肝細胞癌への発症率は低い。肝硬変になると腹水やむくみ、黄疸などの症状が現れ、腎臓の炎症(膜性増殖性糸球体腎炎)を合併することがある。[4]
検査
問診
基本的に血液感染によって成立するため、輸血、注射、手術、針刺し事故、覚醒剤注射などの感染の原因となりうることがあったかどうかを確認が大切である。
血液検査
血液検査の目的は主に肝炎があるかどうかや、肝炎の程度、肝臓の機能を調べること。
- ウイルス検査
- HCV抗体:多くの医療機関・検診等にてスクリーニングで施行。感染初期には陰性を呈する場合も多い。
- HCV-RNA:C型肝炎ウイルスのRNA量を測定する。手法はいくつがあるが、現在主にTaqMan real-time PCR法が用いられる。HCV抗体陽性でも、HCV-RNA陰性の場合は既感染・治癒症例と診断する。HCVウイルス量は、治療成功予測因子でもある。抗ウイルス治療後の効果判定にも用いられる。発癌とウイルス量は相関しない。
- HCV-RNA定量のDNA-probe法やTMA法は、測定感度が低く、現在はあまり用いられない。
- HCV-RNA genotype/serotype:HCV-RNAの型によってインターフェロン療法の治療効果推測に用いられる。
- 肝障害
- 肝線維化
- 肝機能
- 血小板 (Plt)、プロトロンビン時間 (PT)、アルブミン (Alb)、コリンエステラーゼ (ChE) など
- 肝細胞癌の腫瘍マーカー
- AFP、AFP-L3、PIVKA-II:これらは肝炎マーカーではないが、肝癌スクリーニングのため、上記検査と同時に行われることが多い。
画像検査
以下の画像検査によって、慢性肝炎~肝硬変・肝細胞癌の発生を評価していく。
病理組織検査
- 肝生検により肝臓の傷害について、リンパ球浸潤や線維化などの組織学的評価ができる。
治療
慢性C型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。急性C型肝炎は基本的に保存的加療がなされる。急性肝炎を参照。 治療薬は血液中のウイルスの量とウイルスの型によって使い分けられる。[5]
抗ウイルス療法
抗ウイルス治療はC型肝炎ウイルスを排除する治療である。一般的にインターフェロン療法を基本として行われ、治療方法はウイルスの「serotype(血清型)」によって選択される。治療効果は血液検査にてHCV-RNA量を測定して評価し、治療終了後6ヶ月の時点までHCV-RNA陰性が持続している状態を「ウイルス学的著効 (SVR; sustained virological response)」と言う。
- インターフェロン治療(IFN)
- インターフェロン (IFNα) を基本とし、IFNα単独療法から、IFNα2b(イントロンA®)+Ribavirin(リバビリン)併用療法が開発され発展してきた。以下のポリエチレングリコールを付加し体内停滞時間を持続させたペグインターフェロン (PEG-IFNα)+リバビリンの併用療法が行われる。基本は24週間の投薬で、治癒が見られない場合は更に24週間の計48週間の投薬治療が行われる。
- PEG-IFNα2a(ペガシス® Pegasys)+Ribavirin(コペガス® Copegus)
- PEG-IFNα2b(ペグイントロン® Pegintron)+Ribavirin(レベトール® Rebetol)
- また以下のIFNを用いることもある。
- IFNα(オーアイエフ® OIF)
- IFNα(スミフェロン® Sumiferon):肝硬変進行例でも適応
- IFNβ(フェロン® Feron):肝硬変進行例でも適応
- Consensus-IFNα・IFNαcon1(アドバフェロン® Advaferon)
- 直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting Antiviral Agents:DAAs)
- 難治性の遺伝子型1b型高ウイルス量症例や遺伝子型2型症例に対して、以下の直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting Antiviral Agents:DAAs)が開発されている。
- PEG-IFNα+Ribavirin+DAAsの3剤併用療法、またはDAAs×2剤併用療法が行われている。
-
- NS3/4A(プロテアーゼ)阻害薬
- ボセプレビル Boceprevir(BPV ビクトレリス® Victrelis)未承認
- テラプレビル Telaprevir(TPV テラビック® Telavic)
- シメプレビル Simeprevir(SPV ソブリアード® Sovriad)
- ファルダプレビル Faldaprevir(BI 201335)
- バニプレビル Vaniprevir(VAN バニヘップ® Vanihep) : PEG-IFNα+Ribavirin+VANの3剤併用療法が行われる
- アスナプレビル asunaprevir(ASV スンベプラ® Sunvepra):DCV+ASVの2剤併用療法が行われる
-
- NS5A阻害薬
- ダクラタスビル Daclatasvir(DCV ダクルインザ® Daklinza):DCV+ASVの2剤併用療法が行われる
- レジパスビル Ledipasvir(LDV):LDV+SFVの2剤配合剤(ハーボニー® Harvoni)が市販され、1型ウイルスに対してのSVR効果は非常に高いとされているが非常に高額。
-
- NS5B(ポリメラーゼ)阻害薬
- ソホスブビル Sofosbuvir(SFV ソバルディ® Sovaldi):SFV+Ribavirinの2剤併用療法が行われ、2型ウイルスに対してのSVR効果は非常に高いとされているが非常に高額。
- ※ギリアド・サイエンシズ社が開発したソホスブビルは、一錠1000ドルと高額なものの売れ行きを伸ばしている[6]。その後同社が開発したソホスブビルとレジパスビルの合剤「ハーボニー Harvoni」は、SVR 98-99%で効果的であるが[7]、一日一錠で12週間投与すると薬価が9万4500ドルとソホスブビル以上に高価なのが問題となっている。[8]。同剤は2015年7月3日に日本において製造販売承認を受けた[9]。
- ※アッヴィ(米)のオムビタスビル、パリタブレビル、リトナビルの三種のカクテル(朝服用)とダサブビル(夜服用)を組み合わせた処方箋が「ヴィキラ・パック Viekira Pak」の名でハーボニの承認直後の2014年12月にFDAから承認されている[10]。この「ヴィキラ・パック」も治癒率は90%以上だが、薬価は12週間で8万3319ドルと、ハーボニより少し低く設定されている[11]。現在日本では未承認である。
- 血液浄化療法
- VRAD(virus removal and eradication by DFPP:ウイルス除去療法)と呼ばれ、IFN治療に二重濾過血漿交換療法を併用することで治療効果を高める目的で施行される。
- その他
- 一般的では無いが、スタチン(脂質異常症治療剤)製剤をインターフェロンに併用して行う治療方法があり、臨床学的信頼性は低いものの、安価でかつ可能性のある療法として選択されている。スタチンによりウイルスが成熟に必要な脂質が不足し、ウイルス複製を阻害すると考えられている[12]。
肝庇護療法
抗ウイルス療法以外に、ALTの正常化を計る目的で、以下が用いられる。
- グリチルリチン(SNMC:強力ネオミノファーゲンC®)
- ウルソデオキシコール酸(UDCA:ウルソ®・ウルソサン®)
- 肝臓加水水解物(プロヘパール)
- 小柴胡湯(漢方):IFNとの併用は間質性肺炎のリスクが高まるとのことで併用禁忌薬
その他
- 血中の鉄分が肝障害を与えるとし、瀉血療法を用いることもある(鉄による酸化ストレスを軽減すると考えられている)。
- シクロスポリンを併用している肝/腎移植後や乾癬を合併したC型肝炎患者では、HCVの増殖が抑制されることが観察されている。研究ではシクロフィリンがHCV複製に重要な働きをしていることが示唆されている[13][14](類薬であっても、シクロフィリンでなくFKBPに作用するタクロリムスでは抑制されない)。
- ウイルスを排除できた (SVR) 後にも、SVR肝癌と呼ばれる発癌症例がまれにみられるため、インターフェロン治療終了後も肝癌スクリーニングは必要とされる[15]。
予防
注射器から外したキャップを再び針につける際に事故が起こりやすいため、しないようにする(リキャップ禁止)。また感染者の体液や血液は適切に処置するようにする。 針刺し事故では血液を絞り出しつつ速やかに傷口を流水で洗い流す。[16]事故後に予防的にインターフェロンを投与することもある。
脚注
- ^ Ann Intern Med 2013 Jun 25; [e-pub ahead of print].
- ^ Terrault, Norah A.; Jennifer L. Dodge, Edward L. Murphy, John E. Tavis, Alexi Kiss, T. R. Levin, Robert G. Gish, Michael P. Busch, Arthur L. Reingold, Miriam J. Alter (March 2003). "Sexual Transmission of Hepatitis C Virus Among Monogamous Heterosexual Couples: The HCV Partners Study". HEPATOLGY (American Association for the Study of Liver Diseases) 57 (3): 881–889.
- ^ 口腔癌患者における肝炎ウイルスの持続感染とその臨床的意義 日本口腔科学会雑誌 Vol.49 (2000) No.2 P112-121
- ^ 慢性肝炎 メルクマニュアル18版 日本語版
- ^ C型肝炎治療ガイドライン 日本肝臓学会
- ^ 1日10万円のC型肝炎薬が人気、米保険会社を圧迫―ギリアド社「ソバルディ」が驚異的売り上げ、ウォール・ストリート・ジャーナル、2014年4月2日、2015年2月10日閲覧
- ^ Ledipasvir and Sofosbuvir for Untreated HCV Genotype 1 Infection doi:10.1056/NEJMoa1402454
- ^ 米ギリアド、C型肝炎治療薬の新薬承認を取得、ウォール・ストリート・ジャーナル、2014年10月11日、2015年2月10日閲覧
- ^ ジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬 1日1回1錠経口投与「ハーボニー®配合錠」製造販売承認取得(2015年7月3日)、同年7月12日閲覧
- ^ FDA approves Viekira Pak to treat hepatitis C、アメリカ食品医薬品局、2014年12月19日、2015年2月10日閲覧
- ^ ギリアドのC型肝炎治療薬のライバルとなるアッヴィの『ヴィキラ・パック(Viekira Pak)』が米国食品医薬品局(FDA)から承認された、Market Hack、2014年12月20日、2015年2月10日閲覧
- ^ Rosen HR (2011). "Clinical practice. Chronic hepatitis C infection". N. Engl. J. Med. 364 (25): 2429–2438. doi:10.1056/NEJMcp1006613. PMID 21696309.
- ^ 学術月報 57(8): 704-708, 2004
- ^ 医薬ジャーナル 40(7):1990-1993, 2004
- ^ 内科 106(6): 1104-1105, 2010
- ^ 針刺し事故対応マニュアル 全日本民主医療機関連合会
関連項目
- ラクトフェリン
- 薬害肝炎
- 抗ウイルス療法
- World Community Grid - 新薬開発のための分散コンピューティング
外部リンク
- C型肝炎 国立感染症研究所
- C型肝炎およびC型肝炎ウイルスとは 独立行政法人国立国際医療研究センター
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Japanese Journal
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- 72歳の女性。発熱と皮疹とを主訴に娘に伴われて来院した。現病歴: 1か月前から上半身の皮疹と発熱とがみられるようになった。発熱とともに皮疹が出現し、解熱とともに皮疹が消失するということが連日繰り返された。2週前から起床時に膝の痛みがあった。一昨日から発熱のピークが39℃を超えるようになったため受診した。
- 既往歴: 18歳時に虫垂炎で手術。 45歳時に子宮筋腫を指摘された。
- 生活歴:夫と娘との3人暮らし。
- 家族歴:母親が心筋梗塞のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長155cm、体重58kg。体温39.1℃。脈拍60/分、整。血圧162/70mmHg。呼吸数18/分。 SpO2 96%(room air)。皮膚は湿潤である。咽頭に発赤を認めない。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。前頸部から前胸部にかけて淡い紅斑を認める。右後頸部で無痛性のリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm触知する。両側の膝関節に腫脹を認めない。
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- 免疫学所見: CRP 12mg/dl。 HTLV-1抗体陰性、 HIV抗体陰性、 HA抗体陰性、HBs抗原・抗体陰性、 HCV抗体陰性、 EBV抗体陰性。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体20倍(基準20以下)、可溶性IL-2受容体基準範囲内。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。骨髄血塗沫染色標本で異常所見を認めない。胸腹部造影CTで頸部、鎖骨上、縦隔、傍大動脈領域および骨盤腔内に多数のリンパ節腫脹を認める。頸部リンパ節生検で悪性所見を認めない。
- この病態に特徴的な症候はどれか。
[正答]
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- 次の文を読み、19~21の問いに答えよ。
- 48歳の男性。全身倦怠感、食欲不振、尿の濃染および黒色便を訴えて来院した。
- 現病歴 : 5日間連続して毎日、日本酒5合以上を飲み体調を崩した。腹部の膨隆や両下肢の浮腫が次第に明瞭となり、今朝、黒色便を排出した。常習飲酒家である(3合/日)。
- 既往歴 : 27歳の時、交通事故で輸血を受けた。
- 現症 : 意識は清明。身長169cm、体重61kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。血圧142/86mmHg。眼瞼結膜はやや貧血様、眼球結膜には軽度の黄疸を認める。胸部に異常は認めない。腹部では腹壁に静脈怒張が認められ、肝を剣状突起下で3cm触知する。腹水と両下肢の浮腫とを認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ビリルビン1+。
- 血液所見:赤血球320万、Hb9.6g/dl、白血球4,200、血小板9.2万、プロトロンビン時間60%(基準80~120)。血清生化学所見:総蛋白6.6g/dl、アルブミン2.9g/dl、γーグロブリン34.5%、尿素窒素48mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、尿酸5.2mg/dl、総コレステロール126mg/dl、総ビリルビン2.8mg/dl、直接ビリルビン1.4mg/dl、AST224単位(基準40以下)、ALT185単位(基準35以下)、γーGTP462単位(基準8~50)。HCV抗体陽性。ICG試験(15分値)32.4%(基準10以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C018]←[国試_097]→[097C020]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 腹部ダイナミックCTで早期に造影される腫瘤影を認めた。肝動脈造影写真(別冊No.8A)と上腸間膜動脈造影写真(別冊No.8B)とを別に示す。肝病変に対する治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B051]←[国試_105]→[105B053]
[★]
- 55歳の女性。黄疸を主訴に自宅近くの医療機関から紹介されて受診した。1年前に血便と腹痛が出現し、大腸内視鏡検査によって潰瘍性大腸炎と診断された。まず副腎皮質ステロイドを投与されたが、効果不十分のため6か月前から抗TNF-α抗体製剤の投与が開始された。1か月前の前医受診時には血便と腹痛はなく、肝機能検査は正常で黄疸もなかったが、1週間前に黄疸が出現した。飲酒は機会飲酒。この6か月間で抗TNF-α抗体製剤以外、新たに開始された薬剤はない。母親と兄がB型肝炎ウイルスのキャリアである。意識は清明。身長 152cm、体重 45kg。体温 36.3℃。脈拍 64/分、整。血圧 116/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。血液所見:赤血球 325万、Hb 11.6g/dL、Ht 31%、白血球 4,300、血小板 17万、PT-INR 1.2(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.3g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 4.7mg/dL、直接ビリルビン 3.5mg/dL、AST 1,236U/L、ALT 1,202U/L、ALP 352U/L(基準 115~359)、γ-GTP 75U/L(基準 8~50)。1年前の大腸内視鏡検査施行時にはHBs抗原陰性、HCV抗体陰性であったという。
- 診断を確定するために最も重要な血液検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A049]←[国試_112]→[112A051]
[★]
- 69歳の女性。リンパ節腫大の精査のため来院した。腹痛のため自宅近くの診療所を受診し、腹腔内のリンパ節腫大を指摘され紹介されて受診した。表在リンパ節は触知しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.3g/dL、Ht 40%、白血球 5,200(好中球 65%、好酸球2%、単球6%、リンパ球 27%)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.6g/dL、アルブミン 3.5g/dL、IgG 725mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 145mg/dL(基準 110~410)、IgM 121mg/dL(基準 65~350)、総ビリルビン 0.5mg/dL、AST 20IU/L、ALT 25IU/L、LD 471IU/L(基準 176~353)、ALP 133IU/L(基準 115~359)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、尿酸 8.0mg/dL、血糖 105mg/dL。免疫血清学所 見:CRP 0.1mg/dL、可溶性IL-2受容体 1,312U/mL(基準 122~496)、HBs抗原陰性、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、HTLV-I抗体陰性。全身造影CTでは、縦隔のリンパ節、傍大動脈リンパ節および腸間膜リンパ節の腫大を認めた。病型診断のために行った腸間膜リンパ節の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 7)を別に示す。生検組織からは染色体異常を認める。骨髄生検ではリンパ系腫瘍細胞の浸潤がみられる。
- 染色体異常はどれか。
- a t(8;14)
- b t(8;21)
- c t(9;22)
- d t(14;18)
- e t(15;17)
[正答]
※国試ナビ4※ [110A032]←[国試_110]→[110A034]
[★]
- 次の文を読み、22~24の問いに答えよ。
- 20歳の男性。発熱と咽頭痛とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 10日前から全身倦怠感、38℃前後の発熱および咽頭痛が出現した。さらに、食欲不振、眼瞼の浮腫および上腹部重圧感も加わってきた。近医で感冒として治療を受けたが改善しないため来院した。
- 家族歴・既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長173cm、体重73 kg。体温37.8℃。脈拍90/分、整。血圧134/90mmHg。咽頭部発赤、扁桃の腫大・発赤および表在リンパ節(顎下、側頚部、腋窩)の腫大を認める。聴診上異常はない。
- 検査所見 : 尿所見:比重1.030、蛋白(±)、糖(-)、ウロビリノゲン2+、潜血(-)。
- 血液所見:赤沈65 mm/1時間、赤血球505万、Hb 16.5 g/dl、Ht49%、白血球9,000、血小板20万。凝固系に異常はない。
- 血清生化学所見:総蛋白7.6 g/dl、γ-グロブリン20%、総コレステロール170 mg/dl、尿素窒素25 mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、GOT250単位(基準40以下)、GPT300単位(基準35以下)、LDH680単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ220単位(基準260以下)。CRP7.2mg/dl(基準0.3以下)。
- 診断確定のために測定すべき血中抗体はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H022]←[国試_095]→[095H024]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 血液検査所見で予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B049]←[国試_105]→[105B051]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B050]←[国試_105]→[105B052]
[★]
- 64歳の女性。皮膚の黄染を主訴に来院した。 5年前から肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状がなかったためそのままにしていた。 3週前から皮膚の痒みが出現し、 1週前に皮膚が黄色いことに気付いたという。服薬歴に特記すべきことはない。輸血歴はない。飲酒は機会飲酒。身長163cm、体重57kg。眼球結膜に黄染を認める。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球335万、 Hb10.8g/dl、 Ht35%、白血球3,300、血小板8.5万。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dl、アルブミン 3.2g/dl、総ビリルビン 2.8mg/dl、直接ビリルビン 1.8mg/dl、 AST 186IU/l、 ALT 148IU/l、 LD 184IU/l(基準176-353)、ALP 559IU/l(基準115-359)、 γ-GTP 253IU/l(基準8-50)。免疫学所見: CRP 2.4mg/dl。 HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性。リウマトイド因子(RF) 陰性、抗核抗体 40倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体 80倍(基準20以下)。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D042]←[国試_106]→[106D044]
[★]
- 70歳の女性。自宅近くの診療所で初めて受けた血液検査で異常を指摘され来院した。飲酒歴はない。輸血歴はない。常用薬はない。意識は清明。身長158cm、体重74kg.腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 310万、Hb 10.9g/dl、Ht 31%、白血球 4,200、血小板 9.7万、PT 68%(基準80-120)、血液生化学所見:HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、アルブミン 3.3g/dl、IgG 2,614mg/dl(基準739-1,649)、IgM 82mg/dl(基準46-260)、総コレステロール 122mg/dl、トリグリセリド 140mg/dl、AST 84IU/l、ALT 98IU/l、γ-GTP 62IU/l(基準8-50)。免疫学所見: HBs抗原、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性。腹部超音波検査で肝表面の凹凸不整、肝腎コントラストの明瞭化および軽度の脾腫を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I045]←[国試_105]→[105I047]
[★]
- 48歳の女性。昨年と今年の健康診断にて肝機能障害を指摘されて来院した。発熱と腹痛とはない。飲酒歴はない。常用している薬剤や栄養機能食品はない。身長 159cm、体重 49kg。体温 36.4℃。脈拍 60/分。血圧 110/62mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 432万、Hb 14.0g/dL、Ht 40%、白血球 3,500、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 101IU/L、ALT 89IU/L、γ-GTP 51IU/L(基準 8~50)、ALP 298IU/L(基準 115~359)、IgG 2,710mg/dL(基準 960~1,960)、IgM 99mg/dL(基準 65~350)。免疫血清学所見:HBs抗原(-)、HBs抗体(-)、HBc抗体(-)、HCV抗体(-)。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A035]←[国試_109]→[109A037]
[★]
- 25歳の男性。臨床研修医。患者の採血を行った後、採血管に分注しようとして誤って自分の指に針を刺した。患者は鼠径ヘルニアの手術目的で入院した59歳の男性で、7日前に施行した術前検査ではB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIVの感染は指摘されていない。直ちに汚染部位を絞り出し、流水で洗浄を行った。
- この研修医に対して洗浄の後に行う対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C016]←[国試_109]→[109C018]
[★]
- 45歳の女性。会社の健康診断で2年連続して肝機能障害を指摘され、精査のため来院した。腹部身体所見に異常はなく、肝も触知しない。飲酒はしない。本年の健康診断での血清生化学所見:GPT67単位(基準35以下)、γ-GTP35単位(基準8~50)、アルカリホスファターゼ200単位(基準260以下)。診断に必要な検査はどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095D025]←[国試_095]→[095D027]
[★]
- 25歳の男性。4日前から倦怠感が出現し、褐色尿と結膜の黄染とに気付き来院した。腹痛はない。最近の薬剤服用歴と海外渡航歴とはない。2か月前歓楽街で女性と性交渉をもった。血清生化学所見:総ビリルビン6.5mg/dl、AST 1,210単位(基準40以下)、ALT 1,328単位(基準35以下)。陽性を示す可能性が最も高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A026]←[国試_097]→[097A028]
[★]
- 次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
- 36歳女性。保健所でHIV検査の採血を担当している。
- 現病歴 : 本日、30歳男性の採血時に、誤って自分の指尖部に針を刺 してしまった。
- 既往歴 :特記すべきことはない。
- 採血担当者に対する血液検査で必要がないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103B049]←[国試_103]→[103B051]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107I010]←[国試_107]→[107I012]
[★]
- 英
- hepatitis C HC
- 関
- C型肝炎ウイルス、慢性肝炎、肝炎。C型慢性肝炎。非A非B型肝炎
まとめ
- RNAウイルスでありエンベロープを有するフラビウイルスに属するC型肝炎ウイルスの感染により生じる肝炎である。潜伏期は60日程度であり、発症は潜行性である。感染経路は血液の接触に夜物が多い。劇症化することは稀(0.1%)であるが、非常に慢性化しやすい(85%)。慢性化例では肝機能の低下・荒廃を来しついには肝細胞癌を生じる。日本に多い1b型(70%)はインターフェロンが奏効しにくい。治療はインターフェロンとリバビリンである。予防は感染源との接触を避けることである。
概念
- C型肝炎ウイルスによる感染症である。
- 五類感染症(全数把握)
- C型肝炎ウイルスの感染により生じる。C型急性肝炎はA型やB型に比べて自覚症状は軽く劇症化することは稀であるが、70%程度の例でC型慢性肝炎に移行する(A-E型肝炎の中で最高)。以前は非A非B型肝炎と呼ばれており、同定されたのは1989年で、検出系が確立されたのは1988年である。
疫学
- C型肝炎患者+持続感染者(キャリア):150-200万人(参考1)
- C型肝炎患者数:C型ウイルス肝炎の総患者数は34万7千人(2005年10月時点, 『患者調査』【Z41-842】2005年版 上巻(全国編)p.652)(参考5)
病原体
- C型肝炎ウイルス:遺伝子型(1b型: 70%、2a型: 20%、2b型: 8-10%)
感染経路
- 血液感染:輸血(第二世代HCV抗体導入後は輸血後肝炎の発生はほとんどない)、針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち。頻度が比較的多い
- 性的接触:B型肝炎ウイルスに比較すると頻度は少ない。
- 垂直感染:低率
経過
- 自然治癒は稀
- 10-30年の経過で肝硬変 → 肝細胞癌
- 癌化には5,11,17番染色体の染色体異常が関わっている?
- HCVの初感染から30年間以上経過している患者では年間の肝細胞癌発症率は1-4%である(HIM.1963)
- C型肝炎を背景に肝細胞癌を発症した場合、C型肝炎ウイルスを駆逐し、肝細胞癌が治癒した後であっても発癌リスクは変わらない、らしい(出典不明)
症状
- 慢性肝炎では多くの場合症状が無くトランスアミナーゼ上昇のみで、長い経過の中で肝硬変や肝細胞癌を発症する。
合併症
検査
-
- 2. HCVコア抗体:コア粒子
- 3. E2/NS-1抗体:エンベロープ
- 4. NS抗体、C100-3抗体C-33c抗体、NS5抗体:被構造タンパク
- NATによるHCV-RNAの検出。ウインドウ期は1-2週間
病態の評価 - 目的別
- 肝障害の評価 → ALT
- 残存肝機能 → 血小板数(肝臓で産生されるトロンボポエチンを反映するはず)
- 治療効果判定 → HCV-RNA
治療
- インターフェロンとリバビリンの併用が有効な治療法とされたが、HCVが排除され肝炎が治癒する確率は40~50%程度であった。
- 近年核酸アナログの開発により、肝炎の治療が進展してきた。
抗ウイルス薬 - C型肝炎
治療フローチャート
治療に影響を及ぼす因子
- HCV RNA(少ない方が良い)、遺伝子型(2型が良好)、線維化(軽度)、年齢、性別、血小板。(参考(3))
- 年齢<45、感染期間が短い、HCV RNAが少ないこと、遺伝子型が1型でないこと(HIM.1095)
- HCV-RNA量、HCB遺伝子型、肝組織化の程度(QB.B-282)
B型肝炎とC型肝炎の比較
|
B型肝炎
|
C型肝炎
|
ソース
|
感染の特徴
|
慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発?
|
慢性の肝細胞障害
|
根拠なし
|
劇症化
|
0.1-1%
|
0.1%
|
HIM
|
慢性化率
|
1-10%
|
85%
|
HIM
|
キャリア化
|
稀。通常、母子感染でおこる
|
|
医学辞書
|
肝細胞癌患者中
|
約20%
|
約70%
|
QB.B-281
|
肝細胞癌患者年齢
|
若年発症
|
|
QB.B-281
|
肝細胞癌発症形式
|
突発あり
|
緩徐進展
|
QB.B-281
|
遺伝子型
|
B型肝炎ウイルス#遺伝子型
|
|
|
A型、C型
|
1b型、2a型,、2b型
|
|
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。
|
日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)
|
|
治療
|
インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン
|
ペグインターフェロン+リバビリン
|
参考
- http://www.c-kan.net/
- 2. 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター│C型肝炎およびC型肝炎ウイルス
- http://www.ncgm.go.jp/center/forcomedi_hcv.html
- http://kousei-hosp.com/C-PPT.pdf
- https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_c
- 5. C型肝炎について - 国立国会図書館 リサーチナビ
- http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400257.php
- http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_12.html
[★]
- 英
- keratoplasty, corneal transplantation
- 関
- 角膜、臓器移植
制限
- 角膜移植は心停止状態で行われることが多く、死後48時間まで移植可能である。
眼球ドナーの基準
- 参考2
- 1. 眼球提供者(ドナー)となることができる者は、次の疾患又は状態を伴わないこと。
- (1)原因不明の死
- (2)細菌性、真菌性又はウイルス性全身性活動性感染症
- (3)HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原、HCV抗体などが陽性
- (4)クロイツフェルト・ヤコブ病及びその疑い、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症等の遅発性ウイルス感染症、活動性ウイルス脳炎、原因不明の脳炎、進行性脳症、ライ症候群、原因不明の中枢神経系疾患
- (5)眼内悪性腫瘍、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫等の悪性リンパ腫
参考
- 1. 財団法人日本アイバンク協会---角膜移植/アイバンク/目/眼球/献眼/輸入角膜/賛助会員募集
- http://www.j-eyebank.or.jp/
- 2. 厚生労働省:第1回角膜移植の基準等に関する作業班資料 日時:平成21年12月11日(金) 15:00~17:00 場所:経済産業省別館 1042会議室
- (1) 標準的なレシピエント選択基準(案)について
- (2) ドナー適応基準について
- (3) その他
- http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/s1211-12.html
国試
[★]
- 英
- antibody, Ab
- 関
- γ-globline、免疫グロブリン
- 抗原を特異的に認識する糖蛋白質である免疫グロブリンの一種。
- 血液・リンパ液中で抗原と非結合状態のものを指す
- 液性免疫に関与
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー
[★]
[★]
C型肝炎ウイルス hepatitis C virus