- 英
- hepatitis B surface antigen, HBs antigen , HBsAg
- 同
- B型肝炎表面抗原、オーストラリア抗原 Australia antigen
- 関
- B型肝炎ウイルス
WordNet
- the 8th letter of the Roman alphabet (同)h
PrepTutorEJDIC
- hydrogenの化学記号
- 鉛筆の硬度 / 《俗》heroin
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/04 22:31:49」(JST)
[Wiki ja表示]
B型肝炎(Bがたかんえん、英: Hepatitis B)とは、B型肝炎ウイルス (HBV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。
目次
- 1 ウイルス
- 2 疫学
- 3 感染
- 4 臨床像
- 4.1 初期感染
- 4.2 持続感染
- 4.3 肝硬変
- 4.4 肝細胞癌
- 5 検査
- 5.1 問診
- 5.2 血液検査
- 5.3 画像検査
- 5.4 病理組織検査
- 6 予防
- 7 治療
- 8 脚注
- 9 出典
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
ウイルス[編集]
詳細は「B型肝炎ウイルス」を参照
2002年のB型肝炎による人口10万人当たりの障害調整生存年数(en: disability-adjusted life year)[1]
0 no data
0 ≤ 10
0 10–20
0 20–30
0 30–40
0 40–50
0 50–80
|
0 80–100
0 100–120
0 120–150
0 150–200
0 200–500
0 ≥ 500
|
疫学[編集]
日本においてB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は、150万人程度といわれている。そのうち10%が肝炎発症となり、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌に進行する。しかし、95%は自然治癒する。したがって、キャリアのうち5%が慢性肝疾患になる。
近年、日本ではあまり見られなかったジェノタイプA(北米、欧州、アフリカ中部に多く分布する)のB型肝炎ウイルス感染が広がりつつある。ジェノタイプAのB型肝炎ウイルスに感染した場合、その10%前後が持続感染状態(キャリア化)に陥る。本来、日本に多いジェノタイプCのB型肝炎ウイルスは、成人してからの感染では、キャリア化することはまれであったことから、ジェノタイプAのB型肝炎ウイルス感染の拡大には、警戒が必要である。
感染[編集]
B型肝炎ウイルスは血液を介して感染する。感染経路は主に以下がある。成人以降での水平感染 の多くは一過性であることが多い。
- 垂直感染:母子感染
- 水平感染:性行為感染・輸血・臓器移植・刺青・針刺し事故等
かつては幼児期(7歳まで)の輸血による感染が多かったが、現在では先進国では検査体制が確立した為ほとんど見られない。針刺し事故や覚醒剤注射の回し打ち・刺青での針の再使用などもある。
日本では、戦後から昭和63年頃まで行われた幼児期の集団予防接種における注射針や注射筒の使い回しにより、HBVウイルスが蔓延した。国は昭和23年には注射針・注射筒の連続使用の危険性を認識していたが、40年にわたり使い回しの現状を放任していた。現在、推定150万人の持続感染者(キャリア)の内、集団予防接種による感染者は30%前後と言われており、[2]この集団感染は2011年現在、裁判で係争中である。
臨床像[編集]
初期感染[編集]
B型肝炎ウイルスに感染した場合、多くは無症状で経過するが、20~30%が急性肝炎を発症し、1~2%が劇症肝炎化する。D型肝炎の混合感染が生じる場合もある。成人の初感染の多くは、免疫応答でウイルスを排除しての一過性感染であるが、近年成人感染のキャリア化が報告されている。
持続感染[編集]
母子感染の90%以上は、C型肝炎と同様、B型肝炎ウイルスに持続的感染を呈する場合が多い。1986年から母子間ブロックが行われるようになってからは感染はほとんど防げている。
- HBe抗原陽性無症候性キャリア
- 血液検査にて、HBe抗原陽性を示し、ALT高値を示さない状態。B型肝炎ウイルスが増殖しているが、肝障害は呈していない状態のこと。多くの場合、自然経過でHBe抗原陰性・HBe抗体陽性を生じ、HBe抗体陽性無症候性キャリアへ移行する(HBeセロコンバージョン:HBe seroconversionという)が、一部は慢性肝炎へと移行する。
- HBe抗体陽性無症候性キャリア
- 血液検査にて、HBe抗体陽性を示し、ALT高値を示さない状態。B型肝炎ウイルスが完全には排除しきれていないが、ウイルスの増殖は抑えられ、肝障害を呈さなくなった状態のこと。多くの場合は自然経過を経る。ほとんどは、再活性化や肝硬変へは移行しない。一部のみがウイルスの再増殖による再活性化する。また肝逸脱酵素の上昇を伴わずとも肝硬変に進展していることもまれにある。
- 慢性B型肝炎
- B型肝炎ウイルスが増殖し、血液検査においてALT高値持続認め、肝障害を呈している状態。肝硬変への移行・肝細胞癌の発症を生じてくる。
- 稀に、HBs抗原陰性・HBs抗体陽性となる場合もあり(HBsセロコンバージョン:HBs seroconversionという)、予後良好である。
- de novo 急性B型肝炎
- 近年、さまざまな免疫抑制剤・抗癌剤・分子標的治療薬が開発され、それらの使用により沈静化していたB型肝炎か再燃するもの。劇症肝炎への移行率が高く、注意を要する。2001年リツキシマブとステロイドの併用により加療していた悪性リンパ腫患者が、B型肝炎を発症したことが報告されてからクローズアップされている。
肝硬変[編集]
詳細は「肝硬変」を参照
肝細胞癌[編集]
C型肝炎と異なり、B型肝炎では肝硬変を経ずに肝細胞癌の発症が見られる。無症候性キャリアであっても発症することもある。
詳細は「肝細胞癌」を参照
検査[編集]
問診[編集]
B型肝炎の感染経路は、主にB型肝炎に感染している母親から出産時の子への感染(母子感染。垂直感染)、出産後の集団予防接種、それ以外による医療者の針刺し事故・集団予防接種での注射器の使いまわし・性交渉・入れ墨で器具を消毒せず繰り返し使用した場合・覚醒剤使用時に注射器を共用した場合、等がある。(但し、成人してからの感染は慢性化する事が少なく一過性の急性肝炎が主な症状になるので、慢性B型肝炎患者の場合は予防接種・母子感染が主な感染経路になる事も考えられる) なので出生時の母親の感染有無、集団予防接種時の時期(昭和23年7月~昭和63年)、輸血暦、手術暦、針刺し事故、覚醒剤注射・異性関係などの感染の原因となりうることがあったかどうかを確認が大切である。
血液検査[編集]
- ウイルス検査
- HBs抗原:陽性であればHBV感染を示す。
- HBs抗体:中和抗体であり、陽性であれば既感染・治癒を示す。
- HBc抗体:陽性であればHBV感染を示す。多くの場合HBs抗原陽性であるが、HBs抗原陰性であってもHBc抗体陽性であればHBV感染の場合もある。
- スクリーニング検査でHBs抗体陽転の際に測定する。HBV感染であればHBc抗体陽性となり、ワクチンによるものであればHBc抗体は陰性である。
- HBc-IgM抗体:初期感染急性期または慢性肝炎急性増悪期に上昇傾向を示す。
- HBe抗原:HBV量が多いことを示す。
- HBe抗体:HBV量が少ないことを示す。
- HBV-DNA:HBVのDNA量を直接測定したもの。現在はリアルタイムPCRが用いられる。
- 従前はbranched DNA probe, TMA, PCR が用いられていたが、感度の優れたリアルタイムPCRが現在は主である。
臨床的には大まかに以下のように状態評価していく。
HBs抗原 |
HBs抗体 |
HBe抗原 |
HBe抗体 |
HBV-DNA |
臨床像 |
(-) |
(+) |
(-) |
(-) |
(-) |
既感染・治癒 |
(+) |
(-) |
(-) |
(+) |
(-) |
HBe抗体陽性無症候性キャリア |
(+) |
(-) |
(+) |
(-) |
(+) |
HBe抗原陽性無症候性キャリア |
(+) |
(-) |
(+) |
(-) |
(+) |
慢性B型肝炎 |
- 肝障害
- 肝線維化
- 肝機能
- 血小板(Plt)、プロトロンビン時間(PT)、アルブミン (Alb)、コリンエステラーゼ (ChE) など
- 肝細胞癌の腫瘍マーカー
画像検査[編集]
以下の画像検査によって、慢性肝炎~肝硬変・肝細胞癌の発生を評価していく。
- 腹部超音波検査
- CT、特に造影CT
- MRI、特にEOB・MRIなど
病理組織検査[編集]
- 肝生検により肝臓の傷害について、リンパ球浸潤や線維化などの組織学的評価ができる。
- HBs抗体陽性例やHBV-DNA量が測定感度以下であり、既感染と診断されていても肝臓の組織内にcccDNAという形態でHBVが残存していることがあり注意を要する。"occult HBV"と呼ばれる。
予防[編集]
母子感染予防[編集]
現在、B型肝炎キャリアの多くは母親からの垂直感染(母子感染)であり、外国では母子感染予防の為、B型肝炎ワクチンを乳児期に定期接種している例が多い。日本では、母子感染防止対策事業として、妊婦に対するHBs抗原検査が実施され、健康保険によりHBs抗原陽性妊婦からの出生児へ、抗HBs人免疫グロプリン投与・B型肝炎ワクチン接種を施行している。
- 接種スケジュールは、一般的には1回目と2回目が4週間間隔(米国では30日)、2回目と3回目が半年間隔である。10年間抗体維持。
- 緊急接種の場合(緊急でハイリスク暴露になる可能性がある場合)、米国では次の接種法が承認された。1回目と2回目が1週間間隔、2回目と3回目が2週間間隔、3回目と4回目が1年間隔。これで、10年間の抗体維持ができるとされる。
水平感染防止[編集]
労災事故防止(対象 医療関係者・救急関係者等)の観点から実習前の段階からB型肝炎ワクチンの接種が望ましいとされているが、日本では労働安全衛生法上の義務にも関わらず一部の医療機関でB型肝炎ワクチンの予防接種の未実施や接種費用の一部の自己負担を請求している等の問題がある。
渡航者もB型肝炎ワクチンの接種対象となる。日本製、または、日本で承認されているB型肝炎ワクチンの抗原量は10マイクログラムであり、日本以外の製品の20マイクログラムの半分量であること、また、いずれの場合も、"low responder"や"non-responder"という、抗体産生反応をしにくい被接種者がいることも熟知されたい。
VD(性行為感染症)としては、コンドームの着用である程度予防することができる。
B型肝炎ウイルスに対しては、高HBIG(高力価HBs抗原ヒト免疫グロブリン)・HBワクチンにより感染の減少がみられる。
治療[編集]
慢性B型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。急性B型肝炎は基本的に保存的加療がなされる。急性肝炎を参照。
抗ウイルス療法[編集]
抗ウイルス治療はB型肝炎ウイルスを排除する治療である。B型肝炎ウイルスは自然経過において排除抗体(HBs抗体ないしHBe抗体)を取得し、ウイルスの活性化が沈静化していき、これを「セロコンバージョン(seroconversion)」と呼ばれているが、抗ウイルス治療はこれを促していくことを目標としていく。治療適応は「HBe抗原陽性無症候性キャリア」・「慢性B型肝炎」・「B型肝硬変」である。
抗ウイルス治療の基本は、以前はインターフェロン(IFN)であったが、核酸アナログ製剤の登場によって治療成績も改善している。ただ、核酸アナログ製剤には、耐性ウイルスが出現することも多く、それによる急性肝炎(breack through hepatitis)が発生することも少なくない。
- インターフェロン(IFN)
-
- IFNα (スミフェロン®、オーアイエフ®)
- IFNα2b(イントロンA®)
- IFNβ (IFN®、フエロン®)
- 核酸アナログ製剤
-
- ラミブジン Lamivudine(ゼフィックス Zefix®)
- 元々HIV治療薬として開発された。耐性ウイルス出現が多く、近年は新規使用には用いられていない。
- アデフォビル Adefovir(ヘプセラ Hepsera®)
- ラミブジン耐性のウイルス治療薬として承認された。ラミブジン耐性ウイルス出現時にラミブジンと併用で用いられる。
- エンテカビル Entecavir(バラクルード Bareclude®)
- ラミブジンよりウイルス抑制作用が強力で、現在はほぼ核酸アナログ製剤として第一選択で用いられている。催奇形性があり、妊娠の可能性がある女性には投与できない。
- テノフォビル Tenofovir(ビリアード Viread®)
- 核酸アナログ製剤の次世代薬。日本ではB型肝炎には未承認。抗HIV薬としては日本・海外で広く使用されている。B型肝炎ウイルスに対しても海外では良好な成績が報告されている。
- テルビブジン Telbivudine:LdT(Sebivo® Tyzeka®)
- クレブジン Clevudine(Revoivir®)
基本的に年齢によって治療選択される。
- 35歳未満:免疫応答によるセロコンバージョンが期待され、免疫賦活作用もあるIFN治療が選択される。ウイルス量が多い場合、核酸アナログ製剤との併用療法が行われる。
- 35歳以上:セロコンバージョンの可能性が低く、核酸アナログ療法によるウイルス抑制治療が選択される。ウイルス量が多い場合、IFNとの併用療法が行われる。また、核酸アナログ療法は催奇形性があるため、挙児希望の場合はIFNが行われる。
肝庇護療法[編集]
抗ウイルス療法以外に、ALTの正常化を計る目的で、以下が用いられる。ただ、肝庇護療法はC型肝炎には比較的効果はあるが、B型肝炎にはあまり効果を示さない場合も多い。
- グリチルリチン(SNMC:強力ネオミノファーゲンC®)
- ウルソデオキシコール酸(UDCA:ウルソ®・ウルソサン®)
- 肝臓加水水解物(プロヘパール®)
- 小柴胡湯(漢方):IFNとの併用は間質性肺炎のリスクが高まるとのことで併用禁忌薬
脚注[編集]
- ^ “Mortality and Burden of Disease Estimates for WHO Member States in 2002 (xls)”. World Health Organization (2004年12月). 2009年11月13日閲覧。
- ^ B型肝炎訴訟とはウイルス性肝炎患者の救済を求める全国B型肝炎訴訟・大阪弁護団
出典[編集]
- 疫学的視点からみたウイルス肝炎の現状 (PDF) 広島大学 田中純子
- B型肝炎 国立感染症研究所
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- B型肝炎について 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
- 厚生労働省
- 肝臓専門医制度について 日本肝臓学会
- B型肝炎相談ホットライン B型肝炎の情報・相談サイト
- 肝炎.net(ブリストル・マイヤーズ株式会社) B型肝炎に関するサイト
- 全国B型肝炎訴訟弁護団 各地域の相談窓口についても掲載
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- HBs抗原高感度定量試薬の開発と有用性 (イムノアッセイの進歩)
- ヒト培養細胞由来と酵母由来遺伝子組換えB型肝炎ワクチンの効果 の比較
- 田代 隆良,田中 千明,疋田 桂子 [他],緒方 優衣,西崎 仁美,田代 将人,石松 祐二,泉川 公一
- 保健学研究 27(1), 21-27, 2015-01
- … ~ 2013年度に入学した長崎大学看護学生1,000名のHBs抗原とHBs抗体を検査した.HBs抗原陽性率は0.10%(2000 ~ 2004年0.27%,2005 ~ 2013年0.0%),HBs抗体陽性率は1.80%(2000 ~ 2004年1.08%,2005 ~ 2013年2.22%)だった.HBs抗原・HBs抗体とも陰性だった970名に対しヒト培養細胞由来遺伝子組換え沈降 B 型肝炎ワクチン「明乳」(Mワクチン)または酵母由来遺伝子組換え沈降 B …
- NAID 110009873245
- 石田 紀代美,濱口 良彦,眞継 賢一,上田 浩貴,有島 友美,坂口 健治,永井 謙一
- 日本環境感染学会誌 30(2), 135-139, 2015
- … らず全職員対象のHBs抗原・抗体価測定と陰性者へのワクチン接種を実施してきた.2011年からは感染管理チーム(ICT)が環境感染学会のワクチンガイドラインに基づいたB型肝炎ワクチンプログラムを作成し,検査とワクチン接種を実施している.これら方法の変更によるワクチン接種完遂率と経費削減効果を後方視的に検討した.今回のワクチンプログラムの対象は2010年度のHBs抗原・抗体陰性職員と20 …
- NAID 130005075187
Related Links
- HBs抗原/抗体の検査値の読み方について解説しています。肝炎.netはB型肝炎患者さんのための情報サイトです。 ... 肝炎.net トップページ B型肝炎の疾患情報 検査値の読み方 肝障害・胆汁うっ滞 ウイルス・マーカー HBs抗原/抗体 HBe抗原 ...
- 【HBs抗原検査の基準値・正常値のまとめ】 検査ぶっく ではHBs抗原血液検査の基準値・正常値の範囲および検査内容について入門者向きに解説しております。
- 血清中のHBs抗原や抗体を調べることによって、肝硬変、肝臓がんへと進展する慢性肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)感染の有無や、その程度を知ることができます。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。発熱と皮疹とを主訴に娘に伴われて来院した。現病歴: 1か月前から上半身の皮疹と発熱とがみられるようになった。発熱とともに皮疹が出現し、解熱とともに皮疹が消失するということが連日繰り返された。2週前から起床時に膝の痛みがあった。一昨日から発熱のピークが39℃を超えるようになったため受診した。
- 既往歴: 18歳時に虫垂炎で手術。 45歳時に子宮筋腫を指摘された。
- 生活歴:夫と娘との3人暮らし。
- 家族歴:母親が心筋梗塞のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長155cm、体重58kg。体温39.1℃。脈拍60/分、整。血圧162/70mmHg。呼吸数18/分。 SpO2 96%(room air)。皮膚は湿潤である。咽頭に発赤を認めない。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。前頸部から前胸部にかけて淡い紅斑を認める。右後頸部で無痛性のリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm触知する。両側の膝関節に腫脹を認めない。
- 検査所見:赤沈120mm/1時間。血液所見:赤血球368万、 Hb10.1g/dl、 Ht38%、白血球14,260、血小板41万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素7.0mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸7.2mg/dl、総コレステロール226mg/dl、トリグリセリド130mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST 120IU/l、 ALT74IU/l、 LD776IU/l(基準176-353)、 ALP630IU/l(基準115-359)、 γ-GTP108IU/l(基準8-50)、 CK21IU/l(基準30-140)、 Nal37mEq/l、 K4.4mEq/l、 Cl97mEq/l。フェリチン50,800ng/ml(基準20-120)。
- 免疫学所見: CRP 12mg/dl。 HTLV-1抗体陰性、 HIV抗体陰性、 HA抗体陰性、HBs抗原・抗体陰性、 HCV抗体陰性、 EBV抗体陰性。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体20倍(基準20以下)、可溶性IL-2受容体基準範囲内。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。骨髄血塗沫染色標本で異常所見を認めない。胸腹部造影CTで頸部、鎖骨上、縦隔、傍大動脈領域および骨盤腔内に多数のリンパ節腫脹を認める。頸部リンパ節生検で悪性所見を認めない。
- この患者の検査結果として予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B052]←[国試_106]→[106B054]
[★]
- 72歳の女性。発熱と皮疹とを主訴に娘に伴われて来院した。現病歴: 1か月前から上半身の皮疹と発熱とがみられるようになった。発熱とともに皮疹が出現し、解熱とともに皮疹が消失するということが連日繰り返された。2週前から起床時に膝の痛みがあった。一昨日から発熱のピークが39℃を超えるようになったため受診した。
- 既往歴: 18歳時に虫垂炎で手術。 45歳時に子宮筋腫を指摘された。
- 生活歴:夫と娘との3人暮らし。
- 家族歴:母親が心筋梗塞のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長155cm、体重58kg。体温39.1℃。脈拍60/分、整。血圧162/70mmHg。呼吸数18/分。 SpO2 96%(room air)。皮膚は湿潤である。咽頭に発赤を認めない。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。前頸部から前胸部にかけて淡い紅斑を認める。右後頸部で無痛性のリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm触知する。両側の膝関節に腫脹を認めない。
- 検査所見:赤沈120mm/1時間。血液所見:赤血球368万、 Hb10.1g/dl、 Ht38%、白血球14,260、血小板41万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素7.0mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸7.2mg/dl、総コレステロール226mg/dl、トリグリセリド130mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST 120IU/l、 ALT74IU/l、 LD776IU/l(基準176-353)、 ALP630IU/l(基準115-359)、 γ-GTP108IU/l(基準8-50)、 CK21IU/l(基準30-140)、 Nal37mEq/l、 K4.4mEq/l、 Cl97mEq/l。フェリチン50,800ng/ml(基準20-120)。
- 免疫学所見: CRP 12mg/dl。 HTLV-1抗体陰性、 HIV抗体陰性、 HA抗体陰性、HBs抗原・抗体陰性、 HCV抗体陰性、 EBV抗体陰性。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体20倍(基準20以下)、可溶性IL-2受容体基準範囲内。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。骨髄血塗沫染色標本で異常所見を認めない。胸腹部造影CTで頸部、鎖骨上、縦隔、傍大動脈領域および骨盤腔内に多数のリンパ節腫脹を認める。頸部リンパ節生検で悪性所見を認めない。
- 現時点の対応として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B053]←[国試_106]→[106B055]
[★]
- 72歳の女性。発熱と皮疹とを主訴に娘に伴われて来院した。現病歴: 1か月前から上半身の皮疹と発熱とがみられるようになった。発熱とともに皮疹が出現し、解熱とともに皮疹が消失するということが連日繰り返された。2週前から起床時に膝の痛みがあった。一昨日から発熱のピークが39℃を超えるようになったため受診した。
- 既往歴: 18歳時に虫垂炎で手術。 45歳時に子宮筋腫を指摘された。
- 生活歴:夫と娘との3人暮らし。
- 家族歴:母親が心筋梗塞のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長155cm、体重58kg。体温39.1℃。脈拍60/分、整。血圧162/70mmHg。呼吸数18/分。 SpO2 96%(room air)。皮膚は湿潤である。咽頭に発赤を認めない。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。前頸部から前胸部にかけて淡い紅斑を認める。右後頸部で無痛性のリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を3cm触知する。両側の膝関節に腫脹を認めない。
- 検査所見:赤沈120mm/1時間。血液所見:赤血球368万、 Hb10.1g/dl、 Ht38%、白血球14,260、血小板41万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素7.0mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸7.2mg/dl、総コレステロール226mg/dl、トリグリセリド130mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST 120IU/l、 ALT74IU/l、 LD776IU/l(基準176-353)、 ALP630IU/l(基準115-359)、 γ-GTP108IU/l(基準8-50)、 CK21IU/l(基準30-140)、 Nal37mEq/l、 K4.4mEq/l、 Cl97mEq/l。フェリチン50,800ng/ml(基準20-120)。
- 免疫学所見: CRP 12mg/dl。 HTLV-1抗体陰性、 HIV抗体陰性、 HA抗体陰性、HBs抗原・抗体陰性、 HCV抗体陰性、 EBV抗体陰性。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体20倍(基準20以下)、可溶性IL-2受容体基準範囲内。胸部エックス線写真で心胸郭比50%。骨髄血塗沫染色標本で異常所見を認めない。胸腹部造影CTで頸部、鎖骨上、縦隔、傍大動脈領域および骨盤腔内に多数のリンパ節腫脹を認める。頸部リンパ節生検で悪性所見を認めない。
- この病態に特徴的な症候はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B051]←[国試_106]→[106B053]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 腹部ダイナミックCTで早期に造影される腫瘤影を認めた。肝動脈造影写真(別冊No.8A)と上腸間膜動脈造影写真(別冊No.8B)とを別に示す。肝病変に対する治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B051]←[国試_105]→[105B053]
[★]
- 55歳の女性。黄疸を主訴に自宅近くの医療機関から紹介されて受診した。1年前に血便と腹痛が出現し、大腸内視鏡検査によって潰瘍性大腸炎と診断された。まず副腎皮質ステロイドを投与されたが、効果不十分のため6か月前から抗TNF-α抗体製剤の投与が開始された。1か月前の前医受診時には血便と腹痛はなく、肝機能検査は正常で黄疸もなかったが、1週間前に黄疸が出現した。飲酒は機会飲酒。この6か月間で抗TNF-α抗体製剤以外、新たに開始された薬剤はない。母親と兄がB型肝炎ウイルスのキャリアである。意識は清明。身長 152cm、体重 45kg。体温 36.3℃。脈拍 64/分、整。血圧 116/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。血液所見:赤血球 325万、Hb 11.6g/dL、Ht 31%、白血球 4,300、血小板 17万、PT-INR 1.2(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.3g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 4.7mg/dL、直接ビリルビン 3.5mg/dL、AST 1,236U/L、ALT 1,202U/L、ALP 352U/L(基準 115~359)、γ-GTP 75U/L(基準 8~50)。1年前の大腸内視鏡検査施行時にはHBs抗原陰性、HCV抗体陰性であったという。
- 診断を確定するために最も重要な血液検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A049]←[国試_112]→[112A051]
[★]
- 69歳の女性。リンパ節腫大の精査のため来院した。腹痛のため自宅近くの診療所を受診し、腹腔内のリンパ節腫大を指摘され紹介されて受診した。表在リンパ節は触知しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.3g/dL、Ht 40%、白血球 5,200(好中球 65%、好酸球2%、単球6%、リンパ球 27%)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.6g/dL、アルブミン 3.5g/dL、IgG 725mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 145mg/dL(基準 110~410)、IgM 121mg/dL(基準 65~350)、総ビリルビン 0.5mg/dL、AST 20IU/L、ALT 25IU/L、LD 471IU/L(基準 176~353)、ALP 133IU/L(基準 115~359)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、尿酸 8.0mg/dL、血糖 105mg/dL。免疫血清学所 見:CRP 0.1mg/dL、可溶性IL-2受容体 1,312U/mL(基準 122~496)、HBs抗原陰性、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、HTLV-I抗体陰性。全身造影CTでは、縦隔のリンパ節、傍大動脈リンパ節および腸間膜リンパ節の腫大を認めた。病型診断のために行った腸間膜リンパ節の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 7)を別に示す。生検組織からは染色体異常を認める。骨髄生検ではリンパ系腫瘍細胞の浸潤がみられる。
- 染色体異常はどれか。
- a t(8;14)
- b t(8;21)
- c t(9;22)
- d t(14;18)
- e t(15;17)
[正答]
※国試ナビ4※ [110A032]←[国試_110]→[110A034]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
- 血液検査所見で予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B049]←[国試_105]→[105B051]
[★]
- 次の文を読み、 50-52の問いに答えよ。
- 76歳の男性。転居に伴いB型慢性肝疾患の治療継続目的で紹介され来院した。
- 現病歴 10年前に自宅近くの医療機関でB型慢性肝炎と診断され、ウルソデオキシコール酸を服用していた。自覚症状は特にない。
- 生活歴 飲酒は機会飲酒。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長176cm、体重64kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/68mmHg。腹部は平坦で、心窩部に肝を1cm触知するが、圧痛を認めない。左肋骨弓下に脾を1cm触知する。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 311万、Hb 10.9g/dl、Ht 32%、白血球 3,600。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dl、アルブミン 2.6g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 84IU/l、ALT 68IU/l、ALP 220IU/l(基準115-359)。免疫学所見:HBs抗原陽性、HCV抗体陰性、AFP 140ng/ml(基準20以下)。食道内視鏡写真(別冊No.7)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B050]←[国試_105]→[105B052]
[★]
- 64歳の女性。皮膚の黄染を主訴に来院した。 5年前から肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状がなかったためそのままにしていた。 3週前から皮膚の痒みが出現し、 1週前に皮膚が黄色いことに気付いたという。服薬歴に特記すべきことはない。輸血歴はない。飲酒は機会飲酒。身長163cm、体重57kg。眼球結膜に黄染を認める。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球335万、 Hb10.8g/dl、 Ht35%、白血球3,300、血小板8.5万。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dl、アルブミン 3.2g/dl、総ビリルビン 2.8mg/dl、直接ビリルビン 1.8mg/dl、 AST 186IU/l、 ALT 148IU/l、 LD 184IU/l(基準176-353)、ALP 559IU/l(基準115-359)、 γ-GTP 253IU/l(基準8-50)。免疫学所見: CRP 2.4mg/dl。 HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性。リウマトイド因子(RF) 陰性、抗核抗体 40倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体 80倍(基準20以下)。
- 治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D042]←[国試_106]→[106D044]
[★]
- 70歳の女性。自宅近くの診療所で初めて受けた血液検査で異常を指摘され来院した。飲酒歴はない。輸血歴はない。常用薬はない。意識は清明。身長158cm、体重74kg.腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 310万、Hb 10.9g/dl、Ht 31%、白血球 4,200、血小板 9.7万、PT 68%(基準80-120)、血液生化学所見:HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、アルブミン 3.3g/dl、IgG 2,614mg/dl(基準739-1,649)、IgM 82mg/dl(基準46-260)、総コレステロール 122mg/dl、トリグリセリド 140mg/dl、AST 84IU/l、ALT 98IU/l、γ-GTP 62IU/l(基準8-50)。免疫学所見: HBs抗原、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性。腹部超音波検査で肝表面の凹凸不整、肝腎コントラストの明瞭化および軽度の脾腫を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I045]←[国試_105]→[105I047]
[★]
- 48歳の女性。昨年と今年の健康診断にて肝機能障害を指摘されて来院した。発熱と腹痛とはない。飲酒歴はない。常用している薬剤や栄養機能食品はない。身長 159cm、体重 49kg。体温 36.4℃。脈拍 60/分。血圧 110/62mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 432万、Hb 14.0g/dL、Ht 40%、白血球 3,500、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 101IU/L、ALT 89IU/L、γ-GTP 51IU/L(基準 8~50)、ALP 298IU/L(基準 115~359)、IgG 2,710mg/dL(基準 960~1,960)、IgM 99mg/dL(基準 65~350)。免疫血清学所見:HBs抗原(-)、HBs抗体(-)、HBc抗体(-)、HCV抗体(-)。
- 診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A035]←[国試_109]→[109A037]
[★]
- 25歳の男性。臨床研修医。患者の採血を行った後、採血管に分注しようとして誤って自分の指に針を刺した。患者は鼠径ヘルニアの手術目的で入院した59歳の男性で、7日前に施行した術前検査ではB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIVの感染は指摘されていない。直ちに汚染部位を絞り出し、流水で洗浄を行った。
- この研修医に対して洗浄の後に行う対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C016]←[国試_109]→[109C018]
[★]
- 45歳の女性。会社の健康診断で2年連続して肝機能障害を指摘され、精査のため来院した。腹部身体所見に異常はなく、肝も触知しない。飲酒はしない。本年の健康診断での血清生化学所見:GPT67単位(基準35以下)、γ-GTP35単位(基準8~50)、アルカリホスファターゼ200単位(基準260以下)。診断に必要な検査はどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095D025]←[国試_095]→[095D027]
[★]
- 次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
- 36歳女性。保健所でHIV検査の採血を担当している。
- 現病歴 : 本日、30歳男性の採血時に、誤って自分の指尖部に針を刺 してしまった。
- 既往歴 :特記すべきことはない。
- 採血担当者に対する血液検査で必要がないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103B049]←[国試_103]→[103B051]
[★]
- 血液検査項目の組合せで、2回に分けて採血すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F002]←[国試_109]→[109F004]
[★]
- 英
- hepatitis B, HB, type B hepatitis
- 関
- B型肝炎ウイルス、慢性肝炎
まとめ
- DNAウイルスでありながら逆転写酵素をもつヘパドナウイルスでエンベロープをもつB型肝炎ウイルスの感染により起こる肝炎。感染経路は経皮的?、妊娠母子、性的接触があり、発症は若年者に多い。潜伏期は2-3ヶ月であり、急性・潜行性に発症する。慢性化することは1-10%程度(但し、新生児例がほとんど)あり、劇症化することは比較的多い(0.1-1.0%)。キャリアー化することは母子感染例ではみられるが、成人感染例では稀である。慢性化した場合、(ゲノムに組み込まれる性質も相まってか?)比較的若年で、また肝臓の状態が良好な段階でも肝細胞癌を発症しうる。日本人に多いC型は慢性化しにくいものの、重症感が強く、インターフェロンが奏功しにくく、また肝細胞癌を発症しやすい。治療はインターフェロン、ラミブジン、アデフォビル、エンテカビルがある。予防は免疫グロブリン注射と組換えHBsワクチン接種がある。
病原体
感染経路
潜伏期
検査
血清学的検査
- 消化器疾患ビジュアルブック p176
- HBs抗原:現在HBVに感染している
- HBs抗体:HBV感染既往。既にHBVに免疫がある。
- IgM型HBc抗体:感染の急性期に作られる抗体。急性肝炎にかかっているか、慢性肝炎の急性増悪。
- IgG型HBc抗体:慢性期に作られる抗体で、高ければB型肝炎キャリア、低ければ過去にB型肝炎に感染既往がある状態
- HBe抗原:HBVが多量に存在し、他人に感染しやすい状態
- HBe抗体:HBVは減少し、感染力が弱まっている状態
- HBV-DNA:HBVに感染していて、ウイルスが増殖している状態
HBVキャリアの病期とその病態
病期
|
肝炎
|
血中
|
肝臓
|
DNA量
|
HBe抗原
|
HBs抗原
|
cccDNA
|
免疫寛容期
|
無症候性キャリア
|
ー
|
8~11
|
++
|
+++
|
+++
|
免疫排除期
|
慢性肝炎
|
HBe抗原陽性
|
持続
|
6~10
|
+
|
++
|
++
|
HBe抗原陰性
|
変動
|
3~8
|
ー
|
+~++
|
+~++
|
免疫監視期
|
非活動性キャリア
|
ー
|
<4
|
ー
|
+
|
+
|
回復期
|
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
+
|
経過
B型ウイルス抗原・抗体
- HBs抗原:早期(4週)に上昇。28週までに低下
- HBs抗体:28週から上昇
- HBc抗原:測定が非常に困難。
- HBc抗体:HBs抗原に遅れて上昇
- HBe抗原:HBs抗原、HBc抗体に遅れて検出される
- HBe抗体:16-20週ごろにHBe抗原より優位となる
B型肝炎ウイルスの母子感染と予防
- G10M.176
B型肝炎ウイルスの母子感染
- B型肝炎母子感染防止事業(1985年)に基づいて講じられている予防策である。妊娠初期の全妊婦に対してHBs抗原検査を行い、感染が確認されればHBe抗原検査を行いリスクに応じた感染予防対策を実施する。HBe抗原陰性のローリスク群では産道感染の起こる確率は10%であり、新生児が無症候性キャリアとなるのは稀なのに対し、ハイリスク群では産道感染する確率は90%であり、無症候性キャリアとなるのは80%である。従って、ローリスク群には児に対する感染予防対策を、ハイリスク群には強力な感染予防対策を行う。
母子感染の予防
- G10M.176 B型肝炎ウイルス#母子感染の予防
|
ローリスク群
|
ハイリスク群
|
意義
|
HBIG筋注
|
0ヶ月
|
0ヶ月
|
ウイルス粒子に対する防御
|
|
2ヶ月
|
HBワクチン
|
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月
|
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月
|
防御抗体の付与
|
HBs抗原検査
|
|
1ヶ月
|
HBV感染の確認
|
6ヶ月
|
6ヶ月
|
HBs抗体検査
|
6ヶ月
|
6ヶ月
|
防御抗体獲得の確認
|
- どうにかして覚えたい
- 予防は0,2 & 2,3,5
- 検査は1,6
B型肝炎とC型肝炎の比較
|
B型肝炎
|
C型肝炎
|
ソース
|
感染の特徴
|
慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発?
|
慢性の肝細胞障害
|
根拠なし
|
劇症化
|
0.1-1%
|
0.1%
|
HIM
|
慢性化率
|
1-10%
|
85%
|
HIM
|
キャリア化
|
稀。通常、母子感染でおこる
|
|
医学辞書
|
肝細胞癌患者中
|
約20%
|
約70%
|
QB.B-281
|
肝細胞癌患者年齢
|
若年発症
|
|
QB.B-281
|
肝細胞癌発症形式
|
突発あり
|
緩徐進展
|
QB.B-281
|
遺伝子型
|
B型肝炎ウイルス#遺伝子型
|
|
|
A型、C型
|
1b型、2a型,、2b型
|
|
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。
|
日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)
|
|
治療
|
インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン
|
ペグインターフェロン+リバビリン
|
参考
- http://www.bkanen.net/
- http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/K04_15/k04_15.html
[★]
- 英
- keratoplasty, corneal transplantation
- 関
- 角膜、臓器移植
制限
- 角膜移植は心停止状態で行われることが多く、死後48時間まで移植可能である。
眼球ドナーの基準
- 参考2
- 1. 眼球提供者(ドナー)となることができる者は、次の疾患又は状態を伴わないこと。
- (1)原因不明の死
- (2)細菌性、真菌性又はウイルス性全身性活動性感染症
- (3)HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原、HCV抗体などが陽性
- (4)クロイツフェルト・ヤコブ病及びその疑い、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症等の遅発性ウイルス感染症、活動性ウイルス脳炎、原因不明の脳炎、進行性脳症、ライ症候群、原因不明の中枢神経系疾患
- (5)眼内悪性腫瘍、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫等の悪性リンパ腫
参考
- 1. 財団法人日本アイバンク協会---角膜移植/アイバンク/目/眼球/献眼/輸入角膜/賛助会員募集
- http://www.j-eyebank.or.jp/
- 2. 厚生労働省:第1回角膜移植の基準等に関する作業班資料 日時:平成21年12月11日(金) 15:00~17:00 場所:経済産業省別館 1042会議室
- (1) 標準的なレシピエント選択基準(案)について
- (2) ドナー適応基準について
- (3) その他
- http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/s1211-12.html
国試
[★]
- 英
- Hepatitis delta virus, hepatitis D virus HDV
- 関
- 肝炎ウイルス
- ウイルス科は未分類、デルタウイルス属
- 1本鎖RNA, 閉環状 (SMB.552), マイナス鎖 (SMB.374)
- HBs抗原からなるエンベロープ有り (SMB.552)
[★]
HBs抗原(B型肝炎ウイルス表面抗原)
- 関
- ワクチン類
[★]
HBs抗原。B型肝炎表面抗原 hepatitis B surface antigen
[★]
- 英
- asymptomatic HBs antigen carrier
[★]
- 英
- antigen Ag
- 関
- 抗体
分類
[★]
[★]
- 英
- proto
- 関
- プロト、元