- celiac
- 英
- celiac disease
- 同
- セリアックスプルー celiac sprue、グルテン過敏性腸症、グルテン腸症 gluten-induced enteropathy、小児脂肪便症
WordNet
- belonging to or prescribed for celiac disease; "a celiac diet"
PrepTutorEJDIC
- 腹[腔]の,腸にある
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/11/11 00:17:30」(JST)
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セリアック病 |
セリアック病によって絨毛などに異常を来たした小腸の生検画像
|
分類および外部参照情報 |
ICD-10 |
K90.0 |
ICD-9-CM |
579.0 |
OMIM |
212750 |
DiseasesDB |
2922 |
MedlinePlus |
000233 |
eMedicine |
med/308 ped/2146 radio/652 |
Patient UK |
セリアック病 |
MeSH |
D002446 |
セリアック病またはシリアック病(coeliac disease または celiac disease)は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患である。
小腸内の上皮細胞には絨毛・微絨毛と呼ばれる小突起が存在して栄養の吸収を行なっている。セリアック病の患者がグルテンを含有する食物などを摂取すると、ヒトの消化酵素では分解できないグルテン分子の一部が小腸上皮組織内にペプチド鎖のまま取り込まれ、これに対する免疫反応がきっかけとなって自己の免疫系が小腸の上皮組織を攻撃して炎症を起こすことで絨毛などを損傷し、また上皮細胞そのものの破壊にまで至ってしまう。この結果、小腸から栄養を吸収出来なくなり、食事の量などに関らず栄養失調の状態に陥る。また、セリアック病未治療患者には度々うつ病、パニック障害、自閉症、ADHD、ADD等の行動・精神障害が見られるという報告があるが因果関係/発病のメカニズムは解明されていない。
目次
- 1 病名
- 2 原因
- 3 症状
- 4 検査
- 5 治療方法
- 6 脚注
- 7 外部リンク
病名
この疾患は他にグルテン性腸症、またはセリアックスプルー (celiac sprue) とも呼ばれる。英語では他にもグルテン拒否症、非熱帯性腸症、グルテン過敏性腸症など様々な別名がある。
coeliac という単語はギリシャ語: κοιλιακος, koiliakos(腹部の)に由来しており、古代ギリシャにて本疾患を記述したとされるカッパドキアのアレタイオス(英語: Aretaeus of Cappadocia)の著作の翻訳に基づき、19世紀に導入された[1]。
原因
患者の近親者にセリアック病患者が見られる事から遺伝的要因が大きいとされており、セリアック病の人のほとんどがHLA-DQ2またはHLA-DQ8が陽性である[2]。外科手術・妊娠と出産・ウイルス感染・または激しいストレスなどが引き金となって発病する場合もあるとされる。
症状
セリアック病の症状は他の病気(過敏性腸症候群、鉄欠乏性貧血、クローン病、憩室炎、慢性疲労症候群など)と似ている。
- ガス
- 腹部膨満感と痛み
- 慢性の下痢
- 悪臭を放つ便(脂肪便)
- 体重の急激な減少や増加
- 顔面蒼白
- 貧血(赤血球数の低下)
- 骨あるいは関節の痛み
- 骨粗鬆症
- 筋肉の痙攣
- ブレインフォグ(思考に霧がかかったような状態)
- 疲労感
- てんかん症状
- 脚部のしびれ感
- 口腔内の痛み
- 痛みとかゆみを伴う湿疹
- 歯の変色あるいはエナメル質の欠損
- 無月経
- 成長の遅れ(子供の場合)
検査
- 十二指腸の波状変形の感度は48に過ぎないが、特異度は99%と優れていた。(陽性適中率は97%)[3]
- 十二指腸下行脚の小腸生検は特異度が低いが、診断のために必須である。
- 抗グリアジン抗体(AGA)と抗筋内膜抗体(EMA)が用いられる。これらを併用すると,陽性および陰性適中率はほぼ100%となる。
治療方法
大部分の患者はグルテンを含まない(グルテンフリー)食品を摂る事で症状悪化を防ぎ、小腸の機能を回復する。現時点で根本的な治療法は無く、生涯グルテンフリーの食生活を続ける必要がある。
市販の食品にはグルテンを含んだ物が多い事から、栄養士の助言を受けたり回避すべき食品のリストアップをおこなう必要がある。
なお、グルテンはビタミン剤などの他に食品とは全く関係ないものに含まれている場合もあるので注意が必要。
脚注
- ^ Adams F, translator (1856). “On The Cœliac Affection”. The extant works of Aretaeus, The Cappadocian. London: Sydenham Society. http://web.archive.org/web/20070311164628/http://www.chlt.org/sandbox/dh/aretaeusEnglish/page.102.a.php 2006年9月4日閲覧。. Google Books entryも参照のこと
- ^ van Heel D, West J (2006). “Recent advances in coeliac disease”. Gut 55 (7): 1037–46. doi:10.1136/gut.2005.075119. PMC 1856316. PMID 16766754. http://gut.bmjjournals.com/cgi/content/full/55/7/1037.
- ^ Kasirer Y, et al. Dig Endosc. 2014 Mar;26(2):232-5.
外部リンク
- NDDIC: Celiac Disease(米国立消化器系疾患情報センターセリアック病の項)
- セリアック病(日本における現状を配信)(日本セリアック病研究会・信州大学第二内科)[リンク切れ]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 松木 順子,熊倉 克元,石橋 晃
- 畜産の研究 64(4), 463-467, 2010-04-00
- … 鉄分、マグネシウム、リンなどのミネラル分が豊富で、セリアック病を起こすグルテン画分を含まないことから注目されている。 …
- NAID 40017049401
- Fasano Alessio
- 日経サイエンス 39(11), 58-68, 2009-11-00
- … きちんと食べているのに栄養失調に──小麦に含まれる「グルテン」というタンパク質が発病の引き金となる「セリアック病」は奇妙な子どもの病気として古代ギリシャの文献にも登場している。 …
- NAID 40016839997
Related Links
- セリアック病またはシリアック病(Coeliac disease、Celiac diseaseとも綴る)とは、 小麦や大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応 が引き金になって起こる自己免疫疾患。 小腸内の上皮細胞には絨毛・微絨毛と 呼ばれる小 ...
- セリアック病に関するお問い合わせが最近増えてきていますので、セリアック病に関する 基礎的な情報を翻訳しました。 この読み物は、下記の ... セリアック病(略称:CD)は 小児、成人問わず影響を与え、生涯続く遺伝性の自己免疫性状態です。 CDを持つ人が ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- autoimmune hepatitis AIHA, AIH
- 関
- 類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病
まとめ
- 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
- 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
- LAB.894
- II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
- IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
- IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
- 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
- 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
- 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
- AST, ALT:高値
- γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
- 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
- ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
- 抗核抗体:I型で陽性
- 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
- 抗LKM-1抗体:II型で陽性
- 抗SLA抗体:III型で陽性
- 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
- 参考3
診断
- 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
- 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
- 副腎皮質ステロイドが著効する
- ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
- ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
- 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
- インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
- 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
- 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [1]
- 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
- 英
- secondary osteoporosis
- 関
- 骨粗鬆症
診断基準
- 骨粗鬆症のガイドライン2006年より
- ステロイド性骨粗鬆症:骨折閾値の上昇がエビデンスとして示されたている。
- 糖尿病性骨粗鬆症:骨折閾値が上がったとの報告はあるが、エビデンスレベルでの報告はない。 → 原発性骨粗鬆症の診断基準に従う。
- 関節リウマチでの傍関節性骨粗鬆症:末梢性QCTによる海綿骨部の骨量低下
病因
- 骨粗鬆症のガイドライン2006年より
ガイドライン
[★]
- erratic adj. adj. 軌道の定まらない。一貫性のない、不安定な、不規則な
- bowel motion 腸運動、排便
- fit adj. adj. 体調がよい、健康で
- emaciated adj.
- glisten vi. ぴかぴか光る
- dislodge
- palliative
- erythema multiforme 多形紅斑
- dermatitis herpetiformis 疱疹状皮膚炎
- itch 痒み
- itching
- celiac disease セリアック病
- herpes gestationis 妊娠性疱疹
- 皮膚の水疱
- 83歳 男性
- 主訴:皮膚と口内における多数の水疱
- 現病歴:水疱は2日前より出現。水疱は破れやすく、赤色の有痛性病変が残る。3ヶ月前から5kg体重が減少しており、食欲が減退している。患者は体調の不調を自覚してた。排便習慣が不規則になり、排便にいくらか血液を認めた。
- 既往歴:生来、健康であり、既往なし。
- 生活歴:一人住まい
- 嗜好歴:喫煙・飲酒無し
- 服薬歴:処方薬なし。マルチビタミンタブレットは体調の不調を感じてから薬局で購入している。これ以外て薬を購入していない。
- 身体所見 examination
- 全身:emaciateで調子悪そうである
- 皮膚:全身の皮膚に水疱
- 口内:びらん(sore)あり sore→有痛性のびらん・潰瘍
- 脈拍:102/min、irregularly irregular → 不規則な不整脈 → ( )
- 血圧:160/78 mmHg
- 上記以外、心臓、呼吸器系に異常を認めない。
- 腹部触診:6cmの硬い結節を肝の辺縁に触知。可動性のある硬性の腫瘤を左腸骨窩に触知。
- 直腸診:鮮血色の血液と糞便の混合物が認められる
- 検査 examination
- 低値:Hb, MCV,Alb
- 高値:AlP
- Q1. まず皮膚病変の診断をつけろ。
- Q2. 次に皮膚病変と患者の病態を関連づけてみろ。
- A. 尋常性天疱瘡
- 特徴:表皮内水疱、弛緩性水疱、ニコルスキー現象、口内びらん、
- ・病因:癌腫、リンパ腫、胸腺腫、全身性エリテマトーデス、特定の薬物(ペニシラミン、カプトプリル)などによる
- 治療:ステロイド、免疫抑制薬
- 鑑別疾患
- ・水疱性類天疱瘡:緊満性水疱、水疱は尋常性天疱瘡に比べて破れにくく大型になりやすい。
- ・多形性紅斑:中心に水疱を伴った的形病変(target-shaped lesion with central blisters)。よく全身紅皮症と粘膜潰瘍と伴う(スティーブン・ジョンソン症候群)。病因は単純ヘルペスウイルス、薬剤(スルフォナミド)、悪性腫瘍。
- ・疱疹状皮膚炎:肘、膝、顔面に小水疱病変(vesicular lesion)が形成される。vesicleはblister(<0.5cm)より小さく、ひっかくことで破裂する。非常にかゆい。セリアック病に合併することがある
- ・その他の疾患
- ・糖尿病
- ・妊娠性疱疹
- ・家族性水疱疾患
- まとめ
- ・悪性腫瘍に合併しうる(→腫瘍の存在下で皮膚病変が出現したのであれば腫瘍随伴性天疱瘡と診断されるべき)、
- ・天疱瘡は気づかないうちに体液を喪失し、あるいは水疱からの感染の結果としての敗血症が生命を脅かす。
[★]
- herpetiformis
- 英
- dermatitis herpetiformis, DH
- 同
- ヘルペス状皮膚炎、ジューリング疱疹状皮膚炎 Duhring疱疹状皮膚炎、デューリング病 Duhring disease
- 関
- 表皮下水疱症
要点
病因
病理
- 表皮下水疱
- 真皮上層:浮腫。好酸球浸潤による微小膿瘍(真皮乳頭部好中球微小膿瘍)。
検査
- 蛍光抗体直接法:真皮乳頭部に顆粒状にIgA の沈着
- 末梢血:好酸球増多。抗皮膚自己抗体は検出されない
- HLA-B8と関連
診断
- 多彩な皮疹、強い掻痒などの臨床症状、表皮下水疱、IgA顆粒状沈着、DDSによる症状の改善
- 日本人には本疾患はまれ。
治療
- DDSなどのサルファ剤
- 無グルテン食、抗ヒスタミン薬
鑑別診断
参考
- 画像 - Dermatitis Herpetiformis Picture
- http://hardinmd.lib.uiowa.edu/dermnet/dermatitisherpetiformis30.html
- http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/imagepages/2791.htm
[★]
- 英
- malabsorption syndrome MAS
- 同
- 同化不良症候群 malassimilation syndrome
- 関
- 吸収不全症候群、消化吸収試験
- 腸管からの糖質・脂質・蛋白質・ビタミン・ミネラル・水・電解質等の栄養素の吸収不良によって惹起される種々の臨床症状を呈する症候群の総称。
- 創傷だけあって、幅広い疾患が鑑別となる。
- 原発性のものとしてはセリアック病、熱帯性スプルー、Whipple病、乳糖不耐症があるが稀。
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セリアック病
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熱帯性スプルー
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Whipple病
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乳糖不耐症
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疫学
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白人、特に女性に多い。30-40 歳代に多い
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東南アジアの熱帯に多い
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中高年男性に多い Tropheryma whippleiの慢性感染症
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各年齢(加齢と伴に増加)
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病因
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免疫異常による小腸絨毛の萎縮。HLA-DQ2,DQ8
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小腸粘膜の変化
|
小腸粘膜内マクロファージ浸潤によるリンパ路閉塞。粘膜肥厚。
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酵素(ラクターゼ)活性低下または欠損
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症状
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脂肪便、下痢、体重減少。D-キシロース吸収試験異常
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脂肪便
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脂肪便、体重減少、関節痛、腹痛
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慢性下痢、便は水溶性、酸性(pH5-6)、発酵性。乳糖負荷試験異常
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治療
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無グルテン食
|
抗菌薬(無グルテン食は有効でない)
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抗菌薬
|
無乳糖食、乳糖分解酵素薬(ラクターゼ)
|
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患