英
anti-smooth muscle antibody ASMA
同
平滑筋抗体 smooth muscle antibody
概念
疾患との関連
自己免疫性肝炎 :I型では抗核抗体と抗平滑筋抗体が陽性。IV型では抗平滑筋抗体のみ陽性。50-80%で陽性(LAB.1377)
原発性胆汁性肝硬変 30-50%の症例で陽性(YN.B-42)、50%で陽性(LAB.1377)
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/08/03 09:22:15」(JST)
[Wiki ja表示]
抗平滑筋抗体 (こうへいかつきんこうたい、anti-smooth muscle antibody)は、 平滑筋に対して形成される自己抗体である。 これは通常、 自己免疫性肝炎に関連している。 [1] [2]
自己免疫性肝炎の診断基準には、抗核抗体陽性または抗平滑筋抗体陽性が含まれている[3] 。
これらの抗体は、 アクチン 、 トロポニン 、およびトロポミオシンに対するものである。 [4]
脚注
^ Dawkins, RL; Joske RA (June 1973). “Immunoglobulin deposition in liver of patients with active chronic hepatitis and antibody against smooth muscle”. British Medical Journal 2 (5867): 643–645. doi:10.1136/bmj.2.5867.643. PMC: 1589647. PMID 4577016. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1589647/ .
^ M. Eric Gershwin (2007). Liver immunology: principles and practice . Humana Press. pp. 265–. ISBN 978-1-58829-818-8. https://books.google.com/books?id=ahddq6n6by4C&pg=PA265 2010年10月26日 閲覧。
^ https://www.nanbyou.or.jp/entry/268
^ Kenneth Michael Pollard (2006). Autoantibodies and autoimmunity: molecular mechanisms in health and disease . Wiley-VCH. pp. 293–. ISBN 978-3-527-31141-5. https://books.google.com/books?id=lRsyQV1fiv4C&pg=PA293 2010年10月26日 閲覧。
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
1. 自己免疫性肝炎の概要 overview of autoimmune hepatitis [show details] …range of 1:80 to 1:100 or greater are regarded as positive in adults. Anti-smooth muscle antibodies – Anti-smooth muscle antibodies (ASMA) are more specific than ANA for autoimmune hepatitis, particularly …
2. 原発性硬化性胆管炎:疫学および病因 primary sclerosing cholangitis epidemiology and pathogenesis [show details] …PSC, with titers in the range associated with autoimmune hepatitis. The most common are antismooth muscle antibodies and antinuclear antibodies, which are found in approximately 75 percent of patients .…
3. 成人の臨床検査基準値 laboratory test normal reference ranges in adults [show details]
4. 自己免疫性肝炎の亜型:定義および治療 autoimmune hepatitis variants definitions and treatment [show details] …seronegative for AMA and generally have circulating antinuclear antibodies (ANA) and/or smooth muscle antibodies (SMA). This category has been referred to by a variety of terms, including immune cholangiopathy …
5. アルコール性脂肪性肝炎およびアルコール性肝硬変の臨床症状および診断 clinical manifestations and diagnosis of alcoholic fatty liver disease and alcoholic cirrhosis [show details] …saturation for hemochromatosis; Total IgG or gamma-globulin level, antinuclear antibody, anti-smooth muscle antibody , anti-liver/kidney microsomal-1 (anti-LKM-1) antibodies for autoimmune hepatitis; Clinical …
Japanese Journal
症例報告 小児のPBC-AIH Overlap Syndromeの1例
丸山 馨,庄司 圭介,坂井 貴胤,大久保 総一朗,平野 春伸,今井 径卓,西倉 健
新潟医学会雑誌 = Niigata medical journal 131(6), 369-374, 2017-06
… IgG・抗核抗体・抗平滑筋抗体 (ASMA) 高値を認め, 肝生検では形質細胞および好酸球の浸潤や胆管障害や肉芽腫形成が確認された. …
NAID 120006763285
自己免疫性肝炎と自己抗体 (特集 自己免疫性肝炎up to date) -- (自己免疫性肝炎とは)
坪内 博仁,堀 剛,宇都 浩文
日本耳鼻咽喉科学会会報 120(6), 805-810, 2017
… グロブリンおよび IgG の上昇, 抗核抗体および抗平滑筋抗体 陽性である. …
NAID 130005773928
Related Links
抗平滑筋抗体は自己免疫疾患である 全身性エリテマトーデス (SLE)では陰性であるため,自己免疫性肝炎とSLEでの 肝障害 の鑑別にも用いられる.
抗平滑筋抗体 (antismooth muscle antibody, ASMA) は慢性活動性肝炎,ルポイド肝炎で80~85%, 原発性胆汁性肝硬変で40%程度に高力価で検出される.またルポイド肝炎とSLEとの鑑別診断の上でも重要な免疫学的因子とされている.
・抗平滑筋抗体は、筋蛋白成分の1つであるアクチンに対する自己抗体です。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
48歳の女性。昨年と今年の健康診断にて肝機能障害 を指摘されて来院した。発熱と腹痛とはない。飲酒歴はない。常用している薬剤や栄養機能食品はない。身長 159cm、体重 49kg。体温 36.4℃。脈拍 60/分。血圧 110/62mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 432万、Hb 14.0g/dL、Ht 40%、白血球 3,500、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 101IU/L、ALT 89IU/L、γ-GTP 51IU/L(基準 8~50)、ALP 298IU/L(基準 115~359)、IgG 2,710mg/dL(基準 960~1,960)、IgM 99mg/dL(基準 65~350)。免疫血清学所見:HBs抗原 (-)、HBs抗体 (-)、HBc抗体 (-)、HCV抗体 (-)。
診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A035 ]←[国試_109 ]→[109A037 ]
[★]
56歳の女性。肝機能異常を主訴に来院した。5年前の市の健康診査では肝機能異常は指摘されなかったが、1か月前の検査ではALTの軽度上昇とγ-GTPの上昇とを指摘された。輸血歴と薬物服用歴とはない。飲酒歴は機会飲酒。手掌紅斑とくも状血管腫とは認めない。、右肋骨弓下に肝は触知しない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.6 g/dl、Ht36%、血小板24万。血清生化学所見:総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.3g/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST48単位(基準40以下)、ALT65単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ846単位(基準260以下)、γ-GTP326単位(基準8~50)。HBs抗原(-)、HCV抗体(-)。腹部超音波検査とMRCP(磁気共鳴胆管膵管像)とに異常を認めない。診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D027 ]←[国試_098 ]→[098D029 ]
[★]
56歳の女性。皮膚そう痒感を主訴に来院した。3年前の健康診断で肝機能異常を指摘されたが放置していた。輸血歴と服薬歴とはない。飲酒歴は機会飲酒。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球340万、Hb 11.6 g/dl、血小板14万。血液生化学所見: 総蛋白7.7 g/dl、アルブミン4.2 g/dl、総ビリルビン1.8 mg/dl、AST 56IU/l、ALT 65 IU/l、ALP 935 IU/l (基準 115~359)、γ-GTP 616 IU/l (基準8~50)。免疫学所見:HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。肝生検組織のH-E染色標本を以下に示す。
診断に最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I076 ]←[国試_103 ]→[103I078 ]
[★]
34歳の女性。昨年受けた人間ドックで「リウマチの反応が出ている」と言われたが、自覚症状がなかったため精密検査は受けていなかった。近々結婚の予定で挙児を希望しているため、人間ドックでの指摘事項が気になり来院した。現在はドライアイのため眼科で点眼薬による治療を受けている。また、う歯のために頻繁に歯科を受診している。舌の写真(別冊No. 22)を別に示す。
診断に有用な自己抗体はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D044 ]←[国試_112 ]→[112D046 ]
[★]
45歳の女性。会社の健康診断で2年連続して肝障害を指摘され来院した。飲酒はしない。身長158cm、体重46kg。腹部所見に異常はなく、肝も触知しない。血清生化学所見:空腹時血糖86mg/dl、総蛋白7.6g/dl、ZTT19.2単位(基準4.0~14.5)、AST62単位、ALT106単位、ALP200単位(基準260以下)、γ-GTP35単位(基準8~50)。
診断に有用な自己抗体はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F028 ]←[国試_100 ]→[100F030 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D068 ]←[国試_099 ]→[099D070 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E033 ]←[国試_099 ]→[099E035 ]
[★]
英
primary biliary cholangitis
同
原発性胆汁性肝硬変
first aid step1 2006 p.280
2009/7/16 III 消化器
まとめ
肝内の小葉間胆管 が組織的に慢性非可能性破壊性胆管炎により障害され、肝内に胆汁うっ滞をきたしてうっ血性肝障害を起こす疾患である。発症は中年以降の女性に好発する。またHLA-DR8 と関連があるらしい。初期症状は皮膚掻痒感であり、黄疸を示さない無症候性PBCがほとんどである。疾患の進行により、黄疸、全身倦怠感が出現、やがて肝硬変、さらに非代償性の肝硬変に陥り、腹水、門脈圧亢進症などを呈する。病理学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎が特徴的であり、門脈域周囲にリンパ球の浸潤、非乾酪性壊死を認める。血清学的には抗ミトコンドリア抗体(M2抗体)が疾患特異的に出現し、抗平滑筋抗体も50%弱の症例で陽性となり、またIgMの上昇が認められる。その他血液検査は胆汁うっ滞による肝障害に特徴的な異常がみられる。合併症として、シェーグレン症候群が多く、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、強皮症(あるいはCREST症候群)の合併もありうる。治療は対症療法的にウルソデオキシコール酸、ベサフィブラートを用い、肝障害が末期的になれば肝移植の適応となる。
概念
特定疾患 治療研究対象疾患
肝内の中等大小葉間胆管 ないし隔壁胆管が障害される原因不明の慢性肝内胆汁うっ滞症 。
慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)による慢性の肝内胆汁うっ滞を来す疾患(YN.)。
初発症状は皮膚掻痒感。
末期になると肝硬変像を示す。 → 門脈圧亢進症
血清学的には抗ミトコンドリア抗体 (IgM)が特徴的だが、胆管障害機序は不明。 → 自己免疫機序?
胆汁うっ滞に基づく症状を呈さないPBCを無症候性PBC、症状を呈すものを症候性PBCという。
疫学
発症年齢は40から60歳代に集中。約90%は女性。 → 中年以降の女性に好発
YN.
有病率:3-4人/10万人。欧米より低いと推定されている。
40-60歳の女性。女性が90%
病型と症状
初発症状:皮膚掻痒 が最も多い。門脈圧亢進症に基く消化管出血が初発症状の場合がある。
無症候性PBC:皮膚掻痒感、黄疸など症状を欠く。新規症例の2!3
症候性PBC-S1:倦怠感、掻痒感
症候性PBC-S2:非代償性。黄疸,腹水
病理
[show details]
病理所見
胆管上皮の増殖性変化,胆管上皮細胞の壊死, 胞体の腫大や好酸性変化
基底膜の破壊、核の非偏在化、核の重層化、門脈域にリンパ球、形質細胞が浸潤
門脈域主体の炎症細胞浸潤
小葉内胆管の障害像
非乾酪性類上皮肉芽腫
好酸球
病態
自己免疫機序によると思われる胆管の傷害 → 胆汁うっ滞 → 肝細胞傷害および線維化 → 門脈圧亢進症 → 肝硬変
肝内の中等大小葉間胆管 ないし隔壁胆管が障害されることによる肝内性胆汁うっ滞 ← これは「肝内胆管が拡張しない」ことの説明になるの?(QB.B-339)
症状(YN., HIM.chapter 302)
初発症状:皮膚掻痒感(診断された症例の50%に見られる)、皮膚黄色腫
疲労感:肝臓の状態や年齢にそぐわないようなひどい疲労感
黄疸
身体所見
門脈圧亢進症に基づく症状:肝腫大、脾腫大、腹水、浮腫
原発性胆汁性肝硬変に特有:色素沈着(皮膚を掻爬するため)、黄色腫・眼瞼周囲の黄色腫(高脂血症による)
合併症
YN.
検査(YN.)
血液一般
赤血球、白血球、血小板:減少 → 門脈圧亢進症による脾腫が原因
生化学 - 脂質
生化学 - 銅
血清Cu:上昇、尿中Cu:上昇、肝組織内銅含有量:上昇
血清セルロプラスミン:上昇
肝障害
胆汁
胆汁うっ滞の所見が特徴的。ただし総ビリルピンの上昇は末期
免疫血清学
抗ミトコンドリア抗体 (AMA ):陽性。臓器特異性はない ← 90%の患者で陽性。PBCに特異的。
M2抗体 :PBCに特異的。 AMA陰性患者でもほとんどの場合M2抗体が陽性。
M2の主要対応抗原はミトコンドリア内膜のpyruvate dehydrogenase (PDH) E2 component。
抗PDH抗体 :陽性。抗PDH-E2抗体と反応する分子がPBCの胆管上皮に高濃度に存在。
IgM:上昇:70%の症例 ← PBCではIgM産生能が高まったB細胞が末梢血中に存在する。PBCの発症機序との関連が示唆されている。(参考3)
ANA、抗平滑筋抗体は50%の症例で陽性
AMA陽性 + ANA陽性 = オーバーパップ症候群
AMAのターゲット(HIM.chapter.302)
これらの抗原に対する自己抗体は病態形成には関与していないが、疾患のマーカーとなる。
pyruvate dehydrogenase complex
branched chain-2-oxoacid dehydrogenase complex
2-oxogluterate dehydrogenase complex
超音波検査・CT・MRI
診断
臨床症状、血清学的検査、エコー、CTで疑い、肝生検による組織診で確定診断する。
ALP、γ-GTP → エコーで胆道閉塞性疾患を否定 → AMA、IgM検査 → 肝生検
AMA陰性の場合は肝生検が決め手
参考2より抜粋
次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する。
1. 組織学的にCNSDCを認め,検査所見がPBCとして矛盾しないもの。
2. AMAが陽性で,組織学的にはCNSDCの所見を認めないが,PBCに矛盾しない組織像を示すもの。
3. 組織学的検索の機会はないが,AMAが陽性で,しかも臨床像及び経過からPBCと考えられるもの。
鑑別診断
1期: florid duct lesion - 無症候性
慢性非化膿性破壊性胆管炎 (CNSDC )といわれる所見、すなわち、胆管上皮細胞の変性、壊死、脱落 と、胆管周囲へのリンパ球、形質細胞の浸潤 。
2期: ductular prliferation - 無症候性
細胆管の増生 と門脈域より肝実質へのリンパ球浸潤。
架橋壊死と線維性隔壁 を伴った瘢痕。
肝硬変
予後
黄疸が出現したら肝臓の予後は不良 → つまり進行性
無症候性PBCの予後はおおむね良好、15-20年間経過観察された無症候性PBCの約10%が症候性PBC(黄疸あり)へ移行
症候性PBCの5年生存率は約40%、総ビリルビン>2.0mg/mlで数年以内に腹水貯留などの肝不全の徴候があらわれてくることが多い
冶瞭
UDCA (ウルソデオキシコール酸)、ベサフィブラート、肝移植(scheuer stage IV)
薬物療法
ウルソデオキシコール酸:胆汁排泄を促進して胆道系酵素を低下させる。 → 病態の進行を遅らせるだけに過ぎない
臓器移植
進行例に対して肝移植を施行
肝移植: 1年生存率 75-90%、 5年生存率 75-85%
再発は20-30%(確診), 28-90%(compartible)
禁忌
ステロイド:骨粗鬆症の増悪を招くため! → 自己免疫性肝炎ではステロイドを使用(よく反応するらしい)。 PBCに対するステロイド療法は症状緩和のみで根治できず、長期投与が必要になるということか???
合併症
鑑別診断
他疾患との比較
PBCとPSCの比較
Table 16-7. Main Features of Primary Biliary Cirrhosis and Primary Sclerosing Cholangitis
Parameter
primary biliary cirrhosis
primary sclerosing cholangitis
Age
Median age 50 years (30-70)
Median age 30 years
Gender
90% female
70% male
Clinical course
Progressive
Unpredictable but progressive
Associated conditions
Sjogren syndrome (70%)
inflammatory bowel disease (70%)
scleroderma (5%)
pancreatitis (≦25%)
thyroid disease (20%)
idiopathic fibrosing disease (retroperitoneal fibrosis )
Serology
95% AMA positive
0% to 5% AMA positive (low titer)
20% ANA positive
6% ANA positive
60% ANCA positive
82% ANCA positive
Radiology
normal
strictures and beading of large bile ducts; pruning of smaller ducts
duct lesion
florid duct lesion; loss of small ducts
concentric periductal fibrosis; loss of small ducts
自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変
症例
52歳女性。3ヶ月前から皮膚の掻痒感と軽度の黄疸が出現したため来院した。抗ミトコンドリア抗体が陽性である。
参考
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/029_i.htm
http://www.nanbyou.or.jp/pdf/029_s.pdf
3. [charged] Pathogenesis of primary biliary cirrhosis - uptodate [1]
国試
[★]
英
autoimmune hepatitis AIHA , AIH
関
類狼瘡肝炎 (ルポイド肝炎 )、難病
まとめ
中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
LAB.894
II型は抗LKM-1抗体 の存在で特徴づけられる
IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
AST, ALT:高値
γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
抗核抗体:I型で陽性
抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
抗LKM-1抗体:II型で陽性
抗SLA抗体:III型で陽性
肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
参考3
診断
病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
副腎皮質ステロイドが著効する
ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
インターフェロン は自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌 :ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [2]
2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
英
antinuclear antibody ANA , anti nuclear antibodies ANAs
関
SLE 、自己抗体
検査法:HEp-2細胞を器質に用いる。
頻度についてはsee REU.14
正常値:40倍以下(REU.13)
高齢者では80,160倍と言った値が見られることがある。
20-60歳の健常人を調べた検査で、40倍での陽性率30%、80倍は13%、160倍は3%。
参考1
参考
http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/otherdata/127-P77-0361.html
[★]
抗平滑筋抗体 anti-smooth muscle antibody
[★]
英
smooth muscle (K)
関
横紋筋 (骨格筋 、心筋 )
概念
平滑筋の構造 SP.125
紡錘型
直径:数μm, 長さ:数百μm
単一の核が中央部に存在
Ca2+を貯蔵する筋小胞体を有する
ギャップ結合 を有する
アクチンが束を造り細胞膜に付着
活動電位を発生する興奮性の平滑筋細胞 :消化管、門脈、膀胱、尿管、輸精管、子宮など
活動電位を発生しない興奮性の平滑筋細胞:大動脈、気管
チャネル
膜電位依存性:Ca2+チャネル、Na+チャネル、K+チャネル
Ca2+依存性:K+チャネル
細胞に対する直接の機械刺激、とりわけ伸展刺激によっても脱分極する。
平滑筋の筋収縮
収縮のモード:膜電位依存性、膜電位非依存性
A. 膜電位依存性
1) 機械受容チャネル or 受容体共役型チャネルを介して脱分極
2) L型膜電位依存性Ca2+チャネルによりCa2+流入
3) Ca2+流入がリアノジン受容体を活性化して筋小胞体からCa2+放出
4) 筋収縮
1) 7回膜貫通型受容体(Gq )を介してホスホリパーゼCβ (PLCβ )が活性化
2) ホスホリパーゼCβによりIP3 が産生される
3) 筋小胞体上のIP3受容体に結合して、細胞内にCa2+が放出される
平滑筋の収縮制御
平滑筋ミオシンのリン酸化によりミオシンとアクチンが結合 (⇔横紋筋ではアクチンフィラメント上にトロポニン(Ca2+依存的にミオシンの結合を許容するように制御)とトロポミオシン(ミオシンの結合を阻害)
平滑筋ミオシン(重鎖(229kDa)x2 + 20kDa軽鎖(リン酸化の制御を受ける) x2+ 17kDa軽鎖 x2)はミオシン軽鎖キナーゼによってリン酸化を受ける。ミオシン軽鎖キナーゼはCa2++カルモジュリン依存的にリン酸化を行う。
軽鎖ミオシンとカルモジュリン
cAMP
平滑筋のミオシンはミオシン軽鎖キナーゼによりリン酸化を受け、アクチンと相互作用できるようになり筋収縮が起こる。ミオシン軽鎖キナーゼは単独では不活性であり、Ca2+・カルモジュリン複合体の存在下で活性型となる。ミオシン軽鎖キナーゼはcAMP依存性キナーゼによりリン酸化を受けるとCa2+・カルモジュリン複合体との親和性が低下する。すなわち、細胞内cAMP濃度が上昇すると細胞内Ca2+が上昇しても筋収縮せずに弛緩したままとなる。これがβ2受容体作動薬→Gsα↑→[cAMP]i↑により平滑筋弛緩をもたらすメカニズムである。(HBC)
アセチルコリンによる血管平滑筋の弛緩
アセチルコリン→血管内皮細胞の受容体に作用→phosphoinositide cycleの作動→inositol triphosphate↑→細胞内Ca2+↑→endothelium-derived relaxing factor(EDRF)の放出-(diffuse into the adjacent smooth muscle)→EDRFが可溶性のguanylyl cyclaseを活性化→細胞内cGMP↑→cGMP依存性蛋白キナーゼ→muscle proteinをリン酸化→筋弛緩
[★]
英
antibody , Ab
関
γ-globline、免疫グロブリン
抗原を特異的に認識する糖蛋白質である免疫グロブリンの一種。
血液・リンパ液中で抗原と非結合状態のものを指す
液性免疫 に関与
[★]
英
body
ラ
corpus 、corpora
関
肉体 、身体 、本体 、コーパス 、ボディー