- 英
- interferon interferons IFN
- 商
- オーアイエフ、IFNβモチダ、アドバフェロン、アボネックス、イムノマックス-γ、イントロンA、スミフェロン、フエロン、ベタフェロン、ペガシス、ペグイントロン
概念
- サイトカインの一種で抗ウイルス作用、免疫修飾作用、抗増殖活性を有する。(GOO.1261)
種類
- ウイルスに感染して誘導され、強い抗ウイルス作用を有する
- 非ウイルス誘導性
表(SMB.426)
各インターフェロンについて
- GOO.1261
- ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 意義:ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 産生細胞:ほとんど全ての細胞
- 産生のトリガー:二本鎖RNA、ある種のサイトカイン(IL-1, IL-2, TNF)
- 作用:抗ウイルス作用、抗増殖作用:(1) リンパ球、NK細胞、およびマクロファージの細胞障害作用の亢進、(2) MHC class Iの発現の亢進作用 ← 抗ウイルス活性
- 意義:マクロファージの活性化
- 産生細胞:T細胞、NK細胞、マクロファージのみ!
- 産生のトリガー:抗原刺激、mitogen、特定のサイトカイン
- 作用:抗ウイルス作用は弱い。強力な免疫調整作用:(1) マクロファージの強力な活性化、(2) MHC class IIの発現の亢進、(3) 局所炎症反応の仲介(madiation)
インターフェロンの抗ウイルス作用
- インターフェロンをシグナルとして受け取った細胞は以下の物質を産生して抗ウイルス作用を発揮する。
適応
副作用
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/28 23:51:28」(JST)
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インターフェロン(英: Interferon、略号:IFN)とは動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質のこと。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種である。
医薬品としては、ウイルス性肝炎等の抗ウイルス薬として、多発性骨髄腫等の抗がん剤として用いられている。
目次
- 1 歴史
- 2 種類
- 2.1 IFN typeⅠ
- 2.2 IFN typeⅡ
- 2.3 IFN typeⅢ
- 3 作用機序
- 4 医薬品
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
歴史[編集]
1954年に、伝染病研究所所長(当時)の長野泰一と小島保彦が「ウイルス干渉因子」として発見し報告した。1957年には、イギリスのアリック・アイザックス(Alick Isaacs)たちもウイルス増殖を非特異的に(抗体ではない)抑制する因子として確認し、ウイルス干渉(Interference)因子という意味で「Interferon(インターフェロン)」と命名した。 1980年頃に、インターフェロンが悪性腫瘍に効果があることが発見され、抗がん剤として発展していった。
種類[編集]
ヒトでは大きく分けて3つのタイプがある。
IFN typeⅠ[編集]
多くの場合「インターフェロン」というとIFN typeⅠ(I型インターフェロン)を指す。IFN typeⅠには以下が知られている。
- IFN-α:13種類(1,2,4,5,6,7,8,10,13,14,16,17,21)
- IFN-β:1種類 - IFN-β1(※IFN-β2=IL-6)
- IFN-ω:1種類 - IFN-ω1
- IFN-ε:1種類 - IFN-ε1
- IFN-κ:1種類 - IFN-κ
相同な分子が哺乳類のほか鳥類、爬虫類、魚類で見つかっている。これらに加えマウスでリミチン(LimitinまたはIFN-ζ)、ウシなどでIFN-τ、ブタでIFN-δが見つかっている。タイプIインターフェロンはすべてIFNAR(IFNAR1とIFNAR2に分けられる)という細胞表面の特異的な受容体複合体に結合する。
IFN typeⅡ[編集]
IFN-γのみからなる。成熟したIFNγは反対向きに結合したホモ二量体でIFNγ受容体複合体(IFNGR:サブユニットIFNGR1とIFNGR2の1個ずつからなる)に結合する。
IFN typeⅢ[編集]
IFN-λで3つのアイソフォーム(IFN-λ1、IFN-λ2、IFN-λ3)からなる。これらは発見当初インターロイキンIL28A、IL28B、IL29としても命名された。
作用機序[編集]
ウイルスの感染や2本鎖RNAなどによって直接誘導されることが知られている。これらの細胞外での受容体としてはToll様受容体(TLR)でその中でもエンドソームに存在するTLR3、TLR7、TLR9である。また、細胞内に存在する受容体としてはRIG-I、MDA-5が関与し、これらがI型インターフェロンの発現を高めると考えられる。また体内にいろいろな抗原が侵入したときそれに反応してIL-1、IL-2、IL-12、TNF、CSFなどのサイトカインが産生される。インターフェロンの産生はこれらのサイトカインによっても誘導される。
インターフェロンにより調節される細胞内シグナル伝達経路の代表的なものとしてはJAK-STAT経路が知られるが、それ以外の経路も関与していると考えられる。
インターフェロンαとβはリンパ球(T細胞、B細胞)、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞、骨芽細胞など多くのタイプの細胞で産生され特に抗ウイルス応答の重要な要素である。インターフェロンαとβはマクロファージとNK細胞をともに刺激し、腫瘍細胞に対しても直接的に増殖抑制作用を示す。
インターフェロンγは活性化されたT細胞で産生され免疫系と炎症反応に対して調節作用を有する。IFN-γにも抗ウイルス作用と抗腫瘍作用があるが弱く、その代わりIFN-αとβの効果を増強する作用がある。IFN-γは腫瘍のある局所で働く必要があり、がん治療への有効性は低い。IFN-γはTh1細胞からも分泌され、白血球を感染局所にリクルートして炎症を強化する作用がある。またマクロファージを刺激して細菌を貪食殺菌させる。Th1細胞から分泌されたIFN-γはTh2反応を調節する作用でも重要である。免疫応答の調節にも関わっており、過剰な産生は自己免疫疾患につながる可能性がある。IFN-ωは白血球からウイルス感染または腫瘍の局所で分泌される。
医薬品[編集]
インターフェロンはかつては希少で高価だったが、遺伝子操作により細菌や培養細胞での大量生産が可能になった。現在医薬品として多くのインターフェロンが承認され、B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎、またいくつかの腫瘍の治療や白血病の治療に用いられている。
種類[編集]
-
- スミフェロン®:腎癌・多発性骨髄腫・慢性骨髄性白血病・ヘアリー細胞白血病・亜急性硬化性全脳炎・HTLV-1脊髄症・B型肝炎・C型肝炎
- オーアイエフ®:慢性骨髄性白血病・B型肝炎・C型肝炎
-
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-
-
- IFN®:膠芽腫・髄芽腫・星細胞腫・悪性黒色腫・亜急性硬化性全脳炎・B型肝炎・C型肝炎
- フエロン®:膠芽腫・髄芽腫・星細胞腫・悪性黒色腫・亜急性硬化性全脳炎・B型肝炎・C型肝炎
-
-
-
-
副作用[編集]
副作用としては発熱、だるさ、疲労、頭痛、筋肉痛、けいれんなどのインフルエンザ様症状、また投与部位の紅斑、痛み、痒みが多い。まれに脱毛、蛋白尿、めまいや抑鬱もある。
多くの症状は可逆的で治療終了後数日で回復する。しかし重篤なものとして間質性肺炎・抑鬱による自殺がある。また、小柴胡湯との併用で間質性肺炎が起こりやすいので併用は禁忌である。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 曽根田正己、インターフェロン - Yahoo!百科事典
- インターフェロン療法 - 肝炎情報センター
学術団体[編集]
抗DNAウイルス薬(ATCコード:J05、S01AD、D06BB) |
|
Baltimore I |
ヘルペスウイルス
|
DNA合成
阻害剤
|
TK活性型
|
プリン誘導体
|
グアニン(アシクロビル#/バラシクロビル、ガンシクロビル/バルガンシクロビル、ペンシクロビル/ファムシクロビル)
アデニン(ビダラビン、シタラビン)
|
|
ピリミジン誘導体
|
ウリジン(イドクスウリジン、トリフルリジン、エドクスウジン)
チミン(ブリブジン)
|
|
|
TK不活性型
|
ホスカルネット
|
|
|
その他
|
ドコサノール · 初期タンパク質(ホミビルセン) · トロマンタジン
|
|
|
HPV/MC
|
イミキモド/レシキモド · ポドフィロトキシン
|
|
ワクシニア
|
会合阻害: リファンピシン
|
|
ポックスウイルス
|
メチサゾン
|
|
|
B型肝炎 (VII) |
ヌクレオシド誘導体/NARTI: エンテカビル · ラミブジン · テルビブジン · クレブジン
ヌクレオシド誘導体/NtRTI: アデホビル · テノホビル
|
|
Multiple/general |
核酸阻害剤
|
シドホビル
|
|
インターフェロン
|
インターフェロンα-2b · ペグインターフェロンα-2a
|
|
複合/不明
|
リバビリン#/タリバビン†
|
|
ErbB2/PI3K経路
|
NOV-205§ · NOV-002†
|
|
|
#WHO-EM. ‡市場から撤退。治験: †第III相。§第II相以下 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 急性・慢性肝炎 (特集 小児の消化器疾患 : 症候から最新の治療まで) -- (知っておくべき消化器疾患の最新治療)
- 脊髄長大病変を有し抗アクアポリン-4抗体陰性の小児多発性硬化症の一例
- 鈴木 恵子/富沢 尚子/新井 麻子/上田 哲/梅津 亮二/杉原 茂孝
- 東京女子医科大学雑誌 83(E1), E331-E335, 2013-01-31
- 抗アクアポリン-4 (aquaporin-4: AQP4) 抗体は,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica;NMO),および日本人において臨床像がNMOと一致し,3椎体以上の脊髄長大病変(long spinal cord lesion;LSCL)を持つ,視神経脊髄型の多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)に対する診断マーカーとして注目されている.症例は15歳の女 …
- NAID 110009559427
- 上眼瞼血管腫の増大により片眼視野が完全遮蔽された1例
- 関 亜希子/坂内 優子/平野 嘉子/伊藤 進/舟塚 真/篠崎 和美/林 伸和/大久保 麗/大澤 眞木子
- 東京女子医科大学雑誌 83(E1), E353-E357, 2013-01-31
- 乳児血管腫は小児期で最も高頻度の良性腫瘍であり、30%の症例で出生時に認められ、その多くは出生後の数週間以内に出現し生後6〜12カ月までは病変は少しずつ増大し(増殖期)、その後、増大は停止する。増大の程度は病変により様々だがその後数年間で病変は縮小傾向を示す(消退期)。最終的に消退するのは5~12歳頃である。男女比は1:3、未熟児にやや多いとされる。苺状血管腫は自然消退が期待できる為、苺状血管腫と …
- NAID 110009559409
- 小峯 真紀/平野 浩一/井沢 正博/秦 順一/新井 一/佐藤 潔/田口 信行/大澤 真木子
- 東京女子医科大学雑誌 83(E1), E346-E352, 2013-01-31
- 脳軟膜原発悪性黒色腫を伴った神経皮膚症候群の小児例を経験した。診断には髄液細胞診と脳外科手術時の脳所見が有用であった。治療として経静脈的抗腫瘍薬に加えて、インターフェロンβの脳室内投与が有効であったが、インターフェロン脳症と思われる副作用のため中断後、急速に頭蓋内腫瘍病変の悪化を認め、発症から9ヶ月で不幸な転機をとった。インターフェロンの投与継続の余地がなかったのか、今後の症例での検討が望まれる。
- NAID 110009559365
Related Links
- C型慢性肝炎はインターフェロン療法が最も有効な治療です。副作用や治療費助成など現状を説明します。 ... インターフェロン療法の副作用と現状 C型慢性肝炎のインターフェロン療法とその副作用について説明します。
- 世界大百科事典 第2版 インターフェロンの用語解説 - IFまたはIFNと略記する。1954年,長野泰一,小島保彦によって,動物細胞が産生する物質でウイルスの増殖を阻止する物質として発見され,〈ウイルス抑制因子〉と名づけられた。
- *しだいに軽快する **治療終了後、回復する このほか、臨床検査値の異常として、白血球や血小板の減少、尿たんぱく陽性などがみられる。 間質性肺炎の症状に注意 インターフェロン投与により、まれに間質性肺炎が現れることが ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イムノマックス-γ注300
組成
成分・含量(1瓶中)
- インターフェロン ガンマ-1a(遺伝子組換え)
300万国内標準単位(JRU)
添加物
- L-システイン塩酸塩水和物 0.44mg
マルトース水和物 52.6mg
マクロゴール4000 2.0mg
リン酸二水素ナトリウム,リン酸水素ナトリウム水和物
禁忌
本剤又は他のインターフェロン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ワクチン等生物学的製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
腎癌
- 生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,1法又は2法により点滴静注する。
- 1法:連日投与
- 通常,成人には1日1回200万〜300万国内標準単位/m2(体表面積)を連日投与する。
- 2法:間欠投与
- 通常,成人には1日1回1000万国内標準単位/m2(体表面積)を5日間連日投与し,9日間休薬する。これを2回繰り返す。
- その後,1日1回1000万国内標準単位/m2(体表面積)を隔日3回投与し,9日間休薬する。これを2回以上繰り返す。
- なお,年齢,症状により適宜増減する。
-
参考:注射液の調製方法
1瓶あたり,添付の日局注射用水1mLをゆっくり加え,激しい振盪を避けて溶解する。(「適用上の注意」の項参照)
慎重投与
間欠投与又は一時中止し,再投与する場合
薬物過敏症の既往歴のある患者
アレルギー素因のある患者
心疾患又はその既往歴のある患者[心疾患が悪化することがある。]
重篤な肝障害又は腎障害のある患者[症状が悪化することがある。]
高度の白血球減少又は血小板減少のある患者[白血球減少又は血小板減少が更に悪化することがある。]
精神神経障害又はその既往歴のある患者[症状が悪化することがある。]
自己免疫疾患又はその素因のある患者[症状が悪化又は顕性化することがある。]
重大な副作用
間質性肺炎(0.1〜1%未満):間質性肺炎があらわれることがあるので,患者の状態に十分注意し,発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等適切な処置を行うこと。また,咳嗽,呼吸困難等があらわれた場合には直ちに連絡するよう患者に対し注意を与えること。
ショック(頻度不明):ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
重篤なうつ状態(0.1〜1%未満):重篤なうつ状態があらわれることがあるので,患者の精神状態に十分注意し,不眠,不安,焦燥等があらわれた場合には投与を中止するなど,投与継続の可否について慎重に検討すること。また,投与にあたってはこれら精神神経症状発現の可能性について患者及びその家族に十分理解させ,不眠,不安等があらわれた場合には直ちに連絡するよう注意を与えること。
なお,類薬(インターフェロン-α,β製剤)で,自殺企図,躁状態,攻撃的行動の症例が報告されている。
急性腎不全(頻度不明):急性腎不全を起こすことがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
心不全(0.1〜1%未満):心不全を起こすことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
白血球減少,血小板減少(5%以上),汎血球減少(頻度不明):これらの副作用があらわれることがあるので,定期的に血液学的検査を行い,治療の継続が困難と認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
自己免疫現象(頻度不明):自己免疫現象によると思われる症状・徴候(肝炎,潰瘍性大腸炎の悪化等)があらわれることがあるので,自己免疫性疾患の患者又はその素因のある患者には慎重に投与すること。
糖尿病(頻度不明):糖尿病が増悪又は発症することがあるので,定期的に検査(血糖値,尿糖等)を行い,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍効果(in vitro)
- ヒト腎癌由来細胞(Caki-1,A-498)に対して,インターフェロン アルファ,ベータよりも強い細胞増殖抑制作用を示した11)。
抗腫瘍効果(in vivo)
- ヌードマウスに移植したヒト腎癌由来細胞(A-498)に対して,有意な細胞増殖抑制作用を示した12)。
BRM作用
- 腫瘍細胞に直接作用し細胞増殖を抑制する作用と共にヒト末梢血リンパ球に作用してNK細胞活性の増強作用,抗体依存性細胞障害活性の増強作用,マクロファージの活性化等の免疫反応を介した間接的な腫瘍細胞傷害作用が報告されている13),14)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:インターフェロン ガンマ-1a(遺伝子組換え)(JAN)
Interferon Gamma-1a(Genetical Recombination)
略号:IFN-γ-1a
分子式:C761H1206N214O225S6
分子量:17145.41
化学構造式:アミノ酸146個からなるポリペプチドである。
性状:原液は無色の液で,澄明か又はわずかに濁りを認める。
★リンクテーブル★
[★]
- 35歳の男性。黄疸を主訴に来院した。1週間前から全身倦怠感を自覚していたが、2日前に家族から眼の黄染を指摘されたため受診した。1か月前にシカ肉を焼いて食べたが一部生焼けであったという。意識は清明。身長 174cm、体重 70kg。体温 36.5℃。脈拍 76/分、整。血圧 128/76mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。肝を右季肋部に2cm触知する。脾を触知しない。血液所見:赤血球 451万、Hb 13.8g/dL、Ht 44%、白血球 4,600、血小板 21万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dL、アルブミン 4.3g/dL、総ビリルビン 4.5mg/dL、直接ビリルビン 2.2mg/dL、AST 406U/L、ALT 498U/L、LD 426U/L(基準 176~353)、ALP 486U/L(基準 115~359)、γ-GTP 134U/L(基準 8~50)。免疫血清学所見:CRP 1.0mg/dL、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。腹部超音波検査で肝は腫大し胆嚢は萎縮しているが、胆管の拡張はみられない。
- 対応として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112B033]←[国試_112]→[112B035]
[★]
- 62歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。6か月前に腹部造影CTで異常を認めたため右腎摘出術を受けた。術前の胸部CTでは異常を認めなかった。1か月前から時々せき込むことがあり心配になり受診した。心音と呼吸音とに異常を認めない。身長175cm、体重72kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。血液所見:赤血球420万、Hb 13.4g/dl、Ht41%、白血球7,500、血小板18万。CRP 0.1mg/dl。胸部単純CTで両肺に複数の腫瘤陰影を認める。右腎摘出前の腹部造影CT(別冊No.28)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I077]←[国試_107]→[107I079]
[★]
- 41歳の男性。1週前から続く易疲労感と鼻出血とを訴えて来院した。
- 眼瞼結膜と口腔粘膜とに貧血を認め、歯肉にも出血を認める。腹部は平坦で肝・肺を触知しない。
- 体温37.6℃。脈拍88/分、整。血圧124/72mmHg。
- 血液所見:赤血球210万、Hb7.1g/dl、Ht23%、網赤血球2‰、白血球2,300、血小板2万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン4.2g/dl、総ビリルビン1.1mg/dl、AST25単位(基準40以下)、ALT19単位(基準35以下)、LDH680単位(基準176~353)。
- 骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 適切な治療法はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D032]←[国試_098]→[098D034]
[★]
- 17歳の男子。全身倦怠感を主訴に来院した。身長168cm、体重54kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧110/70mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を4cm触知する。脾は触知しない。血液所見:赤血球380万、Hb11.2g/dl、白血球5,600、血小板18万。血清生化学所見:AST120IU/l、ALT265IU/l、LDH420IU/l(基準176~353)、Cu30μg/dl(基準68~128)、セルロプラスミン5.1mg/dl(基準21~37)。免疫学所見:CRP0.1mg/dl、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。尿中Cu排泄量500μg/日(基準100以下)。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G051]←[国試_101]→[101G053]
[★]
- 47歳の男性。健康診断で肝機能異常を指摘され来院した。32歳時に輸血歴があるが明らかな急性肝炎の既往はない。腹部は平坦、軟で、肝・肺を触知しない。血清生化学所見:AST75単位、ALT126単位。免疫学所見:HBs抗原陰性、HCV抗体陽性、HCV-RNA240KIU/ml、HCVセロタイプグループ1、抗核抗体陰性。腹部超音波検査では肝辺縁は鋭、表面平滑で占拠性病変はなく、脾腫を認めない。治療薬として適切なのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099A026]←[国試_099]→[099A028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095C041]←[国試_095]→[095C043]
[★]
- 51歳の女性。左腎細胞癌に対して根治的左腎摘除術を受けている。術後10か月で、両肺に径1cm未満の肺転移が複数出現した。肺転移に対して、まず行うべき治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C049]←[国試_113]→[113C051]
[★]
- 24歳の男性。臨床研修医。 HIV感染者の採血で用いた針を誤って自分の指に刺した。同部位に出血はない。既往歴に特記すべきことはない。
- 投与が推奨されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A035]←[国試_108]→[108A037]
[★]
- 30歳の男性。一昨日、仕事中に木の枝が左眼に当たり、昨夕から左眼の異物感と眼痛とが増強したため来院した。角膜中央部に潰瘍を認める。最も適切な治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A007]←[国試_096]→[096A009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103A012]←[国試_103]→[103A014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B011]←[国試_101]→[101B013]
[★]
- a. 血小板 8万
- b. ALT 80IU/l
- c. 総コレステロール 110mg/dl
- d. ウイルス遺伝子型 2型
- e. 肝線維化ステージ F4
[正答]
※国試ナビ4※ [101F032]←[国試_101]→[101F034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109I016]←[国試_109]→[109I018]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097H067]←[国試_097]→[097H069]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111I033]←[国試_111]→[111I035]
[★]
[★]
- 英
- hepatitis B virus, HBV, hepatitis virus B
- 関
- ウイルス、肝炎、B型肝炎、肝炎ウイルス
ウイルス学
抗原&および抗体
HBs抗原
|
HBsAg
|
表面抗原である。HBs抗原(+)はウイルスが体内に存在することを示す。
|
抗HBs抗体
|
anti-HBs
|
中和抗体である。抗HBs抗体(+)は過去にHBVに感染して治癒しているか、HBVワクチンを接種されているかをしめす。
|
HBc抗原
|
HBcAg
|
HBVを構成するタンパク質であるが、キャプシド内のタンパク質である。
|
抗HBc抗体-IgM
|
IgM anti-HBc
|
感染初期に現れ、数ヶ月後に消える。急性肝炎の診断に使用される。
|
抗HBc抗体-IgG
|
IgG anti-HBc
|
抗HBc抗体-IgMに少し遅れて現れ、ほぼ生涯にわたって血中に存在する。過去にHBVにかかったことを示す。
|
HBe抗原
|
HBe
|
HBe抗原は発症に遅れて一ヶ月後から増加し始め、治癒した後2,3ヶ月かけて減少する。HBe抗原(+):HBVが増殖する際に過剰に作られるタンパク質。HBVの活発な増殖を示しており、感染力が強いことを示す。
|
抗HBe抗体
|
anti HBe
|
抗HBe抗体(+):HBVウイルス量と増殖が落ち着いていることを示しており、感染力が弱いことを示す。
|
HBcAg
- HIM.1935
- ヌクレオキャプシドはC geneがコードしている。ヌクレオキャプシド:に発現している抗原をHBcAgという。
HBeAg
- HIM.1935
- C geneがコード。スタートコドンが箇所有り、precore regionから開始するものは小胞体シグナルを含み、細胞外に分泌される。core regionから翻訳されたものがnucleocapsid particleの組み立てに用いられる。この蛋白はRNAと結合する。ウイルスの増殖性・感染性と関係がある。HBs-Ag陽性キャリアの母親が妊娠・出産して子供にHBVが伝播する確率は、HBeAg陽性で90%、HBe陰性で10-15%。3ヶ月を越えてHBeAg陽性だったら、慢性化した事の証。(HIM.1933)
- HBeAgは、HBsAgと同時かあるいはそのちょっと後に出現する。急性のB型肝炎の場合は、ALTがピークをつけたあたりで検出できなくなる。
初感染時に、末梢血でみられる血清学的変化の順番
- IgM anti-HBc (対応抗原が末梢血に出てこないから検出が容易という訳じゃよ、たぶん) -> anti-HBe ->anti-HBs
HBV抗原の局在
- QB.278
- HBsAg:肝細胞質内
- HBeAg:肝細胞質内
- HBcAg:肝細胞核内? ← ホントかな。末梢血に出ないというだけじゃね?
抗原/抗体の状態
|
HBs抗原
|
抗HBs抗体
|
抗HBc抗体
|
HBe抗原
|
抗HBe抗体
|
RT-PCR
|
未感染者
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
ワクチン接種者
|
-
|
+
|
-
|
-
|
-
|
-
|
既感染者
|
-
|
+
|
+
|
-
|
+
|
-
|
キャリア
|
+
|
-
|
+++
|
+
|
-
|
+
|
-
|
+
|
慢性化
- HBsAgが6ヶ月以上陽性で、IgG anti-HBcが優性となり、anti-HBsは検出できないか検出限界以下となる。このころにHBV DNAは末梢血・肝細胞の核内に存在し、free or episomal form(エピソーム)として存在する。
- 1. replacative stage: HBVの増殖や肝障害が激しい。このstageにおいてHBV DNAは量的, HBeAgは質的なマーカーとなる。
- 2. nonreplacative stage: 年に~10%の割合で起こる。HBeAg陽性からanti-HBeへの血清変換(seroconversion)が起こる。この時期にたいていALTが上昇するが、身体の細胞性免疫がウイルスを排除したと考えられている。このころにはHBV DNAは核内に存在して、宿主のゲノム内にintegrateされている。末梢血にはウイルス粒子ではなく、球状・管状のウイルス粒子がみられる。肝臓の障害もやんでいる傾向にある。時に、HBeAgへの血清変換とHBV DNAの上昇、IgM anti-HBcの出現を伴ってウイルスの再活性化が起こる。IgM anti-HBcはウイルスの再活性化でも起こるから、初感染の指標としては使えないね。患者の病歴が重要。(HIM.1935)
- 血清変換は細胞性免疫が減弱した老人で起こりにくく、若者に多い。
- 3. inactive HBV carrier: nonreplicative stageに入った患者のうち、活動性の肝障害がないヒトを指している。
ウイルスの生活環
- when packaging within viral peoteins is complete, synthesis of the incomplete plus strand stops
侵入&増殖
- ウイルスDNAは核内に移行
- ニックの入った鎖がDNAポリメラーゼに修復され2本鎖環状DNAとなる
遺伝子型
遺伝子型
|
A
|
C
|
地域
|
海外?
|
日本
|
慢性化
|
する
|
しにくい
|
重症度
|
軽い
|
重い
|
IFN効果
|
奏効しやすい
|
奏効しにくい
|
腫瘍
|
|
肝細胞癌発症しやすい
|
潜伏期
- 60-160日
- 約35日でHBV DNAが検出可能
- 約59日でHBs抗原が検出可能
感染経路
- 血液、体液、分泌液(唾液)が粘膜と接触することで引き起こされる
- 垂直感染:母子感染(経産道感染。経胎盤感染しない。母乳感染なし。) ⇔ ときに経胎盤感染するらしい(G10M.168)
G10M.168
疫学
- 世界中に存在する
- 流行地:中国、東南アジア、サハラ砂漠地域、アマゾン川流域、太平洋湾岸地域
症状
急性肝炎
慢性肝炎
合併症
経過
- 感染後、10%がキャリアーとなり慢性化する
急性B型肝炎 (SMB.547)
- 急性B型肝炎→慢性B型肝炎
- 免疫能が正常な人に感染した場合、長い潜伏期の後にA型肝炎様の症状を発症する。2-4ヶ月で治癒する
- 1-2%の確率で劇症肝炎を引き起こす
慢性B型肝炎 (SMB.547)
- HBVキャリア:血中のHBs抗原が6ヶ月以上にわたり陽性である
- 無症候性キャリア:自発症状がない
- キャリアとなるとウイルス量は多いが肝障害がない無症候性キャリアとなる ← 免疫系が誘導されていない。免疫寛容の状態
- 10-30歳で肝炎を発症し、多くの場合、B型肝炎ウイルスを排除する方向に向かっていく(HBe抗体が立ち上がる)が、10%の症例で肝炎が持続する。HBe抗体が立ち上がっても5-10%の症例で変異型HBVにより肝炎が持続する。肝炎が持続すると肝硬変、原発性肝癌を生じる (SMB.547)
検査
治療
治療薬
急性肝炎
慢性肝炎
インターフェロン
- seroconversion(HBe抗原→HBe抗体)しにくいHBe抗原陽性活動性肝炎
- HBV DNA陽性・HBe抗体陽性活動性肝炎
ラミブジン
- 目的:救命
- 絶対適応:重症化、重症化の予想される慢性肝炎、活動性肝硬変、F3/A3の慢性肝炎、発症早期の劇症肝炎
- 相対適応:35歳以上のF2/A2慢性肝炎
- 禁忌 :35歳以下でF1/A1慢性肝炎
- 炎症:A1<A2<A3、線維化の程度F1<F2<F3<F4
ラミブジン耐性株
検査
予防
- HBs抗原の遺伝子を酵母に遺伝子導入して作らせた成分ワクチン
母子感染の予防
- ↓陽性
- 2-a.(HBe陽性)ウイルス量が多い場合の予後 :感染率100%, キャリア化率80-90%
- 0ヶ月:HBIG
- 1ヶ月: →HBs抗原検査
- 2ヶ月:HBIG:B型肝炎ワクチン
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 4ヶ月:
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
- 2-b.(HBe陰性)ウイルス量が少ない場合の予後:感染率 10%, キャリア化率まれ
- 0ヶ月:HBIG
- 1ヶ月:
- 2ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 4ヶ月:
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
消毒薬
- アルコールでは不十分
- 0.5%次亜塩素酸、2%グルタルアルデヒドを用いる
ステロイド使用
- http://www.kenei-pharm.com/medical/academic-info/icnews/2015/4072/
- http://www.ryumachi-jp.com/info/news110926_gl.pdf#search=%27%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89+B%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E+%E9%99%A4%E5%A4%96%27
関連疾患
参考
- http://www.bml.co.jp/genome/product_service/invader01.html
[★]
- 英
- hepatitis C HC
- 関
- C型肝炎ウイルス、慢性肝炎、肝炎。C型慢性肝炎。非A非B型肝炎
まとめ
- RNAウイルスでありエンベロープを有するフラビウイルスに属するC型肝炎ウイルスの感染により生じる肝炎である。潜伏期は60日程度であり、発症は潜行性である。感染経路は血液の接触に夜物が多い。劇症化することは稀(0.1%)であるが、非常に慢性化しやすい(85%)。慢性化例では肝機能の低下・荒廃を来しついには肝細胞癌を生じる。日本に多い1b型(70%)はインターフェロンが奏効しにくい。治療はインターフェロンとリバビリンである。予防は感染源との接触を避けることである。
概念
- C型肝炎ウイルスによる感染症である。
- 五類感染症(全数把握)
- C型肝炎ウイルスの感染により生じる。C型急性肝炎はA型やB型に比べて自覚症状は軽く劇症化することは稀であるが、70%程度の例でC型慢性肝炎に移行する(A-E型肝炎の中で最高)。以前は非A非B型肝炎と呼ばれており、同定されたのは1989年で、検出系が確立されたのは1988年である。
疫学
- C型肝炎患者+持続感染者(キャリア):150-200万人(参考1)
- C型肝炎患者数:C型ウイルス肝炎の総患者数は34万7千人(2005年10月時点, 『患者調査』【Z41-842】2005年版 上巻(全国編)p.652)(参考5)
病原体
- C型肝炎ウイルス:遺伝子型(1b型: 70%、2a型: 20%、2b型: 8-10%)
感染経路
- 血液感染:輸血(第二世代HCV抗体導入後は輸血後肝炎の発生はほとんどない)、針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち。頻度が比較的多い
- 性的接触:B型肝炎ウイルスに比較すると頻度は少ない。
- 垂直感染:低率
経過
- 自然治癒は稀
- 10-30年の経過で肝硬変 → 肝細胞癌
- 癌化には5,11,17番染色体の染色体異常が関わっている?
- HCVの初感染から30年間以上経過している患者では年間の肝細胞癌発症率は1-4%である(HIM.1963)
- C型肝炎を背景に肝細胞癌を発症した場合、C型肝炎ウイルスを駆逐し、肝細胞癌が治癒した後であっても発癌リスクは変わらない、らしい(出典不明)
症状
- 慢性肝炎では多くの場合症状が無くトランスアミナーゼ上昇のみで、長い経過の中で肝硬変や肝細胞癌を発症する。
合併症
検査
-
- 2. HCVコア抗体:コア粒子
- 3. E2/NS-1抗体:エンベロープ
- 4. NS抗体、C100-3抗体C-33c抗体、NS5抗体:被構造タンパク
- NATによるHCV-RNAの検出。ウインドウ期は1-2週間
病態の評価 - 目的別
- 肝障害の評価 → ALT
- 残存肝機能 → 血小板数(肝臓で産生されるトロンボポエチンを反映するはず)
- 治療効果判定 → HCV-RNA
治療
- インターフェロンとリバビリンの併用が有効な治療法とされたが、HCVが排除され肝炎が治癒する確率は40~50%程度であった。
- 近年核酸アナログの開発により、肝炎の治療が進展してきた。
抗ウイルス薬 - C型肝炎
治療フローチャート
治療に影響を及ぼす因子
- HCV RNA(少ない方が良い)、遺伝子型(2型が良好)、線維化(軽度)、年齢、性別、血小板。(参考(3))
- 年齢<45、感染期間が短い、HCV RNAが少ないこと、遺伝子型が1型でないこと(HIM.1095)
- HCV-RNA量、HCB遺伝子型、肝組織化の程度(QB.B-282)
B型肝炎とC型肝炎の比較
|
B型肝炎
|
C型肝炎
|
ソース
|
感染の特徴
|
慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発?
|
慢性の肝細胞障害
|
根拠なし
|
劇症化
|
0.1-1%
|
0.1%
|
HIM
|
慢性化率
|
1-10%
|
85%
|
HIM
|
キャリア化
|
稀。通常、母子感染でおこる
|
|
医学辞書
|
肝細胞癌患者中
|
約20%
|
約70%
|
QB.B-281
|
肝細胞癌患者年齢
|
若年発症
|
|
QB.B-281
|
肝細胞癌発症形式
|
突発あり
|
緩徐進展
|
QB.B-281
|
遺伝子型
|
B型肝炎ウイルス#遺伝子型
|
|
|
A型、C型
|
1b型、2a型,、2b型
|
|
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。
|
日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)
|
|
治療
|
インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン
|
ペグインターフェロン+リバビリン
|
参考
- http://www.c-kan.net/
- 2. 独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター│C型肝炎およびC型肝炎ウイルス
- http://www.ncgm.go.jp/center/forcomedi_hcv.html
- http://kousei-hosp.com/C-PPT.pdf
- https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_c
- 5. C型肝炎について - 国立国会図書館 リサーチナビ
- http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400257.php
- http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_12.html
[★]
- 英
- hepatitis B, HB, type B hepatitis
- 関
- B型肝炎ウイルス、慢性肝炎
まとめ
- DNAウイルスでありながら逆転写酵素をもつヘパドナウイルスでエンベロープをもつB型肝炎ウイルスの感染により起こる肝炎。感染経路は経皮的?、妊娠母子、性的接触があり、発症は若年者に多い。潜伏期は2-3ヶ月であり、急性・潜行性に発症する。慢性化することは1-10%程度(但し、新生児例がほとんど)あり、劇症化することは比較的多い(0.1-1.0%)。キャリアー化することは母子感染例ではみられるが、成人感染例では稀である。慢性化した場合、(ゲノムに組み込まれる性質も相まってか?)比較的若年で、また肝臓の状態が良好な段階でも肝細胞癌を発症しうる。日本人に多いC型は慢性化しにくいものの、重症感が強く、インターフェロンが奏功しにくく、また肝細胞癌を発症しやすい。治療はインターフェロン、ラミブジン、アデフォビル、エンテカビルがある。予防は免疫グロブリン注射と組換えHBsワクチン接種がある。
病原体
感染経路
潜伏期
検査
血清学的検査
- 消化器疾患ビジュアルブック p176
- HBs抗原:現在HBVに感染している
- HBs抗体:HBV感染既往。既にHBVに免疫がある。
- IgM型HBc抗体:感染の急性期に作られる抗体。急性肝炎にかかっているか、慢性肝炎の急性増悪。
- IgG型HBc抗体:慢性期に作られる抗体で、高ければB型肝炎キャリア、低ければ過去にB型肝炎に感染既往がある状態
- HBe抗原:HBVが多量に存在し、他人に感染しやすい状態
- HBe抗体:HBVは減少し、感染力が弱まっている状態
- HBV-DNA:HBVに感染していて、ウイルスが増殖している状態
HBVキャリアの病期とその病態
病期
|
肝炎
|
血中
|
肝臓
|
DNA量
|
HBe抗原
|
HBs抗原
|
cccDNA
|
免疫寛容期
|
無症候性キャリア
|
ー
|
8~11
|
++
|
+++
|
+++
|
免疫排除期
|
慢性肝炎
|
HBe抗原陽性
|
持続
|
6~10
|
+
|
++
|
++
|
HBe抗原陰性
|
変動
|
3~8
|
ー
|
+~++
|
+~++
|
免疫監視期
|
非活動性キャリア
|
ー
|
<4
|
ー
|
+
|
+
|
回復期
|
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
+
|
経過
B型ウイルス抗原・抗体
- HBs抗原:早期(4週)に上昇。28週までに低下
- HBs抗体:28週から上昇
- HBc抗原:測定が非常に困難。
- HBc抗体:HBs抗原に遅れて上昇
- HBe抗原:HBs抗原、HBc抗体に遅れて検出される
- HBe抗体:16-20週ごろにHBe抗原より優位となる
B型肝炎ウイルスの母子感染と予防
- G10M.176
B型肝炎ウイルスの母子感染
- B型肝炎母子感染防止事業(1985年)に基づいて講じられている予防策である。妊娠初期の全妊婦に対してHBs抗原検査を行い、感染が確認されればHBe抗原検査を行いリスクに応じた感染予防対策を実施する。HBe抗原陰性のローリスク群では産道感染の起こる確率は10%であり、新生児が無症候性キャリアとなるのは稀なのに対し、ハイリスク群では産道感染する確率は90%であり、無症候性キャリアとなるのは80%である。従って、ローリスク群には児に対する感染予防対策を、ハイリスク群には強力な感染予防対策を行う。
母子感染の予防
- G10M.176 B型肝炎ウイルス#母子感染の予防
|
ローリスク群
|
ハイリスク群
|
意義
|
HBIG筋注
|
0ヶ月
|
0ヶ月
|
ウイルス粒子に対する防御
|
|
2ヶ月
|
HBワクチン
|
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月
|
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月
|
防御抗体の付与
|
HBs抗原検査
|
|
1ヶ月
|
HBV感染の確認
|
6ヶ月
|
6ヶ月
|
HBs抗体検査
|
6ヶ月
|
6ヶ月
|
防御抗体獲得の確認
|
- どうにかして覚えたい
- 予防は0,2 & 2,3,5
- 検査は1,6
B型肝炎とC型肝炎の比較
|
B型肝炎
|
C型肝炎
|
ソース
|
感染の特徴
|
慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発?
|
慢性の肝細胞障害
|
根拠なし
|
劇症化
|
0.1-1%
|
0.1%
|
HIM
|
慢性化率
|
1-10%
|
85%
|
HIM
|
キャリア化
|
稀。通常、母子感染でおこる
|
|
医学辞書
|
肝細胞癌患者中
|
約20%
|
約70%
|
QB.B-281
|
肝細胞癌患者年齢
|
若年発症
|
|
QB.B-281
|
肝細胞癌発症形式
|
突発あり
|
緩徐進展
|
QB.B-281
|
遺伝子型
|
B型肝炎ウイルス#遺伝子型
|
|
|
A型、C型
|
1b型、2a型,、2b型
|
|
日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。
|
日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除)
|
|
治療
|
インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン
|
ペグインターフェロン+リバビリン
|
参考
- http://www.bkanen.net/
- http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/K04_15/k04_15.html
[★]
- 英
- autoimmune hepatitis AIHA, AIH
- 関
- 類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病
まとめ
- 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
- 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
- LAB.894
- II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
- IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
- IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
- 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
- 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
- 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
- AST, ALT:高値
- γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
- 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
- ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
- 抗核抗体:I型で陽性
- 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
- 抗LKM-1抗体:II型で陽性
- 抗SLA抗体:III型で陽性
- 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
- 参考3
診断
- 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
- 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
- 副腎皮質ステロイドが著効する
- ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
- ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
- 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
- インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
- 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
- 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [1]
- 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
- cyto=cell kin(e)=small substance
- ex. manikine
- 細胞が分泌する糖タンパク質で、生物活性(増殖・分化・タンパク産生誘導などを)を有するもの
- 英
- cytokine, cytokines
- 関
- サイトカイン受容体、インターロイキン、リンホカイン
生態情報伝達方式
- 傍分泌系、自己分泌系により情報を伝達する。局所ホルモンともいえる(ホルモンは血流を介して他臓器に働く)
産生細胞・機能による分類名
機能
サイトカインのシグナル伝達 JAK/STAT pathway (IMM.245-246)
組み換えサイトカインと臨床利用 first aid step1 2006 p.327