- 英
- chronic myelomonocytic leukemia, CMMoL, CMML
- 関
- 慢性骨髄性白血病、FAB分類
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慢性骨髄単球性白血病(英名 Chronic myelomonocytic leukemia)とは単球の増加と血球の異形成を特徴とする血液疾患である[1][2][3]。CMMLあるいはCMMoLと略称される。
目次
- 1 概要
- 2 分類
- 3 形態学的特徴
- 4 サブタイプ
- 5 症状
- 6 疫学
- 7 診断基準
- 8 原因
- 9 治療
- 10 予後
- 11 脚注
- 12 参考文献
- 13 関連項目
概要
末梢血において単球が増加し骨髄系細胞[註 1]に異形成が認められる。白血球は増加していることも減少していることもあるが、他の血球は減少がみられMDSに類似する。[1]骨髄では過形成のことが多いが、低形成の場合もある。[4]単球の増加と血球の異形成以外は患者ごとに相違の多い疾患である。高齢男性に多い。[1]
分類
FAB分類ではMDSに分類されていたが、白血球増加を呈する症例が多く慢性骨髄増殖性疾患とも共通した点があり、2001に出版されたWHO分類では骨髄異形成/骨髄増殖性疾患(MDS/MPD)に分類された[5]。
形態学的特徴
細胞は分化能を失っておらず、芽球は20%未満である。しかし、各血球に形態異常が現れることが多い。[3][6]
サブタイプ
CMMLは芽球と前単球の数によってCMML-1とCMML-2に分けられCMML-2は予後不良である[7]。
- CMML-1 末梢血の有核細胞のなかで芽球と前単球の割合が5%未満、かつ骨髄で10%未満
- CMML-2 末梢血の有核細胞のうち芽球と前単球が5-19%もしくは骨髄で10-19%あるいはAuer小体を有する。(芽球が20%以上だと急性骨髄性白血病のカテゴリーになる)
症状
倦怠感、体重の減少、出血傾向、易感染症、発熱、などが見られることが多い[1]。また、脾腫による膨満感、臓器への病的細胞の侵潤による様々な症状がありえる。[8]
疫学
発症率は定かではないが年間10万人に1人強程度、高齢男性に多い[6][9]。
診断基準
WHOによる[1]
- 持続的な単球増加>1000/μl
- BCR/ABL融合遺伝子を認めない。
- 末梢血・骨髄の芽球は20%以下
- 1系統以上の異形成を認める。あるいは1.後天性の染色体異常を認める(単クローン性の証拠)、2.3ヶ月以上にわたる単球増加症、2.他の原因による単球増加の除外の3条件を満たす。
原因
不明である[4]。
治療
治癒を得る方法は造血幹細胞移植であるが、本症患者は高齢であることが多く適用になる例は少ない。化学療法で細胞数のコントロールを目指す。[6]
予後
予後は様々であり、生存期間中央値は研究機関ごとに様々な報告があるが11~40ヶ月程度の範囲である。[6][10]
脚注
註釈
- ^ 骨髄系細胞とはリンパ球(系細胞)を除く血液細胞のこと。すなわち赤血球、血小板、好中球、好酸球、好塩基球、単球、及び(血小板の母体である)骨髄巨核球と、それらの前駆細胞を指す。
出典
- ^ a b c d e 森 『新WHO分類による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.39
- ^ 国立病院機構九州がんセンター・血液腫瘍画像データベース・慢性骨髄単球性白血病-1
- ^ a b 大阪市立大学・血液内科・骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍
- ^ a b 森 『新WHO分類による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.40
- ^ 森 『新WHO分類による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.37
- ^ a b c d 山口裕子、薄井紀子「その他の慢性骨髄増殖性疾患の診断と治療」、雑誌『血液フロンティア Vol15 No.8』医薬ジャーナル社刊 、2005、p.94
- ^ 押味『WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.75
- ^ 坂下厚生総合病院 江川雅巳・上野修一 竹田綜合病院 赤池 康 慢性骨髄単球性白血病の一例
- ^ 福原 啓 柿木康孝「WHO分類における新しい疾患群MDS/MPDの臨床像」日本臨床検査医学会誌『臨床病理 Vol54,No 3 』2006、p.244-245
- ^ 森 『新WHO分類による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』p.42
参考文献
- 書籍
- 押味和夫 監修 木崎昌弘,田丸淳一編著『WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』中外医学社、2009年、ISBN 978-4-498-12525-4
- 森 茂郎 監修 木崎昌弘 押味和夫 編著『新WHO分類による白血病・リンパ系腫瘍の病態学』、中外医学社、2004年、ISBN 4-498-12524-7
- 論文
- 山口祐子、薄井紀子「その他の慢性骨髄増殖性疾患の診断と治療」医薬ジャーナル社刊 雑誌『血液フロンティア Vol15 No.8』、2005
- 日本臨床検査医学会誌 『臨床病理 Vol54,No 3 』2006
関連項目
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Japanese Journal
- 症例報告 化学療法後に特異疹を認めた慢性骨髄単球性白血病の1例
- 症例報告 鼻瘤ならびに口囲の丘疹としてみられた皮膚白血病の1例
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★リンクテーブル★
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- 56歳の男性。全身倦怠感と腹部膨満とを主訴に来院した。6か月前から左上腹部の重圧感を自覚し、少量の摂食でも満腹になった。顔色は不良でるいそうを認める。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を5cm触知し、いずれも弾性硬で圧痛はない。血液所見:赤血球320万、Hb9.5g/dl、Ht31%、網赤血球1.3%、白血球23,000(前骨髄球2%、骨髄球3%、後骨髄球3%、桿状核好中球13%、分葉核好中球55%、好酸球1%、好塩基球3%、単球4%、リンパ球16%、赤芽球4個/100白血球)、血小板62万。好中球アルカリホスファターゼスコア312(基準120~320)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D046]←[国試_102]→[102D048]
[★]
- 英
- myelodysplastic syndrome, MDS
まとめ
- 異常な幹細胞(造血幹細胞レベルでの原因不明の質的異常)から単クローン性に血球が産生される疾患であり、慢性・非可逆性に進行する。治療不応性の経過をとり、予後不良であり、高率に白血病に移行する。汎血球減少がみられ、また形態の異常がみられる。NAPスコアは減少する。骨髄では無効造血がみられ、正形成~過形成となる。症状は無症状であることがあり、ある場合は汎血球減少に基づく症状である。治療は造血幹細胞移植が根治量であるが、適応がない場合は免疫抑制薬、ステロイド、造血因子(蛋白同化ステロイド)の投与、また赤血球、血小板の輸血を行う。
概念
- 異常な幹細胞(造血幹細胞レベルでの原因不明の質的異常)から単クローン性に血球が産生される
- 無効造血による血球減少、異形成(血球形態異常)、治療不応性、前白血球病的(白血病への移行)性質
- 本疾患に含まれる不応性貧血は難病に指定されている。
疫学
- 中高年層に好発し、50歳以上が70%以上。男女比は1.6:1。
病因
- 続発性:ファンコニ貧血
- 薬剤性・医原性:化学物質、放射線、抗悪性腫瘍薬(アルキル化剤)
- 放射線や抗悪性腫瘍薬(アルキル化剤)による悪性腫瘍は治療後5-7年後に起こることが多く、MDSを経てAMLとなる。染色体異常は-5/5q or -7/7q-が多い。
分類
- FAB分類とWHO分類がある。芽球の比率におけるMDSの定義が異なり、FAB分類では芽球の比率30%未満。WHO分類では芽球の比率20%未満としている。これ以上は急性白血病としている。
FAB分類
WHO分類
病態
- 造血幹細胞に発生した遺伝子異常に基づく血球減少症。
- 染色体異常は40-60%で認められ、-5、5q-、-7、7q-や第8染色体のトリソミーがある。
検査
末梢血
- 汎血球減少(1-3系統):(頻度)汎血球減少47.9%、貧血+血小板減少17.7%、貧血+白血球減少17.2%、貧血13.2%
-
- 数:正球性~大球性の貧血。ときに小球性。網赤血球数は低下するが、ときに上昇
- 形態:大小不同や奇形
- 数:好中球減少。
- 形態:好中球の過分葉。偽ペルゲル・フェット核異常。顆粒の減少。NAPスコア低下
骨髄
- 正形成~過形成 ← 造血能は失われておらず、補償的に過形成となるのではないか?異常な血球が産生される結果、無効造血をきたす。
- 80-90%の症例:正~過形成骨髄
- 10-20%の症例:低形成 → 再生不良貧血との鑑別必要
- 芽球比率は予後を左右する
鉄代謝
- 無効造血を反映
症状
- 無症状であることがあり、健診の血液検査異常で見つかることがある。
- 汎血球減少に基づく諸症状。
- 赤血球減少:貧血(動悸、息切れ、倦怠感)
- 白血球減少:不明熱、易感染性(発熱、咽頭痛)
- 血小板減少:出血傾向
合併症
- 約1/3の症例で急性骨髄性白血病(AML)に進展 ← 異常造血幹細胞の増殖は前白血病状態であり、進展は遺伝子異常の付加がきっかけとなる。
- Sweet症候群(急性好中球性皮膚症)(発熱、好中球増加、好中球湿潤性紅斑)
- 壊疽性膿皮症
治療
- 同種造血幹細胞移植:根治療法。適応は55歳以下。
- 免疫抑制薬、ステロイド、造血因子(蛋白同化ステロイド)
- 赤血球、血小板の輸血。
- 参考1
- リスクで治療法が変わる。
-
- 貧血:赤血球輸血、(輸血後鉄過剰症に対して)鉄キレート剤、(低EPO例)エリスロポエチン、(del5q例)レナリドミド
- 血小板減少:(<10,000/ulで出血症状を伴う)血小板輸血
- 好中球減少:(感染を併発したときに)G-CSF
- 重篤な造血不全による症状:アザシチジン
ガイドライン
- 1. 造血細胞移植ガイドライン骨髄異形成症候群(成人)
- http://www.jshct.com/guideline/pdf/2009MDS.pdf
参考
- 1. 難病情報センター | 不応性貧血(骨髄異形成症候群)
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/327
- 2. 財団法人国際医学情報センター:がん Info / 骨髄異形成症候群
- http://www.imic.or.jp/cancer/c2033.html
- http://ganjoho.jp/public/cancer/data/MDS.html
- 4. [charged] 骨髄異形成症候群の臨床症状および診断 - uptodate [1]
- 5. IV.MDS の治療 1. 本邦における診療のガイドライン (京都大学 内山 卓/石川隆之)2005.4.4 改訂
- http://plaza.umin.ac.jp/~mhlw-mds/doctor/MDS.pdf
症例
- 78歳男性。微熱と全身倦怠感のため来院した。赤血球220万、Hb6.2g/dL、Ht23%、白血球2700、骨髄球3%、後骨髄球4%、好酸球3%、好塩基球2%、血小板3.6%、LDH 320IU/dL、CRP 3.4mg/dL、骨髄の過形成像、微小巨核球。
国試
[★]
- 英
- monocytosis
- 同
- 単球増多症
- 関
- 単球
定義
- 末梢血単球数が950/μLを超えた状態。
- 分画が7%以上、末梢血で1000μL以上(臨床検査データブック2017-2018)
増加するメカニズム
- 単球が腫瘍性に増加する
- 単球の貪食が盛んになる病態で増加する(病原体や病原体に侵入された細胞、ないし組織崩壊物が貪食される)。
鑑別疾患
[★]
redirect 慢性骨髄単球性白血病
- 同
- chronic myelomonocytic leukemia
[★]
慢性骨髄単球性白血病
- 関
- chronic myelomonocytic leukemia
[★]
- 英
- bone marrow (Z)
- ラ
- medulla ossium
- 関
- 骨髄組織
分類
性状
細胞成分の過少
造血
加齢変化
- 6歳以後は加齢とともに脂肪化が進み、黄色骨髄が増加
- 長管骨の末端から黄色骨髄に置換されていく。成人では脊椎骨、胸骨、肋骨などで造血が起こる
- 乏血、低酸素状態では黄色骨髄が赤色骨髄に置換され、造血ができるようになる。
[★]
- 英
- leukemia
- 関
- 造血器腫瘍
- see 白血病まとめ.xls, 造血器腫瘍マップ.ppt
疫学
- 小児:ALL > AML >>> CML, CLL(小児では無) ← 急性型が多い
分類
[★]
- 英
- monocyte (Z), monocytes
- 関
- マクロファージ
臨床関連
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患
[★]
- 英
- monocytic
- 関
- 単球、単核球性、単球系